JP3699510B2 - 内燃機関の始動時燃料供給制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の始動時燃料供給制御装置に関し、特に内燃機関の停止から始動開始までの放置状態を考慮して始動時の燃料供給制御を行う始動時燃料供給制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の始動性の向上を図るために、機関始動前の冷却水温を検出し、この冷却水温が所定値を超えていると、始動時の燃料噴射量を増量するように制御する装置が知られている(特開昭59−134335号公報)。
【0003】
また、内燃機関の停止から始動開始までの経過時間を算出し、予め測定した経過時間と燃料温度との関係を用いて、上記算出した経過時間から燃料温度に応じた燃料供給量の増加補正量を設定し、該設定した増加補正量に基づき始動時の燃料供給量を増加補正する装置(特開昭62−131938号公報)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の特開昭59−134335号公報記載の装置では、機関停止後から始動までの機関停止期間中の状態(例えば、期間長さ、放置場所)に応じて冷却水温の変化状態と燃料温度の変化状態との間の相関関係は変化するので、検出した冷却水温が所定値を超えたか否かの判定のみでは、この相関関係の変化を考慮することはできず、始動性の向上を十分に図ることができない。
【0005】
また、後者の特開昭61−121938号公報に記載の装置では、燃料温度によって変化する燃料圧力の立上り時間を考慮していないので、燃料圧力が十分に上昇しない状態で燃料噴射が実行されることがあり、上記の装置と同様に、始動性の向上を十分に図ることができず、また、イグニションスイッチオン操作からスタータ始動操作までの期間が極めて短い始動(以下、即始動という)時の始動性が低下する。
【0006】
本発明はこの点に着目してなされたものであり、始動性の向上を十分に図ることができる内燃機関の燃料供給制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射手段と、該燃料噴射手段へ供給される燃料の圧力を所定値に調整する燃料圧力調整手段と、前記機関への燃料供給を制御する燃料供給制御手段とを有する内燃機関の始動時燃料供給制御装置において、前記機関の始動時の機関冷却水温度と機関吸入空気温度とを検出する温度検出手段と、前記検出した機関冷却水温度と機関吸入空気温度とにより、始動開始前の機関の停止期間が長いか短いかを判断する判断手段と、前記検出した機関冷却水温度と機関吸入空気温度とに基づいて前記機関の始動時から前記燃料噴射手段へ供給される燃料の圧力が前記所定値に達するまでの燃圧立上り時間を推定する時間推定手段とを備え、前記始動開始前の機関の停止期間が長いときには、前記燃料供給制御手段は前記推定された燃圧立上り時間に応じて前記機関始動時の前記燃料噴射手段による燃料噴射の実行を遅延させることを特徴とする。
【0013】
本発明では、機関の始動時の機関冷却水温度と機関吸入空気温度とを検出し、検出した機関冷却水温度と機関吸入空気温度とにより、始動開始前の機関の停止期間が長いか短いかを判断し、検出した機関冷却水温度と機関吸入空気温度とに基づいて機関の始動時から燃料噴射手段へ供給される燃料の圧力が所定値に達するまでの燃圧立上り時間を推定し、始動開始前の機関の停止期間が長いときには、推定された燃圧立上り時間に応じて機関始動時の燃料噴射手段による燃料噴射の実行を遅延させるので、燃料温度によって変化する燃料立上り時間を考慮した始動時燃料供給制御を行うことができ、始動性の向上を十分に図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の第1形態)
図1は本発明の実施の第1形態に係る内燃機関(以下、エンジンという)の始動時燃料供給制御装置を含む制御装置を示す全体構成図である。
【0021】
エンジン1の吸気ポ−トに接続された吸気管2の途中にはスロットル弁3が設けられ、スロットル弁3にはスロットル弁開度(θTH)センサ4が連結されている。θTHセンサ4はスロットル弁3の開度に応じた電気信号を出力し、該電気信号は電子コントロ−ルユニット(以下、ECUという)5に供給される。
【0022】
