JP2006242942A - 液浸探傷装置、局部液浸探傷装置および液浸探傷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 鋼材よりも音速が遅い検査対象物に対しても超音波探傷ができる液浸探傷装置を提供することである。
【解決手段】 アクリル樹脂より縦波音速が遅い液状媒質12を注入した容器11内の液状媒質12に検査対象物13および縦波の超音波を送信する振動子14を浸漬する。そして、可変角機構部15により、振動子14からの検査対象物13への入射角βを変化させ、振動子14からの縦波を液状媒質12を通して検査対象物13に導く。これにより、鋼材に比べて音速が遅い鋳鉄等の検査対象物13に対しての超音波探傷検査を可能とし、特に表面波を用いた超音波探傷検査を可能とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 アクリル樹脂より縦波音速が遅い液状媒質12を注入した容器11内の液状媒質12に検査対象物13および縦波の超音波を送信する振動子14を浸漬する。そして、可変角機構部15により、振動子14からの検査対象物13への入射角βを変化させ、振動子14からの縦波を液状媒質12を通して検査対象物13に導く。これにより、鋼材に比べて音速が遅い鋳鉄等の検査対象物13に対しての超音波探傷検査を可能とし、特に表面波を用いた超音波探傷検査を可能とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、検査対象物に超音波を送信して検査対象物のきずを探傷する液浸探傷装置、局部液浸探傷装置および液浸探傷方法に関する。
発電プラントにおいては、プラント構成機器の健全性を評価するために、プラント構成機器の非破壊検査が行われている。例えば、表面きずに対する非破壊検査としては、浸透探傷検査や磁粉探傷検査が行われている。浸透探傷検査や磁粉探傷検査では、きず指示長さが判明するだけで、きず深さを評価することができないので超音波探傷検査が実施されている。
超音波探傷検査としては、一般的に、斜角探傷法による1回反射法が用いられるが、検査対象物の幾何的な形状によっては、探傷検査が困難な場合がある。例えば、検査対象物が薄い場合には1回反射による探傷部位までの距離が短くなるので、溶接部の幅が長い場合には超音波が届かないことがある。
そこで、表面波を用いた超音波探傷検査が用いられる場合がある。これは、斜角探触子から、楔を介して所定の入射角で検査対象物に縦波の超音波を入射し、検査対象物内を伝搬する横波の表面波を得るものである。すなわち、振動子から楔を介して所定の入射角で縦波を検査対象物に入射すると縦波屈折波と横波屈折波とが表れる。縦波屈折波は横波屈折波より音速が早いので、縦波屈折角は横波屈折角より大きい。従って、検査対象物への入射角を縦波臨界角と横波臨界角との間に設定した楔を用いると、検査対象物には横波屈折波のみが表れ、さらに、その入射角を横波臨界角に設定した場合には横波の表面波が得られる。
この表面波を用いた超音波探傷検査は、健全部における超音波の伝播時間と表面きず部での伝播時間との差から、きず深さを評価する手法であり、表面きず高さを評価する際の手法として有望である。
ここで、屈折角を代えることができ、かつ屈折角を変更しても超音波ビーム幅を所定の幅にすることができる可変角超音波探触子がある(例えば、特許文献1参照)。この可変角超音波探触子は、移動楔を半円形楔に密着して移動させるように構成し、移動楔を半円形楔の円周面に沿って移動させて、振動子からの超音波を入射して屈折角を変えるようにした斜角探触子である。
特開2001−50941号公報
しかし、表面波を用いた超音波探傷検査装置では、表面波を発生する振動子の楔の材料としてアクリル樹脂が多く使われており、鋼材を検査対象物としたものであるので、表面波を発生させることができるが、鋼材よりも音速が遅い検査対象物、例えばアルミニウムや黄銅等の非鉄金属の一部や鋳鉄等に対しては、表面波を発生させることができない場合がある。
