JP2006242849A - 試料液流の位置制御方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 レーザビームの中心部を試料液の流れに照射できるようにする。
【解決手段】 位置制御装置10は、フローセル12の上部に液密に取り付けてた液供給ユニット14を有する。液供給ユニット14は、フローセル12に設けた試料流路20の中心部に試料液22を供給する試料液供給部16と、試料流路20にシース液32a、32bを供給し、試料流路20内に試料液22の流れを包むシース液流を形成するシース液供給部28(28a、28b)を備えている。シース液供給部28に接続したシース液供給管30a、30bには、シース液供給ポンプ34(34a、34b)が設けてある。制御器44は、各シース液供給ポンプ34の吐出圧力を制御し、液供給ユニット14の各シース液供給部28を流れるシース液の圧力を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フローセルの試料流路中をシース液に包まれて流れる試料液の位置制御方法および装置に関する。
フローサイトメトメータは、フローセルに設けられた微細な試料流路に試料液を流し、試料液の流れと直交した方向からレーザビームを照射し、試料液に含まれている粒子による散乱光や、粒子に結合させた標識から放射された蛍光を検出して粒子の数を求めたり、粒子の特性を調べるのに用いられる。レーザビームは、よく知られているようにエネルギー分布(強度分布)がガウス分布をなしており、中心部の強度が強く、周縁部に向けて急速に強度が弱くなる。このため、安定した測定と高精度な測定とを行なうために、フローセルの試料流路の中心部を試料液が流れるようにするとともに、レーザビームの中心が試料流路の中心となるようにレーザビームを照射している。
ところが、フローセルの装着状態や、試料液を包んでフローセルの試料流路を流れているシース液の流れの状態によって、試料液がレーザビームの中心から外れた位置を流れる場合がある。このような場合、照射するレーザビームの強度がばらつき、正確な測定をすることができず、信頼性を損なう。そこで、特許文献1は、フローセルをレーザビームに直交して移動させてレーザビームの強度分布を測定し、レーザビームの中心位置を求め、試料流路の中心がレーザビームの中心となるようにフローセルの位置を調整する方法を提案している。また、特許文献2には、試料液の測定結果からレーザビームに対するフローセルの位置を求め、フローセルの試料流路の中心がレーザビームの中心となるようにフローセルの位置を調整する方法を提案している。
特公平5−13454号公報 特開2004−257756号公報
しかし、特許文献1、2に記載の方法は、レーザビームに対してフローセルを移動させる必要があり、装置が複雑で大型化する。また、シース液に包まれてフローセルの試料流路を流れる試料は、シース液の流れの状態によって試料流路の中心からずれる場合があり、レーザビームの中心と試料流路の中心とを一致させたからといって、試料液がレーザビームの中心を流れるとは限らず、測定精度に対する充分な信頼性を得ることができない。
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、レーザビームの中心部を試料液の流れに照射できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、測定精度を向上し、測定の信頼性を高めることなどを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明に係る試料液流の位置制御方法は、フローセルの試料流路をシース液に包まれて流れる試料液の位置を制御する方法であって、前記試料流路の中心部に前記試料液を供給する試料液供給部の周囲に、複数のシース液分流を形成して前記試料流路に供給し、前記試料流路内に前記試料液の流れを包むシース液合流を形成するとともに、前記各シース液分流の圧力または流量を調整して前記試料液の流れの位置を制御する、ことを特徴としている。
そして、上記の試料液流の位置制御方法を実施するための試料液流の位置制御装置は、フローセルに設けた試料流路の中心部に試料液を供給する試料液供給部と、前記試料液供給部の周囲に複数設けられて前記試料流路にシース液を供給し、前記試料流路内に前記試料液の流れを包むシース液流を形成するシース液供給部と、前記各シース液供給部に前記シース液を供給するシース液流路に設けられ、各シース液供給部を流れる前記シース液の圧力または流量を調整するシース液調整手段と、を有することを特徴としている。前記複数のシース液供給部は一対設けられて、前記フローセルの試料流路を照射するレーザ光の光路の直交方向に配置することができる。
