JP2006238821A - 機能性ペプチド含有ダイズ形質転換体およびその利用 - Google Patents

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正明 吉川
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Abstract

【課題】生理活性ペプチドの有用性を増すために、生理活性ペプチドが蓄積されたダイズ植物を開発することが本発明の課題である。
【解決手段】本発明において、生理活性ペプチドを産生するように改変されたダイズ蛋白質の遺伝子をダイズに導入することにより、生理活性ペプチドが蓄積された形質転換ダイズ植物が提供された。より具体的には降圧ペプチドであるRPLKPWが蓄積された形質転換ダイズ植物が提供された。本発明により得られた形質転換ダイズ植物は高機能化されており、通常の食物として摂食するだけで、導入されたペプチドの有用な生理作用を得ることができるという利点を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、生理活性ペプチド、特に血圧降下ペプチドが蓄積することを特徴とする形質転換ダイズ植物とその利用に関する。
食物として利用されている動植物の蛋白質中には種々の有用な生理活性ペプチドが存在する。しかし、一般的には食物中の生理活性ペプチドの活性は低いので、そのペプチドが十分な機能を発揮するためにはその食物を大量に摂取する必要がある。また経口摂取によって効果を示すには、そのペプチドが機能を保持したまま消化酵素によって切り出される必要があり、更には消化酵素によって生理活性ペプチドが吸収前に分解されてしまうという問題もある。このような問題から食物中に存在する有用なペプチドが見出されても、そのペプチドを安価かつ簡便な方法で実際に利用することは困難であった。
ところで、オボキニンはRADHPF(Arg-Ala-Asp-His-Pro-Phe)からなる卵白アルブミン由来のペプチドであり、動脈拡張作用と血圧降下作用を有する。このオボキニンは食物由来の血圧降下ペプチドであるために、そのアミノ酸を置換することによって更に強力な血圧降下ペプチドを得ることができないか、検討が行なわれてきた。そして本発明者らはオボキニンを基にしてより血圧降下作用が強いペプチドの設計を図ったところ、RPLKPWからなるペプチドはオボキニンの100倍という強力な降圧作用を示すことを見出した。しかしRPLKPW(Arg-Pro-Leu-Lys-Pro-Trp)を含む食品が存在しなかったので、その積極的な利用は行なわれていなかった。
そこでRPLKPWを利用し易い食物中で発現させるためにダイズの貯蔵蛋白質を用いることを本発明者らは考えた。ダイズの約40%は蛋白質であってとりわけ蛋白質含量が多く、そのうちの大部分は種子貯蔵蛋白質である。加えてダイズは蛋白質組成が比較的に単純であるから、生理活性ペプチドを生産させるのに最適である。
ダイズの主要な貯蔵蛋白質は、11Sグロブリンであるグリシニンと7Sグロブリンであるβ-コングリシニンであり、その立体構造が解明されている。なかでもβ-コングリシニンでは液胞への選別輸送に必須である選別輸送シグナルも明らかにされていることから、β-コングリシニンを基にして高機能化蛋白質を設計すれば、構造形成も円滑に進み、種子の生育や発芽への影響を最小限に抑えながら、栄養価も高い高機能化蛋白質を大量に蓄積させることができる可能性がある。
ところでβ-コングリシニンは3量体を形成しており、それを構成するサブユニットはα、α’とβの3つである。β-コングリシニンのα’サブユニットはN末端側には可変領域があり、その領域内にRPLKPWの類縁配列を複数個有するので、本発明者らは改変を行なう対象としてβ-コングリシニンのα’サブユニットを選んだ。なおβ-コングリシニンにおいて可変領域を欠損したβサブユニットでも安定に存在しえること、α’サブユニットの可変領域でアミノ酸置換を行なっても高次構造を形成しうることが知られている。これらの知見からβ-コングリシニンのα’サブユニットの可変領域内で改変を行なっても宿主であるダイズに対する悪影響は少ないと考えられる。