図7は、異なる媒質の境界面での超音波の入射角βと屈折角θとの関係の説明図である。いま、媒質Aは楔、媒質Bは検査対象物であるとし、媒質Aの音速をC1、媒質Bの音速をC2とする。そうすると、スネルの法則により(1)式が成り立つ。
Sinβ/C1=Sinθ/C2 …(1)
ここで、振動子14から縦波を発生させ、楔を介して検査対象物に横波を発生させる場合を考える。また、楔は縦波の音速C1(C1=2720m/s)のアクリル樹脂であるとする。いま、横波の音速C2がC2=2980m/sである鋼材に表面波を発生させたい場合には、(1)式に、C1=2720m/s、C2=2980m/s、θ=90°を代入して(2)式から入射角βを求める。
ここで、振動子14から縦波を発生させ、楔を介して検査対象物に横波を発生させる場合を考える。また、楔は縦波の音速C1(C1=2720m/s)のアクリル樹脂であるとする。いま、横波の音速C2がC2=2980m/sである鋼材に表面波を発生させたい場合には、(1)式に、C1=2720m/s、C2=2980m/s、θ=90°を代入して(2)式から入射角βを求める。
Sinβ/2720=Sin90°/2980 …(2)
(2)式を満たす入射角βはβ≒65.8°である。従って、振動子は入射角βがβ≒65.8°の縦波の超音波を入射させれば検査対象物に横波の表面波を発生させることができる。
(2)式を満たす入射角βはβ≒65.8°である。従って、振動子は入射角βがβ≒65.8°の縦波の超音波を入射させれば検査対象物に横波の表面波を発生させることができる。
一方、音速が遅い鋳鉄を検査対象物とした場合を考える。いま、楔の縦波の音速C1(C1=2720m/s)よりも音速が遅い横波の音速C2(C2<C1)の鋳鉄に対して、屈折角θ(θ=90°)の横波を発生させたい場合には、(1)式に、C1=2720m/s、θ=90°を代入して、(3)式から入射角βを求めることになるが、鋳鉄の音速C2はC1(C1=2720m/s)よりも小さいので、(3)式の右辺が1より大きくなり、(3)式を満たす入射角βは存在しない。
Sinβ/2720=Sin90°/C2 …(3)
従って、縦波の音速C1(C1=2720m/s)のアクリル樹脂を楔材に用いた場合には、楔材より遅い音速の鋳鉄に対して表面波を発生させることはできない。このように、表面波を用いた超音波探傷検査装置は、鋼材を検査対象物とすることはできるが、アルミニウムや黄銅等の非鉄金属の一部や鋳鉄等の音速が遅い検査対象物に対しては、適用することができない場合がある。
従って、縦波の音速C1(C1=2720m/s)のアクリル樹脂を楔材に用いた場合には、楔材より遅い音速の鋳鉄に対して表面波を発生させることはできない。このように、表面波を用いた超音波探傷検査装置は、鋼材を検査対象物とすることはできるが、アルミニウムや黄銅等の非鉄金属の一部や鋳鉄等の音速が遅い検査対象物に対しては、適用することができない場合がある。
また、鋼材に比べて音速が遅い検査対象物について、表面波を用いた超音波探傷検査装置が積極的な取り組みがされなかった背景には、鋼材に比べて音速が遅いと言うことだけでなく、部材の状態によって微妙に音速が変化することも一因である。特に、こうした問題は、所定の入射角ではなく、ある角度を持って入射されてしまうリスクがある一方、逆に、境界面で全反射してしまい、検査対象物中に入射できないというリスクもある。
こうしたリスクを回避するために、特許文献1に示されるように、超音波の入射角を可変にできるような可変角探触子が提案されているが、この可変角探触子は、鋼材を検査対象物としたものであり、前述したように、鋼材よりも音速が遅い検査対象物に対しては、表面波を発生させることができないことがある。
本発明の目的は、鋼材よりも音速が遅い検査対象物に対しても超音波探傷ができる液浸探傷装置、局部液浸探傷装置および液浸探傷方法を提供することである。
