JP2006220573A - 排気ガスセンサのヒータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
リニア空燃比センサのセンサ素子に付着する結露水が存在する際に該センサ活性化温度よりも低い温度でヒータ通電の通電を行っている期間中に、該結露水が無くなったことを判定し該センサ活性化温度まで昇温可能なヒータ通電に切替えることができる排気ガスセンサのヒータ制御装置を提供する。
【解決手段】
センサ活性化温度よりも低い温度でヒータ通電の通電を行っている期間中に該センサの理論空燃比検出部の起電力を監視しヒータ通電開始からの起電力または起電力の変化量が所定値以上となった時に該センサ活性化温度まで昇温可能なヒータ通電に切替える。
【選択図】図5
リニア空燃比センサのセンサ素子に付着する結露水が存在する際に該センサ活性化温度よりも低い温度でヒータ通電の通電を行っている期間中に、該結露水が無くなったことを判定し該センサ活性化温度まで昇温可能なヒータ通電に切替えることができる排気ガスセンサのヒータ制御装置を提供する。
【解決手段】
センサ活性化温度よりも低い温度でヒータ通電の通電を行っている期間中に該センサの理論空燃比検出部の起電力を監視しヒータ通電開始からの起電力または起電力の変化量が所定値以上となった時に該センサ活性化温度まで昇温可能なヒータ通電に切替える。
【選択図】図5
Description
本発明は、排気ガスセンサのヒータ制御装置に係り、特に、排気ガスセンサ素子と該センサ素子を加熱するヒータとが共にプレート状で並列に配置される排気ガスセンサのヒータ制御装置に関する。
近年の排気ガス低減の規制等では、排気ガスの空燃比をより精密に制御することを必要としている。よって、これまで使われてきたO2 センサでは、該O2 センサの出力がリッチとリーンの2値のみを示していることから、前記O2 センサを使った空燃比制御では排気ガスをより精密に制御することが困難である。そこで、リニアに排気ガスの空燃比を測定するリニア空燃比センサが使われており、排気ガスの空燃比を目標の空燃比に制御することが容易になり、排気ガスの一層の低減を図ることが可能になる。
しかし、前記リニア空燃比センサによって空燃比を測定するには、前記センサ内の酸素イオンの移動度が高くなる温度に至るまで前記センサを加熱する必要がある。つまり、測定が可能な状態(以下、センサ活性化とする)は従来のO2 センサ(約300℃)に対してより高温(約600℃以上)で前記リニア空燃比センサを作動させる必要がある。このため、前記リニア空燃比センサは、前記O2 センサに用いられるヒータよりも、より発熱量の大きいヒータを用いて加熱する必要がある。
そして、該リニア空燃比センサには、例えば、排気ガスセンサ素子(以下、センサ素子とする)と該センサ素子を加熱するヒータが共にプレート状で並列に配置されるものがあり、この構成では、前記センサ素子に生じる熱応力を考慮して加熱しなければならない。
このような問題に対処すべく、リニア空燃比センサの熱応力を考慮したヒータ制御装置の技術が提案されている。
例えば特許文献1では、前記リニア空燃比センサに設けられたプロテクタカバーの穴から排気管内面に付着した水分が始動等で飛散して浸入し、ヒータで加熱された高温のセンサ素子に被水することでセンサ素子が割れることに着目し、これを防止するためのヒータ制御装置の技術である。
また、特許文献2では、機関始動時に排気管内に液状の水分が存在している場合、機関始動から所定期間経過するまでリニア空燃比センサがセンサ活性化に至る温度まで昇温可能な電力よりも低い電力でヒータを制御し、前記水分を沸騰させないように蒸発させるヒータ制御装置の技術である。
しかしながら従来技術のうち、特許文献1では排気管内に存在する液状の水分が前記プロテクタカバーの穴から浸入してセンサ素子に直接かかり、センサ素子が割れることを防止するためにヒータの通電を制限するが、水分によるセンサ素子割れは、前記プロテクタカバーの穴から水が浸入するケース以外にも、前記プロテクタカバー内で排気管内の水蒸気が結露しセンサ素子表面に付着するケースがあるがこの点については考慮されていない。
例えば、エンジン停止後10分間から1時間程度の如く、比較的短時間の放置後に再始動する場合には、前記エンジンの水温はあまり下がらないものの、前期排気管の温度は該排気管周囲の外気温度と同等程度までに冷却されることから、排気管内の内部に溜まった水蒸気が結露し、前記リニア空燃比センサの内部にも結露が生じる。そして、結露水はセンサ素子及びヒータの各表面に付着し、この状態で前記ヒータの温度を直ぐに600℃に達するようなヒータ制御を行うと、前記センサ素子における前記ヒータからの熱を受ける面側とその面の反対面側との間には温度差が生じ、前記センサ素子には過大な熱応力が生じることになり、前記センサ素子が破損してしまう問題がある。
また、特許文献2では、センサ本体内部に液状の水分が存在した場合に、センサ活性化に至る温度まで昇温可能な電力よりも低い電力でヒータを制御し前記水分を沸騰させることなく緩慢に蒸発させる技術であるが、センサ活性化となる温度まで昇温させる活性化通電制御に切替える条件について格別の配慮がなされていない。
何れの従来技術も、排気管内またはセンサ本体内の水分が無くなった時にヒータを活性化通電制御に切替えるが、排気管内やセンサ本体内に存在する水分を測定する方法は困難である。
このため前記活性化通電制御に切替える条件を設定する手段としては、予め実験で始動後の排気管壁面の温度変化から間接的に前記水分が無くなるまでの期間(始動後経過時間等)を運転条件や環境条件の組合せ毎に測定し、実際の運転では運転条件,環境条件に応じて前記の実験で測定した期間が経過した後に前記活性化通電制御に切替える方法が考えられる。しかし、この方法では実験で測定できるのは限られた運転条件や環境条件の組合せとなるので、実際の運転で水分が存在する間にヒータを活性化通電制御に切換わることが無いようにワーストケースの最長期間または、測定した期間にマージンを加算した期間が経過した後に活性化通電制御へ切替えることになる。
