JP2006229092A - 微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維を用いた電解コンデンサー用セパレーター - Google Patents

微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維を用いた電解コンデンサー用セパレーター Download PDF

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Abstract

【課題】電解コンデンサー用セパレーターとして用いる紙において、薄く、低密度であるにも関わらず強度があるため取り扱いが容易で、しかも低インピーダンス、低tanδ等電気的特性の優れたものを提供する。
【解決手段】電解コンデンサー用に使用する紙において、その主体構成繊維に著しく微細なるポリアミドイミド繊維および/またはポリイミド繊維を使用することにより、その強度を維持しつつ、薄くしかも低密度化できるうえ、電気特性の優れたセパレーターを製造することができる。

Description

本発明は電解コンデンサー用セパレーターにおいて、その主体構成繊維として従来にない著しく微細なるポリアミドイミド繊維および/またはポリイミド繊維を用いることで、薄く、かつ低密度であって、しかもインピーダンスやtanδ等電気的特性に優れ、ショート不良率が改善できるうえ、高強度であるため取り扱いに優れたセパレーターに関する。
電解コンデンサーは陽極・陰極とするアルミニウムなどの金属箔の間に、電解液を含浸させた紙・不織布を挟んだものを巻回積層した素子本体と、正極・負極箔からそれぞれ引き出した端子と、これらを封止する封口材とケースにより構成されている。電解コンデンサーでは高純度金属箔表面に酸化皮膜を誘電体として形成したものを陽極とし、陰極には自然酸化皮膜を用いる。実際には陽極の金属箔が真の陽極であり、酸化皮膜の厚みが電極間距離であり、駆動用電解液が真の陰極として働いている。電解コンデンサーでは静電容量アップのためには電極間距離を小さくするほうが有利である。即ち前述したように陽極の酸化皮膜の厚みが薄いほうが良い。
この場合、電極間に介在するセパレーターには、第一に電極間の接触による内部ショートを防止する機能が要求される。これには巻回時のハンドリングにおいて破れがないこと、即ち強度が要求される。また、たとえ破損がなくともセパレーターの厚みが不均一で、例えば、その空隙が部分的に大きく開いているような箇所があれば、電極間金属の直接接触や摩耗による酸化皮膜の剥離からショートする危険を常に孕んでいる。それではショートを防止するためセパレーターの厚みを厚くしても良いかというとそうではなく、厚みの厚いセパレーターでは、セパレーター自身の電気抵抗が増加し、またセパレーターの占有体積増加のために極板面積が減少し、静電容量低下につながる。
第二に要求される機能は駆動用電解液と陰極との間の電気的機能を妨害しない、即ち低インピーダンス、低tanδ化である。具体的には(1)セパレーターの殆どの面積が電流の通路となるように空隙断面積が大きいこと、(2)セパレーターができる限り薄いこと、(3)セパレーターの構成繊維ができる限り円柱状であること、(4)セパレーターの構成繊維径ができる限り小さいことである。
しかし、例えば合成繊維では繊維径を細く、かつ円形にすることは可能であったが、一般的には合成繊維は疎水性であり、駆動用電解液との親和性が低い。このことは例えば極端な例では電解液と接触する繊維表面に誘電効果による電荷の偏在を招きtanδの増加に繋がることになる。
従って、現在この種のセパレーターには電解液との親和性の高い、即ち親水性のある天然植物系繊維、例えばマニラ麻やパルプなどのセルロース系を使用することが主体である。セルロース系天然繊維はその構造にフィブリルを含むため、繊維径が細く、この微細繊維が空隙を埋めるため、セパレーターにした時に部分的に大きく開口することがなく、ショートの防止には有効である。またフィブリル化することで見かけ比重が小さくなり、空隙断面積が大きくなることも利点である。然るにその構成繊維は極めて扁平な形状を有しており、この形状は理想と異なる。この様にセパレーターとして多用されている天然セルロース系繊維でも最適ではないことが現実である。
一方、天然セルロース系繊維に一定量のポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの合成繊維を混合して、セパレーターとして用いようとすることも行われているが、その密度は0.3g/cm程度であり大きな効果はない。しかも、巻取り作業やその後の取り扱いで強度不足による問題が多発し、歩留まりを悪化させるうえ、インピーダンスも大きく改善されることはない。