エンジン1とスロットル弁3との間且つ吸気管2の図示しない吸気弁の少し上流側には、燃料噴射弁6が各気筒毎に設けられている。各燃料噴射弁6には、燃料ポンプ(図示せず)から燃料供給管21およびプレッシャレギュレータ22を介して燃料が供給され、プレッシャレギュレータ22は管23を介して取り込まれる吸気管2内の圧力を背圧とするダイヤフラムで燃料噴射弁6に供給される燃料の圧力を所定値に調整するとともに、余剰燃料を戻し管24を介して燃料タンク(図示せず)に戻す。燃料噴射弁6はECU5に電気的に接続され、該ECU5からの信号により各燃料噴射弁6の燃料噴射量は制御される。各燃料噴射弁6の燃料噴射量は燃料噴射弁6の燃料噴射時間即ち開弁時間で表される。
【0023】
吸気管2のスロットル弁3下流側には管7を介して絶対圧(PBA)センサ8が設けられている。PBAセンサ8はECU5に電気的に接続され、PBAセンサ8により検出された吸気管2内の絶対圧PBAは電気信号に変換されてECU5に供給される。
【0024】
吸気管2のPBAセンサ8下流側の管壁には吸気温(TA)センサ9が取り付けられ、該TAセンサ9により検出された吸入空気温度(以下、吸気温という)TAは電気信号に変換されてECU5に供給される。
【0025】
エンジン1のシリンダブロックの冷却水が充満した気筒周壁にはサ−ミスタ等からなるエンジン水温(TW)センサ10が挿着され、該TWセンサ10により検出されたエンジン水温(冷却水温)TWは電気信号に変換されてECU5に供給される。
【0026】
エンジン1の図示しないカム軸周囲又はクランク軸周囲には、クランク角度位置(CRK)センサ12及び気筒判別(CYL)センサ13が取付けられている。CRKセンサ12はエンジン1のクランク軸の1/2回転(180°)より短い一定のクランク角周期(例えば、30°周期)でもって所定のクランク角度位置で信号パルス(以下、CRK信号パルスという)を出力し、CYLセンサ13は特定の気筒の所定のクランク角度位置で信号パルス(以下、CYL信号パルスという)を出力する。これらCRK信号パルス及びCYL信号パルスはECU5に供給される。
【0027】
具体的には、CRKセンサ12から出力されるCRK信号パルスは、各気筒のピストン上死点を基準にクランク軸が2回転する間に等間隔で例えば24個のパルス、すなわち、例えば30°のクランク角周期でパルスを発生するパルス列の信号からなり、ECU5は、各気筒のピストン上死点で発生するCRK信号パルスに対してTDC判別信号を発生する。すなわち、TDC判別信号は各気筒の基準クランク角度位置を表わすものであって、クランク軸の180°回転毎に発生する。また、ECU5では、CRK信号パルスの発生時間間隔を計測してCRME値を算出し、さらに前記CRME値をTDC判別信号の発生時間間隔に亘って加算してME値を算出し、該ME値の逆数であるエンジン回転数NEを算出する。
【0028】
エンジン1の各気筒には点火プラグ19が設けられている。点火プラグ19はデストリビュータ18を介してECU5に電気的に接続され、ECU5により点火プラグ19による点火時期が制御される。
【0029】
エンジン1の排気ポ−トには排気管14が接続され、排気管14の途中には、排気ガス中のHC、CO、NOx等の浄化を行うための三元触媒15が介装されている。
【0030】
排気管14の三元触媒装置15上流側には酸素濃度センサ(以下、O2センサという)16が設けられている。O2センサ16は、排気ガス中の酸素濃度に応じた電気信号を出力し,該電気信号はECU5に供給される。
【0031】
エンジン1の始動はスタータ26がクランク軸を駆動することによって行われ、スタータ26の駆動はイグニションスイッチ25のオン位置からスタート位置への操作によるスタート信号の出力とほぼ同時に開始される。スタータ26の駆動開始に伴いその駆動開始を示すスタータ信号はECU5に供給される。また、イグニションスイッチ25のオン位置におけるオン信号およびスタート信号はECU5に供給される。
【0032】
ECU5には、さらにバッテリー電圧VBを検出するバッテリー電圧(VB)センサ27が接続され、VBセンサ27の検出信号はECU5に供給される。
【0033】
ECU5は、上述の各種センサからの入力信号波形を整形して電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路5a、中央演算処理回路(以下、CPUという)5b、該CPU5bで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶手段5c、燃料噴射弁6及び点火プラグ17に駆動信号を供給する出力回路5d等から構成される。
【0034】
次に、始動時の燃料供給制御について説明する。
【0035】
エンジン1の始動時、イグニションスイッチ25においてはまずオン位置への操作が行われ、このオン位置への操作に伴いオン信号が出力される。このオン信号の出力によって燃料ポンプが始動され、燃料噴射弁6への燃料供給系(プレッッシャレギュレータ22を含む)に燃料の供給が開始される。
