JP2006240420A - 自動車のクロスメンバー、自動車のフレーム構造及びルーフ構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 左右のBピラーの上端部に車体幅方向に延在するクロスメンバー11が連結され、前記クロスメンバーの上面にルーフパネルが接着接合された自動車のルーフ構造。クロスメンバー11の断面形状が、左右に間隔を置いて形成された一対の閉断面部12,13と、両閉断面部の間を連結する壁状リブ14からなり、前記一対の閉断面部が車体前後方向に位置する。クロスメンバー11の端部に、ルーフパネルを接合するためのブラケット18と、Bピラーへ連結するためのブラケット19がボルト・ナットにより接合される。
【選択図】 図1
Description
このようなクロスメンバーは、必要とされる強度、形状制約により、種々の断面形状が選択されるとともに、他部品との干渉を回避するために長手方向に曲げ、つぶし加工などが施される場合もある。
(1)アルミ押出形材に他部品を取り付けるための穴や座面などを形成するためには、プレス成形を施す必要があるが、形材が閉断面であれば、その際、プレス方向に平行なウエブ部の変形を抑制するために、形材の中空内部に中子(あるいは芯金)と呼ばれる工具を挿入する必要がある。
一方、アルミ押出形材素材は長手方向に一定断面、かつ、直線状であるため、クロスメンバーに長手方向への曲率が必要な場合には曲げ加工が必要となる。しかし、この曲げ加工後に形材の中空内部に中子を挿入して、穴あるいは座面のプレス成形を行うことは困難であるから、曲げ加工を行う前に前記のプレス成形を行い、その後曲げ加工を行うという手順をとることになるが、この場合、曲げ加工時の形状変化により、前記穴あるいは座面の形状精度が得られにくいという問題が生じる。
このため、一般的には、図7に示すように、切断加工により、閉断面部分の一部を切除してフランジ1aに作業穴4を形成し、他方のフランジ部1bでボルト接合することが多い。しかし、この場合、作業穴4及びボルト穴5の2箇所の穴を設ける必要があり、生産コストが高くなるという問題がある。
また、図8に示すように、潰し加工を施した端部6でボルト接合する方法も見られるが、特に伸びが低い高強度のアルミ押出形材では、極端な曲げ変形を受けるウエブ部1c〜1fが破断するという問題が生じる。さらに、潰し加工を施すことで、この部位の曲げ変形抵抗が極端に低くなり、軸圧縮荷重Pを受けた場合には、図9(a),(b)に示すように、この部位の屈服変形が生じ、所定の曲げ強度が得られないという問題が生じる。
さらには、図10に示すように、端部のボルト接合部に別部品7を挿入し、ボルト接合時の潰れを防止する対策も見られるが、これについては、部品点数の増加、重量アップにつながるという問題がある。
なお、本発明においてアルミニウムという用語は、アルミニウム合金を含む意味で用いられる。また、ソリッドとは押し出し分野において開断面を意味し、本発明ではその意味で用いられる。
本発明は、例えば、ルーフパネルの下面に位置し、車体左右に位置するフレーム部品(後述するBピラーあるいはルーフサイドレール)に連結されるクロスメンバーに適用できる。この場合、クロスメンバーがルーフパネルの下に配置され、その上面に前記ルーフパネルが接合される。前記クロスメンバーの上面にルーフパネルが接着接合される場合、断面形状を押出方向に垂直な断面でみたとき、ルーフパネル材と接着する面に凹部が形成されていることが望ましい。
この構造は、座屈変形が生じやすいソリッドな壁状リブの両側に閉断面部を配したもので、これにより壁状リブの変形拘束度を高め、軸圧縮及び曲げ変形に対して高い強度を得ることができる。
また、スポット溶接、ミグ溶接、レーザ溶接、セルフピアシングリベット(SPR)等、他の接合手段による接合の場合も同様で、接合ポイントを壁状リブに設定することにより、一方のフランジに作業穴を形成する必要等がなく、ブラケットやフレーム部品などの他部品との接合を容易に実施できるようになる。
