JP2006228813A - ラジカル生成装置、および処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料ガスを高温の触媒13に接触させることで、当該原料ガスのラジカルを生成する構成であって、前記触媒13から発生する熱線に対する熱遮断部材14を有し、この熱遮断部材14は、触媒13から発生する熱を反射あるいは吸収する金属製部材15と、この金属製部材15の少なくとも熱線照射面に絶縁部材16を有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
また、ラジカルの用途は、薄膜生成に限るものではなく、汚染除去などにも活用される。
処理装置1の内部にはラジカル生成部10と処理台11を有し、装置内部にガス導入管12が導かれて、このガス導入管12の先端に触媒13が配置する。触媒13は、例えば、タングステン等の線状部材がコイル状に形成したものであり、図示略の電源を通電することで加熱される。ガス導入管12からは、シランと水素の混合ガスが供給されて、高温に加熱された触媒13を通過するときに、触媒13に接触することで、原料ガスのラジカルを発生する。ラジカルは被処理物Wである基板に到達するが、原料ガスとして、例えばシランを流すときはシリコン薄膜形成ができ、また、水素のみを流すときは洗浄処理ができる。
従って、触媒の加熱温度が被処理物の温度に影響を与えないことが重要であるが、一方では、ラジカルを被処理物まで効果的に輸送するためには、触媒と被処理物の距離を短くする必要がある。
この技術は、触媒で発生した熱の影響を被処理物が受けない点ではそれなりに効果があるものの、触媒に接触することで発生したラジカルが十分に被処理物において利用できないという問題を生じる。
さらに、前記熱遮断部材は、板状の金属製部材の少なくとも熱線が照射される面を絶縁部材が被覆されることを特徴とする。
さらに、被処理物の処理装置において、前記熱遮断部材は、前記触媒から発生する熱線が、実質的に被処理物に対して直射しないよう配置していることを特徴とする。
さらに、被処理物の処理装置において、前記熱遮断部材は、複数個の部材が整列配置して構成され、各部材は被処理物に熱線が直射しないように傾斜していることを特徴とする。
さらに、前記触媒は、原料ガス供給口とラジカル排出口を有する反応室の中に区画して配置され、この反応室の少なくとも一部が絶縁部材から構成されて、その外表面に金属製部材が設けられたことを特徴とする。
第一に、金属製部材を有することで、触媒により発生した熱線(熱輻射)が被処理物などに照射することを防止できる。このため、被処理物は触媒からの熱の影響を受けることなく、また、独立に温度制御することが可能となる。
第二に、絶縁部材を有することでラジカルの消滅を防止できる。すなわち、金属製部材を触媒の近傍に配置すると、上記のように熱を遮蔽する効果は有するものの、ラジカルの消滅を増加させるという弊害も生じる。本発明は金属製部材に絶縁部材を施すことで、このようなラジカル消滅という問題を解消することができる。
処理装置は、例えばステンレスからなり箱状のケーシング1を有する。ケーシングの内部には、ラジカル生成部10(ラジカル生成装置に相当する)と処理台11が構成される。ガス導入管12がケーシングの外部からラジカル生成部10に導かれる。このガス導入管12の先端は、ノズル形状のガス噴射口が複数個形成され、ガスをして、例えば水素が導入される。
なお、ガス導入管12のガス噴射口と触媒13は、比較的近接配置しており、その距離は、例えば100mmである。
また、触媒13は、紙面垂直方向に多数並列配置していてもよい。
処理台11には、個別の温度調整機構を設けることができる。この温度調整機構は、水冷式の冷却機構であり、これら機構によって、被処理物Wを所定温度に制御することができる。
材料は、モリブデン、タングステン、ステンレスなどが採用される。形状は、薄板状、より好ましくは箔状が採用される。箔状が好ましい理由は、熱遮断部材14の全体を薄くできることであり、材料はモリブデンが最も好ましい。なぜなら、熱線の反射機能を十分に有するとともに、箔形状の加工が容易にできるからである。
