JP2006224600A - 液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録装置 - Google Patents

液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録装置 Download PDF

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JP2006224600A JP2005043932A JP2005043932A JP2006224600A JP 2006224600 A JP2006224600 A JP 2006224600A JP 2005043932 A JP2005043932 A JP 2005043932A JP 2005043932 A JP2005043932 A JP 2005043932A JP 2006224600 A JP2006224600 A JP 2006224600A
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Abstract

【課題】 残留気泡が原因である突然の不吐による印刷途中での印刷ぬけを発生させないインクジェットプリンターを提供する。
【解決手段】 液体第2貯蔵部の流路幅Bと基板部の流路幅Wと基板の厚さtとの関係にて、t=(W/2)×pただし0.1≦p≦10を満たすようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被記録媒体上に高品位の画像を記録することができる液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録装置に関する。
本発明は、紙や布、革、不織布、OHP用紙等の被記録媒体に記録する機器のすべてに適用可能である。具体的な適用機器としては、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の事務機器等を挙げることができる。
従来より液体噴射記録装置は、低騒音、低ランニングコスト、装置の小型化およびカラー化が容易である等の理由から、プリンタやファクシミリ等の記録装置として広く利用されている。
現在、インクジェットプリンタは、より高品位な画像を記録するためにノズルの高解像度化、インク液滴の小液滴化が進んでいる。また印刷の高速化のために駆動周波数の高速化、ノズルの高密度化、ノズル数の増加が図られている。このようなインクジェットプリンタとしては、例えば特開平11−198394号に記載されるような構成が知られている。
特開平11−198394
インクジェットプリンタは、近年においては写真画質をめざして更なる改良が続けられているが、利用するインク各色ともほぼベタ塗り印刷に近い形態で液体噴射記録ヘッドを稼働させるのが写真画質印刷の特徴である。これに加え印刷速度の更なる向上も図られている。本発明者は、液体噴射記録ヘッドを写真画質対応および高速化対応とするために検討した中において、以下のような課題を認識した。
すなわち、印刷速度の向上を図るために単位時間当たりに吐出する液滴数を増加させた結果、インク中の残留気体が原因である不吐による印刷途中での印刷ぬけが発生するという課題が出てきた。
残留気体の発生は、液体噴射動作から生じる圧力変動による液体噴射記録ヘッド内のインクからの気体の放出が原因の1つであるため、印刷速度の向上による単位時間当たりの噴射動作の増加は残留気体発生を増長する。またこの残留気体の放出は温度上昇によっても誘発される。温度が上昇するにつれて水中の気体溶解度が急速に減少することから明らかである。
液体噴射記録ヘッドが写真画質印刷や大版印刷など噴射動作率の高い環境で使用される場合、残留気体から生じる不吐問題は更に厳しくなる。
図5に液体噴射記録ヘッドの断面図を示す。液体噴射記録ヘッドを構成する基板430は、基板部の流路44を通して液体第2貯蔵部45により液体貯蔵部48と接続する。接続部分には一般にフィルタ47等が設置されている。インクは液体貯蔵部48からフィルタ部47、液体第2貯蔵部45(コネクト部材46により形成)を通して基板部の流路44へ導かれる。その後各吐出口41へ通じているノズル流路43を介して吐出口41まで充填される。
