JPH093616A - 溶射用混合粉末 - Google Patents

溶射用混合粉末

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JPH093616A
JPH093616A JP8085162A JP8516296A JPH093616A JP H093616 A JPH093616 A JP H093616A JP 8085162 A JP8085162 A JP 8085162A JP 8516296 A JP8516296 A JP 8516296A JP H093616 A JPH093616 A JP H093616A
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JP
Japan
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alloy powder
based alloy
less
mixed
sulfuric acid
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Withdrawn
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JP8085162A
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English (en)
Inventor
Katsuo Sugawara
克生 菅原
Yasushi Toyokura
康司 豊蔵
Yoshio Takizawa
与司夫 滝沢
Saburo Wakita
三郎 脇田
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硫酸露点腐食環境下に長時間さらされる部材
の表面に耐硫酸露点腐食性に優れた溶射被膜を形成する
ための溶射用混合粉末を提供する。 【解決手段】 重量%で、Cr:15〜50%、Mo:
1〜24%、Fe:0.01〜20%、N:0.01〜
0.3%を含有し、さらに必要に応じて、(a)Nb:
0.1〜2%、Ta:0.1〜4%、W:0.1〜4
%、Cu:0.1〜4%のうち1種または2種以上およ
び/または(b)Ti:0.05〜0.4%、Al:
0.01〜0.4%、Co:0.1〜5%、V:0.1
〜0.5%のうちの1種または2種以上を含有し、残部
が45%以上のNiおよび不可避不純物からなる組成を
有するNi基合金粉末と、Si:14.5〜30%を含
有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有
するFe基合金粉末を、重量比で、Fe基合金粉末/N
i基合金粉末=1/9〜3/7となるように混合してな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、硫酸露点腐食環
境下に長時間さらされる部材の表面に耐硫酸露点腐食性
に優れた溶射被膜を形成するための溶射用混合粉末に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】火力発電所ではボイラーの燃焼室内で、
B重油、C重油、石炭などの化石燃料を燃焼させてお
り、燃焼の結果生ずる廃ガスは、SO2 、SO3 、CO
2 、H2O、O2 、N2 などの多種類のガスを含み、さ
らにスス、ダストなども含んでいる。このボイラーから
出た廃ガスは、電気集塵機、空気予熱機、脱硫装置を通
って最終的に煙突から排出されている。このような廃ガ
ス環境下においては、廃ガス温度あるいは廃ガスと接す
る金属部材の表面温度が150℃以下になると、廃ガス
の水分(H2 O)とSO3 が反応してH2 SO4 が結露
することも知られている。したがって、ボイラーから出
た廃ガスはが電気集塵機、空気予熱機、脱硫装置を通っ
て最終的に煙突から排出される工程において、金属部材
の温度が150℃以下となる空気予熱機から下流の設備
において、部材表面に硫酸が結露する。この時結露する
