JP2006233057A - 化粧板用樹脂組成物及びポストフォーム化粧板 - Google Patents

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【課題】 小さいR、特に3Rでの曲げ加工が可能なポストフォーム化粧板を得ることを目的とする。
【解決手段】 アミノ化合物とアルデヒド化合物を塩基性触媒下で反応させて得られるアミノ−ホルムアルデヒド初期縮合物を中性〜微塩基性に調整し、次に芳香族スルホンアミドを加えて共縮合させ、次にアルキレン尿素とアルキルグリコール(低級脂肪族アルコール)を添加して得られる樹脂組成物を、ポストフォーム化粧板の表層となる化粧紙に適用する。特に好ましい形態として、該アミノ化合物として、メラミン樹脂とアセトグアナミン樹脂を用い、該メラミン樹脂1モルに対してアセトグアナミン樹脂が0.1〜0.5モルとし、該アルキレン尿素及び/又はアルキルグリコールが、該変性アミノ樹脂100重量部に対して、5〜10重量部とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、化粧板用に供せられる樹脂組成物に関し、より詳しくはポストフォーム化粧板用の樹脂組成物及びポストフォーム化粧板に関するものである。
従来、流し台、カウンターなどの天板や扉などの各種用途に用いられるポストフォーム化粧板が知られており、通常のメラミン化粧板と比べ曲げ加工できることを特徴としている。しかしながら一般にポストフォーム化粧板は表層をなす化粧層にはアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、またコア層にはフェノール樹脂といった熱硬化性樹脂を用いているため、安定したポストフォーム加工の曲げ半径(Rmm)には制限があり、小R、とりわけ6R以下は困難であり、更に3Rは極めて困難なものであった。
かような問題を解決する方法として、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂を合成する際のモル比を下げたり、可塑剤を添加する方法があるが、これらの方法では、ポストフォーム加工の曲げ半径はある程度小さくできるが未だ充分な性能を有しておらず、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂本来の優れた表面硬度、耐水性、耐熱性、耐汚染性などの一般性能が低下したり、製品として成立しないといった問題があった。
特開2001−1480公報 特開2001−288444公報
本発明では、前記のような課題、即ち、小さいR、特に3Rといったようなほぼ直角に近い曲げ加工が可能なポストフォーム化粧板を得ることを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意、検討した結果、アミノ化合物とアルデヒド化合物を塩基性触媒下で反応させて得られるアミノ−ホルムアルデヒド初期縮合物を中性〜微塩基性に調整し、次に芳香族スルホンアミドを加えて共縮合させ、次にアルキレン尿素とアルキルグリコール(低級脂肪族アルコール)を添加して得られる樹脂組成物を、ポストフォーム化粧板の表層となる化粧紙に適用することにより前記の課題を解決できることを見出した。
本発明の樹脂組成物はポストフォーム化粧板の原材料として好適であり、優れた曲げ加工性を示すものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物を得るには、先ず、第1段階の反応として、メラミン、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンなどのアミノ化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド化合物を、水を溶媒として70〜100℃の加熱下で、塩基性雰囲気下、例えばpH8〜11、好ましくはpH9.2〜9.4で反応させてアミノ−アルデヒド樹脂初期縮合物を生成する。
アミノ化合物とアルデヒド化合物のモル比は、アミノ化合物1モルに対して、アルデヒドは1.1〜1.6モルとし、下限未満では、アミノ化合物の溶解が悪い上、樹脂が硬化する際不完全なものとなり、表面物性が劣りやすくなり、上限を越えると最終段階の樹脂の網目結合が過度になり曲げ加工性が劣りやすくなる。アルデヒド化合物は、とりわけ安価でアミノ化合物との反応性が良いホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒドを用いるのが好ましい。
