JP2005205392A - 揮発性炭化水素を含む排ガスの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 吸着孔径が10〜100Åの活性炭を充填した吸着塔1に、比較的小量でかつ間欠的に発生する排ガスを、該排ガス発生期間中は継続して吸着塔1を通過せしめて該吸着塔1内に揮発性炭化水素を溜め込み、その間、実質的に揮発性炭化水素を含まない排ガスを吸着塔1の出口から放出し、一方、前記排ガスの発生が停止した期間中に、先に揮発性炭化水素を大量に溜め込んだ吸着塔1をそのまま脱着操作に切り替えて、吸着された揮発性炭化水素を濃厚な揮発性炭化水素として系外に取り出す、揮発性炭化水素を含む排ガスの浄化方法。
【選択図】 図1
Description
また、乗用車に給油する際、給油ホースから外に漏れるガソリンベーパーについては、現時点において規制がない。特に、ガソリンスタンドにおいては、防災上の危険性から消防法規が優先するために、前記の公害防止上の対策が欧米先進国に比べて遅れてきたのが実情である。
具体的には、空気中のガソリンベーパーを高分子膜に浸透させるべく、膜を挟んで、外側をガソリンベーパーが通過する膜の内側を真空ポンプで吸引する。この膜の性能は運転実績からして、回収率が約90%である。ガソリンスタンドに入出庫するタンクローリー車のガソリンベーパーを対象にすれば、本発明は、上記の排ガス処理手段として従来から比較検討されて明らかなように、膜法に比べて格段に性能の優れた吸着法をガソリンスタンドの排ガス処理に適用すべく提案したものである。
活性炭について言えば、従来から一般に、ミクロオーダーの孔径をもつ活性炭が使われているが、これは、優れた吸着性能をもつ反面、脱着性能が悪く、そのため、殆どがスチームによる加熱脱着である(非特許文献1参照)。加えて吸着時に、毛管凝縮に起因する異常な高温をコントロール出来ない場合、現在でも発火する事故が散見される。
この処理方法は、「揮発性炭化水素で予めプレコートして成るメソポアー活性炭を充填した吸着層、又は、同様にプレコートして成る疎水性シリカゲル及び/又はゼオライトを併用した多層充填層を使用し、脱着時には、真空ポンプとパージガスを併用し、吸・脱着の切り替え時間を1〜30分とする」を特徴とするものである。
また、“吸着熱による莫大な発熱を未然に防ぐ”という観点から、吸着塔内に冷却コイルを内蔵させる手段は、古くから常識として汎用されている。さらに、吸着塔内に冷却水ではなく、パージ排ガスを冷却した際に得られた揮発性炭化水素(液体)を循環させる方法も提案されている(特許文献3参照)。
第一に、従来から揮発性炭化水素を含む排ガスの処理分野で汎用されている膜法,吸着法,燃焼法等の欠点を解消し、終局の目標である「ゼロエミツション」を達成するための処理方法を提供することであり、
第二に、吸着法に更なる改良を加え、発生源から間欠的に発生する揮発性炭化水素を含む排ガスから、揮発性炭化水素を分離・回収し、“高純度の液体炭化水素”として再利用を図る、経済性に優れた処理方法を提供することである。
脱着装置から系外に取り出す手段としては、専ら真空ポンプの吸引によるが、少量のパージガスを併用することも妨げない。また、このパージガスは空気でも良いが、防災上の観点から“窒素”であればより好ましい。
・前記活性炭及び/又は疎水性シリカゲルが、揮発性炭化水素でプレコートしてなる吸着剤であること(請求項2)、
・前記脱着装置の脱着操作圧力が大気圧以下であること(請求項3)、
・前記排ガスが、ガソリンスタンドにおいてタンクローリー車の荷下ろし及び/又は乗用車に給油する際に発生するガソリンベーパーであること(請求項4)、
・前記脱着操作において、パージガスを併用すること(請求項5)、
・前記脱着操作により取り出されるパージ排ガスを深冷処理し、この際の未凝縮ガスを別途に設けたガードアダプターにて処理すること(請求項6)、
