JP2006233277A - 希土類磁石粉末及び希土類磁石 - Google Patents

希土類磁石粉末及び希土類磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】
NdFeB粉とNdF3 などのフッ素化合物を混合して成形した磁石は、フッ素化合物の混合量とともに残留磁束密度が低下し、エネルギー積が著しく低下する。このような磁気特性の低下を抑えることが課題である。
【解決手段】
上記課題を解決するために、フッ素化合物を磁粉表面に塗布し形成するとともに、フッ素化合物と磁粉の界面に拡散層を形成し、フッ素化合物内にフッ素濃度差をつけている。さらに、磁粉をNdFeB粉を主相としたものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は希土類磁石及び希土類磁石粉末に関するものである。
従来のフッ素化合物を含む希土類焼結磁石は、特開2003−282312号公報に記載されている。前記従来技術では、フッ素化合物が粒状の粒界相となっており粒界相粒子の大きさが平均0.2μmである。このような焼結磁石では、保磁力を高めた場合エネルギー積の低下が著しい。
特開2003−282312号公報
上記従来の発明では、NdFeB焼結磁石用粉末とフッ素化合物であるDyF3を添加して作製した焼結磁石の磁気特性が表1に記載されている。DyF3 を5重量%添加した場合、残留磁束密度(Br)の値は11.9kGであり、添加しない場合の値(13.2
kG)と比較して約9.8% 減少している。残留磁束密度が減少することにより、エネルギー積((BH)MAX )も減少が著しい。従って保磁力が増加しているにもかかわらず、エネルギー積が小さいため高い磁束が必要な磁気回路あるいは高トルクを必要とする回転機等に使用することは困難である。
上記目的を達成するために、粒界に層状のフッ素化合物を形成しフッ素化合物と主相との界面を増やすこと、フッ素化合物の厚さを薄くすること、あるいはフッ素化合物を強磁性相にすることが挙げられる。前者はフッ素化合物の粉末形成の際に板状あるいは扁平状になるような手法を採用することが有効である。従来例である特開2003−282312にはNdF3の場合平均粒径0.2μmのNdF3 粉末とNdFeB合金粉末を自動乳鉢によって混合しており、フッ素化合物の形状についての記載はなく、焼結後のフッ素化合物の形状は塊状になっている。これに対し本手法の一例は、フッ素化合物の粉末の形状を磁石形成後に層状にしている。層状のフッ素化合物とNdFeB粉末の母相であるNd2Fe14BあるいはNdリッチ相との間に熱処理などによりフッ素化合物の構成元素の一部が拡散し、拡散層を形成する。拡散層にはフッ素あるいは希土類元素の濃度勾配が生じる。NdFeB粉末を急速冷却によって作製すると、アモルファス(非晶質)単相あるいは準安定相が混合した混合相の粉末が得られる。この粉末にフッ素化合物を層状に塗布などの手法で形成後熱処理を施す。この熱処理は、アモルファスを結晶化させることとフッ素化合物との拡散相を成長させ、高保磁力化を可能とする。保磁力の値は上記拡散層内の希土類あるいはフッ素の濃度勾配に依存する。これは、フッ素化合物の構成元素の一部が母相や希土類リッチ相内に拡散し、アモルファスの結晶化とともに希土類リッチ相あるいは拡散層を形成し、保磁力を増加させる。保磁力の値は、塗布するフッ素化合物の構成元素の種類,厚さ,粒径などにより異なる。
塗布の場合、溶媒を用いてゲル化したフッ素化合物を使用して磁性粉末表面の一部または全面に結晶質または非晶質のフッ素化合物を主成分とする膜を形成する。磁性粉末に塗布する際には、磁性粉末に磁気的あるいは構造的ダメージを与えにくい溶媒を選択して使用する。塗布して形成したフッ素化合物の膜厚は、平均で1−10000nmである。フッ化物層と磁性粉末の界面付近には、希土類元素を含む酸化物及び微量の不純物である炭素あるいは酸素含有化合物があってもよい。