JPH10323137A - ラクトフェリン機能を食用植物に付与する方法、及びラクトフェリン機能を有する食用植物 - Google Patents
ラクトフェリン機能を食用植物に付与する方法、及びラクトフェリン機能を有する食用植物Info
- Publication number
- JPH10323137A JPH10323137A JP10093949A JP9394998A JPH10323137A JP H10323137 A JPH10323137 A JP H10323137A JP 10093949 A JP10093949 A JP 10093949A JP 9394998 A JP9394998 A JP 9394998A JP H10323137 A JPH10323137 A JP H10323137A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lactoferrin
- plant
- edible
- rice
- edible plant
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ラクトフェリン機能を食用植物に付与する方
法、及びラクトフェリン機能を有する食用植物を提供す
る。 【解決手段】 付与方法は、植物で機能することのでき
るプロモーターと、植物で機能することのできるターミ
ネーターと、ラクトフェリン遺伝子とを連結した発現プ
ラスミドを食用植物の細胞に導入してラクトフェリン発
現食用植物を作出することにより、ラクトフェリンに基
づく生理機能を前記食用植物に付与する。植物は、前記
発現プラスミドで形質転換した細胞を含み、ラクトフェ
リンに基づく生理機能を有する。
法、及びラクトフェリン機能を有する食用植物を提供す
る。 【解決手段】 付与方法は、植物で機能することのでき
るプロモーターと、植物で機能することのできるターミ
ネーターと、ラクトフェリン遺伝子とを連結した発現プ
ラスミドを食用植物の細胞に導入してラクトフェリン発
現食用植物を作出することにより、ラクトフェリンに基
づく生理機能を前記食用植物に付与する。植物は、前記
発現プラスミドで形質転換した細胞を含み、ラクトフェ
リンに基づく生理機能を有する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラクトフェリン
(Lactoferrin)に基づく生理機能を食用植
物に付与する方法、及びラクトフェリンに基づく生理機
能を有する食用植物に関する。本発明方法によって得ら
れるラクトフェリン発現組換え食用植物は、そのラクト
フェリン発現食用植物それ自体(若しくはその一部分)
又はそれから得られる食品(若しくは飼料)を動物が直
接に摂取すると、ラクトフェリンに基づく生理機能を、
その動物が享受することができる。
(Lactoferrin)に基づく生理機能を食用植
物に付与する方法、及びラクトフェリンに基づく生理機
能を有する食用植物に関する。本発明方法によって得ら
れるラクトフェリン発現組換え食用植物は、そのラクト
フェリン発現食用植物それ自体(若しくはその一部分)
又はそれから得られる食品(若しくは飼料)を動物が直
接に摂取すると、ラクトフェリンに基づく生理機能を、
その動物が享受することができる。
【0002】
【従来の技術】食品にはこれまで一般に2つの機能があ
ると考えられてきた。第1の機能は生命を維持する機能
であり、栄養機能と呼ばれる。第2の機能は感覚に訴え
る機能、すなわち、おいしさを感じさせる感覚機能であ
る。そして、近年、新たな機能として注目されるように
なったのが、第3の機能、すなわち高次の生命活動に対
する調節機能である。この第3の機能は、カロリーや栄
養価などの面だけで食品成分に備わっている機能を利用
するのではなく、より積極的に食品成分の機能を活用し
ようとする考え方から「機能性食品」あるいは「食品の
機能性」という考え方が生まれた。
ると考えられてきた。第1の機能は生命を維持する機能
であり、栄養機能と呼ばれる。第2の機能は感覚に訴え
る機能、すなわち、おいしさを感じさせる感覚機能であ
る。そして、近年、新たな機能として注目されるように
なったのが、第3の機能、すなわち高次の生命活動に対
する調節機能である。この第3の機能は、カロリーや栄
養価などの面だけで食品成分に備わっている機能を利用
するのではなく、より積極的に食品成分の機能を活用し
ようとする考え方から「機能性食品」あるいは「食品の
機能性」という考え方が生まれた。
【0003】この「機能性食品」あるいは「食品の機能
性」という考え方は、21世紀における高齢化社会への
対応において重要な意味を秘めている。すなわち、毎年
の高齢者増加による医療費はウナギ登りで今世紀中に2
0兆円を越えると推測がなされており、加えて、食生活
の欧米化による成人病の発症はますます低年齢化してい
る現状を考えると、食品の持つ機能を疾病予防あるいは
その改善に活用していくことが、今後ますます重要とな
ってくる。前記の機能性食品が有する第3の機能の具体
例としては、例えば、微生物感染に対する防御機能、ア
レルギーの低減化や免疫能力を高める生体防御機能、高
血圧や糖尿病、腫瘍、若しくは先天的代謝異常等を防止
し、回復する機能、神経活動や消化作用を調節する機
能、過酸化脂質生成を抑制して老化を防御する機能等が
ある。
性」という考え方は、21世紀における高齢化社会への
対応において重要な意味を秘めている。すなわち、毎年
の高齢者増加による医療費はウナギ登りで今世紀中に2
0兆円を越えると推測がなされており、加えて、食生活
の欧米化による成人病の発症はますます低年齢化してい
る現状を考えると、食品の持つ機能を疾病予防あるいは
その改善に活用していくことが、今後ますます重要とな
ってくる。前記の機能性食品が有する第3の機能の具体
例としては、例えば、微生物感染に対する防御機能、ア
レルギーの低減化や免疫能力を高める生体防御機能、高
血圧や糖尿病、腫瘍、若しくは先天的代謝異常等を防止
し、回復する機能、神経活動や消化作用を調節する機
能、過酸化脂質生成を抑制して老化を防御する機能等が
ある。
【0004】このような第3次機能の発現を担う素材の
一つにラクトフェリンがある。ラクトフェリンは哺乳動
物(ヒト、牛、羊、又は鼠等)の主としてミルク中に存
在する鉄結合性の糖タンパク質であり、抗菌作用、抗ウ
イルス作用、免疫賦活作用、細胞増殖調節作用、又は鉄
吸収調節作用などを有することが報告されている〔Ja
panese Journal Dairy and
Food Science,Vol.45,No.4
(1996)〕。特に、ヒトの初乳(出産後はじめて出
てくる母乳)においては、ラクトフェリンが初乳中のタ
ンパク質の約7割を占めており、母乳栄養児に感染症が
少ないのは、ラクトフェリンなどの免疫作用物質が乳児
に移行するためと考えられている。
一つにラクトフェリンがある。ラクトフェリンは哺乳動
物(ヒト、牛、羊、又は鼠等)の主としてミルク中に存
在する鉄結合性の糖タンパク質であり、抗菌作用、抗ウ
イルス作用、免疫賦活作用、細胞増殖調節作用、又は鉄
吸収調節作用などを有することが報告されている〔Ja
panese Journal Dairy and
Food Science,Vol.45,No.4
(1996)〕。特に、ヒトの初乳(出産後はじめて出
てくる母乳)においては、ラクトフェリンが初乳中のタ
ンパク質の約7割を占めており、母乳栄養児に感染症が
少ないのは、ラクトフェリンなどの免疫作用物質が乳児
に移行するためと考えられている。
【0005】一方、遺伝子工学的技術を用いた植物への
有用遺伝子の導入の試みが、近年、数多く進められてい
る。植物への遺伝子導入法としては、アグロバクテリウ
ムを用いる方法とエレクトロポレーション法が知られて
いる。また、近年、イネやコムギなどの単子葉植物の形
質転換にパーティクルガン法が広く利用され、多くの植
物で有用遺伝子の導入に成功した例が報告されている。
有用遺伝子の導入の試みが、近年、数多く進められてい
る。植物への遺伝子導入法としては、アグロバクテリウ
ムを用いる方法とエレクトロポレーション法が知られて
いる。また、近年、イネやコムギなどの単子葉植物の形
質転換にパーティクルガン法が広く利用され、多くの植
物で有用遺伝子の導入に成功した例が報告されている。
【0006】ヒト由来のラクトフェリン(ヒトラクトフ
ェリン)については、これまでにカビや酵母などの微生
物や、鼠などの高等動物で生産させた例が報告されてい
る〔G.J.Platenburg,Transgen
ic Res.vol3,99−108(1994
年)〕。しかしながら、ヒトラクトフェリン遺伝子の高
等植物への導入については、タバコでの報告が下記の2
例あるのみであった。まず、A.Mitra等(プラン
ト フィジオロジー,第106巻,第977〜981
頁,1994年)は、タバコにヒトラクトフェリン遺伝
子を導入したが、ヒトラクトフェリンとは分子量が異な
ったかなり小さなタンパク質を生産させたにすぎず、ヒ
トラクトフェリンの生産には至っていなかった。また、
WO96−37094では、形質転換したタバコ植物細
胞からヒトラクトフェリンと同一の大きさと推定される
タンパク質を検出し、植物病原ウイルスに対する抵抗性
が形質転換植物自身に付与されたことを報告している。
しかしながら、ヒトラクトフェリンが有している前記の
機能、すなわち、抗菌作用、免疫賦活作用、細胞増殖調
節作用、又は鉄吸収調節作用等の機能性の向上について
は言及していなかった。また、この形質転換タバコが産
生するヒトラクトフェリンを利用する場合には、形質転
換タバコからヒトラクトフェリンを抽出する必要があ
る。すなわち、ヒトラクトフェリン発現植物を動物に直
接摂取させて、ヒトラクトフェリンに基づく機能をその
動物に付与することは、前記のWO96−37094に
は示唆されていない。更に、組換えラクトフェリンを加
熱処理しても活性が維持されるとの報告は、従来全くな
かった。
ェリン)については、これまでにカビや酵母などの微生
物や、鼠などの高等動物で生産させた例が報告されてい
る〔G.J.Platenburg,Transgen
ic Res.vol3,99−108(1994
年)〕。しかしながら、ヒトラクトフェリン遺伝子の高
等植物への導入については、タバコでの報告が下記の2
例あるのみであった。まず、A.Mitra等(プラン
ト フィジオロジー,第106巻,第977〜981
頁,1994年)は、タバコにヒトラクトフェリン遺伝
子を導入したが、ヒトラクトフェリンとは分子量が異な
ったかなり小さなタンパク質を生産させたにすぎず、ヒ
トラクトフェリンの生産には至っていなかった。また、
WO96−37094では、形質転換したタバコ植物細
胞からヒトラクトフェリンと同一の大きさと推定される
タンパク質を検出し、植物病原ウイルスに対する抵抗性
が形質転換植物自身に付与されたことを報告している。
しかしながら、ヒトラクトフェリンが有している前記の
機能、すなわち、抗菌作用、免疫賦活作用、細胞増殖調
節作用、又は鉄吸収調節作用等の機能性の向上について
は言及していなかった。また、この形質転換タバコが産
生するヒトラクトフェリンを利用する場合には、形質転
換タバコからヒトラクトフェリンを抽出する必要があ
る。すなわち、ヒトラクトフェリン発現植物を動物に直
接摂取させて、ヒトラクトフェリンに基づく機能をその
動物に付与することは、前記のWO96−37094に
は示唆されていない。更に、組換えラクトフェリンを加