一方、合成繊維中でも最も親水性の高いポリビニルアルコール系繊維をセパレーターに利用する試みもなされている。ポリビニルアルコール系繊維は電解液との親和性が良好であり、このことは極めて有利である上、抄紙性が良好であること、更には高強度であることも好適と言える。但し、ポリビニルアルコール系繊維のみではセパレーターとして最小の強度を有した状態での最小密度はせいぜい0.27〜0.28g/cm程度であり、従ってそのインピーダンスはそれほど大きく改善されることはない。
更に、例えば特許文献1に記載されているように、一定以上の湿潤ヤング率と配向性を有するセルロース繊維のフィブリル化物と0.4デニール以下のポリビニルアルコール系繊維を主体繊維としてセパレーターを作ることで低密度・高強度であり、内部ショートの発生を防止でき、低インピーダンスであることを提唱している電解コンデンサー用セパレーターもある。確かにポリビニルアルコール繊維単独であるよりも、フィブリル化できる再生セルロース繊維を用いることで、天然繊維より比較的形状のそろったことが利点となり得ることは間違いないものの、再生セルロース繊維を叩解によりフィブリル化させることが必要であり、しかも高度にフィブリル化させるためにはそれに応じた強い叩解を要するので高強度が要求されるのである。さらに、再生セルロース繊維としては叩解によりフィブリル状物が繊維主骨格部分と該主骨格部分から出た長いミクロフィブリル繊維が四方へ伸びた形態のものとすることが必要であり、この目的のためには事実上、英国コートルズ社のテンセルに限られることが大きな制限と成るのである。
更に、他の合成繊維に目を転じると、250℃という厳しい高温環境下でも、連続使用に耐え、電気特性としては、広い温度・周波数領域にわたって、安定した特性、特に低tanδを示し、脂肪族および芳香族炭化水素、塩素化およびフッ素化炭化水素、及びほとんどの酸に対する優れた耐薬品性を有し、また線膨張係数が小さく、寸法安定性に優れるポリアミドイミド繊維および/またはポリイミド繊維を本目的に用いることが望まれる。
ポリアミドイミド樹脂の繊維化の具体例としては、例えば特許文献2に記載されているように、良溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン中にポリアミドイミド樹脂を溶解し、これを水あるいはN−メチル−2−ピロリドン水溶液中に湿式紡糸する方法や、樹脂溶液を加熱気体中に吐出し、溶剤を蒸発させて固化させる乾式紡糸法、または樹脂溶液を加熱気体中に吐出し、直ちに凝固液中で固化させる乾湿式紡糸法などが挙げられる。
また、ポリイミド樹脂の繊維化の具体例としては、例えばポリ(4,4′−オキシジフェニレンピロメリットイミド)の繊維化について紡糸・延伸後に高温加熱処理を行い脱水閉環させる方法が提案されている。また、ポリイミドを溶剤又は可塑剤に溶解又は分散し、これを紡糸してフィラメントとする方法や、また、熱可塑性ポリイミドを原料として溶融紡糸する方法も知られている。
しかしながら、従来のポリアミドイミド繊維およびポリイミド繊維では充分に満足行く微細化がなし得ず、前述した方法ではその最小繊維径は3μm程度までであった。ポリアミドイミド繊維およびポリイミド繊維の製造方法として湿式紡糸や乾式あるいは乾湿式紡糸は一般的な技術ではあったが、基本的に単一成分からなるポリアミドイミド樹脂およびポリイミド樹脂を紡糸した繊維を延伸して充分な細さにしたり、最初から細い繊維を紡糸することには技術的限界があり細繊化と均一化の両立に関しては好適な方法がなかった。
従来、微細繊維を得る方法としては、例えば芯と鞘が別々のポリマーからなるいわゆるコンジュゲート繊維を紡糸し、後に鞘成分を何らかの方法で除去することで芯成分の微細繊維を得る方法、複数の成分からなりそれぞれが非相溶の紡糸原液を紡糸し、叩解あるいは他の方法で分割微細化する方法などが挙げられるが、これらいずれの方法もポリアミドイミド繊維およびポリイミド繊維で実用化された例は無かった。
特開平6−163324号公報 特開平8−218223号公報
電解コンデンサー用セパレーターとしての高性能の紙あるいは不織布はますます重要かつ不可欠な素材として要望されているが、一方で従来のセパレーターにおいてはすべての要望を満たすのが難しく、未だ充分なる特性が得られない現状に鑑み、本発明者らは鋭意検討を進めてきた結果、新たなるセパレーターを完成させることができたものである。
即ち、本発明の課題は、製造時においては充分なる強度を有するがゆえに取り扱いが容易なうえ、低密度化が可能であり、従って低インピーダンス、低tanδを満たす電解コンデンサー用セパレーターを提供することにある。
上記の課題は本発明による特別なる技法を用いて作られた0.01μm以上、2μm未満の微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維と直径が1μm以上、10μm未満であり、かつ、水への溶解温度が60℃以上90℃未満で溶解性を有するポリビニルアルコール系繊維を、その質量比が微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維:ポリビニルアルコール系繊維=99:1〜90:10の範囲で用いることで達成できるものである。
