JP2006243174A - 電源投入方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機EL素子を用いた画素回路において低耐圧MOSプロセスによる微細画素を実現し、高精細な有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】
有機EL素子では、発光のために4〜6V程度のアノード・カソード間電圧が必要であり、通常、画素回路における各素子は6V耐圧とされるが、通常動作時のトランジスタの必要なソース・ドレイン耐圧は、アノード電源電圧の半分程度となる。そこで電源投入時のシーケンスを最適化し、素子の6V耐圧を不要とする。このため電源投入時に、信号線SIGによる映像信号電位を確定させ(tm0〜tm1)、次に有機EL素子への電流供給が停止される回路状態とし(〜tm2)、次に有機EL素子のアノード電位をカソード電位から徐々に上昇させる(tm3〜tm4)。
【選択図】 図3

Description

本発明は、信号線と走査線が交差する部分に形成される画素回路がマトリクス状に配置されて成る表示装置であって、特に発光素子として有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を用いた表示装置における電源投入方法に関する。
特開2003−271095 特開2003−255856 特開2004−219682 特開2003−173169
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD)として有機EL表示装置に関心が高まっている。現在、FPDでは液晶表示装置(LCD)が主流を占めているが、液晶表示装置は自発光デバイスではないので、バックライトや偏光板などの他部材を必要とする。このため、表示装置の厚みが増したり、輝度が不足するなどの事情が避けられない。
これに対して有機EL表示装置は自発光デバイスであり、バックライトなど他部材が原理的に不要で、薄型化や高輝度の実現性などの点でLCDと比較して有利である。特に、各画素にスイッチング素子を形成したアクティブマトリクス型有機EL表示装置では、各画素にホールド点灯させることで消費電流を低く抑えることができ、大画面化および高精細化が比較的容易に行えることから、各社で開発が進められており、次世代FPDの主流になると期待されている。
また、近年ではデジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダーなどに代表される個人用撮影機器が発達しており、それらのファインダー表示素子として、結晶珪素基板上に画素回路および駆動回路が形成されたLiquid Crystal on Silicon所謂LCOSあるいは高温または低温多結晶シリコンLCDが用いられている。
LCDを用いたファインダー素子では、透過型ではバックライトが、反射型ではフロントライトが必要であり、必然的にモジュール厚が増してしまい、機器の薄型化に不利となる。また、個人用撮影機器の小型化とともにファインダー自体も小型され、それに伴い画素自体も縮小される傾向にあり、透過型LCDでは開口部が十分にとれず、性能限界に近づきつつある。反射型ではLCOSが主流になりつつあるが、やはり照明系は必要であり、機器の薄型化に寄与しない。
一方、有機ELをビューファインダー表示素子として用いた場合には、自発光であるのでLCDのような照明系を必要せず、機器の薄型化に寄与できる。また、有機ELの素子構造として上面発光の素子を用いることで、開口率も性能上十分な値を確保できる。
また、近年ではビューファインダーも高精細化の道をたどりつつあり、QVGA(Quarter Video Graphics Array:320×240画素)からVGA(Video Graphics Array:640×480画素)、さらにはSVGA(Super Video Graphics Array:800×600画素)やXGA(Extended Graphics Array:1024×768画素)の要求が機器メーカーから出ている。
これらの高精細化の要求に対応するには、LCOSのようにMOSプロセスを用いるのは当然のこととして、さらに画素駆動回路の素子数を減少させるか、あるいは画素駆動回路内の素子サイズの縮小が必要となる。