熱処理しても活性が維持されるとの報告は、従来全くな
かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、ラクトフ
ェリン遺伝子を食用植物に導入して発現させることがで
き、しかも発現されるラクトフェリンの活性が高く、加
熱処理後にも活性を維持することができること、及びそ
の形質転換食用植物から、優れた「機能性食品」及び
「機能性飼料」を得ることができることを見出した。本
発明はこうした知見に基づくものである。
ェリン遺伝子を食用植物に導入して発現させることがで
き、しかも発現されるラクトフェリンの活性が高く、加
熱処理後にも活性を維持することができること、及びそ
の形質転換食用植物から、優れた「機能性食品」及び
「機能性飼料」を得ることができることを見出した。本
発明はこうした知見に基づくものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、植物
で機能することのできるプロモーターと、植物で機能す
ることのできるターミネーターと、ラクトフェリン遺伝
子とを連結した発現プラスミドを食用植物の細胞に導入
してラクトフェリン発現食用植物を作出することによ
り、ラクトフェリンに基づく生理機能を前記食用植物に
付与する方法に関する。また、本発明は、植物で機能す
ることのできるプロモーターと植物で機能することので
きるターミネーターとの間にラクトフェリン遺伝子を連
結した発現プラスミドによって形質転換された食用植物
細胞にも関する。
で機能することのできるプロモーターと、植物で機能す
ることのできるターミネーターと、ラクトフェリン遺伝
子とを連結した発現プラスミドを食用植物の細胞に導入
してラクトフェリン発現食用植物を作出することによ
り、ラクトフェリンに基づく生理機能を前記食用植物に
付与する方法に関する。また、本発明は、植物で機能す
ることのできるプロモーターと植物で機能することので
きるターミネーターとの間にラクトフェリン遺伝子を連
結した発現プラスミドによって形質転換された食用植物
細胞にも関する。
【0009】更に、本発明は、前記の形質転換細胞を含
み、ラクトフェリンに基づく生理機能を有する食用植物
にも関する。更にまた、本発明は、前記の食用植物の少
なくとも一部分から得られ、ラクトフェリンに基づく生
理機能を有する機能性食品、又は機能性飼料にも関す
る。
み、ラクトフェリンに基づく生理機能を有する食用植物
にも関する。更にまた、本発明は、前記の食用植物の少
なくとも一部分から得られ、ラクトフェリンに基づく生
理機能を有する機能性食品、又は機能性飼料にも関す
る。
【0010】本明細書において、「食用植物」とは、そ
れ自体の一部若しくは全部を直接、ヒトを含む動物の食
用とすることのできる植物、又はそれ自体の一部若しく
は全部を食品(又は飼料)の原料とすることのできる植
物を意味する。前記の食用植物は、一般的に「作物」と
称されている。「作物」は、農作物と園芸作物の総称で
あって、農作物とは農耕による生産物あるいは田畑に栽
培される植物であり、園芸作物とは蔬菜、果樹、庭樹、
又は花卉等の植物であり、ヒト用の作物に限らず、ヒト
以外の動物用の作物(例えば、牧草や飼料用作物)も含
まれる。前記植物には、コケ、シダ、裸子植物及び被子
植物等が含まれ、被子植物は更に単子葉植物及び双子葉
植物よりなる。また、その食用植物の「細胞」とは、植
物に由来する任意の細胞を意味し、例えば、プロトプラ
スト、未分化組織(例えば、カルス)、種子、胎芽、花
粉、植物胚、不定胚、又は人工種子などを含む。
れ自体の一部若しくは全部を直接、ヒトを含む動物の食
用とすることのできる植物、又はそれ自体の一部若しく
は全部を食品(又は飼料)の原料とすることのできる植
物を意味する。前記の食用植物は、一般的に「作物」と
称されている。「作物」は、農作物と園芸作物の総称で
あって、農作物とは農耕による生産物あるいは田畑に栽
培される植物であり、園芸作物とは蔬菜、果樹、庭樹、
又は花卉等の植物であり、ヒト用の作物に限らず、ヒト
以外の動物用の作物(例えば、牧草や飼料用作物)も含
まれる。前記植物には、コケ、シダ、裸子植物及び被子
植物等が含まれ、被子植物は更に単子葉植物及び双子葉
植物よりなる。また、その食用植物の「細胞」とは、植
物に由来する任意の細胞を意味し、例えば、プロトプラ
スト、未分化組織(例えば、カルス)、種子、胎芽、花
粉、植物胚、不定胚、又は人工種子などを含む。
【0011】本明細書において、「ラクトフェリンに基
づく生理機能」とは、本発明方法によって得られるラク
トフェリン発現食用植物の少なくとも一部分(又はラク
トフェリン発現食用植物の少なくとも一部分から得られ
る食品若しくは飼料)を摂取する動物に対して、ラクト
フェリンが及ぼす生理機能を意味する。具体的には、抗
菌作用(殺菌作用若しくは静菌作用)、免疫賦活作用、
細胞増殖調節作用、鉄吸収調節作用、アレルギーの低減
化や免疫能力を高める生体防御機能、あるいは高血圧、
糖尿病、腫瘍、若しくは先天的代謝異常等を防止し回復
する機能、神経活動や消化作用を調節する機能、過酸化
脂質生成を抑制して老化を防御する機能等の高次の生命
活動に対する調節機能を挙げることができる。
づく生理機能」とは、本発明方法によって得られるラク
トフェリン発現食用植物の少なくとも一部分(又はラク
トフェリン発現食用植物の少なくとも一部分から得られ
る食品若しくは飼料)を摂取する動物に対して、ラクト
フェリンが及ぼす生理機能を意味する。具体的には、抗
菌作用(殺菌作用若しくは静菌作用)、免疫賦活作用、
細胞増殖調節作用、鉄吸収調節作用、アレルギーの低減
化や免疫能力を高める生体防御機能、あるいは高血圧、
糖尿病、腫瘍、若しくは先天的代謝異常等を防止し回復
する機能、神経活動や消化作用を調節する機能、過酸化
脂質生成を抑制して老化を防御する機能等の高次の生命
活動に対する調節機能を挙げることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で用いるプラスミドは、少
なくとも、 (1)植物で機能することのできるプロモーターを含む
配列 (2)ラクトフェリン遺伝子 (3)植物で機能することのできるターミネーターを含
む配列 をそのプラスミド上に含む。このプラスミドは、植物で
機能することのできるプロモーターを含む配列と、植物
で機能することのできるターミネーターを含む配列との
間にラクトフェリン遺伝子を含んでいることが好まし
い。
なくとも、 (1)植物で機能することのできるプロモーターを含む
配列 (2)ラクトフェリン遺伝子 (3)植物で機能することのできるターミネーターを含
む配列 をそのプラスミド上に含む。このプラスミドは、植物で
機能することのできるプロモーターを含む配列と、植物
で機能することのできるターミネーターを含む配列との
間にラクトフェリン遺伝子を含んでいることが好まし
い。
【0013】ラクトフェリン遺伝子は、任意の哺乳類の
ラクトフェリンをコードする遺伝子であることができ
る。前記の哺乳類としては、ヒト、牛、緬山羊(羊や山
羊など)、豚、犬、猫又は鼠などを挙げることができ
る。これら哺乳類のラクトフェリンのアミノ酸配列、及
びそれらラクトフェリンをコードする遺伝子の塩基配列
は各種の文献に記載されている〔例えば、Powell
等,ヌクレイック・アシッド・リサーチ,第18巻,第
4013頁(1990年);Mead等,ヌクレイック
・アシッド・リサーチ,第18巻,第7167頁(19
90年)〕。本発明においては、ラクトフェリン遺伝子
として、ラクトフェリン発現食用植物を摂取させる動物
に対応させて選択するのが好ましい。例えば、ラクトフ
ェリン発現食用植物をヒトに摂取させる場合には、ヒト
ラクトフェリン遺伝子を用い、牛に摂取させる場合に
は、ウシラクトフェリン遺伝子を用いるのが好ましい。
ラクトフェリンをコードする遺伝子であることができ
る。前記の哺乳類としては、ヒト、牛、緬山羊(羊や山
羊など)、豚、犬、猫又は鼠などを挙げることができ
る。これら哺乳類のラクトフェリンのアミノ酸配列、及
びそれらラクトフェリンをコードする遺伝子の塩基配列
は各種の文献に記載されている〔例えば、Powell
等,ヌクレイック・アシッド・リサーチ,第18巻,第
4013頁(1990年);Mead等,ヌクレイック
・アシッド・リサーチ,第18巻,第7167頁(19
90年)〕。本発明においては、ラクトフェリン遺伝子
として、ラクトフェリン発現食用植物を摂取させる動物
に対応させて選択するのが好ましい。例えば、ラクトフ
ェリン発現食用植物をヒトに摂取させる場合には、ヒト
ラクトフェリン遺伝子を用い、牛に摂取させる場合に
は、ウシラクトフェリン遺伝子を用いるのが好ましい。
【0014】ラクトフェリン遺伝子としては、ラクトフ
ェリンcDNA又はラクトフェリン類似体をコードする
塩基配列を含むDNAを用いることができる。ここでラ
クトフェリン類似体とは、ラクトフェリンのアミノ酸配
列において1個若しくは複数個のアミノ酸が付加、欠
失、若しくは置換されたアミノ酸配列を有し、しかも前
記のラクトフェリンに基づく生理機能を有するポリペプ
チドを意味する。また、ラクトフェリンcDNA又はラ
クトフェリン類似体をコードする塩基配列を含むDNA
は、ラクトフェリン若しくはラクトフェリン類似体の前
駆体又は成熟体をコードするDNAであることができ
る。
ェリンcDNA又はラクトフェリン類似体をコードする
塩基配列を含むDNAを用いることができる。ここでラ
クトフェリン類似体とは、ラクトフェリンのアミノ酸配
列において1個若しくは複数個のアミノ酸が付加、欠
失、若しくは置換されたアミノ酸配列を有し、しかも前
記のラクトフェリンに基づく生理機能を有するポリペプ
チドを意味する。また、ラクトフェリンcDNA又はラ
クトフェリン類似体をコードする塩基配列を含むDNA
は、ラクトフェリン若しくはラクトフェリン類似体の前
駆体又は成熟体をコードするDNAであることができ
る。
【0015】本発明で用いる「植物で機能することので
きるプロモーター」とは、そのプロモーターを植物内に
導入した場合に、RNAポリメラーゼが特異的に結合し
てその下流方向に転写をはじめることができるプロモー
ターを意味する。前記プロモーターとしては、例えば、
カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター〔ザ
・エンボジャーナル,第6巻,第3901〜3907頁
(1987年)〕、イネアクチンプロモーター〔R.W
u等,ザ・プラントセル,第2巻,第163〜171頁
(1990年)〕、イネグルテリンプロモーター〔高岩
等,プラント・モレキュラー・バイオロジー,第30
巻,第1207〜1221頁(1996年)〕、トウモ
ロコシ・ユビキチンプロモーター〔滝本等,プラント
モレキュラー バイオロジー,第26巻,第1007〜
1012頁(1994年)〕等を使用することができ
る。前記のプロモーターとしては、宿主となる食用植物
の主食部においてラクトフェリン又はラクトフェリン類
似体を高発現させることのできるプロモーターを用いる
のが好ましい。例えば、イネを用いて種子特異的に高発
現させる場合には、イネグルテリンプロモーターが好ま
しい。
きるプロモーター」とは、そのプロモーターを植物内に
導入した場合に、RNAポリメラーゼが特異的に結合し
てその下流方向に転写をはじめることができるプロモー
ターを意味する。前記プロモーターとしては、例えば、
カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター〔ザ
