JP2006225735A - 非調質鋼材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特殊な添加元素を用いることなく、鋼素材に対する加熱温度条件と加工条件を調整するのみで、高靱性と高降伏比を備えた非調質鋼材を得る。
【解決手段】成分組成が、0.4<C<2.0wt%、0.1<Si<1.0wt%、0.1<Mn<2.0wt%、P≦0.1wt%、S≦0.5wt%、残部がFeおよび不純物元素からなる鋼材を、900℃〜1200℃の温度で30秒以上保持した後、500℃〜700℃に冷却し、この温度で30秒以上保持した後に温間加工を施す。それにより、フェライトの平均粒径が2.0μm以下、セメンタイトの平均粒径が0.5μm以下であり、降伏比が0.75以上と高く、シャルピー衝撃値が150J/cm以上であって高靱性を備えた、フェライト・セメンタイトを主とする組織からなる非調質鋼材が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、非調質鋼材とその製造方法に関し、特に、特殊な添加元素を必要とすることなく製造される高靱性と高降伏比を備える非調質鋼材とその製造方法に関する。
鋼材の強度を改善させるために、焼き入れ焼き戻し(調質処理)によるマルテンサイト組織化による強化処理や、調質処理を行わずに、Vなどの特殊元素を添加してフェライト粒径の微細化やフェライトへの析出強化などを行って強化処理を図ることが行われる(特許文献1、特許文献2など)。焼き入れ焼き戻しによる強化は、鍛造後の熱処理を必要とし、部品コストが高くなる。非調質処理の場合は、特殊な添加元素を必要とすることに加え、通常、フェライト・パーライト組織であり、衝撃強度が、調質したマルテンサイト組織に比べ低めの傾向にある。また、降伏比(耐力/引張強度)も低い傾向にある。
非調質処理による強化において、Vなどの特殊元素を添加することなく強度の高い鋼材を製造できることが、特許文献3に記載されており、そこでは、好ましくはCが0.2wt%以下である鋼素材を800℃以下に加熱し、フェライト再結晶温度域(550〜750℃)まで冷却して、そこで減面率20%以上の圧延をすることにより、フェライトあるいはフェライト+パーライトあるいはフェライト+セメンタイトを主体とする高靱性・高延性鋼材を得るようにしている。
特許第3036416号公報 特開平6−17122号公報 特開平10−306339号公報
特許文献3に記載される方法は、Vなどの特殊な元素を必要とせず、温度条件と圧延条件を調整することで、強度の優れた非調質鋼材を得ることができ、製造プロセスおよび製造コストの面で有利性があると考えられる。しかし、初期加熱温度が800℃以下としていることから、オーステナイト化率が25%以下と低く、鋼材組成が不安定性になり、得られる非調質鋼材の強度に影響を与える可能性を否定できない。また、Cが0.2wt%以下である鋼素材を使用しており、C量が少ないことから、セメンタイトの析出が少なく、フェライトの微細化には限度があると予測される。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、特殊な添加元素を用いることなく、鋼素材に対する加熱温度条件と加工条件を調整するのみで、高靱性と高降伏比を備えた非調質鋼材を得ることのできる非調質鋼材の製造方法、および非調質鋼材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく多くの実験と研究を行うことにより、C量が0.4wt%を越えるような鋼素材であっても、Feの実質的に全量がオーステナイト化する温度にまで一旦加熱して一定時間その温度に保持した後、フェライト−パーライト化する温度まで冷却して再度その温度に一定時間保持し、その後、温間加工(例えば、鍛造)を行うことにより、粒径の小さいフェライト粒子とセメンタイトを主とする組織からなる非調質鋼材が得られ、その鋼材は、従来の非調質鋼材と比較して、高靱性と高降伏比を備えることを知見して、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明による非調質鋼材の製造方法は、成分組成が、0.4<C<2.0wt%、0.1<Si<1.0wt%、0.1<Mn<2.0wt%、P≦0.1wt%、S≦0.5wt%、残部がFeおよび不純物元素からなる鋼材を、900℃〜1200℃の温度で30秒以上保持した後、500℃〜700℃に冷却し、この温度で30秒以上保持した後に温間加工を施すことを特徴とする。製造される非調質鋼は、フェライトの平均粒径が2.0μm以下、セメンタイトの平均粒径が0.5μm以下、降伏比が0.75以上、シャルピー衝撃値が150J/cm以上であり、フェライト・セメンタイトを主とする組織からなっている。
