JP2006237100A - 光起電力装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光の閉じ込め効果を得ることができるとともに、信頼性が高く、製造が容易な光起電力装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 基板1上にZnOからなるテクスチャ形成層2が形成されている。テクスチャ形成層2は上面側に凹凸形状を有する。テクスチャ形成層2上に酸化シリコンからなる金属ガス封入層3が形成され、金属ガス封入層3上に第1の電極4、光電変換層6および透光性の第2の電極7が順に形成されている。テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3および第1の電極4は所定の間隔で分離溝G1により分離され、光電変換層6および第2の電極7は所定の間隔でそれぞれ分離溝G2,G3により分離されている。分離溝G1〜G3は、レーザパターニングにより形成され、複数の光電変換セル10間および複数の光電変換セル10と光起電力装置100の外周部100Rとの間を分離している。
【選択図】 図2
【解決手段】 基板1上にZnOからなるテクスチャ形成層2が形成されている。テクスチャ形成層2は上面側に凹凸形状を有する。テクスチャ形成層2上に酸化シリコンからなる金属ガス封入層3が形成され、金属ガス封入層3上に第1の電極4、光電変換層6および透光性の第2の電極7が順に形成されている。テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3および第1の電極4は所定の間隔で分離溝G1により分離され、光電変換層6および第2の電極7は所定の間隔でそれぞれ分離溝G2,G3により分離されている。分離溝G1〜G3は、レーザパターニングにより形成され、複数の光電変換セル10間および複数の光電変換セル10と光起電力装置100の外周部100Rとの間を分離している。
【選択図】 図2
Description
本発明は、集積型の光起電力装置およびその製造方法に関する。
光起電力装置においては、光電変換部に入射する光の閉じ込めを行うことにより、その光電変換効率を向上させることができる。そこで、従来より、光電変換部に光を閉じ込めるために、光電変換部における半導体層の接合面および光電変換部と電極との接合面に凹凸形状(テクスチャ構造)を有する光起電力装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
テクスチャ構造を有する光起電力装置においては、光の閉じ込め効果により光電変換部の光の吸収が増大し、光電変換効率が向上する。
テクスチャ構造は、例えば基板上に透明導電膜を形成し、その透明導電膜に凹凸形状を設け、透明導電膜の凹凸形状に沿うように電極および光電変換部を積層することにより形成される。
透明導電膜として、ZnO(酸化亜鉛)を用いることができる。ZnOは、安価であるとともに、テクスチャ構造を形成するための加工が容易である。したがって、ZnOはテクスチャ構造を形成するための材料として種々の光起電力装置に用いることができる。
特開平9−148594号公報
ところで、一枚の基板上に複数の光電変換セルを備える集積型光起電力装置がある。集積型光起電力装置の作製時においては、基板上の各光電変換セルごとに電極および光電変換部が分割される。光電変換セルごとの電極および光電変換部の分割は、例えばレーザ光を用いたパターニング(レーザパターニング)により行われる。
集積型光起電力装置に、テクスチャ構造の形成されたZnOの透明導電膜が設けられる場合、その透明導電膜についてもレーザパターニングを施す必要がある。
ここで、ZnOの透明導電膜に対してレーザパターニングを行う場合、SnO2 (酸化錫)またはITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜に対してレーザパターニングを行う場合に見られない現象が発生する。
図15は、ZnOの透明導電膜に対してレーザパターニングを行う際に発生する現象を説明するための図である。
図15においては、基板901上に形成されたZnOからなる透明導電膜902にレーザパターニングを施す状況が示されている。レーザパターニングの対象箇所に集光レンズ950により集光されたレーザ光Iが照射されている。
ZnOからなる透明導電膜901のレーザパターニング時においては、初めにレーザ光Iのエネルギーが熱Hに変換される。それにより、透明導電膜901の内部にZnOの金属蒸気または脱離ガスが発生する。
以下、透明導電膜901の内部に発生する金属蒸気および脱離ガスを金属ガス911と総称する。
レーザパターニングによる透明導電膜901の局所的な除去は、透明導電膜901内に発生する金属ガス911の圧力が増大し、透明導電膜901の表層面を突き破って噴出することにより進行すると考えられている。
したがって、金属ガス911が透明導電膜901の表層面から噴出する際に金属ガス911の圧力が十分でないと、透明導電膜901の局所的な除去が不十分となる。
また、金属ガス911の圧力が十分でないと、金属ガス911の噴出時に透明導電膜901が、パーティクル(微粒子)913として飛散するとともに、その一部がパターニング溝910の近傍に再付着物912として残る場合がある。
このように、パターニング溝910の近傍に再付着物912が発生すると、集積型光起電力装置内で、各光電変換セルの電極間の絶縁が確保されない。したがって、ZnOからなる透明導電膜902のレーザパターニング後には、透明導電膜902およびパターニング溝910の洗浄処理の必要があった。
本発明の目的は、光の閉じ込め効果を得ることができるとともに、信頼性が高く、製造が容易な光起電力装置およびその製造方法を提供することである。