【0036】
次いで、イグニションスイッチ25においてオン位置を経てスタート位置への操作が行われると、スタート信号が出力される。イグニションスイッチ25のスタート信号の出力に伴いスタータ26の駆動が開始され、クランキングが開始される。
【0037】
これに対し、ECU5では、イグニションスイッチ24のオン信号を入力すると、始動時燃料供給制御に用いる燃料噴射条件の決定に必要なデータの読み込みを開始するとともに、点火時期制御におけるエンジン水温TWに応じて点火進角を選択する。次いで、スタータ26のスタータ信号を入力すると、始動時燃料供給制御と点火時期制御とが実行される。
【0038】
この始動時燃料供給制御について図2を参照しながら説明する。図2は図1の制御装置で実行される始動時燃料噴射制御を示すフローチャートである。
【0039】
図2を参照するに、まずステップS11でイグニションスイッチ25のオン信号の入力の有無を判定し、イグニションスイッチ25のオン信号の入力が有ると判定されると、ステップS12に進む。
【0040】
ステップS12では、エンジン水温TWおよび吸気温TAを読み込み、続くステップS13では、イグニションスイッチ25のスタート信号の入力に伴うスタータ26からのスタータ信号の入力の有無を判定する。
【0041】
スタータ26からのスタータ信号の入力が有ると判定されると、ステップS14に進み、ステップS14では始動時燃料噴射条件決定処理を実行する。この始動時燃料噴射条件決定処理では、後述するように、燃料噴射弁6の始動時燃料噴射時間(開弁時間)TOUTの設定と、エンジン1の始動前の停止期間が長いか短いか判定するソーク状態の判定と、そのソーク状態の判定の結果に応じて始動時燃料噴射時期を決定するためのデータ(燃料噴射弁6への燃料供給系内の燃圧立上り時間)の算出とを行う。
【0042】
次いで、ステップS15が実行される。ステップS15では、後述するように、ステップS14の始動時燃料噴射条件決定処理で算出されたデータに応じて始動時燃料噴射時期を設定し、その設定した始動時燃料噴射時期が到来すると、ECU5は燃料噴射弁6に駆動信号を供給して燃料噴射動作を開始させ、ステップ14で算出された始動時燃料噴射時間TOUTの間燃料噴射を行う。
【0043】
次に、上述の始動時燃料噴射条件決定処理(ステップS14)について図3ないし図6を参照しながら説明する。図3は図2の始動時燃料噴射条件決定処理を示すフローチャート、図4はエンジン停止後におけるエンジン水温と吸気温度との時間的変化をそれぞれ示す図、図5は図3の始動時燃料噴射条件決定処理における燃料圧力の立上りと始動時燃料噴射時期との関係を示すタイムチャート、図6は図3の始動時燃料噴射条件決定処理に用いる燃圧立上り時間テーブルを示す図である。
【0044】
図3を参照するに、まずステップS101で始動時燃料噴射条件設定処理を実行する。この始動時燃料噴射条件設定処理では、例えばエンジン水温TW、吸気温度TAおよびバッテリー電圧VBを読み込み、予めエンジン水温TWに応じて設定された始動時基本燃料噴射時間TSTを始動時基本燃料噴射テーブルから検索し、その始動時基本燃料噴射時間TSTにバッテリー電圧VBに応じて変化する無効噴射時間を加えた始動時燃料噴射時間TOUTを算出する。また、各燃料噴射弁6が燃料噴射を開始する時期である始動時燃料噴射時期は、クランキング開始時点から1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時に設定される(図8(a)に示す)。
【0045】
次いで、ステップS102では、ステップS12で読み込まれたエンジン水温TWおよび該エンジン水温TWと吸気温TAとの関係が予め設定されている条件を満足するか否かの判定を行い、この判定結果によってエンジン1のソーク状態(放置状態)を判断する、即ち始動開始前のエンジン1の停止期間(放置期間)が長いか短いかを判断する。この判断は、燃料噴射弁6への燃料供給系内の燃圧(燃料圧力)がほぼ抜けている状態(例えば燃圧が0kg/cm2に近傍の値まで抜けている状態)か否かを判断するためのものである。
【0046】