本発明において用いる鋼素材の成分組成は、Cが0.4wt%以上2.0wt%未満であることに特徴があり、他の成分、すなわち、Si、Mn、P、Sなどの成分量は、通常の炭素鋼における値である。通常の鋼材の場合、C量が0.4wt%程度を越えると、高度は増すもののもろさが出てくるようになり、足回り部品への適用等に不適となるが、本発明で製造される鋼材はそれが現れない。その理由は、本発明による非調質鋼材は、C量が多いことから、微粒子化したセメンタイトの析出も多く、フェライトの微細化が進行し、結果として、高靱性と高降伏比を示すようになると考えられ、それから造られる製品は、衝撃特性にも優れ、高負荷環境下の使用にも長時間にわたり耐えることができるようになる。そのために、本発明による非調質鋼材は、コンロッド、ナックルアーム、クランクシャフトなどの用途に特に優れている。
本発明において、用いる鋼素材のC量が0.4wt%未満の場合には、セメンタイトの析出が少なく、フェライトの微細化に限度があり、十分な強度を得ることができないので好ましくない。また、2.0wt%を越えと、従来の非調質鋼材と同様にもろさが発現するので好ましくない。
本発明の方法では、上記成分組成の鋼素材を、900℃〜1200℃の温度で30秒以上保持する。それにより、Feはそのほぼ全量がオーステナイト化する。保持時間が30秒未満であると、オーステナイト化が不十分となる場合があり好ましくない。オーステナイト化した鋼素材をフェライト−パーライト化する500℃〜700℃に冷却する。冷却速度に特に制限はなく、1〜50℃/秒程度の範囲であってよい。500℃〜700℃の温度に冷却した鋼素材を、その温度で30秒以上、好ましくは30秒〜90秒に亘って保持しておき、その後、温間加工を行う。それにより、フェライトの微細化とセメンタイトの微細化の双方が進行する。500℃〜700℃での保持時間が30秒未満であると、十分なフェライトの微細化とセメンタイトの微細化が得られない。
温間加工は鍛造でもよく、圧延でもよいが、鍛造加工は形状の自由度が高く、より好ましい。温間加工を行う手段も任意であり、従来の加熱鋼材を鍛造加工する手段、あるいは圧延加工する手段をそのまま用いればよい。加工条件も基本的には任意であるが、本発明者らの実験では、次式1で加工度t(%)を定義したときに、温間加工を加工度70%以上の条件で1回加工により行い、その後、通常の方法(冷却速度1〜50℃/秒程度の範囲)により冷却することにより、フェライト平均粒径が2.0μm以下であり、高靱性と高降伏比を備えた非調質鋼材を確実に製造することができた。従って、温間加工を下記式1での加工度t(%)が70%以上の条件で1回加工により行うことは、本発明の好ましい態様である。なお、加工度70%未満の場合には、変形抵抗比を小さくすることはできるが、組織がフェライト+パーライト+セメンタイト組織となり、フェライト粒径も大きくなり、降伏比が低下する傾向にあるので好ましくない。
式1:加工度t(%)=(加工前の鋼材厚みt0−加工後の鋼材厚みt)/(加工前の鋼材厚みt0)×100
上記した1回加工による場合には、変形抵抗比が大きく加工性にやや難がある。本発明者らは実験を通して、2回加工で行うことにより、より小さい変形抵抗比でもって、上記した1回加工の場合と同等の、フェライト平均粒径が2.0μm以下であり、高靱性と高降伏比を備えた非調質鋼材が得られることを確認した。ただし、その場合に、上記式1での加工度t(%)は30%〜60%の範囲とされる。2回加工を行う場合、1回目の加工と2回目の加工との間のパス間時間は1秒以下、好ましくは0.5秒程度であることが好ましく、パス間時間が長くなると、1回目の加工で小さくされたフェライト平均粒径がより大きなものに復帰してしまい、2回加工を行っても十分な効果が得られない。より好ましくは、1回目の加工と2回目の加工は加圧方向を90度変えて行うようにする。
なお、上記の説明において変形抵抗比とは、1100℃、50%加工時の変形抵抗を100としたときの相対値で示される。
以下、本発明を実施例と比較例とにより説明する。