第1の発明に係る光起電力装置は、基板と、基板上に並ぶように形成され、互いに直列に接続された複数の光電変換セルとを備え、複数の光電変換セルの各々は、光の閉じ込め効果を得るための導電性酸化膜と、導電性酸化膜上の少なくとも一部の領域に形成され、導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第1の薄膜層と、第1の薄膜層を覆うように導電性酸化膜上に形成される第1の電極と、第1の電極上に形成される光電変換層と、光電変換層上に形成される透光性の第2の電極とを備え、導電性酸化膜は、第1の薄膜層が形成された領域において、光電変換セルごとに分離されたものである。
この発明に係る光起電力装置においては、光の閉じ込め効果を得るための導電性酸化膜上に、第1の電極、光電変換層および透光性の第2の電極が順に形成されている。それにより、各光電変換セルの上方から第2の電極を通して光電変換層に光が入射すると、導電性酸化膜の働きにより光電変換層で光の閉じ込めが行われる。その結果、各光電変換セルの光電変換効率が向上し、光起電力装置の光電変換効率が向上する。
また、導電性酸化膜上の少なくとも一部の領域には、第1の薄膜層が形成されている。導電性酸化膜は、導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第1の薄膜層の形成領域において、光電変換セルごとに分離されている。
導電性酸化膜をレーザ光等のエネルギービームにより分離する場合、第1の薄膜層が導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有することにより、熱により導電性酸化膜内に発生するガスが第1の薄膜層により封止される。そして、そのガスは、第1の薄膜層を破壊できる圧力または温度を超えることにより、第1の薄膜層を突き破って十分な勢いで噴出する。
これにより、導電性酸化膜の分離が、導電性酸化膜の熱損傷および各光電変換セル間の電気的絶縁不良が引き起こされることなく行われる。それにより、光起電力装置の信頼性が向上する。また、導電性酸化膜の分離部分に対しての洗浄処理、または各光電変換セルにおける電極間の短絡部の修復を行う必要がないので、光起電力装置の製造が容易になる。
基板上の複数の光電変換セルを含む領域の外周部に沿って、導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第2の薄膜層が形成され、第2の薄膜層が形成された領域において、導電性酸化膜が、外周部に沿って除去されてもよい。
導電性酸化膜をレーザ光等のエネルギービームにより分離する場合、第2の薄膜層が導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有することにより、熱により導電性酸化膜内に発生するガスが第2の薄膜層により封止される。そして、そのガスは、第2の薄膜層を破壊できる圧力または温度を超えることにより、第2の薄膜層を突き破って十分な勢いで噴出する。
これにより、導電性酸化膜の分離が、導電性酸化膜の熱損傷および各光電変換セルと外周部との間の電気的絶縁不良が引き起こされることなく行われる。それにより、光起電力装置の信頼性が向上する。また、導電性酸化膜の分離部分に対しての洗浄処理、または各光電変換セルにおける電極間の短絡部の修復を行う必要がないので、光起電力装置の製造が容易になる。
導電性酸化膜は、凹凸形状を有してもよい。この場合、導電性酸化膜の凹凸形状により各光電変換セルにおける光の閉じ込めが十分に行われる。
導電性酸化膜は、酸化亜鉛を含んでもよい。酸化亜鉛をレーザ光等のエネルギービームにより分離する場合、導電性酸化膜内に発生する酸化亜鉛のガスが、一時的に第1の薄膜層または第2の薄膜層により封止される。これにより、そのガスの圧力または温度を十分に増大させることができ、十分な圧力で導電性酸化膜外へ噴出させることができる。
第1の薄膜層は、酸化シリコンを含んでもよい。この場合、導電性酸化膜内に発生するガスが、酸化シリコンを含む第1の薄膜層により封止される。
第2の薄膜層は、酸化シリコンを含んでもよい。この場合、導電性酸化膜内に発生するガスが、酸化シリコンを含む第2の薄膜層により封止される。
第2の電極上の少なくとも一部に第2の電極よりも高い硬度を有する表面保護層をさらに備えてもよい。この場合、表面保護層により光起電力装置の受光面が保護される。
第2の発明に係る光起電力装置の製造方法は、基板上に複数の光電変換セルを並ぶように形成する工程と、複数の光電変換セルを直列に接続する工程とを含み、複数の光電変換セルを形成する工程は、基板上に光の閉じ込め効果を得るための導電性酸化膜を形成する工程と、導電性酸化膜上の少なくとも一部の領域に、導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第1の薄膜層を形成する工程と、第1の薄膜層が形成された領域において、導電性酸化膜を光電変換セルごとに分離する工程と、第1の薄膜層を覆うように導電性酸化膜上に第1の電極を形成する工程と、第1の電極上に光電変換層を形成する工程と、光電変換層上に透光性の第2の電極を形成する工程とを含むものである。
この発明に係る光起電力装置の製造方法においては、基板上に複数の光電変換セルが並ぶように形成され、複数の光電変換セルが直列に接続される。
複数の光電変換セルの形成は、基板上に光の閉じ込め効果を得るための導電性酸化膜を形成し、導電性酸化膜上の少なくとも一部の領域に、導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第1の薄膜層を形成し、第1の薄膜層が形成された領域において、導電性酸化膜を光電変換セルごとに分離し、第1の薄膜層を覆うように導電性酸化膜上に第1の電極を形成し、第1の電極上に光電変換層を形成し、光電変換層上に透光性の第2の電極を形成することにより行われる。
このように作製される光起電力装置においては、光の閉じ込め効果を得るための導電性酸化膜上に、第1の電極、光電変換層および透光性の第2の電極が順に形成されている。それにより、各光電変換セルの上方から第2の電極を通して光電変換層に光が入射すると、導電性酸化膜の働きにより光電変換層で光の閉じ込めが行われる。その結果、各光電変換セルの光電変換効率が向上し、光起電力装置の光電変換効率が向上する。
