JP2006240597A - 鉄道車両用ステップ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プラットホームに停車中の車両にローリングが生じても、ステップ板への過負荷の発生を抑制することができる鉄道車両用ステップ装置を提供する。
【解決手段】 この鉄道車両用ステップ装置1では、プラットホームPに停車中の車両20がローリングし、ステップ板7がプラットホームPの張出部Paの下部に当たったとしても、弾性手段12によって保持されるステップ板7と連結板8とが筐体2と一緒に下方に退避し、ステップ板7にかかる負荷が緩和される。これにより、ステップ板7への過負荷の発生を効果的に抑制することができる。このことは、ステップ板7に繋がる連結板8やエアシリンダ3などの筐体2内の各部材への負荷の発生を抑制することも可能とし、装置全体の保護を図ることができる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、乗降をサポートするための鉄道車両用ステップ装置に関する。
この種の分野に関連する技術として、例えば特許文献1に開示された車両乗降口安全装置がある。この装置は、鉄道車両(以下、単に「車両」とする)がプラットホームに停車して乗降口を開放する際に作動させるものであり、空気シリンダのピストン運動に連動させた摺動機構により、ステップ板を乗降口の下方から車両の側方に進出させる。このステップ板の進出により、車両とプラットホームとの間の間隙が小さくなり、乗客が安全に車両に乗降できるようにサポートされる。
実公昭35−6617号公報
ところで、プラットホームに停車中の車両に乗客が乗降する際には、乗客が一斉に移動することによって車両が左右方向に揺れる、いわゆるローリングと呼ばれる現象が発生する場合がある。近年では、線路上での退避場所を確保する等の理由からプラットホームの側部の形状が複雑化しており、ローリングの発生によって、車両の側方に進出したステップ板がプラットホームに当たって過負荷が生じ、その結果、装置を破損させてしまうおそれがある。
本発明は上記課題の解決のためになされたものであり、プラットホームに停車中の車両にローリングが生じても、ステップ板への過負荷の発生を抑制することができる鉄道車両用ステップ装置を提供することを目的とする。
上記課題の解決のため、本発明に係る鉄道車両用ステップ装置は、車両の乗降口の下方に配置されて略水平方向に進退するステップ板を有する鉄道車両用ステップ装置において、ステップ板を乗降口の下方から車両の側方に向けて略水平方向に進出させる駆動手段と、ステップ板を鉛直方向に保持する弾性手段とを備えたことを特徴としている。
この鉄道車両用ステップ装置は、車両がプラットホームに停車して乗降口を開放する際に作動させるものであり、ステップ板の進出によって車両とプラットホームとの間の間隙を小さくし、乗客が安全に車両に乗降できるようにサポートされる。この装置では、駆動手段によって乗降口の下方から車両の側方に向けて略水平方向に進出するステップ板が、弾性手段によって鉛直方向に保持されている。そのため、プラットホームに停車中に車両がローリングして、ステップ板がプラットホームに当たったとしても、ステップ板にかかる負荷が弾性手段によって緩和される。これにより、ステップ板への過負荷の発生を抑制することができ、装置の保護が図られる。
また、車両の床板を支持する台枠の下方に配置されると共に、駆動手段を収容する筐体を更に備え、弾性手段によって筐体と台枠とを連結したことが好ましい。こうすると、駆動手段を筐体で保護しつつ、ステップ板にかかる負荷を弾性体によって好適に緩和させることができる。
また、駆動手段は、ステップ板に連結されるエアシリンダを有し、筐体内には、エアシリンダと、ステップ板を略水平方向に案内するガイド手段とが配置されていることが好ましい。このような構成により、装置のユニット化が実現され、車両への組み付け容易性を向上させることができる。
以上説明したように、本発明に係る鉄道車両用ステップ装置によれば、プラットホームに停車中の車両にローリングが生じても、ステップ板への過負荷の発生を抑制することができる。
