JP2006236557A - 光メディア用樹脂組成物および光ディスク基板ならびに光ディスク - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性、耐熱性、剛性などの機械的特性を備え、溶融流動性、転写性などの成形加工性、耐薬品性や成形品の複屈折率も改善された光メディア用樹脂組成物、さらには光ディスク基板および光ディスクとを提供する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に流動性向上剤(B)が配合された樹脂組成物であって、前記流動性向上剤(B)が、芳香族ビニル単量体(b1)0.5〜99.5質量%、下記式で表される単量体(b2)0.5〜99.5質量%、および他の単量体(b3)0〜40質量%からなる単量体混合物[ただし、単量体(b1)〜(b3)の合計は100質量%である。]を重合して得られる重合体である光メディア用樹脂組成物。なお、式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは置換基を有していてもよいフェニル基である。
[化1]
Figure 2006236557

【選択図】なし

Description

本発明は、光ディスク基板の形成に好適な光メディア用樹脂組成物および光ディスク基板ならびに光ディスクに関する。
情報伝達媒体・記録媒体を中心に、光メディア分野の市場は急激に成長している。情報伝達媒体・記録媒体であるCD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、MOなどの光ディスクは、記録層に入射された光の反射強度の変化を情報として記録や再生を行うものである。
このような光ディスクの基板(光ディスク基板)は、透明性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性などの特徴に優れることから、通常、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が原材料として使用され、これを射出成形法などで溶融成形することにより形成されている。
しかしながら、従来使用されている芳香族ポリカーボネート樹脂では、近年、急激に進行している高記録密度化に対応可能な光ディスク基板の形成が困難になってきている。
すなわち、高記録密度化の手法としては、ピックアップレンズの開口数を上げる一方で、光ディスク基板に形成されるグルーブやピットのピッチを狭めて、トラック方向の記録密度を高める方法がある。具体的には、CDからDVDへの高記録密度化にあっては、グルーブピッチを1.6μmから0.74μmへと狭めることにより、トラック方向の記録密度を約2倍に高めており、さらに、DVRでは、そのグルーブピッチは0.7μm以下になると言われている。このようなグルーブやピットは、スタンパーからの転写により光ディスク基板に形成されるが、最近の高速サイクル化された成形工程において、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂を用いてこれらを転写、形成することは非常に困難であり、満足できるレベルの成形加工性、特に転写精度などの転写性は得られにくい。
このような事情から、芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融流動性を高め、転写性などの成形加工性を高める技術が求められている。また、その際には、芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する透明性、耐熱性、剛性などの機械的特性などの優れた特徴を損なわないことも求められる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の優れた特徴を損なうことなく溶融流動性を向上させる技術としては、芳香族ポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物において、マトリクス樹脂である芳香族ポリカーボネート自体を低分子量化する方法がある。
また、スチレンポリマーとのアロイ化による流動性改良(例えば特許文献1参照。)、特定のジヒドロキシジフェニルアルカンとジフェノールからなる新規な芳香族ポリカーボネート樹脂による流動性改良(例えば特許文献2参照)、さらに芳香族ポリカーボネート樹脂にビフェニル化合物またはターフェニル化合物を0.01〜40質量部配合する技術(特許文献3参照。)なども提案されている。
特開2002−241623号公報 特開2003−128906号公報 特開2000−239513号公報