また、導電性酸化膜上の少なくとも一部の領域には、第1の薄膜層が形成されている。導電性酸化膜は、導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第1の薄膜層の形成領域において、光電変換セルごとに分離されている。
導電性酸化膜をレーザ光等のエネルギービームにより分離する場合、第1の薄膜層が導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有することにより、熱により導電性酸化膜内に発生するガスが第1の薄膜層により封止される。そして、そのガスは、第1の薄膜層を破壊できる圧力または温度を超えることにより、第1の薄膜層を突き破って十分な勢いで噴出する。
これにより、導電性酸化膜の分離が、導電性酸化膜の熱損傷および各光電変換セル間の電気的絶縁不良が引き起こされることなく行われる。それにより、光起電力装置の信頼性が向上する。また、導電性酸化膜の分離部分に対しての洗浄処理、または各光電変換セルにおける電極間の短絡部の修復を行う必要がないので、光起電力装置の製造が容易になる。
導電性酸化膜を光電変換セルごとに分離する工程は、レーザ光を導電性酸化膜に照射することにより導電性酸化膜を分離する工程を含んでもよい。この場合、レーザ光が導電性酸化膜に照射されると、レーザ光のエネルギーが熱のエネルギーに変換される。
これにより、導電性酸化膜内にガスが発生し、そのガスが第1の薄膜層を破壊できる圧力または温度を超えることにより、第1の薄膜層を突き破って十分な勢いで噴出する。それにより、導電性酸化膜が光電セルごとに分離される。
第1の薄膜層を形成する工程は、ポリシラザンと水との反応により転化した酸化シリコンにより第1の薄膜層を形成する工程を含んでもよい。これにより、スパッタリング等の物理的堆積法により酸化シリコンを第1の薄膜層として形成する場合に比べて、第1の薄膜層の形成領域における導電性酸化膜の損傷が防止され、低温で安定して第1の薄膜層の形成が行われる。
第1の薄膜層を形成する工程は、シランと酸素含有ガスとの反応により生成した酸化シリコンにより第1の薄膜層を形成する工程を含んでもよい。これにより、スパッタリング等の物理的堆積法により酸化シリコンを第1の薄膜層として形成する場合に比べて、第1の薄膜層の形成領域における導電性酸化膜の損傷が防止され、低温で安定して第1の薄膜層の形成が行われる。
導電性酸化膜を形成する工程の後、基板上の複数の光電変換セルを含む領域の外周部に沿って、導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第2の薄膜層を形成する工程と、第2の薄膜層が形成された領域において、導電性酸化膜を外周部に沿って除去する工程とをさらに備えてもよい。
この場合、導電性酸化膜が形成された後、基板上の複数の光電変換セルを含む領域の外周部に沿って、導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第2の薄膜層が形成され、第2の薄膜層が形成された領域において、導電性酸化膜が外周部に沿って除去される。
導電性酸化膜をレーザ光等のエネルギービームにより分離する場合、第2の薄膜層が導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有することにより、熱により導電性酸化膜内に発生するガスが第2の薄膜層により封止される。そして、そのガスは、第2の薄膜層を破壊できる圧力または温度を超えることにより、第2の薄膜層を突き破って十分な勢いで噴出する。
これにより、導電性酸化膜の分離が、導電性酸化膜の熱損傷および各光電変換セルと外周部との間の電気的絶縁不良が引き起こされることなく行われる。それにより、光起電力装置の信頼性が向上する。また、導電性酸化膜の分離部分に対しての洗浄処理、または各光電変換セルにおける電極間の短絡部の修復を行う必要がないので、光起電力装置の製造が容易になる。
本発明に係る光起電力装置およびその製造方法によれば、光の閉じ込め効果を得るための導電性酸化膜上に、第1の電極、光電変換層および透光性の第2の電極が順に形成される。それにより、各光電変換セルの上方から第2の電極を通して光電変換層に光が入射すると、導電性酸化膜の働きにより光電変換層で光の閉じ込めが行われる。その結果、各光電変換セルの光電変換効率が向上し、光起電力装置の光電変換効率が向上する。
また、導電性酸化膜上の少なくとも一部の領域には、第1の薄膜層が形成される。導電性酸化膜は、導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第1の薄膜層の形成領域において、光電変換セルごとに分離される。
導電性酸化膜をレーザ光等のエネルギービームにより分離する場合、第1の薄膜層が導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有することにより、熱により導電性酸化膜内に発生するガスが第1の薄膜層により封止される。そして、そのガスは、第1の薄膜層を破壊できる圧力または温度を超えることにより、第1の薄膜層を突き破って十分な勢いで噴出する。
これにより、導電性酸化膜の分離が、導電性酸化膜の熱損傷および各光電変換セル間の電気的絶縁不良が引き起こされることなく行われる。それにより、光起電力装置の信頼性が向上する。また、導電性酸化膜の分離部分に対しての洗浄処理、または各光電変換セルにおける電極間の短絡部の修復を行う必要がないので、光起電力装置の製造が容易になる。
本発明の一実施の形態に係る光起電力装置およびその製造方法について説明する。
以下の説明においては、レーザパターニングを行う際に、ZnO(酸化亜鉛)にレーザ光が入射することにより発生する金属蒸気および脱離ガスを金属ガスと総称する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る光起電力装置の模式的平面図である。図2(a)は図1のA−A線における光起電力装置100の模式的断面図であり、図2(b)は図1のB−B線における光起電力装置100の模式的断面図である。
