JP4821703B2 - ガスセンサ制御装置 - Google Patents

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本発明は、ガスセンサ制御装置に関する。
従来より、内燃機関においては、排気通路内に空燃比センサや酸素センサなどのガスセンサが配置されている。このようなガスセンサは、センサ素子と、センサ素子を活性化させるヒータとを有している。
一方、内燃機関の始動時や、又は始動直後のように冷間時には、排気通路内に前回の機関停止後の排気通路内に排気ガスが凝縮して水が残っていたり、始動後に機関より排出される排気ガスが低温の排気通路の内壁に触れて凝縮水が発生する場合がある。
ヒータによりセンサが加熱状態にある場合に、この凝縮水がセンサにかかると、センサ素子の素子割れなどが発生するおそれがある。特許文献1乃至4には、このような問題への対策技術が開示されている。
特開平8−15213号公報 特開2001−73827号公報 特開2004−101274号公報 特開2001−355498号公報
ところで、このようなガスセンサは、センサ素子を覆うとともに排気ガスを通過させる通気孔を有したカバーを備えているものが知られている。センサ素子を覆うことにより、センサ素子に凝縮水が付着して破損することを防止することができる。
しかしながら、カバー内に配置されてセンサ素子を支持する絶縁硝子などの表面に、結露により凝縮水が生じる恐れがある。このカバー内に発生した凝縮水が、ヒータによって活性化されているセンサ素子に触れるとセンサ素子が破損する恐れがある。特許文献1乃至4に開示されている技術は、このような観点からの考察はなされていない。
したがって本発明の目的は、カバー内に発生する凝縮水の被水によるガスセンサの破損を防止するガスセンサ制御装置を提供することである。
上記目的は、内燃機関の排気通路に配置され、センサ素子と、前記センサ素子を活性化する加熱手段と、前記センサ素子を覆うと共に通気孔が形成されたカバーと、を含むガスセンサと、前記加熱手段を通電制御する加熱制御手段と、機関冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記機関冷却水の温度に基づいて前記カバー内に凝縮水が発生する条件下であるか否かを判定する凝縮水判定手段とを備え、前記加熱制御手段は、前記カバー内に凝縮水が発生する条件下では、前記センサ素子が凝縮水の被水によって破損する温度未満となるように前記加熱手段を制御し、前記カバー内に凝縮水が発生し得ない条件下では、前記センサ素子を活性化温度まで昇温させるように前記加熱手段を制御する、ことを特徴とするガスセンサ制御装置によって達成できる。
この構成により、カバー内に凝縮水が発生し得る条件下であると判定された場合には、センサ素子が凝縮水の被水によって破損するほどの高温状態にならないように加熱手段が制御される。カバー内に凝縮水が発生し得ない条件下であると判定された場合には、センサ素子を活性化温度まで昇温させるように加熱手段が制御される。これにより、カバー内に発生する凝縮水の被水によるセンサ素子の破損を防止できると共に早期にセンサ素子を活性化することができる。
本発明によれば、カバー内に発生する凝縮水の被水によるガスセンサの破損を防止するガスセンサ制御装置を提供できる。
以下、図面を参照して本発明に係る実施例について説明する。
図1は、本実施例に係るエンジンシステムの構成を示した模式図であり、自動車に搭載された多気筒の筒内噴射型ガソリンエンジン(以下「エンジン」と略す)2及びその電子制御ユニット(以下、「ECU」と称す)4の概略構成を示している。図1では1つの気筒の構成を中心として示している。
ECU4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などから構成され、エンジン全体の作動を制御する。
エンジン2には、燃焼室10内に燃料を直接噴射する燃料噴射バルブ12と、この噴射された燃料に点火する点火プラグ14とがそれぞれ設けられている。
燃焼室10に接続している吸気ポート16は吸気バルブ(図示略)の駆動により開閉される。吸気ポート16に接続された吸気通路20の途中にはサージタンク22が設けられ、サージタンク22の上流側にはスロットルモータ24によって開度が調節されるスロットルバルブ26が設けられている。
