JP2006224172A - 薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤ - Google Patents

薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】 薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤを提供する。
【解決手段】 薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤにおいて、ワイヤ成分として質量%でC:0.02〜0.11%、Si:0.6〜1.3%、Mn:0.9〜1.95%、P:0.005〜0.015%、S:0.008〜0.030%、Nb:0.05〜0.60%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、ワイヤ表面にワイヤ10kg当たり二硫化モリブデンを0.01〜0.50g、リン脂質を0.008〜0.15g含み残部は常温で液体の潤滑油からなる潤滑剤を合計で0.5〜2.5g有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤに関し、詳しくは亜鉛系塗料塗布および亜鉛めっき鋼板を長時間溶接する場合においても、ピット、ブローホールおよびスパッタ発生量が少なくワイヤ送給性が良好で、さらにコンタクトチップ(以下、チップという。)の摩耗が少なくアークの安定性が良いなど溶接作業性に優れた薄板のガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤに係わるものである。
鋼材の防錆手段として、冷延または熱延鋼板表面に亜鉛系塗料塗布や亜鉛めっきを施した表面処理鋼板がある。これら表面処理鋼板は薄板分野で、特にプレハブ建築等の柱、屋根の建築材料、ガソリン缶、洗濯機の部品のほか、自動車車体においても使用されている。これら表面処理鋼板の溶接にはガスシールドアーク溶接法が多用されている。
亜鉛系表面処理鋼板の薄板の溶接ではピット、ブローホール等の気孔欠陥の発生、スパッタの増加などの問題点に加え、長時間溶接しているとアークが不安定になるなどの問題点がある。特に、最近では溶接ロボットの採用による自動化を阻害する要因としてより大きくなる傾向にあり、これら問題点の解決が強く望まれている。
すなわち、薄板の自動化は生産性の向上を目的とし、より高速で安定した溶接が求められ、多くの場合1m/min以上の速度の高速溶接が採用される。このような薄板の高速溶接では溶接入熱が小さく冷却速度も早いため、亜鉛めっき鋼板の場合には溶融金属に侵入した亜鉛系ガスの浮上に要するに充分な時間が得られずに気孔欠陥が多発するだけでなく、シールド不足による気孔欠陥も考慮する必要がある。また長時間の高速溶接においては、安定したワイヤ送給性も同時に満足することが必要である。
亜鉛めっき鋼板に対する気孔欠陥の防止技術としては、例えば特開昭63−72498号公報(特許文献1)にはAl、Ti、Cuの他に多量のNiを含有させるソリッドワイヤの提案がある。しかしながら、この技術では亜鉛めっき鋼板の高速溶接には効果が期待できないものである。また、特開平1−309796号公報(特許文献2)には、C、Si、Mn、Bi、O、Tiの添加量を限定した亜鉛めっき鋼板溶接用ソリッドワイヤが開示されている。この技術は亜鉛めっき鋼板の気孔抑制やスパッタ発生量の減少には効果があるものの、長時間溶接のアーク安定性に対しては配慮がなされていない。
特開平4−41098号公報(特許文献3)ではC、Si、Mn、BiにNb、VおよびAl、Ti、Zrを規制した各種表面処理鋼板用ソリッドワイヤがある。このワイヤも亜鉛めっき鋼板の耐気孔性に対しては効果があるものの、スパッタ量や長時間溶接におけるアーク安定性に対しては効果が期待できない。さらに、特開平5−305476号公報(特許文献4)にはC、Si、Mn、P、S、Al、N、O量およびMn/Si比を限定したソリッドワイヤの提案がある。しかし、この提案も3.2mm程度の普通鋼板のみの高速溶接を対象としたもので、表面処理鋼板の耐気孔性を満足できるものではない。
また、ワイヤ表面に銅めっきが施されていないワイヤについても種々検討されており、この場合コンジットチューブやチップに銅めっき屑が蓄積してアーク安定性を阻害することがなく、製造工程でワイヤ表面に銅めっきを施す工程を省略できるのでめっき廃液の取り扱いが不要になるという利点もある。さらに、ワイヤ表面に銅めっきが施されていないワイヤとして、例えば、特開平11−342494号公報(特許文献5)や特開2004−1061号公報(特許文献6)には、銅めっき無しでスパッタ発生量を少なくした溶接用ワイヤの開示がある。しかし、これらの技術では長時間溶接しているとチップ摩耗が激しくアークが不安定になるので頻繁にチップを交換する必要がある。