本発明で用いる構成繊維は従来から多用された天然系セルロール繊維とは異なり、ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール系繊維とも合成繊維であり、その断面形態は理想的な円形に近い。しかもポリビニルアルコール系繊維は一般的な合成繊維に比べ、親水性が高く、このため、駆動用電解液との親和性が高い。
更にポリアミドイミド樹脂およびポリイミド樹脂の電気的特性としては、広い温度・周波数領域にわたって、安定して低tanδを示すことからも電解コンデンサーのセパレーター用繊維素材としては理想的である。
また、従来の天然系セルロース系繊維は叩解により初めてフィブリル化するため、十分なフィブリル化度にするために時間を要する叩解工程を設ける必要があったが、本発明で用いる微細ポリアミドイミド繊維および微細ポリイミド繊維は叩解を行わずとも微細化されている点が特徴である。
本発明ではこの微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維とポリビニルアルコール系繊維を混合して湿式抄紙することでセパレーターを作成する。この抄紙で微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維が絡合し合い低密度でありながら、しかも空隙を微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維が均一に埋めた構造となるのである。ポリビニルアルコール系繊維はこれら微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維の交点を接着させるバインダーとしても働くため更に高強度にすることが可能である。上記した項目はセパレーターとしては極めて理想的であるが、この結果、薄く、高強度で均一なセパレーターを作成することが可能となる。このことからも本発明の優位性が説明できるのである。
本発明のように、従来に比して著しくなる微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維を用いることで、従来に比べ、製造時においては充分なる強度を有するがゆえに取り扱いが容易なうえ、低密度化が可能であり、また低インピーダンス、低tanδを満たす電解コンデンサー用セパレーターに極めて適した紙を提供できる。
本発明で用いる微細ポリアミドイミド繊維および微細ポリイミド繊維はそれぞれポリアミドイミド樹脂およびポリイミド樹脂から作られるものである。ポリアミドイミド樹脂およびポリイミド樹脂は特別なものである必要はなく、その製造法にも特別の制約があるものではない。一般的に行われる方法で得られるが、以下にそれを例示し説明する。
ポリアミドイミド樹脂は、芳香族トリカルボン酸一無水物と芳香族ジアミンとの当モル量を有機極性溶媒中、脱水触媒存在下、高温で重縮合・イミド化反応をさせる方法や、無水トリメリット酸モノクロリドに代表される無水芳香族トリカルボン酸モノクロリドと芳香族ジアミンとの当モル量を有機極性溶媒中、低温で重縮合・イミド化反応をさせる方法、または芳香族トリカルボン酸一無水物と芳香族ジイソシアネートとをジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性の有機溶媒中高温で重縮合・イミド化反応させる方法等によって製造される。尚、これらの有機溶媒とトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、γ−ブチルラクトン等を限定的に併用することも可能である。
いずれの場合もアミド結合をしながら重合し高分子量化してゆくが、一方ではこの成長と同時に又は後からアミド酸部分が分子内イミド化反応も行われ目的のポリアミドイミドとなって該溶媒中に溶解して得られる。従って本発明で言うポリアミドイミド樹脂は基本的にはアミドイミドの構造そのものであるが、しかし或る程度未イミド化のアミド酸部分を含有するものであってもかまわない。
ここで芳香族トリカルボン酸一無水物としてはトリメリット酸一無水物が望ましいが、その一部を他の多塩基酸またはその無水物に置き換えることができる。例えば、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、プロピレングリコールビストリメリテート等のテトラカルボン酸及びこれらの無水物、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
