JP2006236942A - 炭素電極、及びその製造方法 - Google Patents

炭素電極、及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006236942A
JP2006236942A JP2005053802A JP2005053802A JP2006236942A JP 2006236942 A JP2006236942 A JP 2006236942A JP 2005053802 A JP2005053802 A JP 2005053802A JP 2005053802 A JP2005053802 A JP 2005053802A JP 2006236942 A JP2006236942 A JP 2006236942A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon electrode
powder
carbon
tar
pitch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005053802A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Yoshida
吉田  孝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SATO RINGYO KK
Dai Nippon Printing Co Ltd
Kitami Institute of Technology NUC
Mitsubishi Kagaku Sanshi Corp
Original Assignee
SATO RINGYO KK
Dai Nippon Printing Co Ltd
Kitami Institute of Technology NUC
Mitsubishi Kagaku Sanshi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SATO RINGYO KK, Dai Nippon Printing Co Ltd, Kitami Institute of Technology NUC, Mitsubishi Kagaku Sanshi Corp filed Critical SATO RINGYO KK
Priority to JP2005053802A priority Critical patent/JP2006236942A/ja
Publication of JP2006236942A publication Critical patent/JP2006236942A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/13Energy storage using capacitors

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、木材等のバイオマス資源由来のタールを原料に用いて高機能を有する炭素電極及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の炭素電極は、請求項1として、木タールを原料とし、線源にCuKαを用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=26°付近と2θ=44°付近に回折線を有する炭素粉末を含有することを特徴とする。また、本発明の炭素電極の製造方法は、上記の炭素電極の製造方法であって、精製された木タールを減圧雰囲気下で加熱して木タールピッチを得るピッチ化工程と、得られたピッチを粉末化してピッチ粉末を得る粉末化工程と、前記ピッチ粉末を熱処理して炭素粉末を得る熱処理工程と、前記炭素粉末をポリマーに分散させてフィルム化してフィルム状の炭素電極を得るフィルム化工程を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、木タールを原料にして得られる炭素電極及びその製造方法に関する。具体的には、リチウムイオン二次電池用負極、あるいはキャパシタ用電極に関する。
従来、炭素材料は、電気伝導性、機械的強度、耐熱性等に優れており、電極の材料、構造体への補強材等に広く使用されている。近年、炭素材料の中でシート状の炭素電極についても、電極の材料等として利用できるため開発が進められている。
炭素電極としては、例えば(特許文献1)に示すように、石油系、石炭系のタールピッチを出発原料として用いたものが知られている。また、(特許文献2)に示すように、芳香族化合物を出発原料として用いたものが知られている。
しかしながら、上記従来の炭素電極は、石油、石炭等の化石資源を用いるものであるため、環境に対する負荷の大きいものであった。