先ず、本発明に係る自動車のクロスメンバーの断面形状及びフレーム構造の実施形態を、図1及び図2を用いて説明する。
クロスメンバー11はアルミニウム合金押出形材からなり、その断面形状は、図1に実線で示すように、左右に間隔を置いて形成された一対の閉断面部12,13と、両閉断面部12,13を連結する壁状リブ14からなり、自動車の車体幅方向に延在しかつ前記一対の閉断面部12,13が車体前後方向に位置するように、後述するBピラー22に連結される(クロスメンバー11はルーフサイドレール24に連結される場合もある)。
閉断面部12,13は矩形で、上面に凹溝15が形成されている。壁状リブは均一な厚さの板であり、両側の閉断面部12,13の内面側下端部に接続し、その下面は閉断面部12,13の下面と面一である。壁状リブ14の端部近傍に穴16がプレス成形されている。なお、クロスメンバー11の上面に形成された凹溝15は、後述する接着剤23の垂れ止め(流れ止め)の作用を有する。
また、後述するようにクロスメンバー11に長手方向への曲げ加工が施される場合、プレス成形あるいはストレッチベンディングを用いることが望ましく、同時に、ブラケット取付用の穴や座面などを形成することが望ましい。
ブラケット18はクロスメンバー11の壁状リブ14の上面に接触し、ブラケット19は壁状リブ14の下面に接触し、壁状リブ14に形成された穴16の位置(接合ポイント)において、前記穴16及びブラケット18,19の各接合部18a,19aに形成されたボルト穴を貫通する図示しないボルト及びナットにより前記壁状リブ14に接合される。
また、ブラケット18の接合部18aとブラケット19の接合部19aはクロスメンバー11に形成されたボルト穴16において前記クロスメンバー11にボルト・ナットにより接合(接合部D)され、ブラケット19の接合部19bは、Bピラー22に形成されたボルト穴において、図示しないボルト・ナットにより接合(接合部E)されている。
このように、ブラケット18はクロスメンバー11及びルーフパネル21と接合され、ブラケット19はクロスメンバー11及びBピラー22に接合される。これらのブラケット18,19の形状は、これらの接合を可能とするように、また目標強度要件に応じて便宜選択される。
また、ルーフパネル21がアルミニウム製であれば、ブラケット18もアルミニウム製として、接合部Bはスポット溶接、ミグ溶接、レーザー溶接等により接合することができる。その他の接合部についても材質や形状の制約により最適な接合方法を適宜選択すればよい。
図3(a)に示すクロスメンバー11は、図1に示すものと同じである。図3(b)に示すクロスメンバー31は、壁状リブ34が両側の閉断面部32,33の内面側上端部に接続し、その上面が閉断面部32,33の上面と面一となっている。図3(c)に示すクロスメンバー35は、壁状リブ38が両側の閉断面部36,37の内面側中間部に接続している。
図3(a)では、クロスメンバー11の左右の閉断面部12,13と壁状リブ14により構成される凹部空間11aに、ケーブル類28が収納され、壁状リブ34の下面にルームランプなどの取付部品29がボルト接合(ボルト・ナット30)されている。図3(b)では、クロスメンバー31の左右の閉断面部32,33と壁状リブ34により構成される凹部空間31aに、取付部品29がボルト接合されている。この場合、ナット(又はボルトヘッド)が上側に突出する。図3(c)では、クロスメンバー35の左右の閉断面部36,37と壁状リブ38により構成される凹部空間31aにケーブル類28が収容され、凹部空間31bに取付部品29がボルト接合されている。
このように、凹部空間は収納空間として利用できるので、車体上下方向のスペースを従来のクロスメンバー1に比べて広くとることができる。壁状リブの接続位置は、取付部品等の取り付け形態及び収納形態等に合わせて適宜選択すればよい。