・エンボジャーナル,第6巻,第3901〜3907頁
(1987年)〕、イネアクチンプロモーター〔R.W
u等,ザ・プラントセル,第2巻,第163〜171頁
(1990年)〕、イネグルテリンプロモーター〔高岩
等,プラント・モレキュラー・バイオロジー,第30
巻,第1207〜1221頁(1996年)〕、トウモ
ロコシ・ユビキチンプロモーター〔滝本等,プラント
モレキュラー バイオロジー,第26巻,第1007〜
1012頁(1994年)〕等を使用することができ
る。前記のプロモーターとしては、宿主となる食用植物
の主食部においてラクトフェリン又はラクトフェリン類
似体を高発現させることのできるプロモーターを用いる
のが好ましい。例えば、イネを用いて種子特異的に高発
現させる場合には、イネグルテリンプロモーターが好ま
しい。
【0016】本発明で用いる「植物で機能することので
きるターミネーター」とは、そのターミネーターを植物
内に導入した場合に、その上流方向からの転写を終結さ
せ、ポリAを付加させることのできるターミネーターを
意味する。前記ターミネーターとしては、例えば、ノパ
リンシンターゼターミネーター、又はカリフラワーモザ
イクウイルス35Sターミネーター等を用いることがで
きる。前記のターミネーターとしては、宿主となる食用
植物の主食部においてラクトフェリン又はラクトフェリ
ン類似体を高発現させることのできるターミネーターを
用いるのが好ましい。
きるターミネーター」とは、そのターミネーターを植物
内に導入した場合に、その上流方向からの転写を終結さ
せ、ポリAを付加させることのできるターミネーターを
意味する。前記ターミネーターとしては、例えば、ノパ
リンシンターゼターミネーター、又はカリフラワーモザ
イクウイルス35Sターミネーター等を用いることがで
きる。前記のターミネーターとしては、宿主となる食用
植物の主食部においてラクトフェリン又はラクトフェリ
ン類似体を高発現させることのできるターミネーターを
用いるのが好ましい。
【0017】本発明で用いるプラスミドにおいて、前記
プロモーターを含む配列内の、プロモーターの制御配列
を含む配列の3’末端と、前記ターミネーターを含む配
列内の、ターミネーターの制御配列を含む配列の5’末
端との間に、植物で機能することのできるイントロンを
更に設けると、遺伝子の発現効率を向上させることがで
きたり、あるいは、mRNAの安定性を向上させること
ができるので好ましい。ここで「植物で機能することの
できるイントロン」とは、そのイントロンを植物に導入
した場合に、mRNAの核外への移行又はスプライシン
グに際し、取り除くことのできるイントロンを意味す
る。前記イントロンとしては、例えば、ヒマカタラーゼ
イントロン〔田中等,ヌクレイック アシッド リサー
チ,第18巻,第6767〜6770頁(1990
年)〕、又はトウモロコシユビキチンイントロン〔滝本
等,プラント モレキュラー バイオロジー,第26
巻,第1007〜1012頁(1994年)〕を使用す
ることができるが、トウモロコシユビキチンイントロン
が特に好ましい。なお、ラクトフェリンcDNA中へ前
記イントロンが挿入される部分は特に限定されない。
プロモーターを含む配列内の、プロモーターの制御配列
を含む配列の3’末端と、前記ターミネーターを含む配
列内の、ターミネーターの制御配列を含む配列の5’末
端との間に、植物で機能することのできるイントロンを
更に設けると、遺伝子の発現効率を向上させることがで
きたり、あるいは、mRNAの安定性を向上させること
ができるので好ましい。ここで「植物で機能することの
できるイントロン」とは、そのイントロンを植物に導入
した場合に、mRNAの核外への移行又はスプライシン
グに際し、取り除くことのできるイントロンを意味す
る。前記イントロンとしては、例えば、ヒマカタラーゼ
イントロン〔田中等,ヌクレイック アシッド リサー
チ,第18巻,第6767〜6770頁(1990
年)〕、又はトウモロコシユビキチンイントロン〔滝本
等,プラント モレキュラー バイオロジー,第26
巻,第1007〜1012頁(1994年)〕を使用す
ることができるが、トウモロコシユビキチンイントロン
が特に好ましい。なお、ラクトフェリンcDNA中へ前
記イントロンが挿入される部分は特に限定されない。
【0018】本発明で、パーティクルガン法などの直接
的な遺伝子導入法を利用する場合には、植物内で発現可
能なラクトフェリンcDNAを含むカセットと、植物内
で発現可能な選抜マーカー遺伝子のカセットとを、大腸
菌で一般的に用いられる多コピープラスミド〔例えば、
pUC19(宝酒造製)〕にクローン化して植物に導入
することができる。この際、選択マーカー遺伝子は、
(1)同一プラスミド上に保持させて導入することもで
き、あるいは(2)別々のプラスミド上に保持させ混合
して導入する(コトランスフォーメーション)こともで
きる。例えば、ビアラホス耐性(bar)遺伝子〔村上
等,モレキュラー・ジェネラル・ジェネティクス,第2
05巻,第42〜50頁(1986年)〕が、イネアク
チンプロモーターとノパリンシンターゼターミネーター
との間に含まれているプラスミドpDM302〔R.W
u等,プラント・セル・レポーツ,第11巻,第586
〜591頁(1992年)〕と、ラクトフェリン遺伝子
を有するプラスミドとを混合してコトランスフォームさ
せることにより、植物に遺伝子を導入することができ
る。
的な遺伝子導入法を利用する場合には、植物内で発現可
能なラクトフェリンcDNAを含むカセットと、植物内
で発現可能な選抜マーカー遺伝子のカセットとを、大腸
菌で一般的に用いられる多コピープラスミド〔例えば、
pUC19(宝酒造製)〕にクローン化して植物に導入
することができる。この際、選択マーカー遺伝子は、
(1)同一プラスミド上に保持させて導入することもで
き、あるいは(2)別々のプラスミド上に保持させ混合
して導入する(コトランスフォーメーション)こともで
きる。例えば、ビアラホス耐性(bar)遺伝子〔村上
等,モレキュラー・ジェネラル・ジェネティクス,第2
05巻,第42〜50頁(1986年)〕が、イネアク
チンプロモーターとノパリンシンターゼターミネーター
との間に含まれているプラスミドpDM302〔R.W
u等,プラント・セル・レポーツ,第11巻,第586
〜591頁(1992年)〕と、ラクトフェリン遺伝子
を有するプラスミドとを混合してコトランスフォームさ
せることにより、植物に遺伝子を導入することができ
る。
【0019】また、本発明で、アグロバクテリウムを介
した導入法を用いる場合には、植物内で発現可能なラク
トフェリンcDNAを含むカセットと植物内で発現可能
な選抜マーカー遺伝子のカセットとを含むアグロバクテ
リウム用のバイナリープラスミドを作成し、植物に導入
することができる。例えば、ラクトフェリンcDNAを
バイナリーベクターpBI121(クローンテック社
製)の35Sプロモーターとノパリンシンターゼターミ
ネーターとの間にクローン化し、このラクトフェリンc
DNAを含むバイナリープラスミドを有するアグロバク
テリウムを植物に感染させ、カナマイシン耐性により選
抜して形質転換細胞を得ることができ、更にその形質転
換細胞から植物体を得ることができる。
した導入法を用いる場合には、植物内で発現可能なラク
トフェリンcDNAを含むカセットと植物内で発現可能
な選抜マーカー遺伝子のカセットとを含むアグロバクテ
リウム用のバイナリープラスミドを作成し、植物に導入
することができる。例えば、ラクトフェリンcDNAを
バイナリーベクターpBI121(クローンテック社
製)の35Sプロモーターとノパリンシンターゼターミ
ネーターとの間にクローン化し、このラクトフェリンc
DNAを含むバイナリープラスミドを有するアグロバク
テリウムを植物に感染させ、カナマイシン耐性により選
抜して形質転換細胞を得ることができ、更にその形質転
換細胞から植物体を得ることができる。
【0020】選抜マーカー遺伝子としては、ハイグロマ
イシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、又はba
r遺伝子などを用いることができる。なお、導入する植
物が単子葉植物であるイネ科植物などの場合は、bar
遺伝子が特に好ましい〔滝本等,プラント モレキュラ
ー バイオロジー,第26巻,第1007〜1012頁
(1994年)〕。
イシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、又はba
r遺伝子などを用いることができる。なお、導入する植
物が単子葉植物であるイネ科植物などの場合は、bar
遺伝子が特に好ましい〔滝本等,プラント モレキュラ
ー バイオロジー,第26巻,第1007〜1012頁
(1994年)〕。
【0021】構築したプラスミドを高等植物に導入する
方法としては、植物の形質転換法として確立されている
任意の方法を利用することができる。例えば、エレクト
ロポレーションやポリエチレングリコールによる植物プ
ロトプラストへの直接導入法やミクロプロジェクタイル
を利用して植物細胞に直接導入するパーティクルガン
法、又はアグロバクテリウムを介した導入方法を用いる
ことができる。イネの場合には、パーティクルガン法あ
るいはアグロバクテリウムを介した導入方法が好まし
い。また、形質転換する細胞としては導入方法に適した
細胞や組織を用いることができる。イネの場合は、例え
ば、適切な組織として未熟種子あるいは完熟種子より摘
出した胚あるいは誘導したカルスを用いることができ
る。
方法としては、植物の形質転換法として確立されている
任意の方法を利用することができる。例えば、エレクト
ロポレーションやポリエチレングリコールによる植物プ
ロトプラストへの直接導入法やミクロプロジェクタイル
を利用して植物細胞に直接導入するパーティクルガン
法、又はアグロバクテリウムを介した導入方法を用いる
ことができる。イネの場合には、パーティクルガン法あ
るいはアグロバクテリウムを介した導入方法が好まし
い。また、形質転換する細胞としては導入方法に適した
細胞や組織を用いることができる。イネの場合は、例え
ば、適切な組織として未熟種子あるいは完熟種子より摘
出した胚あるいは誘導したカルスを用いることができ
る。
【0022】上記方法により得られた遺伝子を導入した
細胞又は組織を選抜し、任意の方法により植物体を再生
させることができる。イネの場合には、例えば、遺伝子
を導入した組織を選択マーカーに対応した選択薬剤及び
植物ホルモンを含む培地に移植して数週間培養すれば、
形質転換した細胞(カルス)を得ることができる。その
後、得られた細胞(カルス)を適切な増殖培地に移し、
更に、適切な再分化培地で培養すれば、形質転換したイ
ネ植物体を得ることができる。なお、ラクトフェリンの
発現は、免疫学的な解析により確認することができる。
細胞又は組織を選抜し、任意の方法により植物体を再生
させることができる。イネの場合には、例えば、遺伝子
を導入した組織を選択マーカーに対応した選択薬剤及び
植物ホルモンを含む培地に移植して数週間培養すれば、
形質転換した細胞(カルス)を得ることができる。その
後、得られた細胞(カルス)を適切な増殖培地に移し、
更に、適切な再分化培地で培養すれば、形質転換したイ
ネ植物体を得ることができる。なお、ラクトフェリンの
発現は、免疫学的な解析により確認することができる。
【0023】本発明において、ラクトフェリン遺伝子を
導入する食用植物は特に限定されないが、高等植物を用
いることが好ましい。なお、前記の食用植物には、ヒト