前提となる鋼素材として、表1に示す成分組成を持つA〜Fの6種の鋼材を用意した。6種の鋼材は、C量のみが異なっており、他の成分は実質的に同じである。なお、残部はFeおよび不純物元素である。そして、鋼種EとFは、C量が本発明の範囲から外れている。
Figure 2006225735
試験1
各鋼種について、条件を変えて温間加工を行い、加工後の非調質鋼の主たる組織を調べ、かつ、フェライト平均粒径(μm)およびセメンタイトの有無とその平均粒子径(μm)を測定した。さらに、JISZ2241に準じた引張試験で測定した引張強さと耐力から降伏比を求め、また、JISZ2242に準じてシャルピー衝撃値(J/cm)を測定した。さらに、前記した式1により温間加工時の加工度t(%)を求め、そのときの変形抵抗比も求めた。その結果を表2〜表13に示す。なお、初期加熱は所要温度で30秒以上保持し、Feの実質的に全量がオーステナイト化するようにした。また、初期加熱から加工温度までの冷却および加工後の冷却は、定法に従い、1〜50℃/秒の範囲で行った。
Figure 2006225735
Figure 2006225735
表2と表3に示すように、出発組成が同じ鋼素材であっても、加熱条件と温間加工条件を変えることによって、最終製品である非調質鋼の降伏比とシャルピー衝撃値が異なってくることがわかる。降伏比では、0.58〜0.88の間でばらついており、シャルピー衝撃値(J/cm)では、22〜201の範囲でバラツキがある。コンロッド、ナックルアーム、クランクシャフトなどの用途に用いる非調質鋼は、降伏比が0.75以上、シャルピー衝撃値が150J/cm以上であるのが好適であり、その値をパラメータとして表2と表3に示した試験例について評価すると、評価の欄で○を付したもの(試料番号5、6、7、8、9、11)が、それらのしきい値を越えており、合格品(本発明による非調質鋼)といえる。
それら合格品は、表2および表3に示されるように、初期加熱温度は900〜1200℃の範囲であり、加工温度は500〜700℃の範囲であり、加工温度での加工前保持時間は60秒を越えている。また、加工度t(%)はいずれも70%を越えている。
上記の実験結果から、鋼種A、すなわちC量が0.55wt%前後の炭素鋼に対して、900℃〜1200℃の温度で30秒以上保持した後、500℃〜700℃に冷却し、この温度で30秒以上保持した後に温間加工を施すことにより、高靱性であり高降伏比である非調質鋼が得られることがわかる。また、合格品は、そのような温度条件と加工条件を行うことによって、すべてF(フェライト)+C(セメンタイト)の組成となり、かつ、フェライト平均粒径はすべて2.0μmより小さく、セメンタイトの平均粒径もすべては0.5μm以下と小さくなっている。この要因により、高靱性であり高降伏比である特性がもたらされたと推測できる。
試料番号1〜4は、合格品と比較して降伏比とシャルピー衝撃値の値が劣っている。いずれもフェライト平均粒径が合格品のものよりも大きく、試料番号1〜3は、F(フェライト)+P(パーライト)の組成でありC(セメンタイト)がない。また、試料番号4は、F(フェライト)+P(パーライト)+C(セメンタイト)の組成となっている。試料番号1および3については温間加工温度が1000℃、800℃と高いこと、試料番号2については加工温度での加工前保持時間を持たなかったことがそれらの原因となり、また、試料番号4は加工度t(%)が50%と小さかったことがそれらの原因となったと推測できる。
Figure 2006225735
Figure 2006225735
表4と表5は、鋼種B、すなわちC量が0.4wt%前後の炭素鋼に対して上記と同様にして行った試験結果である。表2と表3に示した場合と同様に、ここでも、初期加熱900℃〜1200℃の温度で30秒以上保持した後、500℃〜700℃に冷却し、この温度で30秒以上保持した後に温間加工を施すことにより、高靱性(シャルピー衝撃値が150J/cm以上)であり高降伏比(0.75以上)である非調質鋼(合格品:試料番号13、14、15)が得られることがわかる。また、合格品は、F(フェライト)+C(セメンタイト)の組成となり、かつ、フェライト平均粒径は2.0μmより小さく、セメンタイトの平均粒径も0.5μm以下と小さくなっている。