請求項1の発明に係わる液浸探傷装置は、縦波の超音波を送信する振動子と、前記振動子から検査対象物への超音波の入射角を変化させる前記可変角機構部と、前記振動子からの縦波を検査対象物に導くアクリル樹脂より縦波音速が遅い液状媒質と、前記液状媒質に前記検査対象物を浸漬させるための容器とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明に係わる局部液浸探傷装置は、縦波の超音波を送信する振動子と、前記振動子から検査対象物への超音波の入射角を変化させる前記可変角機構部と、前記振動子からの縦波を検査対象物に導くアクリル樹脂より縦波音速が遅い液状媒質と、前記振動子および前記可変角機構部を収納し前記液状媒質を封入し底面が前記検査対象物の接触面となる密閉容器とを備えたことを特徴とする。
請求項3の発明に係わる局部液浸探傷装置は、請求項2の発明において、前記密閉容器の底板で反射する超音波を吸収するための吸音部を前記密閉容器内に設けたことを特徴とする。
請求項4の発明に係わる液浸探傷方法は、請求項1の液浸探傷装置または請求項2または請求項3の局部液浸探傷装置の前記振動子から検査対象物への超音波の入射角と前記検査対象物での超音波の屈折角との関係を記憶したデータベースを有し、前記検査対象物の表面にきずがあるかどうかを判定し、前記検査対象物の表面にきずがあるときはデータベースから前記検査対象物に表面波を発生するに必要な入射角を検索し、検索した入射角を請求項1の液浸探傷装置または請求項2または請求項3の局部液浸探傷装置の前記振動子から前記検査対象物への超音波の入射角として表面波探傷を行い、前記検査対象物の表面にきずがないときはデータベースから斜角探傷に必要な入射角を検索し、検索した入射角を請求項1の液浸探傷装置または請求項2または請求項3の局部液浸探傷装置の前記振動子から検査対象物への超音波の入射角として斜角探傷を行うことを特徴とする。
請求項5の発明に係わる液浸探傷方法は、請求項4の発明において、検査対象物の材質が既知でないときまたは前記検査対象物の材質の音速が一定でないときは前記検査対象物の音速を測定し、請求項1の液浸探傷装置または請求項2または請求項3の局部液浸探傷装置の前記振動子から前記検査対象物への超音波の入射角と前記検査対象物での超音波の屈折角との関係を算出し、その検査対象物のデータベースを作成することを特徴とする。
本発明によれば、振動子からの縦波をアクリル樹脂より縦波音速が遅い液状媒質を通して検査対象物に導くようにしたので、鋼材に比べて音速が遅い鋳鉄等の検査対象物に対して、超音波探傷検査が可能となり、特に表面波を用いた超音波探傷検査が可能となる。
また、振動子の入射角を可変できるので検査対象物の屈折角を変化させることができ、検査対象物の部材の状態による微妙な音速の変化にも対応が可能である。
また、検査対象物への超音波の入射角と検査対象物での超音波の屈折角との関係をデータベースに記憶しておくので、表面波探傷を行うに必要な入射角あるいは斜角探傷を行うに必要な入射角を適宜選択できる。従って、表面波探傷と斜角探傷とを区別して行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係わる液浸探傷装置の正面図、図2は上面図である。本発明の第1の実施の形態は、固体の楔を有する斜角探触装置では、音速が遅い検査対象物に対して表面波を発生させることができないので、液体媒質を用いた従来の水浸探触装置を基本とし、媒質として水に代えて、アクリル樹脂より縦波音速が遅い液状媒質を用い、かつ、振動子の入射角を可変とする可変角機構部を設けた点を特徴としている。
図1において、容器11には液状媒質12が注入され、この液状媒質12に検査対象物13および振動子14が浸漬されている。振動子14は縦波の超音波を発振するものであり、また、振動子14は可変角機構部15により検査対象物13への入射角を変化できるように構成されている。可変角機構部15は歯車16と、この歯車16の回転により円周方向に可動する扇形歯車17と、扇形歯車17の移動を案内するガイド部材18と、振動子14を装着する振動子装着部19とを備えている。
図2に示すように、歯車16にはシャフト20が取り付けられており、シャフト20は容器11に設けられた軸受21で支持され、シャフト20の一方端には歯車16を回転させるつまみ部22が設けられている。容器11に注入された液状媒質12としては、アクリル樹脂より縦波音速が遅い媒質、例えば、シリコン油やポリエチレンのゲル状媒質等が用いられる。例えば、シリコン油の縦波音速は1275m/sであり、ポリエチレンのゲル状媒質の縦波音速は1900m/sであり、いずれもアクリル樹脂の縦波音速(2720m/s)より縦波音速が遅い媒質である。
