JP2006234804A - 標的化合物と結合する反応化合物を特定するスクリーニング方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 試料を、タンパク質に反応化合物が結合した反応生成物を含むタンパク質と未反応の反応化合物とに分離するための一次元目分析流路Aと、分離した試料成分のうち反応生成物を含むタンパク質のみを分画するための分画流路Bと、反応生成物をタンパク質と反応化合物に解離する濃縮用移動相を送液するための濃縮移動相送液流路Cと、濃縮移動相によって移送される液をトラップカラム24に導くための反応化合物濃縮流路Dと、トラップカラム24にトラップされた反応化合物を移送するための二次元目分析用移動相を送液するための二次元目分析用移動相送液流路Eと、二次元目分析用移動相によって移送される反応化合物を二次元目分析カラム26で分析するための二次元目分析流路Fとを備えている。
【選択図】 図1
Description
(1)タンパク質と結合する化合物をスクリーニングするために、タンパク質と反応化合物を混和する。
(2)その混和物からタンパク質のみを回収する。
(3)回収したタンパク質と結合した反応化合物をタンパク質から解離させる。
(4)次に、カラムに通してタンパク質と反応化合物を分離し、反応化合物のみを回収する。
(5)回収した反応化合物を質量分析計で測定する。
(A)試料として標的化合物と反応化合物を試料注入部に注入し、試料注入部から注入されたその試料を一次元目分析用移動相で一次元目分析カラムに導いて試料成分に分離する一次元目分析工程、
(B)分離された試料成分のうち標的化合物と反応化合物とが結合した反応生成物を含む部分をループ流路に分画する分画工程、
(C)上記反応生成物から上記反応化合物を解離させる溶媒を濃縮用移動相として、上記分画工程により分画された反応生成物から反応化合物を解離させながら該反応化合物を選択的に捕捉するトラップカラムへ導く反応化合物濃縮工程、及び
(D)上記トラップカラムに捕捉された試料を二次元目分析用移動相により二次元目分析力ラムに導いて分析する二次元目分析工程。
本発明でスクリーニングの対象とするのは、標的化合物と結合して反応生成物を形成する反応化合物であるが、この場合の「結合」は共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合などの化学的結合のほか、内包(タンパク質の内部にある空隙に他の化合物が入り込むこと。)やファンデルワールス力による物理的な結合も含まれる。
また、反応生成物から反応化合物の「解離」は、化学的又は物理的な結合状態が解かれることを意味する。
一般的に、タンパク質と結合する物質、特に生体内で起こる相互作用による結合状態というのは平衡状態であり、結合と解離が高速で繰り返されている状態である。そのため、例えば、試料として反応化合物を標的化合物であるタンパク質と結合させた状態で用意して液体クロマトグラフの試料注入部に注入すると、その試料を一次元目分析カラムに移送するための移動相によって希釈されて平衡状態がくずれ、移動相によっては平衡状態になった試料が解離してしまい、二度と結合できなくなってしまうことがある。例えば、反応化合物がp‐ニトロフェニル‐ジ‐N‐アセチル‐β‐キトビオシドであり、タンパク質がWGA(小麦胚芽レクチン)である場合は、これらは相互作用によって結合することは明らかであるが、これらを反応させた状態で液体クロマトグラフの試料注入部に注入すると、p‐ニトロフェニル‐ジ‐N‐アセチル‐β‐キトビオシドとWGAが解離した状態で検出されることがわかった。そのため、p‐ニトロフェニル‐ジ‐N‐アセチル‐β‐キトビオシドのような成分が反応化合物である場合、タンパク質に結合する反応化合物を正確に分析することは困難であることがわかった。
標的化合物は特に限定されるものではないが、一例としてタンパク質を挙げることができる。
これにより、スクリーニングに必要な複数の動作をオンラインで行なうことができるようになる。
反応化合物濃縮流路が、分画された反応生成物を濃縮用移動相により移送する流路にさらに濃縮用移動相を混合する流路を備えているのが好ましい。
本発明のスクリーニング方法における標的化合物としてタンパク質を用いれば、タンパク質と結合する反応化合物を特定することができる。