図1は、第1の実施の形態に係る光起電力装置の模式的平面図である。図2(a)は図1のA−A線における光起電力装置100の模式的断面図であり、図2(b)は図1のB−B線における光起電力装置100の模式的断面図である。
図1、図2(a)および図2(b)においては、矢印X,Y,Zで示すように互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。後述するように、光起電力装置100は一の基板上に複数の光電変換セル10を形成することにより形成される。X方向およびY方向は、この基板に平行な方向であり、Z方向はその基板に垂直な方向である。以降の図面においても、上記同様のX,Y,Z方向を定義する。
図1の平面図に示すように、本実施の形態に係る光起電力装置100は略長方形状を有する。複数の光電変換セル10がX方向に隣接するように配置されている。複数の光電変換セル10上には複数の集電極71が形成されている。
図1のA−A線断面においては、図2(a)に示すように、基板1上にZnOからなるテクスチャ形成層2が形成されている。テクスチャ形成層2は上面側に凹凸形状を有する。
テクスチャ形成層2上にSiO2 (酸化シリコン)からなる金属ガス封入層3が形成され、金属ガス封入層3上にAg(銀)からなる第1の電極4が形成されている。
さらに、第1の電極4上に光電変換層6が形成され、光電変換層6上にITO(インジウム錫酸化物)からなる透光性の第2の電極7が形成されている。第2の電極7の上面にAgからなる複数の集電極71が形成されている。
テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3および第1の電極4は、X方向における所定の間隔で分離溝G1により分離されている。分離溝G1には、絶縁体5が充填されている。これにより、複数の第1の電極4は互いに電気的に分離されている。
光電変換層6は、X方向における所定の間隔で分離溝G2により分離されている。第2の電極7は、X方向における所定の間隔で分離溝G3により分離されている。分離された複数の第2の電極7は、それぞれの一部が分離溝G2に延びており、第1の電極4に接続されている。
上記の分離溝G1,G2,G3は、レーザパターニングにより形成され、それぞれX方向において、ずれた位置に形成される。それにより、基板1、テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3、第1の電極4、絶縁体5、光電変換層6および第2の電極7からなる光電変換セル10が形成される。
基板1としては、ガラス板または透明樹脂フィルム等からなる透明基板を用いてもよいし、ステンレス薄板にPES(ポリエーテルサルホン)、PI(ポリイミド)等を被着させたものを用いてもよい。
光電変換層6は、p−i−n接合を有する非晶質シリコン層および結晶質シリコン層が中間反射層6tを介して積層された構造(タンデム構造)を有する。図2(a)および図2(b)では、中間反射層6tが破線により示されている。中間反射層6tは、例えばZnO等の透明導電膜により形成される。
図1のB−B線断面は、以下の点を除き図1のA−A線断面と同じ構造を有する。図2(b)によれば、X方向における端部の光電変換セル10が光起電力装置100の外周部100R(図1参照)と分離されている。
すなわち、図2(b)に示すように、図1のB−B線断面においては、テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3、第1の電極4、光電変換層6および第2の電極7の全ての層をともに分離するように分離溝G4が形成されている。この分離溝G4は、分離溝G1,G2,G3と同様にレーザパターニングにより形成される。
上記構成を有する光電変換セル10の上面側に光Lが照射されると、その光Lが光電変換層6に入射する。そこで、光電変換層6により光Lのエネルギーが電気エネルギーに変換され、起電力が発生する。
上述のように、本実施の形態に係る光起電力装置100には、テクスチャ形成層2上に凹凸形状が形成されている。これにより、テクスチャ形成層2上に形成される金属ガス封入層3、第1の電極4、光電変換層6および第2の電極7は、同様の凹凸形状を有する。
それにより、光起電力装置100における各層間でテクスチャ構造が実現されている。このテクスチャ構造により、光電変換層6内での光Lの閉じ込めが十分に行われるので、複数の光電変換セル10の光電変換効率が向上し、光起電力装置100の光変換効率が向上する。
本実施の形態に係る光起電力装置100の製造方法について図3〜図5に基づき説明する。図3〜図5は、第1の実施の形態に係る光起電力装置100の製造方法を説明するための図である。なお、図3〜図5に示す断面は、図1のA−A線断面(図2(a)参照)に相当する。
初めに、ガラス板からなる基板1上にスパッタリングによりZnOからなる層を形成する。そこで、ZnO層の上面を塩酸溶液を用いてウェットエッチングする。これにより、表面に凹凸形状の形成されたテクスチャ形成層2が完成する。テクスチャ形成層2の厚みは、例えば500nmである。
その後、図3(a)に示すように、ノズルNによるスプレー塗布によりテクスチャ形成層2上の全面にポリシラザン8を塗布する。そこで、ポリシラザン8が塗布された基板1およびテクスチャ形成層2の積層体を、大気中で150℃の温度雰囲気に維持する。これにより、ポリシラザン8がSiO2 に転化し、金属ガス封入層3が完成する。金属ガス封入層3の厚みは、例えば200nmである。
次に、図3(b)に示すように、SiO2 からなる金属ガス封入層3上にAgからなる第1の電極4をスパッタリングにより形成する。第1の電極4の厚みは、例えば200nmである。
そして、図3(b)に示すように、第1の電極4の上方から第1の電極4の所定の箇所へレーザ光I1を照射し、レーザパターニングを行う。このレーザ光I1は、例えば波長1064nmのYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)レーザ光である。