具体的には、エンジン水温TWと吸気温TAとの差が±5°Cかつエンジン水温TWが所定温度以下例えば50°C以下であるとする条件が設定され、ステップS11で読み込まれたエンジン水温TWおよび該エンジン水温TWと吸気温TAとの関係が上記条件を満足するときには、燃圧がほぼ抜けている状態になる程度にエンジン1の停止期間が長いと判断され、上記条件を満足しないときには、燃圧がまだ残存している状態を維持可能な程度にエンジン1の停止期間が短期間であると判断される。この上記条件は、図4に示すように、燃圧の状態を予測可能なように予め測定した、エンジン1の停止時から始動時までの経過時間とエンジン水温TWおよび吸気温TAとの関係に基づき設定されている。また、上記条件のエンジン水温TW50°C以下は、エンジン水温TWが高いときの始動時を除き長期間停止と判断可能な最大温度として設定されたものである。
【0047】
ステップS102でエンジン1の停止期間が長いすなわち燃料圧力がほぼ抜けている状態と判断されると、ステップS103に進む。ステップS103では、図5に示すように、ステップS12で読み込まれたエンジン水温TWと吸気温TAとに基づき燃圧がイグニションスイッチ25のオン信号の出力時点から所定値PFATH(例えば、2kg/cm2)に到達するまでの立上り時間TFPRを算出する。具体的には、予め設定されている燃料供給系内ガス温度テーブル(図示せず)からステップS11で読み込まれたエンジン水温TWおよび吸気温TAに対応する燃料噴射弁6への燃料供給系内のガス温度を読み込み、その読み込んだガス温度に対応する燃圧立上り時間TFPRを燃圧立上り時間テーブルから読み込む。この燃圧立上り時間TFPRは、図5に示すように、後述する燃料噴射制御における燃圧の立上りがステップS101で設定した始動時燃料噴射時期に間に合うか否かの判断に用いられる。
【0048】
燃圧立上り時間テーブルには、図6に示すように、燃料噴射弁6への燃料供給系内のガス温度に対して燃圧立上り時間TFPRが書き込まれ、所定ガス温度以上ではガス温度が高くなるに従い燃圧立上り時間TFPRが長くなることが分かる。
【0049】
続くステップ104では、フラグFIを「1」に設定し、燃圧の立上りがステップS101で設定した始動時燃料噴射時期に間に合うか否かの判断が必要であることを指定する。
【0050】
これに対し、ステップS102でエンジン1の停止期間が短いと判断されると、ステップS105に進み、フラグFIを「0」に設定し、燃圧の立上りがステップS101で設定した始動時燃料噴射時期に間に合うか否かの判断が不要であることを指定する。
【0051】
次に、上述の燃料噴射制御(ステップS15)について図7および図8を参照しながら説明する。図7は図2の燃料噴射制御を示すフローチャート、図8は図7の燃料噴射制御によって決定された始動時燃料噴射時期と始動時燃料噴射時間とを示すタイミングチャートである。
【0052】
図7を参照するに、まずステップS201で、CRK信号パルス、TDC判別信号を監視し、始動時燃料噴射時期、即ち1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時点の到来を判定する。
【0053】
始動時燃料噴射時期が到来したと判定されると、ステップS202でフラグF1が「1」に設定されているか否かを判定する。フラグF1が「1」に設定されていると、燃圧の立上りがステップS101で設定した始動時燃料噴射時期に間に合うか否かの判断が必要であると判断され、ステップS203に進む。
【0054】
ステップS203では、イグニションスイッチ25のオン信号の出力時点から現在時点(燃料噴射時期)までの時間TISTAがステップS103で算出した燃圧立上り時間TPFRより長いか否かを判定する。時間TISTAがステップS103で算出した燃圧立上り時間TPFRより長いと、現燃料噴射時期において燃圧が所定値PFATHまでに達していると判断され、ステップS204で燃料噴射弁6に駆動信号を供給して燃料噴射動作を開始させ、ステップ101で算出された始動時燃料噴射時間TOUTの間燃料噴射を行う。即ち、図8(a)に示すように、1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時点に、燃料噴射弁6による始動時燃料噴射時間TOUTの燃料噴射が行われる。
【0055】
これに対し、ステップS203で時間TISTAがステップS103で算出した燃圧立上り時間TPFRより短いと判定されると、現燃料噴射時期において燃圧が所定値PFATHまでに達していないと判断され、1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時点における燃料噴射弁6による燃料噴射を行わずに、次の燃料噴射時期の到来を待つ(ステップS201)。
【0056】