ところで、木炭製造の過程で副生物として発生する木タールには、木材の構成成分であるセルロースが解重合・脱水素されて生成した芳香族、あるいは、ベンゼン環を有するリグニン分解物由来の芳香族が多く含まれている。しかし、現時点では、木タールに工業的な用途がなく、産業廃棄物として処理されている。更に、木タールの廃棄や焼却に伴う環境汚染の問題も大きくなっている。このため、木タールを有効活用する用途の開発が望まれていた。
特開平1−203210号公報 特開平5−170536号公報
上記従来の状況に鑑み、本発明は、木材等のバイオマス資源由来のタールを原料に用いて高機能を有する炭素電極及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の炭素電極は、請求項1として、木タールを原料とし、線源にCuKαを用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=26°付近と2θ=44°付近に回折線を有する炭素粉末を含有することを特徴とする。
また、本発明の炭素電極は、請求項1記載の炭素電極において、2θ=26°付近に現れる回折線の回折強度I(26°)と2θ=44°付近に現れる回折線の回折強度I(44°)との回折強度比I(44°)/I(26°)が、0.2〜0.5であることを特徴とする
上記構成によれば、炭素電極の結晶構造が(002)面と(10)面とを有し、炭素結晶(縮合芳香環構造)が層状に重なった構造や面方向に拡がった構造をとるため、高い電気伝導性を有する。
また、本発明の炭素電極の製造方法は、請求項3として、請求項1又は2記載の炭素電極の製造方法であって、精製された木タールを減圧雰囲気下で加熱して木タールピッチを得るピッチ化工程と、得られたピッチを粉末化してピッチ粉末を得る粉末化工程と、前記ピッチ粉末を熱処理して炭素粉末を得る熱処理工程と、前記炭素粉末を分散させた溶液を基材上に塗布、乾燥することでフィルム状の炭素電極を得るフィルム化工程を有することを特徴とする。
上記手段によれば、結晶構造が(002)面と(10)面とを有し、炭素結晶(縮合芳香環構造)が層状に重なった構造や面方向に拡がった炭素電極が得られる。
また、請求項4に係る炭素電極の製造方法は、請求項3記載の炭素電極の製造方法において、炭素粉末が不活性ガス雰囲気中で500〜1500℃で熱処理されて得られた炭素化粉末であることを特徴とする。
上記手段によれば、炭素化繊維を得るための最適な熱処理温度の範囲が選択される。
また、請求項5に係る炭素電極の製造方法は、請求項3記載の炭素電極の製造方法において、炭素粉末が不活性ガス雰囲気中で1800〜3000℃で熱処理されて得られた黒鉛化粉末であることを特徴とする。
上記手段によれば、黒鉛化繊維を得るための最適な熱処理温度の範囲が選択される。
また、請求項6に係る炭素電極の製造方法は、請求項3〜5のいずれか記載の炭素電極の製造方法において、精製タールの粘度が10〜30Pa・sであることを特徴とする。
上記手段によれば、ピッチ繊維を得るための精製タールの最適な粘度が選択される。
本発明に基づく炭素電極及びその製造方法によれば、従来廃棄されていたバイオマス資源由来のタールを炭素電極の原料として有効利用することが可能となる。また、結晶表面の黒鉛構造が面方向に拡がり層状に重なった構造をとり、高い電気伝導性を有する炭素電極が得られるので、二次電池の電極、キャパシタ等の原料として用いることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の炭素電極は木タールを原料としており、粉末状にしてXRD(X-ray Diometer)を用いて、粉末X線回折パターン(線源:Cu−Kα)を測定すると、2θ=26°付近に(002)面の回折ピーク、2θ=44°に(10)面の回折ピークが現れている。なお、本発明の炭素電極は、元素分析値でC:95mol%以上含む。2θ=26°付近に現れる(002)面は、炭素電極の結晶構造が層方向に積み重なっていることを表すものと推察される。また、2θ=44°付近に現れる(10)面は、炭素電極の結晶構造が面方向に拡がっていることを表すものと推察され、これにより低い結晶化度であっても高い電気伝導性を有するものと考えられる。
そして、2θ=26°付近に現れる回折線の回折強度I(26°)と2θ=44°付近に現れる回折線の回折強度I(44°)との回折強度比I(44°)/I(26°)は、0.2〜0.5であり、好ましくは0.3〜0.5である。このことは実施の形態(1)に係る炭素電極の黒鉛構造が面方向への拡がりを有していることを示し、これにより高い電気伝導性を有するものと推察される。
以上のような炭素電極は例えば次に示すような製造方法によって製造することができる。
まず、本発明の炭素電極を製造するための原料として用いる原料タールについて説明する。原料タールは、木材等のバイオマス資源から木炭等を製造する際に副生成物として生成するものである。木材等から木炭等を製造する際には、木材等を400〜1000℃程度で熱分解を行うが、その際にメタン、一酸化炭素等の気体成分と液体成分とが生成する。液体の副生成物は、静置すると3層に分かれ、上層には精油及び油状成分が少量浮遊し、中層に水溶性成分(木酢液)、下層にタール状成分が分離する。中層の木酢液中に溶解したタールを溶解タール下層に分離したタールを沈底タールといい、これらを炭素電極を製造する原料として用いる。