アミノ化合物はメラミン単独よりも他のアミノ化合物と併用すると、メラミン特有の脆弱性を解消し、メラミンとアルデヒドの架橋密度を低くでき、可撓性を有するものとなることから望ましい。メラミン1モルに対してメラミン以外のアミノ化合物のモル比は1:0.05〜0.3とするのが望ましく、下限未満の場合は、曲げ加工性が劣りやすく、上限を越えると、耐水性、耐光性、耐熱性が低下しやすくなる。
メラミン以外のアミノ化合物の中でも耐光性に優れるという理由からアセトグアナミンが好ましい。
反応中のpHについては下限未満の場合は、メチロール化メラミンの縮合が大きくなりゲル化が起こりやすく、上限を越えるとメチロール化メラミンと後述の芳香族スルホンアミドとの反応が進みにくくなる。
pHを上記範囲にするための塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
次に、前記の初期縮合物を、中性〜微塩基性、例えばpH7.0〜7.3に調整した後、第2段階の反応として芳香族スルホンアミドを加えて共縮合させることにより分子内の可塑化が行われる。pHが下限未満の場合は、反応が進み過ぎ曲げ加工性が劣りやすく、上限を越えると反応が遅くなり内部可塑化が進みにくくなる。pH調整するための酸性触媒としては塩酸、硫酸、シュウ酸、酢酸、トルエンスルホン酸などが挙げられる。
芳香族スルホンアミドとしては、例えば、ベンゼンスルホンアミド、オルソトルエンスルホンアミド、パラトルエンスルホンアミドなどが挙げられ、中でも反応性が良く、可塑化を促す効果が特に大きいパラトルエンスルホンアミドを採用するのが好ましく、アミノ化合物1モルに対して、0.1〜0.2モル配合される。
芳香族スルホンアミドの配合割合が下限未満の場合は、可塑化効果が小さくて曲げ加工性に顕著な効果がなく、上限を超えると樹脂が白濁しやすく、保存性が著しく悪くなり、化粧板用の化粧紙への含浸も困難となる。また、耐水性、表面硬度が低下しやすくなる。
第2段階の反応終了後に得られた変性メラミン樹脂には、アルキレン尿素、アルキルグリコール、硬化剤、その他離型剤、はじき防止剤などが加えられ化粧板用の化粧紙に含浸するための樹脂液とされる。アルキレン尿素、アルキルグリコール、或いはこれらを併用した際の合計量は変性メラミン樹脂100重量部に対して、5〜10重量部とするのが好ましく、下限に満たないと曲げ加工性に劣りやすく、上限を超えると耐水性、耐光性が低下する。また、併用する際はアルキレン尿素とアルキルグリコールは重量比で2〜8:8〜2、好ましくは3〜7:7〜3とするのが好ましく、アルキルグリコールが下限に満たないと耐熱性、耐水性が低下し、上限を超えると曲げ加工性能が低下する。
アルキレン尿素としては、例えばエチレン尿素(2−イミダゾリドン)、1,3−プロピレン尿素などが挙げられる。
アルキルグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェニルグリコールなどが挙げられるが、特にフェニルグリコールを採用すると曲げ加工性が向上する。
次いで、化粧板用の化粧紙に樹脂液を含浸、乾燥し樹脂含浸化粧紙を得る。一方、コア層として、クラフト紙に熱硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂からなる樹脂液を含浸、乾燥し、樹脂含浸コア紙を得、樹脂含浸化粧紙と1枚以上の樹脂含浸コア紙を積層し、加熱加圧することにより本発明のポストフォーム化粧板が得られる。
実施例1
樹脂組成物
第1段階の反応として、メラミン1モルに対して、ホルムアルデヒドを1.3モルと、適量の水を加え、水酸化ナトリウムでpHを9.3に調整し、95℃で1時間反応させた。
次に、第2段階の反応として、パラトルエンスルホンアミドをメラミン1モルに対して0.15モル添加し、塩酸でpHを7.1に調整して70℃で1時間反応させることにより、実施例1の樹脂組成物を得た。
化粧板用樹脂組成物
次いで、エチレン尿素を樹脂組成物100重量部に対して6重量部添加した後、硬化剤としてキャタニットA(日東理研工業株式会社製)を1.3重量部、離型剤、はじき防止剤を加え、実施例1の化粧板用樹脂組成物を得た。
