JP2006224106A - 溶融金属吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半田滴の酸化を不活性ガスの供給によって防止しつつも、着弾の位置精度を向上させ、かつ不活性ガスの消費量を低減する、溶融金属吐出装置を得る。
【解決手段】ノズルプレート4の下方に保持板9が設けられている。保持板9には、吐出口5の直下を中心とする空洞部91が形成されている。空洞部91の底部にはフランジ93が形成されている。さらに、フランジ93の底部で吐出口5の直下には、半田滴8よりも径が大きく開口するオリフィス11が形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、溶融金属を吐出する技術に関し、例えば溶融半田を所定量吐出する技術に採用することができる。
LSIなどの半導体部品を実装するために、半田滴などの溶融金属をノズルの吐出口から吐出させ、半導体チップや基板上のランドにバンプを形成する、溶融金属吐出装置が採用される。溶融金属吐出装置では、吐出された溶融金属は空中を一時的に飛翔するため、飛翔の際に表面が酸化されてしまう可能性があった。これは接合不良の発生を招来する問題があった。
かかる不都合を解消するため、吐出口から吐出された半田滴に対して、不活性ガス(以下、窒素ガスも含む)を供給する技術が提案されている。
特許文献1においては、吐出口から吐出された半田滴に不活性ガスが側方から直接に吹き付けられるため、半田滴の吐出方向が不活性ガスによって曲げられてしまう可能性があった。これは半田滴を所望の位置へと着弾させることできず、所望の位置にバンプを形成できないという問題点を招来する。
また、ノズルプレートの底面がカバーによって覆われているため、バンプを形成する対象物から吐出口までの距離が長くなる。これも着弾の位置精度を悪化させる要因となっていた。
更に、ノズルプレートの下方には保持板が設けられていないので、ダイアフラムによる上方からの押圧力によってノズルプレートが変形してしまい、吐出に悪影響を及ぼす可能性があった。
一方、特許文献2においては、平板状のノズルプレートを下方から支持する支持板が、半田滴の吐出口を露出しつつ設けられていた。そして供給パイプが支持板の内部に埋め込まれ、供給パイプから窒素ガスを吐出口へと供給することにより、半田滴へと窒素ガスが吹き付けられていた。この際、所定の箇所にスリットを有する複数の障壁が吐出口の周囲に設けられていた。
このように支持板が設けられていたことにより、ダイアフラムによる上方からの押圧力が加わってもノズルプレートが変形することは防止されていた。しかも供給パイプが支持板の内部に埋め込まれることにより、バンプを形成する対象物から吐出口までの距離を短くすることもできた。また障壁により、窒素ガスの吹きつけが半田滴へと直接には行われていないので、着弾の位置精度も向上していた。
特開2003−334654号公報 特開2000−294591号公報
しかしながら、特許文献2に開示されていた技術によっても、下記の問題が懸念される。即ち、吐出口の周囲に障壁が設けられ、窒素ガスが一方向から直接に半田滴に吹き付けられることは避けられているものの、吐出口から吐出された半田滴は依然として吐出方向と垂直方向からの窒素ガスの流れの影響を受ける。これは吐出方向の不安定さ、窒素ガスの消費量の増大を招来する。
本発明はかかる問題を解決するためになされたもので、半田滴の酸化を不活性ガスの供給によって防止しつつも、着弾の位置精度を向上させ、かつ不活性ガスの消費量を低減する、溶融金属吐出装置を得ることを目的とする。
この発明にかかる溶融金属吐出装置は、貯蔵室に貯蔵された溶融金属を一方から押圧することで吐出口から前記溶融金属を吐出する。そして保持板と第1通路とを備える。前記保持板は前記吐出口の周囲に空洞部を形成する。前記第1通路は前記空洞部へとガスを供給可能である。前記空洞部の前記吐出口の直下には、吐出される前記溶融金属の径よりも大きな径を有して開口するオリフィスが設けられる。
通路を経由して、空洞部へと不活性ガスを供給することができるので、吐出される溶融金属の酸化を防止する。しかもオリフィスによって不活性ガスの流出が制限でき、空洞部において不活性ガスを充満させることにより、不活性ガスの流量を制限して上記酸化を防止できる。これは吐出方向への不活性ガス流の影響を低減し、以て着弾の位置精度を向上させるのみならず、不活性ガスの消費量をも削減して、ランニングコストの低減をも招来する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る溶融金属吐出装置の構造を示す断面図である。ボディ1は、側壁部101と、底壁部102と、薄板部3とを有している。底壁部102の底面内には、外部から供給された溶融半田(溶融金属)6を貯蔵するための貯蔵室2が形成されている。貯蔵室2の上面には薄板部3が位置しており、薄板部3はダイアフラムとして機能する。