一般にリニア空燃比センサがセンサ活性化するまでの間は排気ガスの空燃比を目標値に制御する空燃比フィードバック制御を停止するので、センサ活性化までの期間が長くなることは、排気ガス中のNOx,HC,CO成分の量が増加するので好ましくない。
筆者らは、リニア空燃比センサのセンサ素子に付着した水分を蒸発させるために行うセンサ活性化に至る温度まで昇温可能な電力よりも低い電力でヒータを制御するヒータ制御において、適切なタイミングで活性化通電へ切替える手段を見出したものである。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、リニア空燃比センサのセンサ素子に付着する水分の存在による該センサ素子の破損を防止することが出来る排気ガスセンサのヒータ制御手段を提供することである。
前記目的は、排気ガスセンサ素子と該センサ素子を加熱するヒータが配列されるヒータ制御装置であって、ヒータ通電開始後の第1期間は該センサ活性温度よりも低い温度でヒータで加熱を行い、第1期間経過後に該センサ活性温度までヒータで加熱する活性化通電を行い、ヒータ通電開始からの排気ガスセンサ素子を構成する理論空燃比検出部が生じる起電力または起電力変化量が第1期間経過する前に所定値以上となったときは活性化通電に切替えることにより達成される。
また上記目的は、排気ガスセンサ素子と該センサ素子を加熱するヒータが配列されるヒータ制御装置であって、ヒータ通電開始後に第1期間,第2期間を設け、該第1期間は該センサ活性温度よりも低い温度で、該第1期間経過後の該第2期間は第1期間よりも低い温度でそれぞれヒータによる加熱を行い、該第2期間経過後に該センサ活性温度までヒータで加熱する活性化通電を行う構成とし、ヒータ通電開始からの排気ガスセンサ素子を構成する理論空燃比検出部が生じる起電力または起電力変化量が第1期間または第2期間が経過する前に所定値以上となったときは活性化通電に切替えることによっても達成される。
本願発明によれば、センサ活性化温度よりも低い温度でヒータ通電を行っている間、該センサの理論空燃比検出部の起電力を監視し、ヒータ通電開始からの起電力又は起電力の変化量が所定値以上となったら活性化通電に切替えるので、センサ素子に結露水が付着した状態でヒータ通電が行われても付着した水分が全て蒸発したタイミングで活性化通電に切替えることができることから、センサ素子の破損を防止することができ、センサの活性化をより確実に、かつ従来に比較してより早く行えるので、空燃比制御の可能な運転領域の拡大を図ることができる。
以下、図面により本発明に係る内燃機関の燃料噴射装置の一実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の排気ガスセンサのヒータ制御装置を備えたエンジン制御システムの全体構成を示している。内燃機関10は、多気筒機関として、複数個の気筒11を有しており、気筒11内は往復運動するピストン12と燃焼室13とで構成されている。内燃機関10には、各気筒毎に、点火コイル・パワーSW14と接続された点火プラグ15が配置されると共に、吸気ポート16を開閉する吸気弁17と、排気ポート18を開閉する排気弁19とが設けられている。
吸気ポート16には吸気管20,エアクリーナ21が順に配置されている。吸気管20には、吸気ポート16へ向けて燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)22が設けられていると共に、内燃機関10に吸入される吸入空気量を計量するエアフローセンサ23,スロットルバルブ24の開閉を計測するスロットル開度センサ25,アイドル時のエンジン回転数が目標回転数になるように制御するアイドルスピードコントロールバルブ
(ISC)26が各々の適宜位置に配置されている。インジェクタ22は、各気筒毎に配置され、マルチポイントインジェクション(MPI)システム化された燃料噴射方式を採用している。
(ISC)26が各々の適宜位置に配置されている。インジェクタ22は、各気筒毎に配置され、マルチポイントインジェクション(MPI)システム化された燃料噴射方式を採用している。
内燃機関10には、エンジンの冷却水温を計測する冷却水温センサ27,エンジン回転数を計測するクランク角センサ28が各々の適宜位置に配置されている。
排気ポート18には、排気管29,触媒コンバータ30が順に接続されている。
吸気管20の上流部に設けられたエアクリーナ21から吸入された空気は、スロットルバルブ24によって流量を調節された後、インジェクタ(燃料噴射弁)22から所定のタイミングで噴射されたガソリンと混合されて各燃焼室13内に供給される。一方、燃料タンク33からの燃料は、燃料ポンプ34によって吸引・加圧された後、プレッシャレギュレータ35を備えた燃料管36を通って前記インジェクタ22の燃料入口部に導かれ、余分な燃料は前記燃料タンク33に戻される態様でインジェクタ22に供給される。
燃焼室13内に供給された混合気は点火プラグ15によって点火され、混合気の燃焼による生じる排気ガスは、排気管29を通って触媒コンバータ30に導かれ、触媒コンバータ30によって浄化された後、大気中に排出される。
排気管29には排気空燃比(酸素濃度)に対してリニアな空燃比信号を出力する排気ガスセンサの一態様であるリニア空燃比センサ32が適宜位置に配置されている。なお、リニア空燃比センサ32は、排気ガスセンサ素子(以下、センサ素子)とセンサ素子を加熱するヒータとからなり、後述するように、ともにプレート状で所定間隔を有して配置されている。
