以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1.第1実施形態>
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る振動アクチュエータ1A(駆動装置)を示す図である。図1は振動アクチュエータ1Aの正面図であり、図2は振動アクチュエータ1Aの側面図である。図3は、振動アクチュエータ1Aに用いられる振動体10を示す正面図である。また、図4は、振動アクチュエータ1Aに用いられる被駆動体30Aを示す上面図であり、図5は、当該被駆動体30Aの(図4のI−I断面における)断面図である。なお、各図面においては、便宜上、共通の直交XYZ座標系を用いて方向を示すものとする。
図1および図2に示すように、振動アクチュエータ1Aは、駆動源である振動体10と、振動体10により駆動される被駆動体30Aと、加圧部材40と、振動体10から被駆動体30Aへと付与される力(荷重)を支持する支持部材(荷重支持部材)50と、台板60とを備えている。振動体10と被駆動体30Aと支持部材50とは、図1のZ方向においてこの順序で配置されている。
振動体10は、2つの圧電素子を用いたトラス型の振動発生体として構成される。具体的には、振動体10は、図3に示すように、2つの圧電素子11,12と、チップ部材13と、ベース部材14とを備えている。振動体10は、高周波電圧(高周波信号)の印加に応じて振動する。
2本の圧電素子11,12は直角に交差して配置され、圧電素子11,12の交差側端部はチップ部材13に接合されている。これら圧電素子11,12の他端は、ベース部材14に接合されている。チップ部材13は、安定して高い摩擦係数を得ることができるとともに高い耐摩耗性を得ることができる材料(例えば超硬合金などの金属材料)で形成されることが好ましい。ベース部材14は、製造しやすく高い強度を有する材料(例えばステンレスなどの金属材料)で形成されることが好ましい。また、圧電素子11,12と各部材13,14とは、接着剤を用いて接合されている。接着剤としては、接着強度に優れたエポキシ系樹脂の接着剤を用いることが好ましい。
圧電素子11は、積層型圧電素子であり、圧電特性を有する複数のセラミック薄板と電極とを交互に積層した構造を有している。圧電素子11は、印加電圧の変更に応じて積層方向に伸縮する変位素子である。圧電素子12も圧電素子11と同様の構成を備えており、印加電圧の変更に応じて積層方向に伸縮する。具体的には、所定の符号の電圧を圧電素子11に印加すると圧電素子11は伸び、逆符号の電圧を圧電素子11に印加すると圧電素子11は縮む。そして、交流電圧を印加すれば、圧電素子11は当該交流電圧の周期に応じて伸縮を繰り返すことになる。圧電素子12についても同様である。このような交流電圧を印加することによって、振動体10を振動させることができる。
図6は、振動体10による駆動動作を示す図である。図6に示すように、振動体10の圧電素子11,12を、位相差を有する交流電圧で駆動することによって、振動体10のチップ部材13を楕円運動させることができる。この楕円運動により発生する駆動力を用いて、被駆動体30Aが駆動される。また、位相差を様々な角度に変更することによって、楕円軌道の形状を制御することが可能である。たとえば、2つの圧電素子11,12に対して、位相差を90度(deg)(図6(b)参照)に設定して、同一周波数の高周波交流電圧を付与することによって、楕円軌道の形状を円にすることが可能であり、位相差を60度(図6(a)参照)あるいは120度(図6(c)参照)に変更することによって楕円軌道の形状を細長いものにすることが可能である。
振動体10は、このような楕円軌道を含む面(振動面とも称する)における振動動作を用いて、被駆動体30Aを駆動する。
また、図4および図5に示すように、被駆動体30Aは、薄板状の楕円形状を有しており、所定の回転軸Azを中心に揺動する揺動体として形成されている。具体的には、被駆動体30Aの中央には貫通孔Hが設けられており、振動アクチュエータ1Aの本体側に固定された軸部材29(図2)が当該貫通孔Hに貫通する。被駆動体30Aは、この軸部材29を中心にして回動することが可能である。
被駆動体30Aは、接触部材31と制振部材32とを備えている。
接触部材31は、振動体10に接触する部材であり、振動体10からの駆動力は接触部材31に対して直接的に伝達される。具体的には、接触部材31は、振動体10の振動動作に応じて振動体10との接触(衝突)および振動体10からの離反を繰り返しつつ振動体10との間に生じる摩擦力によって駆動される。換言すれば、振動体10は、接触部材31の表面において摩擦接触を伴う微小移動動作を繰り返すことによって、接触部材31を駆動することになる。また、制振部材32は、接触部材31に対して接合されており、接触部材31の振動を抑制する機能を有している。