しかしながら、マトリクス樹脂である芳香族ポリカーボネート樹脂自体を低分子量化する方法では、溶融流動性が増し転写性も向上するものの、低分子量化により芳香族ポリカーボネート樹脂の耐熱性や耐薬品性を損なう傾向がある。また、このような方法では耐衝撃性が著しく低下する。よって、芳香族ポリカーボネート樹脂の優れた特徴を維持したままでの転写性の向上には限界がある。また、特許文献1に記載の技術では、溶融流動性は幾分改善されるが、DVDなどのより高密度な光ディスク用の基板を成形する場合の転写精度改善という点では不十分であり、透明性にも問題があった。さらに特許文献2や特許文献3に記載の技術では、転写性は幾分改善されるものの、耐熱性が低下してしまうという問題があった。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂は、ベンゼン環の光学異方性が大きく、得られる成形品の複屈折率が大きいという欠点や、耐薬品性が低いという欠点も有している。耐薬品性が低いと、芳香族ポリカーボネート樹脂からなる光ディスク基板に記録膜形成用の液体を塗布した際に、密着性向上目的のためにこの液体に含まれるモノマー成分により、光ディスク基板に「しみ」などの光学異常が生じることがある。このような「しみ」は目に見えないレベルであってもレーザーを曲げてトラッキングサーボを外すことがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する透明性、耐熱性、剛性などの機械的特性に代表される優れた特徴を維持しつつ、溶融流動性が改善され転写性などの成形加工性も良好で、さらに、耐薬品性や成形品の複屈折率も改善された光メディア用樹脂組成物と、この組成物から形成された光ディスク基板および光ディスクとを提供することを課題とする。
即ち本発明の光メディア用樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に流動性向上剤(B)が配合された樹脂組成物であって、前記流動性向上剤(B)が、芳香族ビニル単量体(b1)0.5〜99.5質量%、下記式(1)で表される単量体(b2)0.5〜99.5質量%、および他の単量体(b3)0〜40質量%からなる単量体混合物[ただし、単量体(b1)〜(b3)の合計は100質量%である。]を重合して得られる重合体であることを特徴とする。
Figure 2006236557
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは置換基を有していてもよいフェニル基である。)
本発明の光ディスク基板は、前記光メディア用樹脂組成物からなることを特徴とする。
本発明の光ディスクは、前記光ディスク基板を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する透明性、耐熱性、剛性などの機械的特性に代表される優れた特徴を維持しつつ、溶融流動性が向上して転写性などの成形加工性も良好で、さらに、耐薬品性や成形品の複屈折率の改善がされた光メディア用樹脂組成物と、この組成物から形成された光ディスク基板および光ディスクとを提供することができる。
本発明の光メディア用樹脂組成物(以下、樹脂組成物という。)は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に流動性向上剤(B)が配合されたものであり、本発明の光ディスク基板は、このような樹脂組成物からなるものである。以下、本発明について詳細に説明する。
[芳香族ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明の樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)を含有する。
ここで使用される芳香族ポリカーボネート樹脂(A)としては特に制限はなく、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)系ポリカーボネートなどに代表される4,4’−ジオキシジアリールアルカン系ポリカーボネートなどが例示できる。
このような芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、公知の各種方法で製造でき、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン系ポリカーボネートを製造する場合には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを原料として用い、アルカリ水溶液および溶剤の存在下にホスゲンを吹き込んで反応させる方法や、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと炭酸ジエステルとを、触媒の存在下にエステル交換させる方法が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は所望に応じて適宜決定すればよく、特に制限はないが、光ディスク基板の成形加工性の点からは、粘度平均分子量が好ましくは10000〜30000、より好ましくは12000〜20000の範囲である。
[流動性向上剤(B)]
流動性向上剤(B)は、芳香族ビニル単量体(b1)0.5〜99.5質量%、下記式(1)で表される単量体(b2)0.5〜99.5質量%、および他の単量体(b3)0〜40質量%からなる単量体混合物[ただし、単量体(b1)〜(b3)の合計は100質量%である。]を重合して得られる重合体からなり、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に配合されるものである。
Figure 2006236557
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは置換基を有していてもよいフェニル基である。)