このスロットルバルブ26の開度により吸気量が調整される。スロットル開度はスロットル開度センサ28により検出され、サージタンク22内の吸気圧は、吸気圧センサ30により検出される。また、吸気通路20にはエアフロメータ21が配置されて、吸入空気量をECU4に出力する。
燃焼室10に接続している排気ポート32は排気バルブ(図示略)の駆動により開閉される。排気ポート32に接続された排気通路36には、排気ガス中の未燃成分(HC,CO)の酸化と窒素酸化物(NOx)の還元とを行い、酸素吸蔵、放出機能を有する三元触媒であるスタートキャタリスト38が設けられている。また、排気通路36には、スタートキャタリスト(以下、単に「触媒」という。)38の下流にNOx吸蔵還元触媒40が設けられている。
また、排気通路36には、触媒38の上流側に、第1酸素センサ64が、触媒38とNOx吸蔵還元触媒40との間に第2酸素センサ70が配置されている。
このECU4は、スロットル開度センサ28及び吸気圧センサ30以外に、アクセルペダル44の踏み込み量(アクセル開度ACCP)を検出するアクセル開度センサ56からの信号を入力している。更に、ECU4は、クランク軸54の回転からエンジン回転数NEを検出するエンジン回転数センサ58、第1酸素センサ64、第2酸素センサ70からそれぞれ信号を入力している。また、エンジン冷却水温度を検出する水温センサ41が設けられ、検出したエンジン冷却水温度は、ECU4に出力される。
ECU4は、上述した各種センサからの検出内容に基づいて、エンジン2の燃料噴射時期、燃料噴射量、及びスロットル開度TAを適宜制御する。
ECU4は、触媒38の酸化・還元能力を高めるために、触媒38に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比になるように、燃料噴射量を、第1酸素センサ64の出力、或いはその出力と第2酸素センサ70の出力とに基づいて空燃比フィードバック制御する。
次に、第1酸素センサ64の構成について簡単に説明する。図2は、第1酸素センサ64の模式図である。尚、第2酸素センサ70も基本的な構造は第1酸素センサ64と同様である。
図2に示すように、ハウジング69aと、ハウジング69aに絶縁碍子69bを介して挿通した積層型のセンサ素子65と、ハウジング69aの先端側に設けた2重構造となるアウタカバー66a及びインナカバー66bとを有する。また、図2においては図示されていないが、センサ素子65には、センサ素子65を活性化温度まで昇温させるためのヒータ(加熱手段)が内蔵されている。このヒータの作動は、ECU4によって制御されている。
アウタカバー66aには、通気孔67a、68aが形成され、インナカバー66bには、通気孔67b、68bが形成されている。
通気孔67a、67bは、それぞれアウタカバー66a、インナカバー66bの外周側面に形成され、通気孔68a、68bは、それぞれアウタカバー66a、インナカバー66bの下面に形成されている。
排気ガスは、通気孔67a、通気孔67bを介して、インナカバー66b内に流れ込んでセンサ素子65と接触し、通気孔68b、68aを介して、排出されるように流動する。アウタカバー66a、インナカバー66bにより2重管構造とすることにより、センサ素子65への凝縮水の被水を防止している。
次に、このようなカバーを有する酸素センサに起こり得る問題点について詳細に説明する。
図2に示すように、排気ガスが通気孔67a、通気孔67bを介して、排気ガスがインナカバー66b内へと流れ込むが、この際に、流れ込んだ排気ガスの大部分は、通気孔68b、68aを介してアウタカバー66a外へと排出されるが、インナカバー66b内へ流れ込んだ排気ガスの一部は、センサ素子65の根元部周辺で滞留する場合がある。この滞留したガスに含まれる水分が、絶縁硝子69bの下面69cと接触することにより、下面69cに凝縮水が発生する恐れがある。センサ素子65がヒータによって活性化温度(650℃程度)に維持されているときに、この凝縮水が被水すると、センサ素子65が破損する。
このように、インナカバー66b内に発生した凝縮水によってセンサ素子65が破損する恐れがある。しかしながらECU4は、冷却水の温度に基づいてインナカバー66b内に凝縮水が発生する条件下であるか否かを判定し、その判定結果に応じて、ヒータへの通電状態を変更する。この処理について簡単に説明する。