残留気体は、小さな気泡として存在したりまたそれらが合体してさらに大きな気泡として存在したりする。気泡の形状としては球形であったり空間の形状に即した形であったりする。いずれにしても残留気体は流路屈曲部や液流路狭窄部に蓄積することが種々の実機観察により判明している。残留気体が液流路屈曲部や液流路狭窄部に大量に蓄積した場合、残留気体は液体貯蔵部48から供給されるインクの流れを遮断してしまう。その結果吐出口41へのインクの供給を断ち、インクが吐出されずに突如、不吐状態になる。
とくにこのような原因に基づく不吐は記録装置の稼働中のいつ発生するか予測できず、印刷中に発生するわけであるからこの課題は記録装置として致命的である。またこのような不吐の発生を嫌って頻繁に回復動作(残留気体の吸引除去)を実行すれば多くのインクを無駄にする。
本発明の目的は、残留気体が原因である不吐による印刷途中での印刷ぬけを発生しない液体噴射記録ヘッドを提供することであり、さらにこれを搭載する液体噴射記録装置を提供することである。
そこで本発明による液体噴射記録ヘッドは、液体が吐出する吐出口と、該吐出口から前記液体を吐出させるためのエネルギーを加える吐出エネルギー発生部と、該吐出エネルギー発生部を設けた基板と、該基板に隣接してなり液体吸収体等を内蔵しない液体第2貯蔵部と、前記液体を主に貯蔵する液体貯蔵部とを備え、前記基板と前記液体第2貯蔵部との接続位置での前記液体第2貯蔵部の流路幅Bと前記基板部の流路幅Wとの関係にて、
W<B
を満たす液体噴射記録ヘッドにおいて、前記基板部の流路幅Wと前記基板の厚さtにおいてt=(W/2)×pなる関係にて、
0.1≦p≦10
なる関係が成立すること、また好ましくは
0.5≦p≦4.6
なる関係が成立すること、さらに好ましくは
0.5≦p≦4
なる関係が成立すること、を特徴とする。
図7は、本発明に適用可能な液体噴射記録装置の斜視図である。記録装置100の給紙位置に挿入された被記録媒体106は、送りローラ109によって記録ヘッドユニット103の記録可能領域へ搬送される。その記録可能領域における被記録媒体106の下部位置には、プラテン108が設けられている。キャリッジ101は、2つのガイド軸104,105によって、それらの延在方向(主走査方向)に沿って移動可能にガイドされており、記録領域を往復走査する。キャリッジ101の走査方向が主走査方向であり、被記録媒体106の搬送方向が副走査方向となる。キャリッジ101には、複数色のインク液滴を吐出するため記録ヘッドと、それぞれの記録ヘッドにインクを供給するための液体貯蔵部とを含む記録ヘッドユニット103が搭載されている。この例の液体噴射記録装置における複数色のインクは、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色である。各色の位置は順不同である。
キャリッジ101が移動可能な領域の左端の下部には、回復系ユニット110が配備されており、非記録動作時に記録ヘッドの吐出口部をキャッピングしたりする。この左端位置を記録ヘッドのホームポジションという。107はスイッチ部と表示素子部であり、スイッチ部は記録装置の電源のオン/オフや各種記録モードの設定時等に使用され、表示素子部は記録装置の状態を表示する役割をする。
図8は、記録ヘッドユニット103の斜視図である。本例の場合、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色インク(Bk,C,M,Y)の液体貯蔵部が全て独立に交換可能な構成となっている。キャリッジ101には、Bkのインク液滴、Cのインク液滴、Mのインク液滴、Yのインク液滴を吐出する記録ヘッド群102と、Bk用液体貯蔵部20K、C用液体貯蔵部20C、M用液体貯蔵部20M、Y用液体貯蔵部20Yが搭載される。各液体貯蔵部は記録ヘッド群102と接続され、記録ヘッド群102の吐出口に連通するノズル流路内にインクを供給する。この例以外にも例えば、各色用の液体貯蔵部を任意の組み合わせで一体構造としてもよい。
図3(a)は記録ヘッド102の平面図、図3(b)は記録ヘッド102内の発熱体位置の断面図である(図3(a)中の一点鎖線BB’位置)。
この例の液体噴射記録装置は、記録ヘッド102の各吐出口1に対応して電気熱変換体としての発熱体2を配置し、その発熱体2に記録情報に対応する駆動信号を印加することによって吐出口1からインク液滴を吐出させる記録方式を採用している。吐出口1のそれぞれに対応する発熱体2は、それぞれ独立に発熱可能な構成となっている。