上記のごとくなっている本発明は、試料液供給部の周囲に設けた各シース液供給部を流れるシース液の圧力または流量を調整することにより、シース液に包まれて流れる試料液の位置を調節することができる。すなわち、例えば、任意のシース液供給部を流れるシース液の圧力を高くするとシース液の流量が多くなり、フローセルの試料流路を流れるシース液の、圧力を高くしたシース液供給部に対応した部分の厚さが厚くなり、試料液の流れは圧力の低いシース液側に押される。また、任意のシース液供給部を流れるシース液の圧力を低くするとシース液の流量が少なくなって、試料流路を流れるシース液の、圧力を低くしたシース液供給部と対応した部分の厚さが薄くなり、試料液の流れを引き寄せることができる。したがって、シース液供給部を流れるシース液の圧力を調節することにより、試料液の流れの位置を制御することができ、レーザビームの中心部に試料液を流すことができる。また、シース液の流量を制御することにより、上記と同様に試料液の流れの位置を制御することができる。このため、測定精度が向上して測定の信頼性を高めることができる。しかも、試料液の圧力を調整するだけでよく、フローセルを移動させる機構などを必要としないため、装置を簡素にすることができる。
本発明に係る試料液流の位置制御方法および装置の好ましい実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る試料液流の位置制御装置の概略説明図である。図1において、位置制御装置10は、フローセル12の上に接続した液供給ユニット14を備えている。液供給ユニット14は、フローセル12の上面に液密に取り付けてある。また、液供給ユニット14は、詳細を後述するように、二重管状に形成してあって、中心部に細管状の試料液供給部16が設けてある。この試料液供給部16は、先端がフローセル12の上部に形成した流入口18に挿入してあり、流入口18の下方に連接して設けた試料流路20の中心部に試料液22を供給できるようになっている。試料液供給部16の後端側は、試料液供給管24を介して試料液容器26に接続してある。そして、試料液供給管24には、歯車ポンプなどの試料液供給ポンプ27が設けてあり、試料液容器26に貯留してある試料液22を連続的に試料液供給部16に供給できるようになっている。
液供給ユニット14は、試料液供給部16の周囲に複数(実施形態の場合、2つ)のシース液供給部28(28a、28b)が設けてある。シース液供給部28は、図2に示したように、全体として環状をなし、各シース液供給部28a、28bが同じ大きさに形成してあって隔壁29によって分離されている。そして、一対のシース液供給部28a、28bは、レーザ光源46の出射するレーザビーム48の光路に直交する方向に配置してある。各シース液供給部28は、シース液流路であるシース液供給管30(30a、30b)の先端が接続してあり、シース液供給管30から供給されたシース液32をフローセル12の流入口18に供給する。
フローセル12は、流入口18と試料流路20とが断面正方形状に形成してある。そして、流入口18は、下部が漏斗状の絞り部となっていて、液供給ユニット14の各シース液供給部28から供給されたシース液(シース液分流)32(32a、32b)を合流させて試料流路20に流入させる。試料流路20に流入した各シース液32は、合流して試料流路20を流れる試料液22の周囲を包む層流を形成する。
各シース液供給管30の基端側は、それぞれシース液供給ポンプ34(34a、34b)の吐出側に接続してある。シース液供給ポンプ34は、シース液調整手段を構成していて、吐出圧力または吐出量が可変なポンプであって、吸引口が吸引管36を介してシース液容器38に接続してあり、シース液容器38内に貯留してあるシース液32を吸引してシース液供給管30に吐出する。各シース液供給管30には、圧力センサ42(42a〜42d)が設けてあり、液供給ユニット14のシース液供給部28を流れるシース液32の圧力を検出できるようにしてある。
各圧力センサ42は、制御器44に接続してあって、検出信号を制御器44に入力する。また、制御器44には、フローセル12の試料流路20を流れる試料液22に含まれている粒子の数や特性を検出するための測定部(図示せず)が接続してあって、測定部から測定結果が入力するようになっている。測定部は、試料流路20を流れる試料液22にレーザビーム48を照射し、試料液22に含まれている粒子(例えば、細胞、タンパク質、赤血球など)からの散乱光や、それらの粒子に結合させた標識物質から放射された蛍光を検出し、散乱光、蛍光の強度分布情報などが得られるようになっている。そして、制御器44は、詳細を後述するように、シース液供給ポンプ34の吐出圧力または吐出量を調整し、フローセル12の試料流路20を流れる試料液22の位置がレーザビームの中心となるように制御する。
試料液22とシース液32とが液供給ユニット14からフローセル12内に供給され、試料液22がフローセル12の試料流路20の中心部をシース液32に包まれて流れているとする。このとき、試料流路20に照射されているレーザビーム48の中心が試料流路20の中心からずれ、レーザビーム48のエネルギー分布が図3に示したようになった場合、試料液22に照射されるレーザビーム48は、図4(1)のようになる。すなわち、試料液22の流れは、レーザビーム48のエネルギーの分散の大きな領域が照射される。このため、試料液22に含まれている同質の粒子によって散乱されるレーザ光の散乱光の強度分布や、粒子に標識として結合させた蛍光物質から放射される蛍光の強度分布がばらつき、測定精度が低下して信頼性を損なう。
