JP2006231213A - 多量の水分と希薄な炭化水素を含む大量の排ガスの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 多量の水分と希薄な揮発性炭化水素が共存する大量の排ガスを処理する方法であって、燃焼法のように“炭酸ガスの放出”を伴わないのみならず、含まれている揮発性炭化水素を液体として回収してゼロエミッションを達成させる処理方法を提供すること。
【解決手段】 相対湿度で60%以上の多量の水分と5000PPM以下の希薄な揮発性炭化水素が共存する1000m3以上の大量の排ガスを、予め揮発性炭化水素でプレコートしたメソポアー活性炭(吸着孔径が10〜100Åの活性炭)が充填されている吸着塔7a,7bに供給し、破過する前に吸着から脱着に切り替え、脱着時に、真空ポンプ4とパージガス(空気)を用い、得られたパージ排ガスを気液分離器5に導入し、揮発性炭化水素を液体として回収する。
【選択図】 図1
【解決手段】 相対湿度で60%以上の多量の水分と5000PPM以下の希薄な揮発性炭化水素が共存する1000m3以上の大量の排ガスを、予め揮発性炭化水素でプレコートしたメソポアー活性炭(吸着孔径が10〜100Åの活性炭)が充填されている吸着塔7a,7bに供給し、破過する前に吸着から脱着に切り替え、脱着時に、真空ポンプ4とパージガス(空気)を用い、得られたパージ排ガスを気液分離器5に導入し、揮発性炭化水素を液体として回収する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、多量の水分と希薄な炭化水素を含む大量の排ガスの処理方法に関する。特に、大気中に放散される揮発性炭化水素を含む排ガスを浄化するための方法に関し、公害防止上の観点から上記の排ガスをゼロエミツションにまで浄化する目的に加えて、処理すべき排ガスが、揮発性炭化水素を取り扱う作業工程から放出され、そのガスが水分を多量に含む毎時1000m3以上の大量のガスであって、かつ、含まれている揮発性炭化水素の濃度が10000PPM以下(特に、5000PPM以下)の希薄な炭化水素(例えば、エチレンやプロピレンのようなオレフイン類炭化水素,メタノールのようなアルコール類、ベンゼンやトルエンのような芳香族炭化水素,ブタジエンやヘキセン,スチレンのようなジエン類重合物質等)を含む排ガスを吸着法によって処理することにより、かかる炭化水素を排ガスから効率よく分離し、再利用するための方法に関する。
従来から、揮発性炭化水素を含む排ガスを処理する方法について多数提案されてきている。即ち、公害防止上、法的に義務付けられた揮発性炭化水素排出濃度の規制値を満足する処理手段としては、吸着法,吸収法,分離膜法,燃焼法等々である。
しかしながら、最近になって地球温暖化の元凶である炭酸ガスの排出規制が「京都議定書」で義務付けられ、また、平成16年度の国会において、従来は届け制度に止まっていた揮発性炭化水素の排出規制が罰則を伴う抑制措置に強化され、法案として可決成立した状況を踏まえ、この分野における従来技術の是非が問われる事態に立ち至った。
しかしながら、最近になって地球温暖化の元凶である炭酸ガスの排出規制が「京都議定書」で義務付けられ、また、平成16年度の国会において、従来は届け制度に止まっていた揮発性炭化水素の排出規制が罰則を伴う抑制措置に強化され、法案として可決成立した状況を踏まえ、この分野における従来技術の是非が問われる事態に立ち至った。
特に、燃焼法については、従来から広く当該企業において採用され、含まれる揮発性炭化水素が数十PPM,数百PPMという希薄な量で、かつ、水分を多量に含む毎時数千m3,数万m3という大量の排ガスを処理する方法としては、ゼロエミツションを達成できる唯一の方法として重用されてきた。しかも、蓄熱式燃焼法にしても、また自燃可能な触媒式燃焼法にしても、他方式に比べて簡便で、かつ極めて安価に入手できる。
しかしながら、この方式が決定的に不利な点は、燃焼に伴う炭酸ガスの野放図な放出である。