なお、溶解タールは、レボグルコサン(1,6−無水グルコース)、フルフラール、その他フェノール成分(フェノール、グアヤコール、クレオソートなど)を含み、また、微量の3,4−ベンズピレンなども含む。溶解タールは、硬くて脆く燃料に使用される。
また、沈底タールは、蒸留により、軽油(沸点200℃以下)、重油(沸点200〜360℃)及びピッチに分留される。広葉樹からの木タールの場合、その組成の一例を挙げれば、酢酸2%、メタノール0.65%、水17.75%、軽油(比重0.97)5%、重油(比重1.043)10%、軟ピッチ64.60%である。重油の200〜220℃の留分(比重1.03〜1.09)をクレオソート油と言い、グアヤコール、クレオソートを主成分とし、木材防腐剤及びグアヤコールの製造原料となる。
なお、原料タールを得るために用いられるバイオマス資源としては、木材、植物、紙等が挙げられる。これらバイオマス資源の中でも、木材は、炭化した際に得られる木タールの生成量が多いため好ましく用いられる。木材としては種々のものを用いることができる。例えば、針葉樹を原料とした場合には、精油・油状成分が比較的多く生成する。これに対して、広葉樹を原料とした場合には、沈底タールが多く、全乾木材重量に対して例えば9.2%の沈底タールが得られる。広葉樹の中でも、ハンノキからは、炭素原料としての木炭及び農業用の木酢液が製造され、副生物として木タールが多く発生する。
続いて、原料タールを精製し、精製タールを得る方法について説明する。木タールを精製する方法としては、溶媒を用いて不純物を抽出する方法が挙げられる。具体的には、木タールにTHF(テトラヒドロフラン)を加え、よく撹拌する。そして、良く撹拌された木タールのTHF溶液を濾紙を用いて吸引濾過し、不溶物を除去する。続いて、濾液をロータリー・エバポレーターに送り、アスピレータ及びそれに続いて真空ポンプを用いてTHF及び水分等の低沸点溶液を回収して、タールを濃縮する。以上の工程を経て原料タールから精製タールを得ることができる。
精製タールは、木材中のセルロースやリグニンが熱分解して低分子量化したものである。メタノール、水、酢酸など低沸点成分が除去された結果、炭素元素の分析値が幾分上昇している。
原料として用いる精製タールの性状としては、粘度が5〜50Pa・sであることが好ましく、10〜30Pa・sであることが特に好ましい。粘度が10Pa・s以下の場合には炭素電極を成形する際の成形性が低下する場合がある。また、粘度が10Pa・s以上の場合には、炭素電極を成形する際の成形性が低下する場合がある。
次に、精製タールのピッチ化について説明する。精製タールのピッチ化は、精製タールを減圧雰囲気下で加熱することにより行なう。この工程により精製タール中に含まれる低沸点の液体成分が除去され、光沢をもつタールピッチが得られる。なお、低沸点の液体成分は、水分及び低沸点カルボン酸を主成分とするもので、減圧下で加熱されることで精製タールから除去される。
ピッチ化の圧力は、267Pa〜1330Paであることが好ましい。また、ピッチ化の温度は、100℃〜220℃であることが好ましい。ピッチ化の温度が100℃より低い場合にはピッチ化が十分に進行しないため、得られたタールピッチに低沸点の液体成分が残留してしまう。また、ピッチ化の温度が220℃より高い場合には、精製タールが炭化されてしまうため、フィルム状に成形可能なタールピッチが得られない。
また、ピッチ化の温度までの昇温速度としては1〜3℃/min程度が好ましい。1℃/minより小さい場合には、ピッチ化の工程に時間がかかり効率が悪くなる。また、3℃/minより大きい場合には、精製タールに急激な熱変化が与えられるためフィルム状に成形可能なタールピッチが得られない場合がある。
さらに、ピッチ化の時間としては、ピッチ化の圧力及び温度に応じて適宜設定することができ、ピッチ化の圧力が1100Pa、温度が200℃場合には、加熱時間は30min程度であることが好ましい。加熱時間が短い場合にはピッチ化が十分に進行しないため、得られたタールピッチに低沸点の液体成分が残留してしまう。一方、加熱時間が長い場合には、精製タールが炭化されてしまう場合がある。
また、精製タールのピッチ化には、例えばステンレス製オートクレーブのような、耐圧、耐熱性に優れたステンレス製容器を用いることが好ましい。ステンレス製容器としては、耐圧400Pa、耐熱300℃程度のものを用いる。そして、ステンレス容器の外壁にヒータを設け、容器の内部を加熱できるようする。そして、ステンレス製容器には、ピッチ化に伴って流出する低沸点の液体成分を回収するための液体窒素トラップ、容器内圧力を測定するための圧力計、容器内温度を測定するための熱電対、容器内部をパージするための窒素導入孔、容器内部を減圧雰囲気とする真空ポンプを備える。
