JP2006238524A - モータ駆動装置およびモータ駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 PWM駆動するインバータ装置で、ブラシレスモータをセンサレスで、CPUによる演算を必要とせずに正弦波駆動する。
【解決手段】 n組の正側スイッチング素子群またはn組の負側スイッチング素子群、のいずれか一方のスイッチング素子群が同時にオン状態になる期間内に、サンプル期間を設定するサンプル期間設定手段と、n相モータの少なくとも一つの特定相を含む複数の相について、前記サンプル期間においてn相モータを駆動する駆動信号を検出し、検出した駆動信号に基づいて、回転により発生する誘起電圧の位相を求め、求められた誘起電圧の位相と、相電流の位相との位相差を検出する位相差検出手段とを有し、前記位相差に基づき、プロファイル波の位相を制御し、前記位相差が所定量以下になるようにする。
【選択図】図1
【解決手段】 n組の正側スイッチング素子群またはn組の負側スイッチング素子群、のいずれか一方のスイッチング素子群が同時にオン状態になる期間内に、サンプル期間を設定するサンプル期間設定手段と、n相モータの少なくとも一つの特定相を含む複数の相について、前記サンプル期間においてn相モータを駆動する駆動信号を検出し、検出した駆動信号に基づいて、回転により発生する誘起電圧の位相を求め、求められた誘起電圧の位相と、相電流の位相との位相差を検出する位相差検出手段とを有し、前記位相差に基づき、プロファイル波の位相を制御し、前記位相差が所定量以下になるようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、ブラシレスモータの駆動装置に関するものであって、PWM正弦波駆動でかつセンサレス駆動される装置に関するものである。
近年、ハードディスクや光ディスク等のスピンドルモータ用として、あるいはエアコンのファンモータやコンプレッサ駆動用モータとして、ブラシレスモータが一般的に採用されており、広範囲の可変速制御や電力消費量低減のため、インバータ装置を使ってPWM駆動されている。3相コイルを有するブラシレスモータ内部には、通常ロータの磁極位置検出のため、ホール素子等の磁極センサが電気角120度毎に配置されている。この磁極センサによって、ロータの回転位置に対応した信号を得て、ブラシレスモータのコイルに180度通電方式にて正弦波駆動されている。
これに対して、低コスト化や小型化を目的として、磁極センサを使用することなく、ブラシレスモータを駆動可能とした、いわゆるセンサレス技術が種々開発されている。このセンサレス駆動を実現する手段として、電気角120度通電を行い、フローティングコイルにモータが回転することにより発生する誘起電圧を検出し、この誘起電圧のゼロクロスを使う方法がある。
これに対して、低コスト化や小型化を目的として、磁極センサを使用することなく、ブラシレスモータを駆動可能とした、いわゆるセンサレス技術が種々開発されている。このセンサレス駆動を実現する手段として、電気角120度通電を行い、フローティングコイルにモータが回転することにより発生する誘起電圧を検出し、この誘起電圧のゼロクロスを使う方法がある。
例えば、特許文献1によると、誘起電圧のゼロクロス近辺で一定区間PWM動作を停止させ、PWMノイズによる誤検出を防止する技術が開示されている。また例えば、特許文献2によると、検出した相電流のゼロクロス情報とインバータの出力である駆動電圧と回転数情報等から位置情報をCPUで演算する技術が開示されている。この特許文献2に開示されている内容について、その要部を示す図33に従い、以下説明する。
直流電源101にインバータ主回路107が接続されており、インバータ主回路107は、3相ブリッジ接続のトランジスタT1、T2、T3、T4、T5、T6と各トランジスタにそれぞれ並列接続されたフライホイールダイオードD11、D12、D13、D14、D15、D16より構成されている。そのインバータ主回路107の出力端子107U、107V、107Wは、3相ブラシレスモータ108のスター結線された各コイル108U、108V、108Wにそれぞれ接続されている。
始動制御部109は、外部より始動指令信号が与えられると、電圧指令vを通電信号形成部110および誘起電圧位相差演算部111に出力するとともに、周波数指令fsを指令選択部112に出力する。通電信号形成部110は、クロック発振器、カウンター、ROM、レベル信号発生器より構成されていて、120度間隔の通電信号DU、DV、DWをPWM回路114に出力するとともに、それらのいずれかが論理しきい値を通過する毎にハイ、ローレベルの反転を繰り返す通電位相信号110SPを生成して、電流位相差検出部115に出力する。
始動制御部109は、外部より始動指令信号が与えられると、電圧指令vを通電信号形成部110および誘起電圧位相差演算部111に出力するとともに、周波数指令fsを指令選択部112に出力する。通電信号形成部110は、クロック発振器、カウンター、ROM、レベル信号発生器より構成されていて、120度間隔の通電信号DU、DV、DWをPWM回路114に出力するとともに、それらのいずれかが論理しきい値を通過する毎にハイ、ローレベルの反転を繰り返す通電位相信号110SPを生成して、電流位相差検出部115に出力する。
PWM回路114は、内部の搬送波発生器から出力される搬送波(三角波)のレベルと通電信号DU、DV、DWのレベルとをそれぞれ比較して、各トランジスタT1、T2、T3、T4、T5、T6を駆動するPWM信号を出力する。駆動回路116は、PWM回路からの信号をレベルシフトして、各トランジスタT1、T2、T3、T4、T5、T6に供給する。
電流極性検出回路117は、インバータ主回路107において流れるU、V、W各相電流の極性を検出し、電流極性信号SU、SV、SWを電流位相差検出部115に出力する。電流位相差検出部115は、電流極性信号SU、SV、SWと通電位相信号110SPとに基づいて、モータ108のコイル108U、108V、108Wの両端にそれぞれ印加されるインバータ主回路107の出力である駆動電圧に対するコイル電流の位相差θiを検出して、その電流位相差θiを誘起電圧位相差演算部111、及び周波数指令決定部113に出力する。
電流極性検出回路117は、インバータ主回路107において流れるU、V、W各相電流の極性を検出し、電流極性信号SU、SV、SWを電流位相差検出部115に出力する。電流位相差検出部115は、電流極性信号SU、SV、SWと通電位相信号110SPとに基づいて、モータ108のコイル108U、108V、108Wの両端にそれぞれ印加されるインバータ主回路107の出力である駆動電圧に対するコイル電流の位相差θiを検出して、その電流位相差θiを誘起電圧位相差演算部111、及び周波数指令決定部113に出力する。
誘起電圧位相差演算部111は、電圧指令v、周波数指令f、及び電流位相差θiからインバータ主回路107の出力である駆動電圧に対するモータ108のコイル108U、108V、108Wに誘起される電圧の位相差θeを演算して、その誘起電圧位相差θeを周波数指令決定部113に出力する。周波数指令決定部113は、周波数指令f、電流位相差θi、及び誘起電圧位相差θeから周波数指令feを決定して、指令選択部112に出力する。
ここで、θi<θeの場合は、周波数指令feを増加させ、モータ108を加速するように通電を行ない、ロータの位相(誘起電圧位相差θe)を相対的に遅れ方向に移行させるように作用する。逆に、θi>θeの場合は、周波数指令feを減少させ、ロータの位相を相対的に進み方向に移行させるように作用する。以上の処理が繰り返されることによって、最終的に電流位相差θiと誘起電圧位相差θeとが等しくなるように周波数指令fe、即ち周波数指令fが決定される。
ここで、θi<θeの場合は、周波数指令feを増加させ、モータ108を加速するように通電を行ない、ロータの位相(誘起電圧位相差θe)を相対的に遅れ方向に移行させるように作用する。逆に、θi>θeの場合は、周波数指令feを減少させ、ロータの位相を相対的に進み方向に移行させるように作用する。以上の処理が繰り返されることによって、最終的に電流位相差θiと誘起電圧位相差θeとが等しくなるように周波数指令fe、即ち周波数指令fが決定される。
以上を要約すると、電流位相差検出部115によって、インバータ主回路107の出力である駆動電圧に対するモータ108のコイル電流Iu、Iv、Iwの位相差θiを検出し、誘起電圧位相差演算部111は、電流位相差θiに基づいて、駆動電圧に対するモータ108の誘起電圧位相差θeを演算し、周波数指令決定部113は誘起電圧位相差θeと電流位相差θiとの差に基づいて周波数指令feを決定する。そして、通電信号形成部110は、周波数指令feおよび電圧指令vに応じた周波数および電圧振幅を有する通電信号DU、DV、DWを生成し、インバータ主回路を介してモータ108を駆動する。
従って、通電信号を形成するために磁極センサを用いてロータの位置信号を得ることなく、電流位相差θiと誘起電圧位相差θeとから周波数指令feを決定し、モータ108のコイルに正弦波に基づいた振幅の電圧を印加して、モータ108を駆動する。
特開平10−191684
特開平10−285982
従って、通電信号を形成するために磁極センサを用いてロータの位置信号を得ることなく、電流位相差θiと誘起電圧位相差θeとから周波数指令feを決定し、モータ108のコイルに正弦波に基づいた振幅の電圧を印加して、モータ108を駆動する。
しかし、上記従来の技術では次のような課題があった。特許文献1による方法では、誘起電圧のゼロクロス近辺で一定区間PWM動作を停止させるので180度通電を行うことが出来ず、この非通電区間でのトルク変動が騒音や振動の原因となるという問題があった。また特許文献2による方法では180度通電は出来るが高度な演算処理を必要とするために、CPU等の高価な演算処理器が必要でモータ駆動装置の高コスト化に繋がるという問題があった。またCPUのクロック周波数にもよるが、演算時間により制御遅れを生じ、動作が不安定になるという問題もあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、CPU等の高価な演算処理器を必要とせず、騒音や振動が少なく、高効率のモータ駆動装置を提供することにある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、CPU等の高価な演算処理器を必要とせず、騒音や振動が少なく、高効率のモータ駆動装置を提供することにある。