しかしながら、この方式が決定的に不利な点は、燃焼に伴う炭酸ガスの野放図な放出である。
一方、燃焼法に代わる方法として汎用されている吸着法について言えば、含まれる揮発性炭化水素の濃度が1%以上の濃厚な量であり、かつ処理すべき排ガスの風量が毎時数百〜数千m3の場合は、燃焼法に勝る。即ち、処理装置を小さくスキツド化できて、含まれている多量の揮発性炭化水素を燃やさずにそのまま回収して再利用できるというメリツトの為である。
しかしながら、含まれている揮発性炭化水素が希薄であって、しかも、水分の多い大量の排ガスを処理する場合は、吸着剤がどれ程の量の揮発性炭化水素を吸着できるかという問題よりも、吸着剤にとって水分は天敵ともいえる存在で、相対湿度(RH)が60%を超えるような排ガスであれば、先ずは、水分を先に吸着して揮発性炭化水素を僅かしか吸着しない。しかも、吸着した被吸着物質の脱着手段は加熱しかない。その為に、吸着,脱着のスイング操作で水分は吸わないが、炭化水素はよく吸う吸着剤の開発は、従来から当該企業が等しく目標としてきた課題である。
さらに、吸・脱着操作の最適化、即ち、吸着剤の量が可能な限り少なくて済む条件、換言すれば、処理する排ガスと吸着剤層との接触時間を10秒以内、望ましくは5秒以内であるような吸着剤の開発が、当該技術分野において、従来から目標とされている課題である。
しかしながら、含まれている揮発性炭化水素が希薄であって、しかも、水分の多い大量の排ガスを処理する場合は、吸着剤がどれ程の量の揮発性炭化水素を吸着できるかという問題よりも、吸着剤にとって水分は天敵ともいえる存在で、相対湿度(RH)が60%を超えるような排ガスであれば、先ずは、水分を先に吸着して揮発性炭化水素を僅かしか吸着しない。しかも、吸着した被吸着物質の脱着手段は加熱しかない。その為に、吸着,脱着のスイング操作で水分は吸わないが、炭化水素はよく吸う吸着剤の開発は、従来から当該企業が等しく目標としてきた課題である。
さらに、吸・脱着操作の最適化、即ち、吸着剤の量が可能な限り少なくて済む条件、換言すれば、処理する排ガスと吸着剤層との接触時間を10秒以内、望ましくは5秒以内であるような吸着剤の開発が、当該技術分野において、従来から目標とされている課題である。
本発明は、前記課題に鑑み成されたものであって、特に、次の“第一乃至第四”を本発明が解決しようとしている課題とするものである。
第一に、含まれている揮発性炭化水素が10000PPM以下(特に、5000PPM以下、具体的には数百乃至数千PPM)という希薄で、かつ、毎時1000m3以上の大量の排ガス(特に、1万m3を超す大量の排ガス)を、法律により定められた公害防止条例を遵守すべく処理する方法のなかの選択枝の一つとして、燃やさないで済む、即ち、炭酸ガスを放出しない、かつ、含まれている揮発性炭化水素を液体として回収可能な処理方法を解決の課題としている。
第二に、特に、多量の水分を含む排ガスに曝しても、水分は殆ど吸着しないで、含まれている揮発性炭化水素だけを吸着させる処理方法を解決の課題としている。
第三に、多量の排ガスを処理するに際して、吸着剤の量を出来るだけ少なくするために、排ガスとの接触時間が5秒以内であることを解決の課題としている。
第四に、上記第一,第二および第三の課題に加えて、揮発性炭化水素に関し「ゼロエミッション」を達成する為の処理方法を解決の課題としている。
第一に、含まれている揮発性炭化水素が10000PPM以下(特に、5000PPM以下、具体的には数百乃至数千PPM)という希薄で、かつ、毎時1000m3以上の大量の排ガス(特に、1万m3を超す大量の排ガス)を、法律により定められた公害防止条例を遵守すべく処理する方法のなかの選択枝の一つとして、燃やさないで済む、即ち、炭酸ガスを放出しない、かつ、含まれている揮発性炭化水素を液体として回収可能な処理方法を解決の課題としている。
第二に、特に、多量の水分を含む排ガスに曝しても、水分は殆ど吸着しないで、含まれている揮発性炭化水素だけを吸着させる処理方法を解決の課題としている。