これにより、図3(b)の破線に示すように、テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3および第1の電極4を通してZ方向に延びる分離溝G1が形成される。この場合、レーザパターニングは分離溝G1内に基板1の上面が露出するように行う。
図4(c)に示すように、分離溝G1の内部に絶縁体5が充填されるようにスクリーン印刷を行う。分離溝G1に充填される絶縁体5は、例えばエポキシ樹脂を主成分とするものである。
続いて、第1の電極4上に光電変換層6をプラズマCVD(化学気相成長)法により形成する。上述のように、光電変換層6は、例えば非晶質シリコン層、中間反射層6tおよび結晶質シリコン層が積層された構造を有する。光電変換層6の厚みは、例えば3000nmである。
光電変換層6が形成された後、図4(d)に示すように、光電変換層6の所定の箇所に対して、上記同様のレーザパターニングを行う。これにより、光電変換層6においてZ方向に延びる分離溝G2が形成される。この場合、レーザパターニングは分離溝G2内に第1の電極4の上面が露出するように行う。
ここで、光電変換層6の上面および光電変換層6の分離溝G2にITOのスパッタリングを行う。これにより、図5(e)に示すように、ITOからなる第2の電極7が光電変換層6の上面を覆うように、かつ分離溝G2を充填するように形成される。分離溝G2に第2の電極7が充填されることにより、第2の電極7と第1の電極4とが電気的に接続される。光電変換層6上に形成される第2の電極7の厚みは、例えば70nmである。
その後、第2の電極7の所定の箇所に対しても、レーザパターニングを行う。図5(e)に示すように、このレーザパターニングは、YAGレーザ光の3倍高調波(波長355nm)のレーザ光I2を用いることにより行った。
これにより、第2の電極7においてZ方向に延びる分離溝G3が形成される。この場合、レーザパターニングは分離溝G3内に光電変換層6の上面が露出するように行う。それにより、図5(f)に示すように、基板1上に複数の光電変換セル10が完成する。
さらに、上記の工程の後、図2(b)に示すように、X方向における端部の光電変換セル10が光起電力装置100の外周部100R(図1参照)と分離するように、上記同様のレーザパターニングを行う。これにより、複数の光電変換セル10と光起電力装置100の外周部100Rとの間に、Z方向に延びる分離溝G4が形成される。この場合、レーザパターニングは、テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3、第1の電極4、光電変換層6および第2の電極7の全ての層がともに分離され、分離溝G4内に基板1の上面が露出するように行う。
最後に、第2の電極7上にAgペーストをスクリーン印刷法により塗布し、複数の集電極71を形成する。これにより、本実施の形態に係る光起電力装置100が完成する。
上述のように、ZnOからなるテクスチャ形成層2を光電変換セル10ごとに分離する分離溝G1は、レーザパターニングにより形成される。
ここで、ZnOはその特性によりレーザパターニングが困難な材料である。しかしながら、本実施の形態に係る光起電力装置100においては、ZnOからなるテクスチャ形成層2上にSiO2 からなる金属ガス封入層3が形成されている。これにより、テクスチャ形成層2の熱損傷および光電変換セル10における電気的絶縁不良等が引き起こされることなく、テクスチャ形成層2のレーザパターニングが良好に行われる。
したがって、光起電力装置100の信頼性が向上する。また、分離溝G1の形成後に、分離溝G1の洗浄処理、または複数の光電変換セル10における電極間の短絡部の修復(逆バイパスリペア等)を行う必要がなく、光起電力装置100の製造が容易となる。
以下、上記の効果の理由について説明する。初めに、レーザパターニングにより分離溝G1を形成するときのメカニズムについて説明する。
図6(a)および図6(b)は、ZnOからなるテクスチャ形成層2とSiO2 からなる金属ガス封入層3との積層体にレーザパターニングを施す際のメカニズムを説明するための図である。なお、図6では、金属ガス封入層3上に形成される第1の電極4の図示を省略する。
上述のように、分離溝G1の形成時においては、金属ガス封入層3上の所定の箇所にレーザ光I1が照射される。ここで、SiO2 からなる金属ガス封入層3は透明薄膜の層であるとともに、レーザ光I1をほとんど吸収しない。したがって、金属ガス封入層3には、レーザ光I1が照射されても熱の発生等が生じない。
これにより、図6(a)に示すように、基板1の上方から金属ガス封入層3に入射するレーザ光I1は、そのほとんどが金属ガス封入層3を透過してテクスチャ形成層2に入射される。
ZnOからなるテクスチャ形成層2は、レーザ光I1が照射されることにより、そのエネルギーを吸収する。それにより、レーザ光I1が照射されたテクスチャ形成層2は、金属ガス封入層3によりその上面が覆われた状態で発熱する。そして、テクスチャ形成層2が発熱することにより、テクスチャ形成層2の内部にZnOの金属ガスPが発生する。
ここで、上述のように、本実施の形態ではテクスチャ形成層2が金属ガス封入層3により覆われている。したがって、テクスチャ形成層2内部に発生する金属ガスPは、金属ガス封入層3により封止された状態で、圧縮される。
その後、テクスチャ形成層2における金属ガスPの発生がさらに進行すると、金属ガス封入層3により封止された金属ガスPの圧力および温度が大きくなる。これにより、図6(b)に示すように、金属ガスPを封止する金属ガス封入層3が、金属ガスPの圧力により破壊され、金属ガスPとともに基板1の上方へ勢いよく噴出する。
このように、本実施の形態に係る光起電力装置100の製造方法においては、分離溝G1を形成するためのレーザパターニング時に、テクスチャ形成層2に発生する金属ガスPが金属ガス封入層3により圧縮される。これにより、金属ガスPの圧力が十分に上昇する。それにより、金属ガスPが十分大きな圧力で金属ガス封入層3を破壊して勢いよく噴出する。
その結果、形成される分離溝G1の近傍に再付着物が発生することが防止され、熱損傷および絶縁不良のない良好な分離溝G1を得ること可能となる。