また、ロボットを用いた場合の溶接作業は、ワイヤ供給装置の送給ローラにより、コンジットケーブルの内部に内包され螺旋状に形成されたコンジットチューブとそれにつながる溶接トーチのチップから連続的にワイヤを送り出しながらシールドガスの雰囲気でアーク溶解する方法で使用される。この場合、コンジットケーブルは溶接トーチの動きを容易にするために長尺でかつ軟質の物が用いられ、ワイヤ送給装置から溶接部までの距離の調整や狭隘部の溶接をするために上下あるいは左右に曲げたり、ループ状に巻きつけて使用されることが多い。このような状況で使用された場合、前述の溶接用ワイヤでは螺旋状のコンジットチューブ内の表面と接触摩擦部が増えて送給抵抗が増し、ワイヤを円滑に送給することが困難となる。
特開昭63−72498号公報 特開平1−309796号公報 特開平4−41098号公報 特開平5−305476号公報 特開平11−342494号公報 特開2004−1061号公報
本発明は、薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤに関し、特に亜鉛系塗料塗布および亜鉛めっき鋼板を長時間溶接する場合においても、ピット、ブローホールおよびスパッタ発生量が少なくワイヤ送給性が良好で、さらにチップの摩耗が少なくアークの安定性が良いなど溶接作業性に優れた薄板のガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤを提供することを目的とする。
本発明の要旨は、薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤにおいて、ワイヤ成分として質量%で、C:0.02〜0.11%、Si:0.6〜1.3%、Mn:0.9〜1.95%、P:0.005〜0.015%、S:0.008〜0.030%、Nb:0.05〜0.60%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、ワイヤ表面にワイヤ10kg当たり二硫化モリブデンを0.01〜0.50g、リン脂質を0.008〜0.15g含み残部は常温で液体の潤滑油からなる潤滑剤を合計で0.5〜2.5g有することを特徴とする。
また、ワイヤ表面長手方向に対して30°方向を測定した表面粗さの算術平均粗さが0.04〜0.25μmであることを特徴とする。
さらに、ワイヤ表面潤滑剤にワイヤ10kg当たりKを0.004〜0.25g含有することも特徴とする薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤにある。
本発明の薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤによれば、特に亜鉛系塗料塗布および亜鉛めっき鋼板を長時間溶接する場合においても、ピット、ブローホールおよびスパッタ発生量が少なくワイヤ送給性が良好で、さらにチップの摩耗が少なくアークの安定性が良いなど溶接作業性に優れた溶接が可能になる。
本発明者らは、前記課題を解決するために亜鉛系塗料塗布および亜鉛めっき鋼板の長時間溶接で、ピット、ブローホールおよびスパッタ発生量、ワイヤ送給性およびアークの安定性に及ぼすワイヤ成分、ワイヤ表面に塗布する送給潤滑剤およびワイヤ表面状態について種々検討した。その結果、ワイヤ成分中C、Si、Mn、P、SおよびNbの含有量を限定することによってピット、ブローホールおよびスパッタの発生を抑制し、潤滑剤中にKを適量含有することによって、溶滴が微粒になり極めてアークが安定する。また、ワイヤ表面に二硫化モリブデン、リン脂質および常温で液体である潤滑油を適量塗布するとともにワイヤ表面粗さを限定することによって、軟質で長尺のコンジットケーブルを使用して長時間溶接する場合においてもワイヤ送給性が良好で、チップ摩耗も極めて少なくなり安定したアークが得られることを見出した。
ワイヤ成分中のCは、亜鉛系塗料塗布および亜鉛めっき鋼板のピットおよびブローホールの発生防止に効果がある。しかし、Cが0.02質量%(以下、%という。)未満であるとピットやブローホールが発生する。一方、Cが0.11%を超えると大粒のスパッタ発生量が多くなる。
Siは、主脱酸剤として添加するが、そのほかビード形状を改善する作用がある。Siが0.6%未満であると脱酸不足による亜鉛以外を要因とするピットやブローホールが発生するとともにビードが凸状となる。1.3%を超えるとスラグ生成量が増加してビード表面を被い、亜鉛によるピットやブローホールの発生を助長する。