この流動性向上剤(B)は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に対して、溶融混練時には相分離挙動を示して著しい溶融流動性改質効果を発現する一方で、その後芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とともに光ディスク基板などに成形された場合には、その使用温度領域において良好な相溶性(親和性)を示し、剥離が認められない。そのため、このような流動性向上剤(B)によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の有する優れた特徴、すなわち透明性、耐熱性、剛性などの機械的特性、寸法安定性などを損なうことなく、その溶融流動性を従来にない高いレベルにまで向上させることができる。また、このような流動性向上剤(B)によれば、溶融流動性に加えて、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の耐薬品性(耐溶剤性)も改良できるため、樹脂組成物から形成された光ディスク基板に記録膜形成用の液体を塗布した際などに、密着性向上目的のためにこの液体に含まれるモノマー成分による「しみ」などの光学異常を抑制でき、このような光学異常に起因した不都合を回避できる。さらに、このような流動性向上剤(B)によれば、光ディスク基板などの成形品にした際の複屈折率も改善できる。
流動性向上剤(B)は、重合前の単量体混合物中の各単量体の混合比(質量%)と、重合後の重合体中の各単量体構成単位の含有量(質量%)とが一致していることが好ましい。このような重合体を得るには、単量体混合物の重合率を90質量%以上とすることが好ましい。より好ましい重合率は95質量%以上であり、さらに好ましくは97質量%以上である。重合率が90質量%以上であれば、重合前の単量体混合物中の各単量体の混合比(質量%)と重合後の重合体中における各単量体構成単位の含有量(質量%)はほぼ一致する。重合率が90質量%未満である場合には、単量体混合物中の各単量体の混合比(質量%)と重合後の重合体中に含まれる単量体構成単位の含有量(質量%)が異なる可能性がある。また、得られた重合体を回収する際に未反応の単量体を精製する必要が生じることからも好ましくない。
芳香族ビニル単量体(b1)は、流動性向上剤(B)に対して、溶融流動性改質効果と耐薬品性改良効果とを主に付与するための必須成分である。
芳香族ビニル単量体(b1)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられ、これらを1種単独で使用しても2種以上を併用してもよいが、これらの中では、溶融流動性改質効果や耐薬品性改良効果などがより高いことから、スチレン、α−メチルスチレンを使用することが好ましく、より好ましくはスチレンである。
上記式(1)で表される単量体(以下、(メタ)アクリル酸エステル単量体ともいう。
)(b2)は、流動性向上剤(B)に対して、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との優れた相溶性と、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)からの耐剥離性とを主に付与するとともに、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に対して複屈折率改善効果を付与する必須成分である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)の具体例としては、フェニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、 モノクロルフェニル(メタ)アクリレート、ジクロルフェニル(メタ)アクリレート、トリクロルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを1種単独で使用しても2種以上を併用してもよいが、これらの中では、より優れた相溶性、耐剥離性などを付与できることから、フェニルメタクリレートが特に好ましい。
単量体混合物中における芳香族ビニル単量体(b1)の含有量は0.5〜99.5質量%である。芳香族ビニル単量体(b1)の含有量が99.5質量%を超えると、流動性向上剤(B)の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性が不十分となることに起因して耐剥離性が低下し、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に流動性向上剤(B)を配合した樹脂組成物から光ディスク基板などの成形品を製造した場合、層状剥離を引き起こし、成形品の剛性等の機械的特性を損なう可能性がある。また、複屈折率改善効果も不十分となる場合がある。一方、芳香族ビニル単量体(b1)の含有量が0.5質量%未満では、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性が過度となり、溶融混練時に十分な相分離挙動を示さず、溶融流動性改質効果が低下する傾向があるとともに、耐薬品性改良効果も不十分となる可能性がある。よって、これらのバランスから、芳香族ビニル単量体(b1)の含有量の上限は99.5質量%であり、より好ましくは95質量%、さらに好ましくは90質量%である。下限は0.5質量%であり、10質量%が次いで好ましく、より好ましくは20質量%、さらに好ましくは50質量%、最も好ましくは70質量%である。
