JP2006241500A - 熱風炉の制御方法 - Google Patents
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【解決手段】 高炉10への送風を先に開始する先行熱風炉と、先行熱風炉の後から高炉10への送風を開始する後行熱風炉の2基の熱風炉11、12にそれぞれ空気を通過させ、冷風を混合せずに高炉10へ熱風を供給する際に、各熱風炉11、12から供給される熱風の混合割合を、各熱風炉11、12に設けられた送風量制御弁15、16の開度で決定する熱風炉の制御方法において、2基の熱風炉11、12のうち、少なくとも1基の熱風炉に設けた送風量制御弁の開度の単位時間当たりの変化量を一定値以下とする。
【選択図】 図1
Description
また、近年の操業形態として重要視されている高炉の低コークス比操業に伴う微粉炭吹き込み操業においては、冷材である微粉炭を高炉炉内に吹き込むため、熱風の送風の際、送風温度の安定化のみならず高温化も重要な課題となってきている。更に、高炉から出銑する溶銑1トン当たりに使用される微粉炭量、即ち微粉炭比は、微粉炭の搬送ガス圧力と高炉炉内圧力の差圧により決定されるため、高炉炉内圧力の変動が微粉炭比の変動につながる。従って、低コークス比で微粉炭比を増加させる近年の操業形態においては、微粉炭比の変動が高炉操業に顕著に悪影響を与えるようになってきた。
以上のことから、微粉炭吹き込み操業上、送風圧力の変動抑制は、極めて重要な課題となっている。
このため、特許文献1では、送風温度の高温化を図る技術としてホットパラレル方式、即ち冷風を混合することなく高炉へ熱風を供給する方式を提案している。このホットパラレル方式を使用する場合、送風温度の高温化を図ることはできるが、先行熱風炉の送風量制御弁の弁開度を全開して一定とし、後行熱風炉の弁開度を開けてゆくため、送風温度に変動が発生していた。
そこで、送風温度の変動を防止する技術として、例えば、特許文献2には、複数の熱風炉のそれぞれの出口温度を測定し、その測定温度に基づいて複数の熱風炉から送り出される熱風の送風割合(混合割合)を決定する方法が開示されていた。
熱風炉に設けられた送風量制御弁の開度変化が急激な場合、送風機の送風圧力変化が送風量制御弁の開度変化に追従しない場合があり、高炉へ送風する熱風の送風圧力が変動する。このように、送風機の送風圧力が変動することで、2基の熱風炉から送り出される熱風量の混合バランスが崩れ、結果として高炉へ送風する熱風の温度変動を招いてしまう。
また、送風量制御弁の開度が小さくなり過ぎると、送風機の送風能力範囲を逸脱した範囲で、送風機の送風圧力を設定する必要が生じる場合があり、これが高炉へ送風する熱風の送風圧力の変動につながる。この場合についても、送風機の送風圧力を所定値に安定化させることができないため、結果として高炉へ送風する熱風の温度変動を招いてしまう。
また、先行熱風炉と後行熱風炉の送風量制御弁を同時に操作する場合、その開度が前記したように急激であれば、高炉への送風圧力が±(20〜30)×102 (Pa)程度の範囲で変動(ハンチング)する場合があることも判明した。
特に、高炉の低コークス比操業に伴う微粉炭吹き込み操業、即ち高炉へ吹き込む微粉炭比を高炉から出銑される溶銑1トン当たり150kg以上、送風温度を1200℃以上とした条件下においては、冷風を混合しない熱風を高炉へ送風する場合、送風圧力の変動が高炉操業に与える悪影響はより顕著になる。
前記2基の熱風炉のうち、少なくとも1基の熱風炉に設けた前記送風量制御弁の開度の単位時間当たりの変化量を一定値以下とする。
ここで、送風量制御弁としては、例えば、バタフライ弁又はボール弁を使用することができる。
また、送風量制御弁の変化量は、この送風量制御弁が設けられた熱風炉から高炉への熱風の送風量に対応するものであり、変化量の一定値とは、送風を行う送風機の送風圧力の変化量を、送風量制御弁の開度変化に追従可能とする値の上限値である。
一般に、送風機は、送風機から送風される送風量を一定とするように送風圧力を制御しているが、送風量制御弁の変化量が急激に変化すると、この変化に送風圧力の制御が追従しない場合がある。従って、送風圧力制御が追従する範囲の送風量制御弁の変化量の上限値が、前記した変化量の一定値となる。