接触部材31は、たとえば、金属(ステンレスあるいはアルミニウム等)で形成される。また、チップ部材13との接触による摩耗を防ぐため、接触部材31の表面には表面硬化処理が施されることが好ましい。たとえば、接触部材31としては、ステンレスなどの鉄系材料に対して焼き入れ処理ないし窒化処理等を施したものが用いられる。あるいは、アルミニウムにアルマイト処理を施したもの、ないし、金属表面にセラミックなどによる耐摩耗性のコーティング処理を施したものを接触部材31として用いるようにしてもよい。また、接触部材31は、金属以外の材料、たとえばセラミック(アルミナセラミックあるいはジルコニアセラミック等)で形成されてもよい。セラミックを用いれば、軽量化を図ることができるとともに、高い剛性および高い耐摩耗性を得ることができる。
制振部材32は、接触部材31とは異なる種類の材料で形成されることが好ましい。制振部材32として、接触部材31とはその振動伝搬速度が異なる材料を用いることによって、振動伝達を抑制でき、制振部材32が接触部材31と同調して振動することを防止できる。具体的には、制振部材32としては、接触部材31とは異なる種類の金属あるいはセラミック等が用いられる。あるいは、PC(ポリカーボネート)およびABS(アクリロニトリル・ブタジエンスチレン樹脂)などの高分子材料を制振部材32として用いても良い。また、材料自身に制振性を有する制振合金材料(たとえば、Mn−Cu(マンガン−銅)合金、Fe−Cr(鉄−クロム)合金、Zn−Al(亜鉛−アルミニウム)合金等)を制振部材32として用いるようにしてもよい。
制振部材32は、図2に示すように、接触部材31における振動体10との接触面の側方において、接触部材31に対して接続されている。また、制振部材32は、図4に示すように、接触部材31の長手方向の辺を含む縁部(ただしここでは外周側の辺を除く部分)(図4の破線部分)において、接触部材31に対して接触した状態で固定されている。接触部材31のこの縁部を、制振部材32と接触させて拘束することによって、接触部材31の振動(特に共振)を抑制することが可能である。なお、接触部材31の振動モード(1次モードであるか2次モードであるか等)が判っている場合には、当該振動モードにおける「腹」の部分のみで、接触部材31を制振部材32に固定することによっても、高い振動抑制効果を得ることができる。
ここでは、接触部材31の材料は金属(具体的には、ステンレス)であり、制振部材32の材料は樹脂(具体的には、PC(ポリカーボネート))であり、接触部材31と制振部材32とは一体成形部品として形成される場合を想定する。また、接触部材31と制振部材32との接合部において噛み合わせ部分(段差部分)BP(図5)を設けることによって、接触部材31と制振部材32とが分離しないように強固に固定されている。また、両者をより強固に固定するためには、図4に示すように、接触部材31の接合部を、上面視において櫛歯状に入り組んだ形状とすることが好ましい。これによれば、接合部の全長を大きくし、制振部材32によって接触部材31をより強固に拘束することができ、高い制振効果を得ることが可能である。
接触部材31は、被駆動体30Aの回転中心から離れた位置すなわち外周部に設けられている。接触部材31は、その櫛歯状外縁部31aで制振部材32に覆われて固定されているとともに、その露出部31bでその表面が空間に露出している。接触部材31の露出部31bと振動体10のチップ部材13とが摩擦接触することによって、振動体10からの駆動力が被駆動体30Aに伝達される。この露出部31bの半径方向の幅Wrは、チップ部材13との接触幅Wt(図2)に若干量の幅ΔWを加えた大きさを有しており(Wr=Wt+ΔW)、露出部31bの周方向の長さLcは、揺動運動における所定の駆動範囲(角度)θに対応する弧の長さLtに若干量の長さΔLを加えた大きさを有している(Lc=Lt+ΔL)。なお、図4は、駆動範囲(角度)θが約60度の場合を例示している。
再び、図1および図2を参照する。これらの図に示されるように、振動体10に対して被駆動体30Aとは反対側(−Z側)に加圧部材40が設けられている。加圧部材40は、例えばコイルバネなどの弾性部材で構成されており、その一端は、振動体10のベース部材14に固定され、他端は台板60に固定される。加圧部材40による付勢力によって、振動体10は被駆動体30Aに軽く押しつけられている。なお、加圧部材40による付勢力は比較的小さな力であり、且つ、振動体10の振動周期は加圧部材40の伸縮動作が追従できない程に短い(すなわち非常に高い周波数である)ため、振動体10のチップ部材13は、加圧部材40の付勢力に抗して、被駆動体30Aに対して接触と離反とを繰り返すことができる。したがって、後述するような駆動動作を行うことが可能である。
また、支持部材50は、振動体10のチップ部材13との間で被駆動体30Aを挟むよように、被駆動体30Aに対して振動体10とは反対側(+Z側)に設けられている。支持部材50は、ローラ51を有している。ローラ51は、台板60から−Y方向に伸びた細長円柱状の軸部材61(図2)によって回転自在に軸支されている。なお、ローラ51は、押さえ部材(不図示)によって、軸Ay方向(Y方向)の移動が規制されており、軸部材61から脱落しないように構成されている。