また、単量体混合物中における(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)の含有量は0.5〜99.5質量%である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)の含有量が99.5質量%を超えると、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性が過度となり、溶融混練時に十分な相分離挙動を示さず、溶融流動性改質効果が低下する傾向があるとともに、耐薬品性改良効果も不十分となる可能性がある。一方、0.5質量%未満では、流動性向上剤(B)の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性が不十分となることに起因して耐剥離性が低下し、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に流動性向上剤(B)を配合した樹脂組成物から光ディスク基板などの成形品を製造した場合、層状剥離を引き起こし、成形品の剛性等の機械的特性を損なう可能性がある。また、複屈折率改善効果も不十分となる場合がある。よって、これらのバランスから、(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)の含有量の上限は99.5質量%であり、90質量%が次いで好ましく、より好ましくは80質量%、さらに好ましくは50質量%、最も好ましくは30質量%である。下限は0.5質量%であり、より好ましくは5質量%、さらに好ましくは10質量%である。
このように流動性向上剤(B)として使用される重合体は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性に優れ、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との混合物の透明性は良好であるが、特に、単量体混合物中における芳香族ビニル単量体(b1)と(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)の含有量が特定範囲である場合に、極めて高度な透明性をもたらす。この特定範囲は2つあり、芳香族ビニル単量体(b1)が0.5〜40質量%で(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)が60〜99.5質量%の場合と、芳香族ビニル単量体(b1)が60〜99.5質量%で(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)が0.5〜40質量%の場合である。
また、単量体混合物は、芳香族ビニル単量体(b1)および(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)と共重合可能な他の単量体(b3)を、40質量%以下の範囲で含んでもよい。
他の単量体(b3)はα,β−不飽和単量体であり、このようなものとしては特に制限はないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート、安息香酸ビニル、酢酸ビニル、無水マレイン酸等が挙げられ、これらを1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらの含有量は、単量体混合物中40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。これらの含有量が過度となると、流動性向上剤(B)の溶融流動性改質効果や耐薬品性改良効果などが低下する場合がある。
流動性向上剤(B)として使用される重合体の質量平均分子量は5000〜200000であることが好ましい。質量平均分子量が5000未満の場合、相対的に低分子量物が多くなるため、流動性向上剤(B)を配合した樹脂組成物の耐熱性や剛性等の種々の機能を低下させる可能性がある。また、樹脂組成物の溶融成形時に、発煙、ミスト、機械汚れなどが生じる場合や、得られた光ディスク基板などの成形品にフィッシュアイやシルバー等の外観不良が認められる場合がある。また、質量平均分子量が200000を超えると、重合体自体の溶融粘度が高くなり、十分な溶融流動性改質効果が得られない可能性がある。
さらに、樹脂組成物に高温時の透明性(ヘイズの温度依存性)が良好であることが求められる場合には、質量平均分子量が高い方が好ましい傾向があり、好ましい質量平均分子量の下限は10000、より好ましくは15000、さらに好ましくは30000、最も好ましくは50000である。また、高い溶融流動性改質効果が必要な場合には、質量平均分子量が低い方が好ましい傾向があり、好ましい質量平均分子量の上限は150000、より好ましくは120000、さらに好ましくは100000以下、最も好ましくは80000である。
