JP2006220256A - 油圧緩衝器におけるバルブ構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 バルブシート部材を別物に変更せずして、環状リーフバルブで覆われるバルブシート部材側に形成の加圧用流路における面積を広狭するチューニングを可能にする。
【解決手段】 バルブシート部材10の端面に形成されるバルブシート部11に受圧面を対向させる環状リーフバルブ40を有してなる油圧緩衝器におけるバルブ構造において、バルブシート部11に隣接されてこのバルブシート部11でバルブシート部材10側に画成される加圧用流路14に連通する孔21を開穿した環状に形成の基板20と、この基板20の背面に隣接されて上記の孔21に連通する環状流路31を形成する環状に形成の規制板30とを有し、この規制板30が基板20の内周側に隣接されるボス部32と基板20の外周側に一体に形成される画成部33とで上記の環状流路31を画成すると共に、この規制板30の背面に上記の環状リーフバルブ40が隣接される。
【選択図】 図1

Description

この発明は、油圧緩衝器におけるバルブ構造に関し、特に、油圧緩衝器における、たとえば、シリンダ内で摺動するピストン部への具現化に向くバルブ構造の改良に関する。
凡そ油圧緩衝器における、たとえば、ピストン部に具現化されるバルブ構造にあっては、多くの場合に、ピストン部を構成するピストン体たるバルブシート部材の端面にバルブシート部で画成される加圧用流路を覆うように環状リーフバルブが配在される。
このとき、バルブシート部材の端面に画成される加圧用流路、すなわち、環状リーフバルブの受圧面に対向する加圧用の流路における面積は、その油圧緩衝器の用途やバルブシート部材の径に基づくなどして設定される。
ちなみに、バルブシート部材の径によっては、たとえば、特許文献1に開示されているように、環状リーフバルブの内周側を隣接させるシート面、すなわち、バルブシート部を環状に形成することに代えて菊花状に形成して広くすることで、残部を所定の面積の加圧用流路に設定する方策が選択される。
特開平9−291964号公報(段落0045,図2)
しかしながら、バルブシート部材の端面にバルブシート部で画成される加圧用流路における面積は、これが一旦設定されると、バルブシート部材を別物に変更しない限りその変更は容易に実践できない。
すなわち、たとえば、上記した菊花状に形成のバルブシート部を切削して環状にする場合には、残部となる加圧用流路の面積を広くするチューニングが可能になるが、逆に、加圧用流路の面積を狭くするチューニングは簡単には実践できない。
その結果、これまでは、バルブシート部材の端面にバルブシート部で画成される加圧用流路における面積を、特に、狭くする場合には、バルブシート部材を別物に変更する方策に依っていたし、また、広くする場合でも、切削などの手間を考えると、交換した方が得策であるとして、バルブシート部材を別物に変更する方策に依っていた。
この発明は、このような現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、バルブシート部材を別物に変更したり、バルブシート部に加工を施したりせずして、環状リーフバルブの受圧面に対向するバルブシート部材側に画成の加圧用流路における面積を広狭するチューニングを可能にするのに最適となる油圧緩衝器におけるバルブ構造を提供することである。
上記した目的を達成するために、この発明による油圧緩衝器におけるバルブ構造の構成を、基本的には、シリンダ内で摺動するピストン部を構成するピストン体などのバルブシート部材と、このバルブシート部材の端面に形成されるバルブシート部と、このバルブシート部に受圧面を対向させる環状リーフバルブとを有してなる油圧緩衝器におけるバルブ構造において、バルブシート部に隣接されてこのバルブシート部でバルブシート部材側に画成される加圧用流路に連通する孔を開穿した環状に形成の基板と、この基板の背面に隣接されて上記の孔に連通する環状流路を形成する環状に形成の規制板とを有してなり、この規制板が基板の内周側に隣接されるボス部と基板の外周側に一体に形成される画成部とで上記の環状流路を画成してなると共に、この規制板の背面に上記の環状リーフバルブが隣接されてなるとする。