エアフローセンサ23から得られる吸入空気量を示す出力信号とスロットル開度センサ25からの出力信号と、冷却水温センサ27,クランク角センサ28及びリニア空燃比センサ32からの各出力信号は、コントロールユニット(制御装置)40に入力される。
コントロールユニット40は、コンピュータ式のものでり、車体あるいはエンジンルーム内に配置され、前述した各種のセンサから出力される内燃機関10の運転状態を示す電気的な信号に基づいて、所定の演算処理を行い、運転状態に応じた最適制御を行うべく、燃料を噴射供給するインジェクタ22の開閉,点火プラグ15の駆動、及びアイドルスピードコントロールバルブ26の開閉を行う信号を各々出力し、併せて燃料ポンプ34の制御を行う。そして、コントロールユニット40は、各気筒の吸気行程と燃料噴射タイミングを合わせて各気筒毎にインジェクタ22から燃料を噴射する制御を行う。
コントロールユニット40は、演算処理を行うCPU41と、基準となる時間(クロック信号)を生成するクロック発生器42と、多数の制御プログラムを記憶するROM43及びRAM44と、タイマーカウンタ45と、入出力インターフェイス(I/O)46と、出力回路47と、デジタル入力回路48と、A/D(アナログ/デジタル)変換器49と、アナログ入力回路50とを有している。
コントロールユニット40は、具体的には、吸入空気量及び設定された空燃比に基づいてインジェクタ22から各気筒に供給すべき要求燃料量を算出すると共に、該要求燃料量と、インジェクタ22の噴射量特性である流量傾斜及び無効噴射パルス幅とに基づいて要求噴射パルス幅(インジェクタ22の開弁時間)を演算し、該要求燃料噴射パルス幅に基づいてインジェクタ22が噴射パルスの時間分の開弁を行う指令信号(駆動信号)を生成する。また、吸入空気量及びエンジン回転数等に基づいてインジェクタ22の噴射時期を演算し、吸気行程に同期させると共に、吸気行程中の燃料噴射時期を最適なタイミングに設定し、該タイミングに基づいてインジェクタ22,点火コイル・パワースイッチ14に駆動信号を出力する。
また、コントロールユニット40では、リニア空燃比センサ32に内蔵されたヒータ駆動信号を出力するための、ヒータ制御装置が内蔵されていて、エンジン回転数,水温に応じてヒータの通電状態を制御している。
図2は、前記リニア空燃比センサ32の構成及び特性図である。該リニア空燃比センサ32は、(a)に示すようにセンサ素子32Sとセンサ素子32Sを加熱するヒータ32Hが共にプレート状である、いわゆる板型の排気ガスセンサの例を、一例として挙げており、センサ素子32Sとヒータ32Hは所定の間隔で並行に配置されている。
リニア空燃比センサ32は、排気管29の排気ガス中に含まれる残存酸素量を検出,排気ガスの実空燃比を測定し、その酸素濃度に応じた電気信号をコントロールユニット40に出力する。つまり、測定される空燃比に対してセンサに流れる空燃比測定電流が変化し、この空燃比測定電流を測定用抵抗に流して該測定用抵抗の両端に生じるセンサ電圧を測定し、該センサ電圧から排気ガスの実空燃比が換算される。
ここで、該センサ素子32Sには排気ガスを導入する測定室32Aと大気を導入する大気室32Bが設けられている。該空燃比測定電流を調整するコントロールユニット40の制御回路は、測定室32Aに導入される排気ガスが理論空燃比より薄い場合は測定室32A内の酸素を排気ガス中に放出するように、逆に測定室32Aに導入される排気ガスが理論空燃比より濃い場合は測定室32A内に酸素を取りこむように該空燃比測定電流を流す方向,大きさを調整する。
また、該センサ素子32Sには測定室32Aと大気室32Bに接する面に取付けられた電極が設けられていて(以下、理論空燃比検出部とする)、構造的には従来から排気ガスセンサとして用いられているO2 センサと同様の形態であり、電極の両端には測定室32Aの酸素濃度に応じて(c)に示すような特性の起電力を生じる。該起電力はセンサ素子温度に依存し、約300℃付近ではリッチ(濃い)/リーン(薄い)を判別するのに十分な起電力を生じるが、センサ素子温度が低い(100℃付近)ほど生じる起電力は小さくなる。
このように該測定室32S内のリッチ(濃い)/リーン(薄い)状態を判定し、該空燃比測定電流を制御する。
排気ガスの実空燃比と空燃比測定電流の関係を(b)に示す。
図3はリニア空燃比センサ32を保護するプロテクタ構造を説明する図である。図示のように排気管29の内壁表面の結露水が、排気ガスの流れに乗ってセンサのプロテクタチューブにかかっても、該プロテクタチューブに設けられた穴からの水の浸入防止を行う構造が取られている。つまり、(a)及び(b)のように、前記プロテクタチューブは、内側と外側との二重構造となっていて、しかも各プロテクタに設けられた穴が重ならないように、若しくはセンサ素子32Sの位置には穴を設けないようにされ、排気管29の内壁表面の結露水が直接、センサ素子32Sにかからないようにされている。しかし、センサ素子32S自体が露点温度以下になれば、別の問題が生じる。なぜならば、排気ガス中の水蒸気が前記内側のプロテクタチューブの内部で結露するからである。特に、エンジン始動時には最初の爆発が起こるまでは吸気効率を上げ、かつ、必要な空燃比を14.7 以下にして回転が維持されるので、吸入空気量はアイドルよりも大きくなる。ここで、エンジン水温が10℃以下の場合には、内燃機関10の暖気を促進するために、通常のアイドル回転数よりも回転数を1000〜1500r/min 程度に高く設定し、また空燃比を若干濃く設定するので、通常のアイドル時よりも多くのガソリンが噴射され、排気ガス中の水蒸気もガソリンに比例して通常のアイドルよりも多く発生する。さらに、水温10℃以下での場合には、リニア空燃比センサ32付近の排気管29の温度は外気温度に相当するので、前記水蒸気が冷却され、リニア空燃比センサ32の内部にも結露水が付着してしまう。