発熱体2の発熱により急速に加熱されたノズル内のインクは膜沸騰により気泡を発生し、この生成気泡の体積変化により図4に示すようにインク液滴111が被記録媒体106に向かって吐出され、被記録媒体106上に文字や画像を形成する。吐出口1の各々には吐出口1に連通するインクのノズル流路3が設けられており、このノズル流路3の後方にはこれらノズル流路3にインクを供給するために基板部の流路4が形成されている(図4参照)。吐出口1の各々に対応するノズル流路3には前述したようにこれら吐出口1からインク液滴を吐出するために利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体としての発熱体2や、これに電力を供給するための電極配線(不図示)が設けられている。これらの発熱体2や電極配線はシリコン等からなる基板30表面に成膜技術によって形成される。発熱体2の上にはインクと発熱体2とが直接接触しないように保護膜(不図示)が形成されている。さらにこの基板30上に樹脂やガラス材よりなる隔壁10を積層することによって上記吐出口1、ノズル流路3、基板部の流路4等が構成される。
図6に記録ヘッドユニットを示す。このユニットの構成は、Bkチップ2302と、Cチップ2303と、Mチップ2304と、Yチップ2305をフレーム2306に固定した構成である。それぞれのチップ2302,2303,2304,2305は、図3の記録ヘッド102と同様の構成となっている。各チップ2302〜2305の間隔は1/2インチとされ、図6中の主走査方向に等間隔に配置されている。各チップ2302〜2305の吐出口1(図3(a)参照)の数、つまりノズル数はそれぞれ256個であり、それらのノズル列は主走査方向に対しほぼ直交するように配置されている。
各ノズルは、約84μmのノズルピッチで128個のノズルが2列に配置されており、更にこの2列が「千鳥状」と呼ぶ形態(すなわち2列が半ピッチの約42μmずらしてある)で作製されている(図3(a))。これにより一度の主走査で256ノズル分のバンドを600dpiの解像度で記録できる。なお、前述した各部寸法およびノズル数等は本発明を限定するものではない。
(従来例1)
従来例の液体噴射記録ヘッドを図5に示す。液体噴射記録ヘッドとして、吐出量8.5×(10のマイナス15乗)立方メートル、600dpiのものを作製した。従来例1では基板部の流路44の断面形状(図5参照)は面方位<100>の異方性エッチングを実施して作製しているために台形である。ここで基板の厚さは625ミクロンで、基板部の最小流路幅を155ミクロン、基板部の最大流路幅を800ミクロンとした。また、液体第2貯蔵部45の流路幅Bを2mmとした。
通常、記録ヘッドの稼働では吐出液滴数やこれに関わる数値をカウントすることによって液滴の不吐を未然に防ぐ目的で、あるカウント数に達すると記録ヘッド内の残留気体を除去すべく吸引回復動作へ移行するようにプログラムされているが、ここでは不吐の発生が実際にいつ生じるかを明確にするために、吸引回復動作への移行制御を解除した。
A3サイズの用紙にシアン(C)色のベタ塗り印刷を実施したところ3枚程度にて残留気体(泡)が原因である不吐によって印刷に抜けが生じた。この状態直後にインクジェットヘッド内部を観察したところ、基板部の流路44の部分および液体第2貯蔵部45にわたり空気が入り込んでいる(占有している)のが確認された。
詳細な観察実験を行ったところ、吐出動作が回を重ねると同時にノズル流路43を通じて基板部の流路44の部分(面方位<100>の異方性エッチングした面)に小さな気泡が付着して蓄積し始めることがわかった。さらにこれらの小さな気泡は合体を始めていくつかのものは浮力によって液体第2貯蔵部45の方へ移動するが、いくつかのものは基板部の流路44部分で合体・成長を繰り返しながらも付着したままとなることが観察された。この付着したまま拡大する気泡は液体貯蔵部48からの液体(インク)の吐出口41への供給を遮断し、不吐を引き起こして印刷に抜けを生じさせていた。
この観察結果から基板部の流路部44の漏れ性を良くすることによって気泡の剥がれやすさを促進して浮力によって液体貯蔵部48方向へ移動を促すことなどが試みられているが、劇的な改善効果は得られていない。
そこで本発明者は鋭意検討を重ねた結果、液体中の気体(気泡)は表面張力によって球形になりたがるという現象を積極的に利用することによって効果的に不要な泡を吐出口に近い位置から遠ざける方法を見い出した。またこの現象を効果的に引き起こさせる部材としては、残留気泡を引き剥がしたい基板30を転用し、この基板30の厚さtと基板部の流路4の幅Wの寸法の組み合わせが設計パラメータとなる。以下実施例をもとに具体的にその方法を説明する。
図1は本発明の具体的な実施例を示したものである。