硫酸の濃度は、温度によって異なるが、例えば、130
℃においては80%以上の濃硫酸が生成する。
【0003】さらに、廃ガス中のススの本体である微細
な炭素やダストに含まれる酸化性イオンのFe2+、Fe
3+などが付着するために、硫酸結露部分は炭素、F
2+、Fe3+などを含んだ濃硫酸が生成し、硫酸のみな
らず多数の腐食因子が複雑に影響しあって、一層過酷な
腐食環境が作り出されている。この環境で起こる腐食現
象はH2 SO4 (硫酸)が結露する現象が特徴的である
ところから、硫酸露点腐食といわれている。
【0004】このような硫酸露点腐食環境下において
は、低合金鋼や代表的な耐食材料であるSUS304、
SUS316Lといったステンレス鋼では耐食性が不足
するために長期間の使用には耐えられない。したがっ
て、耐食性が一層良好なハステロイDと呼ばれる重量%
で(以下、%は重量%を示す)Ni−9%Si−3%C
u重量%からなる成分組成のNi基合金、米国特許第
2,103,855号明細書記載のCr:20〜30
%、Fe:2〜12%、Si:2.5〜5%、Mo:2
〜6%、W:1〜3%、Cu:3.5〜7%を含有し、
残部がNiおよび不可避不純物からなる成分組成を有す
るNi基合金、米国特許第2,938,786号明細書
記載のCr:19〜26%、Fe:10%以下、Si:
1.5〜7.5%、Mo:5〜9%、Cu:4〜7%、
Mn:1.5%以下を含有し、残部がNiおよび不可避
不純物からなる成分組成を有するNi基合金、米国特許
第5,063,023号明細書記載のCr:11〜29
%、Co:20%以下、Fe:19%以下、Nb:3%
以下、Cu:1〜3.5%、Mn:2%以下、Mo:1
〜6.5%、N:0.2%以下、Si:3.5〜6.5
%、W:2.5%以下、Ti:0.2%以下(ただし、
以下は0も含む)を含有し、残部がNiおよび不可避不
純物からなる成分組成を有するNi基合金などが使用さ
れている。
【0005】前記Ni基合金はいずれも硫酸に対する耐
食性が優れているところから耐硫酸露点腐食性に優れて
いると考えられるが、高価な材料であるところから火力
発電所などの大規模な設備に使用することはコストの点
で問題があった。そのため、近年、Ni基合金粉末を低
合金鋼またはステンレス鋼製部材の表面に溶射し、Ni
基合金被膜を形成した複合部材を使用する試みもなされ
ている(たとえば、特開平2−44103号公報参
照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来のN
i基合金粉末を低合金鋼またはステンレス鋼部材の表面
に溶射して得られたNi基合金溶射膜被覆複合部材は、
Ni基合金溶射膜の低合金鋼またはステンレス鋼部材に
対する密着性が不十分であるために、この従来のNi基
合金溶射膜被覆複合部材を使用して建設した火力発電設
備は、稼働中にNi基合金溶射膜が剥離することがあ
り、この溶射膜剥離部分から硫酸露点腐食が進行して長
期間の稼働に耐えることができないなどの課題があっ
た。
【0007】
【課題を解決する手段】そこで、本発明者らは基材とな
る低合金鋼またはステンレス鋼部材の表面に密着性の優
れたかつ耐食性に優れたNi基合金溶射膜を形成すべく
鋭意研究を行った結果、(イ) 従来のNi基合金粉末
にはSiが含まれており、このSiを含有するNi基合
金粉末を溶射して得られた溶射被膜は基材となる低合金
鋼またはステンレス鋼に対する密着性を低下させる、
(ロ) 一方、Siを含有しないNi基合金粉末を作製
し、このSiを含有しないNi基合金粉末を溶射して溶
射被膜を形成すると、得られた溶射被膜は基材となる低
合金鋼またはステンレス鋼に対する密着性は向上する
が、SiO2 を表面に形成しないので、硫酸に対する耐
食性を著しく低下させる、(ハ) 前記Siを含有しな
いNi基合金粉末を高Si含有のFe合金粉末とともに
溶射して得られたSi含有Ni基合金溶射膜は、従来の
Si含有Ni基合金粉末を溶射して得られた溶射被膜と
ほぼ同じ程度の耐食性をがあり、しかも従来よりも基材