前記の目的を達成するため本発明のモータ駆動装置は、n相(nは2以上の整数)モータを、n相の駆動信号により駆動する装置であって、周期性を有し、位相の制御が可能なプロファイル波を生成するプロファイル波生成手段と、前記プロファイル波に従ってPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、前記PWM信号に基づき、直流電源からの正極の電力供給を制御する正側スイッチング素子と、負極の電力供給を制御する負側スイッチング素子を含む回路をn組備え、n相の駆動信号を生成するn相インバータと、前記n組の正側スイッチング素子群または前記n組の負側スイッチング素子群、のいずれか一方のスイッチング素子群が同時にオン状態になる期間内に、サンプル期間を設定するサンプル期間設定手段と、前記n相モータの少なくとも一つの特定相を含む複数の相について、前記サンプル期間において前記駆動信号を検出し、検出した駆動信号に基づいて、回転により発生する誘起電圧の位相を求め、求められた誘起電圧の位相と、相電流の位相との位相差を検出する位相差検出手段とを有している。
前記位相差に基づき、前記プロファイル波生成手段から生成される前記プロファイル波の位相を制御し、前記位相差が所定量以下になるようにすることを特徴としている。
前記位相差に基づき、前記プロファイル波生成手段から生成される前記プロファイル波の位相を制御し、前記位相差が所定量以下になるようにすることを特徴としている。
本発明のモータ駆動装置によれば、PWM駆動するインバータにおいて、モータの相電流情報をセンサやシャント抵抗なしで、負側または正側のスイッチング素子のスイッチング状態のみで検出できる。これにより電流不連続部がなく全区間の検出が可能になり、通電角に依存することなく、また高周波のスイッチングにも適応できる。さらに、PWM駆動信号を生成する元となるプロファイル波で、ほぼ30度シフトした時点の相電流情報を観測することで、より精度の高い誘起電圧の推定が可能になる。誘起電圧と相電流の位相が一致するように位相制御すれば、ブラシレスモータを位置センサなしで正弦波駆動させることができる。これによりCPUによる高度な演算を必要とせず、高効率で安価なモータ駆動装置が実現できる。
以下、本発明のモータ駆動装置を、好ましい実施の形態により、図面を参照して、詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の構成を示すブロック図であり、3相モータ2は、3相の駆動電圧DU、DV、DWにより駆動される。図1において、インバータ1を形成するスイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6は、Q1とQ2、Q3とQ4、Q5とQ6がそれぞれ直列に接続され、それら3つの直列回路が直流電源10に接続される。スイッチング素子として、ここでは電界効果型トランジスタ(以降、FETと記す)を例として説明する。Q1、Q2の2つのFETによる直列回路にてU相回路を構成し、Q3、Q4の2つのFETによる直列回路にてV相回路を構成し、Q5、Q6の2つのFETによる直列回路にてW相回路を構成する。また、Q1、Q3、Q5のFETは正側スイッチング素子、Q2、Q4、Q6のFETは負側スイッチング素子と呼ばれる。Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6のそれぞれのFETには、フライホイールダイオードD1、D2、D3、D4、D5、D6が並列に接続されている。なおこのフライホイールダイオードD1、D2、D3、D4、D5、D6は、各FETの寄生ダイオードを使うことにより省略することが可能である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の構成を示すブロック図であり、3相モータ2は、3相の駆動電圧DU、DV、DWにより駆動される。図1において、インバータ1を形成するスイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6は、Q1とQ2、Q3とQ4、Q5とQ6がそれぞれ直列に接続され、それら3つの直列回路が直流電源10に接続される。スイッチング素子として、ここでは電界効果型トランジスタ(以降、FETと記す)を例として説明する。Q1、Q2の2つのFETによる直列回路にてU相回路を構成し、Q3、Q4の2つのFETによる直列回路にてV相回路を構成し、Q5、Q6の2つのFETによる直列回路にてW相回路を構成する。また、Q1、Q3、Q5のFETは正側スイッチング素子、Q2、Q4、Q6のFETは負側スイッチング素子と呼ばれる。Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6のそれぞれのFETには、フライホイールダイオードD1、D2、D3、D4、D5、D6が並列に接続されている。なおこのフライホイールダイオードD1、D2、D3、D4、D5、D6は、各FETの寄生ダイオードを使うことにより省略することが可能である。
3相モータ2は、その固定子にU相巻線LU、V相巻線LV、W相巻線LWを有し、それらの一端は相互接続され、各巻線の他端については、Q1とQ2の接続点UがU相巻線に、Q3とQ4の接続点VがV相巻線に、Q5とQ6の接続点WがW相巻線に接続されている。
このような構成により3相のインバータ1は、直流電源10からの正極の電力供給を制御する正側スイッチング素子と、負極の電力供給を制御する負側スイッチング素子を含む回路の3組並列構成により、U点、V点、W点の3相の駆動電圧DU、DV、DWを生成し、3相モータ2のそれぞれU相巻線LU、V相巻線LV、W相巻線LWに出力する。なお実施の形態1では、インバータ1は電圧駆動構成であり3相モータ2に駆動電圧を出力し、駆動するとしているが、電流駆動構成により3相モータ2に駆動電流を出力し、駆動するとしてもよい。インバータ1が3相モータ2を駆動する信号を、総称して駆動信号という。また正側スイッチング素子、負側スイッチング素子は、ここではそれぞれFETが1個ずつとしているが、それぞれ複数個で構成されていてもよい
このような構成により3相のインバータ1は、直流電源10からの正極の電力供給を制御する正側スイッチング素子と、負極の電力供給を制御する負側スイッチング素子を含む回路の3組並列構成により、U点、V点、W点の3相の駆動電圧DU、DV、DWを生成し、3相モータ2のそれぞれU相巻線LU、V相巻線LV、W相巻線LWに出力する。なお実施の形態1では、インバータ1は電圧駆動構成であり3相モータ2に駆動電圧を出力し、駆動するとしているが、電流駆動構成により3相モータ2に駆動電流を出力し、駆動するとしてもよい。インバータ1が3相モータ2を駆動する信号を、総称して駆動信号という。また正側スイッチング素子、負側スイッチング素子は、ここではそれぞれFETが1個ずつとしているが、それぞれ複数個で構成されていてもよい
プロファイル波発生回路4、搬送波発生回路5、およびPWM信号発生回路3にてスイッチング信号生成手段13を構成している。プロファイル波発生回路4と搬送波発生回路5の出力信号がPWM信号発生回路3に入力され、所定のPWM信号PQ1、PQ2、PQ3、PQ4、PQ5、PQ6が合成され、各FET(Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6)のゲートに入力される。
プロファイル波発生回路4は、位相の制御が可能な構成になっている。位相差検出部14からの位相制御信号PFのほか、振幅信号、回転周期信号を入力して、振幅信号、回転周期信号に追従し、かつ位相制御信号PFに応じて位相をシフト可能な周期性のあるプロファイル波を発生させる。この位相制御信号PF、振幅信号、回転周期信号は、3相モータ2に供給される電流の位相、振幅に応じたモータの発生トルク、モータの回転周期を指令するものである。プロファイル波発生回路4は、3相正弦波のプロファイル波信号PSU、PSV、PSWのほかに、各それぞれ所定の設定時間だけ位相が進んだプロファイル波信号PSUF、PSVF、PSWFも出力する。これらは最終的にサンプル指令信号生成器の出力であるサンプル指令信号PAの生成に用いられる。
プロファイル波発生回路4は、位相の制御が可能な構成になっている。位相差検出部14からの位相制御信号PFのほか、振幅信号、回転周期信号を入力して、振幅信号、回転周期信号に追従し、かつ位相制御信号PFに応じて位相をシフト可能な周期性のあるプロファイル波を発生させる。この位相制御信号PF、振幅信号、回転周期信号は、3相モータ2に供給される電流の位相、振幅に応じたモータの発生トルク、モータの回転周期を指令するものである。プロファイル波発生回路4は、3相正弦波のプロファイル波信号PSU、PSV、PSWのほかに、各それぞれ所定の設定時間だけ位相が進んだプロファイル波信号PSUF、PSVF、PSWFも出力する。これらは最終的にサンプル指令信号生成器の出力であるサンプル指令信号PAの生成に用いられる。
サンプル指令信号生成器6は、入力されたPWM信号PQ2、PQ4、PQ6、および各それぞれ所定の設定時間だけ位相が進んだプリPWM信号PQ2F、PQ4F、PQ6Fから、サンプル指令信号PAを作成し、相電流変化量検出部7に入力する。相電流変化量検出部7には、このサンプル指令信号PAとU、V、W点の駆動電圧が入力され、相電流変化量信号PBU、PBV、PBWを出力する。相電流ゼロクロス検出部8には、サンプル指令信号PAとU、V、W点の駆動電圧が入力され、相電流ゼロクロス検出信号PZU、PZV、PZWを出力する。相電流検出部9には、サンプル指令信号PAとU、V、W点の駆動電圧が入力され、相電流信号PIU、PIV、PIWを出力する。
図2に、このPWM信号発生回路3の具体的な回路図を示している。その中のU相用PWM信号発生回路330について詳しく説明する。また、図15はプロファイル波信号PSU、PSV、PSWと、三角波の信号PHから生成されるPWM信号PQ1、PQ2、PQ3、PQ4、PQ5、PQ6の関係を示す図である。
図2、図15を併用して説明する。
U相用PWM信号発生回路330において、プロファイル波発生回路4から正弦波のプロファイル波信号PSUおよびPSUFが、それぞれ比較器301、302のそれぞれの非反転端子に入力される。反転入力端子には、搬送波発生回路5から三角波信号PHが入力され、非反転端子と比較される。比較器301の出力は、一つは正側スイッチング素子を駆動するPWM信号PQ1となり、他方はインバータ素子303にて反転され、負側スイッチング素子を駆動するPWM信号PQ2となる。一方、比較器302の出力はインバータ素子304にて反転され、サンプル指令信号PA生成の補助信号であるプリPWM信号PQ2Fとなる。サンプル指令信号PA生成の補助信号PQ2Fは、負側スイッチング素子を駆動するPWM信号PQ2よりも位相が所定の設定時間だけ進んだ信号となる。また、同様の動作を行うV相用PWM信号発生回路360、W相用PWM信号発生回路390により、プロファイル波信号PSV、PSW、PSVF、PSWFが入力すると正側スイッチング素子を駆動するPWM信号PQ3、PQ5、負側スイッチング素子を駆動するPWM信号PQ4、PQ6、サンプル指令信号PA生成の補助となるプリPWM信号PQ4F、PQ6Fが出力される。
図2、図15を併用して説明する。