フッ素化合物として同様なゲル状物が使用できるのは、BaF2,CaF2,MgF2,SrF2,LiF,LaF3,NdF3,PrF3,SmF3,EuF3,GdF3,TbF3,DyF3,CeF3,HoF3,ErF3,TmF3,YbF3,LuF3,LaF2,NdF2,PrF2,SmF2,EuF2,GdF2,TbF2,DyF2,CeF2,HoF2,ErF2,TmF2,YbF2,LuF2,YF3,ScF3,CrF3,MnF2,MnF3,FeF2,FeF3,CoF2,CoF3,NiF2,ZnF2,AgF,PbF4,AlF3,GaF3,SnF2,SnF4,InF3,PbF2,BiF3である。これらの結晶質または同等の組成をもった非晶質のフッ素化合物含有成分を少なくとも1種類以上をアモルファス粉末表面に形成する。なお、これらのフッ素化合物に酸素,炭素などの不純物が混合していても主相が上記フッ素化合物であれば効果は同様である。フッ素化合物を形成後、400℃以上の熱処理によりアモルファスを結晶化させ、かつ上記フッ素化合物と母相あるいは希土類リッチ相,ホウ化物などとの間に拡散層を形成する。フッ素化合物の層内に熱処理によりフッ素濃度の濃度勾配ができる。フッ素化合物の種類,厚さ及び粒径を選択し熱処理することで保磁力の温度係数低減,保磁力増大,残留磁束密度の温度係数低減あるいはHkの増加,減磁曲線の角型性向上,耐食性向上,酸化抑制のいずれかの効果が得られる。特に、減磁曲線の角型性向上に繋がる飽和磁束密度と残留磁束密度の比を改善することにより、エネルギー積の低下を低減することができる。ゲルを使用して磁性粉末に塗布することにより、ゲルを使用せずフッ化物粉末と混合させる場合よりも磁性粉末表面のフッ化物の被覆率を高くすることができる。したがって上記効果は、フッ素化合物粉末と混合させた場合よりもゲルを用いた被覆の方が顕著に表れる。フッ化物には酸素,母相の構成元素が含まれても上記効果が維持される。上記フッ化物層を形成させた磁性粉末をエポキシ樹脂,ポリイミド樹脂,ポリアミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ケルイミド樹脂,マレイミド樹脂,ポリフェニルエーテル,ポリフェニレンスルヒド単体またはエポキシ樹脂,ポリアミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ケルイミド樹脂,マレイミド樹脂などの有機樹脂と混合させたコンパウンドを作製し、磁場中あるいは無磁場中成形することにより、ボンド磁石に成形することが可能である。上記ゲルを塗布したNd2Fe14B 粉を用いたボンド磁石は、磁粉での効果と同様に、保磁力の温度係数低減,保磁力増大,残留磁束密度の温度係数低減あるいはHkの増加,減磁曲線の角型性向上,耐食性向上,酸化抑制のいずれかの効果が確認できる。これらの効果は、フッ化物層の形成により、磁区構造が安定すること、フッ化物付近の異方性が増加すること、フッ化物が磁粉の酸化を防止することに起因していると考えられる。
以上のようにフッ素化合物を急冷NdFeB粉末表面に層状に形成させることにより、高保磁力と高残留磁束密度あるいは高抵抗の両立が可能となり、100℃−250℃の温度域で使用可能な希土類磁石を得ることができ、各種回転機や磁気回路に応用できる。
以下に本発明の実施例を説明する。
NdFeB系のアモルファス薄帯は、組成を調整した母合金を急冷することにより作製する。母合金を単ロールや双ロール法などのロールを用いた手法で、回転するロールの表面に溶解させた母合金をアルゴンガスなどを用いて噴射急冷する。雰囲気は不活性ガス雰囲気あるいは還元雰囲気,真空雰囲気である。得られた急冷薄帯はアモルファスあるいはアモルファスに結晶質が混合している。この薄帯を1〜100μmの平均粒径に必要により粉砕,分級する。このアモルファスを含む磁粉は、加熱することにより結晶化し主相がNd2Fe14B の磁粉となる。この主相のNdに他の希土類元素が混合している場合も以下と同様の効果が認められる。結晶化に伴い主相以外に結晶質のホウ化物や希土類リッチ相が形成される。このような結晶質の磁粉はアモルファスに比べ保磁力が高く、熱処理により減磁曲線の形が大きく変化する。結晶質磁粉の磁気特性は、各相の結晶構造,粒径,組織,組成,粉末径等により異なる。また希土類元素を含むため磁気特性は酸化の影響を受けるため粉末径が小さくなると磁気特性が不安定になる要因となる場合がある。