a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明すると、図1は、同第1実施形態に係る車両の操舵装置の全体概略図である。
この車両の操舵装置は、運転者によって操舵操作される操舵操作装置10と、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2を運転者の操舵操作に応じて転舵する転舵装置20とを機械的に分離したステアバイワイヤ方式を採用している。操舵操作装置10は、運転者によって回動操作される操作部としての操舵ハンドル11を備えている。操舵ハンドル11は操舵入力軸12の上端に固定され、操舵入力軸12の下部には操舵反力用電動モータ(アクチュエータ)13が組み付けられている。操舵反力用電動モータ13は、減速機構14を介して操舵入力軸12を軸線周りに回転駆動する。操舵入力軸12の下端には、変換機構15が接続されている。変換機構15は、ウォームおよびホイールからなり、操舵入力軸12の軸線周りの回転を、増速するとともに前記軸線と直交する軸線周りの回転に変換して出力する。なお、これらの操舵入力軸12および変換機構15が、本発明の入力部材を構成する。
転舵装置20は、車両の左右方向に延びて配置されたラックバー21を備えている。このラックバー21の両端部には、図示省略したタイロッドおよびナックルアームを介して、左右前輪FW1,FW2が転舵可能に接続されている。左右前輪FW1,FW2は、ラックバー21の軸線方向の変位により左右に転舵される。ラックバー21の外周上には、図示しないハウジングに組み付けられた転舵用電動モータ(アクチュエータ)22が設けられている。転舵用電動モータ22の回転は、ねじ送り機構23により減速されるとともにラックバー21の軸線方向の変位に変換される。
また、転舵装置20は、軸線周りに回転可能な操舵出力軸24も有している。操舵出力軸24の下端にはピニオンギヤ25が固定されており、同ピニオンギヤ25はラックバー21に設けたラック歯21aに噛み合っていて、操舵出力軸24の軸線周りの回転によりラックバー21が軸線方向に変位する。操舵出力軸24の上端には、変換機構26が接続されている。変換機構26は、ウォームおよびホイールからなり、操舵出力軸24の軸線と直交した軸線周りの入力される回転を、減速するとともに操舵出力軸24の軸線周りの回転に変更して出力する。なお、これらの変換機構26、操舵出力軸24、ピニオンギヤ25およびラックバー21が、本発明の出力部材を構成する。
変換機構15,26の間には中間部材としてのケーブル31が配置されている。ケーブル31は、変換機構15の出力軸の回転を変換機構26の入力軸に伝達するものであり、グリースの満たされた長尺状のフレキシブルな管内に管の軸線方向に沿って配設されている。このケーブル31の上端の固定部材31aと変換機構15との間には第1電磁クラッチ32が配置されている。第1電磁クラッチ32は、例えば、通電状態にて切断状態に設定されてケーブル31と操舵入力軸12および変換機構15とを動力伝達不能に切り離し、非通電状態にて接続状態に設定されてケーブル31と操舵入力軸12および変換機構15とを動力伝達可能に連結する。ケーブル31の下端の固定部材31bと変換機構26との間には第2電磁クラッチ33が配置されている。第2電磁クラッチ33は、例えば、通電状態にて切断状態に設定されてケーブル31と変換機構26および操舵出力軸24とを動力伝達不能に切り離し、非通電状態にて接続状態に設定されてケーブル31と変換機構26および操舵出力軸24とを動力伝達可能に連結する。
次に、操舵反力用電動モータ13、転舵用電動モータ22および電磁クラッチ32,33を制御する電気制御装置40について説明する。電気制御装置40は、操舵角センサ41、転舵角センサ42および車速センサ43を備えている。操舵角センサ41は、操舵入力軸12に組み付けられて、操舵入力軸12の軸線周りの回転を計測することにより、操舵ハンドル11の中立位置からの回転角を検出してハンドル操舵角θhとして出力する。なお、ハンドル操舵角θhは、操舵ハンドル11の中立位置を「0」とし、右方向の操舵角を正の値で表し、左方向の操舵角を負の値で表す。転舵角センサ42は、ラックバー21に組み付けられて、ラックバー21の軸線方向の変位を計測することにより、左右前輪FW1,FW2の実転舵角δを検出して出力する。なお、実転舵角δは、左右前輪FW1,FW2の中立位置を「0」とし、左右前輪FW1,FW2の右方向の転舵角を正の値で表し、左右前輪FW1,FW2の左方向の転舵角を負の値で表す。車速センサ43は、車速Vを検出して出力する。
また、電気制御装置40は、互いに接続されたクラッチ用電子制御ユニット(以下、クラッチ用ECUという)44、操舵反力用電子制御ユニット(以下、操舵反力用ECUという)45、および転舵用電子制御ユニット(以下、転舵用ECUという)46を備えている。クラッチ用ECU44には、操舵角センサ41および車速センサ43が接続されている。操舵反力用ECU45には、操舵角センサ41および車速センサ43が接続されている。転舵用ECU46には、操舵角センサ41、転舵角センサ42および車速センサ43が接続されている。