U相用PWM信号発生回路330において、プロファイル波発生回路4から正弦波のプロファイル波信号PSUおよびPSUFが、それぞれ比較器301、302のそれぞれの非反転端子に入力される。反転入力端子には、搬送波発生回路5から三角波信号PHが入力され、非反転端子と比較される。比較器301の出力は、一つは正側スイッチング素子を駆動するPWM信号PQ1となり、他方はインバータ素子303にて反転され、負側スイッチング素子を駆動するPWM信号PQ2となる。一方、比較器302の出力はインバータ素子304にて反転され、サンプル指令信号PA生成の補助信号であるプリPWM信号PQ2Fとなる。サンプル指令信号PA生成の補助信号PQ2Fは、負側スイッチング素子を駆動するPWM信号PQ2よりも位相が所定の設定時間だけ進んだ信号となる。また、同様の動作を行うV相用PWM信号発生回路360、W相用PWM信号発生回路390により、プロファイル波信号PSV、PSW、PSVF、PSWFが入力すると正側スイッチング素子を駆動するPWM信号PQ3、PQ5、負側スイッチング素子を駆動するPWM信号PQ4、PQ6、サンプル指令信号PA生成の補助となるプリPWM信号PQ4F、PQ6Fが出力される。
図3にサンプル指令信号生成器6の回路図を示している。また図16は、PWM信号PQ2、PQ4、PQ6、およびプリPWM信号PQ2F、PQ4F、PQ6Fと、サンプル指令信号PAの関係を示す図である。図3、図16を併用して説明する。
図3において、負側FETを駆動するPWM信号であるPQ2、PQ4、PQ6は、AND素子601に入力され、その論理積出力P6Aは、ワンショットマルチバイブレータ603で信号幅Td1の単パルスP6Bを発生させる。単パルスP6Bはインバータ素子604にて反転され信号P6Cとなり、論理積出力P6AとあわせてAND素子602に入力され論理積出力P6Dとなる。一方、サンプル指令信号PA生成の補助となるプリPWM信号PQ2F、PQ4F、PQ6Fは、AND素子605に入力され、その論理積出力P6Eが生成される。これと論理積出力P6DがAND素子606に入力され、論理積出力としてサンプル指令信号PAが生成される。サンプル指令信号PAは、相電流変化量検出部7、相電流ゼロクロス検出部8、相電流検出部9に入力される。
図3において、負側FETを駆動するPWM信号であるPQ2、PQ4、PQ6は、AND素子601に入力され、その論理積出力P6Aは、ワンショットマルチバイブレータ603で信号幅Td1の単パルスP6Bを発生させる。単パルスP6Bはインバータ素子604にて反転され信号P6Cとなり、論理積出力P6AとあわせてAND素子602に入力され論理積出力P6Dとなる。一方、サンプル指令信号PA生成の補助となるプリPWM信号PQ2F、PQ4F、PQ6Fは、AND素子605に入力され、その論理積出力P6Eが生成される。これと論理積出力P6DがAND素子606に入力され、論理積出力としてサンプル指令信号PAが生成される。サンプル指令信号PAは、相電流変化量検出部7、相電流ゼロクロス検出部8、相電流検出部9に入力される。
サンプル指令信号PA生成の補助となるプリPWM信号PQ2F、PQ4F、PQ6Fによる論理積出力P6Eは、負側FETを駆動するPWM信号PQ2、PQ4、PQ6の論理積出力P6Aよりも、位相が所定の設定時間Td2だけ進んでいる。そのため論理積出力P6Eは、論理積出力P6Dの論理出力のダウンエッジ発生タイミングを一定時間だけ先に進める働きをする。
なお本例では信号P6Dを生成するために、ワンショットマルチバイブレータ603とインバータ素子604を用いているが、RCによる遅延回路による代替など他の手段でも実現できる。
なお本例では信号P6Dを生成するために、ワンショットマルチバイブレータ603とインバータ素子604を用いているが、RCによる遅延回路による代替など他の手段でも実現できる。
図4、図5は、それぞれ相電流変化量検出部7の回路図、およびU相用電流変化量検出回路730の動作を説明する図である。図4の中のU相用電流変化量検出回路730について、図5を併用して詳しく説明する。
図4において、前述のサンプル指令信号PAがローからハイになると、アップエッジ動作のワンショットマルチバイブレータ701の出力P7Dにより、アナログスイッチ705が所定の設定時間だけオンになる。その結果U点駆動電圧が信号P7Aとしてコンデンサ707にサンプルホールドされ、そのサンプル値が差動増幅器703の反転入力端子に入力される。また、サンプル指令信号PAがハイからローになると、ダウンエッジ動作のワンショットマルチバイブレータ702の出力P7Eにより、アナログスイッチ706が所定の設定時間だけオンになる。その結果U点駆動電圧が信号P7Bとしてコンデンサ708にサンプルホールドされ、そのサンプル値が差動増幅器703の非反転入力端子に入力される。従って、差動増幅器703の出力P7Cは、サンプル指令信号PAのハイ期間中でのU点駆動電圧の変化量を示す信号となる。その場合、オン状態になっているFETQ2は所定の抵抗値の導体として解釈できるので、U点駆動電圧の変化量信号は、そのままU相の相電流変化量信号PBUとして扱うことが出来る。別のワンショットマルチバイブレータ704の出力P7Fにより、アナログスイッチ709が所定の時間だけオンになるため、差動増幅器703の出力P7Cはコンデンサ710にサンプルホールドされ、U相電流の変化量を表すU相電流変化量信号PBUとして出力される。
図4において、前述のサンプル指令信号PAがローからハイになると、アップエッジ動作のワンショットマルチバイブレータ701の出力P7Dにより、アナログスイッチ705が所定の設定時間だけオンになる。その結果U点駆動電圧が信号P7Aとしてコンデンサ707にサンプルホールドされ、そのサンプル値が差動増幅器703の反転入力端子に入力される。また、サンプル指令信号PAがハイからローになると、ダウンエッジ動作のワンショットマルチバイブレータ702の出力P7Eにより、アナログスイッチ706が所定の設定時間だけオンになる。その結果U点駆動電圧が信号P7Bとしてコンデンサ708にサンプルホールドされ、そのサンプル値が差動増幅器703の非反転入力端子に入力される。従って、差動増幅器703の出力P7Cは、サンプル指令信号PAのハイ期間中でのU点駆動電圧の変化量を示す信号となる。その場合、オン状態になっているFETQ2は所定の抵抗値の導体として解釈できるので、U点駆動電圧の変化量信号は、そのままU相の相電流変化量信号PBUとして扱うことが出来る。別のワンショットマルチバイブレータ704の出力P7Fにより、アナログスイッチ709が所定の時間だけオンになるため、差動増幅器703の出力P7Cはコンデンサ710にサンプルホールドされ、U相電流の変化量を表すU相電流変化量信号PBUとして出力される。
また、この相電流変化量検出部7には、U点駆動電圧用の上記測定回路と同様の回路構成を持つV相用相電流変化量検出回路760、及びW相用相電流変化量検出回路790を有しており、それぞれV相電流変化量信号PBV、及びW相電流変化量信号PBWが出力される。
図6に、相電流ゼロクロス検出部8の回路図を示している。その中のU相用電流ゼロクロス検出回路830について、詳しく説明する。図6において、U点駆動電圧が比較器801の非反転入力端子に接続され、反転入力端子は0Vを出力する基準電圧源805に接続される。前述のサンプル指令信号PAが入力されると、アップエッジ動作のワンショットマルチバイブレータ802によりアナログスイッチ803が所定の設定時間だけオンになり、比較器801の出力P8Aがコンデンサ804にサンプルホールドされる。サンプル指令信号PA入力時に、FETQ2はオン状態になっている。このときFETQ2は所定の抵抗値を持った導体として扱うことができる。この状態のU点駆動電圧のゼロクロスを検出することで、U点電流のゼロクロスを検出したとして解釈できる。比較器801の出力P8Aは、コンデンサ804にサンプルホールドされ、U相電流ゼロクロス検出信号PZUとして出力される。
U点駆動電圧が基準電圧源805よりも高ければ、出力PZUはハイ、低ければローとなるものとする。相電流ゼロクロス検出部8は、上記測定回路と同様の回路構成を持つV相用電流ゼロクロス検出回路860、及びW相用相電流ゼロクロス検出回路890を有しており、それぞれV相電流ゼロクロス検出信号PZV、およびW相電流ゼロクロス検出信号PZWが出力される。なお、比較器801出力とアナログスイッチ803との間などにシュミットトリガ入力の論理素子などを挿入し、U点駆動電圧のノイズなどによるゼロクロスタイミングの誤検出を防いでもよい。またアナログスイッチ803とコンデンサ804の代わりに、D−フリップフロップなどの論理素子を用いてもよい。
ここではU相電流ゼロクロス検出信号PZUによって、相電流のゼロクロスを表すとしたが、正確には相電流の正負の極性を表しており、相電流ゼロクロスを検出するための予備信号になっている。U相電流ゼロクロス検出信号PZUは次段でワンショットマルチバイブレータに接続され、U相電流ゼロクロス検出信号PZUの極性変化時に単パルスが出力される。この単パルスが、正確に相電流ゼロクロス点を表す。しかしここでは簡単に、相電流ゼロクロスを検出するための予備信号を、U相電流ゼロクロス検出信号PZUとしている。
ここではU相電流ゼロクロス検出信号PZUによって、相電流のゼロクロスを表すとしたが、正確には相電流の正負の極性を表しており、相電流ゼロクロスを検出するための予備信号になっている。U相電流ゼロクロス検出信号PZUは次段でワンショットマルチバイブレータに接続され、U相電流ゼロクロス検出信号PZUの極性変化時に単パルスが出力される。この単パルスが、正確に相電流ゼロクロス点を表す。しかしここでは簡単に、相電流ゼロクロスを検出するための予備信号を、U相電流ゼロクロス検出信号PZUとしている。
図7に、相電流検出部9の回路図を示している。その中のU相用電流検出回路930について詳しく説明する。図7において、増幅器901によりU点駆動電圧が増幅され、前述のサンプル指令信号PAが入力されると、アップエッジ動作のワンショットマルチバイブレータ902により、アナログスイッチ903が所定の設定時間だけオンになる。このとき差動増幅器901の出力P9Aは、コンデンサ904にサンプルホールドされる。相電流ゼロクロス検出部8と同様に、サンプル指令信号PA入力時、オン状態になっているFETQ2は所定の抵抗値の導体として解釈できるので、U点駆動電圧のサンプル値がU相電流の大きさを表すU相電流信号PIUとして出力される。相電流検出部9は、上記測定回路と同様の回路構成を持つV相用電流検出回路960、及びW相用相電流検出回路990を有しており、それぞれV相電流信号PIV、及びW相電流信号PIWが出力される。
図8に位相差検出部14の回路図を示している。図8においてU相位相差測定回路1430について詳細に説明する。また図13、図14はU相位相差測定回路1430の内部回路図および動作の解説図、図20は電気角での回転角度各相誘起電圧、および誘起電圧の比の関係を模式的に表したグラフである。図8、図13、図14、図20を併用して説明する。
図8において位相差検出部14は、同様の回路構成を持つU相位相差測定回路1430、V相位相差測定回路1460、W相位相差測定回路1490および進角測定回路1495を有する。U相位相差測定回路1430、V相位相差測定回路1460およびW相位相差測定回路1490を含むブロックは、複数位相差検出部の一実施例である。図13は、そのうちのU相位相差測定回路1430の内部回路図を示す。