そのうちβ-コングリシニンのα’サブユニットの可変領域に、このペプチド配列と類似した配列が4箇所存在するので、本発明者らはこれらの配列の3-4残基を置換することにより4箇所にRPLKPWを挿入した。このように改変されたα’サブユニットが4RPLKPW-α’である。オリジナルのα’サブユニットのアミノ酸配列と、4箇所にRPLKPW配列を含む改変α’サブユニット(4RPLKPW-α’)のアミノ酸配列を図1に示す。図1において置換されたアミノ酸部位をアスタリスク示す。消化され易い形でRPLKPWペプチドを4箇所に挿入するために、可変領域の20アミノ酸が置換されている。
なお本発明者らはRPLKPWをダイズで発現させる前に、改変したβ-コングリシニンα’サブユニット(4RPLKPW-α’)を大腸菌の系を用いて発現させるのに成功した。大腸菌の発現系で調製された4RPLKPW-α’は高血圧自然発症ラットへの経口投与により2.5mg/kgで血圧降下作用を示した(Ohnishi et al., Peptides, 25, 37-43 (2004))。しかしダイズなどの実際の食糧となる植物でRPLKPWを蓄積することに成功した例は未だない。
Ohnishi et al., Peptides, 25, 37-43 (2004)
そこで、生理活性ペプチド、特にRPLKPWがダイズなどの食糧となる植物中で蓄積している形質転換植物を開発することが本発明の課題である。大腸菌で生産されたRPLKPWと異なり、ダイズの中に蓄積されたRPLKPWはそのまま食用に用いることが可能であり、摂取にあたっての利便性が高く心理的な抵抗感も低いと考えられる。
そこで本発明者らは生理活性ペプチドを産生するように改変されたダイズ蛋白質の遺伝子をダイズに導入し、生理活性ペプチドが蓄積されたダイズを開発することに成功した。よって本発明はダイズの貯蔵蛋白質の遺伝子に生理活性ペプチドをコードする遺伝子が導入され、よって該生理活性ペプチドが該ダイズにおいて蓄積することを特徴とする形質転換ダイズ植物を提供するものである。また本発明は、血圧降下ペプチド、とりわけRPLKPWを蓄積することを特徴とする形質転換ダイズ植物を提供するものである。
本発明において、ダイズの貯蔵蛋白質の遺伝子を生理活性ペプチドを産生するように改変することにより、生理活性ペプチドが蓄積された形質転換ダイズ植物が提供された。本発明により得られた形質転換ダイズ植物は高機能化されており、通常の食物として摂食するだけで、導入されたペプチドの有用な生理作用を得ることができるという利点を有する。
下記の実施例において詳しく述べるように、本発明者らは、4RPLKPW-α’遺伝子の上流に種子特異的に機能するβ-コングリシニンα’サブユニットのプロモーターを連結し、それをハイグロマイシン耐性と緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子の間に挿入することにより、ダイズに4RPLKPW-α’遺伝子を導入するために用いるコンストラクトを構築した。そのようなコンストラクトを導入することにより、ハイグロマイシンに対する耐性およびGFPの蛍光を指標として形質転換体の選抜を行なうことができ、選抜された個体が目的遺伝子を発現している比率を高くすることができる。
そのようにして作製したコンストラクトを、遺伝子銃またはウィスカ法によってダイズ未熟子葉より誘導した不定胚に導入した。遺伝子銃、ウィスカ法により遺伝子導入処理を行なった不定胚について、ハイグロマイシン耐性により選抜を行なった後に、増殖、再分化、成熟、乾燥の後、発芽させて植物体を得た。得られた形質転換体から得られた種子について抗RPLKPW抗体を用いてウエスタン解析を行なったところ、4RPLKPW-α’の蓄積が確認された。そして4RPLKPW-α’遺伝子を導入したダイズ蛋白質を高血圧症ラット給餌したところ、4RPLKPW-α’換算で2.5mg/kgで経口投与することにより血圧降下作用が確認された。