これらのECU44〜46は、それぞれCPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とする。クラッチ用ECU44は、図2のクラッチ制御プログラム(図3のならし制御ルーチンを含む)を実行することにより、駆動回路47を介して第1および第2電磁クラッチ32,33を切断および接続制御する。操舵反力用ECU45は、図4の操舵反力制御プログラムを実行して、駆動回路48を介して操舵反力用電動モータ13を駆動制御する。転舵用ECU46は、図5の転舵制御プログラムを実行して、駆動回路49を介して転舵用電動モータ22を駆動制御する。
次に、上記のように構成した実施形態の動作について説明する。イグニッションスイッチの投入により、クラッチ用ECU44、操舵反力用ECU45および転舵用ECU46は、クラッチ制御プログラム、操舵反力制御プログラムおよび転舵制御プログラムを所定の短時間ごとにそれぞれ繰り返し実行し始める。
クラッチ制御プログラムの実行は図2のステップS10にて開始され、クラッチ用ECU44は、ステップS11にて、車速センサ43からの車速Vに加えて、操舵反力用ECU45および転舵用ECU46から出力されるフェイルフラグFL1,FL2を入力する。フェイルフラグFL1は、“0”によって操舵操作装置10の正常状態を示し、“1”によって操舵操作装置10の異常状態を示すもので、初期には“0”に設定されている。フェイルフラグFL2は、“0”によって転舵装置20の正常状態を示し、“1”によって転舵装置20の異常状態を示すもので、初期には“0”に設定されている。なお、これらのフェイルフラグFL1,FL2は操舵操作装置10および転舵装置20からそれぞれ出力されるものであるが、操舵反力用ECU45および転舵用ECU46によって操舵操作装置10および転舵装置20の異常が検出されない限りにおいて出力されず、この状態ではクラッチ用ECU44に出力されるフェイルフラグFL1,FL2は“0”として扱われる。また、このことは、操舵反力用ECU45および転舵用ECU46においても同様である。
次に、クラッチ用ECU44は、ステップS12,S13にて、フェイルフラグFL1,FL2が“1”であるか否かをそれぞれ判定する。まず、操舵操作装置10および転舵装置20は共に正常であって、フェイルフラグFL1,FL2が共に“0”に設定されている場合について説明する。したがって、この場合には、ステップS12,S13にてそれぞれ「No」と判定して、ステップS14に進む。ステップS14においては、第1および第2電磁クラッチ32,33を切断状態に設定する。そして、後述するステップS15のならし制御ルーチンの実行後、ステップS17にてこのクラッチ制御プログラムの実行を一旦終了する。
一方、操舵反力用ECU45は、前記イグニッションスイッチの投入後、図4の操舵反力制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行している。この操舵反力制御プログラムの実行はステップS30にて開始され、操舵反力用ECU45は、ステップS31にて、操舵角センサ41からのハンドル操舵角θh、および車速センサ43からの車速Vを入力するのに加えて、転舵用ECU46から出力されるフェイルフラグFL2を入力する。
そして、ステップS32にてフェイルフラグFL1が“1”であるか否かを判定する。いま、操舵操作装置10は正常であって、フェイルフラグFL1は“0”であるので、ステップS32にて「No」と判定してステップS33以降に進む。ステップS33においては操舵操作装置10の異常をチェックし、ステップS34にて操舵操作装置10の異常の有無を判定する。この操舵操作装置10の異常のチェックにおいては、例えば、操舵反力用電動モータ13の断線、短絡、その他の異常を駆動回路48からの信号を入力してチェックする。この場合、前述のように、操舵操作装置10の正常を前提としているので、前記ステップS33の異常チェック処理において操舵操作装置10の異常は検出されない。したがって、操舵反力用ECU45は、前記ステップS34にて「No」すなわち操舵操作装置10は正常であると判定して、ステップS35に進む。ステップS35においては、フェイルフラグFL2が“1”であるか否かを判定する。前述のように、転舵装置20も正常であって、フェイルフラグFL2は“0”に設定されているので、ステップS35にて「No」と判定して、ステップS36に進む。
ステップS36においては、操舵反力用ECU45は、ROM内に設けられている操舵反力テーブルを参照して、ハンドル操舵角θhおよび車速Vに応じて変化する目標操舵反力Th*を計算する。この操舵反力テーブルは、図6に示すように、複数の代表的な車速値ごとに、ハンドル操舵角θhの増加に従って非線形増加する複数の目標操舵反力Th*を記憶している。また、この目標操舵反力Th*は、同一のハンドル操舵角θhに対して、車速Vが大きいほど大きな値をとる。なお、この操舵反力テーブルを利用するのに代えて、ハンドル操舵角θhおよび車速Vに応じて変化する目標操舵反力Th*を関数により予め定義しておき、同関数を利用して目標操舵反力Th*を計算するようにしてもよい。