支持部材50(ローラ51)は、図1および図2に示すように、薄板状の被駆動体30A(接触部材31)の両主面のうちチップ部材13との接触面(図の下面)とは反対側の面(図の上面)において、チップ部材13と被駆動体30Aとの接触位置の直上位置で、被駆動体30Aに接触している。このように、支持部材50をチップ部材13の直上位置(言い換えれば、被駆動体30Aを挟んでチップ部材13に対向する位置)に設けることによれば、振動体10の振動によって生じるZ方向の力を確実に支持することができる。この結果、大きな駆動力を得ることが可能になる。
ローラ51は、被駆動体30Aとの摩擦が小さくなるような材料が好ましい。具体的には、樹脂材料(たとえば、POM(ポリアセタール))のうち、摺動性能が高い(端的に言えば、良くすべる)材料を用いることが好ましい。たとえば、フッ素等の添加物を配合して摺動性能を向上させたものを用いることが好ましい。また、ローラ51は、大きな力を受けたときでも、その荷重をしっかりと支持できるように、荷重による変形が小さい材料で構成されることが好ましい。なお、ローラ51は、振動体10による荷重を支持する機能を発揮するように構成されればよく、樹脂材料ではなく金属材料によって形成されてもよい。
図7〜図9は、振動体10による被駆動体30Aの駆動状態を示す概念図である。図7は理想的な駆動状態を示しており、図8および図9はそれぞれ駆動力が十分に得られない場合の駆動状態を示している。
図7に示すように、理想状態においては、まず、チップ部材13が楕円軌道PBの上側に存在する場合には、振動体10のチップ部材13が被駆動体30Aに摩擦接触した状態で接触開始位置から接触終了位置まで移動することによって、所定方向(図2ではX方向)DXの駆動力が伝達される(図7(a))。そして、チップ部材13が楕円軌道PBの下側に存在する場合には、チップ部材13が被駆動体30Aから離れた状態で接触開始位置側へと復帰する(図7(b))。以降同様の動作を繰り返すことによって、被駆動体30Aがチップ部材13と接触部材31との間に生じる摩擦力によって所定方向DX(X方向)に駆動される。すなわち、接触部材31は、振動体10の振動動作に応じて振動体10との接触および振動体10からの離反を繰り返しつつ、振動体10との間に生じる摩擦力によって駆動される。
なお、理想的にはチップ部材13と被駆動体30Aとが接触している期間においては、両者の相対的な位置ずれが起きないことが好ましいが、現実には両者の間に当該接触期間のうちの少なくとも一時期において相対的な位置ずれ(すなわちスベリ動作ないし摺動動作)が生じることがある。このように、接触部材31(および後述する、33,35,37等)は振動体10との間で摺動するため、接触部材31は「摺動部材」とも称せられる。
図8は、振動体10の駆動周波数と被駆動体30Aの固有振動数が一致し、両者が共振した仮想的な状態を示している。この場合、被駆動体30Aは、チップ部材13と同期して振動し、上下方向(Z方向)に変形する。そのため、図8(b)に示すように、チップ部材13が楕円軌道PBの下側に存在する場合にも、チップ部材13が被駆動体30Aから離れることができず、今度は逆向きの力がチップ部材13から被駆動体30Aに伝達される。端的に言えば、ブレーキがかかった状態になる。
また、図9は、被駆動体30Aが、振動体10の駆動周波数よりも低い周波数で振動する仮想的な場合を示している。この場合には、被駆動体30Aは、両者(振動体10および被駆動体30A)が異なる周期で振動するため、両者の接触および離反のタイミングが不規則になる。そのため、チップ部材13が被駆動体30Aに接触するべきタイミングで、被駆動体30Aに接触できない状態(空振り状態)が発生(図9(c)参照)し、駆動力が十分に伝達されないという問題が生じることになる。
実際の被駆動体30Aにおいては、図8および図9に示すような駆動状態の発生が抑制され、図7に示すような理想的な駆動状態に近い駆動状態が実現可能である。
図10および図11は、この第1実施形態に係る振動アクチュエータ1Aの駆動性能等の測定結果を示す図である。図10は、被駆動体30Aの振動状態を示す図である。図10においては、振動体10に所定周期の駆動電圧を加えた際の、チップ部材13近傍における接触部材31のZ方向の振動(変位)をレーザドップラ振動計によって測定した測定結果(下側の曲線)が示されている。なお、図10には、振動体10の駆動電圧(上側の曲線)もあわせて示されている。また、図11は、被駆動体30Aに伝達される推力(駆動力)と被駆動体30Aの移動速度との関係に関する測定結果を示す図である。図11においては、推力ゼロのときの速度すなわち無負荷状態での駆動速度(無負荷速度)と、速度ゼロのときの推力(駆動力)すなわち起動推力とが示されている。
また、図12および図13は、比較例(第1の比較例とも称する)に係る振動アクチュエータ900A(次述)の駆動性能等の測定結果を示す図である。さらに、図14および図15は、比較例(第2の比較例とも称する)係る振動アクチュエータ900B(次述)の駆動性能等の測定結果を示す図である。詳細には、図12および図14は、それぞれ、図10と同様に被駆動体の振動状態を示す図であり、図13および図15は、それぞれ、図11と同様に無負荷速度と起動推力とを示す図である。