そこで、例えばシース液供給ポンプ34aの吐出圧力または吐出量を大きくし、シース液供給ポンプ34bの吐出圧力または吐出量を小さくする。これにより、図5に示したように、液供給ユニット14のシース液供給部28aからフローセル12の流入口18に供給されるシース液32aの量が多くなり、シース液供給部28bから流入口18に供給されるシース液32bの量が少なくなる。このため、試料液供給部16からフローセル12に供給された試料液22は、シース液32bの流れの側に寄り、図4(2)に示したように、試料液22の流れの中心とレーザビーム48の中心とを一致させることができる。
そこで、シース液供給ポンプ34a、34bの吐出圧力または吐出量を調整しながら試料液22にレーザビーム48を照射し、図示しない測定部において測定を行ない、測定結果を制御器44に与える。制御器44は、圧力センサ42a、42bの検出信号が入力しており、圧力センサ42の検出圧力と測定部の測定結果とを対応させて記憶する。そして、制御器44は、予め与えられている測定結果についての判定基準に基づいて、試料液22の流れの中心とレーザビーム48の中心とが一致したときの圧力センサ42a、42bの検出値を求め、この圧力値が得られるようにシース液供給ポンプ34a、34bの吐出圧力または吐出量を制御する。これにより、レーザビーム48の中心部がフローセル12の試料流路20を流れる試料液22に照射される。したがって、レーザビーム48のエネルギーの分散の小さな領域を試料液22に照射できるため、測定精度が向上して信頼性が高まる。
図6は、第2実施形態の説明図である。この第2実施形態に係る位置制御装置50は、シース液供給管30a、30bの基端側が相互に接続され、1台のシース液供給ポンプ34の吐出口に接続してある。そして、各シース液供給管30には、シース液調整手段である流量制御弁52(52a、52b)が設けてあるとともに、流量制御弁52の下流側に流量センサ54(54a、54b)が設けてある。各流量センサ54は、検出信号を制御器44に入力するようになっている。また、制御器44は、各流量制御弁52の開度を調整してシース液供給管30を流れるシース液32の量を調節する。制御器44は、前記実施形態と同様に、流量センサ54の検出信号に基づいて流量制御弁52の開度を制御し、試料液22の流れがレーザビーム48の中心部に位置するようにシース液32の流量を制御する。他の構成は、第1実施形態と同様である。この実施形態においても、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
第1実施形態に係る試料液流の位置制御装置の説明図である。 実施の形態に係る液供給ユニットの断面図である。 フローセルの試料流路とレーザビームのエネルギー分布との関係の一例を示す図である。 試料液の流れに照射されるレーザビームのエネルギー分布を説明する図である。 実施の形態に係る試料液流の位置制御装置の作用を説明する図である。 第2実施形態に係る試料液流の位置制御装置の説明図である。
符号の説明
10、50………位置制御装置、12………フローセル、14………液供給ユニット、16………試料液供給部、20………試料流路、22………試料液、28a、28b………シース液供給部、30a、30b………シース液流路(シース液供給管)、32a、32b………シース液供給部、34a、34b………シース液調整手段(シース液供給ポンプ)、42a、42b………圧力センサ、44………制御器、48………レーザビーム、52a、52b………シース液調整手段(流量制御弁)、54a、54b………流量センサ。

Claims (3)

  1. フローセルの試料流路をシース液に包まれて流れる試料液の位置を制御する方法であって、
    前記試料流路の中心部に前記試料液を供給する試料液供給部の周囲に、複数のシース液分流を形成して前記試料流路に供給し、前記試料流路内に前記試料液の流れを包むシース液合流を形成するとともに、
    前記各シース液分流の圧力または流量を調整して前記試料液の流れの位置を制御する、
    ことを特徴とする試料液流の位置制御方法。
  2. フローセルに設けた試料流路の中心部に試料液を供給する試料液供給部と、
    前記試料液供給部の周囲に複数設けられて前記試料流路にシース液を供給し、前記試料流路内に前記試料液の流れを包むシース液流を形成するシース液供給部と、
    前記各シース液供給部に前記シース液を供給するシース液流路に設けられ、各シース液供給部を流れる前記シース液の圧力または流量を調整するシース液調整手段と、
    を有することを特徴とする試料液流の位置制御装置。
  3. 請求項2に記載の試料液流の位置制御装置において、
    前記複数のシース液供給部は一対設けられて、前記フローセルの試料流路を照射するレーザ光の光路の直交方向に配置してあることを特徴とする試料液流の位置制御装置。
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