なおこの用量をヒトに換算すると、血圧降下作用を得るためには、体重60kgのヒトの場合には4RPLKPW-α’を150mg摂取する必要がある。下記の実施例において得られた形質転換ダイズ中の4RPLKPW-α’の蓄積量は総蛋白質の0.6%であること、乾燥ダイズ100g中には40g程度の蛋白質が含まれていることを併せて考えると、乾燥ダイズ100gから240mgの4RPLKPW-α’を摂取できると考えられる。このダイズの量をダイズの加工食品である豆腐の量に換算すると、豆腐一丁を作るのに平均85gの乾燥ダイズが必要であるので、血圧降下作用を得るのに必要な摂取量は約3/4丁の豆腐に相当する。
このように、本発明者らは降圧ペプチドであるRPLKPWを発現させたダイズの開発に成功したが、本発明の範囲はそれに限定されるものではない。ダイズ蛋白質を改変するという技術を用いて、その他にも種々の低分子量の生理活性ペプチドを発現している形質転換ダイズを開発できる。よって他の低分子量生理活性ペプチドの遺伝子を導入して該生理活性ペプチドを発現させた形質転換ダイズ植物も本発明の範囲内であり、本発明は高機能化した形質転換ダイズ植物を広く包含するものである。
すなわち、ダイズ蛋白質であるβ-コングリシニンα’サブユニットのみならず、β-コングリシニンのαサブユニット、βサブユニット、グリシニン、更には他のダイズ蛋白質を改変することにより、種々の低分子量生理活性ペプチドを発現させることができる。よって本発明の根本的な技術思想は、ダイズ蛋白質の改変という手段により低分子量生理活性ペプチドをダイズにおいて発現させることにより、高機能化した形質転換ダイズ植物を開発したという点にある。
下記の実施例において本発明を更に詳しく説明するが、その記載は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(植物の形質転換のためのプラスミド構築)
以下のような手法で4RPLKPW-α’のためのプラスミドを構築した。α’プロモーターの3’末端側の一部およびα’のコード領域を含んでいる断片をPCRにより調製した。それにあたって、プロモーターとα’サブユニットのコード領域の両者を含んでいる鋳型としてのpBSα’と、プライマー1(5’-CCGGATCCTATCCTAGTACACCGTATTA-3’:下線はα’プロモーターの上流-39に導入されたBamHI部位を示す)とプライマー2(5’-ATGAATTCCTCGCTCACTATGAGCTATT-3’’:下線は終止コドンの50塩基下流に導入されたEcoRI部位を示す)を使用した。TOPO-TAクローニングキット(インビトロジェン、カルスバッド、カリフォルニア、USA)を用いて増幅された断片をpCR-TOPOベクター中にサブクローン化し、pCRα’codingを構築した。
BsmI部位(開始コドンの208塩基下流)とNotI部位(pCR-TOPOベクターから得られ、α’コード領域の下流に位置する)の間のDNA断片を、4つのRPLKPWを有する改変されたα’遺伝子をコードする発現プラスミド(pET4RPLKPW-α’、Ohnishi et al., Peptides, 25, 37-43 (2004))のBsmI部位とNotI部位(pET21dベクター由来)の間の断片に置き換え(この際、pET21dベクター由来のBamHI部位を予め除去しておいた)、pCR4rplkpw-α’を構築した。EcoRIによりpCR4rplkpw-α’を消化し、引き続いて平滑化し、更にBamHIで消化することにより、α’プロモーターの3’末端を含んでいる断片と4RPLKPW-α’のコード領域が生成した。