そして、より具体的には、基板の内周側に隣接される規制板におけるボス部が基板の内周側に一体に形成されてなるとし、また、基板の内周側に隣接される規制板におけるボス部の肉厚がこの規制板における画成部の肉厚と同一の肉厚にあるいは画成部の肉厚より薄肉に形成されてなるとする。
それゆえ、この発明にあっては、バルブシート部材にバルブシート部で画成される加圧用流路が基板に開穿の孔を介して規制板が有する環状流路に連通することになり、このとき、この環状流路は、規制板における内周側のボス部と外周側の画成部とで画成されるから、このボス部と画成部の寸法を任意に設定することで、バルブシート部材を別物に変更せずして、また、バルブシート部に加工を施したりせずして、環状リーフバルブの受圧面に対向する加圧用流路の面積を広狭し得ることになる。
そして、このとき、基板および規制板で形成される環状流路は、環状リーフバルブにおける受圧面に対向することになるいわゆる加圧用の流路を設定する、すなわち、流路面積を設定するものであるから、厚肉に形成されずして薄肉に形成されて良く、また、この基板および規制板が薄肉に形成されることで、これを隣接させるバルブシート部材を有する減衰力発生部における軸線方向の長さをいたずらに大きくしないことになる。
また、基板の内周側に隣接される規制板におけるボス部の肉厚がこの規制板における画成部の肉厚と同一の肉厚に形成される場合には、環状リーフバルブの外周側端に初期荷重を付与しない場合の具現化に向き、ボス部の肉厚が画成部の肉厚より薄肉に形成される場合には、環状リーフバルブ外周側端に初期荷重を付与する場合の具現化に向くことになる。
その結果、この発明によれば、バルブシート部材を別物に変更したり、バルブシート部に加工を施したりせずして、環状リーフバルブにおける受圧面に対向するバルブシート部材側に画成の加圧用流路における面積を広狭するチューニングを可能にし得ることになる。
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明による油圧緩衝器におけるバルブ構造は、たとえば、図1に示すように、筒型に形成の油圧緩衝器におけるシリンダ1内に上下方向に摺動可能に収装されてこのシリンダ1内に伸側油室R1と圧側油室R2とを画成するピストン部2に具現化されるとしている。
ちなみに、この発明による油圧緩衝器におけるバルブ構造については、図示しないが、同じく筒型に形成の油圧緩衝器におけるシリンダ1内に固定状態に配在されるベースバルブ部に具現化され、あるいは、凡そ油圧緩衝器本体の外部にいわゆる別タンク構造などに配在される減衰部に具現化されるとしても良いことはもちろんである。
また、図示するように、この発明による油圧緩衝器におけるバルブ構造は、シリンダ1内でピストン部2が上昇する伸長時に伸側の減衰力を発生する伸側減衰部に具現化されてなるとしているが、これに代えて、図示しないが、シリンダ1内でピストン部2が下降する収縮作動時に圧側の減衰力を発生する圧側減衰部に具現化されてなるとしても良い。
以上の前提の下に説明すると、この発明による油圧緩衝器におけるバルブ構造は、ピストン部2を構成するピストン体たるバルブシート部材10と、このバルブシート部材10の下端面側に形成されるバルブシート部11に隣接される基板20と、この基板20の背面に隣接される規制板30と、この規制板30の背面に受圧面を隣接させる伸側の減衰バルブたる環状リーフバルブ40とを有してなる。
まず、バルブシート部材10は、上記の伸側の減衰バルブたる環状リーフバルブ40と、さらには、圧側の減衰バルブたる環状リーフバルブ50を有するピストン体とされるから、図1中で上下方向となるその軸線方向に沿って開穿されて伸側油室R1と圧側油室R2の連通を可能にする圧側流路12とこの圧側流路12に並列して開穿された伸側流路13とを有してなるとしている。
そして、このバルブシート部材10は、下端面側にバルブシート部11で環状に画成される凹溝からなりながら伸側流路13の下流側端を開口させると共に環状リーフバルブ40における受圧面に対向することになる受圧用流路14を有してなるとしている。
ちなみに、このバルブシート部材10たるピストン体は、ピストンロッド3の先端インロー部3aに保持されていて、このピストン体を挟むように配在される環状リーフバルブ40および環状リーフバルブ50は、上記のピストンロッド3の先端インロー部3aに対するピストンナット4の螺着で所定位置に定着されるとしている。