以下、本発明に係る鉄道車両用ステップ装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る鉄道車両用ステップ装置の一実施形態を示す斜視図であり、図2及び図3はその正面図及び側面図である。図1〜図3に示すように、鉄道車両用ステップ装置1は、バリアフリーを意図したもので、プラットホームに停車中の鉄道車両(以下、単に「車両」とする)に、乗客が安全に乗降できるようにサポートする装置である。この鉄道車両用ステップ装置1は、金属製の筐体2を備えている。筐体2は、扁平な直方体形状をなすと共に、車両20の乗降口21の下方において、車両20の床板22を支持する台枠23の下部に連結されている。また、筐体2は、車両20の外側に向く面が開放部2aになっている。
この筐体2内には、図4に示すように、駆動手段としてのエアシリンダ3及び制御部4が奥側に収容され、筐体2の両側壁2bには、開放部2a寄りの内壁において、車両20の幅方向に略水平に延在する左右一対のガイドレール(ガイド手段)6,6が設けられている。制御部4は、例えばレギュレータ、サイレンサ、及び電磁弁などを有し、図示しない操作部に接続されている。そして、制御部4は、この操作部から送信される指令信号に従って、エアシリンダ3のピストンロッド3aの進退を制御する。
さらに、図1〜図3に示すように、鉄道車両用ステップ装置1は、乗客の踏み段として用いるステップ板7と、ステップ板7とエアシリンダ3とを繋ぐための断面L字状の連結板8とを備えている。ステップ板7は、例えば幅寸法が1000mm×120mmの長方形状を有している。また、格納状態のステップ板7は、車両20の乗降口21の下方において、床板22とその台枠23との間のスペースS内に略水平に配置されている。
連結板8は、ステップ板7と一体的に形成されており、ステップ板7の先端から下方に向けて、台枠23の側部に沿って延在する立上げ部8aと、立上げ部8aの下端から車両20の内側に向けて折り曲げられて、筐体2内で略水平に延在する基部8bとを有している。基部8bの後端は、筐体2内の略中央でエアシリンダ3に連結され、基部8bの両側部には、折り曲げられて上下に延在する取付片8cがそれぞれ形成されている。そして、取付片8cには、ガイドレール6を挟み込むための上下一対のガイドローラ(ガイド手段)10,10が前後にそれぞれ2個ずつ装着されている。
このような構成を有する鉄道車両用ステップ装置1では、車両20がプラットホームPに停車して乗降口21が開放される際に、乗務員によって所定の操作がなされると、制御部4が操作部(図示しない)からの指令信号を受信して、エアシリンダ3のピストンロッド3aを車両20の外側に向けて略水平に進出させる。そうすると、図3に示すように、エアシリンダ3、ガイドレール6、及びガイドローラ10の協働により、連結板8とステップ板7とが乗降口21の下方から車両20の側方に向けて略水平方向に案内され、所定のストローク(例えば100mm)をもって進出する。これにより、車両20とプラットホームPとの間隙が小さくなり、乗客が安全に車両20に乗降できるようにサポートされる。なお、立上げ部8aには、水平方向に延在する緩衝ゴム9が固定され、ステップ板7の進出により、連結板8の立上げ部8aがプラットホームPの線路側の側面Pbに当たった場合の衝撃は、緩衝ゴム9によって緩和される。
ところで、プラットホームPに停車中の車両20に乗客が乗降する際には、乗客が一斉に移動することによって車両20が左右方向に揺れる、いわゆるローリングと呼ばれる現象が発生する場合がある。このローリングが発生すると、例えば図5に示すように、プラットホームPの縁端に張出部Paが設けられている場合、車両20が右側に傾くことによってステップ板7が張出部Paの下部に当たり、ステップ板7に大きな負荷が生じてしまう。
そこで、この鉄道車両用ステップ装置1では、図1〜図3に示すように、ステップ板7が張出部Paに衝突する際に、ステップ装置1を保護する目的として、筐体2と台枠23との連結にヒンジ部11及び弾性手段12が採用されている。左右一対のヒンジ部11,11は、図1及び図3に示すように、台枠23の下部にボルト15によって固定されると共に、筐体2の側壁2bの奥側にそれぞれピンPを介して固定され、筐体2は、このピンPを支点として上下方向に揺動する。