第三に、多量の排ガスを処理するに際して、吸着剤の量を出来るだけ少なくするために、排ガスとの接触時間が5秒以内であることを解決の課題としている。
第四に、上記第一,第二および第三の課題に加えて、揮発性炭化水素に関し「ゼロエミッション」を達成する為の処理方法を解決の課題としている。
本発明は、前記第一乃至第四の課題を解決するための手段として、大量であって、しかも、炭化水素の濃度が希薄でかつ多量の水分を含む排ガスの処理に際し、吸着孔径が10〜100オングストロームの範囲にあるメソポアー活性炭、特に、細孔分布が20〜40オングストロームの範囲にある石炭系のメソポアー活性炭(例えば、キャタラー社の商品名「HC−1」)を選択し、吸脱着操作に先立って、予め、排ガス中に含まれている揮発性炭化水素で該活性炭をプレコートし、これにより、活性炭の内部に存在している僅かなミクロ孔と比較的小さなメソ孔(ここでは約20Å以下)を埋めてしまうことで、前記第一乃至第四の課題を解決した。
即ち、このような処理を施すことにより、上記の活性炭内部に分布するミクロ孔やメソ孔,マクロ孔といった細孔のうち、ケルビン効果によって水分を優先的に吸着するミクロオーダーの毛細管を、プレコート手段によって、その内部を炭化水素の液体で満たして(業界用語ではヒールを履かせて)活性をなくし、あとから吸着塔に導入される排ガス中の水分を吸着させずに素通りさせて仕舞う作用効果が生じるものである。
即ち、このような処理を施すことにより、上記の活性炭内部に分布するミクロ孔やメソ孔,マクロ孔といった細孔のうち、ケルビン効果によって水分を優先的に吸着するミクロオーダーの毛細管を、プレコート手段によって、その内部を炭化水素の液体で満たして(業界用語ではヒールを履かせて)活性をなくし、あとから吸着塔に導入される排ガス中の水分を吸着させずに素通りさせて仕舞う作用効果が生じるものである。
すなわち、本発明に係る処理方法は、“多量の水分と希薄な揮発性炭化水素が共存する大量の排ガス”を対象とするものであって、
・吸着操作と脱着操作を交互に行う“吸着剤層を有する吸着装置”を用い、一方の吸着装置に水分と揮発性炭化水素を含む排ガスを通過せしめ、該吸着装置内の吸着剤層に揮発性炭化水素だけを吸着させ、実質的に揮発性炭化水素を含まない水分のみを含有する排ガスを吸着装置の出口から取り出し、その間に、他方の吸着装置を脱着に切り替えて、先に吸着された揮発性炭化水素を系外に取り出すことから成る前記排ガスの処理方法において、
・前記吸着剤層は、吸着孔径が10〜100オングストロームの範囲にあるメソポアー活性炭を充填した吸着剤層であって、この吸着剤層を予め前記の揮発性炭化水素でプレコートし、脱着時に、真空ポンプとパージガスをそれぞれ単独に又は併用し、得られたパージ排ガスを系外に取り出し、破過する前に吸着から脱着に切り替える(請求項1)、
ことを特徴とし、これにより前記第一乃至第四の課題を解決したものである。
・吸着操作と脱着操作を交互に行う“吸着剤層を有する吸着装置”を用い、一方の吸着装置に水分と揮発性炭化水素を含む排ガスを通過せしめ、該吸着装置内の吸着剤層に揮発性炭化水素だけを吸着させ、実質的に揮発性炭化水素を含まない水分のみを含有する排ガスを吸着装置の出口から取り出し、その間に、他方の吸着装置を脱着に切り替えて、先に吸着された揮発性炭化水素を系外に取り出すことから成る前記排ガスの処理方法において、
・前記吸着剤層は、吸着孔径が10〜100オングストロームの範囲にあるメソポアー活性炭を充填した吸着剤層であって、この吸着剤層を予め前記の揮発性炭化水素でプレコートし、脱着時に、真空ポンプとパージガスをそれぞれ単独に又は併用し、得られたパージ排ガスを系外に取り出し、破過する前に吸着から脱着に切り替える(請求項1)、
ことを特徴とし、これにより前記第一乃至第四の課題を解決したものである。