急冷プロセスを経て作製したアモルファスを含む磁粉の表面にゲル化したフッ素化合物を塗布する。塗布膜厚は磁粉の表面積を考慮したゲルの量で制御する。ゲル化したフッ素化合物をアモルファスを含む磁粉の表面に塗布することにより、磁粉表面はフッ素化合物で被覆される。フッ素化合物としてNdF3 を用いた場合、400℃以下の低温では、低保磁力の磁粉表面に1−20nmの粒径のNdF3 が被覆されている。この磁粉の保磁力を高めるためには600〜800℃の熱処理が必要となる。400℃を超える温度ではNdF3 が母相と相互拡散し、フッ素化合物の層内で希土類元素の濃度に差が生じる。すなわちNdF3のフッ素が欠陥となりフッ素濃度に対するNd濃度の高い相が生じる。また上記微細な
NdF3粒の一部の粒がフッ素が欠乏したり、NdF2と構造を変える。20℃における保磁力が10kOe以上となる熱処理では、NdF3 の厚さが10−1000nmの範囲では、塗布後のNdF3よりもNdF2の厚さの方が厚い。拡散層であるNdF2 の厚さが厚くなるのは熱処理により磁粉のNdと塗布したNdF3 が反応して成長したものと考えられる。このNdF2 層の中でもNd原子の濃度が異なる。これは塗布した磁粉の表面層の影響を受け、表面が酸化層の場合、酸化相を含む希土類リッチ相である場合、酸化相を含むNd2Fe14Bの場合、Nd2Fe14B相の場合などにより拡散層の厚さや組成が異なるためである。表1に種々の硬質磁性粉にフッ素化合物を形成した場合のフッ素化合物内の濃度変化と磁気特性を示す。
Figure 2006233277
Mm/Brは20kOeの磁界での磁化(Mm)と残留磁束密度(Br)の比である。フッ素化合物の厚さは10〜1000nmであり、主相側のフッ素濃度が少ない傾向を示し、フッ素濃度勾配あるいはフッ素濃度差が大きいほどMm/Brが高くなる傾向を示した。また、表1のなかで希土類元素を含むフッ素化合物で、フッ素濃度に差が認められたフッ素化合物の場合、希土類元素の濃度にも1at%以上の濃度差が認められた。
NdFeB系アモルファス薄帯は、組成を調整した母合金を急冷することにより作製する。母合金を単ロールや双ロール法などのロールを用いた手法で、回転するロールの表面に溶解させた母合金を噴射急冷する。雰囲気は不活性ガス雰囲気あるいは還元雰囲気,真空雰囲気である。得られた急冷薄帯にはアモルファスが含まれる。この薄帯をそのまま使用できるが、1〜100μmの平均粒径にそろえた粉末を使用した方が、磁気特性の安定性や成形性の点で良い。
溶媒を用いてゲル化したDyF3 を使用して磁性粉末表面の一部または全面に結晶質または非晶質のDyF3 を主成分とする膜を形成する。磁性粉末に塗布する際には、磁性粉末に磁気的あるいは構造的ダメージを与えにくい溶媒を選択して使用する。塗布して熱処理により形成したDyF3の膜厚は、平均で1−10000nmである。DyF3にDyF2が混合していても、磁性粉末の磁気特性には影響しない。これらのフッ化物層と磁性粉末の界面付近には、希土類元素を含む酸化物及び微量の不純物である炭素あるいは酸素含有化合物があってもよい。DyF3 の厚さを平均100nmになるように平均粒径10−
20nmのDyF3を塗布した場合、層状DyF3の組成分布は熱処理温度により変化する。熱処理温度が400℃以下ではDyF3 が主相であるが、熱処理温度を450℃以上に高温にすると、DyF3の一部がDyF2になる。このDyF2 は磁粉からみて最外層側にあるDyF3とNd2Fe14Bとの間に形成される拡散層である。この拡散層のフッ素原子の濃度は外側と内側で異なり外側の方がフッ素濃度が高い傾向があり、その最大値と最小値の差は1at%以上となる。この濃度差は希土類元素の濃度差にも相当する。このような濃度勾配が生じる熱処理をすることで以下のような効果が引き出せる。1)アモルファスが結晶化する温度範囲に重なっているため、フッ素化合物を構成する希土類元素の一部が磁粉に拡散しやすく磁気異方性エネルギーを変化させる。2)成形体を高温で使用する場合の熱安定性が向上する。3)フッ素化合物とNd2Fe14B との密着性が向上し、剥離し難くなり耐食性が向上する。1)の効果は保磁力の増加あるいは減磁曲線の角形性向上に繋がる。