底壁部102の底面には、ノズルプレート4が取り付けられている。ノズルプレート4の上面は、貯蔵室2の底面を規定している。また、ノズルプレート4の中央部には、半田滴8が吐出される吐出口5が開口されている。ノズルプレート4の底面には、下方(溶融金属の吐出側)からノズルプレート4を保持するための保持板9が取り付けられている。
図2は、図1に示した保持板9の構造を示す上面図である。図1において示される保持板9の表示は、図2に示した位置I−Iにおける断面矢視図に相当する。図3はノズルプレート4と保持板9との構造を示す上方から見た斜視図であり、見やすくするために上下に分離して示している。実際は鎖線に沿って両者は結合する。
図2に例示されるように保持板9は円板形状を採用することができる。保持板9の上面は、ノズルプレート4の底面に接触している。保持板9の構造については、後に詳述する。
薄板部3上には、圧電素子7が薄板部3の上面(溶融金属の吐出側とは反対側の面)に密着して取り付けられている。圧電素子7に制御電圧を印加すると、圧電素子7が変形することによって薄板部3が下方に押し込まれる。これにより、貯蔵室2内に貯蔵されている溶融半田6が薄板部3によって下方に押圧される。その結果、吐出口5から半田滴8が吐出される。
本実施の形態1に係る溶融金属吐出装置によると、ノズルプレート4の下方に保持板9が設けられている。そのため、薄板部3による上方からの押圧力が加わってもノズルプレート4が変形することはなく、ノズルプレート4の変形が吐出に及ぼす悪影響を回避することができる。
保持板9には、吐出口5の直下を中心とする空洞部91が形成されている。図2及び図3に例示されるように、空洞部91は円筒形状を採用することができる。空洞部91の底部にはフランジ93が形成されている。さらにフランジ93の底部には狭窄部94が設けられている。狭窄部94によって、吐出口5の直下には、半田滴8よりも径が大きく開口するオリフィス11が形成されている。
他方、保持板9の上面内には、空洞部91に連通する溝92が形成されている。溝92内には、不活性ガスを、外部の不活性ガス供給装置(図示しない)から供給するための供給パイプ20が埋め込まれている。図2,3には供給パイプ20として2本の供給パイプ201,202が溝92内に埋め込まれている例を示したが、1本の供給パイプのみが埋め込まれていてもよい。また、保持板9の上面とノズルプレート4の底面とを隙間なく密着できるのであれば、供給パイプ20を設けず、不活性ガスの供給路としての溝92を形成するだけでもよい。
つまり、溝92及び/又は供給パイプ20は空洞部91へとガスを供給可能な第1通路として機能する。
供給パイプ20を介して不活性ガスが空洞部91へと供給される。そして不活性ガスはオリフィス11に対して垂直方向に向きを変え、下方に向かって流出する。オリフィス11を介した不活性ガスの外部への流出は、狭窄部94で制限されるので、空洞部91は不活性ガスで充満される。
このように本実施の形態1に係る溶融金属吐出装置によると、供給パイプ20から供給された不活性ガスは、その外部への流出を狭窄部94で制限され、空洞部91は不活性ガスで充満した空間となる。これにより、半田滴8の酸化をより効果的に防止できる。
また、供給する不活性ガスの流量を大幅に減少させても、空洞部91は不活性ガス圧が外部圧よりも大きくなっているため、酸化の原因となる外部酸素の空洞部91への流入を防止できるため、半田滴8の吐出方向に及ぼす不活性ガス流の影響を、非常に小さくすることが可能となる。これにより半田滴8の着弾の位置精度を向上させ、しかも不活性ガスの消費量も大幅に削減でき、ランニングコストの低減にも繋がる。
図4は、保持板9の第1の変形を例示する断面図である。図1に示したフランジ93を除去し、空洞部91の底面に直接狭窄部94を設けてもよい。かかる構造によっても、上記と同様の効果を得ることができる。
図5は、保持板9の第2の変形を例示する断面図である。図1に示したフランジ93を開口部11に向けてテーパ上に薄くすることで狭窄部94を形成してもよい。かかる構造によっても、上記と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る溶融金属吐出装置の構造を示す断面図であり、図1に対応している。実施の形態1ではオリフィス11は保持板9において形成されていたが、本実施の形態では保持板9に対して着脱可能なオリフィスプレート10を採用している。オリフィスプレート10には吐出口5の直下に、半田滴8よりも径が大きく開口するオリフィス11が形成されている。
なお、保持板9には実施の形態1と同様に、空洞部91とその底面にフランジ93が形成されている。
このように本実施の形態に係る溶融金属吐出装置によると、空洞部91に吐出異常などで堆積した半田滴8を、オリフィスプレート10のみ取り外すことで排出でき、メインテナンスが容易となる。
図7は、オリフィスプレート10の第1の変形を例示する断面図である。当該変形では保持板9に位置決め用の溝94を設け、溝94にオリフィスプレート10が嵌合して設けられている。当該変形によれば、オリフィスプレート10の位置決め精度が向上する。