通常、記録ヘッドの稼働では吐出液滴数やこれに関わる数値をカウントすることによって液滴の不吐を未然に防ぐ目的で、あるカウント数に達すると記録ヘッド内の残留気体を除去すべく吸引回復動作へ移行するようにプログラムされているが、ここでは不吐の発生が実際にいつ生じるかを明確にするために、本例でも従来例1同様、吸引回復動作への移行制御を解除した。
従来例1では基板部の流路44の断面形状(図5参照)は面方位<100>の異方性エッチングを実施して作製しているために台形であるのに対して、本実施例1では基板部の流路4の断面形状(図1参照)を矩形にした。作製にあたっては面方位<110>の異方性エッチングを実施して作製した。
本実施例1のヘッドとして、吐出量8.5×(10のマイナス15乗)立方メートル、600dpiの液体噴射記録ヘッドを用意した。ここで基板の厚さtは625ミクロンとし、基板部の流路幅Wを300ミクロンとした。また、液体第2貯蔵部5の流路幅Bを2mmとした。
本ヘッドを用いてA3サイズの用紙にシアン(C)色のベタ塗り印刷の実施を試みたところ内蔵したインクを使い切るまで、印刷に抜けを生じることなく印刷が続けられた(A3用紙19枚)。この直後にインクジェットヘッド内部を観察したところ、基板部の流路4の部分(面方位<110>の異方性エッチングした面)に大きな気泡等の付着は見られなかった。基板30の厚さtと基板部の流路4の幅Wの比は(t/(W/2))=4.17である。
本実施例2のヘッドにおいては、基板の厚さtは625ミクロンとし、基板部の流路幅Wを200ミクロンとした。その他の条件等はすべて実施例1に同じである。この場合もA3サイズの用紙にシアン(C)色のベタ塗り印刷の実施を試みたところ内蔵したインクを使い切るまで、印刷に抜けを生じることなく印刷が続けられた(A3用紙19枚)。この直後にインクジェットヘッド内部を観察したところ、基板部の流路4の部分(面方位<110>の異方性エッチングした面)に大きな気泡等の付着は見られなかった。基板30の厚さtと基板部の流路4の幅Wの比は(t/(W/2))=6.25である。
本実施例3のヘッドにおいては、基板の厚さtは625ミクロンとし、基板部の流路幅Wを400ミクロンとした。その他の条件等はすべて実施例1に同じである。この場合もA3サイズの用紙にシアン(C)色のベタ塗り印刷の実施を試みたところ内蔵したインクを使い切るまで、印刷に抜けを生じることなく印刷が続けられた(A3用紙19枚)。この直後にインクジェットヘッド内部を観察したところ、基板部の流路4の部分(面方位<110>の異方性エッチングした面)に大きな気泡等の付着は見られなかった。基板30の厚さtと基板部の流路4の幅Wの比は(t/(W/2))=3.13である。
本実施例4のヘッドにおいては、基板の厚さtは625ミクロンとし、基板部の流路幅Wを100ミクロンとした。その他の条件等はすべて実施例1に同じである。この場合もA3サイズの用紙にシアン(C)色のベタ塗り印刷の実施を試みたところA3用紙3枚めにて残留気体(泡)が原因である不吐によって印刷に抜けが生じた。この状態直後にインクジェットヘッド内部を観察したところ、基板部の流路4の部分および液体第2貯蔵部5にわたり空気が入り込んでいる(占有している)のが確認された。基板30の厚さtと基板部の流路4の幅Wの比は(t/(W/2))=12.5である。
本実施例5のヘッドにおいては、基板の厚さtは300ミクロンとし、基板部の流路幅Wを300ミクロンとした。その他の条件等はすべて実施例1に同じである。この場合もA3サイズの用紙にシアン(C)色のベタ塗り印刷の実施を試みたところ内蔵したインクを使い切るまで、印刷に抜けを生じることなく印刷が続けられた(A3用紙19枚)。この直後にインクジェットヘッド内部を観察したところ、基板部の流路4の部分(面方位<110>の異方性エッチングした面)に大きな気泡等の付着は見られなかった。基板30の厚さtと基板部の流路4の幅Wの比は(t/(W/2))=2.0である。
本実施例6のヘッドにおいては、基板の厚さtは200ミクロンとし、基板部の流路幅Wを300ミクロンとした。その他の条件等はすべて実施例1に同じである。この場合もA3サイズの用紙にシアン(C)色のベタ塗り印刷の実施を試みたところ内蔵したインクを使い切るまで、印刷に抜けを生じることなく印刷が続けられた(A3用紙19枚)。この直後にインクジェットヘッド内部を観察したところ、基板部の流路4の部分(面方位<110>の異方性エッチングした面)に大きな気泡等の付着は見られなかった。基板30の厚さtと基板部の流路4の幅Wの比は(t/(W/2))=1.33である。