第1の比較例に係る振動アクチュエータ900Aは、上記第1の実施形態に係る振動アクチュエータ1Aと同様の構成を有しているが、被駆動体30A(図4および図5参照)の代わりに被駆動体930Aを備える点で、振動アクチュエータ1Aと相違している。図16および図17は、それぞれ、被駆動体930Aの構成を示す上面図および断面図である。これらの図に示すように、被駆動体930Aは、1枚のステンレス板によって構成されている。
第1の比較例においては、図12に示されるように、駆動周波数よりも低い周波数の大きな振動が発生している。すなわち、図9を用いて説明したような状態が発生しており、チップ部材13と被駆動体(この場合は930A)との接触および離反のタイミングが不規則になり、不安定な駆動状態になっている。図13と図11とを比較すると、比較的小さな推力しか得られていないことが判る。また、第1の比較例においては、異音も大きい。
第2の比較例に係る振動アクチュエータ900Bは、上記第1の実施形態に係る振動アクチュエータ1Aと同様の構成を有しているが、被駆動体30A(図4および図5参照)の代わりに被駆動体930Bを備える点で、振動アクチュエータ1Aと相違している。図18は、被駆動体930Bの構成を示す断面図である。また、被駆動体930Bの上面図は、図16と同様である。図16および図18に示すように、被駆動体930Bは、1枚のステンレス板91と、1枚のアルミニウム部材92との間に、粘弾性を有する樹脂部材93が挟まれた状態で構成されている。このようなサンドイッチ構造によって、制振機能が発揮される。
このような第2の比較例においては、第1の比較例に比べると、低周波数の大きな振動は抑制されているが、被駆動体30Aの駆動周期での振幅は十分に抑制されているとはいえない。また、図15と図11とを比較すると、比較的小さな推力しか得られていないことが判る。
一方、図10に示されるように、第1実施形態に係る振動アクチュエータ1Aにおいては、第1および第2の比較例(図12および図14参照)と比較して、低周波数の振動が抑制されており、且つ、駆動周期(高周波)での被駆動体30Aの振幅が抑制されている。また、図13および図15と比較しつつ、図11を参照すると、第1および第2の比較例に比べて、大きな推力が得られることが判る。
第1の比較例に比べて、第2の比較例ではアルミニウム部材92および樹脂部材93が設けられている。低周波数の大きな振動を抑制できているのは、アルミニウム部材92および樹脂部材93による制振効果が得られているためであると考えられる。
しかしながら、第2の比較例においても、駆動周期での振幅は十分に抑制されていない。これは、支持部材50と振動体10との間に、被駆動体930B自身の弾性(具体的には、アルミニウム部材92および樹脂部材93に起因する弾性)が介在するためであると考えられる。すなわち、制振部材として機能する被駆動体930B自体の弾性力によって、振動体10からの押圧力が吸収されてしまうことに起因して、駆動効率が低下しているものと考えられる。
これに対して、第1実施形態に係る振動アクチュエータ1Aにおいては、支持部材50と振動体10(チップ部材13)との間に、制振部材(弾性部材)が介在しない。詳細には、図1および図2に示すように、制振部材32は、接触部材31における振動体10との接触領域CRと接触部材31における接触領域の反対面側領域RRとの両領域(CR,RR)を除外した部分で、接触部材31に接続されている。このため、制振部材の弾性による余分な振動成分を排除することが可能である。したがって、第1および第2の比較例よりも駆動周期での振幅を抑制することが可能になっており、高い制振機能を実現することが可能である。また、第2の比較例と比較して駆動効率を向上させ、比較的大きな駆動力をも得ることが可能になっている。
このように、この第1実施形態に係る振動アクチュエータ1Aによれば、被駆動体30Aの制振部材32は、振動体10による振動方向(「加圧部材40による加圧方向」とも表現される)には存在しないので、振動および振動に起因する伝達ロスを抑制して、高い駆動力を得ることができる。すなわち、振動アクチュエータ1Aにおいて、高い駆動効率を実現することが可能である。なお、加圧部材40は、圧電素子11に印加される高周波電圧(高周波信号)に比べて、極めて低い周期の変位にしか追従できないため、振動を抑制する機能を有しておらず、上記のような制振部材としては機能しない。
また、この実施形態に係る振動アクチュエータ1Aにおいては、被駆動体30A自体に、振動体10からの駆動力をさらに別の部材へと伝達する部位が設けられている。具体的には、図4に示すように、被駆動体30Aの制振部材32において、カム溝G1,G2が設けられている。この当該カム溝G1,G2には、別部材(例えば、撮像装置におけるレンズ保持部材)に固定されたカムピン(不図示)が係合する。このような機構によれば、振動体10は、被駆動体30A、カム溝G1,G2および当該カム溝に係合するカムピンを介して、上記別部材(レンズ保持部材等)を移動させることができる。特に、カム溝G1,G2が制振部材32自体に設けられているため、駆動力伝達用の部位を被駆動体30Aとは別に設ける場合に比べて、コンパクトな構成とすることができる。また、制振部材32によって振動が減衰されるので、別部材へと伝達する振動を抑制することができる。