また、試料供給装置により試料として標的化合物自体とそれより分子量の小さい反応化合物自体を別個に、かつ反応化合物を先に注入し、その後に標的化合物を注入するようにすれば、標的化合物と反応化合物との反応生成物が移動相により希釈されると解離する場合にも、標的化合物と反応する反応化合物と反応しない反応化合物とを分離することができるようになる。
ここでは標的化合物をタンパク質とし、スクリーニングによりタンパク質に結合する反応化合物を特定するものとする。
ここで、一次元目分析用移動相として、例えば0.8%塩化ナトリウムを含むリン酸緩衝液を挙げることができる。
濃縮用移動相送液流路Cの上流端はタンク2bに接続されており、タンク2bには濃縮用移動相が貯蔵されている。濃縮用移動相は送液ポンプ16によってデガッサ4を介して送液される。濃縮用移動相として、例えば0.1%FTA(トリフルオロ酢酸)を挙げることができる。
トラップカラム24としては、タンパク質などの巨大分子は捕捉されず、反応化合物のみが選択的に捕捉されるもので、ここでは内面逆相カラムを用いる。
流路Fでは、二次元目分析カラム26で試料を成分ごとに分離し、検出器28で検出し、さらに質量分析計30で各成分を特定することができるようになっている。
6ポートバルブ12をポートa−b間,c−d間及びe−f間が接続されるように切り替えた場合には、一次元目分析流路Aの下流端はドレイン15に接続され、一次元目分析カラムを経た試料は排出される。
試料としてタンパク質と反応化合物とを混和させた溶液を用いる。試料は分析者が予め調製しておく。
図2に示されるように、一次元目分析時には、一次元目分析流路Aに一次元目分析用移動相を送液する。(A)に示されるように、試料が試料注入ノズル32によって試料注入部8に注入されると、試料は一次元目分析用移動相によって一次元目分析カラム10に移送され、タンパク質と特定の反応化合物とが反応して生成した反応生成物を含むタンパク質部分と、未反応の反応化合物とに分離される。このうち反応生成物を含むタンパク質部分は、6ポートバルブ12がポートa−f間,b−c間及びd−e間が接続された状態となるように切り替えられてループ流路14に送られる。反応生成物を含むタンパク質以外の試料成分は、(B)に示されるように、6ポートバルブ12がポートa−b間,c−d間及びe−f間が接続された状態に切り替えられてドレイン15に排出される。
次に、濃縮用移動相を図3の太線で示された流路に送液する。6ポートバルブ12はポートa−b間,c−d間及びe−f間が接続されるように切り替えられ、6ポートバルブ22は、ポートg−l間,h−i間及びj−k間が接続された状態に切り替えられる。送液ポンプ16によって濃縮用移動相が6ポートバルブ12のポートe,fを経てループ流路14に送液される。このとき濃縮用移動相送液流路Cを流れる濃縮用移動相のうちの一部はポートeには送液されず、ポートdからの溶液と混合されて混合流路C’に流入する。ループ流路14中に貯留されていた反応生成物を含むタンパク質は濃縮用移動相とともにポートdを経て混合流路C’を通り、6ポートバルブ22のポートgに流入する。このとき反応性生物が濃縮移動相と接触してタンパク質と結合していた反応化合物が解離する。ポートgに導入された試料はポートlを経て濃縮流路Dに流入し、トラップカラム24にて反応化合物のみが捕捉され、残りの成分はポートi及びhを経てドレイン25に排出される。
6ポートバルブ22がポートg−h間,i−j間及びk−l間が接続された状態に切り替えられ、図4の太線で示された流路を二次元目分析用移動相が流れるように、グラジエント送液機構21によって二次元目分析用移動相が6ポートバルブ22のポートk,lを介してトラップカラム24に導入される。トラップカラム24に捕捉されている反応化合物は二次元目分析用移動相によって溶出し、二次元目分析用移動相とともに6ポートバルブ22のポートi,jを経て二次元目分析カラム26に導入されて成分ごとに分離される。分離された各成分は検出器28で検出されて質量分析計30で特定される。
さらに、試料の調製以外の作業を自動的に行なうようにすれば、人為的なミスや熟練度の差による結果の相違が生じることなく、大量の分析を一定条件の下で行なうことができる。
この実施の液体クロマトグラフを用いた分析動作は、図2〜図4を参照して示した第1の実施例と同じであるので、説明は割愛する。
4 デガッサ
6,16,18a,18b 送液ポンプ