次の燃料噴射時期即ち2TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時点において、イグニションスイッチ25のオン信号の出力時点から現在時点(燃料噴射時点)までの時間TISTAがステップS103で算出した燃圧立上り時間TPFRより長いと判定されると(ステップS203)、燃圧が所定値PFATHまでに達していると判断され、ステップS204で燃料噴射弁6に駆動信号を供給して燃料噴射動作を開始させ、ステップ101で算出された始動時燃料噴射時間TOUTの間燃料噴射を行う。即ち、図8(b)に示すように、2TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時点に、燃料噴射弁6による始動時燃料噴射時間TOUTの燃料噴射が行われる。
【0057】
このように、ステップS101で算定した始動時燃料噴射時期に、燃圧が所定値PFATHまでに達していないと判断されると、燃圧の立上りが間に合うように始動時燃料噴射時期を遅延する(例えば、1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時からクランキング開始時点から2TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時に遅延する)ので、所要の燃圧が確保された状態で燃料が噴射され、燃料噴射時間TOUT分の燃料の噴射が確実に行われる。よって、始動性を十分に向上させることができ、特に、イグニションスイッチ24のオン位置への操作とスタート位置への操作との間の時間が非常に短時間であるような即始動時および燃料のガス温度が高い場合などの燃圧の立上りが遅い場合における始動性が向上される。
【0058】
また、ステップS202でフラグF1が「1」に設定されていると判定されると、燃圧の立上りがステップS101で設定した始動時燃料噴射時期に間に合うか否かの判断が不要であると判断され、ステップS204に進み、1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時点に、燃料噴射弁6による始動時燃料噴射時間TOUTの燃料噴射を行う。
【0059】
なお、本実施の形態では、始動時燃料噴射時期がクランキング開始時点から2TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時となる例について述べたが、始動時燃料噴射時期は、燃圧が所定値PFATHまでに達していると判断されるまで次の噴射時期に順次に遅延され、例えば、始動時燃料噴射時期がクランキング開始時点から3TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時になることもある。
【0060】
このように、本実施の形態によれば、エンジン水温TWと吸気温度TAとに基づきエンジン1の停止期間を求め、求めた停止期間が長いときには、エンジン水温TWおよび吸気温度TAによって推定した燃料ガス温度に基づき燃圧の立上り時間を推定し、この推定した燃圧の立上り時間に応じて始動時燃料噴射時期を遅延し、所要の燃圧が確保された状態で燃料噴射を行うので、燃料噴射時間TOUT分の燃料の噴射が確実に行われ、始動性を十分に向上させることができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、燃圧の立上りがステップS101で設定した始動時燃料噴射時期に間に合わないと判断されると、始動時燃料噴射時期を遅延させているが、これに代えて、イグニションスイッチ25のスタート信号の出力時点から所定時間経過後にスタータ26が作動するように設定することによって、ステップS101で算定した始動時燃料噴射時期までに燃圧が所定値までに立ち上るようにする方法を用いることもできる。
【0062】
また、燃圧を直接測定し、その測定した燃圧が所定圧に達しているか否かを検出する方法を用いることもできる。
【0063】
(実施の第2形態)
次に、本発明の実施の第2形態について説明する。図9は本発明の実施の第2形態に係る内燃機関の始動時燃料供給制御装置による燃料噴射制御を示すフローチャート、図10は図9の燃料噴射制御によって決定された始動時燃料噴射時期と始動時燃料噴射時間とを示すタイミングチャートである。
【0064】
本実施の形態では、実施の第1の形態と同様の方法で始動時燃料噴射条件決定処理までを実行するが、実施の第1の形態とは燃料噴射制御が異なり、始動時燃料噴射時期を遅延することに代えて、付加燃料噴射を行う。なお、本実施の形態では、実施の第1形態と異なる部分について説明する。
【0065】
本実施の形態の燃料噴射制御では、図9に示すように、ステップS303で時間TISTAがステップS103(図3に示す)で算出した燃圧立上り時間TPFRより短いと判定されると、燃圧が所定値PFATHまでに達していないと判断され、ステップS304に進む。