また、本発明に係る処理方法は、前記排ガスの量が毎時1000m3以上という大量の排ガスであって、しかも、該排ガス中に含まれる水分が相対湿度(RH)で60%以上、特に80%以上であって、かつ該排ガス中に含まれる揮発性炭化水素の濃度が10000PPM以下、特に5000PPM以下という希薄な排ガスを処理することを特徴とし(請求項2〜5)、このような“多量の水分と希薄な揮発性炭化水素が共存する大量の排ガス”の処理に、特に望ましいものである。
また、本発明に係る処理方法は、前記排ガスと前記吸着剤層との接触時間が5秒以下であることを特徴とし(請求項6)、このように接触時間を“小”とすることができ、吸着剤の量を出来るだけ少なくすることができる。
さらに、本発明に係る処理方法は、パージ排ガス中に含まれている濃厚な揮発性炭化水素を液体として回収することを目的として、脱着された前記パージ排ガスを冷却処理し、この際に未凝縮ガスを前記吸着装置の入口に戻す(リターンする)ことを特徴とする(請求項7)。
さらに、本発明に係る処理方法は、パージ排ガス中に含まれている濃厚な揮発性炭化水素を液体として回収することを目的として、脱着された前記パージ排ガスを冷却処理し、この際に未凝縮ガスを前記吸着装置の入口に戻す(リターンする)ことを特徴とする(請求項7)。
以下、本発明の実施の形態を含めて本発明を具体的に詳細に説明する。(なお、以下の記載において、本発明で対象とする“水分を多量に含む希薄な揮発性炭化水素”を「HCガス」と言うこともある。)
従来から公知の“活性炭を用いる吸着法”で使用されている活性炭は、無数の細孔がミクロポアーで構成されており、細孔内に奥深く侵入し拡散した該揮発性炭化水素とカーボン壁とは、強いファンデルワールス力によって、強固なC−C結合を形成しているが、親和力が強い反面、いわゆる毛管凝縮を起こすために、凝縮熱を上回る莫大な吸着熱を発生し、安易な使用に対して火災の危険性が懸念されてきた。
また、毛管凝縮を起こしている揮発性炭化水素をミクロポアーから離脱させるためには、スチームのような加熱手段が必要であって、真空ポンプやパージという簡便な手段では脱着しないことも知られている。さらに、混在する“HCガス”がジエン類,オレフイン類等である場合、活性炭内に存在する多数の活性点に触発されて、かかる成分が容易に重合し、その重合熱によって“発火,爆発の危険性”を伴うという問題が発生する。
このために、前述の燃焼法に代わる手段としてかかる活性炭を使用する場合は、スチームによる脱着が不可欠で、しかも、スチームの凝縮によって発生する大量の水の中に“HCガス”が溶け込み、世界一厳しい我が国の水質基準をクリアーするためには高価な廃水処理設備を必要とする。
このために、前述の燃焼法に代わる手段としてかかる活性炭を使用する場合は、スチームによる脱着が不可欠で、しかも、スチームの凝縮によって発生する大量の水の中に“HCガス”が溶け込み、世界一厳しい我が国の水質基準をクリアーするためには高価な廃水処理設備を必要とする。
上記問題を解決するために、本発明者等は、従来から汎用されている前記の活性炭に代えて細孔の大きさが主に10〜100オングストロームのメソポアー孔から成る難燃性の活性炭(MPC)を用い、或いは、周知の不燃性固体吸着剤(具体的には合成ゼオライト及び/又は疎水性シリカゲル)をMPCと併用し、揮発性炭化水素を吸着する際に伴う前記の危険性を回避できることを見いだした。この方法は、「濃厚なHCガスを含む少量の排ガスの処理法」、つまり「吸脱着のスイング方式」として、本発明者等が既に提案し実証されている(特開2004−42013号公報参照)。
しかしながら、本発明で対象とする“多量の水分と希薄な揮発性炭化水素が共存する大量の排ガス”を処理する場合、上記スイング方式を安易に適用することは危険である。
