JP2006219308A - メタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法および製造装置、メタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体、電子部品搭載用多層配線基板ならびに電子部品搭載モジュール - Google Patents

メタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法および製造装置、メタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体、電子部品搭載用多層配線基板ならびに電子部品搭載モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】各種性能に優れるメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する
【解決手段】表面に配線パターンを形成した2枚以上の窒化アルミニウム粉末のグリーンシートを積層し、1100〜1500℃の温度範囲で、かつ実質的に窒素および水素からなる雰囲気下で連続的に脱脂および脱炭を行い、カーボン炉を用い、脱炭後の窒化アルミニウム成形体を耐火性金属からなるセッター2上に載置して、これらを酸化物系セラミックス焼結体の容器3に収容し、1700〜1900℃の温度範囲で、かつ窒素雰囲気下で行ってメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体1を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、メタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法および製造装置、メタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体、電子部品搭載用多層配線基板ならびに電子部品搭載モジュールに関する。
近年、半導体部品等の電子機器の小型化、高密度化、信号の高速化により電子機器において発生する熱量の増大が問題となっており、発生する熱を効率的に放散する技術が求められている。このような観点から、半導体部品搭載用基板やパッケージの材料としてはベリリア、炭化珪素、アルミナなどの焼結体が用いられてきたが、最近では窒化アルミニウム焼結体が多用されている。これは、窒化アルミニウム焼結体が高い熱伝導度を有する共に、熱膨張率が珪素に近いこと、アルミナ等と同程度の電気絶縁性を有していること、更にはベリリアのような毒性がないことなどの理由による。
窒化アルミニウム焼結体を半導体部品搭載用基板のなどとして使用する場合には、回路配線、入出力端子用リード、半導体部品搭載の電極(パッド)、気密封止部などを形成する必要がある。このため、窒化アルミニウム基板表面には導電性金属からなるメタライズ層が形成される。メタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法としては、薄膜法、活性金属法などのほかに、厚膜法、高融点金属法など予め窒化アルミニウムを焼結した後、メタライズする、いわゆるポスト・ファイア法、窒化アルミニウムの焼結とメタライズとを同時に行う、いわゆるコ・ファイア法が知られている。
コ・ファイア法は、ポスト・ファイア法に比べて製造工程数が少なく、しかも微細な回路配線を形成できるので多層化が容易であるので、LSIパッケージやハイブリッドIC用、多層配線基板の製造方法として多用されている。しかし、難焼結性で金属とのぬれ性の悪い窒化アルミニウムの焼結と、メタライズ層の焼き付けとを同時に行う(同時焼成する)ために、セラミックスと導体ペーストの焼結挙動、特に両者の収縮率、収縮速度を合わせる必要があるなど種々の制限がある。
コ・ファイア法においては、まず、窒化アルミニウム粉末に希土類金属あるいはアルカリ土類金属の酸化物からなる焼結助剤、アクリル樹脂等の結合剤、可塑剤、分散剤および水、アルコール等の溶剤を添加してスラリー化し、このスラリーをドクターブレード法などによりグリーンシートを作製する。このグリーンシートの表面にタングステン、モリブデン等の高融点金属粉末ペーストをスクリーン印刷などにより塗布して、電極やビアホールも含む配線パターンを形成する。次いで、配線パターンを形成した2枚以上のグリーンシートを積層、脱脂、脱炭し、窒化アルミニウム成形体(積層体)を形成する。その後、この窒化アルミニウム成形体を非酸化性雰囲気下で同時焼成してメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する。
