JP2006241514A - 耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法及び耐溶融塩腐食コーティング部材 - Google Patents
耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法及び耐溶融塩腐食コーティング部材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 溶融塩化物の存在する高温環境下で長時間曝されても、塩素を含む塩化物が腐食成分の合金内部への侵入を抑えることができる耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法及び耐溶融塩腐食コーティング部材を提供する。
【解決手段】 耐溶融塩腐食コーティング/基材のような異種材料界面での接合力を向上させるのにメカノケミカル反応を利用したメカニカルアロイングで耐溶融塩腐食コーティング層を形成する材料を製造し、これによって界面強度の優れた耐溶融塩腐食コーティング部材を製造する製造方法及びこれによって得られた耐溶融塩腐食コーティング部材である。
【選択図】 図3
【解決手段】 耐溶融塩腐食コーティング/基材のような異種材料界面での接合力を向上させるのにメカノケミカル反応を利用したメカニカルアロイングで耐溶融塩腐食コーティング層を形成する材料を製造し、これによって界面強度の優れた耐溶融塩腐食コーティング部材を製造する製造方法及びこれによって得られた耐溶融塩腐食コーティング部材である。
【選択図】 図3
Description
本発明は、廃棄物発電プラント等の複雑なゴミ種により溶融塩腐食が問題となる部品に用いられる耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法及び耐溶融塩腐食コーティング部材に関するものである。
近年、省エネルギー化、温室効果ガスの低減といった観点から、エネルギー資源の活用が求められている。このなかで、無公害のサーマルリサイクルの一翼を担う高効率廃棄物発電プラントの重要性が増加しており、更なる高効率化が求められている。
しかし、この廃棄物発電プラントでは、化石燃料による燃焼雰囲気と異なり、廃棄物に付着している低融点のアルカリ、アルカリ土類金属の硫酸塩及び塩化物などが複雑な化合物を形成し、ガス腐食に加え溶融塩腐食などが生じ、腐食は過酷になっている。
したがって、高効率化の実現のために、塩化物などを含む複雑な化合物に対応した、優れた耐食材料が求められていた。この中で、例えば、従来よりガスタービン等で実績があり、耐酸化性、耐ホットコロージョン性能に優れたMCrAlY溶射皮膜のコーティング層が注目されていた。そこで、耐溶融塩腐食コーティングと基材界面の接合強度を向上させることは信頼性・安全性確保の観点からも長寿命化の観点からもきわめて重要である。
しかし、この廃棄物発電プラントでは、化石燃料による燃焼雰囲気と異なり、廃棄物に付着している低融点のアルカリ、アルカリ土類金属の硫酸塩及び塩化物などが複雑な化合物を形成し、ガス腐食に加え溶融塩腐食などが生じ、腐食は過酷になっている。
したがって、高効率化の実現のために、塩化物などを含む複雑な化合物に対応した、優れた耐食材料が求められていた。この中で、例えば、従来よりガスタービン等で実績があり、耐酸化性、耐ホットコロージョン性能に優れたMCrAlY溶射皮膜のコーティング層が注目されていた。そこで、耐溶融塩腐食コーティングと基材界面の接合強度を向上させることは信頼性・安全性確保の観点からも長寿命化の観点からもきわめて重要である。
しかし、今後、燃焼温度の更なる高温化による高効率化が検討されており、その際に対応可能な更に界面強度の高いコーティングが必要である。
例えば、特許文献1では、ガスタービン部品用の金属基材と、この金属基材上に遮熱コーティング層とを備え、この遮熱コーティング層をボンドコート及びトップコートで構成したガスタービン部材において、上記ボンドコートは、MCrAlY系の組成を有し且つ上記トップコートよりも小さい気孔率を有するガスタービン部材が開示されている。特許文献2では、合金基材上に、ボンドコートを被覆し、該ボンドコートをレーザー照射により、表面のみを溶融して、表面凹凸を維持したまま、表面上に酸化膜を形成し、前記ボンドコート上に、トップコートを被覆して耐溶融塩腐食コーティング部材を作製する耐溶融塩腐食コーティング部材作製方法が開示されている。