図4は、リニア空燃比センサ32のセンサ素子32Sの温度変化を示した図である。上記の如く、前記リニア空燃比センサ32は、センサ素子32Sと該センサ素子32Sを加熱するヒータ32Hとが共にプレート状に所定間隔で配列されており、(a)に示すようにセンサ素子32Sは、ヒータ32Hに対面するヒータ面と、ヒータ32Hから遠い側の面とを有している。
そして、排気管29が外気温度によって冷却され、センサ素子32S及びヒータ32H結露水が存在する状態で内燃機関10を始動させ、ヒータ32Hが前記リニア空燃比センサ32の活性化温度(600℃)に設定される(以下、活性化通電とする)と、センサ素子32Sのうち、前記ヒータ32Hに対面するヒータ面では、(b)に示すように、ヒータ32Hのふく射熱によって結露水が蒸発され、ヒータ32Hとほぼ同じ温度になる一方で、前記ヒータ32Hから遠い側の面では、熱伝達の遅れによって前記結露水が未だ蒸発されず、結露水が蒸発されるまでの時間は、水の沸点である100℃の表面温度に維持され、その蒸発後に前記活性化温度に達することになる。つまり、ヒータ32Hから遠い側の面では、前記結露水の蒸発後に急激に前記活性化温度に達することから、(c)に示すように、単位時間当りの温度上昇率も高くなるので、センサ素子32S内部には大きな熱応力が生じ、センサ素子32Sの破損の原因となっている。
このため、結露水がセンサ素子32Sの表面から全て蒸発するまでの間は、センサ素子32Sの温度を低く(例えば100℃)保ち、該結露水を蒸発させながらしかも、該熱応力が生じないようヒータ32Hの通電を制御する(以下、ウォームアップ通電とする)ことでセンサ素子の破損を防止する必要がある。
しかしながら、センサ素子32Sが活性化しない状態では、排気ガスの空燃比を目標値に保つ空燃比制御が行えず、排気ガス中のNOx,HC,CO成分の量が増加するという問題がある。
そこで、本実施形態の排気ガスセンサのヒータ制御装置では、このようなセンサ素子
32Sの破損を防止しつつ、センサ素子32Sに付着した結露水が全て蒸発した時点を適切に判定し、ウォームアップ通電を終了して活性化通電に切替えるために、該リニア空燃比センサ32の理論空燃比検出部(図2)が従来のO2 センサと同等の構造であり、該リニア空燃比センサ32の活性化温度(600℃)よりも低い(300℃)で該起電力が生じることに着目して、以下のようにヒータ制御を行っている。
32Sの破損を防止しつつ、センサ素子32Sに付着した結露水が全て蒸発した時点を適切に判定し、ウォームアップ通電を終了して活性化通電に切替えるために、該リニア空燃比センサ32の理論空燃比検出部(図2)が従来のO2 センサと同等の構造であり、該リニア空燃比センサ32の活性化温度(600℃)よりも低い(300℃)で該起電力が生じることに着目して、以下のようにヒータ制御を行っている。
図5は、前記ヒータ制御装置(コントロールユニット40に内蔵)の制御ブロック図を示す。
空燃比検出手段S501,起電力検出手段S502,起電力としきい値を比較する第1判定手段S503,前回のヒータ通電時に該第1判定手段が肯定判定するまでの期間を記憶する記憶手段S504,該記憶手段に記憶されている情報の異常を判定する照合手段
S505とから構成され、さらに運転状態検出手段S506によってヒータ制御に必要なパラメータを求め、ヒータ通電手段S507によりヒータの温度制御を行っている。
S505とから構成され、さらに運転状態検出手段S506によってヒータ制御に必要なパラメータを求め、ヒータ通電手段S507によりヒータの温度制御を行っている。
以下、本発明の実施形態の例を図6から図13を使って説明する。
図6は第1の実施形態の例を示すタイミングチャートである。
第1の実施形態では、センサ素子32Sを300℃相当まで昇温できるようにヒータを通電し加熱したとき、理論空燃比検出部の該起電力が前記ヒータ通電開始後に所定量の変化があれば、センサ素子32S表面に結露水が付着していないためセンサ素子32Sが昇温したと判断できるので活性化通電に切替える、もし該起電力がヒータ通電開始から変化がない場合は該結露水がセンサ素子32Sの表面に付着し蒸発しているためセンサ素子
32Sが昇温しない(図4(b)の100℃に停滞している状態)と判断してT1期間経過するまで活性化通電を遅延させることで、センサ素子32S表面の結露水の有無を判定する構成とした。
32Sが昇温しない(図4(b)の100℃に停滞している状態)と判断してT1期間経過するまで活性化通電を遅延させることで、センサ素子32S表面の結露水の有無を判定する構成とした。
図7のフローチャートを使って動作を説明する。
まず、ステップS701では内燃機関の回転数から完爆状態か否かを判定し、完爆状態であればステップS703に進み、ステップS701が否定であればステップS702でヒータをオフして終了する。
ステップS703では、期間T1を計測するタイマを初期化する。
ステップS704では、ヒータ通電手段によりヒータ目標温度を300℃相当(以下、第1ヒータ通電とする)に設定し、センサ素子32Sの加熱を行う。
ステップS705では、リニア空燃比センサ32の理論空燃比検出部の起電力を測定した起電力検出部電圧のヒータ通電開始からの変化量としきい値SL1を比較する。
図6の例では、該起電力が生じると起電力検出部電圧が低下するような検出回路の構成となっている。
ステップS705が否定ならステップS706へ進み、前記期間T1が経過するまでの間ステップS704の該第1ヒータ通電とステップS705の判定を繰返し実施する。
前記期間T1が経過してもステップS705が否定ならば、ステップS707へ進む。
該ステップS705が肯定ならば、ステップS707へ進みヒータ目標温度を600℃相当のヒータ通電(活性化通電)を実施し、前記ウォームアップ通電を終了する。