次に、操舵反力用ECU45は、ステップS37にて、駆動回路48と協働して前記計算した目標操舵反力Th*に対応した駆動電流を操舵反力用電動モータ13に流して、ステップS43にてこの操舵反力制御プログラムの実行を一旦終了する。操舵反力用電動モータ13は、操舵入力軸12を目標操舵反力Th*に対応した回転トルクで駆動する。これにより、操舵ハンドル11の回動操作に対して、操舵反力用電動モータ13による目標操舵反力Th*が付与され、運転者は、適度な操舵反力を感じながら、操舵ハンドル11を回動操作できる。
また、転舵用ECU46は、前記イグニッションスイッチの投入後、図5の転舵制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行している。この転舵制御プログラムの実行はステップS50にて開始され、転舵用ECU46は、ステップS51にて、操舵角センサ41からのハンドル操舵角θh、転舵角センサ42からの実転舵角δ、および車速センサ43からの車速Vを入力するのに加えて、操舵反力用ECU45から出力されるフェイルフラグFL1を入力する。
そして、ステップS52にてフェイルフラグFL2が“1”であるか否かを判定する。いま、転舵装置20は正常であって、フェイルフラグFL2は“0”であるので、ステップS52にて「No」と判定してステップS53以降に進む。ステップS53においては転舵装置20の異常をチェックし、ステップS54にて転舵装置20の異常の有無を判定する。この転舵装置20のチェックにおいては、例えば、転舵用電動モータ22の断線、短絡、その他の異常を駆動回路49からの信号を入力してチェックする。この場合、前述のように、転舵装置20の正常を前提としているので、前記ステップS53の異常チェック処理において転舵装置20の異常は検出されない。したがって、転舵用ECU46は、前記ステップS54にて「No」すなわち転舵装置20は正常であると判定して、ステップS55に進む。ステップS55においては、フェイルフラグFL1が“1”であるか否かを判定する。前述のように、操舵操作装置10はそれぞれ正常であって、フェイルフラグFL1は“0”に設定されているので、ステップS55にて「No」と判定して、ステップS56に進む。
ステップS56においては、転舵用ECU46は、前記入力したハンドル操舵角θhおおよび車速Vを用いてステアバイワイヤ用の目標転舵角δ*を計算する。この目標転舵角δ*の計算においては、まず、ROM内に記憶されている第1転舵角テーブルを参照して、ハンドル操舵角θhに応じて変化するステヤバイワイヤ用の目標転舵角δ*を計算する。第1転舵角テーブルは、図8に実線で示すように、ハンドル操舵角θhの増加に従って非線形に増加するステヤバイワイヤ用の目標転舵角δ*を記憶している。このステヤバイワイヤ用の目標転舵角δ*のハンドル操舵角θhに対する変化率は、ハンドル操舵角θhの絶対値|θh|の小さな範囲内で小さく、ハンドル操舵角θhの絶対値|θh|が大きくなると大きくなるように設定されている。なお、この第1転舵角テーブルを利用するのに代えて、ハンドル操舵角θhとステヤバイワイヤ用の目標転舵角δ*との関係を示す関数を予め用意しておき、同関数を利用してステヤバイワイヤ用の目標転舵角δ*を計算するようにしてもよい。
次に、ROM内に記憶されている車速係数テーブルを参照して、車速Vに応じて変化するステアバイワイヤ用の車速係数Kaを計算する。車速係数テーブルは、図9に実線で示すように、車速Vの小さな範囲内で「1」よりも大きく、車速Vの大きな範囲内で「1」よりも小さく、車速Vの増加に従って「1」を挟んで非線形に減少するステアバイワイヤ用の車速係数Kaを記憶している。なお、この車速係数テーブルを利用するのに代えて、車速Vとステアバイワイヤ用の車速係数Kaとの関係を示す関数を予め用意しておき、同関数を利用してステヤバイワイヤ用の車速係数Kaを計算するようにしてもよい。
そして、このステアバイワイヤ用の車速係数Kaの計算後、前記計算した目標転舵角δ*に車速係数Kaを乗算することにより、前記計算した目標転舵角δ*を補正して最終的な目標転舵角δ*(=Ka・δ*)を計算する。
そして、ステップS57にて、実転舵角δが最終的な目標転舵角δ*に等しくなるように、両転舵角δ*,δの差δ*−δを用いて駆動回路49を介して転舵用電動モータ22の回転を制御する。これにより、転舵用電動モータ22は回転駆動され、ねじ送り機構23を介してラックバー21を軸線方向に駆動して、左右前輪FW1,FW2を目標転舵角δ*に転舵する。