また、トリメリット酸化合物の一部をグリコールに置き換えることもできる。グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等のアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールや上述のジカルボン酸の1種又は2種以上と上記グリコールの1種又は2種以上とから合成される、末端水酸基のポリエステル等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては3,3′−ジアミノベンゾフェノン、P−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−{3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル}フェニル]エーテル、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2′−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。ここで芳香族ジアミン成分が主鎖にアミド結合を持っている場合(例えば前記4,4′−ジアミノベンツアニリド)には、酸成分として芳香族テトラカルボン酸二無水物を組み合わせることができる。
そして芳香族ジイソシアネートとしては前記例示する芳香族ジアミンの2つのアミノ基がイソシアネート基に置換されたものが例示できる。
一方、ポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸誘導体と1級ジアミンを反応、重合させてポリイミド前駆体とし、閉環イミド化してポリイミドとするのが一般的である。本発明のポリイミド樹脂またはその前駆体を得るために使用されるテトラカルボン酸誘導体の具体例を挙げると、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル9プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジンなどの芳香族テトラカルボン酸及びこれらの二無水物並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸などの脂環式テトラカルボン酸及びこれらの二無水物並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸及びこれらの二無水物並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物などが挙げられる。
ここでポリイミド樹脂を得るために使用されるジアミンの具体例を挙げれば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジニフェニルエーテル、2,2−ジアミノジフェニルプロパン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノナフタレン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどの芳香族ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン及びテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、更にはジアミノシロキサン等が挙げられる。
テトラカルボン酸誘導体とジアミンを反応、重合させポリイミド前駆体とするが、この際用いるテトラカルボン酸誘導体としてはテトラカルボン酸二無水物を用いるのが一般的である。テトラカルボン酸二無水物とジアミンのモル数の比は0.8から1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1に近いほど生成する重合体の重合度は大きくなる。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応、重合させる方法は、特に限定されるものではなく、一般にはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機極性溶媒中にジアミンを溶解し、その溶液中にテトラカルボン酸二無水物を添加、反応させてポリイミド前駆体を合成する。その際の反応温度は−20℃から150℃、好ましくは−5℃から100℃の任意の温度を選択することができる。
前記により製造されるポリアミドイミド樹脂およびポリイミド樹脂の数平均分子量の制御は一般に反応時間を変えることで行得るが、一般的には10000〜100000、好ましくは20000〜80000の範囲が適切である。
次に上記ポリアミドイミド樹脂およびポリイミド系樹脂から直径が0.01μm以上、2μm未満の微細ポリアミドイミド繊維を得る必要がある。この方法には特別な制約がある訳ではなく、微細化を可能ならしめる方法であれば良い。ここでは一例として容易に微細ポリアミドイミド繊維および微細ポリイミド繊維を得る湿式紡糸法を示す。
先ず、微細ポリアミドイミド繊維については、ポリアミドイミド樹脂と、少なくとも1種類以上の繊維形成性高分子化合物を共通の有機溶剤に溶解した混合物を紡糸原液とし、これを繊維形成性高分子化合物に対して固化能を有する浴中に細孔を通して湿式紡糸した後、乾燥・熱処理を施す方法で易分割性ポリアミドイミド繊維を得て、さらにこの易分割性繊維から繊維形性高分子化合物のみを選択的に溶解することで微細ポリアミドイミド繊維が得ることができる。