図8において位相差検出部14は、同様の回路構成を持つU相位相差測定回路1430、V相位相差測定回路1460、W相位相差測定回路1490および進角測定回路1495を有する。U相位相差測定回路1430、V相位相差測定回路1460およびW相位相差測定回路1490を含むブロックは、複数位相差検出部の一実施例である。図13は、そのうちのU相位相差測定回路1430の内部回路図を示す。
図13において、回転周期信号に示される周期で発振するノコギリ波発生回路1407により、ノコギリ波P14Gが出力される。ノコギリ波P14Gは、回転周期に相当する時間で単調増加する固定振幅の波形であり、U相プロファイル波信号PSUの極性が負から正に変わるタイミングで所定中央値(本実施例では0)にリセットされる。ノコギリ波出力P14Gは比較器1409に入力され、振幅判定を受ける。比較器1409の比較参照入力P14Fは、ノコギリ波P14Gのピーク・トゥー・ピーク振幅の12分の1に上記の所定中央値を足したものとなるように設定される。これでU相プロファイル波信号PSUが、負から正に変わるタイミングより30度相当の位相シフトを作り出している。ワンショットマルチバイブレータ1410は、比較器1409の出力P14Hの立ち上がりにて動作し、単パルスP14Pが出力される。
一方、W相電流信号PIWが増幅器1401によって所定のゲイン倍された後、W相電流変化量信号PBWとの差が、差動増幅器1403により信号P14Aとして出力される。同様にU相電流信号PIUとU相電流変化量信号PBUが、差動増幅器により信号P14Bとして出力される。出力P14A、P14Bは、除算回路1405に入力され、P14BとP14Aの商、(P14B)/(P14A)が信号P14Cとして出力される。信号P14Cは、U相とW相の誘起電圧の比に相当するが、詳細は後述する。
次に出力P14C、回転周期信号、ワンショットマルチバイブレータ1410からの単パルス信号P14Pが、回転位置テーブル変換回路1406に入力される。回転位置テーブル変換回路1406は、回転周期に相当するノコギリ波を発生する。ノコギリ波の位相は、図20に示されるように、U相とW相の誘起電圧の比から非線形近似回路などにより誘起電圧の位相角度を逆算した値となり、トリガとなる信号P14Pの入力タイミングで更新される。回転位置テーブル変換回路1406の発生するノコギリ波P14Dの平均値、振幅は、ノコギリ波発生回路1407の発生するノコギリ波と同一とする。
回転位置テーブル変換回路1406に上記の単パスルP14Pが入力されることで、誘起電圧の位相角度に相当する初期値を持ったノコギリ波P14Dが生成される。ノコギリ波P14Dは時間経過による誘起電圧の位相角の変化を表現している。
次に出力P14C、回転周期信号、ワンショットマルチバイブレータ1410からの単パルス信号P14Pが、回転位置テーブル変換回路1406に入力される。回転位置テーブル変換回路1406は、回転周期に相当するノコギリ波を発生する。ノコギリ波の位相は、図20に示されるように、U相とW相の誘起電圧の比から非線形近似回路などにより誘起電圧の位相角度を逆算した値となり、トリガとなる信号P14Pの入力タイミングで更新される。回転位置テーブル変換回路1406の発生するノコギリ波P14Dの平均値、振幅は、ノコギリ波発生回路1407の発生するノコギリ波と同一とする。
回転位置テーブル変換回路1406に上記の単パスルP14Pが入力されることで、誘起電圧の位相角度に相当する初期値を持ったノコギリ波P14Dが生成される。ノコギリ波P14Dは時間経過による誘起電圧の位相角の変化を表現している。
U相電流ゼロクロス検出信号PZUが立ち上がるタイミングでワンショットマルチバイブレータ1414が動作し、この単パルス出力P14Qによりサンプルホールド回路1411が動作する。回転位置テーブル変換回路1406が、生成したノコギリ波P14Dの値を保持する。図14にも示すとおり、これは結果としてモータの誘起電圧と相電流の位相差DVIに相当する値となる。
図8の進角判定回路1495は、回転周期ごとにU相位相差測定回路1430、V相位相差測定回路1460、W相位相差測定回路1490の出力により、プロファイル波の位相を現状よりも所定の一定量進めるか、保持するか、遅らすかの判定を行う。この判定情報を含む位相制御信号PFにより、プロファイル波発生回路で生成されるプロファイル波信号の位相を制御する。位相制御に関する制御則は実施の形態1の場合、3状態の場合分け制御となっているが、モータの誘起電圧と電流の位相差DVIに対して比例的に制御したり、非線形要素を加えたり、回転周期を考慮した制御をしてもよい。
図9は進角判定回路の一例を示すブロック図である。U相位相差測定回路1430、V相位相差測定回路1460、W相位相差測定回路1490からの入力P14E、P14R、P14Sが3入力加算回路14951に入力され、信号PIFとして出力される。3入力加算回路14951のゲインを1/3とすることで、3入力加算回路14951は3入力P14E、P14R、P14Sの平均処理をすることができる。3入力加算回路14951は、代表値化部の一実施例である。3入力加算回路14951の出力PIFは非線形演算回路14952に入力され、位相制御信号PFとなって出力される。
図11は、非線形演算回路14952の入力−出力特性を示す図の一例である。入力PIFがある一定値PIF1以下である場合、すなわち電流の位相が誘起電圧の位相よりも進んでいる場合、出力PFは正の値PF1となりプロファイル波発生回路4に位相を遅らせる指令を出す。一方、入力PIFがある一定値PIF2以上である場合、すなわち電流の位相が誘起電圧の位相よりも遅れている場合、出力PFは負の値PF2となりプロファイル波発生回路4に位相を進ませる指令を出す。入力PIFがPIF1以上PIF2以下の場合、出力PFは0となって不感帯として処理し、プロファイル波発生回路4に位相を保持する指令を出す。
図10は、進角判定回路の別の一例を示すブロック図である。これは入力P14E、P14R、P14Sの絶対値が最大なものを判定し、その値を位相差DVIの代表値として非線形演算回路14952に入力し、位相制御信号PFとなって出力される。まず3入力P14E、P14R、P14Sは、絶対値回路149531、149532、149533にそれぞれ入力され、絶対値出力P14EI、P14RI、P14SIとなる。これらが比較器149541、149542、149543、否定回路149544、149545、149546、および論理積回路149547、149548、149549からなる最大値判定回路14954に入力される。最大値判定回路14954は、入力PI4EIが最大であればP14EOの論理出力をハイにし、ほかの論理出力P14RO、P14SOをローにする。P14RIが最大であればP14ROの論理出力をハイにし、ほかの論理出力P14EO、P14SOをローにする。P14SIが最大であればP14SOの論理出力をハイにし、ほかの論理出力P14EO、P14ROをローにする。これらの論理出力P14EO、P14RO、P14SOに応じてアナログスイッチ149551、149552、149553が選択的に導通し、3入力P14E、P14R、P14Sのいずれかが信号PIFに一本化されて、非線形演算回路14952に入力される。3入力P14E、P14R、P14Sから信号PIFに一本化されるまでのブロックは、上記代表値化部の別の実施例である。
図12は、非演算回路14952の入力−出力特性を示す別の一例である。入力がPIF1以下あるいはPIF2以上で、比例的な動作あるいは非線形的な動作をさせている。また、不感帯をなくしたり、常に一定以上の出力としたり、回転数や動作履歴に応じてこれらの入力―出力特性を変更してもよい。あるいはある一定値を超えた場合、不図示の安全装置により駆動装置全体の動作を制限、あるいは停止させることも行ってもよい。なお、位相差検出部14はアナログ演算による動作に限らず、一部あるいはすべてをロジック処理またはCPU処理にしても演算速度が十分であれば問題なく実行できる。
また、U相用位相差測定回路1430ではU相プロファイル波信号PSUが負から正に変わるタイミングより30度相当の時間を用いた動作を行っているが、U相プロファイル波PSUの位相が30、150、270度の少なくとも1つ以上あるいは複数用いて行なってもよい。詳しくは後述する。
また位相差検出部14は、U相用位相差測定回路1430と同様の回路構成を持つV相位相差測定回路1460、及びW相位相差測定回路1490を有しており、進角判定回路1495はこれらの測定結果を単独あるいは複合してプロファイル波信号の位相を制御するが、3相分すべて使用しなくても1相分の位相差測定回路でも十分機能を果たす。
また位相差検出部14は、U相用位相差測定回路1430と同様の回路構成を持つV相位相差測定回路1460、及びW相位相差測定回路1490を有しており、進角判定回路1495はこれらの測定結果を単独あるいは複合してプロファイル波信号の位相を制御するが、3相分すべて使用しなくても1相分の位相差測定回路でも十分機能を果たす。
次に図1〜図19を参照して、この実施の形態1の動作を詳細に説明する。
図15は、プロファイル波発生回路4と搬送波発生回路5の信号を受けて、PWM信号発生回路3がPWM信号を生成する状態を模式的に示している。プロファイル波発生回路4は、その内部に不図示のD/A変換回路を有する。位相差検出部14から位相制御信号PF、外部から振幅信号、回転周期信号が入力され、120度の位相差を持つ3つの正弦波状のプロファイル波PSU、PSV、PSW、および所定の設定時間だけ位相が進んだプロファイル波PSUF、PSVF、PSWF(波形不図示)が生成され、PWM信号発生回路3に入力される。なお、このプロファイル波PSU、PSV、PSW、PSUF、PSVF、PSWFは、正弦波状信号に必ずしも限定されるものではない。
図15は、プロファイル波発生回路4と搬送波発生回路5の信号を受けて、PWM信号発生回路3がPWM信号を生成する状態を模式的に示している。プロファイル波発生回路4は、その内部に不図示のD/A変換回路を有する。位相差検出部14から位相制御信号PF、外部から振幅信号、回転周期信号が入力され、120度の位相差を持つ3つの正弦波状のプロファイル波PSU、PSV、PSW、および所定の設定時間だけ位相が進んだプロファイル波PSUF、PSVF、PSWF(波形不図示)が生成され、PWM信号発生回路3に入力される。なお、このプロファイル波PSU、PSV、PSW、PSUF、PSVF、PSWFは、正弦波状信号に必ずしも限定されるものではない。