に対する密着性に優れたNi基合金溶射膜が得られる、
などの知見を得たのである。
【0008】この発明は、かかる知見に基づいてなされ
たものであって、下記の(A)〜(D)の内のいずれか
のNi基合金粉末に対して、下記の(a)〜(b)の内
のいずれかのFe基合金粉末を、重量比で、Fe基合金
粉末/Ni基合金粉末=1/9〜3/7となるように混
合してなる溶射用混合粉末に特徴を有するものである。 (A) Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、F
e:0.01〜20%、N:0.01〜0.3%を含有
し、残部が45%以上のNiおよび不可避不純物からな
る組成を有するNi基合金粉末、 (B) Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、F
e:0.01〜20%、N:0.01〜0.3%を含有
し、さらに、Nb:0.1〜2%、Ta:0.1〜4
%、W:0.1〜4%、Cu:0.1〜4%のうち1種
または2種以上を含有し、残部が45%以上のNiおよ
び不可避不純物からなる組成を有するNi基合金粉末、 (C)Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、Fe:
0.01〜20%、N:0.01〜0.3%を含有し、
さらに、Ti:0.05〜0.4%、Al:0.01〜
0.4%、Co:0.1〜5%、V:0.1〜0.5%
のうちの1種または2種以上を含有し、残部が45%以
上のNiおよび不可避不純物からなる組成を有するNi
基合金粉末、 (D) Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、F
e:0.01〜20%、N:0.01〜0.3%を含有
し、さらに、Nb:0.1〜2%、Ta:0.1〜4
%、W:0.1〜4%、Cu:0.1〜4%のうち1種
または2種以上を含有し、さらに、Ti:0.05〜
0.4%、Al:0.01〜0.4%、Co:0.1〜
5%、V:0.1〜0.5%のうちの1種または2種以
上を含有し、残部が45%以上のNiおよび不可避不純
物からなる組成を有するNi基合金粉末、(a) S
i:14.5〜30%を含有し、残部がFeおよび不可
避不純物からなる組成を有するFe基合金粉末、(b)
Si:14.5〜30%を含有し、さらにCr:0.
02〜0.2%、Cu:0.05〜1%のうちの1種ま
たは2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物から
なる組成を有するFe基合金粉末。
【0009】この発明の溶射用混合粉末に含まれるNi
基合金粉末の組成における各元素の限定理由について詳
述する。
【0010】Cr Cr成分は緻密なCr2 3 を不働態被膜の主成分とし
て表面に形成することにより、耐硫酸露点腐食性を向上
させる作用があるが、その含有量は15%未満では所望
の耐硫酸露点腐食性が得られず、一方、50%を越えて
含有すると耐硫酸露点腐食性が劣化するので好ましくな
い。したがって、Cr含有量は15〜50%に定めた。
Cr含有量の一層好ましい範囲は20〜40%である。
【0011】Mo Moには、不働態化を促進させることにより、SiO2
によるアノード防食が期待できるが、その含有量は1%
未満では所望の耐硫酸露点腐食性が得られず、一方、2
4%を越えて含有するとSiO2 によるアノード防食が
逆効果となり、耐硫酸露点腐食性が低下するので好まし
くない。したがって、Mo含有量は1〜24%に定め
た。Mo含有量の一層好ましい範囲は4〜14%であ
る。
【0012】N Nは、素地に固溶し、素地であるFCCを安定化し、有
害相であるTCP相の析出を抑制するため、溶射被膜の
靭性および密着性を向上させる効果がある。しかし、そ
の含有量が0.01%未満では所望の効果が得られず、
一方、0.3%を越えて含有すると窒化物であるCr2
Nの析出量が許容量を越え、溶射被膜の靭性および密着
性を低下させることから、その含有量は0.01〜0.