流動性向上剤(B)として使用される重合体を製造するための重合方法としては、公知の乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などが挙げられるが、回収方法が容易である点で懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、上述の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)および流動性向上剤(B)と、必要に応じて配合される任意成分とを混練することにより得られ、その優れた各種特性を生かして、光ディスク基板の他、導光板などの光メディアの形成に使用される。
任意成分としては、例えばトリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジフェニルハイドロジジェンフォスファイト、イルガノックス1076〔ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のような安定剤、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等のような耐候剤、帯電防止剤、離型剤、染顔料等が挙げられ、これらを樹脂組成物の透明性を損なわない範囲で添加できる。
混練方法としては、例えばヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単純スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、2本ロール、ニーダー、ブラベンダー等を使用した公知の方法が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と流動性向上剤(B)との配合割合は、所望の物性等に応じて適宜決定すればよく、特に制限はないが、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の優れた特徴を低下させることなく、溶融流動性改質効果や耐薬品性改良効果などを発現させるためには、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と流動性向上剤(B)の合計を100質量部とした場合に、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)80〜99.5質量部に対して、流動性向上剤(B)0.5〜20質量部の割合であることが好ましい。流動性向上剤(B)の配合割合が0.5質量部未満であると配合効果が十分には得られない可能性がある。一方、流動性向上剤(B)の配合割合が20質量部を超えると芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の優れた特徴のうち、特に機械的特性を損なう恐れがある。流動性向上剤(B)の割合の下限は好ましくは0.5質量部、次いで好ましくは1質量部、より好ましくは2質量部、さらに好ましくは3質量部である。また、割合の上限は好ましくは20質量部、次いで好ましくは15質量部、さらに好ましくは10質量部である。
さらに樹脂組成物は、ASTM D−648により1.82MPa荷重下で測定された荷重たわみ温度が105℃以上の耐熱性を有することが好ましい。さらに好ましくは110℃以上である。このような耐熱性を備えていると、特に光ディスク基板の形成に好適である。
[光ディスク基板および光ディスク]
次に本発明の光ディスク基板および光ディスクについて説明する。
本発明の光ディスク基板は、上述した樹脂組成物から、通常、公知の射出成形法(射出圧縮成形法を含む。)などの溶融成形により製造されるものであるが、特に、上述の樹脂組成物は高い溶融流動性を備え、転写性などの成形加工性に優れているため、本発明の光ディスク基板としては、スタンパーを使用した射出成形法により、その片面または両面にグルーブやピットが転写されるものに好適であり、通常の記録密度から高い記録密度まで幅広く対応可能である。
使用される射出成形機およびスタンパーとしては、一般的なものでよいが、射出成形機のシリンダーやスクリューには、樹脂組成物由来の炭化物の発生を抑制し、光ディスク基板の信頼性を高める観点から、樹脂組成物との付着性が低く、かつ耐食性、耐摩耗性を有する材料から構成されたものを使用することが好ましい。
また、成形工程の環境は、本発明の目的から考えて、可能な限りクリーンであることが好ましく、さらに、成形前には、樹脂組成物を十分乾燥して水分を除去することや、樹脂組成物が成形機内で滞留して、溶融分解しないように配慮することも重要となる。
本発明の光ディスクは、上述の樹脂組成物からなる光ディスク基板を備えているものであれば、その具体的な積層構成には制限はなく、光ディスク基板の片面あるいは両面に、反射膜、記録層、光透過層などが必要に応じて積層された形態が例示できる。
反射膜は、通常光ディスク基板に接して設けられ、例えば、Al、Tb、Fe、Co、Gd、SiN、ZnS−SiO、GeSbTe、ZnS、Auおよびアルミニウム合金等の金属薄膜からなる。これらの中ではAlが適している。反射膜の形成方法としては、スパッタリング、蒸着等の公知の方法が例示できる。
記録層は、記録形式および記録密度に対応して適宜選択され(例えばDVD−RAMの場合などは、相変化膜、染料膜、MOの場合には光磁気膜など)、具体的には、Te、Ge、GeTe、SbTe、SbSe、GeSbTe、GeSbTe、GeSb4Te、GeSbTe、GeSbTeSe、InSbTe、AgInSbTe、TeOx、InSeなどからなる薄層が挙げられる。