一方、試料番号16は、温間加工温度が800℃と高く、かつ加工度t(%)が50%と小さいことから、組織もF(フェライト)+P(パーライト)であり、また、試料番号17は、加工度が60%と低いことも一因となって、組織はF(フェライト)+P(パーライト)+C(セメンタイト)であり、それらが要因となって、フェライト平均粒径も大きく、降伏比とシャルピー衝撃値のいずれもが低い値となっている。
Figure 2006225735
Figure 2006225735
表6と表7は、鋼種C、すなわちC量が0.7wt%前後の炭素鋼に対して上記と同様にして行った試験結果である。表2と表3に示した場合と同様に、ここでも、初期加熱900℃〜1200℃の温度で30秒以上保持した後、500℃〜700℃に冷却し、この温度で30秒以上保持した後に温間加工を施すことにより、高靱性(シャルピー衝撃値が150J/cm以上)であり高降伏比(0.75以上)である非調質鋼(合格品:試料銀号18、19、20)が得られることがわかる。また、合格品は、F(フェライト)+C(セメンタイト)の組成となり、かつ、フェライト平均粒径は2.0μmより小さく、セメンタイトの平均粒径も0.5μm以下と小さくなっている。
一方、試料番号21は、温間加工温度が800℃と高いことから、組織もF(フェライト)+P(パーライト)であり、それらが要因となって、フェライト平均粒径も大きく、降伏比とシャルピー衝撃値のいずれもが低い値となっている。
Figure 2006225735
Figure 2006225735
表8と表9は、鋼種D、すなわちC量が0.9wt%前後の炭素鋼に対して上記と同様にして行った試験結果である。表2と表3に示した場合と同様に、ここでも、初期加熱900℃〜1200℃の温度で30秒以上保持した後、500℃〜700℃(600℃)に冷却し、この温度で30秒以上(60秒)保持した後に温間加工を施すことにより、高靱性(シャルピー衝撃値が150J/cm以上)(221J/cm)であり高降伏比(0.75以上)(0.89)である非調質鋼が得られることがわかる。また、F(フェライト)+C(セメンタイト)の組成となり、かつ、フェライト平均粒径は2.0μmより小さく(1.0μm)、セメンタイトの平均粒径も0.5μm以下(0.5μm)と小さくなっている。
Figure 2006225735
Figure 2006225735
Figure 2006225735
Figure 2006225735
表10と表11は、鋼種E、すなわちC量が0.2wt%と少ない炭素鋼に対して上記と同様にして行った試験結果である。加熱条件および加工条件が上記した合格品と同じであるにもかかわらず、フェライトの平均粒径が3.9μm、セメンタイトの平均粒径が0.9μmと前記合格品よりも大きく、降伏比は0.67、シャルピー衝撃値は81J/cmと前記合格品よりも低くなっている。
また、表12と表13は、鋼種F、すなわちC量が0.1wt%とさらに少ない炭素鋼に対して上記と同様にして行った試験結果であり、ここでも加熱条件および加工条件が上記した合格品と同じ範囲内であるにもかかわらず、フェライトの平均粒径が4.7μm、セメンタイトの平均粒径が0.6μmと前記合格品よりも大きく、降伏比は0.62、シャルピー衝撃値は94J/cmと前記合格品よりも低くなっている。
上記の結果から、炭素量が0.1wt%あるいは0.2wt%のような低炭素鋼には本発明の方法は不適であり、C量が0.4wt%以上である鋼素材に対して、好適に適用されることがわかる。
試験2
前記[試験1]での試料番号4、17の場合のように、本発明において、上記式1で示される加工度t(%)の大小がフェライト平均粒径に影響を与えることがある。1回加工の場合には、好ましくは加工度70%以上であり、それによりフェライト平均粒径を2.0μm以下と小さくすることができて、降伏比が0.75以上、シャルピー衝撃値が150J/cm以上であるフェライト・セメンタイトを主とする組織からなる非調質鋼材が得られる。しかし、加工度70%以上を確保するには、前記した表2〜表13に示されるように、変形抵抗比が高くなるのを避けられない。
そこで、温間加工を1回でなく、2回加工で行うことを試みたところ、1回加工よりも低い加工度と低い変形抵抗比での加工でもって、ほぼ同様の高降伏比と高靱性を備えた非調質鋼を製造できることを知った。以下に、鋼種Aについて行ったその試験結果を表14と表15に示す。なお、加工度t(%)は上記式1により求められる値であり、1回目の加工と2回目の加工とは90度方向を違えて押圧した。また、温間加工を2回行った以外は、他の条件は前記1回加工の場合と同じである。