3%に定めた。N含有量の一層好ましい範囲は0.02
〜0.05%である。
【0013】Fe Feは、溶射被膜の靭性を向上させ、被膜の割れを防ぐ
作用があるが、その含有量が0.01%未満では所望の
効果が得られず、一方、20%を越えて含有すると耐硫
酸露点腐食性が低下するので好ましくない。したがっ
て、Fe含有量は0.01〜20%に定めた。Fe含有
量の一層好ましい範囲は0.1〜6%である。
【0014】Nb、Ta、WおよびCuのうちの1種ま
たは2種以上 Nb、Ta、WおよびCuは、耐硫酸露点腐食性を改善
する成分であるので必要に応じて含有されるが、その含
有量はNb:0.1%未満、Ta:0.1%未満、W:
0.1%未満、Cu:0.1%未満では添加による効果
が上がらず、一方、Nbが2%を越え、Taが4%を越
え、Wが4%を越え、Cuが4%を越えて含有すると、
TCP相の析出量が許容量を越え、溶射被膜の靭性およ
び密着性を低下させるので好ましくない。したがって、
Nb、Ta、WおよびCuのうちの1種または2種以上
の添加は、それぞれNb:0.1〜2%、Ta:0.1
〜4%、W:0.1〜4%、Cu:0.1〜4%に定め
た。Nb、Ta、WおよびCuの一層好ましい範囲は、
それぞれNb:0.2〜0.5%、Ta:1.2〜3
%、W:0.2〜2%、Cu:0.2〜2%である。
【0015】Ti、Al、CoおよびVのうちの1種ま
たは2種以上 Ti、Al、CoおよびVは、溶射被膜の靭性および密
着性を向上させる作用があるので、さらに優れた溶射被
膜の靭性および密着性が要求される場合に必要に応じて
含有されるが、その含有量はTi:0.05%未満、A
l:0.01%未満、Co:0.1%未満、V:0.1
%未満では添加による効果が上がらず、一方、Tiが
0.4%を越え、Alが0.4%を越え、Coが5%を
越え、Vが0.5%を越えて含有すると、逆に溶射被膜
の靭性および密着性を低下させるので好ましくない。し
たがって、Ti、Al、CoおよびVのうちの1種また
は2種以上の添加は、それぞれTi:0.05〜0.4
%、Al:0.01〜0.4%、Co:0.1〜5%、
V:0.1〜0.5%に定めた。Ti、Al、Coおよ
びVの一層好ましい範囲は、それぞれTi:0.1〜
0.3%、Al:0.1〜0.3%、Co:0.5〜2
%、V:0.2〜0.4%である。
【0016】Niおよび不可避不純物 ベース金属としてのNiは他の元素を固溶させるために
45%以上、好ましくは50%以上含有させることが好
ましく、さらに不可避不純物は少ない方が好ましいが、
溶解時に脱酸剤や脱硫剤を使用するので微量のMn、M
g、SiおよびCなどは不可避不純物として含有するこ
とは避けられず、さらに原料中にS、P、Sn、Zn、
Pbなどの微量の含有は避けられない。しかし、これら
不可避不純物としてMn:2%以下、Mg:0.5%以
下、Si:1%以下(好ましくは0.5%以下)、C:
0.5%以下、S:0.1%以下、P:0.1%以下、
Sn:0.1%以下、Zn:0.1%以下、Pb:0.
1%以下であれば合金特性はなんら損なわれるものでは
ない。
【0017】続いて、この発明の溶射用混合粉末に含ま
れるFe基合金粉末の組成における各元素の限定理由に
ついて詳述する。
【0018】Si Si成分は、硫酸露点腐食環境で合金表面に保護被膜で
あるSiO2 を形成させ耐硫酸露点腐食性を向上させる
と同時に、Crを含むNi基合金表面に保護被膜の主成
分であるCr2 3 の形成を促進させる作用があるが、
その含有量が14.5%未満では所望の効果が得られ
ず、一方、30%を越えて含有すると溶射被膜の中でC
rを含むNi基合金とSiを含むFe基合金との接合性
が低下して被膜が割れやすくなるので好ましくない。し
たがって、Si含有量は14.5〜30%に定めた。S
i含有量の一層好ましい範囲は15〜20%である。
【0019】CrおよびCu これら成分にはFeの溶出を遅らせ、Fe基合金自身の