・前記排ガスが、ガソリンスタンドにおいてタンクローリー車の荷下ろし及び/又は乗用車に給油する際に発生するガソリンベーパーであって、前記ガソリンベーパーを前記吸着装置内の吸着剤層に大量に溜め込む際に、該ガソリンベーパーの発生期間内に前記吸着装置が短時間で破過する場合、吸着装置とアダプターとを交互にスイングさせて吸脱着を行わしめること(請求項7)、
を特徴とし、これにより、前記課題を達成することができる。
本発明で対象とする排ガスは、前記したように、「比較的小量で、かつ間欠的に発生する排ガス」である。「比較的少量」とは、“900m3/時以下”を意味し、特に“200m3/時”程度で、間欠的に発生する排ガスに適用することが好ましい。例えば、このような比較的小さな量の石油製品を扱うガソリンスタンドや、小口販売施設において、塗装時,印刷時乃至は洗浄時に排出される濃淡さまざまな揮発性炭化水素であって、かつ、間欠的にしか発生しない排ガスを対象とする。
本発明で使用する吸着剤は、吸着孔径が10〜100Åの範囲にある活性炭乃至は疎水性シリカゲルである。従来から公知の“活性炭を用いる吸着法”で使用されている活性炭は、無数の細孔がミクロポアー(数Åのオーダー)で構成されている。そして、細孔内に奥深く侵入し拡散した該揮発性炭化水素とカーボン壁とは、強いファンデルワールス力によって強固なC−C結合を形成しているが、親和力が強い反面、いわゆる毛管凝縮を起こすために、凝縮熱を上回る莫大な吸着熱を発生し、安易な使用に対して火災の危険性が懸念されてきた。
また、毛管凝縮を起こしている揮発性炭化水素をミクロポアーから離脱させるためには、スチームのような加熱手段が必要で、真空ポンプやパージという簡便な手段では脱着しないことも知られている。
この点については、前褐の特許文献1に記載されているように、本発明者等が既に提案しており、濃厚なHCガスを含む排ガスの“スイング方式”において、商業的規模の装置で実証している。
更に、前褐の特許文献2に開示されているように、かかるメソポアー活性炭を予め“HCガス”でプレコートした状態で使用することは、脱着の容易性という点で好ましく、これにより、メソポアー活性炭内に若干でも残っているÅオーダーの細孔(活性炭メーカーでは“ヒール”と呼んでいる)を閉塞してしまう点で、より安全性を期することができる。即ち、このような状態でメソポアー活性炭を使用すれば、吸着時の温度上昇は、5〜10℃前後であって常温とさして変らない。
本発明に係る処理方法は、前記したよう「吸着孔径が10〜100Åの範囲にある活性炭及び/又は同様な孔径を有する自明の疎水性シリカゲル」を用いることを特徴とする。
しかしながら、場所によってタンクローリー車が二台,三台と続けて入庫する場合は、所定の吸着装置が短時間で破過するために、経済的見地から、ガードアダプターと吸着塔とを交互にスイングさせる、即ち、従来から公知の2塔式のスイング方式による吸脱着方法に切り替えることを妨げるものではない。
以下、本発明の具体的な適用例について、一例として、ガソリンスタンドに入庫するタンクローリー車が、地下タンクに荷下ろしする際に、該タンクから発生する「ガソリンベーパーを25Vol%含有する20m3の排ガス」を処理する場合の例を挙げ、図1に基づいて説明する。なお、図1は、本発明に係る処理方法の一実施形態を示すフローシート図である。
脱着に必要な真空ポンプの容量は次の計算式で求めた。
(20×0.25)×760/(120×25)=1.3m3/分
但し、脱着に要する時間は2時間とした。しかしながら、溜め込んだ上記15Kgのガソリンベーパーを脱着させる時間が長い程、真空ポンプの容量は少なくて済むことは、上記の計算式から容易に類推できる。なを、参考までに、前記の吸着塔内を通過するガソリンベーパーと、充填した吸着剤との接触時間は約10秒で、この時間は吸着法においては慣行の値である。