ポストフォーム化粧板
樹脂含浸化粧紙
150g/mの酸化チタンを40%以上含む化粧紙に化粧板用の樹脂組成物を数1で示す含浸率が105%となるように含浸し、乾燥して樹脂含浸化粧紙を得た。
樹脂含浸コア紙
180g/mのクラフト紙にフェノール樹脂を主な成分とする樹脂液を数1で示す含浸率が60%となるように含浸し、乾燥して樹脂含浸コア紙を得た。
ポストフォーム化粧板
樹脂含浸化粧紙を1枚、樹脂含浸コア紙を3枚積層し、温度125℃、時間70分、圧力60kgf/cmで熱圧成型し、実施例1の厚み0.8mmのポストフォーム化粧板を得た。
実施例2
実施例1において、メラミンの代わりにメラミンとアセトグアナミンを併用し、メラミンとアセトグアナミンのモル比を1:0.2とした以外は同様に実施して、実施例2のポストフォーム化粧板を得た。
実施例3
実施例1において、エチレン尿素の代わりにフェニルグリコールを用いた以外は同様に実施して、実施例3のポストフォーム化粧板を得た。
実施例4
実施例2において、エチレン尿素の代わりにエチレン尿素とフェニルグリコールを併用し、これらの合計量が樹脂組成物100重量部に対して6重量部、また、エチレン尿素とフェニルグリコールの重量比が4:6となるように添加した以外は同様に実施して、実施例4のポストフォーム化粧板を得た。
実施例5
実施例4において、エチレン尿素とフェニルグリコールの重量比を2:8とした以外は同様に実施した。
実施例6
実施例4において、エチレン尿素とフェニルグリコールの重量比を8:2とした以外は同様に実施した。
比較例1
実施例4において、パラトルエンスルホンアミドの添加量を0.07モルとした以外は同様に実施した。
比較例2
実施例4において、パラトルエンスルホンアミドの添加量を0.25モルとした以外は同様に実施した。
比較例3
実施例4において、エチレン尿素とフェニルグリコールの合計量を4.8重量部とした以外は同様に実施した。
比較例4
実施例4において、エチレン尿素とフェニルグリコールの合計量を12重量部とした以外は同様に実施した。

評価結果を表1に示す。
評価方法は以下の通りとした。
曲げ加工性;曲げ加工性のテスト方法は、抄紙の流れ方向に平行に150mm幅にサンプルを切り出し、所定の半径を持つ曲げ成形治具によって化粧板の温度を163℃まで加熱して曲げ成形を行い、目視によりクラックの発生の有無を確認し、クラックなきを○、クラックありを×した。
樹脂の保存性;常温で樹脂が完全に白濁あるいはゲル化した時の日数
含浸紙のブロッキング;310mm×310mmの含浸紙の上に20kgの荷重を懸け、常温で1週間放置した際に含浸紙同士が貼り付き剥がす際に含浸紙が割れてしまう場合に×とし、問題なく剥がせるものについては〇とした。
耐熱水性;JIS−K6902に準拠し、化粧板の表面に膨れ、ひび割れ、変色等の変化があるものを×、軽微な膨れを△、変化が見られないものは〇とした。

Claims (4)

  1. アミノ化合物とアルデヒド化合物を塩基性触媒下で反応させて得られるメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物を中性〜微塩基性に調整し、次に芳香族スルホンアミドを加えて共縮合させた変性アミノ樹脂に、アルキレン尿素及び/又はアルキルグリコールを加えて成ることを特徴とする化粧板用樹脂組成物。
  2. 該アミノ化合物として、メラミン樹脂とアセトグアナミン樹脂を用い、該メラミン樹脂1モルに対してアセトグアナミン樹脂が0.1〜0.5モルであることを特徴とする請求項1記載の化粧板用樹脂組成物。
  3. 該アルキレン尿素及び/又はアルキルグリコールが、該変性アミノ樹脂100重量部に対して、5〜10重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の化粧板用樹脂組成物。
  4. 該化粧板用樹脂組成物に、適量の溶媒を加えて粘度調整され、含浸用樹脂液が化粧板用化粧紙に含浸された樹脂含浸化粧紙と、化粧板用のコア材に熱硬化性樹脂が含浸された樹脂含浸コア紙とが積層され、加熱加圧されてなることを特徴とするポストフォーム化粧板。
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