一方、微細ポリイミド繊維については、既にイミド化が終了したポリイミド樹脂がN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解できる場合が望ましく、ポリイミド系樹脂そのものを紡糸原液の一方として用いることができる。
しかしながらポリイミド系樹脂はその分子量にもよるが一般にイミド化後は有機溶媒に不溶になる場合が多い。この場合には、シロキサン変成等の方法で有機溶剤への溶解性を付与する方法も取り得る。具体的にはポリイミド分子主鎖の中にジアミノシラン等を導入する共重合体とする手法である。
また、ポリイミド前駆体を有機溶媒に溶解したものを繊維形成性高分子化合物と共通の有機溶剤に溶解させたものを紡糸原液として用いても良い。
繊維形性高分子化合物としては二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン及びこれらの共重合体或いはこれらの混合物が上げられる。
例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロースを使用する場合はN−メチル−2−ピロリドンに溶解することが好適である。ポリアクリロニトリルを用いる場合はジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、N−メチル−2−ピロリドン等に溶解することが可能である。その他の繊維形性能高分子化合物についても適宜溶剤を選択すれば良く、更には2種類以上の混合溶剤を用いることも可能である。
続いて、本発明に供せられるポリアミドイミド樹脂およびポリイミド樹脂と高分子化合物から紡糸原液を調整する方法について説明する。この場合、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂と繊維形成性高分子化合物の両者に溶解能を持つ有機溶剤に溶解した混合物を紡糸原液とする。この混合液を紡糸して生成する易分割性ポリアミドイミド繊維またはポリイミド系繊維中のポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂と繊維形成性高分子化合物の割合は使用目的に応じて高分子化合物:ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド系樹脂=75:25〜25:75から選択可能である。易分割性ポリアミドイミド繊維および易分割性ポリイミド繊維から微細ポリアミドイミド繊維およびポリイミド系繊維を得るためには海成分の繊維形性高分子化合物のみを選択的に溶解する溶媒に浸漬する等の溶解処理が望ましい。例えば用いた繊維形性高分子化合物が二酢酸セルロースの場合にはアセトンが好適であり、三酢酸セルロースの場合には塩化メチレンが好適である。またポリアクリロニトリルの場合にはジオキサンやチオシアン酸ナトリウム水溶液などに浸漬するなどの方法で容易に微細ポリアミドイミド繊維および微細ポリイミド繊維を得ることができる。
本発明において紙を作る方法としては特に限定されるものではなく、公知の従来法が使用できる。即ち、微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維とポリビニルアルコール系繊維を水中で分散させ、通常の湿式抄造を行う一般的な方法が最も好適である。
本発明では微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維を水中で分散させ、これにバインダーとして適度に水への溶解温度を調整したポリビニルアルコール系繊維を加え、通常の通り湿式抄造を行うものであり、これを適宜乾燥することでポリビニルアルコール系繊維が枠状を形成し、この内側の空隙内に微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維が均一に分布した構造となる。バインダーのポリビニルアルコール系繊維は乾燥時に残留水分と共に加熱されて適度に溶解することでポリビニルアルコール系繊維の枠状交点部分が接合されることに加え、微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維の絡合点をも接合させ、電解コンデンサー用セパレーターを得るものである。
この目的のためには、バインダーとしてのポリビニルアルコール系樹脂が、水への溶解温度が適度な溶解性を有する範囲に調整されたものでなければならない。本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂の水への溶解温度としては50℃以上100℃未満、更には60℃以上90℃未満が望ましい。水への溶解温度が50℃より低い場合には湿式抄造の段階で溶解を始め、繊維上に皮膜を作り、更には繊維間の空隙を塞ぐ恐れがあり、電流通路閉塞による内部抵抗の上昇、電解液保持特性の低下を招く。一方、水への溶解温度が100℃を超えるともはやバインダーとしての機能を現さない。