【0066】
ステップS304では、燃料噴射弁6による付加燃料噴射を実行するように指定する。この付加燃料噴射は、ステップS101で算出した始動時燃料噴射時間TOUTを所定時間DTOUT分増加し、増加した始動時燃料噴射時間(TOUT+DTOUT)を設定した始動時燃料噴射時期とそれに続く付加燃料噴射時期とに配分して噴射するように設定される。
【0067】
次いで、ステップS305で、1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時点に、ステップS304で設定した付加燃料噴射を実行させるように燃料噴射弁6に駆動信号を供給する。
【0068】
具体的には、図10に示すように、始動時燃料噴射時期を上述のステップS101で設定した始動時燃料噴射時期すなわち1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時とし、その始動時燃料噴射時期から燃料噴射を時間TOUT1分行い、その燃料噴射完了後から所定時間DT時間経過後に、燃料噴射を時間TOUT2分行う。燃料噴射が行われる。なお、時間TOUT1と時間TOUT2とを加算した値は、始動時燃料噴射時間(TOUT+DTOUT)に等しい。
【0069】
また、ステップS302でフラグF1が「1」に設定されていると判定される即ち燃圧の立上りがステップS101で設定した始動時燃料噴射時期に間に合うか否かの判断が不要であると判断されるか、またはステップS303で時間TISTAがステップS103で算出した燃圧立上り時間TPFRより長いと判定されると、ステップS305で、1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時点に、燃料噴射弁6による始動時燃料噴射時間TOUTの燃料噴射を行う。
【0070】
このように、本実施の形態によれば、燃圧の立上りがステップS101で設定した始動時燃料噴射時期に間に合わないと判断されると、付加燃料噴射によって始動時燃料噴射時間を増加するので、所要の燃圧が確保されない状態で燃料は噴射されるが、燃料噴射時間の増加によって、始動性を十分に向上させることができ、特に、即始動時および燃料のガス温度が高い場合などの燃圧の立上がりが遅い場合における始動性が向上される。
【0071】
(実施の第3形態)
次に、本発明の実施の第3形態について説明する。図11は本発明の実施の第3形態に係る内燃機関の始動時燃料供給制御装置による燃料噴射制御を示すフローチャート、図12は図11の燃料噴射制御によって決定された始動時燃料噴射時期と始動時燃料噴射時間とを示すタイミングチャートである。
【0072】
本実施の形態では、実施の第1の形態と同様の方法で始動時燃料噴射条件決定処理までを実行するが、実施の第1の形態とは燃料噴射制御が異なり、始動時燃料噴射時期を遅延することに代えて、燃料噴射時間を増加させる。なお、本実施の形態では、実施の第1形態と異なる部分について説明する。
【0073】
本実施の形態の燃料噴射制御では、図11に示すように、ステップS403で時間TISTAがステップS103(図3に示す)で算出した燃圧立上り時間TPFRより短いと判定されると、燃圧が所定値PFATHまでに達していないと判断され、ステップS404に進む。
【0074】
ステップS404では、ステップS101で算定した始動時燃料噴射時間TOUTを所定時間DTOUT分増加し、始動時燃料噴射時間を始動時燃料噴射時間(TOUT+DTOUT)とする。
【0075】
次いで、ステップS405で1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時点に、ステップS404で増加した始動時燃料噴射時間(TOUT+DTOUT)の間燃料噴射を行うように燃料噴射弁6に駆動信号を供給する。
【0076】
具体的には、図12に示すように、始動時燃料噴射時期を上述のステップS101で設定した始動時燃料噴射時期すなわち1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時とし、上述のステップS101で算定した始動時燃料噴射時期から燃料噴射を時間(TOUT+DTOUT)を行う。
【0077】
また、ステップS402でフラグF1が「1」に設定されていると判定される即ち燃圧の立上りがステップS101で設定した始動時燃料噴射時期に間に合うか否かの判断が不要であると判断されるか、またはステップS403で時間TISTAがステップS103で算出した燃圧立上り時間TPFRより長いと判定されると、ステップS405で、1TDC判別信号発生後のCRK信号パルスの発生時点に、燃料噴射弁6による始動時燃料噴射時間TOUTの燃料噴射を行う。