次に、ピッチ化して得られたタールピッチを粉末化してピッチ粉末とする。具体的には、タールピッチを粉砕機等を用いて粉砕してピッチ粉末を得る。ピッチ粉末の粒径としては、通常20〜50μm程度で、25〜35μmが特に好ましい。
続いて、得られたピッチ粉末を炭素化して炭素化粉末を得る工程について説明する。ピッチ粉末の炭素化の方法としては、電気炉等を用いて不活性ガス雰囲気下で熱処理する方法が挙げられる。熱処理による炭素化において、平均昇温速度は通常0.1〜5℃/min、好ましくは0.5℃〜1℃/minであり、熱処理の温度としては、500〜1500℃が好ましく、600〜900℃が特に好ましい。熱処理を行なうことでピッチ粉末中には精製工程やピッチ化工程において除去できなかった揮発成分が除去される。また、本発明の炭素電極は、原料として木タールを用いているため、上記のような低い温度で熱処理した場合にも電気伝導性を示す。
そして、得られた炭素化粉末は炭素粉末としてそのまま炭素電極の原料に用いることができる。炭素粉末から炭素電極を製造する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。まず、バインダーを含む溶液に炭素粉末を混合して、炭素粉末を分散させた溶液を作成する。バインダーとしては、一般的にはセルロース誘導体、ポリアクリルアミド類、ポリビニルアルコール、多糖類等の種々の物質が用いられるが、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等が特に好ましく用いられる。また、炭素粉末を分散させた溶液は、その固形分中の炭素粉末の割合が80〜98wt%であることが好ましく、85〜95wt%であることが特に好ましい。そして、金属箔などの基材上に上記溶液を塗布、乾燥することで炭素電極が得られる。得られた炭素電極はリチウムイオン二次電池用負極に好ましく用いられる。
なお、溶液中の固形分の割合が大きい場合には炭素粉末を金属箔等に塗布、乾燥する方法以外にも、炭素粉末を分散させた溶液を乾燥、圧縮成形することで炭素電極を得ることができる。圧縮成形の方法に応じて、フィルム状、円柱状等の種々の形状に成形することが可能である。
また、炭素電極を製造する方法としては、他にも以下の方法が挙げられる。まず、得られた炭素粉末にバインダー等を加えて加熱混練する。続いて、得られた混合物を押出成形や型込め成形等により成形し、その後焼成を行う。なお、焼成の工程においては、揮発成分が蒸発し空孔が形成されるので、空孔を充填するためにタールピッチ等を含浸させ、再度焼成することが好ましい。そして、ピッチ等の含浸及び再焼成の工程を繰り返し行うことで電気伝導性、摩耗性、耐食性等を向上させることができる。なお、この炭素電極の製造方法を用いた場合には、炭素電極の原料として、炭素粉末ではなくピッチ粉末を用いることも可能である。
本発明の炭素電極によれば、縮合した芳香環構造の少ない木タールピッチから、黒鉛構造が面方向に発達し高い電気伝導性を有する炭素電極が得られる。得られた活性炭素電極の用途としては、高性能二次電池の電極やキャパシタ、水質浄化分野などが考えられる。
続いて、本発明の炭素電極及びその製造方法に係る実施の形態(2)について説明する。
実施の形態(2)に係る炭素電極は、実施の形態(1)と同様に測定した粉末X線回折パターンにおいて、2θ=26°付近に(002)面の回折ピーク、2θ=44°に(10)面の回折ピークが現れていることを特徴とする。なお、本発明の炭素電極は、元素分析値でC:95mol%以上含む。2θ=26°付近に現れる(002)面は、炭素電極の結晶構造が層方向に積み重なっていることを表すものと推察される。また、2θ=44°付近に現れる(10)面は、炭素電極の結晶構造が面方向に拡がっていることを表すものと推察され、これにより低い結晶化度であっても高い電気伝導性を有するものと考えられる。
そして、2θ=26°付近に現れる回折線の回折強度I(26°)と2θ=44°付近に現れる回折線の回折強度I(44°)との回折強度比I(44°)/I(26°)は、0.3〜0.5である。このことは実施の形態(2)に係る炭素電極の黒鉛構造が面方向への拡がりを有しているいることを示し、これにより高い電気伝導性を有するものと推察される。
そして、実施の形態(1)と比較して、2θ=26°付近と2θ=44°付近の各回折ピークの回折強度が3〜5倍と強く、結晶化が進んでいる。以上のような炭素電極は、実施の形態(1)に係る炭素電極と比較して高い電気伝導性を有する。
以上のような炭素電極は例えば次に示すような製造方法によって製造することができる。
実施の形態(2)における炭素電極の製造方法は、実施の形態(1)に係る炭素電極の製造方法において、ピッチ粉末に対して炭素化の工程に続いて黒鉛化の処理を行なうことを特徴とする。