なお、上記実施形態においては、接触部材31の接合部の形状(上面視)が櫛歯状である場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図26において曲線CLで示すように、接触部材31の(制振部材32との)接合部は、上面視において滑らかな曲線(あるい直線)として形成されてもよい。
また、上記実施形態においては、接触部材31と制振部材32との接合部において、段差部分BP(図5)を設ける場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、図27のように、板状の接触部材31を、凹状断面を有する制振部材32によって板厚方向に挟み込む状態で接合するようにしてもよい。あるいは、図28に示すように、凸状断面を有する接触部材31を、当該凸状部分に合致する凹状断面を有する制振部材32で、板厚方向に挟み込む状態で接合するようにしてもよい。後者の構成によれば、接合部分における板厚方向の隆起部分を設けることなく、平らな接合部分を形成することが可能になる。
さらに、上記実施形態においては、接触部材31と制振部材32とが一体成形される場合(図4および図5参照)を例示したが、接触部材31と制振部材32との固定手法は、これに限定されない。たとえば、接触部材31と制振部材32とを接着剤を用いて固定するようにしてもよい。制振部材32によって接触部材31を確実に拘束するためには、高剛性材料で構成された接着剤を用いることが好ましい。
また、上記実施形態においては、制振部材32は、接触部材31の周囲の一部において、接触部材31に対して接触した状態で固定されているが、これに限定されない。たとえば、図29(上面図)および図30(図29のIII−III断面における断面図)に示すように、接触部材31の全周囲において接触部材31と制振部材32とを接合する(言い換えれば、接触部材31を囲むように制振部材32を配置する)ようにしてもよい。これによれば、接触部材31を制振部材32によってさらに強固に拘束できるので、より高い振動抑制効果を得ることができる。
さらに、上記実施形態においては、支持部材50がチップ部材13の直上位置に設けられる場合を例示した(図1,図2参照)が、これに限定されない。支持部材50(ローラ51)は、振動体10からの力を支持できる位置に存在すればよく、たとえば、被駆動体30Aを挟んでチップ部材13に対向する側において、直上位置から少しずれた位置に存在してもよい。また、支持部材として複数(2つ)のローラを直上位置の両側に少しずれた位置(たとえば、後述する図19のローラ52と同様の位置)に設けるようにしてもよい。
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、被駆動体30Aが所定の回転軸を中心に回動する場合(すなわち回転運動する場合)を例示したが、この第2実施形態においては、被駆動体30Bが直線運動する場合を例示する。
図19および図20は、それぞれ、第2実施形態に係る振動アクチュエータ1Bを示す正面図および側面図である。また、図21は、振動アクチュエータ1Bに用いられる被駆動体30Bを示す上面図である。
第2実施形態に係る振動アクチュエータ1Bは、第1実施形態に係る振動アクチュエータ1Aの変形例であり、振動アクチュエータ1Aと同様の構成を有している。説明の重複を回避するため、以下、振動アクチュエータ1Aとの相違点を中心に説明する。なお、各図において、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して示している。
振動アクチュエータ1Bは、被駆動体30Aの代わりに被駆動体30Bを備える点で、振動アクチュエータ1Aと相違する。
図20および図21に示すように、被駆動体30Bは、薄板状の細長矩形形状を有しており、その両側部においてガイドローラ53,54にガイドされており、X方向へ移動可能である。この被駆動体30Bは、接触部材33と制振部材34とを備えている。接触部材33は接触部材31と同様の部材であり、制振部材34は制振部材32と同様の部材である。ただし、接触部材33および制振部材34の形状が、それぞれ、接触部材31および制振部材32の形状と相違している。
接触部材33は、制振部材34よりも一回り小さな細長矩形形状を有している。接触部材33の露出部33bと振動体10のチップ部材13とが摩擦接触することによって、振動体10からの駆動力が被駆動体30Bに伝達される。この露出部33bのY方向の幅Wwは、チップ部材13との接触幅Wt(図2参照)に若干量の幅ΔWを加えた大きさを有しており(Ww=Wt+ΔW)、露出部33bのX方向の長さLdは、直線運動における所定の駆動範囲の長さLxに若干量の長さΔLを加えた大きさを有している(Ld=Lx+ΔL)。