耐食性を向上させる作用があるが、その含有量はCr:
0.02%未満、Cu:0.05%未満では添加による
効果が上がらず、一方、Crが0.2%を越え、Cuが
1%を越えて含有すると、SiO2 の形成を妨げてしま
うので好ましくない。したがって、CrおよびCuのう
ちの1種または2種の添加は、Cr:0.02〜0.2
%、Cu:0.05〜1%に定めた。これら成分の一層
好ましい範囲は、Cr:0.05〜0.1%、Cu:
0.1〜0.5%である。
【0020】不可避不純物 Fe基合金に含まれる不可避不純物は少ない方が好まし
いが、溶解時に脱酸剤や脱硫剤を使用するので微量のM
n、MgおよびCなどは不可避不純物として含有するこ
とは避けられず、さらに原料中にS、P、Sn、Zn、
Pbなどの微量の含有は避けられない。しかし、これら
不可避不純物としてMn:2.5%以下、Mg:1%以
下、C:1%以下、S:0.2%以下、P:0.2%以
下、Sn:0.2%以下、Zn:0.2%以下、Pb:
0.2%以下であれば合金特性はなんら損なわれるもの
ではない。
【0021】Fe基合金粉末およびNi基合金粉末の混
合比 Fe基合金粉末およびNi基合金粉末を混合して得られ
る混合粉末を溶射して形成する溶射被膜は、密着性に優
れ、硫酸露点腐食環境でSiO2 が均一に分散し、その
結果、アノード防食作用によりCr2 3 を主成分とす
る被膜の耐食性が向上し、全体として従来とほぼ同等ま
たはそれ以上の耐食性を有するようになる。しかし、F
e基合金粉末/Ni基合金粉末の混合比が1/9未満で
あると、基材との密着性は優れるものの、耐硫酸露点腐
食性が低下するので好ましくなく、一方、Fe基合金粉
末/Ni基合金粉末の混合比が3/7を越えると、耐硫
酸露点腐食性が向上するが、基材との密着性が低下する
ので好ましくない。したがって、Fe基合金粉末/Ni
基合金粉末の混合比は1/9〜3/7となるように定め
た。この混合比の一層好ましい範囲は、1.5/8.5
〜2.5/7.5である。
【0022】
【発明の実施の形態】表1〜表3に示される成分組成を
有するNi基合金を真空溶解し、得られた溶湯をArガ
スを用いたガスアトマイズ法により表1〜表3に示され
る組成を有するNi基合金粉末NT1〜NT30、NR
1〜NR8およびNC1〜NC3を作製した。さらに、
表4に示される成分組成を有するFe基合金を真空溶解
し、得られた溶湯をArガスを用いたガスアトマイズ法
により表4に示される組成を有するFe基合金粉末FT
1〜FT8およびFR1〜FR2を作製した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】これら表1〜表3に示されるNi基合金粉
末NT1〜NT30およびNR1〜NR8に対して、表
4に示されるFe基合金粉末FT1〜FT8およびFR
1〜FR2を表5〜表7に示される割合で配合し、混合
して本発明溶射用混合粉末1〜34、比較溶射用混合粉
末1〜12を製造した。さらに比較のために表3に示さ
れる成分組成を有するNC1〜NC3の従来溶射用Ni
基合金粉末1〜3も用意した。
【0028】本発明溶射用混合粉末1〜34、比較溶射
用混合粉末1〜12および従来溶射用Ni基合金粉末1
〜3を用い、下記の評価試験を行った。
【0029】(1) 腐食試験 SUS304製ステンレス鋼板を用意し、このステンレ
ス鋼板表面をアルミナグリッド#20でブラストするこ
とにより前処理し、この前処理したステンレス鋼板を2
5×50mmの平面寸法を有するように切断し、基板を
作製した。この基板表面に前記本発明溶射用混合粉末1
〜34、比較溶射用混合粉末1〜12および従来溶射用
Ni基合金粉末1〜3を用い、通常のプラズマ溶射法に
より膜厚さ:0.4mmの溶射膜を全面に被覆し、複合
板を作製した。さらに、濃度:80%の濃硫酸溶液に3
00g/lの活性炭を混合させた温度:120℃の硫酸
露点腐食環境を模擬した試験溶液を作製した。前記複合