ここで、送風量制御弁の開度の総和値は、この送風量制御弁が設けられた熱風炉から高炉へ送風される熱風の全送風量に対応するものであり、予め設定した閾値とは、送風を行う送風機の送風圧力をその送風能力範囲内に維持可能とする値の下限値である。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る熱風炉の制御方法を使用する高炉設備の説明図、図2は同熱風炉の制御方法を使用する各熱風炉の操業状態を示す説明図である。
まず、本発明の一実施の形態に係る熱風炉の制御方法を使用する高炉設備について説明した後、熱風炉の制御方法について説明する。
なお、前記した送風機20、送風量制御弁15〜18、及び開閉弁27〜30の各操作は、制御装置31によって制御されている。また、制御装置31には、送風主配管19の高炉10直前に配置されるセンサー32によって測定された熱風の温度及び圧力も入力される。
なお、図2では、4基の熱風炉11〜14の送風量制御弁15〜18の開度を、実線、点線、一点鎖線、及び長破線でそれぞれ示している。
送風量制御弁の開度変化量は、送風機の送風圧力変化が追従可能な変化量とする必要があるが、これは、例えば、送風機又はその制御仕様に関わるため、一概に変化量の上限値を決めることが困難である。実際に送風量制御弁の開度変化量を求めるに際しては、高炉へ送風を行っている2基の熱風炉のうちの1基の熱風炉の送風量制御弁の開度を一定とし、他方の熱風炉の送風量制御弁の開度の単位時間当たりの変化量を変化させて、高炉への送風圧力変動を調査することにより、求めることができる。
このように、送風量制御弁15の変化量の上限値を、送風量制御弁15の全開を90度、全閉を0度とした場合、30秒当たり2度とすることで、送風機20の送風圧力変化が送風量制御弁15の開度変化量に追従でき、高炉10へ送風する熱風の圧力変動を従来よりも抑制できる。なお、送風量制御弁15の下限値は、30秒当たり0度を超える変化量とする。この変化量の上限値及び下限値は、先行炉となった場合の他の熱風炉12〜14の送風量制御弁16〜18についても同様である。
ここで、総和値が閾値未満になる場合、送風機20の元圧の過度の上昇の原因となり、送風機20がサージングを起こす場合があるので、高炉10への送風温度に対して、送風停止などの温度変動以上の悪影響を及ぼす場合もある。
このように、2基の熱風炉11、12の送風量制御弁15、16の開度の総和値を管理すれば、送風機20の送風圧力を送風能力範囲内に設定できる。
1基の熱風炉11(熱風炉12〜14も同様)が高炉10へ送風できる時間は、熱風炉11の蓄熱レンガの蓄熱量に強く依存するため、1基の熱風炉11の送風開始から送風終了までの時間は概ね一定である。このため、後行炉が高炉10への送風を開始した時点の先行炉の送風量制御弁の開度(一般には全開としている場合が多い)を一定時間保持し続けると、いずれは開度を減少すべき先行炉の送風量制御弁の開度を、より短時間で減少しなければならなくなる。このように、送風量制御弁を短時間で急激に閉じようとすれば、送風機20の送風圧力変動が大きくなり、送風機20の元圧を急激に変動させてしまう。
以上の操作を順次繰り返すことで、送風機20の送風圧力変化を、各熱風炉11〜14の送風量制御弁15〜18の開度変化に追従させ、しかも送風機20の送風量を適正な送風能力範囲に設定することが可能となる。
高炉10へ微粉炭吹き込みを実施する場合、微粉炭の搬送ガス圧力と高炉炉内圧力により、微粉炭吹き込み量は決定されるため、高炉炉内圧力が変動すると微粉炭吹き込み量が変動する。特に、微粉炭比150kg/トン−pig以上の多量吹き込みである低コークス比操業の場合、微粉炭比の変動は、高炉炉内反応の安定性に顕著な悪影響を及ぼす。
なお、本実施の形態では、適用する微粉炭比の上限は特になく、例えば、現在最高レベルとされている270kg/トン−pig程度においても効果を発揮する。
また、本実施の形態では、適用する高炉10への送風温度の上限値は、熱風炉11〜14の設備仕様に依存する。なお、熱風の送風温度は、通常の熱風炉における最高温度1260℃であっても、効果を発揮する。
ここでは、先行炉と後行炉から送り出される熱風を、送風量6400(Nm3 /分)程度、送風圧力4021×102 (Pa)程度となるように混合して、炉容積4250m3 の高炉へ送風した。