フッ化ディスプロシウムをNd2Fe14B の組成に近い薄帯状粉末にコートし、熱硬化性樹脂をバインダーにして成形し、得られた成形体断面の光学顕微鏡写真を図1に示す。薄帯状粉末が層状になって成形されている。図2は、薄帯状粉末の熱処理前後の変化を模式的に示したものである。この薄帯状粉末は、熱処理前は、アモルファスの粉末2にフッ化ディスプロシウム1を形成したものであり、アモルファスとフッ化物の界面に反応層はほとんど無い。450℃以上の熱処理をするとフッ化ディスプロシウムと薄帯状粉末の一部が反応し、アモルファスの結晶化及び希土類元素の拡散が起こり、フッ化物の中で組成が変化する。その結果熱処理前のフッ化ディスプロシウムとは異なるフッ素濃度の層ができる。この層はフッ素濃度が薄帯状粉末からみて外側のフッ素濃度と異なり、希土類元素濃度が高い低濃度フッ化物層3である。熱処理により薄帯状粉末はアモルファス粉末2から結晶質粉末4に変化し、粉末とフッ化物界面では、フッ化物を構成する希土類元素が拡散している。アモルファスから結晶に変態する時に、フッ化物により結晶成長の核発生が起き、フッ化物の構成元素となっている希土類元素の拡散が起こりやすくなると推定している。
NdFeB系アモルファス薄帯は、組成を調整した母合金を急冷することにより作製し高保磁力を得るためにDyやCoを添加する。予め溶解,加工した母合金を単ロールや双ロール法などのロールを用いた手法で、回転するロールの表面に溶解させた母合金を噴射急冷する。雰囲気は不活性ガス雰囲気あるいは還元雰囲気,真空雰囲気である。得られた急冷薄帯はアモルファスあるいはアモルファスと結晶の混合相あるいは結晶のいずれかである。この薄帯をそのまま使用できるが、1〜100μmの平均粒径にそろえた粉末を使用した方が、磁気特性の安定性や成形性の点で良い。
溶媒を用いてゲル化したTbF3 を使用して磁性粉末表面の一部または全面に結晶質または非晶質のTbF3 を主成分とする膜を形成する。磁性粉末に塗布する際には、磁性粉末に磁気的あるいは構造的ダメージを与えにくい溶媒を選択して使用する。塗布して熱処理により形成したTbF3の膜厚は、平均で1−10000nmである。TbF3にTbF2が混合していても、磁性粉末の磁気特性には影響しない。TbF3 の厚さを平均100
nmになるように平均粒径10−20nmのTbF3を塗布した場合、層状TbF3の組成分布は熱処理温度により変化する。熱処理温度が350℃以下ではTbF3 が主相であるが、熱処理温度を400℃以上に高温にすると、TbF3の一部がTbF2になる。この
TbF2は磁粉からみて最外層側にあるTbF3とNd2Fe14B との間に形成される拡散層である。この拡散層のフッ素原子の濃度は外側と内側で異なり外側の方でフッ素濃度が高い傾向があり、その最大値と最小値の差は1at%以上となる。こようなフッ素化合物塗布磁粉を、磁場中成形し800℃〜1200℃の温度で熱処理することにより密度7.0g/cm3 以上の成形体が得られる。この成形体においてフッ素化合物層の中にフッ素あるいはフッ化物を構成する希土類元素の濃度勾配が生じる。TbF2 層の厚さ方向においてフッ素濃度の最大値と最小値の差は2at%以上になる。TbF2 層とTbF2 層の間にTbF3 層がみられ高保磁力あるいは高抵抗を有する磁石が得られる。濃度勾配をもったTbF2 を形成することで、保磁力の温度係数低減,保磁力増大,残留磁束密度の温度係数低減あるいはHkの増加,減磁曲線の角型性向上,耐食性向上,酸化抑制のいずれかの効果が得られる。上記フッ化物層を形成させた磁性粉末をエポキシ樹脂,ポリイミド樹脂,ポリアミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ケルイミド樹脂,マレイミド樹脂,ポリフェニルエーテル,ポリフェニレンスルヒド単体またはエポキシ樹脂,ポリアミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂、ケルイミド樹脂,マレイミド樹脂などの有機樹脂と混合させたコンパウンドを作製し、磁場中あるいは無磁場中成形することにより、ボンド磁石に成形することが可能である。上記ゲルを塗布したNd2Fe14B 粉を用いたボンド磁石は、磁粉での効果と同様に、保磁力の温度係数低減,保磁力増大,残留磁束密度の温度係数低減あるいはHkの増加,減磁曲線の角型性向上,耐食性向上,酸化抑制のいずれかの効果が確認できる。これらの効果は、フッ化物層の形成により、磁区構造が安定すること、フッ化物付近の異方性が増加すること、フッ化物が磁粉の酸化を防止することに起因していると考えられる。