上記範囲内に水への溶解温度が調整されたポリビニルアルコール系繊維は、微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維との交点を接着するため、更に強度を増すことができる。
この水への溶解温度が適度な溶解性を有する範囲に調整するための具体的な方法としては例えば、ポリビニルアルコール系繊維の重合度で調整するか、或いは適度にホルマール化するなどの方法が可能である。
重合度に関しては500以上10000未満が使用可能であるが、一般的には1000以上5000未満、最適には1500以上4000未満が良い。
また、ホルマール化に関してはホルマールか化度で5%以上30%未満の範囲で調整することが望ましい。30%を超えると水への溶解温度が上がり過ぎ、バインダーとして用いることは難しくなる。
或いは、ケン化度の高低によっても調整は可能であるが、あまりケン化度の低いものを用いるとその後の熱処理で変色したりする問題が発生するので少なくとも80%以上、更には90%以上が望ましく、最も好適は95%以上である。
一方、用いるポリビニルアルコール系繊維はその繊維径10μm未満であれば使用可能ではあるが、組み合わせる微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維とでき得る限り繊維径が近いことが望ましいので、8μm未満、可能であれば5μm未満が良い。しかしながら、特殊な方法を用いても1μm未満の繊維を得る事は難しいことから、実用上1μm以上5μm未満が好適である。
本目的のためには粉末状、溶液状形態のポリビニルアルコール系樹脂でも使用可能であるが、これらの形態では微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維の交点だけでなく繊維上に皮膜を作り、更には繊維間の空隙を塞ぐ恐れがあり、この結果、電流通路閉塞による内部抵抗の上昇、電解液保持特性の低下が起こり好ましくない。またポリビニルアルコール系繊維が繊維形状を保持することで微細繊維だけの場合に比べ嵩高性を有し、密度の過度の上昇を抑えるのである。
次に微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維とポリビニルアルコール系繊維の比率であるが、用いるポリビニルアルコール系繊維の繊維径、水への溶解温度によっても変わるが、質量比で微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維:ポリビニルアルコール系繊維=99:1〜90:10の範囲にあることが必要である。本発明では微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維同士の絡合のみでも充分な強度を有する。また、天然系セルロース系繊維を用いる従来からのセパレーターでは電解液に膨潤し易いセルロース系繊維の拡がりを抑えるために多量のバインダーで絡合点を固定しなければならなかったことに比べ、微細ポリアミドイミド繊維および微細ポリイミド繊維は電解液浸漬時も形状が安定していることから、微量のバインダーで充分な効果を得ることができる。従って99:1でも必要な強度を得ることができる。しかし、ポリビニルアルコール系繊維の含有量がこれ以下になるとセパレーターとしての充分な強度が得られない。一方、90:10を越えるとセパレーターとしての主体的効果を発揮する微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維の量が少なくなり過ぎ、セパレーターの特性が低下する。実際、本発明では99:1〜90:10が好適である。
抄紙を終えた紙の乾燥温度としては、バインダーに使用したポリビニルアルコールの溶解温度以上であり、溶融し過ぎず、適度に繊維形状を保ち、バインダー能力を最大限に発現する温度を選択する事が重要であり、本発明では70℃以上150℃未満、更には80℃以上120℃未満が望ましい。
かくして、得られるセパレーター用紙は、製造時においては充分なる強度を有するがゆえに取り扱いが容易なうえ、0.25g/cm以下という低密度化が可能であり、低インピーダンス、低tanδを満たすことを可能ならしめるのである。
以下に実施例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。本実施例で表示された各項目の測定方法は以下のとおりである。
表1における評価結果は、以下の方法で得た。
(1)絶乾密度:JISC2111に準じた。試料を105℃で3時間乾燥、デシケーター内で放冷後、質量を測定し、加熱前の体積とこの質量から計算で求めた。
(2)引張り強度:15mmの幅にカットしたセパレーター紙を定速伸張型引張り試験機(掴み間隔180mm)にはさみ 20mm/分の速度で引張り強度を測定した。
(3)吸水度:クレム法に準じ、セパレーター紙を15mmの幅、250mm長でカットし、下部を蒸留水に浸漬し、10分後の吸上げ高さを測定した。数値は10枚を平均して示した。