Figure 2006225735
Figure 2006225735
試験2において、表14、表15における試料番号は、表2、表3の試料番号と対応しており、温間加工までの条件は、試験1と試験2は同じである。その後、試験2では、温間加工を2回に分け、かつ条件を変えて行い、試験1と同様にして、変形抵抗比、フェライト平均粒径、セメンタイト平均粒径、降伏比、シャルピー衝撃値を測定した。また、試験2では、加工度t(%)はすべて50%以下で行った。なお、試料番号5aは、試料番号5の同じであるが、パス時間が2秒から1.5秒とした点でのみ異なっている。試験1の場合と同様に、降伏比が0.75以上でありかつシャルピー衝撃値が150J/cm以上であるものを合格品として評価○を付した。
試験2では、合格品は試料番号4、6、7、8、11であり、試験1での合格品(試料番号5、6、7、8、9、11)とは、試料番号6、7、8、11は共通であるが、試料番号5、9は、試験2では合格レベルに達しなかった。また、試料番号4は試験1では合格レベルに達しなかったが、試験2では合格品となっている。
試験1と試験2でともに合格した試料番号6、7、8、11のものでは、試験2で加工率を70%以下、すなわち、30%〜60%の範囲で行うことにより、変形抵抗比を30〜150の範囲で低減することができ、加工性を向上させながら、同等な非調質鋼を製造できることが示される。試料番号4は、試験1では加工度50%、変形抵抗比250と低い値での1回加工であったために不合格品となったが、試験2では、同じ条件で2回加工することにより、合格レベルに達しており、2回加工の有効性が示される。
一方、試験1での合格品である試料番号5,9が試験2では合格レベルに達しなかったのは、次の理由によると解される。
試料番号5(5a)では、1回目の加工と2回目の加工との間のパス間時間が2秒(1.5秒)と長く、そのために、その間に、微細化したフェライト粒子がより大きなものに復帰してしまい、2回加工を行っても十分な微細化が進行しなかったものと推測される。
試料番号9では、加工度が25%と低すぎた結果、組織もF(フェライト)+P(パーライト)+C(セメンタイト)となってしまい、十分に小さいフェライト粒径が形成されなかったからと解される。
これらのことから、本発明の方法において、2回加工を採用することは有効であり、その際に、加工度が30%〜60%の範囲で、かつパス間間隔を1秒以下として行うことが必要であることがわかる。
なお、試料番号12は、上記条件を満たした2回加工を行っても、合格レベルに達していない。その理由は、初期加熱温度が800℃と低かったことにあると解される。
なお、2回加工についての試験は、上記した鋼種Aについてのみ行ったが、同じ作用効果は他の鋼種B,C,Dにおいても当然に生じる。

Claims (4)

  1. 成分組成が、0.4<C<2.0wt%、0.1<Si<1.0wt%、0.1<Mn<2.0wt%、P≦0.1wt%、S≦0.5wt%、残部がFeおよび不純物元素からなる鋼材を、900℃〜1200℃の温度で30秒以上保持した後、500℃〜700℃に冷却し、この温度で30秒以上保持した後に温間加工を施すことを特徴とする非調質鋼材の製造方法。
  2. 温間加工を下記式での加工度t(%)が70%以上の条件で1回加工により行うことを特徴とする請求項1に記載の非調質鋼材の製造方法。
    加工度t(%)=(加工前の鋼材厚みt0−加工後の鋼材厚みt)/(加工前の鋼材厚みt0)×100
  3. 温間加工を下記式での加工度t(%)が30%〜60%の範囲の条件で、かつパス間間隔を1秒以下として、2回加工により行うことを特徴とする請求項1に記載の非調質鋼材の製造方法。
    加工度t(%)=(加工前の鋼材厚みt0−加工後の鋼材厚みt)/(加工前の鋼材厚みt0)×100
  4. 成分組成が、0.4<C<2.0wt%、0.1<Si<1.0wt%、0.1<Mn<2.0wt%、P≦0.1wt%、S≦0.5wt%、残部がFeおよび不純物元素からなる鋼材を温間加工して得られる非調質鋼材であり、
    フェライトの平均粒径が2.0μm以下、セメンタイトの平均粒径が0.5μm以下、降伏比が0.75以上、シャルピー衝撃値が150J/cm以上であり、かつ、フェライト・セメンタイトを主とする組織からなる非調質鋼材。
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