ピッチ粉末の黒鉛化の方法としては、電気炉等を用いて不活性ガス雰囲気下で熱処理する方法が挙げられる。黒鉛化処理において、平均昇温速度は通常0.1〜5℃/min、好ましくは0.5℃〜1℃/minであり、熱処理の温度は1800〜3500℃が好ましい。
実施の形態(2)に係る炭素電極及びその製造方法によれば、さらに結晶性が高く、高い電気伝導性を有する炭素電極が得られる。
以下に実施例を挙げ本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
以下に実施例を挙げ本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、広葉樹(組成;C:49.0wt%、H:6.1wt%、N:0.1wt%)から木炭を製造する際に生成した木タールを精製し、精製タールを得る。具体的には、木タール1kgにTHF(テトラヒドロフラン)を3L加えて撹拌し、得られた木タールのTHF溶液を濾紙を用いて吸引濾過し、不溶物として茶色の沈殿タール(80g)を分離した。また、得られた濾液をロータリー・エバポレーターに導入し、濾液中に含まれるTHF、水分等の揮発成分をアスピレータ(水流ポンプ)及びそれに続いて真空ポンプを用いて系外に除去した。その結果、黒色粘ちょうな精製タール(450g)が得られた。なお、得られた精製タールの組成は、C:55.9wt%、H:6.4wt%、N:1.5wt%であった。精製タールは、木材中のセルロースやリグニンが熱分解して低分子量化したものである。水、メタノール、酢酸など揮発成分が除去された結果、炭素元素の分析値が幾分上昇している。
続いて、得られた精製タール(100g)をオートクレーブに計り入れ、窒素置換を行った後、真空ポンプで約5mmHgまで減圧した。そして、オートクレーブを5〜8mmHgの真空条件下,1.5℃/minの昇温速度で200℃まで昇温した後、200℃で30分間加熱を続け、揮発性の液体成分を留去して精製タールのピッチ化を行い、木タールピッチを得た。その結果、昇温の過程では、約180℃から茶褐色の液体成分が留出し始め、200℃で30分間加熱を続けると液体成分の留出が止まった。液体成分の留出が止まった後に、オートクレーブを降温した。オートクレーブの冷却後、木タールピッチを取り出した。得られた木タールピッチは光沢があり、その外観は石炭から得られるピッチとよく似ており、その収量は、63g(63%)であった。他には、揮発性の水分及びカルボン酸を主成分とする液体成分28g(28%)が得られ、残りの9%は気体成分と考えられる。
なお、使用したオートクレーブは、内容量500mLのステンレス製容器(耐熱300℃、耐圧400気圧)に、蓋をねじで固定し、外壁にヒーターを巻き付けたものである。そして、このオートクレーブには、留出した液体成分を回収するため、液体窒素トラップが設けられ、更に、圧力計、熱電対、窒素導入孔、真空ポンプを備えている。
次に、得られた木タールピッチを微細に粉砕した後に、管状電気炉に導入して、1℃/minの昇温速度で2000℃まで昇温し、2000℃で1時間ピッチ粉末の熱処理を行ない黒鉛化粉末を得た。得られた黒鉛化粉末は炭素電極の原料である炭素材料として用いる。
続いて、炭素粉末を用いて以下のように炭素電極を作成した。まず、バインダーとして用いるポリビニリデンフルオライド(PVDF)を溶媒であるN−メチルピロリドンに溶解し、濃度が12wt%であるバインダー溶液を得た。次に、このバインダー溶液に上記で得られた炭素粉末を、炭素粉末とPVDFの重量比が90/10となるように加え室温で分散させた。そして、この液体を基材であるポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルム上に塗布・乾燥することでフィルム状の炭素電極を得た。
そして、得られた炭素電極を粉末状にしてXRD(X-ray Diffraction)を用いて、粉末X線回折パターン(線源:Cu−Kα)を測定した。また、得られた炭素電極の体積抵抗率を市販の体積抵抗値測定装置(ロレスターEP)を用いて四端子法により測定した。
(実施例2)
ピッチ粉末の熱処理温度を800℃とした以外は、(実施例1)と同様に行なった。
(比較例1)
ピッチ粉末の代わりに市販の熱処理済のブラックカーボンを用いた以外は、(実施例1)と同様に行なった。
図1及び2は、(実施例1)及び(実施例2)で得られた本発明の炭素電極を測定した粉末X線回折パターンを表す図である。図1、2に示すように、(実施例1)及び(実施例2)で得られた炭素電極は、θ=26°付近に(002)面の回折ピーク、2θ=44°に(10)面の回折ピークを有することが明らかである。そして、2θ=26°付近に現れる回折線の回折強度I(26°)と2θ=44°付近に現れる回折線の回折強度I(44°)との回折強度比I(44°)/I(26°)は、各々約0.3、約0.2であった。
また、(実施例1)で得られたフィルム状の炭素電極は、(実施例2)で得られたフィルム状の炭素電極と比較して、2θ=26°付近と2θ=44°付近の各回折ピークの回折強度が約5倍であり、結晶化が進んでいることがわかる。