このような転舵制御により、図8の実線で示すように、左右前輪FW1,FW2は、ハンドル操舵角θhの小さな範囲で同操舵角θhの変化に対して小さく転舵され、ハンドル操舵角θhの大きな範囲で同操舵角θhの変化に対して大きく転舵される。その結果、操舵ハンドル11の持ち替えなしで左右前輪FW1,FW2は大きな転舵角まで転舵される。また、図9の実線で示すように、左右前輪FW1,FW2は、車速Vが小さいときにはハンドル操舵角θhに対して大きく転舵され、車速Vが大きくなるとハンドル操舵角θhに対して小さく転舵される。その結果、低速走行時における車両の小回り性能が良好になるとともに、高速走行時における車両の走行安定性が良好となる。前記ステップS57の処理後、転舵用ECU46は、ステップS58にて、前記最終的に計算した目標転舵角δ*をクラッチ用ECU44に出力して、ステップS64にて転舵制御プログラムの実行を終了する。
次に、図2のステップS15のならし制御ルーチンについて説明する。このならし制御ルーチンは、図3に詳細に示されており、その実行がステップS20にて開始される。この実行の開始後、クラッチ用ECU44は、ステップS21,S22にて、図示しないイグニッションスイッチからの信号に基づいて、イグニッションスイッチがオンされた直後であるか、イグニッションスイッチがオフされた直後であるかを判定する。イグニッションスイッチがオンされた直後またはオフされた直後であれば、ステップS21またはステップS22にて「Yes」と判定してステップS27に進む。
ステップS27においては、操舵操作装置10側の第1電磁クラッチ32を切断状態に維持したまま、転舵装置20側の第2電磁クラッチ33を駆動回路47を介して所定時間だけ接続状態に設定制御する。したがって、第2電磁クラッチ33が接続状態に設定されている所定時間の間、ケーブル31は、変換機構26、操舵出力軸24およびラックバー21に接続されることになる。この状態で、操舵ハンドル11が回動操作されて、電動モータ22が前記図5のステップS57の処理によって駆動されると、ラックバー21の軸線方向の変位は、ピニオンギヤ25、操舵出力軸24、変換機構26および第2電磁クラッチ33を介してケーブル31に伝達され、ケーブル31は回転する。この場合、操舵出力軸24の回転は変換機構26によって増速されて第2電磁クラッチ33およびケーブル31に伝達されるので、ケーブル31は操舵出力軸24の僅かな回転角の変化で充分に回転する。なお、前記所定時間は、ケーブル31の回転が確保される程度の適度な値に予め決定されている。
また、このようなイグニッションスイッチのオン直後またはオフ直後には、特にイグニッションスイッチのオフ直後には、操舵ハンドル11が回動されない可能性もあるので、このような場合には、ステップS27の処理と同時に電動モータ22を僅かな回転角だけ往復回転動作させるようにするとよい。また、イグニッションスイッチのオフ直後にも、電気制御装置40の作動を確保するためにバッテリから暫くの間、電力が供給されるようにする。さらに、イグニッションスイッチがオンされた直後またはオフされた直後に必ずケーブル31を回転させる必要もないので、比較的長い所定時間が経過するごとに、イグニッションスイッチのオンまたはオフに応答して前記ステップS27の処理を実行するようにすればよい。また、イグニッションスイッチのオンまたはオフが複数回検出されるごとに、前記ステップS27の処理を実行するようにしてもよい。
また、イグニッションスイッチがオンされた直後でもなく、オフされた直後でもなければ、前記両ステップS21,S22にてそれぞれ「No」と判定してステップS23に進む。ステップS23においては、前記入力した車速Vが所定の低車速V0以下であるか、すなわち車両が停止中または低速走行中であるか否かを判定する。車両が停止中又は低速走行中であれば、ステップS23にて「Yes」と判定して、前述したステップS27の処理を実行する。これによっても、前述のように図5のステップS57の処理による電動モータ22の駆動制御により、ケーブル31は回転する。なお、この場合には、操舵ハンドル11が回動されて電動モータ22が駆動制御される可能性が高いので、第2電磁クラッチ33を接続状態に設定するのみで、電動モータ22をステップS27の処理によって駆動制御する必要はない。また、この場合も、ケーブル31を頻繁に回転させる必要はないので、比較的長い所定時間が経過するごとに、前記ステップS27の処理を実行するようにしてもよい。
さらに、前記ステップS23にて「No」すなわち車両が停止中または低速走行していないと判定されると、クラッチ用ECU44は、ステップS24にて操舵角センサ41からのハンドル操舵角θhを入力するとともに、転舵用ECU46からの目標転舵角δ*を入力する。次に、クラッチ用ECU44は、ステップS25にて、前記入力したハンドル操舵角θhを用いて、操舵入力軸12の回転がケーブル31を介して操舵出力軸24に伝達される状態(すなわちケーブル31を介した機械連結状態)における左右前輪FW1,FW2の転舵角δmを計算する。この機械連結時の転舵角δmの計算においては、ROM内に記憶されている第2転舵角テーブルを参照して、ハンドル操舵角θhに応じて変化する転舵角δmを計算する。第2転舵角テーブルは、図8に破線で示すように、ハンドル操舵角θhの増加に従ってほぼ線形的に増加する転舵角δmを記憶している。なお、この第2転舵角テーブルを利用するのに代えて、ハンドル操舵角θhと機械連結時の転舵角δmとの関係を示す関数を予め用意しておき、同関数を利用して機械連結時の転舵角δmを計算するようにしてもよい。