用食用植物だけでなく、牧草及び飼料用作物が含まれ
る。これらの食用植物としては、例えば、単子葉植物で
は、ユリ科(タマネギ、ネギ、ニンニク、アスパラガス
等)、イネ科(イネ、コムギ、トウモロコシ等)、サト
イモ科(サトイモ、コンニャク等)等、双子葉植物で
は、アカザ科(ホウレンソウ等)、アブラナ科(ハクサ
イ、カブ、キャベツ、ダイコン、シロイヌナズナ等)、
マメ科(ダイズ、エンドウ、インゲンマメ等)、セリ科
(ニンジン、セロリ、パセリ等)、ナス科(タバコ、ト
マト、ジャガイモ、ナス等)、ウリ科(キュウリ、メロ
ン、スイカ等)、又はキク科(レタス等)等の各植物を
挙げることができる。なお、牧草及び飼料用作物として
は、例えば、単子葉植物ではイネ科(オーチャードグラ
ス、チモシー、トウモロコシ、ソルガム、えん麦等)、
又はマメ科(クローバー、アルファルファ、ダイズ等)
等の植物を挙げることができる。
導入する食用植物は特に限定されないが、高等植物を用
いることが好ましい。なお、前記の食用植物には、ヒト
用食用植物だけでなく、牧草及び飼料用作物が含まれ
る。これらの食用植物としては、例えば、単子葉植物で
は、ユリ科(タマネギ、ネギ、ニンニク、アスパラガス
等)、イネ科(イネ、コムギ、トウモロコシ等)、サト
イモ科(サトイモ、コンニャク等)等、双子葉植物で
は、アカザ科(ホウレンソウ等)、アブラナ科(ハクサ
イ、カブ、キャベツ、ダイコン、シロイヌナズナ等)、
マメ科(ダイズ、エンドウ、インゲンマメ等)、セリ科
(ニンジン、セロリ、パセリ等)、ナス科(タバコ、ト
マト、ジャガイモ、ナス等)、ウリ科(キュウリ、メロ
ン、スイカ等)、又はキク科(レタス等)等の各植物を
挙げることができる。なお、牧草及び飼料用作物として
は、例えば、単子葉植物ではイネ科(オーチャードグラ
ス、チモシー、トウモロコシ、ソルガム、えん麦等)、
又はマメ科(クローバー、アルファルファ、ダイズ等)
等の植物を挙げることができる。
【0024】本発明方法によって得られたラクトフェリ
ン発現形質転換食用植物は、その植物体からラクトフェ
リンを抽出せずに、その形質転換植物体それ自体(又は
その少なくとも一部分)を、動物に直接摂取させること
により、その動物に、ラクトフェリンに基づく生理機能
を付与することができる。すなわち、前記の形質転換植
物体の全体が食用部である場合には、その形質転換植物
体の全体あるいはその一部分(例えば、果実、葉、茎、
地下茎、根、又は花弁)、あるいは、前記の形質転換植
物体の一部分が食用部である場合には、その形質転換植
物体の一部分を、機能性食品又は機能性飼料として動物
に直接摂取させることができる。
ン発現形質転換食用植物は、その植物体からラクトフェ
リンを抽出せずに、その形質転換植物体それ自体(又は
その少なくとも一部分)を、動物に直接摂取させること
により、その動物に、ラクトフェリンに基づく生理機能
を付与することができる。すなわち、前記の形質転換植
物体の全体が食用部である場合には、その形質転換植物
体の全体あるいはその一部分(例えば、果実、葉、茎、
地下茎、根、又は花弁)、あるいは、前記の形質転換植
物体の一部分が食用部である場合には、その形質転換植
物体の一部分を、機能性食品又は機能性飼料として動物
に直接摂取させることができる。
【0025】前記のラクトフェリン発現形質転換食用植
物を摂取させる動物は、特に限定されるものではない
が、哺乳類(ヒトを含む)、鳥類、又は水産動物(魚
類、又は貝類)が含まれる。前記の動物としては、特に
はヒトが対象となる他、ヒト以外の有用な哺乳類や鳥
類、例えば、家畜(例えば、牛、馬、豚、緬山羊、ウサ
ギ、鶏、七面鳥、又はウズラなど)、又はコンパニオン
アニマル(例えば、犬、猫又は鳥などの小動物)、ある
いは養殖水産動物、特には養殖魚介類、例えば、スズキ
目、フグ目、カレイ目、エビ目、又はアコヤ貝など、例
えば、タイ、ブリ、ウナギ、ギンザケ、コイ、ニジマ
ス、又はアユなどを挙げることができる。
物を摂取させる動物は、特に限定されるものではない
が、哺乳類(ヒトを含む)、鳥類、又は水産動物(魚
類、又は貝類)が含まれる。前記の動物としては、特に
はヒトが対象となる他、ヒト以外の有用な哺乳類や鳥
類、例えば、家畜(例えば、牛、馬、豚、緬山羊、ウサ
ギ、鶏、七面鳥、又はウズラなど)、又はコンパニオン
アニマル(例えば、犬、猫又は鳥などの小動物)、ある
いは養殖水産動物、特には養殖魚介類、例えば、スズキ
目、フグ目、カレイ目、エビ目、又はアコヤ貝など、例
えば、タイ、ブリ、ウナギ、ギンザケ、コイ、ニジマ
ス、又はアユなどを挙げることができる。
【0026】動物に摂取させる形態も特に限定されるも
のではなく、対象となる食用植物の通常の形態で摂取さ
せることができる。特に、本発明方法によって得られた
ラクトフェリン発現形質転換食用植物においては、後述
する実施例に示すとおり、天然ラクトフェリン標準品よ
りも高活性の組換えラクトフェリンが得られるので、生
食の形態で効果的に摂取させることができる。例えば、
ヒトに摂取させる場合には、生食の形態(例えば、サラ
ダ、ジュース又は漬物等)、あるいは家畜などの動物に
対しては、牧草や配合飼料の形態、小動物に対してはフ
ード(例えば、ドッグフードやキャットフードなど)の
形態、また、養殖魚介類に対しては配合飼料の形態であ
ることができる。
のではなく、対象となる食用植物の通常の形態で摂取さ
せることができる。特に、本発明方法によって得られた
ラクトフェリン発現形質転換食用植物においては、後述
する実施例に示すとおり、天然ラクトフェリン標準品よ
りも高活性の組換えラクトフェリンが得られるので、生
食の形態で効果的に摂取させることができる。例えば、
ヒトに摂取させる場合には、生食の形態(例えば、サラ
ダ、ジュース又は漬物等)、あるいは家畜などの動物に
対しては、牧草や配合飼料の形態、小動物に対してはフ
ード(例えば、ドッグフードやキャットフードなど)の
形態、また、養殖魚介類に対しては配合飼料の形態であ
ることができる。
【0027】更に、本発明方法によって得られたラクト
フェリン発現形質転換食用植物においては、後述する実
施例に示すとおり、加熱処理後においても高いラクトフ
ェリン活性が維持されるので、加熱処理を伴う調理・加
工食品の形態で機能性食品又は機能性飼料として動物に
効果的に摂取させることもできる。例えば、イネの場合
には、その種子である米を用いた調理品(炊飯されたご
飯やおにぎり等)、あるいは米関連食品(餅、煎餅、団
子等)の形態で摂取させることができる。また、トマト
などの場合には、果実部から加熱処理を経て製造するト
マトケチャップなどに好適に利用することができる。更
に、ヒト以外の動物に対しても、加熱処理を伴う調理・
加工飼料の形態で効果的に摂取させることができる。な
お、加熱処理後においても前記のラクトフェリン活性が
維持される理由は必ずしも明確ではないが、本発明は、
その理由によって限定されるものではない。すなわち、
ラクトフェリン自体が耐熱性を有しているために、その
活性が維持される場合、あるいはラクトフェリン自体は
分解されるが、その分解産物がラクトフェリン活性を有
している場合のいずれであっても、前記の組換えラクト
フェリンを含有しているラクトフェリン発現形質転換食
用植物(又はその一部分)を加熱処理し、そのラクトフ
ェリン活性を維持した状態で、前記のように有効に利用
することができる。また、加熱処理工程を含まない加工
機能性食品(例えば、菓子、缶詰、レトルト食品あるい
は冷凍食品等)あるいは加工機能性飼料として摂取させ
ることができる。
フェリン発現形質転換食用植物においては、後述する実
施例に示すとおり、加熱処理後においても高いラクトフ
ェリン活性が維持されるので、加熱処理を伴う調理・加
工食品の形態で機能性食品又は機能性飼料として動物に
効果的に摂取させることもできる。例えば、イネの場合
には、その種子である米を用いた調理品(炊飯されたご
飯やおにぎり等)、あるいは米関連食品(餅、煎餅、団
子等)の形態で摂取させることができる。また、トマト
などの場合には、果実部から加熱処理を経て製造するト
マトケチャップなどに好適に利用することができる。更
に、ヒト以外の動物に対しても、加熱処理を伴う調理・
加工飼料の形態で効果的に摂取させることができる。な
お、加熱処理後においても前記のラクトフェリン活性が
維持される理由は必ずしも明確ではないが、本発明は、
その理由によって限定されるものではない。すなわち、
ラクトフェリン自体が耐熱性を有しているために、その
活性が維持される場合、あるいはラクトフェリン自体は
分解されるが、その分解産物がラクトフェリン活性を有
している場合のいずれであっても、前記の組換えラクト
フェリンを含有しているラクトフェリン発現形質転換食
用植物(又はその一部分)を加熱処理し、そのラクトフ
ェリン活性を維持した状態で、前記のように有効に利用
することができる。また、加熱処理工程を含まない加工
機能性食品(例えば、菓子、缶詰、レトルト食品あるい
は冷凍食品等)あるいは加工機能性飼料として摂取させ
ることができる。
【0028】これらの機能性食品又は機能性飼料には、
ラクトフェリンが及ぼす生理機能、例えば、抗菌作用
(殺菌作用若しくは静菌作用)、免疫賦活作用、細胞増
殖調節作用、鉄吸収調節作用、アレルギーの低減化や免
疫能力を高める生体防御機能、あるいは高血圧、糖尿
病、腫瘍、若しくは先天的代謝異常等を防止し回復する
機能、神経活動や消化作用を調節する機能、過酸化脂質
生成を抑制して老化を防御する機能等の高次の生命活動
に対する調節機能の付与を期待することができる。
ラクトフェリンが及ぼす生理機能、例えば、抗菌作用
(殺菌作用若しくは静菌作用)、免疫賦活作用、細胞増
殖調節作用、鉄吸収調節作用、アレルギーの低減化や免
疫能力を高める生体防御機能、あるいは高血圧、糖尿
病、腫瘍、若しくは先天的代謝異常等を防止し回復する
機能、神経活動や消化作用を調節する機能、過酸化脂質
生成を抑制して老化を防御する機能等の高次の生命活動
に対する調節機能の付与を期待することができる。
【0029】本発明方法によって得られたラクトフェリ
ン発現形質転換食用植物あるいは形質転換細胞から、公
知の方法を用いることにより、組換えラクトフェリンを
抽出することもできる。例えば、適切な抽出液〔例え
ば、0.1M食塩を含む50mMTrisバッファー
(pH7.0)など〕を入れて植物組織を破砕し、その
後遠心によりラクトフェリン抽出液を得る。この抽出液
に70%飽和硫酸アンモニウムを添加し、遠心により沈
殿を回収する。この沈殿を適切な抽出液〔例えば、0.
1M食塩を含む50mMTrisバッファー(pH7.
0)など〕に溶解し、透析し、適切なイオン交換クロマ
トグラフィーに供する。例えばCM−セファデックスカ
ラムに吸着させ、1.1M食塩を含む適切なバッファー
で組換えラクトフェリンを溶出することができる。溶出
した後、透析を行って脱塩し、このタンパク質溶液を凍
結乾燥することにより、部分精製の組換えラクトフェリ
ン画分を得ることができる。
ン発現形質転換食用植物あるいは形質転換細胞から、公
知の方法を用いることにより、組換えラクトフェリンを
抽出することもできる。例えば、適切な抽出液〔例え
ば、0.1M食塩を含む50mMTrisバッファー
(pH7.0)など〕を入れて植物組織を破砕し、その
後遠心によりラクトフェリン抽出液を得る。この抽出液
に70%飽和硫酸アンモニウムを添加し、遠心により沈
殿を回収する。この沈殿を適切な抽出液〔例えば、0.
1M食塩を含む50mMTrisバッファー(pH7.