ところで、ポスト・ファイア法の製造については、銀、銀−パラジウムやモリブデン−マンガンの焼成条件を中心として様々な研究がなされている。一方、コ・ファイア法の製造については、これまでに焼成条件の検討がなされているが、窒化アルミニウムの緻密化と配線用金属層の固着には多くの技術課題が残されている。例えば、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導性、メタライズ層の密着性(メタライズ強度)およびめっき性のすべてを同時に満足する実用的な焼成条件が確立されていないといった課題がある。
例えば、特許文献1には、窒化アルミニウム成形体からガラス成分が溶浸するのを防止する観点から1500〜1800℃以下で3〜5時間同時焼成する窒化アルミニウムメタライズ基板の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、タングステンおよびモリブデンの少なくとも一方を主体とするメタライズ層と窒化アルミニウム成形体とを1700〜1900℃で1〜7時間同時焼成するセラミックス配線基板の製造方法が記載されている。
特開2002−187776号公報 特開平8−268782号公報
しかし、特許文献1では、窒素雰囲気中、900℃で3時間脱脂処理を行ったと記載されているが(特許文献1の段落0035)、このような低い温度での脱脂・脱炭では、処理が不十分なため焼結前の窒化アルミニウム成形体に炭素分が残存するという問題がある。更に、特許文献1に記載の方法では、焼結容器(匣鉢)について一切記載されていない。このため、後述のように焼結時の均熱性が確保できず、焼結品の歪み、膨れ等の製品不具合が生じる場合がある。 特許文献2では、脱脂条件および焼結容器について一切記載されておらず、特許文献1の方法と同様の問題点がある。
これまで、ポスト・ファイア法に関する研究から、所望の窒化アルミニウム密度、強度および熱伝導度を得るには高い焼成温度を必要とすることが知られている。しかし、コ・ファイア法においては、焼成温度を上げすぎるとメタライズ層の密着性が低下するとの実験結果も得られている。また、高い焼成温度を実現するためには、耐熱温度の高いカーボン炉を用いるが、カーボン炉の炉壁から発生する炭素ガスが窒化アルミニウム焼結体と反応するため、不均一な焼結を引き起こして製品基板の色むらや反りを生じさせる場合がある。更に、炭素ガスがメタライズ層の金属(例えば、タングステン)と反応すると、炭化物が形成しメタライズ層の電気抵抗を高める。
本発明者は、上記の問題を解決するため鋭意研究を行い、コ・ファイア法におけるメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法においては、脱脂・脱炭条件および焼結条件を調整することが重要であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、熱伝導度が高く、電気抵抗が低く、メタライズ層の密着性に優れ、めっき密着性がよく、しかも表面性状に優れる窒化アルミニウム焼結体を製造する方法およびそれに用いる装置を提供することを目的とする。本発明は、更に、そのような製造方法により製造されたメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体、その窒化アルミニウム焼結体を用いた電子部品搭載用多層配線基板および電子部品搭載用多層配線基板に電子部品素子を搭載した電子部品搭載モジュールを提供することを目的とする。
本発明は、下記の(1)〜(4)に示すメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法、下記の(5)に示すメタライズ層を有するアルミニウム焼結体の製造装置、下記の(6)に示すメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体、下記の(7)に示す電子部品搭載用多層配線基板および下記の(8)に示す電子部品搭載モジュールを要旨とする。
(1)窒化アルミニウム粉末に焼結助剤、結合剤および溶剤を添加したスラリーからグリーンシートを形成し、このグリーンシートの表面に高融点金属粉末ペーストを用いて配線パターンを形成し、配線パターンを形成した2枚以上のグリーンシートを積層し、脱脂、脱炭して窒化アルミニウム成形体を形成し、この窒化アルミニウム成形体を非酸化性雰囲気下で同時焼成してメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する方法であって、脱脂および脱炭は、1100〜1500℃の温度範囲で、かつ実質的に窒素および水素からなる雰囲気下で連続的に行い、同時焼成はカーボン炉を用い、脱炭後の窒化アルミニウム成形体を耐火性金属からなるセッター上に載置し、これらを酸化物系セラミックス焼結体の容器に収容し、1700〜1900℃の温度範囲で、かつ窒素雰囲気下で行うことを特徴とするメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(2)セッターが、底板と枠板との組み合わせによって形成される空間を有し、しかも底板および枠板がモリブデンおよび/またはタングステンで構成されていることを特徴とする上記の(1)に記載のメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(3)酸化物系セラミックス焼結体の容器が、アルミナを主成分とする酸化物系セラミックス製坩堝であることを特徴とする上記の(1)または (2)に記載のメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(4)高融点金属粉末ペーストが、タングステン、窒化アルミニウムおよび焼結助剤を原料として含むことを特徴とする上記の(1)から(3)までのいずれかに記載のメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(5)カーボン炉と、カーボン炉内に設置されたアルミナ製坩堝と、アルミナ製坩堝内に設置されたモリブデンおよび/またはタングステンで構成されたセッターとを有することを特徴とするメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造装置。
(6)上記の(1)から(4)までのいずれかの方法で製造したことを特徴とするメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体。
(7)上記の(6)に記載の窒化アルミニウム焼結体を用いたことを特徴とする電子部品搭載用多層配線基板。
(8)上記の(7)に記載の電子部品搭載用多層基板に電子部品素子を搭載したことを特徴とする電子部品搭載モジュール。
本発明によれば、メタライズ層の密着性に優れ、電気抵抗が低く、めっき密着性がよく、熱伝導率が高く、しかも表面性状に優れる窒化アルミニウム焼結体を製造することができる。
本発明の製造方法においては、まず、窒化アルミニウム粉末に焼結助剤、結合剤、可塑剤、分散剤および溶剤を添加してスラリー化し、このスラリーをドクターブレード法などによりグリーンシートを作製する。
焼結助剤は、常圧で窒化アルミニウム基板を焼結するために必要な添加物であり、窒化アルミニウム粉末に適量添加される。焼結助剤は、融解または反応により適量の液相を生じ、それによって緻密化が促進する作用を示すものである。更に、窒化アルミニウム焼結体中の酸素を捕捉する作用もあると考えられている。
焼結助剤としては、スカンジウム、イットリウムおよびランタノイド元素の酸化物、窒化物、酸窒化物からなる化合物、例えば、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、フッ化イットリウム、酸化セリウム、酸化ジスプロシウムなどを用いることができる。 この中では酸化イットリウムを用いるのが望ましい。また、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩からなる化合物、例えば、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウムなどを用いることができる。この中では酸化カルシウムを用いるのが望ましい。
焼結助剤の添加量は、通常窒化アルミニウムに対して、0.01〜10質量%の範囲であればよい。0.01%質量%未満では効果が十分ではなく、10質量%を超えると液相成分の溶浸量が多くなり、熱伝導度が低下するからである。
結合剤としては、成形用高分子成分からなるポリビニルブチラール、ポリメチルアクリレート、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セルロースアセテートブチレートなどの一種または二種以上の混合物からなる有機結合剤を用いることができる。この中で、ポリビニルブチラールを用いるのが望ましい。 結合剤の添加量は、窒化アルミニウムに対して0.1〜20質量%の範囲であればよい。
溶剤としては、例えば、エタノール、トルエン、キシレン、ブタノールおよびそれらの混合物を用いることができる。また、可塑剤および分散剤は必要に応じて適量添加すればよい。
高融点金属ペーストは、タングステン、モリブデン等の高融点金属粉末に、共材としてグリーンシートを500〜700℃の温度範囲で、酸素含有雰囲気下で仮焼、解砕した粉状物、メジウム(エチルセルロース、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオールなど)をポットミルで混練して調製する。高融点金属としては、タングステンまたはモリブデンが好ましい。 この中で、焼成条件でも安定に所定の配線パターン形状を維持できるという観点からタングステンが最も望ましい。
グリーンシートを仮焼、解砕した粉状物をペーストの材料とするのは、窒化アルミニウム基板との共材を含有することでメタライズ層の密着強度と高めるという理由による。 詳しくは、難焼結性で金属とのぬれ性の悪い窒化アルミニウムの焼結とメタライズ層の焼き付けを同時に行う)ために、セラミックスと導体ペーストの焼結挙動、特に両者の収縮率、収縮速度を合わる必要があるからである。