そして、ステップS26にて、前記入力した目標転舵角δ*と機械連結時の転舵角δmの差δ*−δmの絶対値|δ*−δm|が所定の微小値δ0以下であるかを判定する。すなわち、前記入力した目標転舵角δ*と機械連結時の転舵角δmがほぼ等しいか否かを判定する。目標転舵角δ*と機械連結時の転舵角δmがほぼ等しければ、ステップS26にて「Yes」と判定して、前述したステップS27の処理を実行する。これによっても、前述のように図5のステップS57の処理による電動モータ22の駆動制御により、ケーブル31は回転する。なお、この場合にも、操舵ハンドル11が回動されて電動モータ22が駆動制御される可能性が高いので、第2電磁クラッチ33を接続状態に設定するのみで、電動モータ22をステップS27の処理によって駆動制御する必要はない。また、この場合も、ケーブル31を頻繁に回転させる必要はないので、比較的長い所定時間が経過するごとに、前記ステップS27の処理を実行するようにしてもよい。また、前記目標伝舵角δ*に代えて転舵角センサ42によって検出された実転舵角δを入力して、同実転舵角δと機械連結時の転舵角δmとがほぼ等しいかを判定するようにしてもよい。
そして、ステップS27の処理後、クラッチ用ECU44は、ステップS28にてならし制御ルーチンの実行を終了する。なお、前述のように、ステップS27の処理は、所定時間だけ第2電磁クラッチ33を接続状態に設定するものであるので、ステップS27の処理後には、第2電磁クラッチ33はふたたび切断状態に設定されている。また、ステップS26にて「No」すなわち目標転舵角δ*と機械連結時の転舵角δmがほぼ等しくない場合にも、クラッチ用ECU44は、ステップS28にてならし制御ルーチンの実行を終了する。
次に、操舵操作装置10に異常が発生した場合について説明する。この場合、操舵反力用ECU45は、図4のステップS34にて「Yes」と判定して、ステップS38にてフェイルフラグFL1を“1”に設定し、ステップS39にて“1”に設定されたフェイルフラグFL1をクラッチ用ECU44および転舵用ECU46に出力する。そして、ステップS40にて、操舵反力用電動モータ13の作動を停止させ、ステップS43にてこの操舵反力制御プログラムの実行を一旦終了する。
そして、このようにフェイルフラグFL1が一旦“1”に設定されると、以降、操舵反力用ECU45はステップS32にて「Yes」と判定して、前述したステップS33〜S39の処理を実行することなく、ステップS40の処理を実行して、ステップS43にてこの操舵反力制御プログラムの実行を終了する。したがって、操舵反力用電動モータ13は操舵ハンドル11の回動操作に対する操舵反力の付与を制御しなくなる。
クラッチ用ECU44は、図2のステップS11にて“1”に設定されたフェイルフラグFL1を入力し、ステップS12にて「Yes」と判定してステップS16に進む。ステップS16においては、クラッチ用ECU44は駆動回路47を介して第1および第2電磁クラッチ32,33を共に接続状態に設定する。したがって、この状態では、操舵入力軸12は、変換機構15、第1電磁クラッチ32、ケーブル31、第2電磁クラッチ33および変換機構26を介して操舵出力軸24に動力伝達可能に接続されるので、操舵ハンドル11の回動力は操舵出力軸24に伝達されて、ピニオンギヤ25を介してラックバー21に伝達される。そして、ラックバー21は、軸線方向に変位して左右前輪FW1,FW2を転舵するので、左右前輪FW1,FW2は操舵ハンドル11の回動操作によって転舵されるようになる。この状態では、転舵装置20側からケーブル31を介して操舵操作装置10側に左右前輪FW1,FW2の転舵に伴う反力が伝達されるので、運転者は、この反力を操舵反力として感じながら操舵ハンドル11を回動操作することになる。
一方、この状態では、転舵用ECU46は、図5のステップS51にて“1”に設定されたフェイルフラグFL1を入力し、ステップS55にて「Yes」と判定して、ステップS59に進む。ステップS59においては、転舵用ECU46は、ROM内に設けられているアシスト指令値テーブルを参照して、ハンドル操舵角θhおよび車速Vに応じて変化する目標アシストトルクTa*を計算する。このアシスト指令値テーブルは、図7に示すように、複数の代表的な車速値ごとに、ハンドル操舵角θhの増加に従って非線形増加する複数の目標アシストトルクTa*を記憶している。また、この目標アシストトルクTa*は、同一のハンドル操舵角θhに対して、車速Vが大きいほど小さな値をとる。なお、このアシスト指令値テーブルを利用するのに代えて、ハンドル操舵角θhおよび車速Vに応じて変化する目標アシストトルクTa*を関数により予め定義しておき、同関数を利用して目標アシストトルクTa*を計算するようにしてもよい。