BamHI/SmaI部位においてこの断片をpBluescript SK(ストラタジーン、ラホヤ、カリフォルニア、USA)にサブクローン化し、pBS4rplkpw-α’を構築した。プライマー3(5’-ATGCGGCCGCTTCAAATTTGAATTTTAATGTG-3’:下線はα’プロモーターの-960上流に導入されたNotI部位を示す)、プライマー4(5’-TAGGATCCGGTTCTTGATGATGAAAACC-3’:下線はα’プロモーターの-39上流に導入されたBamHI部位を示す)、および鋳型としてのpBSα’を使用して、β-コングリシニンのα’サブユニットのプロモーター領域を含んでいる断片をPCRにより調製した。そのPCR断片をNotIとBamHIで消化した後に、pBS4rplkpw-α’のNotI部位とBamHI部位の間に挿入し、pBSPα’4rplkpw-α’を構築した。CaMV35S-sGFP(S65T)-Nos3’プラスミドから、ノパリン合成酵素(nos)ターミネーターをPstIとEcoRIによって切断し、pBSPα’4rplkpw-α’の対応部位に挿入してpBS4RPLKPW-α’を構築した。pBS4RPLKPW-α’のNotI-EcoRI断片を、NotI/EcoRI部位を有するpUHGベクター中へ挿入し、pUHG4RPLKPW-α’を構築した。全てのPCR産物の配列に間違いないかどうかをDNA配列解析により確認した。このようにして作製されたコンストラクトを図2に示す。
ダイズ(品種:Jack)植物を土壌中で、天然光の条件下と25℃に制御された温度の下で温室中において生育した。未成熟の子葉が4から5mmの長さになったときに、成長中の緑色の莢を採取した。莢の表面を70%のエタノールで2分間滅菌し、続いて水で洗浄した後に未成熟な種子を摘出し、胚軸を除去し、向軸面を上にして子葉をMSD培地上に置いた。その培地の組成はMS塩とビタミンB5からなり、更に3%のスクロースと2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D、40mg/ml)を添加し、pHを7.0に調整し、0.2%ゲルライト(和光、大阪、日本)によって固化している。不定胚を白色蛍光灯(23時間明条件、1時間暗条件、5から10μmolm-2s-1)の下、25℃で3から4週間誘導した。誘導した胚組織を、FNライトロ塩、MSマクロ塩およびビタミンB5からなり、アスパラギン(1g/L)、2,4-D(5mg/L)および1%スクロースを添加してpH5.8に調整したFNライト液体培地中で増殖した。
培養物を回転振盪器(110rpm/分)で維持し、100mlのフラスコ中で25mlの新鮮なFNライト液体培地中へ週に一度継代培養した。そしてMSD20培地を含んでいる20mmプレートに、増殖した胚組織(約0.8g)を置いた。なおMSD20培地はMS塩およびビタミンB5からなり、3%のスクロース、アスパラギン(1g/L)、および2,4-D(20mg/L)を添加してpH5.8に調整し、0.2%ゲルライトで固化したものである。
遺伝子銃法は、PDS-1000/Heシステム(バイオラッド、リッチモンド、カリフォルニア、USA)により行なった。遺伝子銃法のためのプラスミドDNAを、プラスミド・ミディキット(キアゲン、バレンシア、カリフォルニア、USA)により、pUHG4RPLKPW-α’を有している大腸菌DH5αから単離し、精製したDNAの一部分を直径0.6μmの金微粒子0.5mg上に、塩化カルシウム-スペルミジン法により沈殿させた。
pUHG4RPLKPW-α’を付着させた0.6μmの金微粒子を各プレートの胚組織へ2回撃ち込んだ。一回の撃ち込みのDNA量を0.8μgとし、加速圧1,100psiと6cmの標的距離で撃ち込んだ。各コンストラクトにつき全部で12プレートの処理をした。処理後の組織をFNライト培地で1週間培養し、その後にハイグロマイシンB(15mg/L)(ロッシュ・ダイアグノスティックス、マンハイム、ドイツ)を含んでいる新鮮なFNライト培地で3週間培養した(毎週培地を交換する)。ハイグロマイシン耐性の組織を新鮮な抗生物質を含んでいるFNライト培地の下で毎週選抜し、更に3週間維持し、その後45mg/LのハイグロマイシンBを含んでいるFNライト培地中で一週間選抜した。なお、ウィスカ法はチタンの針状結晶とであるウィスカ粒子と導入遺伝子を培養細胞と混合して超音波処理により細胞内に取り込ませる形質転換方法であるが、そのウィスカ法によっても遺伝子導入を行い、同様に抗生物質耐性を指標として選抜を行なった。なお遺伝子銃法については38回の導入を行い、29個の組換え再分化細胞を得、そのうち8個体から種子を収穫した。またウィスカ法で3回の処理を行い、18個の再分化個体を得てそのうちから6個体から種子を収穫した。