しかし、いずれの開示技術でも、塩化物などの複雑な化合物が存在する中で、燃焼温度の更なる高温化に対応しきれていないという問題がある。
例えば、特許文献1では、ガスタービン部品用の金属基材と、この金属基材上に遮熱コーティング層とを備え、この遮熱コーティング層をボンドコート及びトップコートで構成したガスタービン部材において、上記ボンドコートは、MCrAlY系の組成を有し且つ上記トップコートよりも小さい気孔率を有するガスタービン部材が開示されている。特許文献2では、合金基材上に、ボンドコートを被覆し、該ボンドコートをレーザー照射により、表面のみを溶融して、表面凹凸を維持したまま、表面上に酸化膜を形成し、前記ボンドコート上に、トップコートを被覆して耐溶融塩腐食コーティング部材を作製する耐溶融塩腐食コーティング部材作製方法が開示されている。
しかし、いずれの開示技術でも、塩化物などの複雑な化合物が存在する中で、燃焼温度の更なる高温化に対応しきれていないという問題がある。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、溶融塩化物の存在する高温環境下で長時間曝されても、塩素を含む塩化物が腐食成分の合金内部への侵入を抑えることができる耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法及び耐溶融塩腐食コーティング部材を提供することである。
上記課題を解決する手段である本発明は、耐溶融塩腐食コーティング層/基材のような異種材料界面での接合力を向上させるのにメカノケミカル反応を利用したメカニカルアロイングでボンド層を形成する材料を製造し、これによって界面強度の優れた耐溶融塩腐食コーティング部材を製造する製造方法及びこれによって得られた耐溶融塩腐食コーティング部材である。
具体的な、特徴を以下に挙げる。
1.本発明の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法は、合金基材上に、耐溶融塩腐食コーティング層を備える耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法において、前記耐溶融塩腐食コーティング層は、MCrAlX合金(但しMは、Fe、Ni、Coから選ばれるいずれか1種以上の金属、Xは、Y、Hf、Ta、Cs、Pt、Zr、LaおよびThから選ばれるいずれか1種以上の金属)合金であって、Moが添加されている合金粉末を溶射でコーティングすることを特徴とする。
2.また、本発明の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法は、さらに、メカニカルアロイングで合金化されていることを特徴とする。
3.また、本発明の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法は、さらに、前記合金粉末が、Moが添加されたCoNiCrAlY合金であって、CoとNiを併せた原子比60〜70、Crが原子比20〜25、Alが原子比5〜20、Yが原子比0.1〜1.0、Moが原子比1〜10の範囲にあることを特徴とする。
4.また、本発明の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法は、さらに、前記耐溶融塩腐食コーティング部材は、合金基材表面をブラスト処理した後、プラズマ溶射によりボンド層を形成することを特徴とする。
具体的な、特徴を以下に挙げる。
1.本発明の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法は、合金基材上に、耐溶融塩腐食コーティング層を備える耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法において、前記耐溶融塩腐食コーティング層は、MCrAlX合金(但しMは、Fe、Ni、Coから選ばれるいずれか1種以上の金属、Xは、Y、Hf、Ta、Cs、Pt、Zr、LaおよびThから選ばれるいずれか1種以上の金属)合金であって、Moが添加されている合金粉末を溶射でコーティングすることを特徴とする。
2.また、本発明の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法は、さらに、メカニカルアロイングで合金化されていることを特徴とする。