制振部材34は、細長矩形形状の接触部材33の1つの長辺と2つの短辺とに接触した状態で固定されている。制振部材34は、接触部材33の外縁部33aを挟み込むことによって、接触部材33を拘束し接触部材33の振動(特に共振)を抑制することが可能である。
図19および図20に示されるように、第2実施形態に係る振動アクチュエータ1Bにおいては、被駆動体30Bの制振部材34が、振動体10による振動方向(ここではZ方向)には存在しない。より詳細には、制振部材34は、接触部材33における振動体10との接触領域CRと接触部材33における接触領域の反対面側領域RRとの両領域(CR,RR)を除外した部分において、接触部材33に接続されている。具体的には、制振部材34は、接触部材33における振動体10との接触領域(接触面)CRの側方(図では左側(+Y側)))において、接触部材33に接続されている。このため、高い制振機能を実現するととともに、高い駆動効率を実現することが可能である。特に、支持部材50と振動体10との間に制振部材が介在しないため、制振部材の弾性による余分な振動成分を排除することが可能である。
また、支持部材50のローラ51は、振動体10のチップ部材13との間で被駆動体30B(接触部材33)を挟むように、被駆動体30Bに対して振動体10とは反対側(+Z側)に設けられている。支持部材50のローラ51は、薄板状の被駆動体30B(接触部材33)の両主面のうちチップ部材13との接触面(下面)とは反対側の面(上面)において、チップ部材13と被駆動体30Bとの接触位置の直上位置で、被駆動体30Bに接触している。このように、支持部材50をチップ部材13の直上位置(言い換えれば、被駆動体30Bを挟んでチップ部材13に対向する位置)に設けることによれば、振動体10の振動によって生じるZ方向の力を確実に支持することができる。この結果、大きな駆動力を得ることが可能になる。なお、この第2実施形態においては、支持部材50が、1つのローラ51だけで構成されるのではなく、ローラ52をも含む複数のローラで構成される場合を例示している。
<3.第3実施形態>
第3実施形態においては被駆動体30Cが振動体10による振動面(楕円軌道PB(図7)を含む面)に平行な面内で回転する場合を例示する。後述するように、被駆動体30Cがロータとして構成され、振動体10がロータ内部に配置される。このため、コンパクトな構成とすることができる。
図22は、第3実施形態に係る振動アクチュエータ1Cの内部構成を示す上面図(一部断面図)である。また、図23は、振動アクチュエータ1Cの内部構成を示す側面図(一部断面図)である。以下、振動アクチュエータ1Aとの相違点を中心に説明する。なお、便宜上、図22においては制振部材36の図示を省略しており、図23においては台板70の円筒壁の一部を省略して示している。
第3実施形態に係る振動アクチュエータ1Cは、振動体10と被駆動体30Cと加圧部材40と台板70とを備えている。
台板70は、底面付き円筒形状を有している。具体的には、台板70は、円形状の底面部71と、当該底面部71の最外周部分においてZ方向に突出した円筒壁72とを有している。円筒壁(円筒面)72に囲まれた凹部には、振動体10が配置されている。振動体10が、接触部材35の円筒面で囲まれる位置に設けられているので、小型化を図ることができる。
また、底面部71から突出した突出部73に対して、加圧部材40が固定されている。この加圧部材40によって、所定の付勢力で振動体10のチップ部材13が接触部材35に対して押し付けられている。これにより、駆動力がより確実に伝達される。
被駆動体30Cは、接触部材35と制振部材36とを有している。接触部材35は、円筒形状を有する部材として構成されており、制振部材36は、円形状の薄板状部材であり、円筒形状の接触部材35における円状空洞部の一端面を覆う端面部材として形成される。円形状の制振部材36の最外周部分において、円筒形状の接触部材35の端部が挟まれて固定されており、後述するように、接触部材35と制振部材36とは一体化して回転する。なお、接触部材35が円筒形状に形成されているため、アーチ効果によって、より高い強度を得ることができる。そのため、より高い制振効果が得ることが可能である。
また、接触部材35と台板70とは、接触部材35の外側と台板70の円筒壁72の内側との間に所定の間隙を空けた状態で同心円状に配置される。また、当該間隙においては、台板70の内周面に設けられた溝と接触部材35の外周面に設けられた溝とに挟まれて複数のボール55が配置されており、これら複数のボール55がボールベアリングとして機能する。
図23に示すように、振動体10のチップ部材13の先端部は、接触部材35の内周側に接触している。振動体10はXY平面に平行な平面において楕円軌道を描くように振動することによって、チップ部材13と接触部材35との接点における接線方向への駆動力が生じる。具体的には、振動体10が接触部材35との接触および接触部材35からの離反を繰り返しつつ、接触部材35との間に摩擦力を生じさせて、接触部材35を駆動する。
ボールベアリングによって台板70に対して支持されている接触部材35は、この駆動力によって、円筒形状の接触部材31の中心軸Abを中心に回転し、台板70に対して相対的に移動する。