次に、転舵用ECU46は、ステップS60にて、駆動回路49と協働して前記計算した目標アシストトルクTa*に対応した駆動電流を転舵用電動モータ22に流す。これにより、転舵用電動モータ22は、ボールねじ機構23を介してラックバー21を目標アシストトルクTa*に対応した力で軸線方向に駆動する。その結果、この操舵反力用電動モータ13の作動不能状態では、操舵ハンドル11の回動操作による左右前輪FW1,FW2の転舵が転舵用電動モータ22の目標アシストトルクTa*によってアシストされる。したがって、運転者は、操舵ハンドル11を軽快に回動操作できるようになる。
次に、転舵装置20に異常が発生した場合について説明する。この場合、転舵用ECU46は、図5のステップS54にて「Yes」と判定して、ステップS61にてフェイルフラグFL2を“1”に設定し、ステップS62にて“1”に設定されたフェイルフラグFL1をクラッチ用ECU44および操舵反力用ECU45に出力する。そして、ステップS63にて、転舵用電動モータ22の作動を停止させ、ステップS64にてこの転舵制御プログラムの実行を一旦終了する。
そして、このようにフェイルフラグFL2が一旦“1”に設定されると、以降、転舵用ECU46はステップS52にて「Yes」と判定して、前述したステップS53〜S62の処理を実行することなく、ステップS63の処理を実行して、ステップS64にてこの転舵制御プログラムの実行を終了する。したがって、転舵用電動モータ22は左右前輪FW1,FW2の転舵および操舵ハンドル11の回動操作に対する操舵アシスト力の付与を制御しなくなる。
クラッチ用ECU44は、図2のステップS11にて“1”に設定されたフェイルフラグFL2を入力し、ステップS13にて「Yes」と判定して、前述したステップS16に進む。そして、ステップS16の処理により、第1および第2電磁クラッチ32,33は共に接続状態に設定され、操舵入力軸12が、変換機構15、第1電磁クラッチ32、ケーブル31、第2電磁クラッチ33および変換機構26を介して操舵出力軸24に動力伝達可能に接続される。したがって、この場合も、操舵ハンドル11の回動力は操舵出力軸24に伝達されて、ピニオンギヤ25を介してラックバー21に伝達される。ラックバー21は、軸線方向に変位して左右前輪FW1,FW2を転舵し、左右前輪FW1,FW2は操舵ハンドル11の回動操作力によって転舵されるようになる。この状態でも、転舵装置20側からケーブル31を介して操舵操作装置10側に左右前輪FW1,FW2の転舵に伴う反力が伝達されるので、運転者は、この反力を操舵反力として感じながら操舵ハンドル11を回動操作することになる。
一方、この状態では、操舵反力用ECU45は、図4のステップS31にて“1”に設定されたフェイルフラグFL2を入力し、ステップS35にて「Yes」と判定して、ステップS41に進む。ステップS41においては、操舵反力用ECU45は、前述した図
5のステップS59の処理と同様にして、ROM内に設けられているアシスト指令値テーブルを参照して、ハンドル操舵角θhおよび車速Vに応じて変化する目標アシストトルクTa*を計算する。なお、この場合も、アシスト指令値テーブルを利用するのに代えて、関数を利用して目標アシストトルクTa*を計算するようにしてもよい。
次に、操舵反力用ECU45は、ステップS42にて、駆動回路49と協働して前記計算した目標アシストトルクTa*に対応した駆動電流を操舵反力用電動モータ13に流す。これにより、操舵反力用電動モータ13は、減速機構14を介し操舵入力軸12を目標アシストトルクTa*に対応した回転力で駆動する。その結果、この転舵用電動モータ22の作動不能状態では、操舵ハンドル11の回動操作による左右前輪FW1,FW2の転舵が操舵反力用電動モータ13の目標アシストトルクTa*によってアシストされる。したがって、運転者は、操舵ハンドル11を軽快に回動操作できるようになる。
上記作動説明のように、上記第1実施形態においては、操舵操作装置10および転舵装置20が正常であれば、図2のステップS14の処理により、第1および第2電磁クラッチ32,33はともに切断状態に設定される。そして、この状態では、図3のならし制御ルーチンの実行により、転舵装置20側の第2電磁クラッチ33のみが散発的に接続される。これにより、ケーブル31が散発的に回転すなわちならし回転されるので、ケーブル31を配設した管内のグリースの劣化が防止され、ケーブル31が管内に固着されるような現象を避けることができる。そして、操舵操作装置10または転舵装置20の異常発生により、図2のステップS16の処理によって第1および第2電磁クラッチ32,33が共に接続状態に設定されて、操舵入力軸12と操舵出力軸24とがケーブル31を介して動力伝達可能に接続された状態になっても、操舵ハンドル11の回動操作に応じてケーブル31はスムーズに回転して、左右前輪FW1,FW2を常にスムーズに転舵できるようになる。