MnもSiと同様に脱酸剤として添加するが、そのほかビード形状を改善する作用がある。Mnが0.9%未満であると脱酸不足による亜鉛以外を要因とするピットやブローホールが発生するとともにビードが凸状となる。1.95%を超えると溶接金属の硬さが急激に増加し高温割れが生じやすくなる。また、スラグ生成量も多くなってビード表面を被い、亜鉛によるピットやブローホール発生を助長する。
Pは、ピットやブローホール発生の抑制に効果がある。Pが0.005%ではピットやブローホールが発生しやすく、0.015%を超えると高温割が生じやすくなる。
Sは、ビード形状を良好にする元素として極めて有効である。そこ効果は0.008%以上で発揮される。一方、0.030%を超えるとPと同様に高温割が生じやすくなる。
Nbは、窒素固定元素として極微量の添加でシールド不良によるピットやブローホール発生の抑制に効果がある。また、ビード形状を改善する作用がある。Nbが0.05%未満であると、ピットやブローホールが発生しやすくなるとともにビードが凸状となる。一方、Nbが0.60%を超えると、溶接金属の硬さが急激に増加し高温割れが生じやすくなる。なお、ワイヤ成分として上記成分の他、アーク安定性のための調整としてAl、ZrおよびVを微量添加できる。
ワイヤ表面に塗布する潤滑剤は、ワイヤ10kg当たり二硫化モリブデンを0.01〜0.50g、リン脂質を0.008〜0.15g含み残部は常温で液体である潤滑油からなる潤滑剤を合計で0.5〜2.5g(以下、g/10kgWという。)とする。
二硫化モリブデンは、コンジットチューブ内で送給抵抗を抑制してワイヤ送給性を良好にするとともに、チップ内壁とワイヤ表面の摩擦抵抗を下げてチップの摩耗を少なくする。二硫化モリブデンが0.01g/10kgW未満であると、コンジットチューブ内で送給抵抗が大きくなりワイヤ送給性が不良となるとともに、チップの摩耗量が多くなってアークが不安定になる。逆に、二硫化モリブデンが0.50g/10kgWを超えると、アークが不安定になってスパッタ発生量が多くなる。なお、二硫化モリブデンの粒径は1.0μm以下であることが送給抵抗を低減してワイヤ送給性を良好にするので好ましい。
リン脂質は、後述する常温で液体である潤滑油と共存することによりワイヤ表面の二硫化モリブデンを均一に分散させる作用を有する。リン脂質が0.008g/10kgW未満であると、ワイヤ表面の二硫化モリブデンが均一に付着せず、コンジットチューブ内で送給抵抗が大きくなる部分がありワイヤ送給性が不良になるとともに、チップの摩耗量が多くなってアークが不安定になる。逆に、リン脂質が0.15g/10kgWを超えると、スパッタ発生量が多くなる。
本発明にいうリン脂質とは、レシチン(フォスファチジルコン)、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファジルイニシトールなどのリン脂質を主成分とするものを意味し、例えば、大豆や卵黄などから得られるリン脂質を95%程度含有する粉末状のもの、リン脂質を約65%および大豆油などの植物油を35%程度含有するペースト状のものなどあり、いずれも使用することができ、中でも大豆油から得られるレシチンが好ましい。
潤滑剤中の常温で液体である潤滑油は、ワイヤ表面に皮膜を有し、ワイヤ送給時に二硫化モリブデンの潤滑作用を補完しワイヤ送給性を向上させる。潤滑油は、動植物油、鉱物油あるいは合成油の何れでもよい。動植物油としてはパーム油、菜種油、ひまし油、豚油、牛油、魚油等を、鉱物油としてはマシン油、タービン油、スピンドル油等を用いることができる。合成油としては炭化水素系、エステル系、ポリグリコール系、ポリフェノール系、シリコーン系、フロロカーボン系を用いることができる。潤滑油中にはさらに潤滑性能を向上させるため、各種の脂肪酸をはじめとする油性剤やりん系、ハロゲン系、イオウ系の極圧添加剤を加えても良く、また、潤滑油の酸化を防ぐための添加剤(酸化防止剤)を加えてもよい。
ワイヤ表面に含む潤滑剤は、前記二硫化モリブデン、リン脂質および常温で液体である潤滑油の合計で0.5〜2.5g/10kgWとする。潤滑剤の合計量が0.5g/10kgW未満であると、コンジットチューブ内で送給抵抗が大きくなりワイヤ送給性が不良となるとともに、チップの摩耗量が多くなってアークが不安定になる。逆に、2.5g/10kgWを超えると、送給ローラ部でワイヤがスリップしてアークが不安定になる。
ワイヤ表面のめっきは、溶融金属付近でシールドガス中のCO2 ガスの分解(CO2 →CO+O)から生じる酸素の進入を妨げる。したがってワイヤ表面にめっきが施してあると、溶融金属の表面張力が大きくなって溶滴が大きく不揃いとなりスパッタ発生量が多くなるとともに、アークが不安定となると推測される。