なお、本実施の形態において、テクスチャ形成層2を覆うように形成される金属ガス封入層3は、SiO2 からなるがこれに限定されるものではない。
金属ガス封入層3は、絶縁性で、かつZnOよりも硬度が高く融点の高いものであればよい。金属ガス封入層3は、例えばAl2 O3 (酸化アルミニウム)からなってもよいし、Si3 N4 (窒化シリコン)からなってもよい。
本実施の形態において、金属ガス封入層3はSiO2 からなるが、この層は、ポリシラザンと水との反応により形成してもよいし、シランと、酸素含有ガスとの反応により形成してもよい。
スパッタリングによりSiO2 膜を形成する場合には、形成対象箇所である金属ガス封入層3のプラズマによる損傷が発生する場合がある。これに対して、上記のように、金属ガス封入層3が形成される場合、SiO2 膜の形成は、低温で安定して行うことができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る光起電力装置100は、以下の点で第1の実施の形態に係る光起電力装置100と構造および製造方法が異なる。
第2の実施の形態に係る光起電力装置100は、以下の点で第1の実施の形態に係る光起電力装置100と構造および製造方法が異なる。
図7は、第2の実施の形態に係る光起電力装置100の模式的断面図である。図7に示す断面図は、図1のA−A線における光起電力装置100の模式的断面図に相当する。
図7に示すように、第2の実施の形態に係る光起電力装置100において、複数の光電変換セル10の上面にはSiO2 からなる表面保護層9が形成されている。複数の光電変換セル10上への表面保護層9の形成は次のように行われる。
図8(a)および図8(b)は、第2の実施の形態に係る光起電力装置100の表面保護層9の形成方法を説明するための図である。
初めに、第1の実施の形態に係る光起電力装置100の製造方法と同様の手順で、基板1上にテクスチャ形成層2、金属ガス封入層3、第1の電極4、絶縁体5、光電変換層6および第2の電極7を形成する。そして、第2の電極7の所定の箇所に対して分離溝G3を形成する前に、第2の電極7上に複数の集電極71を形成する。
ここで、本実施の形態では、図8(a)に示すように、第2の電極7の上面および複数の集電極71の全体を覆うようにSiO2 からなる表面保護層9を形成する。
表面保護層9の形成は、光CVD(化学気相成長)法により形成する。具体的には、第2の電極7および集電極71の上部へSiH4 (シラン)とO2 (酸素)とを供給しつつ、紫外光Vを照射する。
これにより、SiH4 とO2 との間で化学反応が生じ、第2の電極7および集電極71の全体を覆うようにSiO2 からなる表面保護層9が形成される。表面保護層9の厚みは、例えば100nmである。
なお、上記において、第2の電極7および集電極71の上部へ供給するガスは、SiH4 および酸素含有ガスであればよく、酸素含有ガスはO2 に限定されない。酸素含有ガスは、O3 (オゾン)であってもよい。
スパッタリングによりSiO2 膜を形成する場合には、形成対象箇所である第2の電極7のプラズマによる損傷、および第2の電極7を構成するITOの還元が発生する場合がある。これに対して、上記の光CVD法によるSiO2 膜の形成は、低温で安定して行うことができる。
表面保護層9の形成後、図8(b)に示すように、表面保護層9上の所定の箇所に対して、レーザ光I2を照射し、レーザパターニングを行う。このレーザパターニングは、YAGレーザ光の3倍高調波(波長355mm)のレーザ光I2を用いることにより行う。
これにより、表面保護層9および第2の電極7を通してZ方向に延びる分離溝G3が形成される。この場合、レーザパターニングは分離溝G3内に光電変換層6の上面が露出するように行う。これにより、基板1上に複数の光電変換セル10が完成し、本実施の形態に係る光起電力装置100が完成する。
図示しないが、本実施の形態に係る光起電力装置100においては、図1のB−B線断面に相当する箇所についても第2の電極7上に表面保護層9が形成されている。
上記のように、本実施の形態に係る光起電力装置100においては、複数の光電変換セル10の各上面にSiO2 からなる表面保護層9が形成されている。それにより、光電変換セル10の受光面が表面保護層9により保護される。本実施の形態において、表面保護層9はSiO2 の他、Al2 O3 (酸化アルミニウム)からなってもよいし、Si3 N4 (窒化シリコン)からなってもよい。
本実施の形態において、金属ガス封入層3および表面保護層9はSiO2 からなるが、これらの層は、ポリシラザンと水との反応により形成してもよいし、シランと酸素含有ガスとの反応により形成してもよい。この場合においても、SiO2 膜の形成は、低温で安定して行うことができる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る光起電力装置100は、以下の点で第1の実施の形態に係る光起電力装置100と構造および製造方法が異なる。
第3の実施の形態に係る光起電力装置100は、以下の点で第1の実施の形態に係る光起電力装置100と構造および製造方法が異なる。
図9(a)および図9(b)は、第3の実施の形態に係る光起電力装置100の模式的断面図である。図9(a)に示す断面図は、図1のA−A線における光起電力装置100の模式的断面図に相当し、図9(b)に示す断面図は、図1のB−B線における光起電力装置100の模式的断面図に相当する。
図9(a)および図9(b)に示すように、本実施の形態に係る光起電力装置100において、テクスチャ形成層2上には、分離溝G1,G4の形成領域の近傍にのみSiO2 からなる金属ガス封入層3が形成されている。
図9(a)および図9(b)に示す光起電力装置100の製造時においては、金属ガス封入層3の形成時にマスキングを行うことにより、金属ガス封入層3を選択的にテクスチャ形成層2上に形成する。
本実施の形態に係る光起電力装置100においては、テクスチャ形成層2上への金属ガス封入層3の形成を、複数の光電変換セル10間の分離溝G1、および複数の光電変換セル10と光起電力装置100の外周部100Rとの間の分離溝G4の形成部近傍に選択的に行っている。これにより、金属ガス封入層3の形成に用いられるSiO2 の量を低減することができる。それにより、低コスト化が可能となる。