図8は第2の実施形態の例を示すタイミングチャートである。
第2の実施形態では、第1実施形態でセンサ素子32S表面に結露水が付着していない場合は第1ヒータ通電(ヒータ目標温度300℃)を開始した後に図7のステップS705(該起電力検出部電圧変化量>SL1)が肯定判定するまでの期間はほぼ一定(水の蒸発がないのでヒータ32Hが発生する熱量が同一ならセンサ素子32Sが300℃相当に昇温する時間はほぼ再現性がある)ことに着目し、図8の期間T1Aの間、第1ヒータ通電を実施し、T1A期間経過しても図7のステップS705が否定のままであれば、ヒータ目標温度100℃相当のヒータ通電(以下、第2ヒータ通電)へ切替えてT2期間実施する形態とした。
期間T1Aは、前記センサ素子32Sに結露水が付着していない状態で第1ヒータ通電を実施したときに図7のステップS705が肯定判定する時間にマージンを加算して設定する。
もしセンサ素子32S表面に結露水がある場合は、水が蒸発するためセンサ素子32Sの温度は100℃付近で一時的に停滞するので、期間T1A経過時点でも図7のステップS705は否定のままであり、期間T1Aが経過した時点でセンサ素子32Sの表面に水が付着していると判断できる。水が蒸発している間はヒータ目標温度100℃に下げてセンサ素子32S内部に熱応力がかからないようにヒータ通電を行う。
図9は第2の実施形態を示すフローチャートであり以下説明する。
まず、ステップS901では内燃機関の回転数から完爆状態か否かを判定し、完爆状態であればステップS903に進み、ステップS901が否定であればステップS902でヒータをオフして終了する。
ステップS903では、期間T1Aを計測するタイマを初期化する。
ステップS904では、ヒータ通電手段によりヒータ目標温度を300℃(以下、第1ヒータ通電とする)に設定し、該センサ素子32Sの加熱を行う。
ステップS905では、リニア空燃比センサ32の理論空燃比検出部の起電力を測定した起電力検出部電圧のヒータ通電開始からの変化量としきい値SL1を比較する。
図7の例では、該起電力が生じると起電力検出部電圧が低下するような検出回路の構成となっている。
ステップS905が否定ならステップS906へ進み、前記期間T1Aが経過するまでの間、ステップS904の該第1ヒータ通電とステップS905の判定を継続して実施する。
前記期間T1Aが経過してもステップS905が否定ならば、ステップS907へ進む。
該ステップS905が肯定ならば、ステップS911へ進む。
ステップS907では、期間T2を計測するタイマを初期化する。
ステップS908では、ヒータ通電手段のヒータ目標温度を100℃(以下、第2ヒータ通電とする)に設定し、該センサ素子32Sの加熱を行う。
ステップS909では、該S905と同様の判定を行い、肯定ならばステップS911へ進み、否定ならステップS910へ進む。
ステップS910では、前記期間T2が経過するまでの間、ステップS908の該第2ヒータ通電とステップS909の判定を継続して実施する。
もし、前記期間T2が経過してもステップS909が否定ならば、ステップS911へ進む。
ステップS911では、ヒータ目標温度を600℃相当のヒータ通電(活性化通電)を実施し、前記ウォームアップ通電を終了する。
ここで、図8の期間T2は第2ヒータ通電(ヒータ目標温度100℃)を実施している期間であるが、図9のステップS909で説明したように該起電力検出部電圧としきい値
SL1を比較する判定を行い、ステップS909が肯定ならばステップS911へ進み活性化通電へ切替えている。これは、該リニア空燃比センサ32は常に高温の排気ガスにさらされていることから、該期間T2の間に該センサ素子32S表面の水が全て蒸発した後、排気ガスからの受熱によりセンサ素子32Sが暖められて昇温し、ステップS909が肯定判定となることがあるので、第2ヒータ通電中もステップS909の判定を行っている。
SL1を比較する判定を行い、ステップS909が肯定ならばステップS911へ進み活性化通電へ切替えている。これは、該リニア空燃比センサ32は常に高温の排気ガスにさらされていることから、該期間T2の間に該センサ素子32S表面の水が全て蒸発した後、排気ガスからの受熱によりセンサ素子32Sが暖められて昇温し、ステップS909が肯定判定となることがあるので、第2ヒータ通電中もステップS909の判定を行っている。
図10は第3の実施形態の例を示すタイミングチャートである。
第3の実施形態は、図4(c)で説明したように該センサ素子32Sの昇温速度が高いとセンサ素子内部に熱応力が生じることから、ヒータ目標温度を瞬時に切替えるのではなく、所定値ずつ変化させることで、該センサ素子32Sの昇温速度を緩やかにし、該熱応力を抑えたヒータ制御を行う。
図11は第3の実施形態を示すフローチャートであり以下説明する。
まず、ステップS1101では内燃機関の回転数から完爆状態か否かを判定し、完爆状態であればステップS1103に進み、ステップS1101が否定であればステップ
S1102でヒータをオフして終了する。
S1102でヒータをオフして終了する。
ステップS1103では、期間T1Aを計測するタイマを初期化する。
ステップS1104では、ヒータ通電手段によりヒータ目標温度を現在のヒータ目標温度に対して所定値(例えば10℃)を加算した温度であって300℃を超えない温度に設定し(以下、第1ヒータ通電とする)、該センサ素子32Sの加熱を行う。
ステップS1105では、リニア空燃比センサ32の理論空燃比検出部の起電力を測定した起電力検出部電圧のヒータ通電開始からの変化量としきい値SL1を比較する。図
11の例では、該起電力が生じると起電力検出部電圧が低下するような検出回路の構成となっている。