透明保護層としての機能を有する光透過層は、記録層の外側に形成され、具体的には、ポリカーボネートや非晶性ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂や、各種熱硬化性樹脂等からなる薄層が挙げられる。
本発明の光ディスクの好適な具体例としては、厚さ1.2mmの光ディスク基板に、記録層、光透過層が形成され、開口数NA=0.45のレンズで収束された赤色レーザーによりデータを読み取る形態のCD、厚さ0.6mmの光ディスク基板に、記録層、光透過層が形成され、さらにその上に同じ基板がもう一枚貼り合わされ、該基板を通して、開口数NA=0.6のレンズで収束された赤色レーザーによりデータを読み取る形態のDVD、厚さ1.2mmの光ディスク基板に、記録層、光透過層が形成され、開口数NA=0.85のレンズで収束された青色レーザーによりデータを読み取る形態のブルーレイディスクなどを例示できる。
以上説明したように、本発明の光ディスクは、芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する透明性、耐熱性、剛性などの機械的特性、寸法安定性などの優れた特徴を維持しつつ、溶融流動性も改善され転写性などの成形加工性が良好で、さらに、耐薬品性や成形品の複屈折率も改善された樹脂組成物からなる光ディスク基板を備えている。よって、オーディオ用のCD(直径12cmのディスク当り約650MBの記録密度)から高密度のディスクまで適用できる。例えば、最近では、再生専用においては容量4.7GBのDVD−ROM、記録再生可能なDVD−R、DVD−RW、DVD−RAMにおいても容量4.7GBが実現されつつある。また、MOにおいては5.25”サイズでは両面で5.2GB、3.5”では片面で1.3GBの光学情報記録媒体が上市されている。さらに、より高記録密度化を図るためにレンズのNA(開口数)を上げるとともに、光ディスク基板上に、順に、少なくとも反射膜および光透過層とが形成され、光透過層側から光が照射されて情報記号の記録や再生が行われるDVRなどの光ディスクにおいては、片面で20GBを超える記録容量を持つものも開発されているが、本発明の光ディスクは、これらのものにも十分に適用可能なものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の記載において、「部」および「%」は特に断らない限り「質量部」および「質量%」を意味する。
[流動性向上剤(芳香族ビニル系重合体)(B)の製造]
下記実施例、比較例中の「重合率」、「質量平均分子量(Mw)」は、特別に注釈のない限り、それぞれ下記の方法によって求めた。
<重合率>
得られた重合体の固形分の質量換算により算出した。
<質量平均分子量>
ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、標準ポリスチレンによる検量線から求めた(溶媒:クロロホルム)。
(製造例1:重合体(1))
冷却管および攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、アニオン系乳化剤(「ラテムルASK」、花王(株)製)(固形分28%)1.0部(固形分)、蒸留水290部を仕込み、窒素雰囲気下に水浴中で80℃まで加熱した。次いで、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部、ロンガリット0.3部を蒸留水5部に溶かして加え、その後スチレン87.5部、フェニルメタクリレート12.5部、t−ブチルヒドロパーオキサイド0.2部、n−オクチルメルカプタン0.5部の混合物を180分かけて滴下した。その後60分間攪拌し、重合を終了した。
次いで0.7%の割合で硫酸を溶解した水溶液300部を70℃に加温し攪拌した。この中に、得られた重合体エマルションを徐々に滴下して凝固を行った。析出物を分離洗浄後、75℃で24時間乾燥し、重合体(1)を得た。重合率は98%であった。
この重合体(1)の質量平均分子量(Mw)は52000であった。
(製造例2〜4:重合体(2)〜(4))
スチレン、フェニルメタクリレート、t−ブチルヒドロパーオキサイド、n−オクチルメルカプタンの量を表1に示すようにした以外は製造例1と同様にして、重合体(2)〜(4)を得た。各重合体の質量平均分子量(Mw)、重合率も表1に示す。
Figure 2006236557
表中、Stはスチレン、PhMAはフェニルメタクリレートを示す。
(実施例1〜5、比較例1〜2)
上述のようにして得られた重合体(1)〜(4)と、ポリカーボネート樹脂とを表2に示す割合(質量比)で混合したものを二軸押出機(機種名「TEM−35」、東芝機械製)に供給し、280℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。
各例で得られた樹脂組成物、またはこれを成形した成形品について、以下の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(性能評価方法)
(1)溶融流動性