例えばクロスメンバーのサイズが幅方向(図4において左右方向)に制約がある場合等において、閉断面部の幅を狭くし(閉断面部の外側のウエブを内側に寄せる)、その代わりに閉断面部の外側に突出フランジを形成する(さらに内側に形成してもよい)ことにより、同じ断面積であれば軸圧縮に対する座屈強度を向上させることができる。
図5(b)に示すクロスメンバー56は、閉断面部57,58と壁状リブ59の位置関係がクロスメンバー11と同じであるが、壁状リブに凹凸60が形成されている。このように、開断面を構成する壁状リブは、断面において必ずしも直線的である必要はなく、座屈防止あるいは他部品との取り付けなどのために、予め凹凸を設けることができる。
12,13 閉断面部
14 壁状リブ
15 凹溝
18,19 ブラケット
21 ルーフパネル
22 Bピラー
23 接着剤
24 ルーフサイドレール
Claims (10)
- 自動車の車体幅方向に延在して両端が車体フレーム部品に連結されるアルミニウム押出形材製のクロスメンバーであり、その断面形状は、押出方向に垂直な断面でみたとき左右に間隔を置いて形成された一対の閉断面部と、両閉断面部の間を連結するソリッドな壁状リブからなり、前記一対の閉断面部が車体前後方向に位置するように配置されることを特徴とする自動車のクロスメンバー。
- 前記クロスメンバーがルーフパネルの下に配置されるもので、その上面に前記ルーフパネルが接合されることを特徴とする請求項1に記載された自動車のクロスメンバー。
- 前記クロスメンバーはその上面にルーフパネルが接着接合されるものであり、断面形状を押出方向に垂直な断面でみたとき、ルーフパネル材と接着する面に凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載された自動車のクロスメンバー。
- 自動車の車体幅方向の所定位置に配置された車体フレーム部品と、車体幅方向に延在して両端が前記車体フレーム部品に連結されたクロスメンバーからなる自動車のフレーム構造において、前記クロスメンバーがアルミニウム押出形材からなり、その断面形状が、押出方向に垂直な断面でみたとき左右に間隔を置いて形成された一対の閉断面部と、両閉断面部の間を連結するソリッドな壁状リブからなり、前記一対の閉断面部が車体前後方向に位置することを特徴とする自動車のフレーム構造。
- 前記クロスメンバーは前記壁状リブにおいて前記車体フレーム部品に連結されていることを特徴とする請求項4に記載された自動車のフレーム構造。
- 前記クロスメンバーはブラケットを介して前記車体フレーム部品に連結され、前記ブラケットは前記クロスメンバーの壁状リブに接合されていることを特徴とする請求項4に記載された自動車のフレーム構造。
- 左右の車体フレーム部品に車体幅方向に延在するクロスメンバーが連結され、前記クロスメンバーの上面にルーフパネルが接合された自動車のルーフ構造において、前記クロスメンバーがアルミニウム押出形材からなり、その断面形状が、押出方向に垂直な断面でみたとき左右に間隔を置いて形成された一対の閉断面部と、両閉断面部の間を連結するソリッドな壁状リブからなり、前記一対の閉断面部が車体前後方向に位置することを特徴とする自動車のルーフ構造。
- 前記クロスメンバーは前記壁状リブにおいて前記車体フレーム部品に連結されていることを特徴とする請求項7に記載された自動車のルーフ構造。
- 前記クロスメンバーはブラケットを介して前記車体フレーム部品に連結され、前記取付用ブラケットは前記クロスメンバーの壁状リブに接合されていることを特徴とする請求項7に記載された自動車のルーフ構造。
- 前記クロスメンバーはその上面にルーフパネルが接着接合されるものであり、断面形状を押出方向に垂直な断面でみたとき、ルーフパネル材と接着する面に凹溝が形成されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載された自動車のルーフ構造。
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