11の例では、該起電力が生じると起電力検出部電圧が低下するような検出回路の構成となっている。
ステップS1105が否定ならステップS1106へ進み、前記期間T1Aが経過するまでの間、ステップS1104の該第1ヒータ通電とステップS1105の判定を継続して実施する。
前記期間T1Aが経過してもステップS1105が否定ならば、ステップS1107へ進む。
該ステップS1105が肯定ならば、ステップS1111へ進む。
ステップS1107では、期間T2を計測するタイマを初期化する。
ステップS1108では、ヒータ通電手段のヒータ目標温度を現在のヒータ目標温度から所定値(例えば10℃)を減算した値で100℃より大きい温度(以下、第2ヒータ通電とする)に設定し、該センサ素子32Sの加熱を行う。
ステップS1109では、該S1105と同様の判定を行い、肯定ならばステップ
S1111へ進み、否定ならステップS1110へ進む。
S1111へ進み、否定ならステップS1110へ進む。
ステップS1110では、前記期間T2が経過するまでの間、ステップS1108の該第2ヒータ通電とステップS1109の判定を継続して実施する。
もし、前記期間T2が経過してもステップS1109が否定ならば、ステップS1111へ進む。
ステップS1111では、ヒータ目標温度を600℃相当のヒータ通電(活性化通電)を実施し、前記ウォームアップ通電を終了する。
ここで、ステップS1104,S1108,S1110でヒータ目標温度を所定値ずつ変化させているが、前記所定値は固定値もしくは運転状態に応じて求めてもよい。
図12は第4の実施形態の例を示すタイミングチャートである。
第4の実施形態は、図8及び図9で説明した前記第2の実施形態で、期間T2が経過する前に該センサ素子32S表面の水が全て蒸発した場合に排気ガスの温度が低い例えばアイドル状態で放置された状況では、センサ素子32Sが昇温しないので図9のステップ
S909が肯定とならず、期間T2が経過するまで活性化通電に切替えられない点に着目したものである。すなわち、図12に示すように、第1ヒータ通電(ヒータ目標温度300℃)を実施する期間T1Bをヒータ通電開始後、複数回設ける構成とした。
S909が肯定とならず、期間T2が経過するまで活性化通電に切替えられない点に着目したものである。すなわち、図12に示すように、第1ヒータ通電(ヒータ目標温度300℃)を実施する期間T1Bをヒータ通電開始後、複数回設ける構成とした。
該第1ヒータ通電を実施する期間T1Bと第2ヒータ通電を実施する期間T2Bを交互に複数回繰り返すので、該センサ素子32S表面の水が全て蒸発した後にも第1ヒータ通電が行われ、ヒータからの受熱のみでセンサ素子32Sが昇温し図9のステップS909を肯定判定し、活性化通電に切替えることができる。
図13は第4の実施形態を示すフローチャートであり以下説明する。
まず、ステップS1301では内燃機関の回転数から完爆状態か否かを判定し、完爆状態であればステップS1303に進み、ステップS1301が否定であればステップ
S1302でヒータをオフして終了する。
S1302でヒータをオフして終了する。
ステップS1303では、期間T1Bを計測するタイマを初期化する。
ステップS1304では、ヒータ通電手段によりヒータ目標温度を300℃(以下、第1ヒータ通電とする)に設定し、該センサ素子32Sの加熱を行う。
ステップS1305では、リニア空燃比センサ32の理論空燃比検出部の起電力を測定した起電力検出部電圧のヒータ通電開始からの変化量としきい値SL1を比較する。
図12の例では、該起電力が生じると起電力検出部電圧が低下するような検出回路の構成となっている。
ステップS1305が否定ならステップS1306へ進み、前記期間T1Bが経過するまでの間、ステップS1304の該第1ヒータ通電とステップS1305の判定を継続して実施する。
前記期間T1Bが経過してもステップS1305が否定ならば、ステップS1307へ進む。
該ステップS1305が肯定ならば、ステップS1312へ進む。
ステップS1307では、期間T2Bを計測するタイマを初期化する。
ステップS1308では、ヒータ通電手段のヒータ目標温度を100℃(以下、第2ヒータ通電とする)に設定し、該センサ素子32Sの加熱を行う。
ステップS1309では、該S1305と同様の判定を行い、肯定ならばステップ
S1312へ進み、否定ならステップS1310へ進む。
S1312へ進み、否定ならステップS1310へ進む。
ステップS1310では、前記期間T2Bが経過するまでの間、ステップS1308の該第2ヒータ通電とステップS1309の判定を継続して実施する。
もし、前記期間T2Bが経過してもステップS1309が否定ならば、ステップS1311へ進む。
ステップS1311では、ステップS1303からステップS1310を実施した回数がKN回未満ならばステップS1303へ戻り、ステップS1303からステップS1310を実施し、繰返し回数がKN回となったらステップS1312へ進む。
ステップS1312では、ヒータ目標温度を600℃相当のヒータ通電(活性化通電)を実施し、前記ウォームアップ通電を終了する。
ここで、ステップS1304は設定されるヒータ目標温度は300℃固定または繰返し回数に応じて変えてもよい。
例えば図12に示すようにヒータ通電開始後の初回はヒータ目標温度は300℃、2回目以降は300℃よりも低い温度(例えば250℃)としているが、該初回はセンサ素子32Sが冷えている状態から昇温するのに対し、2回目以降はセンサ素子が100℃相当の状態から昇温するので、初回よりもヒータの発熱量は小さく設定している例を示す。
また、図示していないがその他の実施形態の例を以下に説明する。