得られた樹脂組成物のスパイラルフロー長さ(SFL)を、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)を用いて評価した。なお、成形温度は280℃、金型温度は80℃、射出圧力は98MPaとした。また、成形品の肉厚は2mm、幅は15mmとした。
(2)耐薬品性
得られた樹脂組成物から、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、15cm角の平板を作成した。ついで、これを切断し、厚さ2mm、3.5cm×15cmの成形品を得て試験片とした。この試験片を120℃で2時間アニール処理後、1/4楕円法溶剤試験(定歪試験)を行い、溶媒塗布後60分後のクラック発生位置を測定し、限界応力を計算した。測定条件は、試験温度:23℃、溶媒:トルエン/イソオクタン=1/1vol%とした。
(3)表層剥離性(耐剥離性)
上記(1)の条件で成形した成形品の突き出しピン跡にカッターで切り込みを入れ、剥理状態を目視観察した。表中の略号は以下の内容を示す。
○:剥離なく良好
×:表層剥離が見られる
(4)荷重たわみ温度(耐熱性)
得られた樹脂組成物を用い、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、肉厚1/4インチの成形品を成形した。
成形品の荷重たわみ温度をASTM D648に準拠して測定した。なお、アニールは行わず、荷重は1.82MPaとした。
(5)透明性
得られた樹脂組成物を用い、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、5cm角の平板の成形品を成形した。成形品の全光線透過率、ヘイズをASTM D1003に準拠して23℃で測定した。
(6)複屈折率の差の絶対値(ΔR)
得られた樹脂組成物を用い、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、15cm角の平板の成形品を成形した。成形品の中心から半径50mm部分における垂直入射複屈折率と、ディスク半径方向に対して垂直になるような斜め入射(30度)複屈折率の差の絶対値(ΔR)を測定した。帝人化成製の粘度平均分子量1.5万の芳香族ポリカーボネート樹脂である「パンライトAD−5503」を同様に成形してΔRを測定し(すなわち、比較例2のもの)、それと同等の値であるなら△、それ以下なら〇、それ以上であるなら×とした。
(7)転写性
(a)光ディスクを成形した際の評価
射出成形機(名機製作所 M35B−D−DM)と、キャビティ厚1.2mmt、直径120mmの金型およびグルーブ深さ43nm、グルーブピッチ0.6μmの溝が刻まれた22.5GBの容量を有するスタンパーとを用いて、シリンダー設定温度320℃、金型温度110℃、型締め力15トン、冷却時間15秒で、得られた樹脂組成物から光ディスク基板を成形した。
この光ディスク基板の半径25mm部分における溝部の深さを原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ SPI3700)にて測定した。流動性向上剤(B)が添加されていない比較例2のものと同等であれば△、それより小さければ×、それより大きければ〇とした。
(b)他の成形品を成形した際の評価
射出成形機(日精樹脂工業製 型番:M040D3H)と、片面に筋状の溝が多数平行に刻まれた厚さ0.4mm、縦52mm、横38mmの板状の金型を用いて、シリンダー設定温度320℃、金型温度100℃、射出圧196MPa、射出速度300mm/s、射出時間5秒、冷却時間20秒で、実施例2と比較例2の樹脂組成物を成形し、片面に溝が形成された平板の成形品を得た。なお、金型の筋状の溝は、溝の長手方向に対して垂直方向の断面が二等辺三角形になるように形成されたものであって、その二等辺三角形の底辺(溝のピッチに対応)は50μmで高さは11μmであった。
得られた成形品の溝の形状を比較すると、図1(実施例2)および図2(比較例2)から明らかなように、実施例2の樹脂組成物から形成された成形品では、金型の形状が良好に転写されたシャープな溝が形成されていた(転写性良好)が、比較例2の樹脂組成物から形成された成形品では、金型の形状が良好には転写されておらず、溝の形状がシャープではなかった(転写性不良)。
また、金型に樹脂組成物を充填した際、実施例2の樹脂組成物は、良好に流動して金型内に均一に行き渡ったが、比較例2の樹脂組成物は金型内の2/3程度の部分に偏在してしまい、金型全体に行き渡らず、充填が不完全であった。また、レーザー超深度測定器(VK−8500)にて、成形品の溝の深度を測定した結果、実施例2では11μm、比較例2では9.5μmであったことからも、実施例2の樹脂組成物は流動性向上剤の添加により転写率が向上していることが明確に示された。
(8)吸水性
射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、実施例2と比較例2から得られた樹脂組成物を成形して厚さ3mm、縦50mm、横50mmの平板の成形品を得た。
得られた成形品を23℃、湿度50%の環境下で一晩放置し、成形品の質量を計算した(A)。その後、成形品を純水に浸し、24時間経過後に取り出し、十分にふき取ったあと、成形品の質量を計算した(B)。そして、下記式により吸水率を算出したところ、実施例2および比較例2の吸水率はともに0.2%であり、実施例2の樹脂組成物は流動性向上剤が添加されているが、それにより吸水率は何ら影響を受けていないことが明確となった。