ここで、振動子14から縦波を発生させ、液状媒質12を介して検査対象物13に横波を発生させる場合を考える。いま、液状媒質12はシリコン油であるとし、検査対象物13は鋳鉄であるとする。シリコン油の縦波音速は1275m/sであり、鋳鉄の横波音速C2が鋼材よりも遅い、例えば2300m/sであるとする。なお、鋳鉄の横波音速は鋼材の横波音速(3190〜3260m/s)よりは遅いがばらつきがあるので、便宜上、鋼材の横波音速より遅い2300m/sであるとする。
そうすると、液状媒質(シリコン油)12の縦波音速C1は1275m/s、検査対象物(鋳鉄)13の横波音速C2は2300m/sであり、検査対象物13に表面波を発生させる条件は検査対象物13の屈折角θがθ=90°であるから、(1)式に、C1=1275m/s、C2=2300m/s、θ=90°を代入して(4)式から入射角βを求める。(4)式を満たす入射角βはβ≒40.0°である。従って、振動子14は入射角βがβ≒40.0°の縦波の超音波を入射させれば検査対象物13に横波の表面波を発生させることができる。
Sinβ/1275=Sin90°/2300 …(4)
このように、入射角βを可変角機構部15でβ≒40.0°に調整することにより、鋳鉄である検査対象物13に対して屈折角θ(θ=90°)の横波の表面波を発生させることができる。また、入射角βを可変角機構部15で0°〜40.0°の範囲で調整することにより、鋳鉄である検査対象物13に対して斜角探傷を行うこともできる。
このように、入射角βを可変角機構部15でβ≒40.0°に調整することにより、鋳鉄である検査対象物13に対して屈折角θ(θ=90°)の横波の表面波を発生させることができる。また、入射角βを可変角機構部15で0°〜40.0°の範囲で調整することにより、鋳鉄である検査対象物13に対して斜角探傷を行うこともできる。
第1の実施の形態によれば、振動子14からの縦波をアクリル樹脂より縦波音速が遅い液状媒質12を通して検査対象物13に導くようにしたので、鋼材に比べて音速が遅い鋳鉄等の検査対象物13に対して、表面波を用いた超音波探傷検査が可能となる。また、入射角βを可変角機構部15により可変できるので、検査対象物13の屈折角θを可変とすることができ、検査対象物13の部材の状態による微妙な音速の変化にも対応が可能であり、また、検査対象物13に対して斜角探傷を行うこともできる。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図3は本発明の第2の実施の形態に係わる局部液浸探傷装置の側面図、図4は上面図である。この第2の実施の形態は、図1および図2に示した液浸探傷装置に対し、液状媒質12および可変角機構部15を密閉容器23に封入して局部液浸探傷装置としたものである。
図3において、密閉容器23には液状媒質12が封入され、この液状媒質12に振動子14および可変角機構部15が浸漬されている。振動子14は縦波の超音波を発振するものであり、また、振動子14は可変角機構部15により検査対象物13への入射角を変化できるように構成されている。可変角機構部15は歯車16と、この歯車16の回転により円周方向に可動する扇形歯車17と、扇形歯車17の移動を案内するガイド部24と、振動子14を装着する振動子装着部25とを備えている。
密閉容器23は、例えば透明部材で形成され、振動子14および可変角機構部15が透けて見えるように形成される。これにより、可変角機構部15により振動子14が移動した状態を確認できるようにしている。また、密閉容器23には端子部26が設けられ、端子部26と振動子14はケーブル27で接続されている。ケーブル27は、可変角機構部15による扇形歯車17(振動子装着部25)の移動に追従できるように、扇形歯車17の一端の固定部28に固定し、ケーブル長に余裕を持たせた状態で端子部26に接続する。端子部26は振動子14に電源を供給するとともに、振動子14で検出された超音波を外部に取り出すものである。