第3実施形態に係る振動アクチュエータ1Cにおいては、被駆動体30Cの制振部材36等が、振動体10による振動方向(ここではX方向)には存在しない。より詳細には、制振部材36は、接触部材35における振動体10との接触領域CRと接触部材35における接触領域の反対面側領域RRとの両領域(CR,RR)を除外した部分(具体的には、接触部材35における振動体10との接触領域(接触面)CRの側方(図では上方(+Z側)))において、接触部材35に接続されている。このため、高い制振機能を実現するととともに、高い駆動効率を実現することが可能である。
また、振動アクチュエータ1Cにおいては、接触部材35に対して別部材の制振部材36が接続されている。また、制振部材36は接触部材35とは異なる材料で形成されている。したがって、接触部材35と制振部材36とが一体構造部品として同一の材料で形成される場合に比べて振動を抑制することが可能である。特に、制振部材36は、円筒状の接触部材35における一端側の円状端部を全周にわたって挟み込んで強固に固定している。このため、接触部材35を拘束して接触部材35の振動(共振を含む)をより抑制することが可能である。
さらに、図22および図23に示されるように、ボール55(支持部材)は、振動体10のチップ部材13との間で被駆動体30C(接触部材35)を挟むように、被駆動体30Cの接触部材35に対して振動体10とは反対側に設けられている。これによれば、振動体10の振動によって生じる半径方向の力を確実に支持することができ、大きな駆動力を得ることが可能になる。
<4.第4実施形態>
第4実施形態は、第3実施形態の変形例である。
図24は、第4実施形態に係る振動アクチュエータ1Dの内部構成を示す上面図(一部断面図)である。また、図25は、振動アクチュエータ1Dの内部構成を示す側面図(一部断面図)である。以下、振動アクチュエータ1Cとの相違点を中心に説明する。なお、便宜上、図24においては制振部材38の図示を省略している。
第4実施形態に係る振動アクチュエータ1Dは、振動体10と被駆動体30Dと加圧部材40と台板80とを備えている。
台板80は、薄板状の円形形状を有している。台板80の中央には、円筒型の突出部82が設けられている。この突出部82は、後述する被駆動体30Dの回転軸を支持する軸受けとして機能する。また、台板80の最外周部分の一部においては、突出部81が設けられており、この突出部81に対して、振動体10に固設された加圧部材40が固定されている。
被駆動体30Dは、接触部材37と制振部材38とを有している。接触部材37は、円筒形状を有する部材として構成されており、制振部材38は円形状の薄板状部材として構成されている。円形状の制振部材38の最外周部分において、円筒形状の接触部材37の端部が固定されている。また、制振部材38の中央部には、回転軸39が「かしめ」或いは圧入などによって制振部材38に対して固定されており、接触部材37と制振部材38と回転軸39とは一体化して回転する。なお、回転軸39は、耐摩耗性を考慮して金属などで構成されることが好ましい。また、ここでは、回転軸39は、制振部材38とは別に形成されているが、制振部材38の一部として一体的に形成されてもよい。たとえば、回転軸をも有する制振部材38を、接触部材37とは異なる種類の金属で形成するようにしてもよい。
図25に示すように、振動体10のチップ部材13の先端部は、接触部材35の内周側に接触している。そのため、第3実施形態と同様に、チップ部材13と接触部材37との接点において接線方向への駆動力が生じ、この駆動力によって、接触部材37は、台板70に対して回転する。
ここにおいて、制振部材38は、円筒状の接触部材37における一端側の円状端部を全周にわたって固定している。このため、接触部材37を拘束して接触部材37の振動(特に共振)を抑制することが可能である。
また、この第4実施形態に係る振動アクチュエータ1Dにおいては、被駆動体30Dの制振部材が、振動体10による振動方向には存在しない。したがって、共振動作等に起因する伝達ロスを抑制して、高い駆動力を得ることができる。すなわち、振動アクチュエータ1Dにおいて、高い駆動効率を実現することが可能である。
さらに、この第4実施形態においては、回転軸39を接触部材37の内側に設けており、当該回転軸39によって、振動体10による駆動力を支持している。このような構成によれば、円筒状の接触部材37の外側に支持部材(ボール55等)を設けていないため、第3実施形態の振動アクチュエータ1Cに比べて、一層の小型化を図ることができる。
<5.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
たとえば、上記第1実施形態においては、被駆動体30Aが揺動運動する場合を例示したが、これに限定されず、たとえば、被駆動体は1回転(360度)以上回転するように構成されてもよい。図31(上面図)および図32(断面図)は、第1実施形態の被駆動体30Aの代わりに、円盤状の被駆動体を設けた変形例である。この変形例においては、円環形状の接触部材31が、中央部の制振部材32を取り囲むように、制振部材32の全周において接合されてりう。また、接触部材31(詳細には露出部31b)は、チップ部材13との摩擦接触によって駆動され、1回転以上の回転運動を行うことが可能である。図33は、さらなる変形例を示す図である。図33に示すように、接触部材31と制振部材32との接合部分(破線で示す)を上面視において櫛歯状に形成するようにしてもよい。これによれば、接合強度を高めることができる。