脱脂および脱炭は、グリーンシートの熱分解を中断することなく連続的に行うことが好ましい。これにより、十分な脱炭を行った窒化アルミニウム成形体を得ることができる。
脱脂および脱炭は、1100〜1500℃の範囲で行う必要がある。1100℃未満では、脱炭の効果が少なく、一方、1500℃を超えると焼結が不均一(部分的に)進行し、製品基板に色むら、反りなどを生じさせるおそれがある。 更に、炭素ガスが高温でメタライズ層の金属と反応すると、炭化物を形成しメタライズ層の電気抵抗を高めるという問題も発生する。より望ましい温度範囲は1350〜1450℃である。
脱脂および脱炭の時間には、特に制限はないが、2〜10時間の範囲で行うのがよい。 2時間未満では、熱分解が十分に進行せず、炭素残量に変化が見られず、10時間を超えると、一部に焼結が進行し製品基板の色むら、反りなどを生じさせるからである。望ましいのは4〜8時間である。 昇温速度および降温速度は、グリーンシートの特性や脱脂・脱炭方法に応じて適宜選択すればよい。
脱脂および脱炭は、窒化アルミニウムおよびメタライズ層の酸化を防ぐため非酸化性雰囲気下、実質的に窒素および水素からなる雰囲気下で行う必要がある。これは、炭素が水素によってメタン等の炭化水素に変換されるため、窒化アルミニウム成形体の残存炭素を極少、例えば0.1質量%以下にできるからである。脱炭を十分行なわないと焼結特性に影響するばかりでなく、製品においてはメタライズ金属の炭化物が形成され、メタライズ層の導通抵抗が上がる、また基板にシミができる場合がある。
脱脂および脱炭を窒素のみの雰囲気下で行うと、メタル炉材の金属と反応して表面に窒化物を生成するという問題がある。一方、水素のみの雰囲気下で行うのは安全上の問題がある。従って、炉内に存在する炭素が微量であることを考慮し、窒素ガスで希釈された水素が用いればよい。この水素は、上記のメタル炉材の窒化物の生成を防止する効果もある。混合ガスにおける水素の濃度は、流量換算で5〜40容量%が好ましい。5容量%以上の水素は、上記のメタル炉材およびセッターの窒化物生成を抑制する効果を示すからである。しかし、水素量が過剰な場合にはメタル炉材に悪影響を与えるので、40容量%以下に制限するのが望ましい。好ましいのは10〜30容量%の範囲である。
脱脂および脱炭を行う炉は、特に限定しないが、メタル炉を用いるのがよい。これは、1500℃に近い温度となるため、ある程度の耐熱性が必要であり、しかも、メタル炉であれば、耐火煉瓦等を用いた場合に起こる不純物による汚染を避けることができるからである。
脱脂および脱炭の炉内では、積層したグリーンシートをセッター(焼成板)上に搭置するが、このセッターは、常法に従い耐火性金属で構成されているものが用いられる。 耐火金属としては、モリブデン、タングステンなどを用いることができる。実用的にはモリブデンを用いるのが最も望ましい。
本発明の製造方法においては、上記のようにして脱脂および脱炭を実施した窒化アルミニウム成形体を、非酸化性雰囲気下で同時焼成してメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する。
同時焼成は、カーボン炉を用いて行う必要がある。カーボン炉は、耐熱温度が高いため、メタル炉は適用できない1700〜1900℃という高温での焼成を可能とするからである。また、カーボン炉の炉壁から発生し炉芯方向に拡散する炭素ガスは、窒素雰囲気に混在し、この微量の炭素ガスは炉内の酸素と反応するので、メタライズ層の酸化劣化を防止する。メタライズ層が酸化されると、めっきを施す場合の密着性が低下してしまう。
しかし、炭素ガスを窒化アルミニウムの近傍にあまり大量に混在させることはできない。前述のように、大量の炭素ガスが窒化アルミニウム焼結体と反応すると、基板の色むら、反りなどを生じさせるからである。また、過剰の炭素ガスがメタライズ層の金属と反応すると、炭化物を形成しメタライズ層の電気抵抗を高める。炭素ガスを大量に混在させないため、炉壁からの拡散を防ぐ方法については、後段の焼結容器の項で詳しく説明する。
なお、カーボン炉は、マッフル、ヒーター、断熱材等の炉内部品の少なくとも一部の部品が炭素製の材質からなる炉であり、回分式、連続式等いずれの方式でもよい。
同時焼成は、窒素雰囲気下で行う必要がある。水素雰囲気下で行うと、カーボン炉の炉壁が劣化するので適用できないからである。
同時焼成は、1700〜1900℃の温度範囲で行う必要がある。1700℃未満では、窒化アルミニウムの熱伝導度が十分高まらず、一方、1900℃を超えると、メタライズ層の焼結が進みすぎてメタライズ層と下地のセラミックス層との密着性が低下して層間剥離のおそれがある。また、窒化アルミニウム成形体内のガラス成分が表面に溶出することもある。望ましい温度範囲は1800〜1850℃である。