また、ワイヤ表面にめっきを施さないので、長時間溶接してもコンジットチューブ内にめっき剥離して蓄積されることがないので安定したアークを持続させることができる。しかし、JIS B0601−1994で規定されるワイヤ表面長手方向に対して30°方向を測定した表面粗さの算出平均粗さRaが0.25μmを超えると、コンジットチューブ内の摩擦によって送給抵抗が大きくなり、ワイヤ送給性が悪くなってアークが不安定になる。また、チップ内壁とワイヤ表面の摩擦抵抗によって長時間溶接しているとチップも摩耗量が多くなってアークが不安定となる。ワイヤ表面長手方向に対して30°方向を測定した表面粗さの算出平均粗さRaが0.04μm未満であると、ワイヤ送給装置の送給ローラ部でワイヤがスリップしてアークが不安定になる。
さらに、ワイヤ表面潤滑剤にKを0.004〜0.25g/10kgW含むことによって、溶滴が微粒になり極めてアークが安定する。ワイヤ表面潤滑剤のKが0.004g/10kgW未満では効果が発揮できず、0.25g/10kgWを超えると、スパッタ発生量が多くなる。本発明の薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤは、ワイヤ原線を乾式孔ダイス伸線または湿式孔ダイス伸線で縮径して縮径率をコントロールして目的のワイヤ表面粗さとし、仕上げ伸線または仕上げ伸線後に前記送給潤滑剤をワイヤ表面に塗布して製造する。
以下、本発明の効果を実施例により具体的に説明する。
表1に示すワイヤ径1.2mmの溶接用ワイヤの成分、ワイヤ表面状態および潤滑剤塗布量を変えたものを試作してスプール巻きワイヤとした。
各試作ワイヤにつきピット、ブローホールおよびスパッタ発生量、割れの有無、ワイヤ送給性、チップ摩耗量およびアーク状態を調査した。ピット、ブローホールおよびスパッタ発生量と割れの有無の調査は、板厚2mm、幅50mm、長さ300mmの鋼板両面に50g/m2 の亜鉛めっきを施した鋼板を重ね継手とし、表2に示す条件で繰り返し5回調査した。各評価においてピットはピット数を測定して1個/m以下を良好とした。ブローホールおよび割れはX線透過試験により調査し、ブローホールはブローホール合計幅/ビード長さが30%以下を合格とした。また、スパッタ発生量は銅製の捕集箱を用いて、捕集したスパッタを1分間の発生量に換算した。スパッタ発生量は1.0g/min以下でアークが安定して作業性が良好である。
Figure 2006224172
Figure 2006224172
ワイヤ送給性、チップ摩耗量およびアーク状態の評価は、図1に示す装置を用いて行った。図1において送給機1にセットされたスプール巻きワイヤ2は、送給ローラ3により引き出され、コンジットケーブル4に内包されたコンジットチューブを経てその先端のトーチ5からチップ6まで送給される。そしてチップ6と鋼板7との間でビードオンプレート溶接を行う。コンジットケーブル4は6m長さで、送給抵抗を与えるために150mm径のループを2つ形成した屈曲8を設けた。送給機1には送給ローラの周速度Vr(設定ワイヤ速度)の検知器(図示せず)およびワイヤの実速度Vw検出器9を備えている。
ワイヤ送給性評価指標のスリップ率SLは、SL=(Vr−Vw)/Vr×100で表される。また、送給ローラ部分に設けられたロードセル10によりワイヤ送給時にワイヤがコンジットチューブから受ける反力を送給抵抗Rとして検出した。溶接は試作ワイヤ毎に新しいコンジットチューブを用いて表2に示す溶接条件で30分溶接し、溶接開始後15分から溶接終了までの15分間スリップ率SLと送給抵抗Rを測定して平均値を求めた。スリップ率SLが10%以下で送給抵抗Rが6kgf以下の場合にワイヤ送給性良好と判定した。また、チップの摩耗量は、試作ワイヤ毎に新しいチップ(内径1.4mm)を用いて溶接終了後最も摩耗の大きい箇所の内径を測定した。チップ摩耗量の評価は、摩耗量が0.05mm以下を良好として評価した。それらの結果を表3にまとめて示す。
Figure 2006224172
表1および表3中、ワイヤNo.1〜8が本発明例、ワイヤNo.9〜16が比較例である。本発明例である試験No.1〜8は、ワイヤ成分範囲が適正で、ワイヤ表面の潤滑剤である二硫化モリブデン、リン脂質、Kの付着量および潤滑油を含む潤滑剤の合計量とワイヤ表面長手方向に対して30°方向を測定した算術平均粗さRaが適正であるので、ピットの発生が無く、ブローホール発生率が低く、スパッタ発生量が少なく、割れも無く、スリップ率SLおよび送給抵抗Rが低くワイヤ送給性が良好で、チップ摩耗量も少なくアークが安定して溶接作業性が良好であるなど極めて満足な結果であった。