0)など〕に溶解し、透析し、適切なイオン交換クロマ
トグラフィーに供する。例えばCM−セファデックスカ
ラムに吸着させ、1.1M食塩を含む適切なバッファー
で組換えラクトフェリンを溶出することができる。溶出
した後、透析を行って脱塩し、このタンパク質溶液を凍
結乾燥することにより、部分精製の組換えラクトフェリ
ン画分を得ることができる。
【0030】こうして得られた部分精製組換えラクトフ
ェリン分画に対して、例えば、その抗菌活性を調べるこ
とができる。抗菌試験の検定菌としては、Bacillus subtilis(ATCC 66
33) Streptococcus bovis JCM−5
672 Listeria monocytogenes ID
F−1b Escherichia coli IID−861 などを用いることができる。
ェリン分画に対して、例えば、その抗菌活性を調べるこ
とができる。抗菌試験の検定菌としては、Bacillus subtilis(ATCC 66
33) Streptococcus bovis JCM−5
672 Listeria monocytogenes ID
F−1b Escherichia coli IID−861 などを用いることができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【実施例1】 《ヒトラクトフェリンcDNAの取得と発現用プラスミ
ドの構築》ヒトラクトフェリンcDNA配列(GenB
ank Accession No.X53961)よ
りデザインした一対のプライマー、すなわち、配列表の
配列番号1で表される塩基配列からなるプライマーLT
F1、及び配列表の配列番号2で表される塩基配列から
なるプライマーLTF2をそれぞれ合成した。
ドの構築》ヒトラクトフェリンcDNA配列(GenB
ank Accession No.X53961)よ
りデザインした一対のプライマー、すなわち、配列表の
配列番号1で表される塩基配列からなるプライマーLT
F1、及び配列表の配列番号2で表される塩基配列から
なるプライマーLTF2をそれぞれ合成した。
【0032】ヒト乳腺ポリA+ RNA(クローンテック
社)よりcDNA合成キット(ファルマシア社)を用い
てcDNAを合成した。このcDNAを鋳型とし、前述
の2本のプライマーLTF1及びプライマーLTF2を
用いて、TaqDNAポリメラーゼ(ニッポンジーン
社)によるポリメラーゼ・チェイン・リアクション(P
CR)を行った。
社)よりcDNA合成キット(ファルマシア社)を用い
てcDNAを合成した。このcDNAを鋳型とし、前述
の2本のプライマーLTF1及びプライマーLTF2を
用いて、TaqDNAポリメラーゼ(ニッポンジーン
社)によるポリメラーゼ・チェイン・リアクション(P
CR)を行った。
【0033】増幅したPCR断片をプローブに用いて、
ヒト乳腺cDNAファージライブラリー(クローンテッ
ク社)からプラークハイブリダイゼーションにより、ラ
クトフェリンcDNAを有するクローンのスクリーニン
グを行った。得られた陽性クローンを前記ファージライ
ブラリーに添付のプロトコールに記載の方法により、フ
ァージからプラスミドに変換し、ヒトラクトフェリンc
DNAを有するプラスミドpDR−LTF DNAを調
製した。このプラスミドDNAをBamHI(宝酒造
製)及びXbaI(宝酒造製)で2重切断し、市販ベク
ターpBluescriptII KS+(東洋紡製)
の同部位にサブクローニングした。得られたプラスミド
をpBS−LTFと命名した。更に、このプラスミドD
NAをBamHI及びSacI(宝酒造製)で2重切断
して得られるヒトラクトフェリン遺伝子を含む約2.4
KbのDNA断片を、プラスミドpUBA〔滝本等,プ
ラント モレキュラー バイオロジー,第26巻,第1
007〜1012頁(1994年)〕のBamHI及び
SacIとの間に存在するビアラホス耐性遺伝子と置換
する形でサブクローニングし、プラスミドpULTFを
得た。こうして得られたプラスミドpULTFの構造を
図1に示す。このプラスミドpULTFは、トウモロコ
シユビキチンプロモーター(図1のUbi promo
ter)、エクソン(図1のexon I)、イントロ
ン(図1のintron I)、ヒトラクトフェリンc
DNA(図1のLTF)、ノパリンシンターゼのターミ
ネーター(図1のnos 3’)、そしてアンピシリン
耐性遺伝子(amp)を有しており、後述する実施例に
おいて、イネへの形質転換に用いた。
ヒト乳腺cDNAファージライブラリー(クローンテッ
ク社)からプラークハイブリダイゼーションにより、ラ
クトフェリンcDNAを有するクローンのスクリーニン
グを行った。得られた陽性クローンを前記ファージライ
ブラリーに添付のプロトコールに記載の方法により、フ
ァージからプラスミドに変換し、ヒトラクトフェリンc
DNAを有するプラスミドpDR−LTF DNAを調
製した。このプラスミドDNAをBamHI(宝酒造
製)及びXbaI(宝酒造製)で2重切断し、市販ベク
ターpBluescriptII KS+(東洋紡製)
の同部位にサブクローニングした。得られたプラスミド
をpBS−LTFと命名した。更に、このプラスミドD
NAをBamHI及びSacI(宝酒造製)で2重切断
して得られるヒトラクトフェリン遺伝子を含む約2.4
KbのDNA断片を、プラスミドpUBA〔滝本等,プ
ラント モレキュラー バイオロジー,第26巻,第1
007〜1012頁(1994年)〕のBamHI及び
SacIとの間に存在するビアラホス耐性遺伝子と置換
する形でサブクローニングし、プラスミドpULTFを
得た。こうして得られたプラスミドpULTFの構造を
図1に示す。このプラスミドpULTFは、トウモロコ
シユビキチンプロモーター(図1のUbi promo
ter)、エクソン(図1のexon I)、イントロ
ン(図1のintron I)、ヒトラクトフェリンc
DNA(図1のLTF)、ノパリンシンターゼのターミ
ネーター(図1のnos 3’)、そしてアンピシリン
耐性遺伝子(amp)を有しており、後述する実施例に
おいて、イネへの形質転換に用いた。
【0034】
【実施例2】 《イネの形質転換》 (1)完熟種子よりの胚組織摘出 イネ品種コシヒカリの完熟種子を脱籾した後、3.5%
次亜塩素酸カルシュウム溶液中で、脱気撹拌しながら殺
菌を30分間行った。その後、滅菌水で充分洗浄してか
ら滅菌濾紙上で水分を除き、2,4−ジクロロフェノキ
シ酢酸(2,4−D)3ppmを含む、N6培地〔C.
C.Chu等,サイエンス・シニカ,第18巻,第65
9頁(1975年)〕にジェランガム0.4%を添加し
たカルス誘導培地(特開平5−292955号公報)に
置床し、25℃にて暗所で培養した。培養開始から6日
後に、肥大してきた胚組織のみを摘出した。摘出した組
織は胚盤側を上にして、前記と同じ組成のカルス誘導培
地(特開平5−292955号公報)の入った6cmシ
ャーレに並べた。並べ方は半径1cmの円周上に沿って
10〜20個を並べてショット用シャーレとした。
次亜塩素酸カルシュウム溶液中で、脱気撹拌しながら殺
菌を30分間行った。その後、滅菌水で充分洗浄してか
ら滅菌濾紙上で水分を除き、2,4−ジクロロフェノキ
シ酢酸(2,4−D)3ppmを含む、N6培地〔C.
C.Chu等,サイエンス・シニカ,第18巻,第65
9頁(1975年)〕にジェランガム0.4%を添加し
たカルス誘導培地(特開平5−292955号公報)に
置床し、25℃にて暗所で培養した。培養開始から6日
後に、肥大してきた胚組織のみを摘出した。摘出した組
織は胚盤側を上にして、前記と同じ組成のカルス誘導培
地(特開平5−292955号公報)の入った6cmシ
ャーレに並べた。並べ方は半径1cmの円周上に沿って
10〜20個を並べてショット用シャーレとした。
【0035】(2)パ−ティクルガンによる遺伝子導入 パ−ティクルガン装置は、空気圧式のレ−ボック商工モ
デル260を用いた。実施例1で構築したプラスミドp
ULTFと、実施例1で用いたプラスミドpUBAとを
1:1に混合したDNA液16μlを、森川らの方法
〔植物細胞工学,第4巻,第43頁〜第48頁(199
2年)〕に準じて、1ミクロン金粒子にコ−ティング
し、専用プロジェクタイル(弾)に乗せて、自然乾燥し
た。1弾当たり0.1mg金粒子及び0.4μgDNA
を含む弾を、ショット用シャ−レに2弾ショットして
(発射圧力=ポンピング8回;試料間距離=6cm)、
2種類の遺伝子を導入した。
デル260を用いた。実施例1で構築したプラスミドp
ULTFと、実施例1で用いたプラスミドpUBAとを
1:1に混合したDNA液16μlを、森川らの方法
〔植物細胞工学,第4巻,第43頁〜第48頁(199
2年)〕に準じて、1ミクロン金粒子にコ−ティング
し、専用プロジェクタイル(弾)に乗せて、自然乾燥し
た。1弾当たり0.1mg金粒子及び0.4μgDNA
を含む弾を、ショット用シャ−レに2弾ショットして
(発射圧力=ポンピング8回;試料間距離=6cm)、
2種類の遺伝子を導入した。
【0036】(3)形質転換カルスの選択培養及び植物
体への再分化 前記実施例2(2)でショットしたシャ−レより胚組織
を、ビアラホス10ppmを含むカルス誘導培地(2,
4−Dの3ppm及びジェランガム0.4%を添加した
N6培地)に移植し、25℃暗所で7日間培養した後、
明所で培養を継続した。培養4〜8週間で遺伝子導入に
よりビアラホス耐性となったカルスが胚盤上に形成され
るので、そのカルス部分を切り出し、ビアラホス10p
pmを含んだカルス誘導培地に移植した。
体への再分化 前記実施例2(2)でショットしたシャ−レより胚組織
を、ビアラホス10ppmを含むカルス誘導培地(2,
4−Dの3ppm及びジェランガム0.4%を添加した
N6培地)に移植し、25℃暗所で7日間培養した後、
明所で培養を継続した。培養4〜8週間で遺伝子導入に
よりビアラホス耐性となったカルスが胚盤上に形成され
るので、そのカルス部分を切り出し、ビアラホス10p
pmを含んだカルス誘導培地に移植した。
【0037】こうして、pULTFとpUBAとで形質
転換されたイネ由来のカルスを15系統得た。このカル
スより沖井等の方法(特開平5−292955号公報)
に準じて植物体へ再分化させた。
転換されたイネ由来のカルスを15系統得た。このカル
スより沖井等の方法(特開平5−292955号公報)
に準じて植物体へ再分化させた。
【0038】
【実施例3】 《ウエスタン解析によるラクトフェリンタンパク質の検
出》実施例2で得られた15系統の形質転換イネカルス
についてウエスタン解析を行ない、ラクトフェリンの発
現を調べた。カルスからのタンパク質試料の抽出は、カ
ルス0.1gに50mMトリス−塩酸(pH7.0)2
00μlと海砂を加えハンドホモゲナイザーで抽出し
た。得られた抽出液を12000rpmで10分間遠心
し、その上澄液をタンパク質濃度測定して試料とした。
1ウェルあたりタンパク質50μgの量の試料を10−
20%グラジエントSDSポリアクリルアミドゲル(第
一化学製,マルチゲル)電気泳動で展開し、PVDF膜
に転写した後、ウサギ抗ラクトフェリン血清を一次抗体
に、HRP標識抗ウサギIgG抗体を二次抗体にして、
反応するバンドをコニカ発色キット(コニカ社)で、免
疫化学的に検出した。その結果の一部を図2に模式的に
示す。図2において、レーン1〜レーン4はそれぞれ形
質転換カルスの結果、レーンCは非形質転換カルスの結
果、そしてレーンLTFは標準品ラクトフェリンの結果
を示し、Mは分子量マーカーである。また、各形質転換
カルス及び天然ヒトラクトフェリン(標準品ラクトフェ
リン)では、矢印で示すほぼ同じ位置に、抗ヒトラクト
フェリン血清と反応する太いバンドが認められ、形質転
換カルスの発現量は強い物(レーン1、レーン2及びレ
ーン4)から弱いもの(レーン3)までばらついた。更
に、低分子量域にも数本の薄いバンド(図2では破線で
示す)が認められた。非形質転換イネカルスには、反応
するバンドが無いことも確認した。
出》実施例2で得られた15系統の形質転換イネカルス
についてウエスタン解析を行ない、ラクトフェリンの発
現を調べた。カルスからのタンパク質試料の抽出は、カ
ルス0.1gに50mMトリス−塩酸(pH7.0)2
00μlと海砂を加えハンドホモゲナイザーで抽出し
た。得られた抽出液を12000rpmで10分間遠心
し、その上澄液をタンパク質濃度測定して試料とした。
1ウェルあたりタンパク質50μgの量の試料を10−
20%グラジエントSDSポリアクリルアミドゲル(第
一化学製,マルチゲル)電気泳動で展開し、PVDF膜
に転写した後、ウサギ抗ラクトフェリン血清を一次抗体
に、HRP標識抗ウサギIgG抗体を二次抗体にして、
反応するバンドをコニカ発色キット(コニカ社)で、免
疫化学的に検出した。その結果の一部を図2に模式的に
示す。図2において、レーン1〜レーン4はそれぞれ形
質転換カルスの結果、レーンCは非形質転換カルスの結
果、そしてレーンLTFは標準品ラクトフェリンの結果
を示し、Mは分子量マーカーである。また、各形質転換
カルス及び天然ヒトラクトフェリン(標準品ラクトフェ
リン)では、矢印で示すほぼ同じ位置に、抗ヒトラクト
フェリン血清と反応する太いバンドが認められ、形質転
換カルスの発現量は強い物(レーン1、レーン2及びレ
ーン4)から弱いもの(レーン3)までばらついた。更
に、低分子量域にも数本の薄いバンド(図2では破線で
示す)が認められた。非形質転換イネカルスには、反応
するバンドが無いことも確認した。
【0039】
【実施例4】 《組換えラクトフェリンの精製》ラクトフェリン導入イ
ネカルス15系統のうち、前記実施例3のウエスタン解
析において最も強い発現を示した系統をKL−8と命名
した。このKL−8系統由来のカルス40gを、乳鉢と
乳棒を用いて破砕し、0.1M−NaClを含む50m
M−Tris−塩酸バッファー(pH7.0)80ml
で抽出し、遠心後の上清を回収して粗抽出液とした。こ
の粗抽出液に70%飽和硫酸アンモニウムを添加し、遠
心により沈殿を回収した。この沈殿を0.1M−NaC
lを含む50mM−Tris−塩酸バッファー(pH
7.0)10mlに溶解し、同バッファーに透析した。
次いで、Stowellらの記載〔Biochem.
J.,第276巻,349〜359頁(1991年)〕
に従い、CM−セファデックスカラムに吸着させ、1.