第5の実施形態としては、第2の実施形態で該第1ヒータ通電(ヒータ目標温度300℃)を実施する図8の期間T1Aは、該センサの生産ばらつきや経時劣化によるばらつきを考慮してワーストケースの最長期間を設定する必要がある。しかしながら、センサ素子32Sに水が付着していた場合、センサ素子32Sに水が付着した状態で該第1ヒータ通電(ヒータ目標温度300℃)が行われる期間が長くなり、図4(c)で説明したセンサ素子32S内部に熱応力を生じさせるので、センサ素子個々に応じた適切な期間を設定することが望ましい。そこで、第1ヒータ通電を開始してから図9のステップS905が肯定判定するまでの期間(例えば経過時間で以下、T1ACTとする)を不揮発性のメモリ(例えばバッテリバックアップした図1のRAM44)に記憶し、次回のヒータ通電開始時には前記メモリに記憶したT1ACTから期間T1Aを設定する構成としてもよい。
また、実測した値を該メモリに記憶するので該メモリの故障や図2の起電力検出部とセンサをつなぐ信号線に電気ノイズが混入した場合に誤って該ステップS905が肯定判定する場合も考えられるので、前記メモリに記憶したT1ACTが予めROM(図1の43)に記憶された上下限の範囲外(例えばT1ACTMNからT1ACTMX)であれば所定値(例えばT1ACTMX)を期間T1Aに設定してもよい。
第6の実施形態としては、第1から4の実施形態で、該第1ヒータ通電または第2ヒータ通電を行う期間は、内燃機関(図1の10)が始動してからの吸入空気量の積算値が所定値に達するまでの期間としてもよい。吸入空気量は内燃機関が発生する熱量に相当するので、吸入空気量の積算値を使って該ヒータを通電する期間を設定することで、排気ガスからの受熱によりセンサ素子や排気管の昇温状況にあった期間を設定できる。
また、第1から4の実施形態で、該第1ヒータ通電または第2ヒータ通電を行う期間は、各々のヒータ通電が開始してからの経過時間であってもよい。ヒータの発熱量は電源であるバッテリ電圧やヒータを流れる電流を検出することで求めることが出来るので、センサ素子の昇温状態にあった期間を設定できる。
第7の実施形態としては、第6の実施形態で、該第1ヒータ通電または第2ヒータ通電を行う期間が経過したことを判定するしきい値は、内燃機関(図1の10)の運転状態から求めてもよい。例えば、外気温が低い場合は排気管内に発生する結露水の量が多くなり、センサ素子表面に付着した水が全て蒸発するまでの期間が長くなるので、低外気温ほど期間を長く設定できる。
第8の実施形態としては、第1から第7の実施形態でヒータの通電を制御する手段としてデューティ信号を使い、該第1ヒータ通電,第2ヒータ通電,活性化通電で設定するヒータ目標温度は、前記デューティ値で設定するような構成としてもよい。
デューティ信号はコントロールユニット(図1の40)内のクロック(図1の42)を使って生成できるので、該コントロールユニットに設けるヒータ制御回路(図2)を簡素化できる。
第9の実施形態としては、第1から第7の実施形態で、リニア空燃比センサ32の理論空燃比検出部の起電力を測定した起電力検出部電圧のヒータ通電開始からの変化量としきい値SL1を比較した判定結果により活性化通電へ切替える際(図7のステップS705,図9のステップS905及びS909,図11のステップS1105及びS1109,図13のS1305及びS1309)、該判定結果が肯定となってから活性化通電へ切替えるまでに所定の遅延時間(例えば2秒)を設ける、または、該判定結果が肯定となった状態が所定時間(例えば2秒)連続した時に活性化通電へ切替える構成としてもよい。図4で説明したようにセンサ素子32S表面の水が全て蒸発したときにヒータ面と結露水付着面との間に温度差があると温度上昇率が高くなる(図4の(b)(c))要因になることから、例えば該コントロールユニット(図2の40)の起電力検出部に接続された信号線にノイズが混入し前記判定結果が誤って肯定判定するような誤動作を回避できる。
また、以上説明した実施形態は図2で説明した構造のリニア空燃比センサに限定されるものではなく、図14に示す構造のリニア空燃比センサにも適用できる。
該センサは、空燃比測定電流を検出する信号線と該起電力を検出する信号線を共有する構造となっているが、空燃比測定電流を停止した状態では大気室32Bと排気ガスと接するセンサ素子面32Aとの酸素濃度差に応じた起電力のみが信号線に現れるのでコントロールユニット40で該起電力を検出できる。前記実施形態で説明したヒータ制御は何れも機関始動から該センサが活性化温度に至るまでの該センサが活性していない状態についてのヒータ制御であり、前記空燃比測定電流は停止した状態であることから図14に示す構造のセンサにも適用できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において種々の変更ができるものである。
以上の説明から理解できるように、本発明の排気ガスヒータ制御装置は、センサ素子に結露水が付着している場合に該センサ素子に生じる熱応力が過大にならないよう結露水が蒸発する間、ヒータ又はセンサ素子の温度をセンサが活性化する温度よりも低く設定しヒータの通電を行うことでセンサ素子の破損を防止することを目的としたウォームアップ通電を実施している期間中に、センサ素子表面の結露水が蒸発したことを判定し、ウォームアップ通電から活性化通電へ切替え排気ガスセンサが活性化する温度まで昇温させることが可能であり、排気ガスセンサの活性化をより確実に、かつ従来に比較して早期に行うことができるので排気ガスを目標空燃比に制御可能な範囲が拡大できる。従って、ウォームアップ通電による排気ガスセンサの破損防止を行いつつ、より一層の排気レベルの低減を図ることができる。
10…内燃機関、13…燃焼室、22…インジェクタ、29…排気管、32…リニア空燃比センサ、40…コントロールユニット。
Claims (12)
- 排気ガスセンサ素子と
該センサ素子を加熱するヒータと、