本実施の形態において、金属ガス封入層3はSiO2 からなるが、この層は、ポリシラザンと水との反応により形成してもよいし、シランと酸素含有ガスとの反応により形成してもよい。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る光起電力装置100は、以下の点で第1の実施の形態に係る光起電力装置100と構造および製造方法が異なる。
第4の実施の形態に係る光起電力装置100は、以下の点で第1の実施の形態に係る光起電力装置100と構造および製造方法が異なる。
図10は、第4の実施の形態に係る光起電力装置100の模式的断面図である。図10に示すように、本実施の形態に係る光起電力装置100においては、複数の光電変換セル10間を分離する分離溝G5,G6の形状が第1の実施の形態に係る光起電力装置100の分離溝G1,G2,G3の形状と異なる。
具体的には、テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3および第1の電極4を分離する分離溝G5が、テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3、第1の電極4、光電変換層6および第2の電極7を通して上部に開口するように形成されている。なお、分離溝G5は、その内部に基板1の上面が露出するように形成されている。
また、光電変換層6および第2の電極7を分離する分離溝G6の幅は、第1の電極4上に開口する分離溝G5の幅よりも大きく形成されている。なお、光電変換層6は、その内部に第1の電極4の上面が露出するように形成されている。
そこで、絶縁体5が分離溝G5の内側面に沿って分離溝G1に充填されている。これにより、テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3、第1の電極4、光電変換層6および第2の電極7のX方向における一側面が絶縁体5により被覆されている。
第2の電極7の上部には複数の集電極71が形成されている。複数の集電極71のうち、第2の電極7のX方向における一側面近傍に形成される集電極71は、第2の電極7の上面から絶縁体5の上面および側面に沿って分離溝G4の底部へ延びるように形成されている。
これにより、隣接する2つの光電変換セル10間で、一方の光電変換セル10の第2の電極7と他方の光電変換セル10の第1の電極4とが電気的に接続されている。
さらに、本実施の形態に係る光起電力装置100において、テクスチャ形成層2上には、第3の実施の形態と同様に、分離溝G5の形成領域の近傍にのみSiO2 からなる金属ガス封入層3が形成されている。
本実施の形態に係る光起電力装置100の製造方法について図11〜図13に基づき説明する。図11〜図13は、第4の実施の形態に係る光起電力装置100の製造方法を説明するための図である。
初めに、図11(a)に示すように、第1の実施の形態と同様に基板1上にテクスチャ形成層2、金属ガス封入層3、第1の電極4、光電変換層6および第2の電極7を順次形成する。
なお、本実施の形態では、第3の実施の形態と同様に、金属ガス封入層3の形成時にマスキングを行うことにより、テクスチャ形成層2上の所定の領域に金属ガス封入層3を選択的に形成する。
次に、図11(b)に示すように、第2の電極7の上方から第2の電極7の所定の箇所へレーザ光I1を照射し、レーザパターニングを行う。このレーザ光I1は、第1の実施の形態と同様の波長1064nmのYAGレーザ光である。
これにより、テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3、第1の電極4、光電変換層6および第2の電極7を通してZ方向に延びる分離溝G5が形成される。この場合、レーザパターニングは分離溝G5内に基板1の上面が露出するように行う。
続いて、図12(c)に示すように、第2の電極7上の所定の箇所(分離溝G5の開口部近傍)に対して、レーザ光I2を照射し、レーザパターニングを行う。このレーザ光I2は、YAGレーザ光の3倍高調波(波長355mm)のレーザ光である。
これにより、第2の電極7上の一部の領域が除去され、光電変換層6の一部が露出する。そこで、図12(d)に示すように、光電変換層6の露出部に対してCF4 (四フッ化炭素)ガス、O2 (酸素)ガスおよびプラズマを用いたドライエッチングを行う。それにより、分離溝G6内に第1の電極4の上面が露出する。
その後、絶縁体5の形成を行う。絶縁体5の形成は、図13(e)に示すように、絶縁体5が分離溝G5の内側面に沿って分離溝G1に充填されるように行う。これにより、テクスチャ形成層2、金属ガス封入層3、第1の電極4、光電変換層6および第2の電極7のX方向における一側面が絶縁体5により被覆される。
最後に、第2の電極7上に複数の集電極71をスクリーン印刷により形成する。上述のように、複数の集電極71のうち、第2の電極7のX方向における一側面近傍に形成される集電極71は、第2の電極7の上面から絶縁体5の上面および側面に沿って分離溝G4の底部へ延びるように形成する。
これにより、基板1上に複数の光電変換セル10が完成し、本実施の形態に係る光起電力装置100が完成する。
本実施の形態に係る基板処理装置100においても、ZnOからなるテクスチャ形成層2の分離部分(分離溝G5の形成領域)の近傍に、SiO2 からなる金属ガス封入層3が形成されている。それにより、第1および第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
本実施の形態に係る光起電力装置100は、以下の構成を有してもよい。図14(a)および図14(b)は第4の実施の形態に係る光起電力装置100の他の構成例を示す図である。