表1は、(実施例1)、(実施例2)及び(比較例1)で得られたフィルム状の炭素電極の体積抵抗率を示すものである。表1から明らかなように、(実施例1)で得られたフィルム状の炭素電極は、(比較例1)で得られたフィルム状の炭素電極と比較して、焼成温度が1000℃低いにも関わらず高い電気伝導性を示し本発明の優位性は明らかです。また、(実施例1)で得られたフィルム状の炭素電極は、(実施例2)で得られたフィルムと比較して高い電気伝導性を示すことが分かる。
Figure 2006236942
実施の形態(1)に係る炭素電極に含有された炭素粉末のX線回折パターンを示す図である。 実施の形態(2)に係る炭素電極に含有された炭素粉末のX線回折パターンを示す図である。

Claims (6)

  1. 木タールを原料とし、線源にCuKαを用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=26°付近と2θ=44°付近に回折線を有する炭素粉末を含有する炭素電極。
  2. 請求項1記載の炭素電極において、2θ=26°付近に現れる回折線の回折強度I(26°)と2θ=44°付近に現れる回折線の回折強度I(44°)との回折強度比I(44°)/I(26°)が、0.2〜0.5であることを特徴とする炭素電極。
  3. 請求項1又は2記載の炭素電極の製造方法であって、精製された木タールを減圧雰囲気下で加熱して木タールピッチを得るピッチ化工程と、得られたピッチを粉末化してピッチ粉末を得る粉末化工程と、前記ピッチ粉末を熱処理して炭素粉末を得る熱処理工程と、前記炭素粉末を分散させた溶液を基材上に塗布、乾燥することでフィルム状の炭素電極を得るフィルム化工程を有する炭素電極の製造方法。
  4. 請求項3記載の炭素電極の製造方法において、炭素粉末が不活性ガス雰囲気中で500〜1500℃で熱処理されて得られた炭素化粉末であることを特徴とする炭素電極の製造方法。
  5. 請求項3記載の炭素電極の製造方法において、炭素粉末が不活性ガス雰囲気中で1800〜3000℃で熱処理されて得られた黒鉛化粉末であることを特徴とする炭素電極の製造方法。
  6. 請求項3〜5のいずれか記載の炭素電極の製造方法において、精製タールの粘度が10〜30Pa・sであることを特徴とする炭素電極の製造方法。
JP2005053802A 2005-02-28 2005-02-28 炭素電極、及びその製造方法 Pending JP2006236942A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005053802A JP2006236942A (ja) 2005-02-28 2005-02-28 炭素電極、及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005053802A JP2006236942A (ja) 2005-02-28 2005-02-28 炭素電極、及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006236942A true JP2006236942A (ja) 2006-09-07

Family

ID=37044337

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005053802A Pending JP2006236942A (ja) 2005-02-28 2005-02-28 炭素電極、及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006236942A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009024071A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 Mitsubishi Chemicals Corp カーボンブラック及びその製造方法
WO2010084709A1 (ja) * 2009-01-21 2010-07-29 株式会社クレハ 非水電解質二次電池用負極材料の製造方法
JP2011171035A (ja) * 2010-02-17 2011-09-01 Furukawa Battery Co Ltd:The 鉛蓄電池用負極板及び鉛蓄電池
JP2012207233A (ja) * 2012-07-31 2012-10-25 Mitsubishi Chemicals Corp カーボンブラック
US20140287306A1 (en) * 2012-08-09 2014-09-25 Sony Corporation Electrode material, method for manufacturing electrode material, and secondary battery