また、筐体2の側壁2bの手前側には、左右一対の弾性手段12が設けられ、弾性手段12は、ブラケット16と、ボルト17と、圧縮バネ18とによって構成されている。ブラケット16は、断面L字形状の板状部材である。ブラケット16の一片は、筐体2の側壁2bの上側に固定される固定部16aとされ、ブラケット16の他片は、筐体2の上面と略面一状態で水平方向に突出し、台枠23の下面側に当接する当接部16bとされている。この当接部16bの略中央には貫通孔16cが設けられ、この貫通孔16cを貫通するボルト17の先端は、台枠23の下部に埋め込み固定されている。また、圧縮バネ18は、例えばたわみ始め荷重が約300kgfであり、バネ定数が約2.5kgf/mmになっている。これは、ステップ板7に数人の乗客が同時に乗っても圧縮バネ18が変形せず、それ以上の負荷がステップ板7にかかったときに圧縮バネ18がたわみ始めるように想定したものである。ボルト17の軸部17aは圧縮バネ18を貫通し、圧縮バネ18は、ボルト17のヘッドに設けられた台座17bの上面側と当接部16bの下面側との間に配置されている。そして、弾性手段12により、ステップ板7、連結板8、及び筐体2は、水平状態を維持しつつ弾性保持されている。
したがって、この鉄道車両用ステップ装置1では、プラットホームPに停車中の車両20がローリングし、ステップ板7がプラットホームPの張出部Paの下部に当たったとしても、図5に示すように、弾性手段12によって保持されるステップ板7と連結板8とが筐体2と一緒に下方に退避し、ステップ板7にかかる負荷が緩和される。これにより、ステップ板7への過負荷の発生を効果的に抑制することができる。このことは、ステップ板7に繋がる連結板8やエアシリンダ3などの筐体2内の各部材への負荷の発生を抑制することも可能とし、装置全体の保護を図ることができる。なお、この鉄道車両用ステップ装置1では、筐体2内にガイドレール6、ガイドローラ10、エアシリンダ3、及び制御部4が収容されているため、装置全体の一層の保護が図られると共に、装置のユニット化による車両20への組み付け容易性向上が実現する。
本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上述した筐体2に代えて、ガイドレール6及びガイドローラ10のみを収容する小型の筐体とし、ステップ板7をこの小型の筐体を介して弾性手段12で保持するようにしてもよい。また、弾性手段12を直接ステップ板7又は連結板8に取り付けてもよい。さらに、ステップ板7と連結板8とは、ヒンジを介して結合させてもよい。
本発明に係る鉄道車両用ステップ装置の一実施形態を示す斜視図である。 図1に示した鉄道車両用ステップ装置の正面図である。 図1に示した鉄道車両用ステップ装置の側面図である。 筐体の内部構造を示した図である。 車両のローリングによってステップ板がプラットホームに当たったときの状態を示した側面図である。
符号の説明
1…鉄道車両用ステップ装置、2…筐体、3…エアシリンダ(駆動手段)、4…制御部(駆動手段)、6…ガイドレール(ガイド手段)、7…ステップ板、10…ガイドローラ(ガイド手段)、12…弾性手段、16…ブラケット(弾性手段)、17…ボルト(弾性手段)、18…圧縮バネ(弾性手段)、20…車両、21…乗降口、22…床板、23…台枠。

Claims (3)

  1. 車両の乗降口の下方に配置されて略水平方向に進退するステップ板を有する鉄道車両用ステップ装置において、
    前記ステップ板を乗降口の下方から前記車両の側方に向けて略水平方向に進出させる駆動手段と、
    前記ステップ板を鉛直方向に保持する弾性手段とを備えたことを特徴とする鉄道車両用ステップ装置。
  2. 前記車両の床板を支持する台枠の下方に配置されると共に、前記駆動手段を収容する筐体を更に備え、
    前記弾性手段によって前記筐体と前記台枠とを連結したことを特徴とする請求項1記載の鉄道車両用ステップ装置。
  3. 前記駆動手段は、前記ステップ板に連結されるエアシリンダを有し、
    前記筐体内には、前記エアシリンダと、前記ステップ板を略水平方向に案内するガイド手段とが配置されていることを特徴とする請求項2記載の鉄道車両用ステップ装置。
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