(4)インピーダンス比:溶媒にエチレングリコール、溶質にアジピン酸アンモニウムを用いた駆動用電解液(比抵抗100Ω・cm)をマニラ麻100%からなる厚さ40μm、密度0.5g/cm、密度のセパレーターに含浸させ、白金電極(5cm)で上下をはさみ、上から200gの荷重をのせ、20℃、10V、100KHzの電極間抵抗をコーラッシュブリッジを用いて測定した。このインピーダンスを100とした場合の各試料のインピーダンスを比率で表した。
(5)tanδ:RFインピーダンス/マテリアルアナライザー(HP4291A、ヒューレット・パッカード)を用いて、周波数120Hz、印加電圧500mVにおけるtanδを測定した。
〔微細ポリアミドイミド繊維の調整〕
5Lの反応容器にトリメリット酸無水物325g、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート424g、およびN−メチル−2−ピロリドン1400gを仕込み、攪拌しながら200℃まで約1.5時間で昇温させた。その後、200℃を保ちながら約5時間攪拌を続けて粘調なポリアミドイミド樹脂溶液を得た。この樹脂の数平均分子量をGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)を用いてポリスチレン換算にて求めたところ約55000であった。このポリアミドイミド樹脂溶液にN−メチル−2−ピロリドンを加え固形分濃度を15%に調整した。
〔微細ポリイミド繊維の調整〕
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口、および窒素ガス導入口を備えた2Lの四つ口フラスコに、24.5gの4,4′−ジアミノジフェニルメタンおよび437mlの乾燥N−メチル−2−ピロリドンを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。反応系の温度を5〜70℃の範囲内に保ちながら、26.9gのピロメリット酸二無水物を添加して、24時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。その後、更にメタノールで洗浄し、減圧下、40℃で24時間乾燥させた。得られたポリイミド系樹脂前駆体(ポリアミック酸)のGPCによる分子量は、75,000であった。このポリイミド系樹脂前駆体にN−メチル−2−ピロリドンを加え固形分濃度を15%に調整した
[実施例1]
酢化度55%、重合度120の二酢酸セルロース150gを850gのN−メチル−2−ピロリドンに入れ常温で約1時間攪拌した後、更に60℃に昇温し、30分の攪拌混合を行い完全に溶解したことを確認し、冷却して二酢酸セルロース溶液(固形分15%)を得た。この二酢酸セルロース溶液と前述のポリアミドイミド樹脂溶液を固形分の質量比がニ酢酸セルロース:ポリアミドイミド樹脂=6:4になるように加え、小型ホモジナイザーで攪拌し均一な微黄色透明混合液を得た。
次にこれを孔径0.1mm、ホール数80の紡糸口金から一定吐出量を保ちながら、N−メチル−2−ピロリドン濃度10wt%、25℃の水溶液中に押出した。凝固浴中で延伸倍率が2〜3になるよう巻取りローラーの回転数を調整した。尚、凝固浴中の浸漬時間は約60秒であった。巻取った糸條は緊張状態を保ったまま室温で5分間の風乾を行った後、窒素雰囲気下250℃で20分の乾燥を行い易分割性ポリアミドイミド繊維束を得た。この易分割性ポリアミドイミド繊維束を20mmにカットした後、一部をガラス容器に入れた常温のアセトンに漬け、更にマグネチックスターラーで攪拌を行った。10分間の攪拌の後、約10分間静置したところ容器の底に微細な繊維が沈降した。上澄みのアセトンを除き、新たにアセトンを加え更に10分間の攪拌と約10分間静置を行った。この操作を合計5回繰り返した後、容器の底から採取した微細繊維を走査型電子顕微鏡で確認したところ、繊維径0.05μm〜1μm、繊維長が0.01mm〜20mmの微細ポリアミドイミド繊維であることを確認した。
この微細ポリアミドイミド繊維を主体繊維として用い、水中溶解温度75℃、繊維径5μm、カット長3mmのポリビニルアルコール系繊維をバインダーとして用い、質量比で微細ポリアミドイミド繊維:ポリビニルアルコール系繊維=95:5になるよう混合して水中でスラリーを調整した。このスラリーを丸網抄紙機にて抄紙し、これを110℃で熱風乾燥を行い、厚さ40μmのセパレーター紙を得た。
このセパレーター紙の強度、吸水性、インピーダンス比を測定した結果は表1の通りであった。強度が高く、低密度でさらにインピーダンスが低く、tanδが低く、セパレーター紙として優れた特性を有していることが確認できた。
[比較例1]
微細ポリアミドイミド繊維および微細ポリイミド繊維の代わりにマニラ麻をパルパーとファイバライザーにて十分に叩解させ、マイクロスコープでフィブリル化繊維の直径を測定したところ、5ミクロンであった。これを主体繊維として実施例1で用いたポリビニルアルコール系繊維と質量比で95:5に混合して水中でスラリーを調整した。このスラリーを丸網抄紙機にて抄紙し、これを110℃で熱風乾燥を行い、厚さ40μmのセパレーター紙を得た。このセパレーター紙の強度、吸水性、インピーダンス比を測定した結果は表1の通りであった。セパレーターとしては強度が弱く、またインピーダンスも高い不十分な特性であった。