ECU4は、まず、インナカバー66b内に凝縮水が発生する条件下であるかどうかを判断する。
インナカバー66b内に凝縮水が発生する条件とは、インナカバー66bの内壁を含む、インナカバー66bによって囲まれる部材の表面(絶縁硝子69bの下面69cや、インナカバー66b内に露出するハウジング69aの表面)の温度が、標準大気圧下での露点温度の最上限値以下(標準大気圧下での水の沸点以下)の場合をいう。具体的には、インナカバー66b内で凝縮水が発生する条件とは、インナカバー66bの内壁及び、絶縁硝子69bの下面69cの温度等が、100℃以下での状態をいう。この状態では、インナカバー66b及び絶縁硝子69bの下面69cに触れた排気ガスが、結露を起こし、凝縮水がインナカバー66bの内壁又は絶縁硝子69bの下面69cに発生するおそれがある。
ECU4は、インナカバー66b内に凝縮水が発生する条件下の場合には、センサ素子65が凝縮水の被水によって破損する温度未満となるようにヒータを制御し、インナカバー66b内に凝縮水が発生し得ない条件下では、センサ素子65を活性化温度まで昇温させるようにヒータを制御する。これにより、インナカバー66b内に凝縮水が発生し得る条件下であると判定された場合には、センサ素子65が凝縮水の被水によって破損するほどの高温状態にならないようにヒータが制御される。インナカバー66b内に凝縮水が発生し得ない条件下であると判定された場合には、センサ素子65を活性化温度まで昇温させるようにヒータが制御される。これにより、インナカバー66b内に発生する凝縮水の被水によるセンサ素子65の破損を防止できると共に早期にセンサ素子65を活性化することができる。
ECU4は、この条件下であるか否かの判断を、エンジン冷却水の水温に基づいて判定する。エンジン冷却水の水温は、エンジン始動後徐々に上昇し始める。一方、インナカバー66bの内壁及び絶縁硝子69bの下面69cの温度は、排気ガスから受ける熱量と、ヒータから受ける熱量とにより、徐々に温度上昇をし始める。従って、エンジン冷却水の温度上昇と、インナカバー66bの内壁及び絶縁硝子69bの下面69cの温度上昇とは一定の相関関係を有しているといえる。
次に、ECU4が実行するヒータの制御処理について具体的に説明する。
図3は、ECU4が実行するヒータの制御処理の一例を示したフローチャートである。図4は、エンジン冷却水の水温や、センサ素子65の温度、インナカバー66bの温度の変化を示したチャート図である。尚、図4のチャートは、本願発明者が実験によって得られたものであり、エンジン始動時から所定期間における水温変化などを示している。尚、図4において、曲線Aは、インナカバー66bの温度を示し、曲線Bは、センサ素子65の温度を示し、曲線Cは、冷却水温を示し、曲線Dは、ヒータに対するデューティ比を示している。
まず、ECU4は、水温センサ41からの出力により、エンジン始動時のエンジン冷却水の水温と、現在のエンジン冷却水の水温を検出する(ステップS1)。図4に示すように、エンジン冷却水の水温曲線Cは、エンジンの始動と共に緩やかに上昇する。
次に、ECU4は、インナカバー66b内に凝縮水が発生する条件下であるか否かの判定をするための判定値を算出する(ステップS2)。この判定値は、以下の式により算出される。
判定値=始動時の水温+(上昇分の温度×係数)……(1)
上昇分の温度とは、始動時の温度から現在の温度までの上昇分の温度をいう。尚、係数は、第1酸素センサ64の取付位置などにより適宜変更可能に設定される。
次に、ECU4は、判定値が基準値よりも大きいか否かの判定する(ステップS3)。この判定値が基準値に満たない場合には、インナカバー66b内に凝縮水が発生する条件下であるとして、ECU4はヒータに対して低電力制御を実行する(ステップS4、※1)。具体的には、デューティ比を10パーセント程度に制御する。これにより、センサ素子65の温度は緩やかに温度上昇することになる(※2)。また、インナカバー66bの曲線は、緩やかに上昇する(※3)。
判定値が基準値よりも大きい場合には、インナカバー66b内に凝縮水が発生しない条件下であるとして、ECU4はヒータに対してセンサ素子65が活性化温度に至るように電力制御する(ステップS5、※4)。具体的には、デューティ比を60パーセント程度に制御する。これにより、センサ素子65の温度は緩やかに急上昇して早期に活性化温度へと到達することになる(※5)。また、インナカバー66bの温度についても急上昇する(※6)。