図8は、オリフィスプレート10の第2の変形を例示する断面図である。当該変形では溝94においてオリフィスプレート10が保持板9に螺合する。図9に、保持板9にオリフィスプレート10が螺合した状態を拡大して示す。
具体的には、オリフィスプレート10の外周部にねじ溝10Aを設け、保持板9の溝94にはねじ溝10Aと螺合するねじ溝9Aを備える。かかる構造によって、オリフィスプレート10の保持板9に対する着脱が容易であり、かつオリフィスプレート10を保持板9に装着した時は、オリフィスプレート10は保持板9に堅持される。
ねじ溝9A,10Aは例示であり、保持板9とオリフィスプレート10との間に他の取り付け構造を設けてもよい。
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3に係る溶融金属吐出装置の構造部分的にを示す断面図であり、図4、図5、図7、図8と対応している。ノズルプレート4上には、図1及び図6に例示されたように、ボディ1と圧電素子7とが配置される。
本実施の形態においてはオリフィスプレート10の上面(空洞部91側)に空洞部91と連通するフランジ溝31、及びフランジ溝31に連通するバイパス溝32a〜32dを設けている。バイパス溝32c、32dは後述する図11に現れるが、図10の断面には現れない。オリフィスプレート10のフランジ溝31の底部には、吐出口5の直下で、半田滴8よりも径が大きく開口するオリフィス11が設けられている。
オリフィスプレート10は、その上面が保持板9の底面に接合されるので、保持板9とオリフィスプレート10との間には、バイパス溝32a〜32dに沿って不活性ガスを排出する第2通路が形成されることになる。
図11は本実施の形態におけるオリフィスプレート10の上面を示す斜視図である。図10では現れなかったバイパス溝32c,32dも現れている。バイパス溝32a〜32dは吐出方向に対して垂直に設けられている。
図12及び図13は、本実施の形態にかかる溶融金属吐出装置の動作を説明する断面図であり、いずれも溶融半田を省略して描いている。図12は半田滴を吐出していない待機状態を示す。矢印Aで示されるように、不活性ガスが供給パイプ20から供給される。不活性ガスの大半は矢印Cで示されるようにオリフィス11から、残りが第2通路から、それぞれ排出される。図12では第2通路としてバイパス溝32a,32bが現れており、それぞれから不活性ガスが排出される様子が矢印B1,B2で示されている。
図13は、半田滴を着弾させる対象たる基板12が、オリフィスプレート10に接近して配置されている状態を示している。このような状態で半田滴が吐出される稼動状態に入るが、開口部11と基板12が近接している。オリフィス11から流出する不活性ガス(矢印C’)の流量は、待機状態においてオリフィス11から流出する不活性ガス(図12の矢印C)の流量よりも減少する。他方、第2通路から排出される不活性ガス(矢印Bl’,B2’)の流量は、待機状態において第2通路から排出される不活性ガス(図12の矢印B1,B2)の流量よりも増大する。
このように本実施の形態に係る溶融金属吐出装置によると、不活性ガスを排出する第2通路をオリフィス11とは別個に設けたので、半田滴を着弾させる対象がオリフィスに近接していない待機状態と、近接している稼動状態との間で、流出する不活性ガス量を平準化することができる。これにより空洞部91の内圧の変動を防止でき、吐出時に半田滴に作用する圧力が平準化され、吐出の安定性を向上できる。また不活性ガス供給量の調整が容易となる。これは更に、溶融金属吐出装置と、着弾対象との間の距離の短縮化を容易にし、吐出中の半田滴が大気に曝される時間を短くすることができるので、半田滴をより酸化しにくくすることができる。
図14は、本実施の形態の変形を例示する断面図である。当該変形では保持板9のオリフィスプレート10側にバイパス溝33a〜33dを設ける。バイパス溝33c、33dは後述する図15に現れるが、図14の断面には現れない。
図15は、当該変形における保持板9及びオリフィスプレート10の構造を示す下方からの斜視図であり、見やすくするために上下に分離して示している。実際は鎖線に沿って両者は結合する。図14では現れなかったバイパス溝33c,33dも現れている。バイパス溝32a〜32dは吐出方向に対して垂直に設けられている。
当該変形においても、オリフィスプレート10は保持板9の底面に接合されるので、保持板9とオリフィスプレート10との間には、バイパス溝33a〜33dに沿って不活性ガスを排出する第2通路が形成されることになる。従って、上記と同様の効果を得ることができる。
本実施の形態において、第2通路を確保しつつもオリフィスプレート10の外周部にねじ溝を形成することは可能であるから、実施の形態2と同様にしてオリフィスプレート10を保持板9に取り付けることができる。
変形.