また、図3のならし制御ルーチンにおいては、ステップS21,S22,S27の処理により、イグニッションスイッチがオン操作された直後の状態、またはイグニッションスイッチがオフ操作された直後の状態時に、ケーブル31の回転が制御される。この状態では、車両が停止またはほぼ停止状態にあるので、第1電磁クラッチ31が誤って接続状態に設定されても、車両の運動に対して大きくは影響しないので、車両の安全性は確保される。また、ステップS23,S27の処理により、車両が停止または低速で走行している状態で、ケーブル31の回転が制御される。この場合も、第1電磁クラッチ31が誤って接続状態に設定されても、車両の運動に対して大きくは影響しないので、車両の安全性は確保される。
さらに、ステップS24〜S27の処理により、目標転舵角δ*と機械連結時の転舵角δmがほぼ等しいとき、すなわち転舵用ECU46、転舵用電動モータ22などによる操舵ハンドル11の回動操作に応じた左右前輪FW1,FW2の転舵角と、操舵ハンドル11の回動操作に応じてケーブル31を介して転舵される(すなわち機械連結状態の)左右前輪FW1,FW2の転舵角とがほぼ等しいとき、ケーブル31の回転が制御される。したがって、第1電磁クラッチ32が誤って接続状態に設定されても、操舵ハンドル11の回動操作に応じて左右前輪FW1,FW2の転舵状態は第1電磁クラッチ32の誤接続の前後で変化しないので、車両の安全性は確保される。
なお、上記第1実施形態においては、ケーブル31をならし回転する場合には、第1電磁クラッチ32を切断状態に保ったまま、第2電磁クラッチ33を接続状態に切り換えるようにした。しかし、これに代えて、第2電磁クラッチ33を切断状態に保ったまま、第1電磁クラッチ32を接続状態に切り換えて、ケーブル31をならし回転させるようにしてもよい。この場合、上記第1実施形態の図3のステップS27にて、操舵操作装置10側の第1電磁クラッチ32のみを接続状態に切り換えるようにすればよい(ステップS27の括弧書き参照)。そして、この場合には、操舵入力軸12の回転により、ケーブル31が変換機構15を介して散発的に回転される。その結果、この変形例においても、上記第1実施形態と同様な効果が期待される。
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係る車両の操舵装置について説明する。この車両の操舵装置は、図10に示すように、ケーブル31を回転させるためのアクチュエータとしてのケーブル回転用電動モータ51を備えている。
ケーブル回転用電動モータ51は、内蔵の減速器を介して、上記第1実施形態の第1および第2電磁クラッチ32,33と同様に構成した第3電磁クラッチ52の入力軸に伝達されるようになっている。第3電磁クラッチ52の出力軸にはギヤ53が設けられ、同ギヤ53にはケーブル31の固定部材31bに固定されたギヤ54が噛み合っている。そして、ケーブル回転用電動モータ51および第3電磁クラッチ52は、クラッチ用ECU44により駆動回路47を介して制御されるようになっている。この場合、クラッチ用ECU44は、図2のクラッチ制御プログラム中のステップS15のならし制御ルーチンとして、図11に示すならし制御ルーチンを実行する。他の構成については、上記第1実施形態の場合と同様である。
次に、このように構成した第2実施形態の作動を説明する。この場合、ケーブル31のならし制御動作以外の動作は上記第1実施形態と同じであるので、ならし制御動作についてのみ説明する。クラッチ用ECU44は、図2のステップS15にて図11に示すならし制御ルーチンを実行する。このならし制御ルーチンの実行は、ステップS70にて開始される。この実行開始後、クラッチ用ECU44は、ステップS71にて、車両の最初の作動開始または後述するステップS72〜74の処理後、予め長い時間に設定された所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していなければ、クラッチ用ECU44は、ステップS71にて「No」と判定して、ステップS75にてこのならし制御ルーチンの実行を終了する。
一方、前記所定時間の経過が計測されると、クラッチ用ECU44は、ステップS71にて「Yes」と判定し、ステップS72にて第3電磁クラッチ52を接続状態に設定する。これにより、ケーブル回転用電動モータ51は、第3電磁クラッチ52およびギヤ53,54を介してケーブル31に動力伝達可能に接続される。前記ステップS72の処理後、クラッチ用ECU44は、ステップS73にて、ケーブル回転用電動モータ51を予め決められた所定時間だけ作動させる。このケーブル回転用電動モータ51の回転は、一方向のみの回転でも、往復回転でもよい。この状態では、第1および第2電磁クラッチ32,33は、上述したように切断状態にあるので、ケーブル31は、ケーブル回転用電動モータ51の回転に伴って回転する。そして、前記所定時間の経過後、クラッチ用ECU44は、ステップS74にて第3電磁クラッチ52を切断状態に設定して、ステップS75にてこのならし制御ルーチンの実行を終了する。