同様に、搬送波発生回路5は、前記プロファイル波より高い周波数の周期Taを有する三角波PHを生成し、PWM信号発生回路3に入力する。PWM信号発生回路3は、プロファイル波PSUと搬送波PHとを比較し、信号PQ1とその反転信号であるPQ2を出力する。同様にプロファイル波PSVと搬送波PHとを比較し、信号PQ3とその反転信号であるPQ4を出力する。またプロファイル波PSWと搬送波PHとを比較し、信号PQ5とその反転信号であるPQ6を出力する。このようにして、このPWM信号発生回路3の出力信号PQ1、PQ2、PQ3、PQ4、PQ5、PQ6は、図15に示すパルス列となり、各FET(PQ1、PQ2、PQ3、PQ4、PQ5、PQ6)のゲートに供給され、FETのスイッチング駆動により、3相モータ2が所定の回転数およびトルクで駆動される。
周知の様にこのプロファイル波の振幅を変えることにより、各PWM信号のパルス列のデューティが変わり、3相モータ2の発生トルクを変えることができる。なお正側FETと負側FETとが切り替わる時点では、短絡防止のため、数10〜数100ns程度の上下FET同時オフ期間を設ける必要があるが、説明を簡略にするため、この短絡防止時間は省略している。
周知の様にこのプロファイル波の振幅を変えることにより、各PWM信号のパルス列のデューティが変わり、3相モータ2の発生トルクを変えることができる。なお正側FETと負側FETとが切り替わる時点では、短絡防止のため、数10〜数100ns程度の上下FET同時オフ期間を設ける必要があるが、説明を簡略にするため、この短絡防止時間は省略している。
図16に示すタイムチャートは、図15におけるTa部の時間軸を拡大したものである。図16において、PQ2、PQ4、PQ6は、負側FETを駆動するPWM信号であり、PQ2F、PQ4F、PQ6FはそれぞれPQ2、PQ4、PQ6よりも所定の設定時間Td2だけ位相が進んだプリPWM信号である。P6A、P6B、P6C、P6D、P6Eは前述のサンプル指令信号生成器6の各部内部信号、PAは、サンプル指令信号生成器6の出力信号、IuはU相に流れる相電流の信号である。またPBUは相電流変化量検出部7の出力である。
この図から明らかなように、サンプル指令信号PAは、図3でのPWM信号PQ2、PQ4、PQ6の論理積信号P6Aより遅延時間Td1遅れて立ち上がるパルス信号となる。従ってサンプル指令信号生成器6は、負側FET(Q2、Q4、Q6)がすべてオンになった後、時間Td1遅れて立ち上がり、負側FET(Q2、Q4、Q6)のどれかがオフになるTd2前に立ち下がるパルス信号PAを出力し、相電流変化量検出部7に入力する。なおこの遅延時間Td1を設けた目的は、正側FETがオン状態から負側FETがオンに切り替わった直後は、高周波スイッチングの影響等により負側FETに流れる電流も不安定であり、この不安定領域を除外して電流検出を行なうためである。
また、PWM信号PQ2、PQ4、PQ6よりも所定の設定時間Td2だけ位相が進んだプリPWM信号PQ2F、PQ4F、PQ6Fを設けたのは、FET(Q2、Q4、Q6)の同時オン状態を表すP6Aがハイの期間内に、U相電流Iuの相電流変化を測定するためのサンプルホールドを完了させることが目的である。サンプリング期間をTd2として、サンプリング終了とP6Aの立下りが同時となるようにP6Aよりも立下りがTd2だけ早くしている。これは相電流変化量検出部7のワンショットマルチバイブレータ702のパルスの立ち下がりタイミング(パルス幅はTd2に設定)が、出力P6Aの立下りと一致させることで実現している。
サンプル指令信号PAの長さと電気角での回転角度について考察する。
図17は、電気角での回転角度とプロファイル波、各相負側FETのオン時間、サンプル指令信号PAの幅、すなわちサンプル期間TPAの関係を調べたグラフである。プロファイル波PSUの立ち上がりのゼロクロスを基準に、縦軸は左側にプロファイル波PSUの振幅、右側に各相負側FETのオン時間、サンプル期間TPAを示している。搬送波を5Vp−p、100kHzの三角波、プロファイル波PSU、PSV、PSWを4Vp−pの正弦波としている。この場合搬送波の半波分の時間は5μsであるから、最小のサンプル期間TPAは5μs×(2.5V−2V)/2.5V=1μsとなり、本発明を実施するために十分な時間が確保できる。
図17は、電気角での回転角度とプロファイル波、各相負側FETのオン時間、サンプル指令信号PAの幅、すなわちサンプル期間TPAの関係を調べたグラフである。プロファイル波PSUの立ち上がりのゼロクロスを基準に、縦軸は左側にプロファイル波PSUの振幅、右側に各相負側FETのオン時間、サンプル期間TPAを示している。搬送波を5Vp−p、100kHzの三角波、プロファイル波PSU、PSV、PSWを4Vp−pの正弦波としている。この場合搬送波の半波分の時間は5μsであるから、最小のサンプル期間TPAは5μs×(2.5V−2V)/2.5V=1μsとなり、本発明を実施するために十分な時間が確保できる。
図15からも明らかなように、U相オン時間は対応するプロファイル波のとる値が下にいくほど長くなり、プロファイル波PSUの正のピークで最小、負のピークで最大となる。すなわちU相オン時間の波形は、プロファイル波PSUを反転したような形になる。V相、W相についても同様である。サンプル指令信号PAは各相オン時間の最小値を連ねたものであるから、図17にサンプル期間TPAとして実線で示すようになる。サンプル期間TPAが最大となるのは、各相オン時間の内、2相のオン時間が等しく、もう1相のオン時間が他の2相より上回る場合である。この条件は図17から明らかなように、プロファイル波PSUの位相が30度、150度、270度で発生し、最小値に比べて3倍もの値となる。図15のプロファイル波では、30度の場合PSU=PSWかつPSVの絶対値がPSUの2倍になる。これと同様なことが、150度、270度でも発生する。
相電流変化量の測定では、サンプル指令信号PAが有効になっている時間が長いほど電流測定の時間間隔が広がるため測定電流の差は大きくなり、ノイズなどの影響を受けにくくなる。図17ではプリPWM信号PQ2Fなどの所定の設定時間の位相進み、サンプル指令信号生成器6でのワンショットマルチバイブレータ603による遅延時間は、無視している。これらを考慮すると最小値と最大値に同量だけ差し引くことになり、サンプル期間TPAの最小値と最大値の差はさらに広がることになる。
以上のようにサンプル期間TPAは、プロファイル波PSUの位相が30度、150度、270度の点でもっとも長くなるため、これら3つの位相の近傍に設定されるのが望ましい。
以上のようにサンプル期間TPAは、プロファイル波PSUの位相が30度、150度、270度の点でもっとも長くなるため、これら3つの位相の近傍に設定されるのが望ましい。
サンプル指令信号PAがハイになっている期間について考察する。
図18はサンプル指令信号PAがハイになっている期間の各正側FET、負側FETおよび3相モータ2を中心とした部分回路図である。この期間においては、図17に示されるように、負側FET(Q2、Q4、Q6)がオンになっている。この時点においても、U相電流IU、V相電流IV、W相電流IWにおいてIV=IU+IWの関係が成立する。この場合、FET(Q2)のオン抵抗をRQ2、FET(Q4)のオン抵抗をRQ4、FET(Q6)のオン抵抗をRQ6とすると、更に下記の関係が成立する。
U点電位=IU×RQ2 (1)
V点電位=−IV×RQ4 (2)
W点電位=IW×RQ6 (3)
即ち、式1、2、3でわかるように、U点、V点、W点の電位(駆動電圧に相当)を観測すれば、U相、V相、W相の電流を計測でき、また、一相の電圧の変化から相電流変化量信号を検出できる。前述したように、相電流変化量検出部7は、サンプル指令信号PAに同期して、相電圧を取り込んでU相、V相、W相の各相電流変化量信号PBU、PBV、PBWとして出力する。
図18はサンプル指令信号PAがハイになっている期間の各正側FET、負側FETおよび3相モータ2を中心とした部分回路図である。この期間においては、図17に示されるように、負側FET(Q2、Q4、Q6)がオンになっている。この時点においても、U相電流IU、V相電流IV、W相電流IWにおいてIV=IU+IWの関係が成立する。この場合、FET(Q2)のオン抵抗をRQ2、FET(Q4)のオン抵抗をRQ4、FET(Q6)のオン抵抗をRQ6とすると、更に下記の関係が成立する。
U点電位=IU×RQ2 (1)
V点電位=−IV×RQ4 (2)
W点電位=IW×RQ6 (3)
即ち、式1、2、3でわかるように、U点、V点、W点の電位(駆動電圧に相当)を観測すれば、U相、V相、W相の電流を計測でき、また、一相の電圧の変化から相電流変化量信号を検出できる。前述したように、相電流変化量検出部7は、サンプル指令信号PAに同期して、相電圧を取り込んでU相、V相、W相の各相電流変化量信号PBU、PBV、PBWとして出力する。
図19は、3相モータ2の1相分であるU相の等価回路を示している。図19において、インバータの出力である駆動電圧eとモータの誘起電圧ωΦの差電圧が、モータのインダクタンスLと抵抗Rの直列回路に印加される。この回路に流れる電流をIとすると、下記の関係が成立する。
e−ωΦ=R×I+L×dI/dt (4)
ここで負側FETがすべてオンの時点では、インバータ出力eはゼロとなるので、下記の関係式となる。
ωΦ=−R×I−L×dI/dt (5)
ここで、L、dtを整理すると
(ωΦ/L)×dt=−(R/L)×I×dt−dI (6)
e−ωΦ=R×I+L×dI/dt (4)
ここで負側FETがすべてオンの時点では、インバータ出力eはゼロとなるので、下記の関係式となる。
ωΦ=−R×I−L×dI/dt (5)
ここで、L、dtを整理すると
(ωΦ/L)×dt=−(R/L)×I×dt−dI (6)
このときのdIは相電流変化量に他ならない。モータの抵抗とインダクタンスの比にサンプル期間dtを乗じ、得られた値(R/L)×dtを事前に調査しておけば、モータの誘起電圧を含む値(ωΦ/L)×dtを求めることが出来る。図13での増幅器1401、1402のゲインを、ゲイン=−(R/L)×dtとすれば、相電流信号PIW、PIUを増幅することにより式6の右辺第1項が再現される。以上の手法により各相の誘起電圧を含む値(ωΦ/L)×dtを求めることが出来る。
続いて、求められた誘起電圧から位相を求める。
図20は、電気角での回転角度と各相誘起電圧、および誘起電圧の比の関係を模式的に表したグラフである。図20に示すように、U相誘起電圧とW相誘起電圧は120度の位相差を持っている。U相とW相の誘起電圧の比は、−120度、+60度の特異点を除き−120度から+60度、+60度から+240度の範囲ごとに見ると、それぞれ回転角、すなわちこの場合U相誘起電圧の位相角に対して一意の値を示す。モータの回転が相電流に対して遅れたとしても、U相とW相の誘起電圧の比はU相誘起電圧の位相角に対して一意の値となることは変わらない。
図20は、電気角での回転角度と各相誘起電圧、および誘起電圧の比の関係を模式的に表したグラフである。図20に示すように、U相誘起電圧とW相誘起電圧は120度の位相差を持っている。U相とW相の誘起電圧の比は、−120度、+60度の特異点を除き−120度から+60度、+60度から+240度の範囲ごとに見ると、それぞれ回転角、すなわちこの場合U相誘起電圧の位相角に対して一意の値を示す。モータの回転が相電流に対して遅れたとしても、U相とW相の誘起電圧の比はU相誘起電圧の位相角に対して一意の値となることは変わらない。