同時焼成の時間には、特に制限はないが、2〜10時間の範囲で行うのがよい。2時間未満では窒化アルミニウムの熱伝導度が不十分となるおそれがあり、一方、10時間を超えても窒化アルミニウムの特性の向上は特に見られないからである。望ましいのは4〜8時間である。昇温速度および降温速度は、窒化アルミニウム成形体の特性や同時焼成の方法に応じて適宜選択すればよい。
図1は、本発明の製造方法における同時焼成工程を説明する模式図である。図1に示すように、同時焼成に際しては脱脂および脱炭を実施した窒化アルミニウム成形体1を、耐火性金属で構成されるセッター2上に載置して、これを酸化物系セラミックス焼結体の容器3に収容する必要がある。
これらにより、窒化アルミニウム焼結体またはメタライズ金属と反応する炭素ガス量を低減することができるので、窒化アルミニウム焼結体基板表面の色むら、反りを防止でき、しかもメタライズ層の電気抵抗の上昇も防止できる。その一方で、炭素ガスを完全には遮断しない構成としているので、微量に存在する炭素ガスが炉内の酸素ガスと反応して、メタライズ層の酸化劣化を防止する効果がある。また、生成した二酸化炭素は高温でも安定であるため酸素の再放出が起きないので、窒化アルミニウムの昇華が抑制され、窒化アルミニウム蒸気の堆積によるめっきの密着強度の低下も防止できる。
セッターは、耐火性金属からなるものを使用する。酸化物または酸化物を出発原料として作製されたセッター材では、酸素などの不純物が残存し、それが接する製品の窒化アルミニウム焼結体に混入し焼結を阻害したり、熱伝導度を低下させたりするおそれがあるからであり、窒化ホウ素材では、製品の窒化アルミニウム焼結体に固着して製品表面に変色、色むらを残すおそれがある。耐火性金属としては、モリブデンまたはタングステンが望ましく、特に、焼成条件での安定性の観点からモリブデンが最も望ましい。
セッターは、図2に示すように、底板4と枠板5との組み合わせによって形成される空間を有し、複数段重ね合わされた全体が櫓状のものであるのが望ましい。これは、内空間は密閉性を維持するが、枠同士の合わされた部分に僅かに隙間を生じさせるためである。
酸化物系セラミック焼結体の容器(匣鉢)としては、特に限定しないが、アルミナを主成分とするセラミックス焼結体の容器を用いることができる。特に、薄く、しかも緻密でガスを透過させず、耐熱性のあるアルミナ製坩堝を用いるのが最も望ましい。アルミナ坩堝を用いる場合には、板状のアルミナ製のベース(台座)を設け、その上に窒化アルミニウム成形体を載置したセッターを置き、アルミナ製坩堝を椀を伏せたような状態にしてセッター本体とその上部空間全体を覆うのがよい。
なお、焼結容器は、焼結時の均熱性および保温性を確保する効果を有すると共に、窒化アルミニウムおよびメタライズ層近傍における炭素ガス濃度を下げる効果を有するが、カーボン炉の炉壁から発生し、炉芯部方向に拡散する炭素ガスを完全に遮断しない程度の隙間を有しているものを使用する。これにより、多量の炭素ガスが窒化アルミニウムと反応して製品基板の色むらや反りを防止できる。また、多量の炭素ガスがメタライズ層の金属と反応し、炭化物を形成してメタライズ層の電気抵抗を高めるという問題を防止できる。更に、微量の炭素ガスは、酸素ガスと反応してメタライズ層の酸化し、めっき密着性の低下するという問題も防止できる。
なお、アルミナ製坩堝を用いることの効果を確認すべく、実施例の(1)〜(5)に示す方法で作製した窒化アルミニウム焼結体と、アルミナ製坩堝を用いないことを除き、(1)〜(5)と同じ方法で焼成した窒化アルミニウム焼結体とを比較した。図3(a)に示すように、アルミナ製坩堝を用いた例では、焼結品の歪み、反りなどは皆無であったが、アルミナ製坩堝を用いない例では、図3(b)に示すような反りが発生した。
上記の条件を満足する装置としては、例えば、カーボン炉と、カーボン炉内に設置されたアルミナ製坩堝と、アルミナ製坩堝内に設置されたモリブデンおよび/またはタングステンで構成されたセッターとを有する装置を使用することができる。
(1)グリーンシートの作製
窒化アルミニウム粉末に、焼結助剤としてのイットリア、結合材としてのPVB、キシレン、ブタノールおよびトルエンからなる有機溶剤、可塑剤(DOA)および分散剤(ホモゲノール)を添加して、ボールミルで混練してスラリー化した。このスラリーをドクターブレード法により製膜してグリーンシートを得た。
(2)ペーストの調整
タングステン粉末および上記のグリーンシートを仮焼、解砕した粉状物にメジウム(エチルセルロース、ブチルカルビトールアセテート:BCAなど)を添加しポットミルで混練してタングステン・ペーストを調製した。
(3)積層
上記のグリーンシートの表面にタングステン・ペーストをスクリーン印刷により塗布し、これを加熱圧着してグリーンシートの積層体した。
(4)脱脂および脱炭
上記の積層体を、モリブデン製のセッター上に載せ、これをモリブデン炉壁のメタル炉に収容した。炉内の雰囲気を実質的に窒素および水素からなる雰囲気とし、1350℃で5時間の熱処理を連続的に行った。