本実施例7のヘッドにおいては、基板の厚さtは400ミクロンとし、基板部の流路幅Wを300ミクロンとした。その他の条件等はすべて実施例1に同じである。この場合もA3サイズの用紙にシアン(C)色のベタ塗り印刷の実施を試みたところ内蔵したインクを使い切るまで、印刷に抜けを生じることなく印刷が続けられた(A3用紙19枚)。この直後にインクジェットヘッド内部を観察したところ、基板部の流路4の部分(面方位<110>の異方性エッチングした面)に大きな気泡等の付着は見られなかった。基板30の厚さtと基板部の流路4の幅Wの比は(t/(W/2))=2.67である。
以上に示した従来例1および実施例1乃至7の結果をもとに考察してみる。面方向<100>の異方性エッチングによって作製した基板部の流路4の部分は重力の反対方向(上方向)に対して末広がり状に広がっているにもかかわらず球形の残留気泡のほとんどが付着したままとなっており、つまり浮力による残留泡の剥離除去は期待できない。但し、図2(a)に示すようにB>Wという関係が成り立つ場合にてtがWよりも十分に小さい場合にはある程度の大きさになった残留気泡が異方性エッチング面にいつまでも付着していることはなく、浮力による剥離浮上が期待できる。しかし基板の強度確保という点で限界があり際限なく(t/(W/2))を小さくすることはできない。
一方、パラメータ比(t/(W/2))が“1”を超えるあたりから(図2(b))状況が変わってくる。すなわち面方位<110>の異方性エッチング面に付着しながら拡大してきたほぼ球形の残留泡は両側のエッチング面に挟まれ、この場合両面への固着力が浮力に勝るため、浮力による剥離浮上は困難になる(図2(c))。この現象は面方位<100>の異方性エッチング面を導入しても同じである(図2(f))。
この状態の後にさらに残留気体の合体が進行して残留気泡の体積が増加してくると、面方位<110>の異方性エッチング面を導入した場合と面方位<100>の異方性エッチング面を導入した場合とで差が出てくる。すなわち面方位<100>の異方性エッチング面を導入した場合は、残留気泡は基板部の流路4の末広がり面に即した状態で吐出口側および液体貯蔵部側の両方向へと拡大し(図2(f))、このうち吐出口側に近い残留気泡の最前面が不幸にも吐出口を通じて外気と連通すると不吐状態となってしまう。
一方、基板部の流路4の作製に面方位<110>の異方性エッチング面を導入した場合は平行な両側のエッチング面に挟まれた部分の残留気体の体積(図2(d)中のD−D線より下の気体体積。ノズル並び方向に単位長さあたりの最大気体体積はt×W)に比べて、液体第2貯蔵部へ突き出した部分の残留気体の体積(図2(d)中のD−D線より上の気体体積)が大きくなると、気泡は領域的に広い液体第2貯蔵部内で球形になろうとし、ほぼ平行な両側のエッチング面に挟まれた部分の残留気体をも引きずり出して液体第2貯蔵部内で球形になる(図2(e))。またこのように一旦液体第2貯蔵部へ抜けて球形になった残留気泡は吸引回復動作時以外には、もう二度と基板部の流路部へ入り込むことはない。この結果、吐出口へのインクの供給経路が広く確保され不吐が回避される。さらに詳細な検討によればこの現象を確実にかつ効果的に再現させるためにはB>Wなる段差を設けること、かつ基板部の流路の幅Wは基板の厚みtに渡ってほぼ一様であることが望ましい。
また、以上に示した従来例1および実施例1乃至7においては液体第2貯蔵部の流路幅を2mmに固定した。これに対して、インクジェットヘッドの実装性向上の目的で上記液体第2貯蔵部の流路幅を小さくすることが画策される場合がある。この点に関する詳細な検討では、以下の条件が判明した。
2×t×W<(4π/3)×(B/2)
すなわち、この条件を満足するtとWとの組み合わせ寸法にて基板部の流路形状を形成すれば、液体第2貯蔵部内で球形となった残留気泡は液体第2貯蔵部の壁面両面に付着することなく、浮力により浮上してさらに吐出口1から遠ざかり、吐出口側に近い残留気泡の最前面が不幸にも吐出口を通じて外気と連通して不吐状態となってしまうことがなくなり、なお好適である。
また、基板部の流路を設ける位置が図9に示すように基板の中央ではなくエッジ部とした構成においても本発明は好適である。
上述のように本発明の液体噴射記録ヘッドおよびその装置は、基板部の流路4の作製に面方位<110>の異方性エッチングを導入したので、平行な両側のエッチング面に挟まれた部分の残留気体の体積に比べて液体第2貯蔵部へ突き出した部分の残留気体の体積が大きくなると気泡は領域的に広い液体第2貯蔵部内で球形になろうとし、平行な両側のエッチング面に挟まれた部分の残留気体をも引きずり出して液体第2貯蔵部内で球形になり、この結果吐出口へのインクの供給経路が広く確保されるために、残留気泡が原因である突然の不吐による印刷途中での印刷ねけを確実に回避できる。