ハイグロマイシン耐性の胚組織をFNL0S3S3液体培地(FNライトマクロ塩、MSマクロ塩、およびビタミンB5からなり、アルギニン(1g/L)、3%スクロースおよび3%ソルビトールが添加されpH5.8に調整されている培地)へ移し、回転振盪器(100rpm)上で成熟させた。3から5週間後、過剰の液体を滅菌濾過フィルターによって不定胚から除去し、胚を乾燥したペトリ皿中に3日から5日間置き、MS塩、ビタミンB5および3%スクロースを含み、pH5.8に調整して0.2%ゲルライトで固化させたMS0培地へ移した。0.5×B5塩、0.5×ビタミンB5、2%スクロースおよび0.05%MES緩衝液からなり、pH5.8に調整され、0.2%ゲルライトで固化させた0.5×B5培地上で、発芽している幼植物を成長させた。根と芽が伸びた後に、土壌を含んでいるポットへ植物を移し、順化するまで高湿度に維持した。しだいに環境湿度に適応させ、自然光の温室中に置いた。
そのようにして作製した形質転換ダイズのT1世代の種子における4RPLKPW-α’の蓄積を、RPLKPWペプチドに対する抗血清を用いたウエスタンブロッティングで検出した(図3)。図3Aは20μgの種子蛋白質をSDS-PAGEで分離し、クマシーブリリアントブルーで染色した結果である。また図3Bは、種子蛋白質をRPLKPWに対する抗血清で免疫ブロット解析を行なった結果である。矢印はα’サブユニットに相当するバンドである。図3AのSDS-PAGEにおいて、形質転換種子では、α’サブユニットに相当する位置に特異的なバンドが検出された。
更にpUHG4RPLKPW-α’で形質転換したT2世代の形質転換植物体を用いてサザン解析を行なった(図4)。全DNAをEcoRIで消化し、アガロース電気泳動によって分離した。図4において、λHindIIIはλDNAをHindIIIで消化してλDNAに対して特異的なプローブとハイブリダイズした分子量推定用の標準サンプルの結果を示す。コントロールは形質転換を行なわなかった植物体の結果を示す。レーン1とレーン2は、遺伝子銃法(A)とウィスカ法(B)で形質転換した形質転換植物の結果を示す。分離されたDNA断片をナイロン膜に移し、4RPLKPW-αの特異的領域を含んでいるプローブと結合させた。コントロールでは殆どバンドは検出されなかったが、遺伝子銃法、ウィスカ法で形質転換した植物体ではそれぞれ数本のバンドが検出された。
T3世代の種子について4RPLKPW-αの定量を行なった(図5)。レーンには10μgの蛋白質を注入した。分離した蛋白質をPVDF膜上に移し、RPLKPWペプチドに対する抗血清でハイブリダイズした。図5の左側のレーンは、ウィスカ法で得られた組み換え体の種子について4RPLKPW-α’の蓄積を免疫ブロット解析で調べたデータである。そして右側のレーンは、Jackの種子蛋白質10μgに対して、大腸菌の発現系で調製した組換え型4RPLKPW-α’をそれぞれ10,30,50,70,90ng添加したものである。添加された組換え型4RPLKPW-α’の量はそれぞれ注入した蛋白質の0.1%、0.1%、0.3%、0.5%、0.7%、0.9%に対応する。各マーカー蛋白質の分子量(kDa)を左側に示す。なおコントロールは形質転換していない種子である。この結果から、ウィスカ法で得られた形質転換植物において、4RPLKPW-α’の蓄積レベルは種子中の蛋白質の約0.6%であると評価された。