ここで図20におけるU/W相誘起電圧比曲線を計算すると、U相誘起電圧の位相角θに対して次式で表される。
U/W=sin(θ)/cos(θ+π/6) (7)
=√3/2×tan(θ+π/6)−1/2 (8)
すなわち図20におけるU/W相誘起電圧比曲線は、−30度で−0.5となる点を中心としたタンジェント曲線になる。0度および30度では、それぞれ0および1となる。 式6を基にした図13の除算回路1405により、プロファイル波の位相角が30度時点で検出されたU相およびW相電流変化量PBU、PBWと、U相およびW相電流PIU、PIWから、U/W相誘起電圧比が計算される。その際L、dtなどの定数は削除される。このU/W相誘起電圧比を上記タンジェント曲線の縦軸に与えれば、横軸からU相誘起電圧の位相角が求められる。すなわちある相の誘起電圧と別の相の誘起電圧の比を求めれば、前記ある相の誘起電圧の位相が求められる。
U/W=sin(θ)/cos(θ+π/6) (7)
=√3/2×tan(θ+π/6)−1/2 (8)
すなわち図20におけるU/W相誘起電圧比曲線は、−30度で−0.5となる点を中心としたタンジェント曲線になる。0度および30度では、それぞれ0および1となる。 式6を基にした図13の除算回路1405により、プロファイル波の位相角が30度時点で検出されたU相およびW相電流変化量PBU、PBWと、U相およびW相電流PIU、PIWから、U/W相誘起電圧比が計算される。その際L、dtなどの定数は削除される。このU/W相誘起電圧比を上記タンジェント曲線の縦軸に与えれば、横軸からU相誘起電圧の位相角が求められる。すなわちある相の誘起電圧と別の相の誘起電圧の比を求めれば、前記ある相の誘起電圧の位相が求められる。
図24は、図20のU/W相誘起電圧比からU相誘起電圧のゼロクロスタイミングを算出した例である。図24においてU/W相誘起電圧比が−0.5、0、1の場合に、図20のU相誘起電圧位相対U/W相誘起電圧比曲線により、U/W相誘起電圧比を測定した時点、すなわちU相プロファイル波の位相角が+30度の時のU相誘起電圧位相角が求められる。ここで例えばU相プロファイル波の位相角が+30度時点において、U相誘起電圧位相角が−30度の場合を考える。横軸がU相プロファイル波の位相角の場合、+30度のところでU相誘起電圧の位相角が−30度ということであれば、+60度のところでU相誘起電圧の位相角が0度、すなわちゼロクロスするということになる。U相誘起電圧位相角が0度および+30度の場合も、同様に説明できる。
図21、図22、図23はそれぞれ、U/W相誘起電圧比が−0.5、0、1の場合におけるU相プロファイル波、U相誘起電圧、W相誘起電圧、およびU/W相誘起電圧比の関係を示している。U相誘起電圧のゼロクロスタイミング角度は、測定時点のU相プロファイル波位相角からU相誘起電圧位相角を引けば求められるから、U相誘起電圧のゼロクロスタイミング角度はそれぞれ+60度、+30度、+0度と求められることがわかる。
以上の考察に基づいて、図14を図13も参照しながら説明する。図14の横軸は、U相プロファイル波PSUの位相角を表している。図14(A)において、U相電流変化量信号PBU、U相電流信号PIUにより、出力P14Bが生成される。同様に、不図示のW相電流変化量信号PBW、W相電流信号PIWにより、出力P14Aが生成される。
次にタンジェント曲線P14Cが、(P14B)/(P14A)として生成される。タンジェント曲線P14Cのゼロクロス角度は、図20から明らかなように、U相誘起電圧位相角が0度となる点であるから、この点からU相プロファイル波PSUが30度時点までの角度を求めれば、U相プロファイル波PSUが30度時点のU相誘起電圧位相角となる。図13の回転位置テーブル変換回路1406により、30度時点のU相誘起電圧位相角でリセットされたノコギリ波P14Dが生成される。図14(A)で、ノコギリ波P14Dの30度におけるリセットされた振幅は、上記30度時点のU相誘起電圧位相角を表している。
次にタンジェント曲線P14Cが、(P14B)/(P14A)として生成される。タンジェント曲線P14Cのゼロクロス角度は、図20から明らかなように、U相誘起電圧位相角が0度となる点であるから、この点からU相プロファイル波PSUが30度時点までの角度を求めれば、U相プロファイル波PSUが30度時点のU相誘起電圧位相角となる。図13の回転位置テーブル変換回路1406により、30度時点のU相誘起電圧位相角でリセットされたノコギリ波P14Dが生成される。図14(A)で、ノコギリ波P14Dの30度におけるリセットされた振幅は、上記30度時点のU相誘起電圧位相角を表している。
次に図14(A)のリセットされたノコギリ波P14Dは、U相電流信号PIUのゼロクロス点ZIUでサンプルホールド回路1411によりサンプルホールドされ、出力P14Eの値がリセットされる。図14(A)でDVIにより、U相誘起電圧とU相電流信号PIUの位相差が表される。図14(B)も同様に説明できる。図14(A)は、U相電流がモータのU相誘起電圧より遅れている場合、図14(B)は、逆に進んでいる場合である。
以上、求められたU相誘起電圧のゼロクロスタイミング角度に加えて、相電流のゼロクロスのタイミングまでの経過時間、すなわち相電流の位相角を算出すれば、誘起電圧と相電流の位相差DVIを求めることが可能になる。誘起電圧と相電流の位相差DVIにしたがって電流位相の制御を行えば、高度な演算の必要がなくモータ回転数に無関係にセンサレス駆動が実現できる。
図20記載の誘起電圧のグラフは模式的に正弦波として書かれている。実際のモータの誘起電圧は、回転周期成分の正弦波のほかその3倍、5倍などの高調波成分が含まれている。現実のモータ程度の高調波成分(3倍高調波で10%以下)が入っていた場合でも、位相制御の観点ではほとんど影響しない。
図20記載の誘起電圧のグラフは模式的に正弦波として書かれている。実際のモータの誘起電圧は、回転周期成分の正弦波のほかその3倍、5倍などの高調波成分が含まれている。現実のモータ程度の高調波成分(3倍高調波で10%以下)が入っていた場合でも、位相制御の観点ではほとんど影響しない。
さらに、誘起電圧と電流の位相を一致させる制御の方法について述べる。
図25、図26は図1の実施の形態1の動作のタイムチャートを示している。この場合も負側FETがすべてオンの時の上記式5の関係を示したものである。図4、5に示すように相電流変化量検出部7には、負側FETがすべてオンになる度にサンプル指令信号PAが入力され、相電流変化量信号PBU、PBV、PBWを出力する。
図25、図26は図1の実施の形態1の動作のタイムチャートを示している。この場合も負側FETがすべてオンの時の上記式5の関係を示したものである。図4、5に示すように相電流変化量検出部7には、負側FETがすべてオンになる度にサンプル指令信号PAが入力され、相電流変化量信号PBU、PBV、PBWを出力する。
図25は、U相の相電流IuがモータのU相誘起電圧ωΦuより遅れている場合を示している。ここではU相の位相差測定に関する諸量のみ図示する。図25において、特に図25(C)のプロファイル波PSUの極性が負から正に変わるゼロクロス点ZSU1、ZSU2、ZSU3を通過した時点から、それぞれ30度相当シフトした時点PM1、PM2、PM3のU、W相電流変化量信号PBU、PBWが、位相差検出部14に入力され、処理される。その他、図1に示す必要な信号が入力された位相差検出部14でのU相位相差測定回路1430にて、図14に示されるような手順でU相誘起電圧ωφuとU相電流Iuの位相差DVI1、DVI2が測定される。これをもとに進角判定回路1495は位相制御信号PFを出力する。プロファイル波発生回路4では位相制御信号PFを基に、プロファイル波信号PSUのマイナスからプラスに移行するゼロクロスより120度相当の時点PC1、PC2、PC3にて、プロファイル波信号PSUの位相を一定量進める処理を行う。本実施例では120度と定めているが、各相誘起電圧と相電流のゼロクロスの測定が終わってからであれば任意のタイミングでよい。
同様の処理を周期ごとに繰り返して、U相誘起電圧とU相電流の位相差がDVI1、DVI2のように小さくなり一定量以下になると、上記の位相を進める処理を中止し、回転周期信号に相当する周期でプロファイル波信号を出力し、誘起電圧との位相差のない相電流が3相モータ2に供給されて安定運転に入る。
図26は、U相の相電流IuがモータのU相誘起電圧ωΦuより進んでいる場合を示している。ここではU相の位相差測定に関する諸量のみ図示する。図25と同様にU相誘起電圧とU相電流の位相差DVIが算出され、位相制御信号PFが出力される。プロファイル波発生回路4では位相制御信号PFを基に、プロファイル波信号PSUの120度相当の時点でプロファイル波信号PSUの位相を一定量遅らせる処理を行う。
同様の処理を周期ごとに繰り返して、U相誘起電圧とU相電流の位相差DVIが一定量以下になると、上記の位相を遅らせる処理を中止する。その後、回転周期信号に相当する周期でプロファイル波信号を出力し、誘起電圧との位相差のない相電流が3相モータ2に供給され、安定運転に入る。
以上説明した様に、誘起電圧と相電流の位相を一致させるようにプロファイル波信号の位相制御を行うことでセンサレス駆動が実現できる。
同様の処理を周期ごとに繰り返して、U相誘起電圧とU相電流の位相差DVIが一定量以下になると、上記の位相を遅らせる処理を中止する。その後、回転周期信号に相当する周期でプロファイル波信号を出力し、誘起電圧との位相差のない相電流が3相モータ2に供給され、安定運転に入る。
以上説明した様に、誘起電圧と相電流の位相を一致させるようにプロファイル波信号の位相制御を行うことでセンサレス駆動が実現できる。
なお、本実施例ではサンプル期間TPAにおいて駆動電圧DU、DV、DWを検出するとしているが、アナログ回路であればサンプルホールド回路で保持しない限り、駆動電圧DU、DV、DWは常時検出されている状態となっている。式5および式6は、サンプル期間TPAにおいてのみ成立するため、相電流変化量信号および相電流信号がサンプル期間TPA内において検出されることが必須になる。しかしこの場合でも、相電流変化量信号および相電流信号の基になる駆動電圧は、常時検出されている駆動電圧の内のサンプル期間TPAにおける値に基づいており、サンプル期間TPAにおいて駆動電圧を検出することと同じことである。
また、本実施例では相電流変化量検出信号、相電流ゼロクロス検出信号、相電流信号はいずれも3相分入力しているが、最低限必要な位相制御信号PFが得られるW相とU相またはU相とV相またはV相とW相の2相分、すなわちU相またはV相またはW相の1相分の誘起電圧と相電流の位相ずれが測定できればよい。また、U、V、W相の測定結果を進角判定回路1495内で平均化処理して位相制御信号PFを生成してもよい。