1M−NaClを含む50mM−Tris−塩酸バッフ
ァー(pH7.0)により溶出させた。これを、再度
0.1M−NaClを含む50mM−Tris−塩酸バ
ッファー(pH7.0)に透析した後、凍結乾燥し、部
分精製ラクトフェリン分画を得た。
ネカルス15系統のうち、前記実施例3のウエスタン解
析において最も強い発現を示した系統をKL−8と命名
した。このKL−8系統由来のカルス40gを、乳鉢と
乳棒を用いて破砕し、0.1M−NaClを含む50m
M−Tris−塩酸バッファー(pH7.0)80ml
で抽出し、遠心後の上清を回収して粗抽出液とした。こ
の粗抽出液に70%飽和硫酸アンモニウムを添加し、遠
心により沈殿を回収した。この沈殿を0.1M−NaC
lを含む50mM−Tris−塩酸バッファー(pH
7.0)10mlに溶解し、同バッファーに透析した。
次いで、Stowellらの記載〔Biochem.
J.,第276巻,349〜359頁(1991年)〕
に従い、CM−セファデックスカラムに吸着させ、1.
1M−NaClを含む50mM−Tris−塩酸バッフ
ァー(pH7.0)により溶出させた。これを、再度
0.1M−NaClを含む50mM−Tris−塩酸バ
ッファー(pH7.0)に透析した後、凍結乾燥し、部
分精製ラクトフェリン分画を得た。
【0040】非形質転換カルス40gからも同様な方法
によりネガティブコントロールとする部分精製画分を得
た。
によりネガティブコントロールとする部分精製画分を得
た。
【0041】
【実施例5】 《組換えラクトフェリン画分の抗菌活性》実施例4にお
いて部分精製した組換えラクトフェリン画分を用いて抗
菌試験を実施した。検定菌としてはバチルス・ズブチリ
ス(Bacillus subtilis;ATCC6
633株)を用いた。ネガティブコントロールとする非
形質転換カルス部分精製画分、ポジティブコントロール
とするヒトラクトフェリン(シグマ社製)、そして形質
転換イネカルスからの組換えラクトフェリン部分精製画
分を、それぞれ適当量の水に溶解し、4mmシリンジフ
ィルター(ワットマン社製)により無菌濾過した。一
方、LB液体培地にて一晩培養したバチルス・ズブチリ
スATCC6633菌液を2倍濃度の前記LB液体培地
で希釈し、菌数を1×106 /ml程度に調整した。こ
の菌液100μlと、前記の無菌濾過したラクトフェリ
ン又はコントロール溶液100μlとを混ぜて混合培養
液とし、1.5mlエッペンドルフチューブにて、37
℃で2時間あるいは24時間振とう培養し、その時点で
の生菌数を測定した。混合培養液における供試試料の最
終濃度は、標準ラクトフェリンではラクトフェリン量と
して0.5mg/ml、非形質転換カルス画分では全タ
ンパク質として0.25mg/mlである。また、組換
えラクトフェリン画分では全タンパク質として非形質転
換カルスと同じ0.25mg/mlであり、これをEL
ISAよりラクトフェリン量として概算すると0.05
mg/mlである。なお、ブランク試験では、前記菌液
100μlと無菌水100μlと混ぜた混合培養液を使
用した。更に、前記のヒトラクトフェリン、又は組換え
ラクトフェリン部分精製画分については、それらを10
0℃にて5分間煮沸処理した後に、前記と同様に混合培
養液として抗菌試験を行った。それらの結果を表1に示
す。
いて部分精製した組換えラクトフェリン画分を用いて抗
菌試験を実施した。検定菌としてはバチルス・ズブチリ
ス(Bacillus subtilis;ATCC6
633株)を用いた。ネガティブコントロールとする非
形質転換カルス部分精製画分、ポジティブコントロール
とするヒトラクトフェリン(シグマ社製)、そして形質
転換イネカルスからの組換えラクトフェリン部分精製画
分を、それぞれ適当量の水に溶解し、4mmシリンジフ
ィルター(ワットマン社製)により無菌濾過した。一
方、LB液体培地にて一晩培養したバチルス・ズブチリ
スATCC6633菌液を2倍濃度の前記LB液体培地
で希釈し、菌数を1×106 /ml程度に調整した。こ
の菌液100μlと、前記の無菌濾過したラクトフェリ
ン又はコントロール溶液100μlとを混ぜて混合培養
液とし、1.5mlエッペンドルフチューブにて、37
℃で2時間あるいは24時間振とう培養し、その時点で
の生菌数を測定した。混合培養液における供試試料の最
終濃度は、標準ラクトフェリンではラクトフェリン量と
して0.5mg/ml、非形質転換カルス画分では全タ
ンパク質として0.25mg/mlである。また、組換
えラクトフェリン画分では全タンパク質として非形質転
換カルスと同じ0.25mg/mlであり、これをEL
ISAよりラクトフェリン量として概算すると0.05
mg/mlである。なお、ブランク試験では、前記菌液
100μlと無菌水100μlと混ぜた混合培養液を使
用した。更に、前記のヒトラクトフェリン、又は組換え
ラクトフェリン部分精製画分については、それらを10
0℃にて5分間煮沸処理した後に、前記と同様に混合培
養液として抗菌試験を行った。それらの結果を表1に示
す。
【0042】
【表1】 熱処理 2時間後の生菌数 24時間後の生菌数 (cfu/ml) (cfu/ml) 無添加(ブランクテスト) なし 6.3×106 1.0×108 ラクトフェリン(標準品) なし 9.6×105 4.0×107 ラクトフェリン(標準品) あり 7.6×106 2.4×108 非形質転換イネ精製画分 なし 5.8×106 6.0×108 ラクトフェリン導入 なし 1.0×104 <1.0×106 イネ精製画分 ラクトフェリン導入 あり 1.0×104 <1.0×105 イネ精製画分
【0043】表1に示すように、ラクトフェリン導入イ
ネカルスより精製したラクトフェリン画分は、ヒトラク
トフェリン標準品よりも強い抗菌活性を示した。また、
沸騰処理を行うと、ヒトラクトフェリン標準品では抗菌
活性が消失するのに対して、イネ由来組換えラクトフェ
リン画分では非加熱処理体と同様の強い抗菌活性を保持
していた。
ネカルスより精製したラクトフェリン画分は、ヒトラク
トフェリン標準品よりも強い抗菌活性を示した。また、
沸騰処理を行うと、ヒトラクトフェリン標準品では抗菌
活性が消失するのに対して、イネ由来組換えラクトフェ
リン画分では非加熱処理体と同様の強い抗菌活性を保持
していた。
【0044】
【実施例6】 《イネにおける種子特異的発現》 (1)イネグルテリンプロモーターによるイネ発現用プ
ラスミドの構築 イネGluB1遺伝子の塩基配列〔高岩等,プラント・
モレキュラー・バイオロジー,第17巻,第875〜8
85頁(1991年)〕より、イネグルテリンプロモー
ターに対して、それぞれ配列表の配列番号3及び配列番
号4で表される一対のプライマーを合成した。また、同
様にイネグルテリンターミネーターに対して、それぞれ
配列表の配列番号5及び配列番号6で表される一対のプ
ライマーを合成した。また、イネGluB1遺伝子を有
するラムダINE9 DNA〔高岩等,プラント・モレ
キュラー・バイオロジー,第17巻,第875〜885
頁(1991年)〕を鋳型DNAとして、前記実施例1
と同様にPCR法により、各々対応するプライマー対を
用いてプロモーター断片及びターミネーター断片を増幅
した。増幅されたGluB−1プロモーター断片を制限
酵素HindIII 及びBamHIの2重切断を行い、同
様にHindIII 及びBamHIの2重切断した市販ベ
クターpUC18(宝酒造)の同部位にクローニングし
た。このプラスミドをSacl及びEcoRlで2重切
断し、PCR法により増幅した前記のGluB−1ター
ミネーター断片も同様にSacl及びEcoRlで2重
切断し、同部位にクローン化した。こうして図3に示す
イネ発現用プラスミドpRPB1を取得した。こうして
得られたプラスミドpRPB1の構造を図3に示す。こ
のプラスミドは、イネグルテリンプロモーター(図3の
PGluB−1)及びイネグルテリンターミネーター
(図3の3’GluB−1)と、アンピシリン耐性遺伝
子(ampr )を含んでいる。前記プラスミドpRPB
1のBamHI及びSaclとの間に、実施例1で作成
したヒトラクトフェリンcDNAを有する断片をサブク
ローニングし、pAFT100を得た。このプラスミド
pAFT100は、図4に示すように、イネグルテリン
プロモーターとイネグルテリンターミネーターとの間
に、ヒトラクトフェリンシグナルペプチド(図4のLF
signal)と成熟ヒトラクトフェリン(図4のm
ature LF)とからなる前駆体ヒトラクトフェリ
ンcDNAを有している。
ラスミドの構築 イネGluB1遺伝子の塩基配列〔高岩等,プラント・
モレキュラー・バイオロジー,第17巻,第875〜8
85頁(1991年)〕より、イネグルテリンプロモー
ターに対して、それぞれ配列表の配列番号3及び配列番
号4で表される一対のプライマーを合成した。また、同
様にイネグルテリンターミネーターに対して、それぞれ
配列表の配列番号5及び配列番号6で表される一対のプ
ライマーを合成した。また、イネGluB1遺伝子を有
するラムダINE9 DNA〔高岩等,プラント・モレ
キュラー・バイオロジー,第17巻,第875〜885
頁(1991年)〕を鋳型DNAとして、前記実施例1
と同様にPCR法により、各々対応するプライマー対を
用いてプロモーター断片及びターミネーター断片を増幅
した。増幅されたGluB−1プロモーター断片を制限
酵素HindIII 及びBamHIの2重切断を行い、同
様にHindIII 及びBamHIの2重切断した市販ベ
クターpUC18(宝酒造)の同部位にクローニングし
た。このプラスミドをSacl及びEcoRlで2重切
断し、PCR法により増幅した前記のGluB−1ター
ミネーター断片も同様にSacl及びEcoRlで2重
切断し、同部位にクローン化した。こうして図3に示す
イネ発現用プラスミドpRPB1を取得した。こうして
得られたプラスミドpRPB1の構造を図3に示す。こ
のプラスミドは、イネグルテリンプロモーター(図3の
PGluB−1)及びイネグルテリンターミネーター
(図3の3’GluB−1)と、アンピシリン耐性遺伝
子(ampr )を含んでいる。前記プラスミドpRPB
1のBamHI及びSaclとの間に、実施例1で作成
したヒトラクトフェリンcDNAを有する断片をサブク
ローニングし、pAFT100を得た。このプラスミド
pAFT100は、図4に示すように、イネグルテリン
プロモーターとイネグルテリンターミネーターとの間
に、ヒトラクトフェリンシグナルペプチド(図4のLF
signal)と成熟ヒトラクトフェリン(図4のm
ature LF)とからなる前駆体ヒトラクトフェリ
ンcDNAを有している。
【0045】(2)イネへの遺伝子導入と形質転換植物
の作成 前記のプラスミドpAFT100と選抜マーカー・ビア
ラホス耐性遺伝子を有するpDM302〔Jun Ca
o等,プラント・セル・レポーツ,第11巻,第586
〜591頁(1992年)〕とを1:1で混合して得た
DNA溶液を用い、実施例2(1)及び(2)と同様に
処理することによってイネ完熟胚に遺伝子を導入した。
続いて、実施例2(3)と同様に、ビアラホスを含むカ
ルス誘導培地において形質転換カルスの選抜を行い、そ
の後、再分化させて、pAFT100とpDM302と
で形質転換されたイネ植物体5系統(AFT100−
3、AFT100−35、AFT100−43、AFT
100−54、及びAFT100−55)を得た。これ
らのイネ植物体を、培養土に鉢上げし、順化した後に閉
鎖系温室で栽培した。
の作成 前記のプラスミドpAFT100と選抜マーカー・ビア
ラホス耐性遺伝子を有するpDM302〔Jun Ca
o等,プラント・セル・レポーツ,第11巻,第586
〜591頁(1992年)〕とを1:1で混合して得た
DNA溶液を用い、実施例2(1)及び(2)と同様に
処理することによってイネ完熟胚に遺伝子を導入した。
続いて、実施例2(3)と同様に、ビアラホスを含むカ
ルス誘導培地において形質転換カルスの選抜を行い、そ
の後、再分化させて、pAFT100とpDM302と
で形質転換されたイネ植物体5系統(AFT100−
3、AFT100−35、AFT100−43、AFT
100−54、及びAFT100−55)を得た。これ
らのイネ植物体を、培養土に鉢上げし、順化した後に閉
鎖系温室で栽培した。
【0046】(3)EIAによるヒトラクトフェリンタ
ンパク質の検出 前記の実施例6(2)で得られた5系統のpAFT10
0導入イネ(AFT100−3、AFT100−35、
AFT100−43、AFT100−54、及びAFT
100−55)の葉、根、及び種子(以下、コメ粒と称
することもある)におけるラクトフェリンの発現を調べ
た。各々の籾を除いた玄米3粒ずつをろ紙に包んでペン
チでつぶし、1.5mlエッペンドルフチューブに入
れ、50mMトリス−塩酸(pH7.0)性0.5M塩
化ナトリウム溶液500μlを加えた。超音波処理(ハ
ンディーソニック;株式会社トミー精工)によって抽出
し、12000rpmで15分間遠心し、上清をEIA
(Enzyme Immuno Assay)の試料と
した。葉と根については、葉又は根100mgを1.5
mlエッペンドルフチューブに入れ、50mMトリス−
塩酸(pH7.0)性0.5M塩化ナトリウム溶液20
0μlを加え、ハンドホモゲナイザーを用いて抽出し
た。12000rpmで15分間遠心し、上清をEIA
の試料とした。
ンパク質の検出 前記の実施例6(2)で得られた5系統のpAFT10
0導入イネ(AFT100−3、AFT100−35、
AFT100−43、AFT100−54、及びAFT
100−55)の葉、根、及び種子(以下、コメ粒と称
することもある)におけるラクトフェリンの発現を調べ
た。各々の籾を除いた玄米3粒ずつをろ紙に包んでペン