なお、上記特許文献1,2には有機EL素子を用いた画素回路に関する技術が記載されており、また上記特許文献3,4には、液晶表示装置に関する電源シーケンスの技術が記載されている。
一般的にMOSプロセスにおいては、ソース・ドレイン耐圧が小さいプロセスほど、トランジスタサイズを小さくすることができ、微細化に有利である。このため、画素駆動回路内の素子サイズの縮小ということを考えると、より低耐圧のプロセスを用い、トランジスタサイズを縮小することが有効である。
ところが、有機EL素子は、ある程度の電圧、例えば約4V以上をアノード・カソード間に印加しなければ発光しない。
図7(a)に有機EL素子のアノード・カソード間電圧と発光輝度の特性を、また図7(b)に有機EL素子のアノード・カソード間電圧と電流密度の特性を示す。これらの図からわかるように、有機EL素子を発光させるには少なくとも4V以上の電圧印加が必要であり、一般に発光のための電圧範囲は約4〜6Vに設定される。
したがって、通常のMOSトランジスタのソース・ドレイン耐圧としては6V耐圧が必要となり、より低耐圧のプロセス、例えば3V耐圧プロセスは用いることができない。このような事情で、画素回路の微細化が制限されている。
本発明は上記のような問題点を鑑みなされたもので、有機EL素子を用いた画素回路において低耐圧MOSプロセスによる微細画素を実現し、高精細な有機EL表示装置を提供できるようにすることを目的とする。
本発明は、信号線と走査線が交差する部分に形成される画素回路がマトリクス状に配置されて成り、各画素回路は、有機エレクトロルミネッセンス素子が、MOSプロセスにより形成された複数のトランジスタ及び容量を有する回路により発光駆動される構成とされた表示装置における電源投入方法である。この電源投入方法は、上記信号線による映像信号電位を確定させる第1のステップと、上記第1のステップの後に、上記有機エレクトロルミネッセンス素子への電流供給が停止される回路状態とする第2のステップと、上記第2のステップの後に、上記有機エレクトロルミネッセンス素子のアノード電位をカソード電位から徐々に上昇させる第3のステップとを備える。
また上記画素回路は、上記画素回路は、有機エレクトロルミネッセンス素子と、第1,第2,第3のトランジスタと、容量を有する。そして上記第1のトランジスタのゲートに上記走査線が接続され、上記第1のトランジスタのソース/ドレインの一方に上記信号線が接続され、他方に上記第2のトランジスタのゲートが接続され、上記第2のトランジスタのソース/ドレインの一方が電源電圧ラインに接続され、他方が上記第3のトランジスタに接続され、上記第3のトランジスタのソース/ドレインの一方が上記有機エレクトロルミネッセンス素子のアノード電極に接続され、上記容量は上記第2のトランジスタのゲートと上記電源電圧ラインの間に接続されている。この場合、上記第1のステップでは、上記走査線から供給される走査パルスの電位により上記第1のトランジスタが導通された状態において、上記信号線に所定の映像信号電位を与えることで、上記第2のトランジスタのゲート電位を映像信号電位に確定させ、上記第2のステップでは、上記第3のトランジスタを非導通とすることで、上記有機エレクトロルミネッセンス素子への電流供給が停止される回路状態とし、上記第3のステップでは、上記電源電圧ラインにおける電圧を所定値まで徐々に上昇させることで、上記アノード電位を上昇させる。
また、上記第3のステップにおける上記アノード電位の上昇期間は、上記有機エレクトロルミネッセンス素子の時定数の2倍以上であるとする。
また上記第1、第2、第3のステップによる電源投入のための期間は、1フレーム期間長以内で実行する。
このような本発明では、MOSプロセスを用いて形成される画素回路において、電源投入時のシーケンスを最適化することで、低耐圧MOSプロセスによる微細画素を実現し、高精細な有機EL表示装置を提供するものである。