また、環状リーフバルブ40および環状リーフバルブ50は、それぞれ積層されてなるとしており、内周端を固定端とし、外周端を撓み端として、この外周端を撓ませるようにして作動油が通過するときに所定の減衰力を発生するとしている。
ところで、上記の加圧用流路14についてであるが、図示する実施形態では、バルブシート部11で画成される環状凹溝からなるとしているが、この発明が意図するところからすれば、図示しないが、この加圧用流路14が菊花状に独立する態様に形成される開口窓からなるとしても良い。
ただ、加圧用流路14が菊花状に独立する態様に形成される開口窓からなるとする場合には、後述する基板20を配在するときに、いわゆる位置合せが必須とされることになる。
つぎに、基板20は、上記したバルブシート部11に隣接されてこのバルブシート部11によってバルブシート部材10側に画成される加圧用流路14を覆い隠すように機能するもので、それゆえ、図示するところでは、環状リーフバルブの態様に形成されてなるとしている(図2参照)。
このとき、この基板20は、図示するところでは、外径を上記した環状リーフバルブ40における外径と同径にするとしていて、これがバルブシート部11に隣接するときに、環状リーフバルブ40との間にいわゆるズレを生じないように配慮している。
そして、この基板20は、上記の加圧用流路14に連通する孔21が開穿されてなるとしており、この孔21は、基板20の言わば上方にある加圧用流路14からの作動油をこの基板の下方に案内するように機能する。
ちなみに、この孔21は、上記の伸側流路13における流路径より大きい径になるように形成されていて、伸側流路13を高速の作動油が通過することによるポート特性の減衰力の発生を妨げないように配慮されている。
なお、この基板20は、この発明にあって、減衰バルブとして機能することを要求されないから、この基板20が上記したように環状リーフバルブ状に形成されることに代えて、図示しないが、肉厚をより厚くして撓むことのない板状体からなるとしても良い。
ただ、この基板20が機能するところは、後述する規制板30との協働で加圧流路14における流路面積を広くしあるいは狭くすることであるから、この機能を果たす限りには、いわゆる板厚は考慮外となり、むしろ、リーフバルブよりも薄くなることがあるシム状に形成されてなるとしても良い。
そして、この基板20および規制板30における板厚は、可能な限り薄く形成される方が、ピストン部2における軸線方向の長さ寸法をいたずらに大きくさせない上で有利となる。
さらに、規制板30は、上記の基板20の背面に隣接されて上記の孔21に連通する環状流路31を形成するもので、基板20の内周側に隣接されるボス部32と基板20の外周側に一体に形成される画成部33とで上記の環状流路31を形成するとしている。
このとき、まず、上記の画成部33の外径は、上記した基板20における外径と同径になるとしており、基板20の外周側に一体に形成されるとき、外径でいわゆるズレを生じないように配慮している。
そして、この画成部33を基板20の外周側に一体に形成するについては、基本的には、任意の手段が選択されて良く、たとえば、溶接、あるいは、エッジングが選択されて良く、溶接が選択されるときには、好ましくは、基板20の外周側および画成部33に溶接熱による歪を生じさせない構成のものが選択されるのが良い。
つぎに、ボス部32については、これがピストンロッド3の先端インロー部3aに介装されることを鑑みると、画成部33とは異なり、基板20の内周側から分離されていても、上記した環状流路31の形成を妨げないことになる。
しかしながら、ボス部32が基板20の内周側から分離されていても良いとする場合には、組立時に、このボス部32の配在を忘れるミス、すなわち、誤組みを危惧させることになり得る。
したがって、この誤組みの危惧を排除する上からは、画成部33と同様に、ボス部32が基板20の内周側に溶接やエッジングで一体に形成されてなるとする方が好ましいと言い得る。
ただ、この発明では、このボス部32の肉厚について考慮することで、後述する環状リーフバルブ40における外周側に初期荷重を付与するか否かの選択をなし得る、すなわち、チューニングを可能にするとしているから、このことを鑑みると、上記したように、ボス部32は、基板20の内周側と分離されている方が好ましいと言い得ることにもなる。