チでつぶし、1.5mlエッペンドルフチューブに入
れ、50mMトリス−塩酸(pH7.0)性0.5M塩
化ナトリウム溶液500μlを加えた。超音波処理(ハ
ンディーソニック;株式会社トミー精工)によって抽出
し、12000rpmで15分間遠心し、上清をEIA
(Enzyme Immuno Assay)の試料と
した。葉と根については、葉又は根100mgを1.5
mlエッペンドルフチューブに入れ、50mMトリス−
塩酸(pH7.0)性0.5M塩化ナトリウム溶液20
0μlを加え、ハンドホモゲナイザーを用いて抽出し
た。12000rpmで15分間遠心し、上清をEIA
の試料とした。
【0047】ウサギで作成した抗ヒトラクトフェリンI
gG抗体(2μg/ml)100μlを、96穴タイタ
ープレートに分注し、7℃で一晩固定した。続いて、ブ
ロッキング溶液〔1%Nonfat drymilk
(バイオラッド社),0.1%Tween20,0.5
%Merthiolate(シグマ社),140mM−
NaCl,2.7mM−KCl,8mM−Na2 HPO
4 ・12H2 O,1.5mM−KH2 PO4 〕を用い
て、7℃で一晩マスキングした。PBS−Tween溶
液(140mM−NaCl,2.7mM−KCl,8m
M−Na2 HPO4・12H2 O,1.5mM−KH2
PO4 ,0.05%Tween20)で3〜5回洗浄し
た。標準ヒトラクトフェリンあるいは測定したい抽出液
サンプルを倍々希釈系列で100μl分注し、37℃で
60分間静置した。PBS−Tween溶液300μl
で3〜5回洗浄した。抗ヒトラクトフェリンIgG(F
ab’)−HRP(西洋わさびパーオキシダーゼ)2次
抗体100μlを加え、37℃で60分間静置した。P
BS−Tween溶液300μlで3〜5回洗浄した。
オルトフェニレンジアミンジヒドロクロライド(OP
D)溶液〔OPD5mgを0.03%過ホウ酸ナトリウ
ム含有0.05Mクエン酸−リン酸バッファー(pH
5.0:シグマ社製:P−4922)10mlに溶解さ
せたもの〕100μlを加え、発色を見ながら、1M硫
酸100μlによって反応を停止した。マイクロプレー
トリーダーにより492nmの吸光度を測定した。組換
えイネにおけるヒトラクトフェリンの発現量は、標準ヒ
トラクトフェリンの標準曲線から計算した。また、タン
パク質量は、プロテインアッセイキット(バイオラッド
社)により、添付のプロトコールに従って測定した。結
果を表2に示す。
gG抗体(2μg/ml)100μlを、96穴タイタ
ープレートに分注し、7℃で一晩固定した。続いて、ブ
ロッキング溶液〔1%Nonfat drymilk
(バイオラッド社),0.1%Tween20,0.5
%Merthiolate(シグマ社),140mM−
NaCl,2.7mM−KCl,8mM−Na2 HPO
4 ・12H2 O,1.5mM−KH2 PO4 〕を用い
て、7℃で一晩マスキングした。PBS−Tween溶
液(140mM−NaCl,2.7mM−KCl,8m
M−Na2 HPO4・12H2 O,1.5mM−KH2
PO4 ,0.05%Tween20)で3〜5回洗浄し
た。標準ヒトラクトフェリンあるいは測定したい抽出液
サンプルを倍々希釈系列で100μl分注し、37℃で
60分間静置した。PBS−Tween溶液300μl
で3〜5回洗浄した。抗ヒトラクトフェリンIgG(F
ab’)−HRP(西洋わさびパーオキシダーゼ)2次
抗体100μlを加え、37℃で60分間静置した。P
BS−Tween溶液300μlで3〜5回洗浄した。
オルトフェニレンジアミンジヒドロクロライド(OP
D)溶液〔OPD5mgを0.03%過ホウ酸ナトリウ
ム含有0.05Mクエン酸−リン酸バッファー(pH
5.0:シグマ社製:P−4922)10mlに溶解さ
せたもの〕100μlを加え、発色を見ながら、1M硫
酸100μlによって反応を停止した。マイクロプレー
トリーダーにより492nmの吸光度を測定した。組換
えイネにおけるヒトラクトフェリンの発現量は、標準ヒ
トラクトフェリンの標準曲線から計算した。また、タン
パク質量は、プロテインアッセイキット(バイオラッド
社)により、添付のプロトコールに従って測定した。結
果を表2に示す。
【0048】
【表2】 個体名 米粒(μg/粒) 葉 根 AFT100−3 1.5 ND ND AFT100−35 0.06 ND ND AFT100−43 2.5 ND ND AFT100−54 0.05 ND NDAFT100−55 0.03 ND ND ND:検出できず(検出限界=0.01μg/mg全タ
ンパク質) ラクトフェリンは組換えイネの葉及び根からの試料では
検出されず、コメ粒からの試料においてのみラクトフェ
リンの発現が認められた。
ンパク質) ラクトフェリンは組換えイネの葉及び根からの試料では
検出されず、コメ粒からの試料においてのみラクトフェ
リンの発現が認められた。
【0049】
【実施例7】 《トマトにおける発現》 (1)トマト用発現ベクターの構築 農林水産省生物資源研究所において作成されたバイナリ
ーベクターpBE2113〔光原等,Plant Ce
ll Physiol.,第37巻,第49〜59頁
(1996年)〕を用いた。すなわち、pBE2113
のBamHIとSaclとの間のβ−グルクロニターゼ
と、実施例1で作成したヒトラクトフェリンcDNAと
を置換する形でサブクローニングし、pAFT109を
得た。図5に、前記プラスミドpAFT109の制限酵
素地図を示す。このプラスミドは、右ボーダー配列(図
5のRB)と左ボーダー配列(図5のLB)との間に、
カリフラワーモザイクウイルスのエンハンサー(図5の
E)、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモー
ター(図5のP35S)、タバコモザイクウイルスのオ
メガ配列(図5のΩ)、ヒトラクトフェリンcDNA
(図5のLFsignal及びmature LF)、
及びノパリンシンターゼのターミネーター(図5の3’
nos)を有し、更にカナマイシン耐性遺伝子(図5の
kmr )を有しており、トマトをはじめとして多くの植
物において目的とするタンパク質の高発現を期待するこ
とができる。
ーベクターpBE2113〔光原等,Plant Ce
ll Physiol.,第37巻,第49〜59頁
(1996年)〕を用いた。すなわち、pBE2113
のBamHIとSaclとの間のβ−グルクロニターゼ
と、実施例1で作成したヒトラクトフェリンcDNAと
を置換する形でサブクローニングし、pAFT109を
得た。図5に、前記プラスミドpAFT109の制限酵
素地図を示す。このプラスミドは、右ボーダー配列(図
5のRB)と左ボーダー配列(図5のLB)との間に、
カリフラワーモザイクウイルスのエンハンサー(図5の
E)、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモー
ター(図5のP35S)、タバコモザイクウイルスのオ
メガ配列(図5のΩ)、ヒトラクトフェリンcDNA
(図5のLFsignal及びmature LF)、
及びノパリンシンターゼのターミネーター(図5の3’
nos)を有し、更にカナマイシン耐性遺伝子(図5の
kmr )を有しており、トマトをはじめとして多くの植
物において目的とするタンパク質の高発現を期待するこ
とができる。
【0050】(2)トマトへの遺伝子導入と形質転換植
物の作成 MS培地に無菌播種したトマト品種「秋玉」(農林水産
省野菜茶業試験場)から得られる子葉を約5mm幅に細
断した。一方、前記実施例7(1)で作成したプラスミ
ドを有するアグロバクテリウムをLB培地中で一晩培養
し、そのアグロバクテリウム懸濁液に、前記の細断子葉
を5分間浸漬した。余分な菌液を無菌紙片で吸い取り、
1mg/リットルのトランス−ゼアチン(和光純薬)を
含むMS培地(以下、ZMS培地と称することがある)
上に置床し、28℃で2日間共存培養を行った。その
後、カルベニシリン(和光純薬;250μg/ml)を
含むZMS培地で、16時間の照明下条件と8時間の暗
下条件とからなるサイクルを繰り返して、25℃にて1
週間培養した。次に、カルベニシリン(250μg/m
l)及びカナマイシン(和光純薬;50μg/ml)を
含むZMS培地上に移し、前記と同様の16時間の照明
下条件と8時間の暗下条件とからなるサイクルを繰り返
して、25℃で、2週間毎にカルベニシリン(250μ
g/ml)及びカナマイシン(50μg/ml)を含む
新鮮なZMS培地上に移しながら選抜を続けた。生育し
てきたカナマイシン耐性シュートを切り出し、カルベニ
シリン(100μg/ml)及びカナマイシン(50μ
g/ml)を含むMS培地に置床して、更に前記と同様
の16時間の照明下条件と8時間の暗下条件とからなる
サイクルを繰り返して、25℃で培養し、発根させた。
発根した形質転換トマトを培養土に鉢上げし、徐々に湿
度を落として順化させた後、閉鎖系温室で栽培し、カナ
マイシン形質転換体4系統(AFT109−3、AFT
109−6、AFT109−7、及びAFT109−
8)を得た。
物の作成 MS培地に無菌播種したトマト品種「秋玉」(農林水産
省野菜茶業試験場)から得られる子葉を約5mm幅に細
断した。一方、前記実施例7(1)で作成したプラスミ
ドを有するアグロバクテリウムをLB培地中で一晩培養
し、そのアグロバクテリウム懸濁液に、前記の細断子葉
を5分間浸漬した。余分な菌液を無菌紙片で吸い取り、
1mg/リットルのトランス−ゼアチン(和光純薬)を
含むMS培地(以下、ZMS培地と称することがある)
上に置床し、28℃で2日間共存培養を行った。その
後、カルベニシリン(和光純薬;250μg/ml)を
含むZMS培地で、16時間の照明下条件と8時間の暗
下条件とからなるサイクルを繰り返して、25℃にて1
週間培養した。次に、カルベニシリン(250μg/m
l)及びカナマイシン(和光純薬;50μg/ml)を
含むZMS培地上に移し、前記と同様の16時間の照明
下条件と8時間の暗下条件とからなるサイクルを繰り返
して、25℃で、2週間毎にカルベニシリン(250μ
g/ml)及びカナマイシン(50μg/ml)を含む
新鮮なZMS培地上に移しながら選抜を続けた。生育し
てきたカナマイシン耐性シュートを切り出し、カルベニ
シリン(100μg/ml)及びカナマイシン(50μ
g/ml)を含むMS培地に置床して、更に前記と同様
の16時間の照明下条件と8時間の暗下条件とからなる
サイクルを繰り返して、25℃で培養し、発根させた。
発根した形質転換トマトを培養土に鉢上げし、徐々に湿
度を落として順化させた後、閉鎖系温室で栽培し、カナ
マイシン形質転換体4系統(AFT109−3、AFT
109−6、AFT109−7、及びAFT109−
8)を得た。
【0051】(3)EIAによるヒトラクトフェリンタ
ンパク質の検出 前記実施例7(2)で得られたpAFT109導入トマ
ト植物体におけるラクトフェリンの発現を調べた。得ら
れた4系統について、その果実10gを包丁で細かく切
り、ワーリングブレンダーに入れた。50mMトリス−
塩酸(pH7.0)−0.5M塩化ナトリウム溶液20
mlを加え、前記ワーリングブレンダーにより破砕し
て、抽出した。50mlディスポチューブ(ファルコン
社)に移し、12000rpmで10分間遠心した。そ
の上清を試料として、実施例6(3)と同様にEIAを
実施して、トマト果実におけるヒトラクトフェリンの発
現を確認した。結果を表2に示す。トマト果実におい
て、ヒトラクトフェリンの発現が認められた。
ンパク質の検出 前記実施例7(2)で得られたpAFT109導入トマ
ト植物体におけるラクトフェリンの発現を調べた。得ら
れた4系統について、その果実10gを包丁で細かく切
り、ワーリングブレンダーに入れた。50mMトリス−
塩酸(pH7.0)−0.5M塩化ナトリウム溶液20
mlを加え、前記ワーリングブレンダーにより破砕し
て、抽出した。50mlディスポチューブ(ファルコン
社)に移し、12000rpmで10分間遠心した。そ
の上清を試料として、実施例6(3)と同様にEIAを
実施して、トマト果実におけるヒトラクトフェリンの発
現を確認した。結果を表2に示す。トマト果実におい
て、ヒトラクトフェリンの発現が認められた。
【0052】
【表2】 個体名 全タンパク質当たりの発現量(%) AFT109−3 1.7 AFT109−6 1.4 AFT109−7 2.1AFT109−8 1.5
【0053】
【発明の効果】本発明方法によって得られたラクトフェ
リン発現形質転換食用植物は、ラクトフェリンに基づく
生理機能を高活性で発現するので、その植物体からラク
トフェリンを抽出せずに、その形質転換植物体それ自体
(又はその少なくとも一部分)を、例えば、機能性食品
又は機能性飼料として動物(ヒト、家畜、コンパニオン
アニマルあるいは養殖動物)に直接摂取させることによ
り、その動物に、ラクトフェリンに基づく生理機能を効
果的に付与することができる。また、本発明方法によっ
て得られたラクトフェリン発現形質転換食用植物におい
ては、加熱処理後においても高いラクトフェリン活性が
維持されるので、加熱処理を伴う調理・加工食品又は飼
料の形態で効果的に摂取させることもできる。これらの
機能性食品又は機能性飼料には、抗菌活性、又は免疫増
強等の機能性付与を期待することができる。
リン発現形質転換食用植物は、ラクトフェリンに基づく
生理機能を高活性で発現するので、その植物体からラク
トフェリンを抽出せずに、その形質転換植物体それ自体
(又はその少なくとも一部分)を、例えば、機能性食品
又は機能性飼料として動物(ヒト、家畜、コンパニオン
アニマルあるいは養殖動物)に直接摂取させることによ
り、その動物に、ラクトフェリンに基づく生理機能を効
果的に付与することができる。また、本発明方法によっ