高炉への送風に際しては、先行炉の送風量制御弁を、全開から後述する表1中の設定値に基づいて閉じていき、高炉への送風温度が1230±10℃範囲内(中心値狙い)となるように、後行炉の送風量制御弁の開度を制御した。なお、制御に際しては、先行炉から送り出される熱風の送風温度及び送風量(送風量制御弁の開度によって決定)と、後行炉から送り出される熱風温度、送風量、及び混合後の高炉への送風温度の測定値を基に、高炉への送風温度の変動が最小となるように、後行炉から送り出される送風量の補正値を求め、その開度の制御を行っている。
以上の条件に基づいて、実施例1及び2、比較例1及び2の各操業条件を設定し、それぞれ45分間高炉操業を実施し、その間の高炉への送風圧力変動並びに送風圧力変動に伴う温度変動(温度制御を実施しているが、圧力変動があるため、制御では不可避な温度変動が発生する)を測定した。この各操業条件及び操業結果を表1に示す。
また、実施例2のように、2基の熱風炉に設けられた送風量制御弁の開度の総和値の下限値を90度以上に設定することで、実施例1の場合と比較して、圧力変動と温度変動を共に縮小できることを確認できた。なお、各変動幅は、比較例1及び2と比較して明らかに低減できていることが分かる。
なお、熱風を吹き込む高炉、熱風の送風量、送風圧力、及び高炉への送風方法に関しては、前記した条件と同様の条件とした。
以上の条件に基づいて、実施例3〜5及び比較例3〜5の各操業条件を設定し、それぞれ45分間高炉操業を実施し、その間の高炉への送風圧力変動及び送風圧力変動に伴う温度変動を測定すると共に、高炉操業の安定化指数として溶銑温度の変動も測定した。この各操業条件及び操業結果を表2に示す。
一方、比較例3〜5は、実施例3〜5にそれぞれ対応するものであり、先行炉の送風量制御弁の開度の単位時間当たりの変化量を10秒当たり1度として、その変化量を実施例3〜5よりも速くし、送風機の送風圧力変化が、送風量制御弁の開度変化に追従できないようにした条件である。
特に、溶銑温度の変動代(=実施例/比較例×100%)は、微粉炭比140(kg/トン−pig)の場合で50%、微粉炭比165(kg/トン−pig)の場合で39%、微粉炭比175(kg/トン−pig)の場合で28%にそれぞれ減少できることが確認され、微粉炭比の上昇に伴って、本発明の効果がより顕著に現れることを確認できた。
また、前記実施の形態においては、4基の熱風炉を使用した場合について説明したが、これに限定されるものでなく、3基又は5基以上の熱風炉を使用することも可能であり、その2基の熱風炉のうち少なくとも1基を前記した実施の形態の方法で制御することも可能である。
Claims (5)
- 高炉への送風を先に開始する先行熱風炉と、該先行熱風炉の後から前記高炉への送風を開始する後行熱風炉の2基の熱風炉にそれぞれ空気を通過させ、冷風を混合せずに前記高炉へ熱風を供給する際に、前記各熱風炉から供給される熱風の混合割合を、該各熱風炉に設けられた送風量制御弁の開度で決定する熱風炉の制御方法において、
前記2基の熱風炉のうち、少なくとも1基の熱風炉に設けた前記送風量制御弁の開度の単位時間当たりの変化量を一定値以下とすることを特徴とする熱風炉の制御方法。 - 請求項1記載の熱風炉の制御方法において、前記2基の熱風炉の前記送風量制御弁の開度の総和値が、予め設定した閾値以上となるように、その開度を操作することを特徴とする熱風炉の制御方法。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の熱風炉の制御方法において、前記後行熱風炉が前記高炉への送風を開始した時点で、前記先行熱風炉の前記送風量制御弁の開度を小さくしていくことを特徴とする熱風炉の制御方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱風炉の制御方法において、前記送風量制御弁の開度調整は、前記高炉へ吹き込む微粉炭比を該高炉から出銑される溶銑1トン当たり150kg以上、熱風の送風温度を1200℃以上とした条件下で行うことを特徴とする熱風炉の制御方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱風炉の制御方法において、前記送風量制御弁の開度の単位時間当たりの変化量は、前記送風量制御弁の全開を90度とし全閉を0度とした場合に、30秒当たり0度を超え2度以下であることを特徴とする熱風炉の制御方法。
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