すなわち、通常使用されている孔径の小さな活性炭(ミクロ孔活性炭)を用いて、水分の少ない1000PPM以下の余程希薄なHCガスを処理する場合は別として、濃度が10000PPMを超えるような濃くて、しかも、ガス量が毎時5000m3を超えるような大量の場合では、細孔内への毛管凝縮に伴う発熱により吸着塔内の温度は100℃を遙かに超える。特に、多量の水の存在は、吸着に際して莫大な吸着熱を放散するために温度が異常に上昇し、屡々爆発の危険性を孕んでいる。この対策としては、吸着塔内に冷却コイルを内蔵させる手段が公知である。或いは、パージ排ガスを冷却した際に得られるHC(液体)を、吸着塔内に循環させてその蒸発潜熱を利用して吸着塔を冷却する方法も提案されている。
すなわち、通常使用されている孔径の小さな活性炭(ミクロ孔活性炭)を用いて、水分の少ない1000PPM以下の余程希薄なHCガスを処理する場合は別として、濃度が10000PPMを超えるような濃くて、しかも、ガス量が毎時5000m3を超えるような大量の場合では、細孔内への毛管凝縮に伴う発熱により吸着塔内の温度は100℃を遙かに超える。特に、多量の水の存在は、吸着に際して莫大な吸着熱を放散するために温度が異常に上昇し、屡々爆発の危険性を孕んでいる。この対策としては、吸着塔内に冷却コイルを内蔵させる手段が公知である。或いは、パージ排ガスを冷却した際に得られるHC(液体)を、吸着塔内に循環させてその蒸発潜熱を利用して吸着塔を冷却する方法も提案されている。
しかし、本発明に係る処理方法は、このような方法ではなく、前掲の特開2004−42013号公報に開示されているように、毛管凝縮はしないが、しかし、孔径の広い細孔領域内にHCを液体として多量に溜め置くことが出来る吸着剤、即ちミクロ孔ではなくメソ孔を主体とする活性炭を用いることで解決したものである。
この活性炭は、以前から「キャニスター」と呼ばれ、日本を除く欧米先進国では法的規制により自動車が走行中に漏れるガソリンベーパーを吸着させ、ある程度溜まったら、新鮮な空気で脱着させてエンジンルームで燃焼させるシステムに採用されており、発熱の危険性が全くないことが証明されている。
この活性炭は、以前から「キャニスター」と呼ばれ、日本を除く欧米先進国では法的規制により自動車が走行中に漏れるガソリンベーパーを吸着させ、ある程度溜まったら、新鮮な空気で脱着させてエンジンルームで燃焼させるシステムに採用されており、発熱の危険性が全くないことが証明されている。
しかしながら、本発明に係る処理方法の主たる目的は、“発熱の問題”もさりながら、“多量の水分と希薄な炭化水素を含む大量の排ガス中から、吸脱着処理にて、揮発性炭化水素だけを取り出す”ことにある。そのための最適な方法として、本発明に用いるメソ孔活性炭の孔径が望ましくは20〜40オングストロームの範囲にある活性炭であって、予め“HCガス”でプレコートする場合、約20オングストローム以下の細孔の中を炭化水素液体で充満させてこの孔を潰し、活性をなくした状態で使用することで完全に解決された。
次に、本発明に係る処理方法の実施例について、図1を参照して説明する。
本実施例は、図1に示すように、吸着剤を充填した吸着塔(脱着塔)7a,7b、真空ポンプ4、パージ用の空気供給ライン8,8a,8b、排ガスの供給ライン1、未凝縮ガスの戻しライン6から成るラボスケールの実験装置を用いて、多量の水分を含む排ガス中の希薄な揮発性炭化水素を処理する例である。
なお、図1中の2a,2b,3a,3b,9a,9bは、いずれも電磁弁であり、また、図1中の5は気液分離器、9は大気に放散するガスラインである。
本実施例は、図1に示すように、吸着剤を充填した吸着塔(脱着塔)7a,7b、真空ポンプ4、パージ用の空気供給ライン8,8a,8b、排ガスの供給ライン1、未凝縮ガスの戻しライン6から成るラボスケールの実験装置を用いて、多量の水分を含む排ガス中の希薄な揮発性炭化水素を処理する例である。
なお、図1中の2a,2b,3a,3b,9a,9bは、いずれも電磁弁であり、また、図1中の5は気液分離器、9は大気に放散するガスラインである。
本実施例において、吸着塔に充填するメソポアー活性炭(MPC)としては、キャタラー社の商品名「HF−1」を用いた。この活性炭の細孔径は、狭い所で10Å,広い所で100Åに分布しており、中心が20〜40Åの範囲に集中している(原料は石炭系で褐炭をベースにしている)。また、この活性炭の粒径は約3mmであり、その嵩比重は約0.4である。