その結果、上記第2実施形態によれば、第1および第2電磁クラッチ32,33が切断状態である間に、ケーブル31がケーブル回転用電動モータ51によって散発的に回転されるので、上記第1実施形態と同様なグリースの劣化防止の効果を期待できる。また、この場合、ケーブル31の回転は、操舵操作装置10および転舵装置20の動作には何も影響しないので、車両走行中にケーブル31をいつでも自由に回転させることができる。
また、上記第2実施形態においては、ケーブル回転用電動モータ51、第3電磁クラッチ52およびギヤ53,54からなるケーブル回転機構を転舵装置20側に設けるようにした。しかし、これに代えて、図12に示すように、前記ケーブル回転機構を操舵操作装置10側に設けるようにしてもよい。この場合、ギヤ54をケーブル31の固定部材31aに固定するようにすればよい。これによってもケーブル31は上記第2実施形態の場合と同様に回転制御されるので、上記第2実施形態と同様な効果が期待される。
c.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態に係る車両の操舵装置について説明する。この車両の操舵装置は、図13に示すように、上記第1および第2実施形態のケーブル31を、その中間部にて分割して、第1ケーブル31Aおよび第2ケーブル31Bに分離させている。第1ケーブル31Aの固定部材31aを変換機構15の出力軸に直接接続するとともに、第2ケーブル31Aの固定部材31bを変換機構26の入力軸に直接接続している。そして、第1ケーブル31Aの固定部材31cと第2ケーブル31Aの固定部材31dとの間に、第1および第2電磁クラッチ32,33を直列に介装させている。
第1および第2電磁クラッチ32,33は、上記第1および第2実施形態の場合と同様にクラッチ用ECU44によって駆動回路47を介して制御される。しかし、この場合には、クラッチ用ECU44は、図2のクラッチ制御プログラムのうちでステップS15のならし制御ルーチンの処理を省略したクラッチ制御プログラムを実行する。他の構成については上記第1実施形態の場合と同じである。
このように構成した第3実施形態においては、前記ならし制御以外の動作については上記第1実施形態の場合と同様に、操舵反力用電動モータ13、転舵用電動モータ22、ならびに第1および第2電磁クラッチ32,33が電気制御装置40によって制御される。しかし、この第3実施形態においては、第1および第2ケーブル31A,31Bは、変換機構15,26にそれぞれ直接に接続されているので、第1および第2電磁クラッチ32,33が切断状態に設定されている場合でも、操舵入力軸12および操舵出力軸24の回転に連動して回転する。
したがって、この第3実施形態によれば、第1および第2ケーブル31A,31Bは、常にそれぞれ回転することとなる。その結果、グリースの劣化などによる操舵トルクの上昇が回避されるので、操舵ハンドル11と左右前輪FW1,FW2を第1および第2ケーブル31A,31Bを介して機械連結した状態でも、操舵ハンドル11の回動操作に応じて左右前輪FW1,FW2を常にスムーズに転舵できるようになる。
さらに、本発明は上記第1ないし第3実施形態およびそれらの変形例に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、上記第1ないし第3実施形態およびそれらの変形例においては、操舵入力軸12から出力される回転を増速するとともに回転軸線の方向を変更する変換機構15を用いるとともに、操舵出力軸24へ出力される回転を減速するとともに回転軸線の方向を変更する変換機構26を用いるようにした。しかし、これらの変換機構15,24を省略することも可能である。すなわち、第1および第2実施形態の場合には、第1および第2電磁クラッチ32,33を操舵入力軸12および操舵出力軸24にそれぞれ直接接続するようにするとよい。また、第3実施形態の場合には、第1および第2ケーブル31A,31Bの固定部材31a,31bを操舵入力軸12および操舵出力軸24にそれぞれ直接接続するようにするとよい。
また、上記第1ないし第3実施形態およびそれらの変形例においては、転舵用電動モータ22を用いてラックバー21を駆動することにより左右前輪FW1,FW2を転舵するようにした。しかし、これに代えて、転舵用電動モータを操舵出力軸24に組み付けて、同電動モータを用いて操舵出力軸24を回転駆動することにより、左右前輪FW1,FW2を転舵するようにしてもよい。
また、上記第1ないし第3実施形態およびそれらの変形例においては、操舵ハンドル11として回動操作されるものを採用した。しかし、この操舵ハンドル11に代えて、例えばジョイスティックなどのように直線的な操作により左右前輪FW1,FW2を転舵させる操舵ハンドルを利用した車両の操舵装置にも本発明は適用される。
11…操舵ハンドル、12…操舵入力軸、13…操舵反力用電動モータ、15…変換機構、21…ラックバー、22…転舵用電動モータ、24…操舵出力軸、26…変換機構、31…ケーブル、32,33…電磁クラッチ、40…電気制御装置、41…操舵角センサ、42…転舵角センサ、43…車速センサ、44…クラッチ用ECU、45…操舵反力用ECU、46…転舵用ECU