NdFeB系のアモルファス薄帯は、組成を調整した母合金を急冷することにより作製する。母合金を単ロールや双ロール法などのロールを用いた手法で、回転するロールの表面に溶解させた母合金をアルゴンガスなどを用いて噴射急冷する。雰囲気は不活性ガス雰囲気あるいは還元雰囲気,真空雰囲気である。得られた急冷薄帯はアモルファスあるいはアモルファスに結晶質が混合している。この薄帯を1〜100μmの平均粒径に必要により粉砕,分級する。薄帯を分級する前後いずれかに、薄帯あるいは粉末を加熱成形し成形時の応力により磁粉に異方性を付加する。このアモルファスを含む磁粉は、加熱成形することにより結晶化し主相がNd2Fe14B の磁粉となる。異方性が付加された磁粉の表面にゲル化したフッ素化合物を塗布する。塗布膜厚は磁粉の表面積を考慮したゲルの量で制御する。ゲル化したフッ素化合物を異方性磁粉の表面に塗布することにより、磁粉表面はフッ素化合物で被覆され再度熱処理する。フッ素化合物としてNdF3 を用いた場合、
400℃以下の低温では、低保磁力の磁粉表面に1−20nmの粒径のNdF3 が被覆されている。400℃を超える温度ではNdF3 が母相と相互拡散し、フッ素化合物の層内で希土類元素の濃度に差が生じる。すなわちNdF3 のフッ素が欠陥となりフッ素濃度に対するNd濃度の高い相が生じる。また、異方化する前の磁粉に上記フッ素化合物を塗布し、その後で加熱成形することにより異方性を付加させ、かつ保磁力増大あるいは角型性向上が確認されている。この時拡散層であるNdF2 が熱処理により磁粉の表面に形成され、NdF2 内のフッ素濃度にSEM分析等により差が認められる。特に磁粉との界面ではフッ素濃度勾配がフッ素化合物側から磁粉側で認められ、フッ素化合物側のNdあるいはフッ素と磁粉側の構成元素の拡散が生じていると推測される。このようなフッ素化合物内の濃度差あるいは濃度勾配、またはフッ素化合物と磁性相界面の濃度勾配は、バルク焼結体や成形体でも実現でき、耐食性向上,耐熱性向上,角型性向上,渦電流損低減などの効果が確認されている。
本発明はR−Fe−B(Rは希土類元素)系磁石のエネルギー積低減を抑えて保磁力を高めることができ、高温で使用される磁石として特に磁石モータに利用される。このような磁石モータには、ハイブリッド自動車の駆動用,スタータ用,電動パワステ用が含まれる。
成形体断面の写真。 薄帯状粉末の熱処理前後の変化を示す図。
符号の説明
1…フッ化ディスプロシウム、2…アモルファスの粉末、3…フッ化物層、4…結晶質粉末。

Claims (3)

  1. R−Fe−B(Rは希土類元素)系磁粉を含有し、前記R−Fe−B系粉末の主相であるNd2Fe14B の粒界あるいは表面の一部に層状の1種類以上のフッ素化合物が形成され、少なくとも1種の前記フッ素化合物内にはフッ素濃度に1at%以上の濃度差が生じていることを特徴とする希土類磁石粉末。
  2. 急速冷却により作製されたR−Fe−B(Rは希土類元素)系磁粉を含有し、前記R−Fe−B系磁粉の主相であるNd2Fe14B の表面あるいは粒界の一部に層状のフッ素化合物が形成され、前記粒界または表面から粒内にフッ素化合物を構成する少なくとも1種以上の希土類元素あるいはフッ素の濃度勾配が存在していることを特徴とする希土類磁石粉末。
  3. 急速冷却により作製されたR−Fe−B(Rは希土類元素)系磁粉を含有し、前記R−Fe−B系磁粉の主相であるNd2Fe14B の表面あるいは粒界の一部に層状のフッ素化合物が形成され、前記粒界または表面から粒内にフッ素化合物を構成する少なくとも1種以上の希土類元素の拡散層が存在し、前記拡散層が前記フッ素化合物の厚さよりも厚いことを特徴とする希土類磁石。
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