一方、検査対象物と接触する密閉容器23の底板29は、超音波の1/2波長以下の厚さに形成されている。これは、超音波の1/2波長以下の厚さの部材に対しては、超音波はそのまま通過し屈折することがないためである。従って、密閉容器23の底板29を検査対象物と接触させたとき、底板29による超音波の屈折を無視できる。さらに、密閉容器23の底板29で反射する超音波を吸収するための吸音部30が密閉容器23の側面部に設けられている。これにより、振動子14が密閉容器23の底板29で反射する超音波を誤検出しないようにしている。
図4に示すように、歯車16にはシャフト20が取り付けられており、シャフト20は密閉容器23に設けられた軸受21で支持され、シャフト20の一方端には歯車16を回転させるつまみ部22が設けられている。密閉容器23に注入された液状媒質12としては、第1の実施の形態と同様に、アクリル樹脂より縦波音速が遅い媒質、例えば、シリコン油やポリエチレンのゲル状媒質等が用いられる。
検査対象物の探傷を行う際には、密閉容器23の底板29を検査対象物に接触させる。その際の接触媒質としては、通常使用されるグリセリン等を使用する。そして、つまみ部22で振動子14から検査対象物への超音波の入射角βを調整し、振動子14から超音波を入射する。
この第2の実施の形態の場合においても、第1の実施の形態と同様に、超音波の入射角βを検査対象物の性状に合わせて調整することにより、検査対象物の屈折角θをθ=90度として表面波を発生させることができる。
ここで、図5に示すように、密閉容器23内に振動子14の入射角βを表示する表示板31を設けるようにしてもよい。密閉容器23を透明部材で形成した場合には、密閉容器23の内部が透けて見えるので、その内部に表示板31を設けることにより超音波の入射角βを容易に確認できる。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、アクリル樹脂より縦波音速が遅い液状媒質を密閉容器23内に封入し、その液状媒質に振動子14および可変角機構部15を浸漬するので、コンパクトな局部液浸探傷装置を提供できる。
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図6は本発明の第3の実施の形態に係わる液浸探傷方法の動作内容を示すフローチャートである。まず、検査対象物の材質は既知であるかどうか判断する(S1)。既知である場合には、その材質の音速は鋼材の音速より遅いかどうかを判断する(S2)。その材質の音速が鋼材の音速より早い場合には、本発明の第3の実施の形態による液浸探傷ではなく別の探傷を行えば良いので処理は終了する。
一方、検査対象物の音速が鋼材の音速より遅い場合には、その材質の音速は一定であるか否かを判定する(S3)。そして、音速が一定である場合には、検査対象物に対して所定の屈折角に必要な振動子からの入射角を算出し(S4)、その材質の屈折角と入射角との関係をデータベースとして保存する(S5)。
ステップS1の判断で、検査対象物の材質が既知でない場合、あるいはステップS3の判断で材質の音速が一定でない場合には検査対象物の音速の測定を行い(S6)、その測定した音速に基き、検査対象物に対して所定の屈折角に必要な振動子からの入射角を算出し(S4)、その材質の屈折角と入射角との関係をデータベースとして保存する(S5)。
ここで、検査対象物の材質が既知でない場合だけでなく、材質の音速が一定でない場合にも検査対象物の音速の測定を行うのは、例えば、鋳鉄は、その組成によって音速の幅があるので、同じ鋳鉄であっても音速は一定ではないので、そのような材質に対しても、適切な屈折角と入射角との関係をデータベースとして保存するためである。