箔状のモリブデンを採用した場合の金属性部材15の厚みは、例えば0.05〜0.5mm程度である。また、金属性部材15は赤外線反射多層膜でもよい。
絶縁部材16は、電気的な意味の絶縁というよりは、ラジカルが金属製部材と反応することを防止するもので、ラジカル消滅防止やラジカル保護という意味あいを有する。構成材料として絶縁材料から構成される意味で絶縁部材と称される。
また、金属製部材としてモリブデンを使い、絶縁部材として石英ガラスを使った場合は、熱による両材料の熱膨張率が近いため、好ましい。
金属材部材15と絶縁部材16の組み合わせからなる熱遮断部材14は、全体として、厚みが0.5〜1mm程度の薄いものとなる。
この反応は、例えば、水素ラジカル(水素原子)が、モリブテンなどの金属製部材15と接触することで、水素分子を形成するものである。つまり、触媒において水素分子から水素ラジカルを生成したところ、再び、水素分子に戻ることを意味しており、このような反応がラジカルの消滅となって被処理物との反応を鈍らせていた。
従って、前記特許2692326号に示す熱遮断部材は、触媒からの熱の影響を排除できるものの、ラジカルの消滅という新たな問題を生じる。
本発明は、触媒からの熱の影響を排除するとともに、ラジカルの消滅という新たな問題も解決する。
しかし、絶縁部材のみで熱遮断機能を果たすためには、十分な厚み、具体的には3〜5mmが必要になり実用的には向かない。
この点をもう少し詳述すると、触媒から放射される熱線は、波長0.8〜2.5μmの近赤外線である。アルミナやジルコニアなどの一般的なセラミックスの場合は、この近赤外線を遮断するためには3〜5mmが必要になる。従って、熱線の遮断機能としては、金属製部材を採用することが優れている。また、石英ガラスは近赤外線を遮断することはできない。
この点で、熱遮断部材が、金属製部材を使った上で絶縁部材としてセラミックスを採用した場合は、セラミックスは十分薄いものであり、実質的に被処理物を加熱するほどの遠赤外線を放射しない。熱遮断の機能は金属製部材に持たせているからである。
しかし、本発明は、熱遮断部材が金属製部材と絶縁部材の組み合わせのため、両者を薄くすることができ、遠赤外線の放射を少なくできる。
また、絶縁部材として石英ガラスを採用した場合は、仮に、金属製部材から遠赤外線は放射されたとしても外部への放射を遮断することができる。石英ガラスは遠赤外線の透過率が低いからである。
熱遮断部材14は、触媒13が伸びる方向において複数に分割しており、各部材141a、141b・・・は、傾斜配置している。
この構造の利点は、触媒13の近傍で生成されたラジカルが、部材間の隙間を通過して被処理物Wまで到達するので、ラジカルの輸送距離がきわめて短くなる。
傾斜配置する理由は、隣り合う部材と重なるよう配置することで、触媒13から放射される熱線の処理物Wへの直射を防止できる。また、傾斜配置によりラジカルをスムーズに処理物Wまで輸送できる。
6インチの半導体ウエハが処理物の場合の熱遮断部材14について、数値例を挙げると、傾斜角度θは40°、幅aは15mm、厚みbは0.5〜1mmであり、15個程度整列配置する。
熱遮断部材14は、図1に示すように、金属性部材と絶縁部材から構成される。
熱遮断部材14は、触媒13が伸びる方向において複数に分割しており、部材142a、142b・・・の第一の列と、部材142a’、142b’・・・の第二の列が、2列になって整列配置している。
この構造の利点も、触媒13の近傍で生成されたラジカルが、部材間の隙間を通過して被処理物Wまで到達するので、ラジカルの輸送距離がきわめて短くなる。
2列に整列配置する理由は、触媒13から放射される熱線の処理物Wへの直射を防止するためである。また、傾斜配置の場合と同様にラジカルをスムーズに処理物Wまで輸送できる。
図3では、熱遮断部材14が2列に配置するが、2列に限定されるわけではなく、3つ以上の列により構成してもかまわない。また、図2に示す傾斜配置を組み合わせてもかまわない。
熱遮断部材14は、細長い平板形状の部材を並べて構成してもよいし、網目状の開口を有する矩形板に上下に配置してもよい。