3.また、本発明の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法は、さらに、前記合金粉末が、Moが添加されたCoNiCrAlY合金であって、CoとNiを併せた原子比60〜70、Crが原子比20〜25、Alが原子比5〜20、Yが原子比0.1〜1.0、Moが原子比1〜10の範囲にあることを特徴とする。
4.また、本発明の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法は、さらに、前記耐溶融塩腐食コーティング部材は、合金基材表面をブラスト処理した後、プラズマ溶射によりボンド層を形成することを特徴とする。
5.本発明の耐溶融塩腐食コーティング部材は、上記1ないし4のいずれかに記載の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
上記解決するための手段によって、本発明の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法及び耐溶融塩腐食コーティング部材では、メカニカルアロイングによりMoを添加したCoNiCrAlY溶射皮膜で、Moの反応界面及び粒界に析出し、塩化物との反応を抑えることで、溶融塩中での腐食を抑えることができた。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明は、合金基材上に、耐溶融塩腐食コーティング層を備える耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法において、前記耐溶融塩腐食コーティング層は、機械的負荷を施した粉末を溶射する。
合金基材としては、Ni基、Co基、Fe基の超合金、ステンレス鋼を用いる。いずれも、耐熱性の高い高温用合金である。特に、Ni基合金が耐酸化性、熱疲労に対する強度の観点から好ましい。Ni基超合金としては、インコネル、ハステロイ、ナイモニック等の合金が挙げられる。この合金基材上に耐溶融塩腐食コーティング層を備える。
耐溶融塩腐食コーティング層は、強固な酸化物を形成することができ、形成された後の酸化物は酸素又は酸素イオンを通過させないものが好ましい。この耐溶融塩腐食コーティング層は、MCrAlX(但しMは、Fe、Ni、Coから選ばれるいずれか1種以上の金属、Xは、Y、Hf、Ta、Cs、Pt、Zr、LaおよびThから選ばれるいずれか1種以上の金属)合金であって、Moが添加されている合金粉末を用いる。この中で、特に、MはCoが好ましい。耐熱性の高い酸化物を形成することができる。また、XはYが好ましく、緻密な酸化物を形成して酸素の通過を抑え酸化膜の成長を抑えることができる。
さらに、Moを添加することで、酸化膜の成長によって損傷を受けたCr2O3保護皮膜が修復・再生するまでの間、塩素Clを主体とした腐食成分の基材内部への損傷を阻止することができる。
合金基材としては、Ni基、Co基、Fe基の超合金、ステンレス鋼を用いる。いずれも、耐熱性の高い高温用合金である。特に、Ni基合金が耐酸化性、熱疲労に対する強度の観点から好ましい。Ni基超合金としては、インコネル、ハステロイ、ナイモニック等の合金が挙げられる。この合金基材上に耐溶融塩腐食コーティング層を備える。
耐溶融塩腐食コーティング層は、強固な酸化物を形成することができ、形成された後の酸化物は酸素又は酸素イオンを通過させないものが好ましい。この耐溶融塩腐食コーティング層は、MCrAlX(但しMは、Fe、Ni、Coから選ばれるいずれか1種以上の金属、Xは、Y、Hf、Ta、Cs、Pt、Zr、LaおよびThから選ばれるいずれか1種以上の金属)合金であって、Moが添加されている合金粉末を用いる。この中で、特に、MはCoが好ましい。耐熱性の高い酸化物を形成することができる。また、XはYが好ましく、緻密な酸化物を形成して酸素の通過を抑え酸化膜の成長を抑えることができる。
さらに、Moを添加することで、酸化膜の成長によって損傷を受けたCr2O3保護皮膜が修復・再生するまでの間、塩素Clを主体とした腐食成分の基材内部への損傷を阻止することができる。
ここで、CoとNiを併せた原子比60〜70、Crが原子比20〜25、Alが原子比5〜20、Yが原子比0.1〜1.0、Moが原子比1〜10の範囲にすることが好ましい。CoおよびNiは耐酸化・耐硫化腐食性の向上、基材への拡散防止、および優れた高温強度特性といった観点から添加され、本材料の主となる元素である。CrはAl2O3生成を安定させ、自らもCr2O3を生成し、低温側での硫化腐食を改善する。多量の添加は延性を低下させるため望ましくなく、少量添加ではその効果が得られない。Alは耐酸化性の向上に効果を発揮する元素であり、Cr同様、多量の添加は延性を低下させるため望ましくなく、少量添加ではその効果が得られない。YはAlとCrの酸化物のはく離抑制効果を発揮する元素であるが、多量の添加は延性を低下させる。Moは溶融塩環境下でCrの溶融塩中への流出を抑え、良好な耐溶融塩腐食特性を与える。ただし、多量の添加はその効果が飽和し、添加量に応じた効果が得られなくなることや、高融点元素であるため被膜形成時に溶融しにくくなるため望ましくない。