本発明におけるインクジェットヘッドの断面図である。 (a)〜(e)は本発明におけるインクジェットヘッドでの基板の厚さと基板部の流路幅と残留気泡の関係を説明するための断面図である。(f)は従来例のインクジェットヘッドでの基板の厚さと基板部の流路幅と残留気泡の関係を説明するための断面図である。 (a)は本発明におけるインクジェットヘッドの平面図である。(b)は本発明におけるインクジェットヘッドの断面図である。 本発明におけるインクジェットヘッドによる印字状態を説明するための図である。 従来例のインクジェットヘッドの断面図である。 各色用のチップをフレームに搭載した状態を説明するための図である。 本発明に適用可能な液体噴射記録装置の概略斜視図である。 本発明に適用可能な液体噴射記録ヘッドの概略斜視図である。 本発明における他の実施例であるインクジェットヘッドの断面図である。
符号の説明
1 吐出口
2 発熱体
3 ノズル流路
4 基板部の流路
5 液体第2貯蔵部
6 コネクト部材
7 フィルタ部
8 液体貯蔵部
9 インク吸収体
10 隔壁
11 残留気体(泡)
20K Bk用タンク
20C C用タンク
20M M用タンク
20Y Y用タンク
30 基板
41 吐出口
42 発熱体
43 ノズル流路
44 基板部の流路
45 液体第2貯蔵部
46 コネクト部材
47 フィルタ部
48 液体貯蔵部
49 インク吸収体
51 吐出口
52 発熱体
53 ノズル流路
54 基板部の流路
55 液体第2貯蔵部
56 コネクト部材
57 フィルタ部
58 液体貯蔵部
59 インク吸収体
100 記録装置
101 キャリッジ
102 記録ヘッド群
103 記録ヘッドユニット
104 ガイド軸
105 ガイド軸
106 被記録媒体
107 スイッチ部/表示素子部
108 プラテン
109 送りローラ
110 回復系ユニット
111 インク液滴
430 基板
530 基板
2302 Bkチップ
2303 Cチップ
2304 Mチップ
2305 Yチップ
2306 フレーム

Claims (6)

  1. 液体が吐出する吐出口と、該吐出口から前記液体を吐出させるためのエネルギーを加える吐出エネルギー発生部と、該吐出エネルギー発生部を設けた基板と、該基板に隣接してなり液体吸収体等を内蔵しない液体第2貯蔵部と、前記液体を主に貯蔵する液体貯蔵部とを備え、前記基板と前記液体第2貯蔵部との接続位置での前記液体第2貯蔵部の流路幅Bと前記基板部の流路幅Wとの関係にて、
    W<B
    を満たす液体噴射記録ヘッドにおいて、
    前記基板部の流路幅Wと前記基板の厚さtにおいてt=(W/2)×pなる関係にて、
    0.1≦p≦10
    なる関係が成立すること、また好ましくは
    0.5≦p≦4.6
    なる関係が成立すること、さらに好ましくは
    0.5≦p≦4
    なる関係が成立すること、を特徴とする液体噴射記録ヘッド。
  2. 前記液体第2貯蔵部の流路幅をBとした場合に、
    2×t×W<(4π/3)×(B/2)
    を満足する前記基板の厚さtと前記基板部の流路幅Wとの組み合わせ寸法にて前記基板部の流路形状が形成されることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射記録ヘッド。
  3. 前記基板部の流路幅Wが前記基板の厚さt全体にわたり一様である請求項1乃至2に記載の液体噴射記録ヘッド。
  4. 前記基板部の流路が前記各吐出口の列のあいだ乃至中央に配されている請求項1乃至3に記載の液体噴射記録ヘッド。
  5. 前記吐出エネルギー発生部は、熱エネルギーを発生する電気熱変換体を有することを特徴とする請求項1乃至4に記載の液体噴射記録ヘッド。
  6. 液体噴射記録ヘッドを移動させる移動手段と、被記録媒体を搬送する搬送手段とを備え、請求項1乃至5のいずれかに記載の液体噴射記録ヘッドを搭載した液体噴射記録装置。
JP2005043932A 2005-02-21 2005-02-21 液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録装置 Withdrawn JP2006224600A (ja)

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