なお、第一の列、すなわち、部材141a、141b・・・のみで構成してもかまわない。この場合、第二の列は存在しないこととなり、各部材の隙間から熱線が処理物に対して直射するが、隙間の間隔が狭いなど直射量が実質的に処理物に影響を与えない場合に採用できる。
熱遮断部材14は、触媒13が伸びる方向において複数に分割しており、部材143a、143b・・・が整列配置している。各部材143は、触媒13と対向する表面および側面に絶縁部材が被覆している。部材143の被処理物側表面に絶縁部材が被覆しておらず、金属製部材が露出する構成になっている。
この構造の利点も、触媒13の近傍で生成されたラジカルが、部材間の隙間を通過して被処理物Wまで到達するので、ラジカルの輸送距離がきわめて短くなる。
また、絶縁部材は、実質的に金属製部材がラジカルと反応を生じる確率の高い領域において形成するので、熱遮断部材を容易かつ安価に形成できる。特に、メッシュ状の金属製部材の表面に絶縁部材を塗布する構成はきわめて容易に製造できる。
なお、この構造に関する変形例として、全ての熱遮断部材143を同一の構造とするのではなく、例えば、触媒から距離的に遠い位置に配置された部材は側面においても絶縁部材を設けないなど、ラジカルと金属製部材の反応を考慮して部材ごとに絶縁部材の形成を変化することもできる。
図4に示す熱遮断部材の構造において、図2、図3に示す構造を組み合わせて採用することもできる。
処理装置1の内部に略管型白熱電球形状のガラス管20を有し、このガラス管20は石英ガラスからなり、ガス導入管21、触媒22、ガス排出管23を有する。さらに、ガラス管20の外表面の一部に金属製部材24を被覆する。
ガス導入管21から導かれた水素ガスはガラス管20の内部で触媒22と接触する。触媒22は図示略の電源に接続されて通電加熱される。ガラス管20の内部では水素ラジカルが発生して、ガス排出管23から処理物Wに向かって排出される。
この構造では、金属製部材24が被覆した部分のガラス管領域が絶縁部材に相当する。
また、この構造の利点は、ラジカルを直接、処理物表面まで導くことができるとともに、処理物の所望の領域にラジカルを照射できる。ガラス管20もしくは処理台11を可動式にすることで、ラジカルの照射領域を調整することもできる。
また、洗浄作用のみならず、処理物上に薄膜を形成する処理装置にも適用できる。
11 処理台
12 ガス導入口
13 触媒
14 熱遮断部材
15 金属製部材
16 絶縁部材
Claims (6)
- 原料ガスを高温の触媒に接触させることで、当該原料ガスのラジカルを生成する装置において、
前記触媒から発生する熱線に対向した熱遮断部材を有し、
この熱遮断部材は、触媒から発生する熱線を反射あるいは吸収する金属製部材と、この金属製部材の少なくとも熱線が照射される面に絶縁部材を有することを特徴とするラジカル生成装置。 - 前記熱遮断部材は、板状の金属製部材の少なくとも熱線が照射される面を絶縁部材で覆うこと特徴とする請求項1のラジカル生成装置。
- 前記触媒は、原料ガス供給口とラジカル排出口を有する反応室の中に区画して配置され、
この反応室の少なくとも一部が絶縁部材から構成されて、その外表面の少なくとも一部に金属製部材が設けられたことを特徴とする請求項1のラジカル生成装置。 - 原料ガスを高温の触媒に接触させることで、当該原料ガスのラジカルを生成して被処理物を処理する装置において、
前記触媒から発生する熱線に対向した熱遮断部材を有し、
この熱遮断部材は、触媒から発生する熱線を反射あるいは吸収する金属製部材と、この金属製部材の少なくとも熱線が照射される面に絶縁部材を有し、
この熱遮断部材は、触媒から放射される熱線が、実質的に被処理物に対して直射しないよう配置していることを特徴とするラジカル処理装置。 - 前記熱遮断部材は、複数個の部材が整列配置して構成され、各部材は被処理物に当該熱線が直射しないように傾斜していることを特徴とする請求項4のラジカル処理装置。
- 前記触媒は、原料ガス供給口とラジカル排出口を有する反応室の中に区画して配置され、
この反応室の少なくとも一部が絶縁部材から構成されて、その外表面の少なくとも一部に金属製部材が設けられたことを特徴とする請求項4のラジカル処理装置。
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