また、この耐溶融塩腐食コーティング層を形成するのに用いるMo添加CoNiCrAlY合金粉末は、Moを添加するのに、Mo粉末をCoNiCrAlY合金粉末と混合して、高エネルギボールミル(アトライター)、ボールミル、ハンマーミル、スタンプミル等で微細化し、かつ、混合する。特に、高エネルギボールミル(アトライター)、高エネルギー遊星ミルが好ましい。
図1は、合金粉末の表面形態をSEMで観察した写真である。(a)はメカニカルアロイング前のCoNiCrAlY合金、(b)はCoNiCrAlY合金とMo粉末とのブレンド粉末、(c)は遊星ミル500rpm、50時間のメカニカルアロイング(MA)処理した合金粉末、(d)はCoNiCrAlY合金のみをMA処理と同一のメカニカルグラインディング(MG)処理した粉末である。(c)は、(b)と比較して、明らかに合金化できていることがわかるし、(d)のMG処理と比較しても、表面の形態が明らかに異なることがわかる。
図1は、合金粉末の表面形態をSEMで観察した写真である。(a)はメカニカルアロイング前のCoNiCrAlY合金、(b)はCoNiCrAlY合金とMo粉末とのブレンド粉末、(c)は遊星ミル500rpm、50時間のメカニカルアロイング(MA)処理した合金粉末、(d)はCoNiCrAlY合金のみをMA処理と同一のメカニカルグラインディング(MG)処理した粉末である。(c)は、(b)と比較して、明らかに合金化できていることがわかるし、(d)のMG処理と比較しても、表面の形態が明らかに異なることがわかる。
本発明の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法は、この粉末を合金基材上に溶射する。溶射方式は、加熱した粉末を基材表面に吹き付けて皮膜を形成する。この溶射の中で、減圧プラズマ溶射又は高速フレーム溶射が最も好ましい。減圧プラズマ溶射は、減圧容器内で、内部の空気を一旦パージしたあと、減圧下でAr等の不活性ガスを封入し雰囲気を調整し、この不活性ガスが、高温となり電子と陽イオンに電離した状態にして、このガスを収束した高温高速のプラズマジェットを利用して、粉末材料を溶融し噴射させる。高速フレーム溶射は、溶射ガン燃焼室の圧力を高めることによって、爆発燃焼炎に匹敵する高速火炎を発生させ、この燃焼炎ジェット流の中心に粉末材料を供給して溶融または半溶融状態にし、高速度で連続噴射する溶射法です。粉末溶射材料が超音速度で基材に衝突するため、極めて繊密で高密着力を有する皮膜を形成することができる。インコネル625基材表面にCoNiCrAlY合金粉末で耐溶融塩腐食コーティング層を約100μmの厚さにコーティングした。
このときに、基材表面は、ブラスト処理して粗されている方が好ましい。表面を凸凹にして表面積を増加させておくほうが、溶射された粉末の密着性が向上する。ブラスト処理としては、サンドブラスト、ショットブラスト等が挙げられる。
図2は、溶射皮膜上部断面のSEM観察の写真である。上述の4種類の粉末を溶射してコーティングした。(c)(d)に見られる白い部分はMoである。また、(c)(d)のグレーに見える部分はAlリッチな部分である。また、黒く見える部分は、Al酸化物で、MA及びMG加工中に酸素を固溶し、溶射時の加熱により酸化反応を引き起こした。
このときに、基材表面は、ブラスト処理して粗されている方が好ましい。表面を凸凹にして表面積を増加させておくほうが、溶射された粉末の密着性が向上する。ブラスト処理としては、サンドブラスト、ショットブラスト等が挙げられる。
図2は、溶射皮膜上部断面のSEM観察の写真である。上述の4種類の粉末を溶射してコーティングした。(c)(d)に見られる白い部分はMoである。また、(c)(d)のグレーに見える部分はAlリッチな部分である。また、黒く見える部分は、Al酸化物で、MA及びMG加工中に酸素を固溶し、溶射時の加熱により酸化反応を引き起こした。