上述したように、有機EL素子では、発光のために4〜6V程度のアノード・カソード間電圧を印加しなければならず、このため画素回路における各素子は6V耐圧とされる。ところが有機EL素子の閾値電圧は3V程度であり、通常動作時のトランジスタの必要なソース・ドレイン耐圧は、アノード電源電圧の半分程度となるため、6V耐圧は必要ではない。つまり通常駆動時の耐圧だけを考慮した場合には、より低耐圧のプロセスを用いることが可能である。換言すれば、画素回路素子に対する電源投入時における印加電圧を考慮すれば、低耐圧プロセスで画素回路を構成することが可能となる。
本発明の電源投入方法として上記第1,第2,第3のステップの動作を実行して電源投入方法を行うことで、例えば電源電圧を6Vとしても、画素回路内のトランジスタのソース・ドレイン間には、最大でその半分程度の電圧しかかからない。このため、画素回路内の素子は例えば3V耐圧程度とすれば十分となる。つまり本発明によって電源投入シーケンスを最適化することで、画素回路を低耐圧MOSプロセスにより形成することができ、微細画素の形成を可能とし、高精細な有機EL表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態としての電源投入方法を説明する。
図1に実施の形態の表示装置の構成を示す。本例の表示装置では、画素アレイ1としてカラー画素ユニットGSがm行×n列のマトリクス状に配列されている。
1つのカラー画素ユニットは、R(赤)画素回路10R、B(青)画素回路10B、G(緑)画素回路10Gから構成される。そしてこのようなカラー画素ユニットGS11〜GSnmがマトリクス状に配列される。図では画素アレイ1における4隅のカラー画素ユニットGS11、GS1n、GSm1、GSnmのみを示し、他は省略している。
このような画素アレイ1に対して、映像信号線駆動回路2,走査線駆動回路3が設けられる。
映像信号線駆動回路2には、水平クロックHCK、水平スタート信号HST、及び映像信号(Video)が入力される。映像信号線駆動回路2はこれらの信号に基づいて、画素アレイ1の各列に対して配設された映像信号線SIGに対して、各水平期間毎に映像信号を与える。
映像信号線SIGとしては、列方向に並ぶR画素回路10Rに対する映像信号線SIG−R、列方向に並ぶB画素回路10Bに対する映像信号線SIG−B、列方向に並ぶG画素回路10Gに対する映像信号線SIG−Gが設けられる。カラー画素ユニットGSはn列であるため、画素アレイ1に対して、映像信号線SIG−R(1)〜SIG−R(n)、SIG−B(1)〜SIG−B(n)、SIG−G(1)〜SIG−G(n)が設けられることになり、映像信号線駆動回路2は、これらの映像信号線SIGに対してそれぞれ1水平期間毎に、列方向の各画素に応じたR映像信号、B映像信号、G映像信号を印加する。
走査線駆動回路3には、垂直走査クロックVCK、垂直スタート信号VSTが与えられる。走査線駆動回路3はこれらの信号に基づいて、画素アレイ1の各行に対して配設された走査線WSに対して走査パルスを与え、また各行に対して配設されたデューティ制御線DSを駆動する。
画素アレイ1はm行の画素が構成されることから、走査線WSとしては走査線WS(1)〜WS(m)が設けられ、またデューティ制御線DS(1)〜DS(m)が設けられる。走査線駆動回路3は、1フレーム期間内において、1水平期間毎に走査線WS(1)〜WS(m)を順次選択する走査パルスを印加する。
また1フレーム期間において各行に対して、各画素における輝度あるいはホワイトバランス調整のために、デューティ制御線DS(1)〜DS(m)に、所定のタイミングでH/Lレベルが切り換えられる制御パルスを印加する。
各画素回路10(10R、10B、10G)には、それぞれ対応する行の走査線WSからの走査パルスと、デューティ制御線DSからの制御パルスが与えられる。
画素アレイ1の各画素回路10(10R、10B、10G)に対しては、電源電圧Vccとカソード電圧Vkが与えられる。
図1の表示装置構成における画素回路10(10R、10B、10G)の構成を図2に示す。
この画素回路10は有機EL素子4を駆動する回路が3つのP型トランジスタT1,T2,T3と1つの容量Csで形成されている。
第1のトランジスタT1(以下、サンプリングトランジスタT1)は、そのゲートが映像信号取り込み制御のための走査線WSに接続される。またドレインには映像信号線SIGが接続され、ソースには容量Csの一端と第2のトランジスタT2(以下、駆動トランジスタT2)のゲートが接続される。この駆動トランジスタT2のゲートノードをノードNdAとして示している。