次に、基準値について説明する。この基準値は、エンジン始動時からヒータを前述した低電力通電により制御した場合に、インナカバー66bの温度が、標準大気圧下での露点温度の最上限値(標準大気圧下での水の沸点)を超え、このときのセンサ素子65の温度が、センサ素子65が被水によって破損する温度未満となる状態での、エンジン冷却水の温度から規定されている。具体的には、基準値は、インナカバー66bの温度が100℃にまで上昇し(※7)、この際のセンサ素子65の温度が300℃未満(※8)となる状態での、エンジン冷却水の温度から規定されている。尚、インナカバー66bの温度が100℃以上の場合には、絶縁硝子69bの下面69cの温度も100℃以上であると推定される。従って、この基準値に基づいて算出された判定値を判断することにより、現在の状態が、インナカバー66b内に凝縮水が発生する条件かであるかどうかを判断することができる。
このようにECU4は、インナカバー66b内に凝縮水が発生する条件下では、センサ素子65が凝縮水の被水によって破損する温度未満となるようにヒータを制御し(※1)、インナカバー66b内に凝縮水が発生し得ない条件下では、センサ素子65を活性化温度まで昇温させるようにヒータを制御する(※4)。これにより、インナカバー66b内に発生する凝縮水の被水によるセンサ素子65の破損を防止できると共に早期にセンサ素子65を活性化することができる。
また、インナカバー66b内に凝縮水が発生する条件下であるか否かを、冷却水の温度に基づいて判定するので、例えば、排気通路の内壁に温度に基づいて判定するような場合には、機関運転状態の変動によっては、一度露点以上の温度になったにもかかわらず、再度露点以下の温度となる恐れもあるが、このような問題を防止できる。即ち、冷却水の温度に基づいて判定することにより、上記の判定をエンジンの運転状態の変動に影響されずに正確に行うことができる。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本実施例に係るエンジンシステムの構成を示した模式図である。 第1酸素センサの模式図である。 ECUが実行するヒータの制御処理の一例を示したフローチャートである。 エンジン冷却水の水温や、センサ素子の温度等の変化を示したチャート図である。
符号の説明
2 エンジン
4 ECU(加熱制御手段、凝縮水判定手段)
10 燃焼室
12 燃料噴射バルブ
14 点火プラグ
16 吸気ポート
20 吸気通路
22 サージタンク
24 スロットルモータ
26 スロットルバルブ
28 スロットル開度センサ
30 吸気圧センサ
32 排気ポート
36 排気通路
38 触媒
40 NOx吸蔵還元触媒
44 アクセルペダル
54 クランク軸
56 アクセル開度センサ
58 エンジン回転数センサ
64 第1酸素センサ
65 センサ素子
66a アウタカバー
66b インナカバー
70 第2酸素センサ

Claims (1)

  1. 内燃機関の排気通路に配置され、センサ素子と、前記センサ素子を活性化する加熱手段と、前記センサ素子を覆うと共に通気孔が形成されたカバーと、を含むガスセンサと、
    前記加熱手段を通電制御する加熱制御手段と、
    機関冷却水の温度を検出する冷却水温度検出手段と、
    前記機関冷却水の温度に基づいて前記カバー内に凝縮水が発生する条件下であるか否かを判定する凝縮水判定手段とを備え、
    前記加熱制御手段は、前記カバー内に凝縮水が発生する条件下では、前記センサ素子が凝縮水の被水によって破損する温度未満となるように前記加熱手段を制御し、前記カバー内に凝縮水が発生し得ない条件下では、前記センサ素子を活性化温度まで昇温させるように前記加熱手段を制御し、
    前記凝縮水判定手段は、前記内燃機関の始動時での冷却水の温度と現在の冷却水の温度との差である上昇分の温度に係数を乗算した値に、前記内燃機関の始動時での冷却水の温度を加算した値を判定値とし、
    前記判定値が基準値よりも大きい場合には、前記カバー内に凝縮水が発生する条件下ではないと判定し、
    前記判定値が前記基準値に満たない場合には、前記カバー内に凝縮水が発生する条件下であると判定する、ことを特徴とするガスセンサ制御装置。
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