吸水率[%]=(B−A)/A×100
(9)そり
射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、実施例2と比較例2から得られた樹脂組成物を成形して厚さ2mm、縦100mm、横50mmの平板の成形品を得た。
得られた成形品を下記環境下(A)、(B)、(C)に順次保管し、各環境で保管した後のそりを測定した。結果を図3(実施例2)および4(比較例2)に示す。
なお、図中横軸は、成形品の縦の辺100mmに沿って設けた各測定地点であって、縦軸は、その各測定地点におけるそりの測定値である。
そりの測定値は、水平な載置台の上に成形品を置いた際において、水平な載置台から成形品の裏面(載置台に接している面)までの距離を三鷹光器製、非接触三次元測定装置NH−3MA(光学特性評価装置)にて測定することで得られた値である。
(A)成形後、23℃、湿度50%の環境下で1日(24h)保管。
(B)30℃、90%RHの恒温槽に1日(24h)保管。
(C)成形後、23℃、湿度50%の環境下で1日(24h)保管。
横軸xが0〜10mmかつ90〜100mmの測定地点は、成形品の端部近傍であるため、射出成形時に生じたバリにより、そりの測定値yが大きくなっている。よって、この範囲の測定地点での比較を避け、x=20mmの測定地点において、実施例2と比較例2のそりの測定値(y)を比較した。
その結果、(A)〜(C)のいずれの環境下で保持した後においても、比較例2ではy=10〜12μm、実施例2ではy=8〜10μmであり、両者には測定誤差の範囲内の差違しか認められなかった。よって、実施例2の樹脂組成物は流動性向上剤が添加されているが、それにより、そりの程度は何ら影響を受けていないことが明確となった。
Figure 2006236557
表中の略号は以下の通りである。
PC:芳香族ポリカーボネート樹脂(「パンライトAD−5503」、帝人化成製、粘度平均分子量1.5万)
表2から明らかなように、各実施例で得られた樹脂組成物およびその成形品は、耐熱性、透明性、耐剥離性を損なうことなく、溶融流動性および転写性、耐薬品性、複屈折率が非常に改善されていて、光ディスク基板などの光メディアの製造に必要な特性を備えていた。
一方、流動性向上剤(B)である重合体が、構成単位として(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)を含有しない比較例1のものは、相溶性が不十分なため耐剥離性が低く外観不良で、また、各実施例のものに比べて透明性が得られない、耐剥離性が不十分なことに起因して転写性に劣るなどの特性低下が認められた。また、複屈折率の点でも劣っていた。また、流動性向上剤(B)が配合されていない比較例2のものでは、各実施例のものに比べて溶融流動性が低く転写性も不十分であり、耐薬品性、複屈折率の点でも劣っていた。
本発明によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する透明性、耐熱性、剛性などの機械的特性に代表される優れた特徴を維持しつつ、溶融流動性が改善され転写性などの成形加工性も良好で、さらに、耐薬品性や成形品の複屈折率も改善された光メディア用樹脂組成物を提供できる。よって、高性能でCD、DVD、ブルーレイ光ディスクなどに好適な光ディスク基板を提供でき工業的に極めて有用である。
実施例2の樹脂組成物から得られた成形品の溝の様子を示す(a)電子顕微鏡写真と、(b)(a)の拡大写真である。 比較例2の樹脂組成物から得られた成形品の溝の様子を示す(a)電子顕微鏡写真と、(b)(a)の拡大写真である。 実施例2の樹脂成形品から得られた成形品のそりの測定結果であって、(a)環境(A)後の結果、(b)環境(A)→(B)後の結果、(c)環境(A)→(B)→(C)後の結果である。 比較例2の樹脂成形品から得られた成形品のそりの測定結果であって、(a)環境(A)後の結果、(b)環境(A)→(B)後の結果、(c)環境(A)→(B)→(C)後の結果である。

Claims (3)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に流動性向上剤(B)が配合された樹脂組成物であって、
    前記流動性向上剤(B)が、芳香族ビニル単量体(b1)0.5〜99.5質量%、下記式(1)で表される単量体(b2)0.5〜99.5質量%、および他の単量体(b3)0〜40質量%からなる単量体混合物[ただし、単量体(b1)〜(b3)の合計は100質量%である。]を重合して得られる重合体であることを特徴とする光メディア用樹脂組成物。
    Figure 2006236557
    (式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは置換基を有していてもよいフェニル基である。)
  2. 請求項1に記載の光メディア用樹脂組成物からなることを特徴とする光ディスク基板。
  3. 請求項2に記載の光ディスク基板を備えたことを特徴とする光ディスク。

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