4RPLKPW-α’導入ダイズと形質転換していないダイズ(品種:Jack)の種子を脱脂し、蛋白質を塩溶液により抽出し、85%飽和硫酸アンモニウムで沈殿した画分を回収した。ミリQ水に対して透析を行なった後、pH7に調整した際の可溶性画分を凍結乾燥した。高血圧ラット(SHR)に、4RPLKPW-α’導入ダイズ由来の蛋白質とコントロールダイズ由来の蛋白質を2.5mg/kgに相当する用量で強制的に経口投与し、テイルカフ法により血圧の経時変化を測定した(図6)。図6に見られるように、コントロール群では血圧降下作用は全く見られなかったが、4RPLKPW-α’導入ダイズ由来の蛋白質を投与した群では、投与して8時間後をピークとして30mmHg程度の有意な血圧降下作用が認められた。なおこの血圧降下作用は持続的であり、24時間の時点でもまだ続いており、32時間後に弱まり、48時間後にようやく消失した。つまり2日間にも渡る血圧降下作用が得られた。
なお大腸菌に発現させた4RPLKPW-α’の降圧効果を検討したOhnishiらの報告(Ohnishi et al., Peptides, 25, 37-43 (2004))では、最大の血圧降下作用は投与後4時間程度で得られ、その血圧降下作用は30mmHg程度である。よってダイズにおいて発現させた4RPLKPW-α’は、大腸菌から得られた4RPLKPW-α’と比較して血圧降下作用がより強く、作用時間もより長かった。ダイズ蛋白質中の4RPLKPW-α’が消化により切り出されるのに時間がかかるために、4RPLKPW-α’導入ダイズ由来の蛋白質を投与した際には血圧降下作用が長時間になると考えられる。
本発明者により、生理活性ペプチドが産生されるように改変されたダイズ蛋白質の遺伝子をダイズに導入することにより、生理活性ペプチドが蓄積された形質転換ダイズが開発された。そして、血圧降下ペプチドであるRPLKPWが蓄積した形質転換ダイズ由来の蛋白質を経口摂取すると、高血圧ラットにおいて血圧降下作用が得られることが実証された。RPLKPWのみならず、種々の生理活性ペプチドが蓄積された形質転換ダイズを、同様の手法で開発することが可能であり、本発明は高機能化した形質転換ダイズを得るための新たな可能性を与えるものである。
図1は、オリジナルのα’サブユニットのアミノ酸配列と、改変α’サブユニット(4RPLKPW-α’)のアミノ酸配列を比較した図である。 図2は、4RPLKPW-α’を含むプラスミドコンストラクトの構造を示す模式図である。 図3は、4RPLKPW-α’の蓄積をウエスタンブロッティングで検出した写真である。 図4は、T2世代の形質転換植物体において4RPLKPW-α’遺伝子の検出をサザンブロッティングで行なった写真である。 図5は、T3世代の種子について4RPLKPW-α’の蛋白量を定量した写真である。 図6は、4RPLKPW-α’導入ダイズの蛋白質と、形質転換していないダイズ由来の蛋白質の血圧降下作用を比較したグラフである。

Claims (6)

  1. ダイズの貯蔵蛋白質の遺伝子に生理活性ペプチドをコードする遺伝子が導入され、よって該生理活性ペプチドが該ダイズにおいて蓄積することを特徴とする形質転換ダイズ植物。
  2. 前記貯蔵蛋白質がβ-コングリシニンのα’サブユニットであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記生理活性ペプチドがRPLKPWからなるペプチドであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の形質転換ダイズ植物。
  4. 血圧降下ペプチドを蓄積することを特徴とする形質転換ダイズ植物。
  5. 前記血圧降下ペプチドがRPLKPWからなるペプチドであることを特徴とする請求項4記載の形質転換ダイズ植物。
  6. β-コングリシニンのα’サブユニットを改変することによりRPLKPWからなるペプチドが蓄積することを特徴とする請求項4または請求項5記載の形質転換ダイズ植物。
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