また、本実施例では相電流変化量検出信号、相電流ゼロクロス検出信号、相電流信号はいずれも3相分入力しているが、最低限必要な位相制御信号PFが得られるW相とU相またはU相とV相またはV相とW相の2相分、すなわちU相またはV相またはW相の1相分の誘起電圧と相電流の位相ずれが測定できればよい。また、U、V、W相の測定結果を進角判定回路1495内で平均化処理して位相制御信号PFを生成してもよい。
また、本例では負側FETに流れる総電流を測定したが、正側FETを対象に測定し、制御してもよい。
さらに、上記の例ではプロファイル波信号PSUの120度にて位相の修正を行っているが、U、V、W各相の誘起電圧と相電流の位相ずれの測定結果が出るたびに位相制御信号PFを生成しなおしてもよい。プロファイル波発生回路4の位相制御幅をその分細かくすることで、プロファイル波の位相変更によるプロファイル波の波形ひずみを小さくすることができる。その結果、位相変更時に相電流は滑らかに変化し、騒音、振動の低減が可能となる。
なお本発明の説明では、プロファイル波を基準とした位相軸を表す言葉として、場合に応じて回転角、回転角度、位相角、位相角度、位相などを使用しているが、どれも位相軸における値であり、まったく同じ意味を表している。
また図1において、相電流変化量検出部7、相電流ゼロクロス検出部8、相電流検出部9および位相差検出部14を含むブロックは、サンプル期間設定手段に対応し、プロファイル波発生回路4は、プロファイル波生成手段に対応し、PWM信号発生回路3は、PWM信号生成手段に対応している。
さらに、上記の例ではプロファイル波信号PSUの120度にて位相の修正を行っているが、U、V、W各相の誘起電圧と相電流の位相ずれの測定結果が出るたびに位相制御信号PFを生成しなおしてもよい。プロファイル波発生回路4の位相制御幅をその分細かくすることで、プロファイル波の位相変更によるプロファイル波の波形ひずみを小さくすることができる。その結果、位相変更時に相電流は滑らかに変化し、騒音、振動の低減が可能となる。
なお本発明の説明では、プロファイル波を基準とした位相軸を表す言葉として、場合に応じて回転角、回転角度、位相角、位相角度、位相などを使用しているが、どれも位相軸における値であり、まったく同じ意味を表している。
また図1において、相電流変化量検出部7、相電流ゼロクロス検出部8、相電流検出部9および位相差検出部14を含むブロックは、サンプル期間設定手段に対応し、プロファイル波発生回路4は、プロファイル波生成手段に対応し、PWM信号発生回路3は、PWM信号生成手段に対応している。
(実施の形態2)
図27は、本発明の実施の形態2を示す回路図である。実施の形態1との相違点は、サンプル指令信号PAに同期する連続比較位相差検出部15が用いられていることである。以下、実施の形態1との相違点に絞って説明する。
図28は連続比較位相差検出部15の回路図である。U相位相差測定回路1530、V相位相差測定回路1560およびW相位相差測定回路1590を含むブロックは、複数位相差検出部の一実施例である。図28において、U相位相差測定回路1530内の動作について説明する。
図27は、本発明の実施の形態2を示す回路図である。実施の形態1との相違点は、サンプル指令信号PAに同期する連続比較位相差検出部15が用いられていることである。以下、実施の形態1との相違点に絞って説明する。
図28は連続比較位相差検出部15の回路図である。U相位相差測定回路1530、V相位相差測定回路1560およびW相位相差測定回路1590を含むブロックは、複数位相差検出部の一実施例である。図28において、U相位相差測定回路1530内の動作について説明する。
図29、30は、U相位相差測定回路1530の回路図および動作説明図である。これらの図を用いて説明する。実施の形態1と同様に、U相プロファイル波信号PSU、回転周期信号を受けてノコギリ波発生回路1511は、ノコギリ波の出力P15Iを出力する。ウインドウ比較器1512は、P15Jの電圧で表されるH入力とP15Kの電圧で表されるL入力との間に、P15Iの+入力電圧がある場合に出力P15Lがハイになる機能を持つ。P15J、P15Kを出力する基準電源1513、1514は、それぞれノコギリ波P15Iのピーク・トゥー・ピーク振幅の12分の1に、上記の所定中央値(本実施例では0)を足したものに、さらに別の所定値を加算した、あるいは減算した値で設定される。これでU相プロファイル波信号PSUが負から正に変わるタイミングより30度の点を中心として、前後所定角の範囲の時間経過を作り出している。ウインドウ比較器1512の出力P15Lとサンプル指令信号PAは、AND回路1515を通り、回転位置テーブル変換回路1506とワンショットマルチバイブレータ1516に入力される。
一方、実施の形態1におけるU相位相差測定回路1430と同様に、W相電流変化量信号PBW、W相電流信号PIW、U相電流変化量信号PBU、U相電流信号PIUにより、回転位置テーブル変換回路1506からU相誘起電圧位相に相当する信号P15Dが出力される。サンプルホールド回路1507は、ワンショットマルチバイブレータの単パルス出力P15Nを受けて、回転位置テーブル回路出力P15Dの値を保持する。以上のプロセスにより、30度より前後所定角の範囲内でサンプル指令信号PAが入力されるたびに、サンプルホールド回路1507はそのときのU相誘起電圧位相に相当する信号を保持する。
続いて、ワンショットマルチバイブレータ1516の出力P15Nを受けた別のワンショットマルチバイブレータ1517による単パルス出力P15Oを受けるたびに、積算回路1508は、これまで積算回路1508自身に保持してきた値にサンプルホールド回路1507の出力P15Eを加算して保持する。また、AND回路1515の出力P15Mのパルス数をパルス計数回路1526がカウントし、カウント数の反比例に応じたアナログ出力P15Xを可変増幅器1509に伝える。可変増幅器1509は、パルス計数回路の出力P15Xに応じたゲインで積算回路1508の出力P15Fを増幅する。可変増幅器1509の出力P15Gは、結果として積算回路1508の出力P15Fを、AND回路の出力P15Mのパルス数で平均化したものとなる。さらに、単パルス出力P15Oを受けた別のワンショットマルチバイブレータ1518の単パルス出力P15Pにより、出力P15Gがサンプルホールド回路1510で保持される。サンプルホールド回路1510の出力P15Hは、最終的には位相30度でのU相誘起電圧位相の平均値となる。なお、積算回路1508およびパルス計数回路1526は、ウインドウ比較器1512がローの時に不図示のリセット機構により各出力値がリセットされる。
別に、基準電源1520は、ノコギリ波P15Iのピーク・トゥー・ピーク振幅の12分の1に上記の所定中央値を足した値で設定される。この基準電圧P15Qとノコギリ波P15Iを比較器1519は比較し、ノコギリ波P15Iが基準電圧1520の出力P15Qを超えたときにハイとなる。比較器1519の出力P15Rの立ち上がりを受けてワンショットマルチバイブレータ1521により単パルスが発生し、この単パルスによりノコギリ波発生回路1522がリセットされる。結果的に回転周期信号の周期で発生するノコギリ波発生回路1522からは、位相30度から発生するノコギリ波P15Sが生成される。この出力P15Sは、加算器1523によりサンプルホールド回路1510の出力P15Hと加算される。さらにこの出力P15Tは、U相電流ゼロクロス検出信号PZUの立ち上がりを検出するワンショットマルチバイブレータ1525の単パルスP15Vにより、サンプルホールド回路1524で保持され、モータのU相誘起電圧とU相電流の位相差P15Uとして検出される。
これにより、サンプル期間TPAが最大となるプロファイル波の位相で、30度、または150度、270度の単一点での測定だけでなく、比較的サンプル期間TPAの長い30度周辺まで広げて誘起電圧の位相の測定を複数回行うことで、ノイズ等の影響を受けにくい、より精度の高い測定が可能となる。その結果モータの誘起電圧と電流の位相差DVIの測定精度が向上し、より安定なセンサレス駆動が実現できる。
(実施の形態3)
図31に実施の形態3の位相差検出部16を示しており、これは図1の位相差検出部14に変えて使用される。負から正へ、正から負へ、の両方のゼロクロスを用いることにより、測定回数が増加する。これによりモータの誘起電圧と電流の位相差DVIの測定精度が向上し、より安定なセンサレス駆動が実現できる。図31においてU相位相差2回測定回路1630、V相位相差2回測定回路1660、W相位相差2回測定回路1690はまったく同じ動作を行う。また、U相位相差測定回路1630内のU相位相差測定回路A 1623は、図8の位相差測定回路1430と同一であり、負から正へのゼロクロスに対応した誘起電圧と電流の位相差DVIを検出する。U相位相差測定回路A 1623は、上昇ゼロクロス位相差検出部の一実施例である。第1の所定位相として呼ばれるその動作タイミング位相は、図8の位相差測定回路1430と同じく30度である。
図31に実施の形態3の位相差検出部16を示しており、これは図1の位相差検出部14に変えて使用される。負から正へ、正から負へ、の両方のゼロクロスを用いることにより、測定回数が増加する。これによりモータの誘起電圧と電流の位相差DVIの測定精度が向上し、より安定なセンサレス駆動が実現できる。図31においてU相位相差2回測定回路1630、V相位相差2回測定回路1660、W相位相差2回測定回路1690はまったく同じ動作を行う。また、U相位相差測定回路1630内のU相位相差測定回路A 1623は、図8の位相差測定回路1430と同一であり、負から正へのゼロクロスに対応した誘起電圧と電流の位相差DVIを検出する。U相位相差測定回路A 1623は、上昇ゼロクロス位相差検出部の一実施例である。第1の所定位相として呼ばれるその動作タイミング位相は、図8の位相差測定回路1430と同じく30度である。
一方、U相位相差測定回路B 1626は、正から負へのゼロクロスに対応した誘起電圧と電流の位相差DVIを検出する。U相位相差測定回路B 1626は、下降ゼロクロス位相差検出部の一実施例である。第2の所定位相として呼ばれるその動作タイミング位相は、180度に30度を加えた210度ではなく、サンプル期間TPAが極大となる270度である。このため、U相誘起電圧の正から負へのゼロクロスよりもU相電流の正から負へのゼロクロスが先行する。この関係上U相位相差測定回路A 1623とは一部回路が異なっており、U相位相差測定回路B 1626内の誘起電圧の演算回路の基準電圧などは、270度にあわせて設定されている。一方でU相電流は、極性が正から負に変わるダウンエッジゼロクロスを位相の基準とするように設定している。U相位相差測定回路A 1623、U相位相差測定回路B 1626の出力P16MおよびP16Nは、ゲイン0.5の加算増幅器1625により平均化され、信号P16Gとなって出力される。加算増幅器1625は、平均化部の一実施例である。尚、図31においてサンプル指令信号PAの各回路への入力は、省略することができる。