上記活性炭を充填した量は約500g(片側)である。この量は、排ガスと吸着剤(MPC)との接触時間を“5秒”に設定すべく計量したものである。
上記活性炭を充填した量は約500g(片側)である。この量は、排ガスと吸着剤(MPC)との接触時間を“5秒”に設定すべく計量したものである。
本実施例では、排ガスの供給ライン1から1000PPMのベンゼンを含むRH約80%の湿った空気を、毎分6リットルの割合で吸着塔に送気するが、その前に、吸着塔7a、7bを操作するに先立って、この塔内に充填したMPCを予めプレコートさせる。
このプレコート手段としては、吸着塔7a,7bの入口ラインである排ガスの供給ライン1から5容量%の濃厚なベンゼンを毎分6リットルの割合で供給し、入口ガス中のベンゼン濃度と出口ガス中のベンゼン濃度が等しくなるまで破過運転を継続する。この作業は数時間乃至1日以上に及ぶ場合がある。
このプレコート手段としては、吸着塔7a,7bの入口ラインである排ガスの供給ライン1から5容量%の濃厚なベンゼンを毎分6リットルの割合で供給し、入口ガス中のベンゼン濃度と出口ガス中のベンゼン濃度が等しくなるまで破過運転を継続する。この作業は数時間乃至1日以上に及ぶ場合がある。
両方の吸着塔7a,7b内のMPCが完全にプレコートされたことを確認した後に、前記排ガスを導入して吸脱着操作を始める。
吸着,脱着の切り替え時間は5分で、稼働直後は、吸着塔の出口ガス中のベンゼン濃度は約1000PPMであったが、時間が経過するにつれて次第に濃度が低くなり、ゼロエミッションに近づく10PPMになるまでには、丸一日を要した。その後は、継続して10PPM以下であることを確認した。
また、検証された成果として、前記プレコート中の発熱は、吸着剤層内で約60℃であったが、プレコート完了後の吸脱着時の温度の高低は、室温を境に上下3〜4℃の巾に収まった。
吸着,脱着の切り替え時間は5分で、稼働直後は、吸着塔の出口ガス中のベンゼン濃度は約1000PPMであったが、時間が経過するにつれて次第に濃度が低くなり、ゼロエミッションに近づく10PPMになるまでには、丸一日を要した。その後は、継続して10PPM以下であることを確認した。
また、検証された成果として、前記プレコート中の発熱は、吸着剤層内で約60℃であったが、プレコート完了後の吸脱着時の温度の高低は、室温を境に上下3〜4℃の巾に収まった。
脱着時に使用した真空ポンプ4は、堀技研工業社の揺動式ドライタイプであって、操作の際の真空度は約20mmHg,併用したパージガス(空気)の量はパージ係数(α)で2であった。
真空ポンプ4からのパージ排ガスは、気液分離器5において冷媒(フレオンガス)により3〜5℃程度に冷却させ、パージ排ガス中に含まれる濃厚なベンゼン蒸気を液体として回収した。一方、未凝縮のベンゼンガスは、未凝縮ガスの戻しライン6を経て、吸着塔の入口の排ガス中に戻される。なお、2a,2bは、吸着塔と脱着塔を5分毎に切り替えるための電磁弁であり、また、9は、同様に清浄な排気ガスとして、9a,9bの電磁弁を介して、大気に放散するガスのラインである。
真空ポンプ4からのパージ排ガスは、気液分離器5において冷媒(フレオンガス)により3〜5℃程度に冷却させ、パージ排ガス中に含まれる濃厚なベンゼン蒸気を液体として回収した。一方、未凝縮のベンゼンガスは、未凝縮ガスの戻しライン6を経て、吸着塔の入口の排ガス中に戻される。なお、2a,2bは、吸着塔と脱着塔を5分毎に切り替えるための電磁弁であり、また、9は、同様に清浄な排気ガスとして、9a,9bの電磁弁を介して、大気に放散するガスのラインである。
本実施例での最大の作用効果は、排ガス中に含まれている水分、即ちRHで約80%の水分が、吸着剤に吸着されずにそのまま、大気に放散するガスライン9を経て、大気放出されたことである。
以上の実施例を、その結果を含めて要約すると、次のとおりである。
・供給ガス:6リットル/分