容量Csの他端は、駆動トランジスタT2のソースに接続されている。つまり駆動トランジスタT2のゲート・ソース間に容量Csが接続される。
駆動トランジスタT2のソースにはアノード電源Vccのラインが接続される。駆動トランジスタT2のドレインは第3のトランジスタT3(以下、デューティ制御トランジスタT3)のソースに接続される。デューティ制御トランジスタT3のゲートはデューティ制御線DSに、ドレインは有機EL素子4のアノードに接続される。有機EL4のカソードはカソード電源Vkのラインに接続される。
この画素回路10では、サンプリングトランジスタT1が導通することで、映像信号線SIGに印加されているアナログ映像信号(映像信号電圧)をサンプリングする。このサンプリングした映像信号電圧が駆動トランジスタT2のゲート電圧として印加される。駆動トランジスタT2はゲート電圧に応じてソース・ドレイン間に電流を流すことで有機EL素子4を駆動する。この駆動トランジスタT2は、有機EL素子4の発光時の定電流動作を保証するため飽和領域で動作する。
デューティ制御トランジスタT3は、輝度あるいはホワイトバランス調整用に設けられており、1フレーム間でON・OFF動作を行う。
駆動トランジスタT2及びデューティ制御トランジスタT3がオンとされる期間、定電流Ielが、有機EL素子4に流れ、有機EL素子4が発光することになる。
この画素回路10で、有機EL素子4に流れる電流Ielは、
Iel=K(Vgs−Vth)2
(Vgs:T2のゲート・ソース間電圧 Vth:T2の閾値電圧 K:T2定数)
で決定される。
この画素回路10に対しては、アノード電源Vccは6Vに設定される。
また映像信号線駆動回路2によって映像信号線SIGに映像信号電位は5.5〜5.0Vとされる。また走査線駆動回路3によって走査線WSに与えられる走査パルスは0〜6.0V、デューティ制御線DSに与えられる制御パルスは0〜6Vに設定される。有機EL素子4の閾値電圧は3.0V程度である。カソード電位Vk=0Vとされる。
この場合、通常動作中における図2のノードNdAの電位は5.5〜5.0Vとなる。また駆動トランジスタT2のドレインとデューティ制御トランジスタT3のソースの接続点のノードNdBの電位はVcc(6V)〜有機EL素子4の閾値電圧(3.0V程度)となる。デューティ制御トランジスタT3のドレインと有機EL素子4のアノードの接続点のノードNdCの電位も、Vcc(6V)〜有機EL素子4の閾値電圧(3.0V程度)となる。
つまり通常の動作時においては、サンプリングトランジスタT1のソース・ドレイン間電圧は最大で0.5V、駆動トランジスタT2のソース・ドレイン間電圧は最大で3.0V、デューティ制御トランジスタT3のソース・ドレイン間電圧は最大で3.0Vとなる。
このため、アノード電源Vcc=6Vとしても、通常の動作時だけを考えれば、トランジスタT1,T2,T3の耐圧は3V程度でよいことになる。
従って、この画素回路においては、電源投入時にトランジスタT1、T2,T3に3V以上の電圧がかからなければ、低耐圧MOSプロセス、例えば3Vプロセスを用いて画素回路10を製造することが可能となる。
そこで本例では、以下のように電源投入を行う。
図3には、本例の電源投入シーケンスによる電源投入時の走査線WS、映像信号線SIG、デューティ制御線DS、及びアノード電源Vccの電圧状態を示している。
時点tm0で電源投入が開始される。
まず、時点tm0〜tm1までの期間、アノード電源Vccはカソード電位Vk(例えば0V)とされ、また走査線駆動回路3は、デューティ制御線DS=0V、走査線WS=0とする。そしてこの期間、映像信号線駆動回路2は、映像信号線SIGを例えば5.5Vに上昇させる。
この時点tm0〜tm1の期間、走査線WS=0であるためサンプリングトランジスタT1はオンとされており、従って映像信号線SIGによる電位5.5Vが、駆動トランジスタT2のゲートに印加されることになる。このため駆動トランジスタT2はほぼカットオフ状態となる。デューティ制御線DS=0Vであるため、デューティ制御トランジスタT3はオンとなっている。