[実施例2]
酢化度55%、重合度120の二酢酸セルロース75gを425gのN−メチル−2−ピロリドンに入れ常温で約1時間攪拌した後、更に60℃に昇温し、30分の攪拌混合を行い完全に溶解したことを確認し、冷却して二酢酸セルロース溶液(固形分15%)を得た。この二酢酸セルロース溶液と前述のポリイミド樹脂前駆体溶液を固形分の質量比がニ酢酸セルロース:ポリイミド樹脂前駆体=6:4になるように加え、小型ホモジナイザーで攪拌し均一な微黄色透明混合液を得た。
次にこれを孔径0.1mm、ホール数80の紡糸口金から一定吐出量を保ちながら、N−メチル−2−ピロリドン濃度4wt%、25℃の水溶液中に押出した。凝固浴中で延伸倍率が2〜3になるよう巻取りローラーの回転数を調整した。尚、凝固浴中の浸漬時間は約60秒であった。巻取った糸條は緊張状態を保ったまま室温で5分間の風乾を行った後、窒素雰囲気下180℃で5分の乾燥を行った。
引続き窒素雰囲気下220℃で40分の熱処理を行いイミド化し、易分割性ポリイミド系繊維束を得た。この易分割性ポリイミド系繊維束の一部をガラス容器に入れた常温のアセトンに漬け、更にマグネチックスターラーで攪拌を行った。10分間の攪拌の後、約10分間静置したところ容器の底に微細な繊維が沈降した。上澄みのアセトンを除き、新たにアセトンを加え更に10分間の攪拌と約10分間静置を行った。この操作を合計5回繰り返した後、容器の底から採取した微細繊維を走査型電子顕微鏡で確認したところ、繊維径100nm〜1000nm、繊維長が0.01mm〜1mmの微細ポリイミド系繊維であることを確認した。
この微細ポリイミド繊維を主体繊維として用い、水中溶解温度85℃、3μm、カット長3mmのポリビニルアルコール系繊維をバインダーとして用い、質量比で微細ポリイミド繊維:ポリビニルアルコール系繊維=98:2になるよう混合して水中でスラリーを調整した。このスラリーを丸網抄紙機にて抄紙し、これを110℃で熱風乾燥を行い、厚さ40μmのセパレーター紙を得た。
このセパレーター紙の強度、吸水性、インピーダンス比を測定した結果は表1の通りであった。実施例1と同様、強度が高く、低密度でさらにインピーダンスが低く、tanδが低いセパレーター紙として優れた特性を有していることが確認できた。
[比較例2]
微細ポリアミドイミド繊維および微細ポリイミド繊維の代わりにカット長3mm、繊維径2μmのポリエチレン繊維を主体繊維として用い、更に実施例2で用いたポリビニルアルコール系繊維と質量比で95:5に混合して水中でスラリーを調整した。このスラリーを丸網抄紙機にて抄紙し、これを110℃で熱風乾燥を行い、厚さ40μmのセパレーター紙を得た。このセパレーター紙の強度、吸水性、インピーダンス比を測定した結果は表1の通りであった。吸水性が極端に低く、tanδが高く、更にセパレーターとしては強度が極端に弱く、またインピーダンスも高い不十分な特性であった。
[実施例3]
実施例1で得た微細ポリアミドイミド繊維と実施例2で得た微細ポリイミド繊維を主体繊維として用い、水中溶解温度85℃、3μm、カット長3mmのポリビニルアルコール系繊維をバインダーとして用い、質量比で微細ポリアミドイミド繊維:微細ポリイミド繊維:ポリビニルアルコール系繊維=49:49:2になるよう混合して水中でスラリーを調整した。このスラリーを丸網抄紙機にて抄紙し、これを110℃で熱風乾燥を行い、厚さ40μmのセパレーター紙を得た。
このセパレーター紙の強度、吸水性、インピーダンス比を測定した結果は表1の通りであった。実施例1、2と同様、強度が高く、低密度でさらにインピーダンスが低く、tanδが低いセパレーター紙として優れた特性を有していることが確認できた。
Figure 2006229092

Claims (3)

  1. 微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維を構成繊維の一部として用いたことを特徴とする電解コンデンサー用セパレーター。
  2. 微細ポリアミドイミド繊維および微細ポリイミド繊維の直径が0.01μm以上、2μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサー用セパレーター。
  3. 他の構成繊維として直径が1μm以上、10μm未満であり、かつ、水への溶解温度が60℃以上90℃未満の溶解性を有するポリビニルアルコール系繊維を、その質量比が微細ポリアミドイミド繊維および/または微細ポリイミド繊維:ポリビニルアルコール系繊維=99:1〜90:10の範囲で含まれていることを特徴とする請求項1及び2に記載の電解コンデンサー用セパレーター。
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