耐溶融塩腐食コーティングした部材の一部を切り出し、アルミナ製容器に入れ、容器1個当たり100gのNaCl−KClの溶融塩を充填し、マッフル炉内で650℃、24時間及び100時間加熱した。そのときの、コーティング部材の重量減少量から耐食性を評価した。
図3は、耐食性の評価結果を示すグラフである。腐食反応は、溶射粉末のスプラット境界から優先的に腐食し、その次に内部に腐食してゆく。図3から、ブレンド材による溶射皮膜と、CoNiCrAlY合金単体による溶射皮膜では、腐食速度を律速するのはスプラット境界での腐食進行であるために、Moをブレンドしても腐食反応を抑える効果は得られない。逆に、スプラット間の空孔を増加させ、耐食性を低下させる。
一方、MG処理粉末の溶射による耐溶融塩腐食コーティング部材は、腐食損傷が激しかった。これは、MG処理粉末の溶射による耐溶融塩腐食コーティング部材は、溶射皮膜内部にAl、
Crの欠乏が確認された。これは、溶射中に酸化して皮膜内部に残らなかった。MA処理粉末による耐溶融塩腐食コーティング部材は、最も優れた耐食性を示した。これは、Moが反応界面、スプラット内の粒界部に偏析して、Al、Crの反応及び溶融塩中への流出を抑えたためである。
図3は、耐食性の評価結果を示すグラフである。腐食反応は、溶射粉末のスプラット境界から優先的に腐食し、その次に内部に腐食してゆく。図3から、ブレンド材による溶射皮膜と、CoNiCrAlY合金単体による溶射皮膜では、腐食速度を律速するのはスプラット境界での腐食進行であるために、Moをブレンドしても腐食反応を抑える効果は得られない。逆に、スプラット間の空孔を増加させ、耐食性を低下させる。
一方、MG処理粉末の溶射による耐溶融塩腐食コーティング部材は、腐食損傷が激しかった。これは、MG処理粉末の溶射による耐溶融塩腐食コーティング部材は、溶射皮膜内部にAl、
Crの欠乏が確認された。これは、溶射中に酸化して皮膜内部に残らなかった。MA処理粉末による耐溶融塩腐食コーティング部材は、最も優れた耐食性を示した。これは、Moが反応界面、スプラット内の粒界部に偏析して、Al、Crの反応及び溶融塩中への流出を抑えたためである。
Claims (5)
- 合金基材上に、耐溶融塩腐食コーティング層を備える耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法において、
前記耐溶融塩腐食コーティング層は、MCrAlX(但しMは、Fe、Ni、Coから選ばれるいずれか1種以上の金属、Xは、Y、Hf、Ta、Cs、Pt、Zr、LaおよびThから選ばれるいずれか1種以上の金属)合金であって、Moが添加されている合金粉末を溶射でコーティングする
ことを特徴とする耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法。 - 請求項1に記載の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法において、
前記合金粉末が、メカニカルアロイングで合金化されている
ことを特徴とする耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法において、
前記合金粉末が、Moが添加されたCoNiCrAlY合金であって、
CoとNiを併せた原子比60〜70、Crが原子比20〜25、Alが原子比5〜20、Yが原子比0.1〜1.0、Moが原子比1〜10の範囲にある
ことを特徴とする耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法において、
前記耐溶融塩腐食コーティング部材は、合金基材表面をブラスト処理した後、減圧プラズマ溶射又は高速フレーム溶射により耐溶融塩腐食コーティング層を形成する
ことを特徴とする耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法。 - 合金基材上に、耐溶融塩腐食コーティング層を備える耐溶融塩腐食コーティング部材において、
前記耐溶融塩腐食コーティング部材は、請求項1ないし4のいずれかに記載の耐溶融塩腐食コーティング部材の製造方法によって製造された
ことを特徴とする耐溶融塩腐食コーティング部材。
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- 2005-03-03 JP JP2005058317A patent/JP2006241514A/ja active Pending
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