次に時点tm1〜tm2の期間では、アノード電源Vccと走査線WSは0Vに固定され、また映像信号線SIGは5.5Vに固定された状態で、走査線駆動回路3によりデューティ制御線DSが0から6Vまで上昇される。
この期間では、サンプリングトランジスタT1がON状態、駆動トランジスタT2はカットオフ状態にあり、デューティ制御トランジスタT3は、デューティ制御線DSが6Vに上昇することでカットオフ状態となる。
時点tm2〜tm3は回路を安定化する期間で、走査線WS、アノード電源Vccは0Vに固定、映像信号線SIGは5.5Vに固定される。
時点tm3〜tm4は、アノード電源Vccの上昇期間である。この期間では、走査線WS、映像信号線SIG、デューティ制御線DSは時点tm2〜tm3のときの電位を維持する。アノード電源Vccは、この期間(tm3〜tm4)で上昇を行い、最終的には6Vに到達するようにする。
なお、この期間(tm3〜tm4)は、有機EL素子4の時定数より十分大きい時間に設定する。図4に、通常駆動時にデューティ制御トランジスタT3をオン・オフさせたときの有機EL素子4のアノード電位の変化を表している。つまりデューティ制御トランジスタT3がオンのときアノード電位=6Vであり、デューティ制御トランジスタT3がオフとなることによって、アノード電位は低下する。図からわかるように、アノード電位は、デューティ制御トランジスタT3がカットオフしてから、約5ms程度で、最終到達電位である2.5Vに到達している。
したがって、電源Vcc上昇期間としての時点tm3〜tm4は、5msより十分大きい、例えば2倍の10msに設定される。
図3の時点tm4から、走査線WSが6Vに設定され、これにより各電源は所定の電位に設定され、電源投入動作が完了する。
ここまでの時点において、時点tm3以降は、駆動トランジスタT2、デューティ制御トランジスタT3が共にカットオフ状態であるので、有機EL素子4には、ほとんど電流が流れず発光しない。
また、時点tm0〜tm3では、アノード電源Vcc=Vk=0Vなので、有機EL素子4のアノード・カソード間電位は0Vであり、有機EL素子4は発光しない。
したがって、時点tm0からの電源投入時に画素が異常発光を起こすことは無い。
図3においては破線によって有機EL素子4のアノード電位(ノードNdC)の変化を示している。アノード電位は、時点tm3〜tm4の電源Vccの上昇に伴い上昇し、最終的に有機EL素子4の閾値電位近傍(この例では3V)で落ち着く。
また、図2のノードNdBの電位は、電源Vccと同じ変化をする。このとき、デューティ制御トランジスタT3のソース・ドレイン間電圧は3Vとなり、通常駆動時でも、この電位差を越えることは無い。
このとき、サンプリングトランジスタT1に関しては、ソース・ドレイン間電圧は0.5V、駆動トランジスタT2に関しては、ソース・ドレイン間電圧は0Vである。
さらに通常駆動時においては、デューティ制御トランジスタT3のソース・ドレイン間電位が最も大きくなり、最大で3Vとなる。
以上のように本例の電源投入シーケンスでは、まず時点tm0〜tm1で映像信号線SIGによる映像信号電位を確定させる。またこれによって駆動トランジスタT2はほぼカットオフとされる。
次に時点tm1〜tm2でデューティ制御線DSを6Vとし、デューティ制御トランジスタT3をカットオフさせる。これで有機EL素子4への電流供給が停止される回路状態とする。
そして次に、アノード電源Vccを6Vまで上昇させ、有機EL素子4のアノード電位をカソード電位から徐々に上昇させる。
このような本例の電源投入シーケンスを用いることで、画素回路を構成するトランジスタT1,T2,T3のいずれも、ソース・ドレイン間電位差が3Vを超えることは無く、アノード電源Vccとして6Vを用いているにもかかわらず、低耐圧プロセス、例えば3Vプロセスを用いることが可能となり、より微細な画素を構成することが可能となる。
なお、このような電源投入シーケンス期間は、1フレーム期間長以内で実行される。
図2の画素回路10は、MOSプロセスにより形成される。この画素回路10を実現するレイアウト図を図5に示し、また有機EL画素回路の断面構造例を図6に模式的に示す。