比較例中ワイヤNo.9は、ワイヤ成分のCが高いのでスパッタ発生量が多かった。また、Pが低いのでピットが発生しブローホール率も高くなった。さらに、ワイヤ表面潤滑剤の二硫化モリブデンが少ないので送給抵抗Rが大きくワイヤ送給性が不良となり、チップの摩耗量も多くなってアークが不安定になった。
ワイヤNo.10は、ワイヤ成分のCが低いのでピットが発生しブローホール率も高くなった。また、Pが高いので割れも生じた。さらに、ワイヤ表面潤滑剤の二硫化モリブデンが多いのでアークが不安定でスパッタ発生量も多くなった。
ワイヤNo.11は、ワイヤ成分のSiが高いのでスラグ生成量が多くなってピットが発生しブローホール率も高くなった。また、Sが低いのでビードに広がりがなく凸状になった。さらに、ワイヤ表面潤滑剤のリン脂質(レシチン)が多いのでスパッタ発生量が多くなった。
ワイヤNo.12は、ワイヤ成分のSiが低いのでピットが発生しブローホール率も高くビード形状も凸状となった。また、Sが高いので割れも生じた。さらに、ワイヤ表面潤滑剤のリン脂質(レシチン)が少ないので送給抵抗Rが大きくワイヤ送給性が不良でチップ摩耗量も多くなってアークも不安定になった。
ワイヤNo.13は、ワイヤ成分のMnが高いのでスラグ生成量が多くなってピットが発生しブローホール率も高く割れも生じた。また、ワイヤ表面潤滑剤の合計量が少ないので送給抵抗Rが大きくワイヤ送給性が不良でチップ摩耗量も多くなってアークも不安定になった。さらに、ワイヤ表面潤滑剤のKが多いのでスパッタ発生量が多くなった。
ワイヤNo.14は、ワイヤ成分のMnが低いのでピットが発生しブローホール率が高くなりビード形状も凸状となった。また、ワイヤ表面長手方向に対して30°方向を測定した表面粗さの算出平均粗さRaが高いので送給抵抗Rが大きくワイヤ送給性が不良となり、チップの摩耗量も多くなってアークが不安定になった。
ワイヤNo.15は、ワイヤ成分のNbが高いので割れが生じた。また、ワイヤ表面潤滑剤の合計量が多いのでスリップ率SLが高くワイヤ送給性も不良であった。
ワイヤNo.16は、ワイヤ成分のNbが低いのでピットが発生しブローホール率も高くなった。また、ワイヤ表面長手方向に対して30°方向を測定した表面粗さの算出平均粗さRaが低いのでスリップ率SLが高くワイヤ送給性も不良であった。
本発明の実施例におけるワイヤ送給試験の装置を示す図面である。
符号の説明
1 送給機
2 スプール巻きワイヤ
3 送給ローラ
4 コンジットケーブル
5 トーチ
6 チップ
7 鋼板
8 コンジットケーブルの屈曲部
9 ワイヤの実速度検出器
10 ロードセル
特許出願人 日鐵住金溶接工業株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1

Claims (3)

  1. 薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤにおいて、ワイヤ成分として質量%で、C:0.02〜0.11%、Si:0.6〜1.3%、Mn:0.9〜1.95%、P:0.005〜0.015%、S:0.008〜0.030%、Nb:0.05〜0.60%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、ワイヤ表面にワイヤ10kg当たり二硫化モリブデンを0.01〜0.50g、リン脂質を0.008〜0.15g含み残部は常温で液体の潤滑油からなる潤滑剤を合計で0.5〜2.5g有することを特徴とする薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤ。
  2. ワイヤ表面長手方向に対して30°方向を測定した表面粗さの算術平均粗さが0.04〜0.25μmであることを特徴とする請求項1記載の薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤ。
  3. ワイヤ表面潤滑剤にワイヤ10kg当たりKを0.004〜0.25g含有することを特徴とする請求項1または2記載の薄板用ガスシールドアーク溶接用めっきなしソリッドワイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8952295B2 (en) 2008-06-18 2015-02-10 Lincoln Global, Inc. Welding wire with perovskite coating

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