板を前記試験溶液に24時間浸漬し、浸漬前後の重量変
化量を測定し、その結果を表5〜表7に示した。
【0030】膜密着性試験 2本のステンレス鋼製丸棒を用意し、このステンレス鋼
製丸棒先端をアルミナグリッド#20でブラストするこ
とにより前処理し、この前処理したステンレス鋼製丸棒
の先端面に前記本発明溶射用混合粉末1〜34、比較溶
射用混合粉末1〜12および従来溶射用Ni基合金粉末
1〜3を用い、通常のプラズマ溶射法により膜厚さ:
0.5mmの溶射膜を形成した。この溶射膜を形成した
一方のステンレス鋼製丸棒の溶射膜と他方のステンレス
鋼製丸棒先端を接着することにより接続した後、一方の
ステンレス鋼製丸棒を他方のステンレス鋼製丸棒から引
き離すように引っ張り、溶射膜の剥離破壊応力を測定
し、その結果を表5〜表7に示した。
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
【表7】
【0034】
【発明の効果】表5〜表7に示される結果から、本発明
溶射用混合粉末1〜34により形成した溶射膜は、いず
れも従来溶射用Ni基合金粉末1〜3により形成した溶
射膜と比較して耐硫酸露点腐食性はほぼ同等であるにも
かかわらず、基板に対する密着性は本発明溶射用混合粉
末1〜34により形成した溶射膜のほうが格段に優れて
いることがわかる。しかし、この発明の条件から外れた
成分組成を有する比較溶射用混合粉末1〜12により形
成した溶射膜は、耐硫酸露点腐食性、基板に対する密着
性のうちいずれかは劣っており、さらに表5〜表7の備
考に示すように溶射後被膜中に割れが発生するものもあ
ることが分かる。
【0035】上述のように、この発明の溶射用混合粉末
を用いると、火力発電所設備で生じるような硫酸露点腐
食を主とする湿潤な腐食環境下で長期間使用することの
できる複合板を提供することができるものであるが、こ
の発明の溶射用混合粉末は前記用途に限定されるもので
はなく、一層広範囲な腐食を問題にしている設備の複合
板の製造にも適用することができ、産業上優れた効果を
奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 脇田 三郎 埼玉県大宮市北袋町1−297 三菱マテリ アル株式会社総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、Fe:0.0
    1〜20%、N:0.01〜0.3%を含有し、残部が
    45%以上のNiおよび不可避不純物からなる組成を有
    するNi基合金粉末と、 Si:14.5〜30%を含有し、残部がFeおよび不
    可避不純物からなる組成を有するFe基合金粉末を、 重量比で、Fe基合金粉末/Ni基合金粉末=1/9〜
    3/7となるように混合してなることを特徴とする溶射
    用混合粉末。
  2. 【請求項2】 重量%で、 Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、Fe:0.0
    1〜20%、N:0.01〜0.3%を含有し、さら
    に、Nb:0.1〜2%、Ta:0.1〜4%、W:
    0.1〜4%、Cu:0.1〜4%のうち1種または2
    種以上を含有し、残部が45%以上のNiおよび不可避
    不純物からなる組成を有するNi基合金粉末と、 Si:14.5〜30%を含有し、残部がFeおよび不
    可避不純物からなる組成を有するFe基合金粉末を、 重量比で、Fe基合金粉末/Ni基合金粉末=1/9〜
    3/7となるように混合してなることを特徴とする溶射
    用混合粉末。
  3. 【請求項3】 重量%で、 Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、Fe:0.0
    1〜20%、N:0.01〜0.3%を含有し、さら
    に、Ti:0.05〜0.4%、Al:0.01〜0.