8 試料注入部
10,10a 一次元目分析カラム
12,22 6ポートバルブ
14 分画ループ
15,25 ドレイン
20 ミキサ
21 グラジエント送液機構
24 トラップカラム
26 二次元目分析カラム
28 検出器
30 質量分析計
32,32a 試料注入ノズル
34 標的化合物
36 反応化合物
36b 反応生成物
Claims (9)
- 工程(A)から(D)をこの順に含んで標的化合物と結合する反応化合物を特定するスクリーニング方法。
(A)試料として標的化合物と反応化合物を試料注入部に注入し、試料注入部に注入されたその試料を一次元目分析用移動相で一次元目分析カラムに導いて試料成分に分離する一次元目分析工程、
(B)分離された試料成分のうち標的化合物と反応化合物とが結合した反応生成物を含む部分をループ流路に分画する分画工程、
(C)前記反応生成物から前記反応化合物を解離させる溶媒を濃縮用移動相として、前記分画工程により分画された反応生成物から反応化合物を解離させながら該反応化合物を選択的に捕捉するトラップカラムへ導く反応化合物濃縮工程、及び
(D)前記トラップカラムに捕捉された試料を二次元目分析用移動相により二次元目分析力ラムに導いて分析する二次元目分析工程。 - 前記試料注入部に注入する試料は、標的化合物と反応化合物を予め反応させた反応溶液である請求項1に記載のスクリーニング方法。
- 前記試料注入部に注入する試料は標的化合物自体とそれより分子量の小さい反応化合物自体であり、
前記試料注入部への注入は反応化合物を先に注入し、次いで標的化合物を注入する順序で行ない、
前記一次元目分析カラムとして前記反応化合物よりも前記標的化合物の方が先に溶出するように分子量により溶出速度が異なるように選択されたサイズ排除カラムを用い、
それにより前記一次元目分析カラムでは後で注入された標的化合物が反応化合物より先に流出することにより前記一次元目分析カラム中で標的化合物と反応化合物とを反応させるようにした請求項1に記載のスクリーニング方法。 - 前記反応化合物濃縮工程では、分画された反応生成物を濃縮用移動相により前記トラップカラムへ導く際にさらに前記濃縮用移動相を混合する請求項1から3のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- 前記標的化合物はタンパク質である請求項1から4のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- 試料注入部から注入された試料を一次元目分析用移動相で一次元目分析カラムに導いて試料成分に分離する一次元目分析流路と、
前記試料注入部に試料を注入する試料供給装置と、
分離された試料成分のうち標的化合物と反応化合物とが結合した反応生成物を含む部分をループ流路に分画する分画流路と、
前記反応生成物から前記反応化合物を解離させる溶媒を濃縮用移動相として、前記分画流路で分画された反応生成物から反応化合物を解離させながら該反応化合物を選択的に捕捉するトラップカラムへ導く反応化合物濃縮流路と、
前記トラップカラムに捕捉された試料を二次元目分析用移動相により二次元目分析力ラムに導いて分析する二次元目分析流路と、を備えた二次元液体クロマトグラフを備えて標的化合物と結合する反応化合物を特定するスクリーニング装置。 - 前記試料供給装置は試料として標的化合物と反応化合物の反応溶液を注入するように制御される請求項6に記載のスクリーニング装置。
- 前記試料供給装置は試料として標的化合物自体とそれより分子量の小さい反応化合物自体を別個に、かつ反応化合物を先に注入し、その後に標的化合物を注入するように制御され、
前記一次元目分析カラムは前記反応化合物よりも前記標的化合物の方が先に溶出するように分子量により溶出速度が異なるように選択されたサイズ排除カラムであり、
それにより前記一次元目分析カラムでは後で注入された標的化合物が反応化合物より先に流出することにより前記一次元目分析カラム中で標的化合物と反応化合物とが反応する請求項6に記載のスクリーニング装置。 - 前記反応化合物濃縮流路は、分画された反応生成物を濃縮用移動相により移送する流路にさらに前記濃縮用移動相を混合する流路を備えた請求項6から8のいずれかに記載のスクリーニング装置。
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