(5)焼成
脱脂および脱炭を実施した窒化アルミニウム成形体を、図2に示すような、モリブデン製即底板とモリブデン製枠板との組み合わせによって形成される空間を有するセッター上に載置し、セッター本体およびその上部空間全体を、カーボン炉内に設置したアルミナ製坩堝とアルミナ製ベースで覆った。カーボン炉内を窒素雰囲気とし、1820℃で5時間の焼成を行い、窒化アルミニウム焼結体を作製した。
(6)めっき
窒化アルミニウム焼結体のタングステン・メタライズ層に電解Ni-Coめっきを施した。
(7)評価
以上の方法により製造した窒化アルミニウム焼結体についての各種性能を調査した。
<熱伝導率>
レーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定したところ、180W/mKであり、特許文献1に開示された窒化アルミニウム焼結体よりも優れていた。
<めっき密着性>
電解Ni-Coめっきをメタライズ層上に形成することができた。さらに、800℃、窒素および水素雰囲気で加熱をしたが、めっき膨れその他の不具合は発生せず、Agろう付けも問題なく実施できた。
<表面性状>
窒化アルミニウム焼結体の表面にガラスシミは発生しなかった。
<電気抵抗>
タングステン・メタライズ層の電気抵抗を測定したところ、20μΩ・cm以下であり、半導体搭載基板として一般に用いられるアルミナ基板のタングステン・メタライズ層の抵抗値とほぼ同等であった。
本発明によれば、熱伝導率が高く、電気抵抗が低く、メタライズ層の密着性に優れ、めっき密着性がよく、しかも表面性状に優れる窒化アルミニウム焼結体を製造することができる。
本発明の製造方法における同時焼成工程を説明する模式図である。 本発明の製造方法におけるセッターの構成を示す模式図であり、(a)は側面方向から見た断面図、(b)はA−A断面図である。 窒化アルミニウム焼結体の側面を示す模式図であり、(a)は坩堝有りの場合を示し、(b)は坩堝なしの場合を示す。
符号の説明
1.窒化アルミニウム焼結体
2.セッター
3.焼結容器
4.モリブデン製底板
5.モリブデン製枠板

Claims (8)

  1. 窒化アルミニウム粉末に焼結助剤、結合剤および溶剤を添加したスラリーからグリーンシートを形成し、このグリーンシートの表面に高融点金属粉末ペーストを用いて配線パターンを形成し、配線パターンを形成した2枚以上のグリーンシートを積層し、脱脂、脱炭して窒化アルミニウム成形体を形成し、この窒化アルミニウム成形体を非酸化性雰囲気下で同時焼成してメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する方法であって、脱脂および脱炭は、1100〜1500℃の温度範囲で、かつ実質的に窒素および水素からなる雰囲気下で連続的に行い、同時焼成はカーボン炉を用い、脱炭後の窒化アルミニウム成形体を耐火性金属からなるセッター上に載置し、これらを酸化物系セラミックス焼結体の容器に収容し、1700〜1900℃の温度範囲で、かつ窒素雰囲気下で行うことを特徴とするメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  2. セッターが、底板と枠板との組み合わせによって形成される空間を有し、しかも底板および枠板がモリブデンおよび/またはタングステンで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  3. 酸化物系セラミックス焼結体の容器が、アルミナを主成分とする酸化物系セラミックス製坩堝であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  4. 高融点金属粉末ペーストが、タングステン、窒化アルミニウムおよび焼結助剤を原料として含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  5. カーボン炉と、カーボン炉内に設置されたアルミナ製坩堝と、アルミナ製坩堝内に設置されたモリブデンおよび/またはタングステンで構成されたセッターとを有することを特徴とするメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造装置。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれかの方法で製造したことを特徴とするメタライズ層を有する窒化アルミニウム焼結体。
  7. 請求項6に記載の窒化アルミニウム焼結体を用いたことを特徴とする電子部品搭載用多層配線基板。
  8. 請求項7に記載の電子部品搭載用多層基板に電子部品素子を搭載したことを特徴とする電子部品搭載モジュール。
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