図14(a)においては、第1の実施の形態と同様に、テクスチャ形成層2上の全面に渡って、金属ガス封入層3が形成されている。この場合においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図14(b)においては、第2の実施の形態と同様に、第2の電極7の上面および集電極71の全体を覆うように、表面保護層9が形成されている。この場合においても、第1および第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
本実施の形態において、金属ガス封入層3および表面保護層9はSiO2 からなるが、これらの層は、ポリシラザンと水との反応により形成してもよいし、シランと酸素含有ガスとの反応により形成してもよい。
第1〜第4の実施の形態において、テクスチャ形成層2はZnOからなるが、テクスチャ形成層2はSnO2 またはITOからなってもよい。また、第1〜第4の実施の形態において、第2の電極7はITOからなるが、第2の電極7はZnOまたはSnO2 からなってもよい。
上記、第1〜第4の実施の形態において、テクスチャ形成層2は導電性酸化膜に相当し、複数の光電変換セル間の分離部近傍の金属ガス封入層3は第1の薄膜層に相当し、光起電力装置100の外周部100Rが基板上の複数の光電セルを含む領域の外周部に相当し、複数の光電変換セルと外周部100Rとの間の分離部近傍の金属ガス封入層3は第2の薄膜層に相当する。
本発明に係る光起電力装置およびその製造方法は、種々の電源およびその製造に有効に利用できる。
1 基板
2 テクスチャ形成層
3 金属ガス封入層
4 第1の電極
5 絶縁体
6 光電変換層
7 第2の電極
9 表面保護層
10 光電変換セル
100 光起電力装置
100R 外周部
2 テクスチャ形成層
3 金属ガス封入層
4 第1の電極
5 絶縁体
6 光電変換層
7 第2の電極
9 表面保護層
10 光電変換セル
100 光起電力装置
100R 外周部
Claims (12)
- 基板と、
前記基板上に並ぶように形成され、互いに直列に接続された複数の光電変換セルとを備え、
前記複数の光電変換セルの各々は、
光の閉じ込め効果を得るための導電性酸化膜と、
前記導電性酸化膜上の少なくとも一部の領域に形成され、前記導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第1の薄膜層と、
前記第1の薄膜層を覆うように前記導電性酸化膜上に形成される第1の電極と、
前記第1の電極上に形成される光電変換層と、
前記光電変換層上に形成される透光性の第2の電極とを備え、
前記導電性酸化膜は、前記第1の薄膜層が形成された領域において、前記光電変換セルごとに分離されたことを特徴とする光起電力装置。 - 前記基板上の前記複数の光電変換セルを含む領域の外周部に沿って前記導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第2の薄膜層が形成され、
前記第2の薄膜層が形成された領域において、前記導電性酸化膜が、前記外周部に沿って除去されたことを特徴とする請求項1記載の光起電力装置。 - 前記導電性酸化膜は、凹凸形状を有することを特徴とする請求項1または2記載の光起電力装置。
- 前記導電性酸化膜は、酸化亜鉛を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光起電力装置。
- 前記第1の薄膜層は、酸化シリコンを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光起電力装置。
- 前記第2の薄膜層は、酸化シリコンを含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の光起電力装置。
- 前記第2の電極上の少なくとも一部に前記第2の電極よりも高い硬度を有する表面保護層をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光起電力装置。
- 基板上に複数の光電変換セルを並ぶように形成する工程と、
前記複数の光電変換セルを直列に接続する工程とを含み、
前記複数の光電変換セルを形成する工程は、
前記基板上に光の閉じ込め効果を得るための導電性酸化膜を形成する工程と、
前記導電性酸化膜上の少なくとも一部の領域に、前記導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第1の薄膜層を形成する工程と、
前記第1の薄膜層が形成された領域において、前記導電性酸化膜を前記光電変換セルごとに分離する工程と、
前記第1の薄膜層を覆うように前記導電性酸化膜上に第1の電極を形成する工程と、
前記第1の電極上に光電変換層を形成する工程と、
前記光電変換層上に透光性の第2の電極を形成する工程とを含むことを特徴とする光起電力装置の製造方法。 - 前記導電性酸化膜を前記光電変換セルごとに分離する工程は、
レーザ光を前記導電性酸化膜に照射することにより前記導電性酸化膜を分離する工程を含むことを特徴とする請求項8記載の光起電力装置の製造方法。 - 前記第1の薄膜層を形成する工程は、
ポリシラザンと水との反応により転化した酸化シリコンにより前記第1の薄膜層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項8または9記載の光起電力装置の製造方法。 - 前記第1の薄膜層を形成する工程は、
シランと酸素含有ガスとの反応により生成した酸化シリコンにより前記第1の薄膜層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項8または9記載の光起電力装置。 - 前記導電性酸化膜を形成する工程の後、前記基板上の前記複数の光電変換セルを含む領域の外周部に沿って、前記導電性酸化膜よりも高い硬度および融点を有する第2の薄膜層を形成する工程と、
前記第2の薄膜層が形成された領域において、前記導電性酸化膜を前記外周部に沿って除去する工程とをさらに備えたことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の光起電力装置の製造方法。
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