【0078】
このように、本実施の形態によれば、燃圧の立上りがステップS101で設定した始動時燃料噴射時期に間に合わないと判断されると、始動時燃料噴射時間を増加するので、所要の燃圧が確保されない状態で燃料は噴射されるが、燃料噴射時間の増加によって、始動性を十分に向上させることができ、特に、即始動時および燃料のガス温度が高い場合などの燃圧の立上がりが遅い場合における始動性が向上される。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、機関の始動時の機関冷却水温度と機関吸入空気温度とを検出し、検出した機関冷却水温度と機関吸入空気温度とにより、始動開始前の機関の停止期間が長いか短いかを判断し、検出した機関冷却水温度と機関吸入空気温度とに基づいて機関の始動時から燃料噴射手段へ供給される燃料の圧力が所定値に達するまでの燃圧立上り時間を推定し、始動開始前の機関の停止期間が長いときには、推定された燃圧立上り時間に応じて機関始動時の燃料噴射手段による燃料噴射の実行を遅延させるので、燃料温度によって変化する燃料立上り時間を考慮した始動時燃料供給制御を行うことができ、始動性の向上を十分に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係る内燃機関の始動時燃料供給制御装置を含む制御装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の制御装置で実行される始動時燃料噴射制御を示すフローチャートである。
【図3】図2の始動時燃料噴射条件決定処理を示すフローチャートである。
【図4】エンジン停止後におけるエンジン水温と吸気温度との時間的変化をそれぞれ示す図である。
【図5】図3の始動時燃料噴射条件決定処理における燃料圧力の立上りと始動時燃料噴射時期との関係を示すタイムチャートである。
【図6】図3の始動時燃料噴射条件決定処理に用いる燃圧立上り時間テーブルを示す図である。
【図7】図2の燃料噴射制御を示すフローチャートである。
【図8】図7の燃料噴射制御によって決定された始動時燃料噴射時期と始動時燃料噴射時間とを示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施の第2形態に係る内燃機関の始動時燃料供給制御装置による燃料噴射制御を示すフローチャートである。
【図10】図9の燃料噴射制御によって決定された始動時燃料噴射時期と始動時燃料噴射時間とを示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の実施の第3形態に係る内燃機関の始動時燃料供給制御装置による燃料噴射制御を示すフローチャートである。
【図12】図11の燃料噴射制御によって決定された始動時燃料噴射時期と始動時燃料噴射時間とを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関)
5 ECU(始動時燃料供給制御装置)
6 燃料噴射弁
9 吸気温度センサ
10 エンジン水温センサ
12 CRKセンサ
19 点火プラグ
22 プレッシャレギュレータ
25 イグニションスイッチ
26 スタータ
27 バッテリー電圧センサ
Claims (1)
- 内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射手段と、該燃料噴射手段へ供給される燃料の圧力を所定値に調整する燃料圧力調整手段と、前記機関への燃料供給を制御する燃料供給制御手段とを有する内燃機関の始動時燃料供給制御装置において、
前記機関の始動時の機関冷却水温度と機関吸入空気温度とを検出する温度検出手段と、
前記検出した機関冷却水温度と機関吸入空気温度とにより、始動開始前の機関の停止期間が長いか短いかを判断する判断手段と、
前記検出した機関冷却水温度と機関吸入空気温度とに基づいて前記機関の始動時から前記燃料噴射手段へ供給される燃料の圧力が前記所定値に達するまでの燃圧立上り時間を推定する時間推定手段とを備え、
前記始動開始前の機関の停止期間が長いときには、前記燃料供給制御手段は前記推定された燃圧立上り時間に応じて前記機関始動時の前記燃料噴射手段による燃料噴射の実行を遅延させることを特徴とする内燃機関の始動時燃料供給制御装置。
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-
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