上記した規制板30の背面に隣接される環状リーフバルブ40は、図示するところでは、同径あるいは異径となる複数枚のリーフバルブ体が積層されて形成されてなるとするもので、規制板30の背面に直接隣接されるリーフバルブ体41は、外周側に上記した環状流路31に連通するオリフィスとなる切り欠き41aを有してなるとしている。
それゆえ、このオリフィスとなる切り欠き41a(図2参照)を有するリーフバルブ体41が上記の環状流路31を覆うように配在される場合には、この環状流路31からの低速の作動油がこの切り欠き41aたるオリフィスを通過するときにオリフィス特性の減衰力が発生されることになる。
以上からすれば、このオリフィス特性の減衰力発生については、油圧緩衝器の用途によっては、不要とされることもあり、この観点からすれば、図示しないが、環状リーフバルブ40を構成するについて、このリーフバルブ体41の配在を省略して、リーフバルブバルブ体42,43,…で環状リーフバルブ40が構成されるとしても良い。
ちなみに、圧側の減衰バルブたる環状リーフバルブ50は、上記の環状リーフバルブ40と同様に外周側にオリフィスたる切り欠き51aを有するリーフバルブ体51と、このオリフィスを有せずして同径に形成のリーフバルブ体52とからなるとしている。
それゆえ、この図示する環状リーフバルブ50による場合には、圧側流路12を介しての作動油がこの環状リーフバルブ50の外周側を撓ませて伸側油室R1側に流入することになるとき、オリフィス特性およびバルブ特性の減衰力発生を期待できることになる。
なお、この環状リーフバルブ50において、減衰力の発生を必要としない場合には、図示しないが、上記のリーフバルブ体51の配在を省略して、リーフバルブ体52のみで環状リーフバルブ50を形成して圧側流路12の下流側端を閉塞することで、いわゆる背圧を立てずして所定の作動油の流入を実現し得る吸い込みバルブとして機能させることが可能になる。
それゆえ、以上のように形成されたこの発明による油圧緩衝器におけるバルブ構造によれば、基板20と規制板30を利用することで、バルブシート部材10にバルブシート部11で画成される加圧用流路14における流路面積、すなわち、環状リーフバルブ40の受圧面に対向することになる加圧用の流路における面積を広くすることも狭くすることも自在となり、ピストン体たるバルブシートC地オリフィス部材10を別物に変更することなく、所望のチューニングを実践できることになる。
前記したところは、この発明による油圧緩衝器におけるバルブ構造がシリンダ1内のピストン部2に具現化されるとき、伸側減衰部に具現化されるとしたが、この発明が意図するところからすれば、ピストン部2における圧側減衰部に具現化されるとしても良く、さらには、この圧側減衰部が吸い込みバルブ構造に形成される場合に具現化されて、吸い込み性を制御するとしても良い。
この発明による油圧緩衝器におけるバルブ構造をピストン部に具現化した状態を示す部分縦断面図である。 基板と規制板および環状リーフバルブの積層状態を分解した斜視図である。
符号の説明
1 シリンダ
2 ピストン部
10 バルブシート部材
20 基板
21 孔
30 規制板
31 環状流路
32 ボス部
33 画成部
40 伸側の減衰バルブたる環状リーフバルブ

Claims (3)

  1. シリンダ内で摺動するピストン部を構成するピストン体などのバルブシート部材と、このバルブシート部材の端面に形成されるバルブシート部と、このバルブシート部に受圧面を対向させる環状リーフバルブとを有してなる油圧緩衝器におけるバルブ構造において、バルブシート部に隣接されてこのバルブシート部でバルブシート部材側に画成される加圧用流路に連通する孔を開穿した環状に形成の基板と、この基板の背面に隣接されて上記の孔に連通する環状流路を形成する環状に形成の規制板とを有してなり、この規制板が基板の内周側に隣接されるボス部と基板の外周側に一体に形成される画成部とで上記の環状流路を画成してなると共に、この規制板の背面に上記の環状リーフバルブが隣接されてなることを特徴とする油圧緩衝器におけるバルブ構造
  2. 基板の内周側に隣接される規制板におけるボス部が基板の内周側に一体に形成されてなる請求項1に記載の油圧緩衝器におけるバルブ構造
  3. 基板の内周側に隣接される規制板におけるボス部の肉厚がこの規制板における画成部の肉厚と同一の肉厚にあるいは画成部の肉厚より薄肉に形成されてなる請求項1に記載の油圧緩衝器におけるバルブ構造
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