て得られたラクトフェリン発現形質転換食用植物におい
ては、加熱処理後においても高いラクトフェリン活性が
維持されるので、加熱処理を伴う調理・加工食品又は飼
料の形態で効果的に摂取させることもできる。これらの
機能性食品又は機能性飼料には、抗菌活性、又は免疫増
強等の機能性付与を期待することができる。
【0054】
【0055】配列番号:1 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:No 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 ACTTGTCTTC CTCGTCCTGC 20
【0056】配列番号:2 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:Yes 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 CCGTCCAATT CAAGAATGG 19
【0057】配列番号:3 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:No 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 CGGAAGCTTG ATCTCGATTT TTGAGGAATT 30
【0058】配列番号:4 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:Yes 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 GGCGGATCCC TTAAGCTAAT TGATGTG 27
【0059】配列番号:5 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:No 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 CGGGAGCTCT GTAATTGAGA ACTAGTG 27
【0060】配列番号:6 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:Yes 配列の種類:他の核酸 合成オリゴヌクレオチド 配列 GGCGAATTCT CTTAACTTTA CCTATGA 27
【図1】プラスミドpULTFの構造を模式的に示す説
明図である。
明図である。
【図2】ウエスタン解析の結果を示す説明図である。
【図3】プラスミドpRPB1の構造を模式的に示す説
明図である。
明図である。
【図4】プラスミドpAFT100の構造を模式的に示
す説明図である。
す説明図である。
【図5】プラスミドpAFT109の構造を模式的に示
す説明図である。
す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安西 弘行 東京都荒川区東尾久8丁目4番1号 株式 会社アレルゲンフリー・テクノロジー研究 所内
Claims (13)
- 【請求項1】 植物で機能することのできるプロモータ
ーと、植物で機能することのできるターミネーターと、
ラクトフェリン遺伝子とを連結した発現プラスミドを食
用植物の細胞に導入してラクトフェリン発現食用植物を
作出することにより、ラクトフェリンに基づく生理機能
を前記食用植物に付与する方法。 - 【請求項2】 ラクトフェリンに基づく生理機能が、耐
熱性を有する請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 ラクトフェリンに基づく生理機能が、抗
菌活性である請求項1又は2に記載の方法。 - 【請求項4】 植物がイネ科植物、ナス科植物又はマメ
科植物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方
法。 - 【請求項5】 イネ科植物がイネ又はトウモロコシであ
る請求項4に記載の方法。 - 【請求項6】 ナス科植物がトマトである請求項4に記
載の方法。 - 【請求項7】 マメ科植物がダイズである請求項4に記
載の方法。 - 【請求項8】 前記のラクトフェリン発現食用植物の少
なくとも一部分を摂取する動物が、ヒト、家畜、コンパ
ニオンアニマル又は養殖水産動物である請求項1〜7の
いずれか一項に記載の方法。 - 【請求項9】 植物で機能することのできるプロモータ
ーと植物で機能することのできるターミネーターとの間
にラクトフェリン遺伝子を連結した発現プラスミドによ
って形質転換された食用植物細胞。 - 【請求項10】 請求項9に記載の形質転換細胞を含
み、ラクトフェリンに基づく生理機能を有する食用植
物。 - 【請求項11】 請求項10に記載の食用植物の少なく
とも一部分から得られ、ラクトフェリンに基づく生理機
能を有する機能性食品。 - 【請求項12】 請求項10に記載の食用植物の少なく
とも一部分から加熱処理を経由して得られ、ラクトフェ
リンに基づく生理機能を有する食品。 - 【請求項13】 請求項10に記載の食用植物の少なく
とも一部分から得られ、ラクトフェリンに基づく生理機
能を有する機能性飼料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10093949A JPH10323137A (ja) | 1997-03-24 | 1998-03-23 | ラクトフェリン機能を食用植物に付与する方法、及びラクトフェリン機能を有する食用植物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-87314 | 1997-03-24 | ||
JP8731497 | 1997-03-24 | ||
JP10093949A JPH10323137A (ja) | 1997-03-24 | 1998-03-23 | ラクトフェリン機能を食用植物に付与する方法、及びラクトフェリン機能を有する食用植物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10323137A true JPH10323137A (ja) | 1998-12-08 |
Family
ID=26428605
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10093949A Pending JPH10323137A (ja) | 1997-03-24 | 1998-03-23 | ラクトフェリン機能を食用植物に付与する方法、及びラクトフェリン機能を有する食用植物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10323137A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008173011A (ja) * | 2007-01-16 | 2008-07-31 | Univ Nagoya | 形質転換植物体の作出方法及びその利用 |
US7718851B2 (en) | 2000-05-02 | 2010-05-18 | Ventria Bioscience | Expression of human milk proteins in transgenic plants |
JP2012187112A (ja) * | 2001-02-14 | 2012-10-04 | Ventria Bioscience | トランスジェニック植物におけるヒト乳タンパク質の発現 |
KR20150143765A (ko) * | 2013-04-16 | 2015-12-23 | 우한 헬스젠 바이오테크놀로지 코포레이션 | 벼 종자로부터 재조합 인간 락토페린을 분리 및 정제하는 방법 |
CN116478277A (zh) * | 2023-04-18 | 2023-07-25 | 捷康生物科技(海南)有限公司 | 一种改良的乳铁蛋白基因、重组表达载体及其应用 |
-
1998
- 1998-03-23 JP JP10093949A patent/JPH10323137A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7718851B2 (en) | 2000-05-02 | 2010-05-18 | Ventria Bioscience | Expression of human milk proteins in transgenic plants |
JP2012187112A (ja) * | 2001-02-14 | 2012-10-04 | Ventria Bioscience | トランスジェニック植物におけるヒト乳タンパク質の発現 |
JP2008173011A (ja) * | 2007-01-16 | 2008-07-31 | Univ Nagoya | 形質転換植物体の作出方法及びその利用 |
KR20150143765A (ko) * | 2013-04-16 | 2015-12-23 | 우한 헬스젠 바이오테크놀로지 코포레이션 | 벼 종자로부터 재조합 인간 락토페린을 분리 및 정제하는 방법 |
JP2016517850A (ja) * | 2013-04-16 | 2016-06-20 | ウーハン ヘルスゲン バイオテクノロジー コーポレーション | 水稲子実から組換えヒトラクトフェリンを分離精製する方法 |
CN116478277A (zh) * | 2023-04-18 | 2023-07-25 | 捷康生物科技(海南)有限公司 | 一种改良的乳铁蛋白基因、重组表达载体及其应用 |
CN116478277B (zh) * | 2023-04-18 | 2023-10-24 | 捷康生物科技(海南)有限公司 | 一种改良的乳铁蛋白基因、重组表达载体及其应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH03247220A (ja) | 植物の殺虫性トキシン | |
WO2011031285A1 (en) | Improving essential amino acid content in algae and cyanobacteria for animal feed | |
JP2004535804A (ja) | タバコバイオマスの利用 | |
BR102013031822A2 (pt) | Métodos para o controle de praga | |
CN104488945A (zh) | 杀虫蛋白的用途 | |
JP4512816B2 (ja) | アレルゲン特異的t細胞抗原決定基を植物へ集積させる方法、および該抗原決定基を集積させた植物 | |
EP0612207A4 (en) | PROTECTION OF PLANTS AGAINST PATHOGENES. | |
US20140242048A1 (en) | Methods For Controlling Pests | |
Day | Genetic modification of plants: significant issues and hurdles to success | |
US6086885A (en) | Anti-bacterial protein extracts from seeds of marigold and paprika | |
JPH10323137A (ja) | ラクトフェリン機能を食用植物に付与する方法、及びラクトフェリン機能を有する食用植物 | |
US20100260887A1 (en) | Content of the essential amino acids lysine and methionine in algae and cyanobacteria for improved animal feed | |
Tarafdar et al. | Transgenic plants: issues and future prospects | |
WO2006095749A1 (ja) | 植物でのペプチドの発現・集積方法 | |
AU2016228052B2 (en) | Uses of insecticidal protein | |
TW201609130A (zh) | 大腸菌性下痢症之預防 | |
WO1996038561A1 (en) | Improved methods of producing feed by reducing endogenous protein levels in soybean | |
JP2002017186A (ja) | トランスジェニック植物 | |
KR20030096319A (ko) | 안정한 유전자 전이 식물 제약 조성물들 및 이들의 제조방법들 및 피임약으로서의 이들의 용도 | |
WO2001009358A1 (en) | Nucleic acid constructs for the modification of polyamine levels in plants | |
KR101536963B1 (ko) | 식물에서 tev 프로테아제를 대량생산하는 방법 및 상기 방법에 의해 제조된 tev 프로테아제 | |
WO2019237918A1 (zh) | 用于控制昆虫侵袭的多核苷酸及方法 | |
Jones | Genetic engineering of crops: its relevance to the food industry | |
RU2781829C2 (ru) | Полинуклеотид и способ борьбы с нашествием насекомых | |
CN114214341B (zh) | 番茄SlSERAT1;1基因或其片段在植物发育过程中的应用 |