次に、本発明に係る実験例を、図2のフローシートに基づいて説明する。
表1に、メソポアー活性炭を使用した場合の実験例の結果を示したが、この目的は、タンクローリー車が数台続けてガソリンを荷下ろしする場合、“溜め方式”では処理できない場合を想定して、従来から本発明者等が慣用している二塔式の吸脱着方式(PTSA法)に切り替えた場合の例である。
この場合は、応急的に、既に“溜め方式”に組み込まれているアダプターと吸着塔を繋いで交互にスイングさせる。
参考として、吸着塔11(11’)における吸着時の温度上昇を示すデータを表2に示したが、従来から危険視されてきたミクロ孔主体の活性炭とは違って、極めて安全性の高い活性炭であることが判明した。
2 ガードアダプター(吸着塔)
3 真空ポンプ
4 クーラー
5 気液分離器
6 レベルコントローラー
7 送液ポンプ
a 排ガス供給ライン
b,b’ 排ガス放出ライン
c パージガス導入ライン
d パージ排ガスライン
e 凝縮液取得ライン
f 未凝縮ガス放出ライン
V1,V2,V3,V4,V5,V6 バルブ
11,11’ 吸着塔
12 送入管
13 真空ポンプ
14 冷却器
15 リターンパイプ
16 排出管
Claims (7)
- 吸着と脱着を交互に切り替えて運転することから成る吸着装置において、吸着孔径が10乃至100オングストロームの範囲にある、活性炭及び/又は疎水性シリカゲルから成る吸着剤層であって、該吸着剤層中を、比較的小量で、かつ、間欠的に発生する排ガスを、該ガス発生期間中は継続して通過せしめ、該排ガス中の揮発性炭化水素を前記吸着装置内の吸着剤層に溜め込み、その間、実質的に揮発性炭化水素を含まない排ガスを吸着装置の出口から放出させ、排ガスの発生が停止した期間中に、先に揮発性炭化水素を大量に溜め込んだ吸着装置をそのまま脱着操作に切り替えて、吸着された揮発性炭化水素を濃厚な揮発性炭化水素として脱着装置から系外に取り出すことからなる、揮発性炭化水素を含む排ガスの処理方法。
- 前記活性炭及び/又は疎水性シリカゲルが、揮発性炭化水素でプレコートしてなる、請求項1に記載の揮発性炭化水素を含む排ガスの処理方法。
- 前記脱着装置の脱着操作圧力が大気圧以下である、請求項1または請求項2に記載の揮発性炭化水素を含む排ガスの処理方法。
- 前記排ガスが、ガソリンスタンドにおいてタンクローリー車の荷下ろし及び/又は乗用車に給油する際に発生するガソリンベーパーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の揮発性炭化水素を含む排ガスの処理方法。
- 前記脱着操作において、パージガスを併用する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の揮発性炭化水素を含む排ガスの処理方法。
- 前記脱着操作により取り出されるパージ排ガスを深冷処理し、この際の未凝縮ガスを別途に設けたガードアダプターにて処理する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の揮発性炭化水素を含む排ガスの処理方法。
- 前記排ガスが、ガソリンスタンドにおいてタンクローリー車の荷下ろし及び/又は乗用車に給油する際に発生するガソリンベーパーであって、前記ガソリンベーパーを前記吸着装置内の吸着剤層に溜め込む際に、該ガソリンベーパーの発生期間内に前記吸着装置が短時間で破過する場合、吸着装置とアダプターとを交互にスイングさせて吸脱着を行わしめる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の揮発性炭化水素を含む排ガスの処理方法。
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