CN106025195B (zh) * 2016-05-12 2018-06-26 陕西科技大学 一种含有多级孔径分布的钠离子电池负极碳材料的制备方法
JP2018516831A (ja) * 2015-04-13 2018-06-28 カーティン ユニバーシティ 固体炭素材料の生成方法およびシステム
CN108598476A (zh) * 2018-03-11 2018-09-28 贵州格瑞特新材料有限公司 一种锂离子电池负极用高首效球形硬碳材料及其制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06168716A (ja) * 1984-05-07 1994-06-14 Sanyo Chem Ind Ltd 二次電池の製造方法
JP2002344194A (ja) * 2001-05-17 2002-11-29 Japan Science & Technology Corp 電磁波シールド材料及びその製法
JP2004169212A (ja) * 2002-11-19 2004-06-17 Kitami Institute Of Technology 炭素繊維の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06168716A (ja) * 1984-05-07 1994-06-14 Sanyo Chem Ind Ltd 二次電池の製造方法
JP2002344194A (ja) * 2001-05-17 2002-11-29 Japan Science & Technology Corp 電磁波シールド材料及びその製法
JP2004169212A (ja) * 2002-11-19 2004-06-17 Kitami Institute Of Technology 炭素繊維の製造方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009024071A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 Mitsubishi Chemicals Corp カーボンブラック及びその製造方法
US8945445B2 (en) 2009-01-21 2015-02-03 Kureha Corporation Method of producing anode material for non-aqueous electrolyte secondary battery
WO2010084709A1 (ja) * 2009-01-21 2010-07-29 株式会社クレハ 非水電解質二次電池用負極材料の製造方法
JP5566914B2 (ja) * 2009-01-21 2014-08-06 株式会社クレハ 非水電解質二次電池用負極材料の製造方法
JP2011171035A (ja) * 2010-02-17 2011-09-01 Furukawa Battery Co Ltd:The 鉛蓄電池用負極板及び鉛蓄電池
JP2012207233A (ja) * 2012-07-31 2012-10-25 Mitsubishi Chemicals Corp カーボンブラック
US20140287306A1 (en) * 2012-08-09 2014-09-25 Sony Corporation Electrode material, method for manufacturing electrode material, and secondary battery
RU2643194C2 (ru) * 2012-08-09 2018-02-01 МУРАТА МЭНЬЮФЭКЧЕРИНГ Ко., Лтд Электродный материал, способ изготовления электродного материала и аккумулятор
JP2018516831A (ja) * 2015-04-13 2018-06-28 カーティン ユニバーシティ 固体炭素材料の生成方法およびシステム
JP2020079193A (ja) * 2015-04-13 2020-05-28 カーティン ユニバーシティ 固体炭素材料の生成方法およびシステム
CN106025195B (zh) * 2016-05-12 2018-06-26 陕西科技大学 一种含有多级孔径分布的钠离子电池负极碳材料的制备方法
CN108598476A (zh) * 2018-03-11 2018-09-28 贵州格瑞特新材料有限公司 一种锂离子电池负极用高首效球形硬碳材料及其制备方法
CN108598476B (zh) * 2018-03-11 2023-04-11 贵州中科星城石墨有限公司 一种锂离子电池负极用高首效球形硬碳材料及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006236942A (ja) 炭素電極、及びその製造方法