まず図6でMOSプロセスで形成される画素回路10の構造を述べる。既に公知であるように、MOSプロセスでは結晶珪素基板(シリコンウエハ)上に不純物添加、拡散を行い、ポリシリコン膜、酸化膜、層間絶縁膜等を成膜していくことでトランジスタを形成し、また素子間の配線のためのアルミまたは銅などによる金属配線膜を生成して所要の回路を構成する。
本例の有機EL画素回路の場合、図示するようにトランジスタT1,T2,T3及び容量Csが形成されるとともに、3層に金属配線膜(第1金属配線膜MT1,第2金属配線膜MT2、第3金属配線膜MT3)が形成される。各層の間はコンタクトとして層間プラグCTが形成されて電気的に接続される。
そして最上層としてアノード電極41,EL薄膜42,カソード電極43が蒸着形成される。
図2の画素回路10の場合、デューティ制御トランジスタT3のドレインが有機EL素子4のアノードに接続されるが、このためには例えば図6のように、デューティ制御トランジスタT3のドレイン領域が、層間プラグCTや金属配線膜MT1,MT2,MT3を介してアノード電極41に接続されることになる。
この図6は、あくまで模式的に層構造を示したものであるが、図2の画素回路10に対応したレイアウト例は図5(a)のようになる。
図5(a)においては実線で各素子の構造領域を示し、破線で第1金属配線膜MT1を、一点鎖線で第2金属配線膜MT2を示し、第3金属配線膜MT3は省略している。また層間プラグ(コンタクト)CTとしての上下層のコンタクト部分を「○」で示している。
実線で示すように、サンプリングトランジスタT1、駆動トランジスタT2、デューティ制御トランジスタT3、容量Csが形成される。
また破線で示す第1金属配線膜MT1により、映像信号線SIGと必要な素子間配線が形成される。また一点鎖線で示す第2金属配線膜MT2により走査線WS、デューティ制御線DSが形成される。図示しない第3金属配線膜MT3によってはアノード電源Vccラインが形成される。
この図5(a)からわかるように、第1金属配線膜MT1による映像信号線SIGはコンタクトCT9によりサンプリングトランジスタT1のドレイン領域(D)に接続される。
サンプリングトランジスタT1のゲート領域(G)はコンタクトCT8により、第2金属配線膜MT2の走査線WSに接続される。
サンプリングトランジスタT1のソース領域(S)は、コンタクトCT7により第1金属配線膜MT1の配線と接続され、コンタクトCT5により容量Csの一方の電極に接続される。さらに、この容量Csの一方の電極は、コンタクトCT4,第1金属配線膜MT1の配線、コンタクトCT10を介して駆動トランジスタT2のゲート領域(G)に接続される。
駆動トランジスタT2のソース(S)はコンタクトCT1から図示しないアノード電源Vccラインに接続される。容量Csの他端も、コンタクトCT6から図示しないアノード電源Vccラインに接続される。
駆動トランジスタT2のドレイン領域(D)は、デューティ制御トランジスタT3のソース領域(S)と共用され、デューティ制御トランジスタT3のゲート領域(G)はコンタクトCT2により、第2金属配線膜MT2によるデューティ制御線DSに接続される。
デューティ制御トランジスタT3のドレイン(D)は、コンタクトCT3から図示しないアノード電極41に接続されることになる。
例えばこのようなレイアウトで3Vプロセスによる画素回路10を形成できる。
従来の6Vプロセスでは、トランジスタ耐圧を確保するためのオフセットドレイン領域を必要とし、最低チャネル長も大きい。一方、このように3Vプロセスを用いたレイアウトでは、オフセットドレインを必要とせず、かつ最低チャネル長も小さいので、トランジスタサイズを小さくできる。
また、トランジスタサイズが小さく、ゲート容量も小さいので、容量Csの面積も小さくできる。このことから同じ回路構成でも6Vプロセスと比較して小さい面積で回路を構成できる。例えば3Vプロセスの回路は6Vプロセスの約50〜60%の面積で画素を構成でき、微細画素を形成できる。
図5(b)は6Vプロセスで画素を形成した場合の画素回路のサイズ例を示し、例えば画素回路の縦サイズW1,横サイズW2が、W1=18μm、W2=6μmとされたとする。R、G、Bのカラー画素ユニットGS(1ピクセル)のサイズでいえば18×18μmとなる。