    4%、Co:0.1〜5%、V:0.1〜0.5%のう
    ち1種または2種以上を含有し、残部が45%以上のN
    iおよび不可避不純物からなる組成を有するNi基合金
    粉末と、 Si:14.5〜30%を含有し、残部がFeおよび不
    可避不純物からなる組成を有するFe基合金粉末を、 重量比で、Fe基合金粉末/Ni基合金粉末=1/9〜
    3/7となるように混合してなることを特徴とする溶射
    用混合粉末。
  4. 【請求項4】 重量%で、 Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、Fe:0.0
    1〜20%、N:0.01〜0.3%を含有し、さら
    に、Nb:0.1〜2%、Ta:0.1〜4%、W:
    0.1〜4%、Cu:0.1〜4%のうち1種または2
    種以上を含有し、さらに、Ti:0.05〜0.4%、
    Al:0.01〜0.4%、Co:0.1〜5%、V:
    0.1〜0.5%のうちの1種または2種以上を含有
    し、残部が45%以上のNiおよび不可避不純物からな
    る組成を有するNi基合金粉末と、 Si:14.5〜30%を含有し、残部がFeおよび不
    可避不純物からなる組成を有するFe基合金粉末を、 重量比で、Fe基合金粉末/Ni基合金粉末=1/9〜
    3/7となるように混合してなることを特徴とする溶射
    用混合粉末。
  5. 【請求項5】 重量%で、 Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、Fe:0.0
    1〜20%、N:0.01〜0.3%を含有し、残部が
    45%以上のNiおよび不可避不純物からなる組成を有
    するNi基合金粉末と、 Si:14.5〜30%を含有し、さらにCr:0.0
    2〜0.2%、Cu:0.05〜1%のうちの1種また
    は2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
    る組成を有するFe基合金粉末を、 重量比で、Fe基合金粉末/Ni基合金粉末=1/9〜
    3/7となるように混合してなることを特徴とする溶射
    用混合粉末。
  6. 【請求項6】 重量%で、 Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、Fe:0.0
    1〜20%、N:0.01〜0.3%を含有し、さら
    に、Nb:0.1〜2%、Ta:0.1〜4%、W:
    0.1〜4%、Cu:0.1〜4%のうち1種または2
    種以上を含有し、残部が45%以上のNiおよび不可避
    不純物からなる組成を有するNi基合金粉末と、 Si:14.5〜30%を含有し、さらにCr:0.0
    2〜0.2%、Cu:0.05〜1%のうちの1種また
    は2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
    る組成を有するFe基合金粉末を、 重量比で、Fe基合金粉末/Ni基合金粉末=1/9〜
    3/7となるように混合してなることを特徴とする溶射
    用混合粉末。
  7. 【請求項7】 重量%で、 Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、Fe:0.0
    1〜20%、N:0.01〜0.3%を含有し、さら
    に、Ti:0.05〜0.4%、Al:0.01〜0.
    4%、Co:0.1〜5%、V:0.1〜0.5%のう
    ち1種または2種以上を含有し、残部が45%以上のN
    iおよび不可避不純物からなる組成を有するNi基合金
    粉末と、 Si:14.5〜30%を含有し、さらにCr:0.0
    2〜0.2%、Cu:0.05〜1%のうちの1種また
    は2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
    る組成を有するFe基合金粉末を、 重量比で、Fe基合金粉末/Ni基合金粉末=1/9〜
    3/7となるように混合してなることを特徴とする溶射
    用混合粉末。
  8. 【請求項8】 重量%で、 Cr:15〜50%、Mo:1〜24%、Fe:0.0
    1〜20%、N:0.01〜0.3%を含有し、さら
    に、Nb:0.1〜2%、Ta:0.1〜4%、W:
    0.1〜4%、Cu:0.1〜4%のうち1種または2
    種以上を含有し、さらに、Ti:0.05〜0.4%、
    Al:0.01〜0.4%、Co:0.1〜5%、V:
    0.1〜0.5%のうちの1種または2種以上を含有
    し、残部が45%以上のNiおよび不可避不純物からな
    る組成を有するNi基合金粉末と、 Si:14.5〜30%を含有し、さらにCr:0.0
    2〜0.2%、Cu:0.05〜1%のうちの1種また
    は2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
    る組成を有するFe基合金粉末を、 重量比で、Fe基合金粉末/Ni基合金粉末=1/9〜
    3/7となるように混合してなることを特徴とする溶射
    用混合粉末。
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