Safian et al. A review on bio-based graphene derived from biomass wastes
Wu et al. Lignin‐derived electrochemical energy materials and systems
Bourke et al. Do all carbonized charcoals have the same chemical structure? 2. A model of the chemical structure of carbonized charcoal
Tsai et al. Mesoporous activated carbon produced from coconut shell using a single-step physical activation process
JP2019108269A (ja) 高活性表面積を有する活性炭
CA2652557A1 (en) Method of preparing carbonaceous anode materials and using same
CN111018554A (zh) 一种利用石墨烯制备超高功率石墨电极的方法
Kim et al. Improving the mechanical strength of carbon–carbon composites by oxidative stabilization
JP4667215B2 (ja) 電気二重層キャパシタ用炭素材と製造方法
Asif et al. Graphene-like carbon structure synthesis from biomass pyrolysis: A critical review on feedstock–process–properties relationship
Plavniece et al. Effect of the pretreatment on the porosity of the hybrid activated carbons prepared from wood-based solid and liquid precursors
KR101908966B1 (ko) Cog 공정에서 발생하는 콜타르를 이용한 다공성 탄소소재 제조방법
Wable et al. CO2 Laser Direct-Write Process for Micro-Gradient-Patterned Carbon Composed of Graphene-like and Disordered Carbon Forms for a Robust Anode-Free Li–Metal Battery
KR101835715B1 (ko) 콜타르 기반 다공성 탄소소재 제조방법
JP4006516B2 (ja) 炭素繊維の製造方法
JP5246729B2 (ja) カーボン・フェノール樹脂複合材料の製造方法、カーボン・フェノール樹脂複合材料、カーボン・フェノール樹脂複合炭化材料、燃料電池用セパレータ、導電性樹脂組成物、二次電池用電極、電気二重層キャパシター
JP2004285130A (ja) 含浸ピッチの製造方法
KR101977572B1 (ko) 탄소재료 전구체 용 피치 및 이의 제조방법
JP2006233395A (ja) 炭素繊維及びその製造方法
Kien et al. Study on sintering process of woodceramics from the cashew nutshell waste
JP2011001232A (ja) 活性炭の製造方法および該製造方法により得られた活性炭を用いた電気二重層キャパシタ
KR20190064549A (ko) 메조카본 마이크로비드의 개질을 이용한 바인더리스 탄소블록의 제조 방법
KR102396077B1 (ko) 다공성 탄소 구조체의 제조 방법 및 이에 따라 제조된 다공성 탄소 구조체
Saputra et al. Synthesis and property of porous material for sustainable resources-based biosensor: A review

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080208

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080306

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080306

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110301

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110913