また、上記第1実施形態においては、被駆動体30Aに、駆動力の伝達手段としてカム溝G1、G2を設ける場合を例示したが、これに限定されず、その他の伝達手段(たとえば歯車など)を被駆動体自体に設けるようにしてもよい。
図34は、そのような変形例に係る被駆動体を示す上面図である。図34に示すように、被駆動体の制振部材32の外周部の一部(詳細には中心軸AZを介して接触部材31の反対側)に、歯車の歯THを設けるようにしてもよい。これによれば、駆動力の伝達手段を被駆動体30Aとは別に設ける場合に比べて、コンパクトな構成とすることができる。また、制振部材32に、エンコーダのスリット部SLを設けるようにしてもよい。さらに当該スリット部SLを挟む位置に投光部および受光部を設けることによれば、透過型の光学式エンコーダを構成することができる。この場合、スリット部SLが被駆動体30Aと一体的に形成されるため、コンパクト化を図ることができる。
図35は図34に類似する別の変形例を示す図である。図35の変形例は、スリット部SLの代わりにエンコーダ板EBを設けている点で、図34の変形例と相違する。このエンコーダ板EBは、反射型の光学エンコーダに用いられるものであり、反射部と吸収部とを有している。このようにして、反射型の光学式エンコーダを構成するようにしてもよい。あるいは、磁性鉄粉を混入した着時可能な樹脂を用いて、磁気エンコーダを同様の部位に構成するようにしてもよい。
また、図36および図37は、さらに別の変形例を示す図である。この変形例においては、制振部材32が上側部分UPと下側部分LPとの2段構造(図37参照)になっており、当該制振部材32の一部である上側部分UPが歯車TWとして構成されている。このような歯車を用いて別部材に駆動力を伝達するようにしてもよい。
さらに、上記第1実施形態の被駆動体30Aにおいて、回動範囲を規制するストッパピンを設けるようにしてもよい。図38〜図41は、このような変形例を示す図である。図38(上面図)および図39(図38のV−V断面における断面図)に示すように、Z方向に突出するストッパピンPNが制振部材32上に設けられる。一方、振動アクチュエータ1Aの本体側には、ストッパ部材SBが固定されている。また、ストッパ部材SBは、制振部材32の外縁部の直上部分において、制振部材32に接触しないように所定の間隙を空けて配置される。そして、被駆動体30Aが矢印ARの向きに回動して、その回動角度が所定の角度に到達すると、図40に示すように、ストッパピンPNがストッパ部材SBに当接する。また、被駆動体30Aが矢印ARとは逆向きに回動して、その回動角度が所定の角度に到達すると、図41に示すように、ストッパ部材SBがストッパピンPNに当接する。このように、被駆動体30Aの回動動作が規制される。
また、第1実施形態以外の実施形態の被駆動体において、駆動力の伝達手段を設けるようにしてもよい。
たとえば、第3実施形態の被駆動体30C(図23)において、制振部材36の外周に歯車の歯を設けるようにしてもよい。図42および図43は、それぞれ、そのような変形例に係る被駆動体の上面図および断面図を示す図である。
あるいは、第3実施形態の被駆動体30Cにおいて、制振部材36の形状として特定の形状を採用することによって、制振部材36をカムとして用いるようにしてもよい。図44(上面図)および図45(断面図)は、そのような変形例を示す図である。この変形例においては、制振部材36の上面(端面)が傾斜している。また、特定の別部材に固定されたカムフォロアピンFPは、制振部材36の上面に対して付勢されている。制振部材36の上面の高さは周方向の位置に応じて異なるため、当該制振部材36の上面に接触するカムフォロアピンFPが、制振部材36の回動動作に伴って、ガイド部GDにガイドされて上下方向(Z方向)に直線運動する。
また、図46(上面図)および図47(断面図)は、別の変形例を示す図である。この変形例においては、制振部材36が上側部分UPと下側部分LPとの2段構造になっており、当該制振部材36の一部である上側部分UPがカムCMとして構成されている。カムフォロアピンFPは、カムCMに対して所定の付勢力によって中心に向けて付勢されている。このカムフォロアピンFPは、ガイド部GDにガイドされており、図の左右方向に摺動可能である。中心軸AbからカムCMの外周面までの距離は制振部材36(カムCM)の周方向の位置に応じて異なるため、カムCMに接触するカムフォロアピンFPが、制振部材36の回動動作に伴って半径方向(左右方向)に直線運動する。
上記各実施形態においては、振動体10が楕円振動する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、振動体10による振動は、単振動であってもよい。