・吸着塔入口ガス組成:排ガス中のベンゼン 1000PPM
排ガス中に含有されている水分(RH) 80%
・吸着塔出口ガスガス組成:放散ガス中のベンゼン 10PPM以下
放散ガス中に含有されている水分(RH) 80%
・供給ガス:6リットル/分
・吸着塔入口ガス組成:排ガス中のベンゼン 1000PPM
排ガス中に含有されている水分(RH) 80%
・吸着塔出口ガスガス組成:放散ガス中のベンゼン 10PPM以下
放散ガス中に含有されている水分(RH) 80%
本発明は、以上詳記したように、「多量の水分と希薄な炭化水素を含む大量の排ガスの処理方法」であって、燃焼法のように“炭酸ガスの放出”を伴わないのみならず、含まれている揮発性炭化水素を液体として回収してゼロエミッションを達成させる処理方法を提供するものであり、その産業上の利用可能性が極めて顕著である。
1 排ガスの供給ライン
2a,2b 電磁弁
3a,3b 電磁弁
4 真空ポンプ
5 気液分離器
6 未凝縮ガスの戻しライン
7a,7b 吸着塔
8,8a,8b パージ用の空気供給ライン
9 大気に放散するガスライン
9a,9b 電磁弁
2a,2b 電磁弁
3a,3b 電磁弁
4 真空ポンプ
5 気液分離器
6 未凝縮ガスの戻しライン
7a,7b 吸着塔
8,8a,8b パージ用の空気供給ライン
9 大気に放散するガスライン
9a,9b 電磁弁
Claims (7)
- 多量の水分と希薄な揮発性炭化水素が共存する大量の排ガスを、吸着と脱着を交互に切り替えて運転する吸着装置を用いて処理する方法において、吸着孔径が10〜100オングストロームの範囲にあるメソポアー活性炭を充填した吸着剤層であって、この吸着剤層を予め前記揮発性炭化水素でプレコートし、脱着時に、真空ポンプ及び/又はパージガスを用い、得られたパージ排ガスを系外に取り出し、破過する前に吸着から脱着に切り替えることを特徴とする多量の水分と希薄な炭化水素を含む大量の排ガスの処理方法。
- 前記排ガスの量が時間当たり1000m3以上であり、かつ含まれる揮発性炭化水素の濃度が10000PPM以下である、請求項1に記載の多量の水分と希薄な炭化水素を含む大量の排ガスの処理方法。
- 前記揮発性炭化水素の濃度が5000PPM以下である、請求項2に記載の多量の水分と希薄な炭化水素を含む大量の排ガスの処理方法。
- 前記排ガス中に含まれる水分が相対湿度(RH)で60%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多量の水分と希薄な炭化水素を含む大量の排ガスの処理方法。
- 前記排ガス中に含まれる水分が相対湿度(RH)で80%以上である、請求項4に記載の多量の水分と希薄な炭化水素を含む大量の排ガスの処理方法。
- 前記排ガスと前記吸着剤層との接触時間が5秒以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多量の水分と希薄な炭化水素を含む大量の排ガスの処理方法。
- 前記パージ排ガスを冷却処理し、この際の未凝縮ガスを前記吸着装置の入口に戻す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多量の水分と希薄な炭化水素を含む大量の排ガスの処理方法。
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2005
- 2005-02-25 JP JP2005050218A patent/JP2006231213A/ja active Pending
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CN102512907B (zh) * | 2011-12-12 | 2014-08-13 | 温州康诺克医疗器械有限公司 | 输液器组装车间异味净化装置 |
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