図32は、図31のU相位相差測定回路Bの回路図である。図32において、回転位置テーブル変換回路162606までの動作は、図8の位相差測定回路1430の動作と同一である。図13中の比較器1409の反転入力P14Fが、U相プロファイル波PSUの位相30度を想定した電圧を持つ電源1413であるのに対し、図32中の電源162613は、U相プロファイル波の270度を想定した電圧を発生する。これらにより、U相プロファイル波PSUが270度シフト時に、回転位置テーブル回路162606はU相誘起電圧の位相と同じ位相をもつノコギリ波を出力する。そしてワンショットマルチバイブレータ162610の出力P1626Pを受けてワンショットマルチバイブレータ162615が単パルスを発生し、これがトリガとなってサンプルホールド回路162611は、回転位置テーブル変換回路162606の出力P1626Dを保持する。サンプルホールド回路162611の出力P1626Eは、U相プロファイル波PSUが270度でのU相誘起電圧の位相を示す信号となる。
一方、ノコギリ波発生回路162614は、U相電流ゼロクロス検出信号PZUのダウンエッジを検出して回転周期信号で示される周期をもち、位相が180度からスタートするノコギリ波を発生する。振幅などはノコギリ波発生回路162607と同一とする。差動増幅器162617の反転入力にノコギリ波発生回路162614の出力P1626Jが入力し、非反転入力にサンプルホールド回路162611の出力P1626Eが入力されることで、差動増幅器162617はU相の誘起電圧と電流の位相差DVIを示す信号P1626Lを出力する。サンプルホールド回路162618は、ワンショットマルチバイブレータ162616の単パルスP1626Nにより出力P1626Lを保持する。すなわち、U相プロファイル波PSUが270度でのU相の誘起電圧と電流の位相差DVIとなる値が保持され、信号P1626Mとして出力される。
以上のように実施の形態3においては、負から正へ、正から負へ、の両方のゼロクロスを用いることにより、測定回数が増加し、モータの誘起電圧と電流の位相差DVIの測定精度が向上するとともに、より安定なセンサレス駆動が実現できる。
尚、実施の形態3では、U相プロファイル波の一周期に位相差DVIを2回測定し、その平均値を基に、U相プロファイル波の位相を制御していたが、平均化せずに位相差DVIを測定するごとにU相プロファイル波の位相を制御してもよい。この場合はU相プロファイル波の位相の制御は、U相プロファイル波の一周期当たり2回となり、より滑らかな制御が達成できる。
尚、実施の形態3では、U相プロファイル波の一周期に位相差DVIを2回測定し、その平均値を基に、U相プロファイル波の位相を制御していたが、平均化せずに位相差DVIを測定するごとにU相プロファイル波の位相を制御してもよい。この場合はU相プロファイル波の位相の制御は、U相プロファイル波の一周期当たり2回となり、より滑らかな制御が達成できる。
本発明は、3相インバータ等の多相インバータを使用したモータ駆動装置に利用できる。
1 インバータ
2 モ−タ
3 PWM信号発生回路
4 プロファイル波発生回路
5 搬送波発生回路
6 サンプル指令信号生成器
7 相電流変化量検出部
8 相電流ゼロクロス検出部
9 相電流検出部
10 直流電源
13 スイッチング信号生成手段
14 位相差検出部
Q1、Q3、Q5 正側スイッチング素子
Q2、Q4、Q6 負側スイッチング素子
PA サンプル指令信号
PBU、PBV、PBW 相電流変化量信号
PZU、PZV、PZW 相電流ゼロクロス検出信号
PIU、PIV、PIW 相電流信号
PSU、PSV、PSW プロファイル波信号
PF 位相制御信号
2 モ−タ
3 PWM信号発生回路
4 プロファイル波発生回路
5 搬送波発生回路
6 サンプル指令信号生成器
7 相電流変化量検出部
8 相電流ゼロクロス検出部
9 相電流検出部
10 直流電源
13 スイッチング信号生成手段
14 位相差検出部
Q1、Q3、Q5 正側スイッチング素子
Q2、Q4、Q6 負側スイッチング素子
PA サンプル指令信号
PBU、PBV、PBW 相電流変化量信号
PZU、PZV、PZW 相電流ゼロクロス検出信号
PIU、PIV、PIW 相電流信号
PSU、PSV、PSW プロファイル波信号
PF 位相制御信号
Claims (9)
- n相(nは2以上の整数)モータを、n相の駆動信号により駆動する装置であって、
周期性を有し、位相の制御が可能なプロファイル波を生成するプロファイル波生成手段と、
前記プロファイル波に従ってPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
前記PWM信号に基づき、直流電源からの正極の電力供給を制御する正側スイッチング素子と、負極の電力供給を制御する負側スイッチング素子を含む回路をn組備え、n相の駆動信号を生成するn相インバータと、
前記n組の正側スイッチング素子群または前記n組の負側スイッチング素子群、のいずれか一方のスイッチング素子群が同時にオン状態になる期間内に、サンプル期間を設定するサンプル期間設定手段と、
前記n相モータの少なくとも一つの特定相を含む複数の相について、前記サンプル期間において前記駆動信号を検出し、検出した駆動信号に基づいて、回転により発生する誘起電圧の位相を求め、求められた誘起電圧の位相と、相電流の位相との位相差を検出する位相差検出手段とを有し、
前記位相差に基づき、前記プロファイル波生成手段から生成される前記プロファイル波の位相を制御し、前記位相差が所定量以下になるようにすることを特徴とするモータ駆動装置。 - 前記位相差生成手段は、
前記検出した駆動信号に基づいて、特定相の相電流の大きさを表す相電流信号を生成する相電流検出部と、
前記検出した駆動信号に基づいて、特定相の相電流の変化量を表す相電流変化量信号を生成する相電流変化量検出部と、
前記検出した駆動信号に基づいて、特定相の相電流の極性を表す相電流ゼロクロス検出信号を生成する相電流ゼロクロス検出部と、
前記相電流信号および前記相電流変化量信号に基づいて、特定相の誘起電圧の位相を検出する一方、前記相電流ゼロクロス検出信号に基づいて、特定相の前記相電流の位相を検出し、前記誘起電圧の位相と前記相電流の位相との位相差を検出する位相差検出部とを有することを特徴とする、請求項1記載のモータ駆動装置。 - 前記位相差検出手段は、
複数相のプロファイル波において、前記位相差を検出する複数相位相差検出部と、
前記複数相分の位相差について、平均値または最大値の値を検出する代表値化部とを有することを特徴とする、請求項1または2記載のモータ駆動装置。 - 前記位相差検出手段は、
前記プロファイル波の負から正へのゼロクロス点から所定位相シフトした点の近傍に含まれる複数回のサンプル期間において、前記駆動信号を検出し、検出した駆動信号に基づいて複数の前記位相差を検出し、前記複数の位相差を平均化する複数回位相差検出部を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のモータ駆動装置。 - 前記位相差検出手段は、
前記プロファイル波の負から正へのゼロクロス点から第1の所定位相シフトした点の近傍に含まれるサンプル期間において、前記駆動信号を検出し、検出した駆動信号に基づいて前記位相差を検出する上昇ゼロクロス位相差検出部と、
前記プロファイル波の正から負へのゼロクロス点から第2の所定位相シフトした点の近傍に含まれるサンプル期間において、前記駆動信号を検出し、検出した駆動信号に基づいて前記位相差を検出する下降ゼロクロス位相差検出部と、
前記上昇ゼロクロス位相差検出部で検出された位相差と、前記下降ゼロクロス位相差検出部で検出された位相差とを平均化する平均化部とを有することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のモータ駆動装置。 - 前記プロファイル波生成手段は、前記プロファイル波の位相を一周期に複数回制御することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のモータ駆動装置。
- 前記プロファイル波生成手段は、複数相の前記プロファイル波の位相を制御することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のモータ駆動装置。
- 前記位相差検出手段は、
前記プロファイル波の負から正へのゼロクロス点から30度、150度または270度シフトした3点の内、少なくとも1点の近傍に含まれるサンプル期間において、前記駆動信号を検出し、検出した駆動信号に基づいて前記位相差を検出することを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のモータ駆動装置。 - n相(nは2以上の整数)モータを、n相の駆動信号により駆動する方法であって、
周期性を有し、位相の制御が可能なプロファイル波を生成し、
前記プロファイル波に従ってPWM信号を生成し、
前記PWM信号に基づき、直流電源からの正極の電力供給を制御する正側スイッチング素子と、負極の電力供給を制御する負側スイッチング素子を含む回路のn組分に対応してn相の駆動信号を生成し、
前記n組の正側スイッチング素子群または前記n組の負側スイッチング素子群、のいずれか一方のスイッチング素子群が同時にオン状態になる期間内に、サンプル期間を設定し、
前記n相モータの少なくとも一つの特定相を含む複数の相について、前記サンプル期間において前記駆動信号を検出し、検出した駆動信号に基づいて、回転により発生する誘起電圧の位相を求め、求められた誘起電圧の位相と、相電流の位相との位相差を検出し、
前記位相差に基づき前記プロファイル波の位相を制御し、前記位相差が所定量以下になるようにすることを特徴とするモータ駆動方法。
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---|---|---|---|
JP2005045685A JP2006238524A (ja) | 2005-02-22 | 2005-02-22 | モータ駆動装置およびモータ駆動方法 |
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JP2005045685A JP2006238524A (ja) | 2005-02-22 | 2005-02-22 | モータ駆動装置およびモータ駆動方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009089600A (ja) * | 2007-04-05 | 2009-04-23 | Denso Corp | 多相回転機の制御装置 |
WO2010064402A1 (ja) * | 2008-12-02 | 2010-06-10 | パナソニック株式会社 | モータ駆動装置ならびにこれを用いた圧縮機および冷蔵庫 |
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2005
- 2005-02-22 JP JP2005045685A patent/JP2006238524A/ja active Pending
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