空洞部91は、不活性ガスが滞留できる程度の大きさがあれば足り、必ずしも広く採る必要はない。保持板9がノズルプレート4の変形を抑えるという観点からは、空洞部91の広がりは、吐出口5近傍にとどめることも望ましい態様である。
オリフィス11の開口径は、上述のように吐出されるべき溶融金属(例えば半田)滴の径よりも大きいことが必要であり、吐出方向の誤差を考慮するという観点からは、吐出される金属滴の2倍以上の開口径を有することも望ましい。
一方、本発明では空洞部91において不活性ガスを滞留させるため、オリフィス11の開口径を小さくすることが望ましい。かかる観点では、第1通路における不活性ガスの、流入方向に対する有効径以下とすることが望ましい。空洞部91によって不活性ガスが滞留するため、不活性ガスの吹きつけによって金属滴の飛翔方向が受ける影響は小さく、よって考慮すべき吐出方向の誤差自体が小さくなる。
例示であるが、吐出金属滴の直径が0.05mmで、第1通路の有効径が直径で1mmの場合には、オリフィス11が開口する直径は0.1mm以上1mm以下とすることができる。
本発明の実施の形態1に係る溶融金属吐出装置の構造を示す断面図である。 保持板9の構造を示す上面図である。 ノズルプレート4と保持板9との構造を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1の第1の変形を例示する断面図である。 本発明の実施の形態1の第2の変形を例示する断面図である。 本発明の実施の形態2に係る溶融金属吐出装置の構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態2の第1の変形を例示する断面図である。 本発明の実施の形態2の第2の変形を例示する断面図である。 本発明の実施の形態2の第2の変形を例示する断面図である。 本発明の実施の形態3に係る溶融金属吐出装置の構造を示す断面図である。 オリフィスプレート10の上面を示す斜視図である。 本発明の実施の形態3にかかる溶融金属吐出装置の動作を説明する断面図である。 本発明の実施の形態3にかかる溶融金属吐出装置の動作を説明する断面図である。 本発明の実施の形態3の変形を例示する断面図である。 本発明の実施の形態3の変形を例示する斜視図である。
符号の説明
2 貯蔵室、5 吐出口、6 溶融半田、8 半田滴、9 保持板、9A,10A ねじ溝、10 オリフィスプレート、11 オリフィス、20,201,202 供給パイプ、32a〜32d,33a〜33d バイパス溝、91 空洞部、92 溝。

Claims (5)

  1. 貯蔵室に貯蔵された溶融金属を一方から押圧することで吐出口から前記溶融金属を吐出する溶融金属吐出装置であって、
    前記吐出口の周囲に空洞部を形成する保持板と、
    前記空洞部へとガスを供給可能な第1通路と
    を備え、
    前記空洞部の前記吐出口の直下には、吐出される前記溶融金属の径よりも大きな径を有して開口するオリフィスが設けられる、溶融金属吐出装置。
  2. 前記オリフィスを有し、前記保持板に対して着脱可能なオリフィスプレート
    を更に備える、請求項1記載の溶融金属吐出装置。
  3. 前記保持板は前記オリフィスプレートが嵌合する溝を有する、請求項2記載の溶融金属吐出装置。
  4. 前記オリフィスプレートの外周部にはねじ溝が設けられ、
    前記保持板の前記溝には前記オリフィスプレートのねじ溝と螺合するねじ溝が設けられる、
    請求項3記載の溶融金属吐出装置。
  5. 前記オリフィスプレートと前記保持板との間に、前記空洞部から前記ガスを排出可能な第2通路
    を更に備える、請求項2乃至請求項4のいずれか一つに記載の溶融金属吐出装置。
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