該センサ活性化温度よりも低い温度まで加熱する第1ヒータ通電手段と、
該センサ活性化温度まで加熱する活性化通電手段と、
ヒータ通電開始後前記第1ヒータ通電手段によりヒータの通電を行い、
第1期間が経過した後に前記活性化通電手段に切替える通電切替え手段とを有し、
該センサの起電力を測定する起電力検出手段と、
該起電力またはヒータ通電開始からの該起電力の変化量が所定値以上となったことを判定する第1判定手段を設け、
第1期間中に第1判定手段が肯定判定したときに活性化通電手段に切替える
ことを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。 - 排気ガスセンサ素子と
該センサ素子を加熱するヒータと、
該センサ活性化温度よりも低い第1の温度まで加熱する第1ヒータ通電手段と、
該センサ活性化温度まで加熱する活性化通電手段とを有し、
前記第1ヒータ通電手段によって昇温する第1の温度よりも低い第2の温度まで加熱する第2ヒータ通電手段と、
ヒータ通電開始後の第1期間は第1ヒータ通電手段によりヒータの通電を行い、
第1期間経過後の第2期間は第2ヒータ通電手段によりヒータの通電を行い、
第2期間経過後に活性化通電に切替える手段と、
該センサの起電力を測定する起電力検出手段、
該起電力またはヒータ通電開始からの該起電力の変化量が所定値以上となったことを判定する第1判定手段を設け、
第1期間中又は第2期間中に第1判定手段が肯定判定したときに活性化通電手段に切替えることを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。 - 請求項2において
前記第1期間に実施する第1ヒータ通電手段と第2期間に実施する第2ヒータ通電手段への通電を所定回数実施する繰返し手段を設け、
前記繰返し手段を実施する期間が終了したときに前記活性化通電手段に切替える
ことを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。 - 請求項1又は2において
前記第1ヒータ通電手段を実施してから前記第1判定手段が肯定判定するまでの期間を記憶する記憶手段を設け、
ヒータ通電を開始する際に記憶手段に記憶された期間情報を使って前記第1ヒータ通電手段を実施する第1期間を設定する
ことを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。 - 請求項4において
前記記憶手段に記憶されている期間が所定の範囲外である場合、前記第1ヒータ通電手段を実施する第1期間を予め設定されている所定の値に設定する
ことを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。 - 請求項1から5のいずれかにおいて
前記第1,第2ヒータ通電手段及び活性化通電手段に切替えた後にヒータの通電を所定量ずつ変化させて各通電手段で設定している目標のセンサ素子温度相当のヒータ通電まで変化させる
ことを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。 - 請求項1から6のいずれかにおいて
機関に吸入される吸入空気量を検出する手段を設け、
第1または第2ヒータ通電手段によりヒータ通電を行う期間は、吸入空気量の積算値が所定値に達するまでの期間とする
ことを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。 - 請求項1から6のいずれかにおいて
第1または第2ヒータ通電手段によりヒータ通電を行う期間は、それぞれ第1または第2ヒータ通電手段によりヒータ通電を開始してからの経過時間が所定値に達するまでの期間とする
ことを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。 - 請求項1から8のいずれかにおいて
機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を設け、
前記第1,第2期間が経過したことを判定するしきい値は運転状態に応じて求める
ことを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。 - 請求項1から9のいずれかにおいて
第1ヒータ通電手段によりセンサ素子が昇温する温度が250℃から300℃の範囲である
ことを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。 - 請求項2から10のいずれかにおいて
第2ヒータ通電手段によりセンサ素子が昇温する温度が50℃から100℃の範囲である
ことを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。 - 請求項1から11のいずれかにおいて
該センサ素子を加熱するヒータをデューティ信号で駆動するデューティ信号出力手段を設け、該第1ヒータ通電手段,該第2ヒータ通電手段及び該活性化通電手段は前記デューティ信号のデューティ値を切替えることを特徴とする排気ガスセンサのヒータ制御装置。
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JP2005035369A JP2006220573A (ja) | 2005-02-14 | 2005-02-14 | 排気ガスセンサのヒータ制御装置 |
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-
2005
- 2005-02-14 JP JP2005035369A patent/JP2006220573A/ja active Pending
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