一方、3Vプロセスで画素を形成した場合の画素回路のサイズ例は図5(c)のようになり、例えば画素回路の縦サイズW1,横サイズW2が、W1=9μm、W2=3μmとすることができる。R、G、Bのカラー画素ユニットGS(1ピクセル)のサイズでいえば9×9μmとなる。
このように画素サイズの大幅な縮小が可能となる。
また、この3Vプロセスを用いて画素を形成した表示パネルは、6Vプロセスによる画素の表示パネルよりも小さくできることはいうまでもなく、例えば1枚のウエハーから取れるパネル数も多く、製造歩留まりの向上や低コスト化が実現できる。
もちろん、例えばビデオカメラ装置のビューファインダなどにも用いられる有機EL表示パネルとしての小型化、高精細化に好適である。
本発明の実施の形態の表示装置の構成のブロック図である。 実施の形態の画素回路の回路図である。 実施の形態の電源投入シーケンスの説明図である。 通常動作時のアノード電位の変化の説明図である。 実施の形態の画素回路を形成するレイアウトの説明図である。 実施の形態の画素回路の模式的な断面構造の説明図である。 有機EL素子の発光特性の説明図である。
符号の説明
1 画素アレイ、2 映像信号線駆動回路、3 走査線駆動回路、4 有機EL素子、10 画素回路、10R R画素回路、10B B画素回路、10G G画素回路、Cs 容量、T1 サンプリングトランジスタ、T2 駆動トランジスタ、T3 デューティ制御トランジスタ、SIG 映像信号線、WS 走査線、DS デューティ制御線

Claims (4)

  1. 信号線と走査線が交差する部分に形成される画素回路がマトリクス状に配置されて成り、各画素回路は、有機エレクトロルミネッセンス素子が、MOSプロセスにより形成された複数のトランジスタ及び容量を有する回路により発光駆動される構成とされた表示装置における電源投入方法として、
    上記信号線による映像信号電位を確定させる第1のステップと、
    上記第1のステップの後に、上記有機エレクトロルミネッセンス素子への電流供給が停止される回路状態とする第2のステップと、
    上記第2のステップの後に、上記有機エレクトロルミネッセンス素子のアノード電位をカソード電位から徐々に上昇させる第3のステップと、
    を実行することを特徴とした電源投入方法。
  2. 上記画素回路は、有機エレクトロルミネッセンス素子と、第1,第2,第3のトランジスタと、容量を有し、
    上記第1のトランジスタのゲートに上記走査線が接続され、
    上記第1のトランジスタのソース/ドレインの一方に上記信号線が接続され、他方に上記第2のトランジスタのゲートが接続され、
    上記第2のトランジスタのソース/ドレインの一方が電源電圧ラインに接続され、他方が上記第3のトランジスタに接続され、
    上記第3のトランジスタのソース/ドレインの一方が上記有機エレクトロルミネッセンス素子のアノード電極に接続され、
    上記容量は上記第2のトランジスタのゲートと上記電源電圧ラインの間に接続されており、
    上記第1のステップでは、上記走査線から供給される走査パルスの電位により上記第1のトランジスタが導通された状態において、上記信号線に所定の映像信号電位を与えることで、上記第2のトランジスタのゲート電位を映像信号電位に確定させ、
    上記第2のステップでは、上記第3のトランジスタを非導通とすることで、上記有機エレクトロルミネッセンス素子への電流供給が停止される回路状態とし、
    上記第3のステップでは、上記電源電圧ラインにおける電圧を所定値まで徐々に上昇させることで、上記アノード電位を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の電源投入方法。
  3. 上記第3のステップにおける上記アノード電位の上昇期間は、上記有機エレクトロルミネッセンス素子の時定数の2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の電源投入方法。
  4. 上記第1、第2、第3のステップによる電源投入のための期間は、1フレーム期間長以内であることを特徴とする請求項1に記載の電源投入方法。
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