次に、検査対象物の表面にきずがあるかどうかを判断する(S7)。この表面きずに対する非破壊検査は、浸透探傷検査あるいは磁粉探傷検査で行われる。検査対象物の表面にきずがある場合には、そのきず深さを評価することになる。すなわち、データベースから表面波発生に必要な入射角(屈折角が90度となる入射角)を検索し(S8)、検索した入射角を第1の実施の形態の液浸探傷装置または第2の実施の形態の局部液浸探傷装置の検査対象物への超音波の入射角とする(S9)。これにより、検査対象物の屈折角は90度となり、検査対象物に表面波が発生し表面波探傷を行う(S10)。
一方、ステップS7の判断で検査対象物の表面にきずがない場合には、そのきず深さを評価する必要はないので、斜角探傷を行うことになる。すなわち、データベースから斜角探傷に必要な入射角(屈折角が90度未満となる所定入射角)を検索し(S11)、検索した入射角を第1の実施の形態の液浸探傷装置または第2の実施の形態の局部液浸探傷装置の検査対象物への超音波の入射角とする(S12)。これにより、検査対象物の屈折角は90度未満の所定の屈折角となり、その所定の屈折角で検査対象物の斜角探傷を行う(S13)。
第3の実施の形態によれば、検査対象物への超音波の入射角と検査対象物での超音波の屈折角との関係をデータベースに記憶しておくので、検査対象物毎に表面波探傷を行うに必要な入射角あるいは斜角探傷を行うに必要な入射角を適宜選択できる。従って、表面きずがある場合には表面波探傷を行うに必要な入射角を選択して表面波探傷を容易に行うことができ、また、表面きずがない場合には斜角探傷に必要な入射角を選択して所望の斜角探傷を行うことができる。
11…容器、12…液状媒質、13…検査対象物、14…振動子、15…可変角機構部、16…歯車、17…扇形歯車、18…ガイド部材、19…振動子装着部、20…シャフト、21…軸受、22…つまみ部、23…密閉容器、24…ガイド部、25…振動子装着部、26…端子部、27…ケーブル、28…固定部、29…底板、30…吸音部、31…表示板
Claims (5)
- 縦波の超音波を送信する振動子と、
前記振動子から検査対象物への超音波の入射角を変化させる前記可変角機構部と、
前記振動子からの縦波を検査対象物に導くアクリル樹脂より縦波音速が遅い液状媒質と、
前記液状媒質に前記検査対象物を浸漬させるための容器と、
を備えたことを特徴とする液浸探傷装置。 - 縦波の超音波を送信する振動子と、
前記振動子から検査対象物への超音波の入射角を変化させる前記可変角機構部と、
前記振動子からの縦波を検査対象物に導くアクリル樹脂より縦波音速が遅い液状媒質と、
前記振動子および前記可変角機構部を収納し前記液状媒質を封入し底面が前記検査対象物の接触面となる密閉容器と、
を備えたことを特徴とする局部液浸探傷装置。 - 前記密閉容器の底板で反射する超音波を吸収するための吸音部を前記密閉容器内に設けたことを特徴とする請求項2記載の局部液浸探傷装置。
- 請求項1の液浸探傷装置または請求項2または請求項3の局部液浸探傷装置の前記振動子から検査対象物への超音波の入射角と前記検査対象物での超音波の屈折角との関係を記憶したデータベースを有し、
前記検査対象物の表面にきずがあるかどうかを判定し、
前記検査対象物の表面にきずがあるときはデータベースから前記検査対象物に表面波を発生するに必要な入射角を検索し、
検索した入射角を請求項1の液浸探傷装置または請求項2または請求項3の局部液浸探傷装置の前記振動子から前記検査対象物への超音波の入射角として表面波探傷を行い、
前記検査対象物の表面にきずがないときはデータベースから斜角探傷に必要な入射角を検索し、
検索した入射角を請求項1の液浸探傷装置または請求項2または請求項3の局部液浸探傷装置の前記振動子から検査対象物への超音波の入射角として斜角探傷を行うことを特徴とする液浸探傷方法。 - 検査対象物の材質が既知でないときまたは前記検査対象物の材質の音速が一定でないときは前記検査対象物の音速を測定し、請求項1の液浸探傷装置または請求項2または請求項3の局部液浸探傷装置の前記振動子から前記検査対象物への超音波の入射角と前記検査対象物での超音波の屈折角との関係を算出し、その検査対象物のデータベースを作成することを特徴とする請求項4記載の液浸探傷方法。
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