JP2006218858A - インクジェットヘッド及びインクジェットヘッド製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びインクジェットヘッド製造方法 Download PDF

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】接着剤による間隙部の目詰まりを防止してインク滴の吐出不良の発生を防止する。
【解決手段】複数の溝6のそれぞれの間に隔壁6aを有するアクチュエータ部材1と、接着面7において隔壁6aの上面に接着剤8を用いて接着されたカバー部材2と、接着されたアクチュエータ部材1及びカバー部材2における複数の溝6の一端部側の面に接着されたノズルプレート9と、複数の溝6の長手方向の一部において複数の溝6を連通させる間隙部4と、を備え、また斜線に示す境界周辺部10に接着剤の濡れ性を向上させる表面処理を施す。
【選択図】図1

Description

この発明は、ノズル孔からインク滴を吐出するインクジェットヘッド及びこのインクジェットヘッドの製造方法に関する。
ノズル孔からインク滴を吐出するインクジェットヘッドは、複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する圧電材料で形成されたアクチュエータ部材、隔壁の上面に対向するように接着されたカバー部材、及び、複数のノズル孔を有するノズルプレート等から構成されている。
インクジェットヘッドは、各溝及びカバー部材等から構成されたインク室にインクを収容する。ノズルプレートは、複数のノズル孔のそれぞれが各インク室に対向するようにアクチュエータ部材及びカバー部材におけるインク室の一端側の面に接着されている。カバー部材は、複数のインク室に連通する共通インク室を有する。この共通インク室を介してインク室にインクが供給される。
インクジェットヘッドは、隔壁の両壁面に形成された金属電極に電圧を印加すると隔壁が変形し、この時のインク室の容積の変化に伴って発生した圧力波の変動を利用してノズル孔からインク滴を吐出させる。
ところが、上述のインクジェットヘッドでは、インクに付与された圧力波が隔壁に挟まれた領域と共通インク室との界面で反射し、減衰することなく再びノズル孔の位置する方向に向かって伝播してしまう。このため、画像形成速度を上げるために隔壁の駆動周波数を上げて単位時間当たりのインク滴の吐出回数を増加させると、インク室内における圧力波による残留振動によって後続のインク滴の吐出が不安定になってしまっていた。
そこで、この残留振動の発生を防止するために近年のインクジェットヘッドには、隔壁の上面とカバー部材との接着面上に深さ約30μm程度の間隙部を設けた構成がある(例えば、特許文献1参照。)。この間隙部は、共通インク室及びノズルプレートの間に位置し、複数の溝の長手方向の一部において複数の溝を連通させ、圧力波によって発生した振動を他のインク室に逃がすことで圧力波を減衰させる。
また、このインクジェットヘッドは、間隙部及び共通インク室が形成されたカバー部材の接着面に、剛性の高い金属ローラ等に転写された接着剤を均一な膜厚になるように塗布した後、複数の溝が形成されたアクチュエータ部材を貼り合わせて形成される。
この時に用いる接着剤は、塗布量が少ないとアクチュエータ部材とカバー部材とが剥がれてしまうが、逆に多すぎるとカバー部材への接着剤塗布時に間隙部に溢れ出し、またカバー部材とアクチュエータ部材とを貼り合わせた時に間隙部にはみ出し、毛管力により間隙部を目詰まりさせてしまう。そのため、インク吐出時に発生する圧力波を減衰させる効果が失われ、吐出不良を引き起こす可能性がある。また、インク室毎に間隙部の目詰まりする量がばらつき、各インク室における吐出電圧がばらついてしまう。
なお、従来より接着面に均一に接着剤を塗布する技術としては、凸形状を有する樹脂部材を用いて接着面に接着剤を塗布する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−136634公報 特開平10−100419公報
しかしながら、上述の特許文献1の構成では、接着剤の塗布を行う金属ローラをカバー部材の接着面に押し当てる荷重が不均一であり、またカバー部材の接着面内での濡れ性のばらつき等の原因から、全ての間隙部を目詰まりすることのないように接着剤の膜圧を均一にカバー部材の接着面に塗布することが困難である。
また、特許文献2に記載されている方法を用いても、粘度や表面張力の異なる様々な接着剤の全てに対して接着面に塗布する量を均一にすることは困難である。
しかも、接着する部材と部材との接着面の形状が異なる場合、一方の部材の接着面の全面に接着剤を塗布すると、接着面のうち他方の部材に当接しない部分(非接合部)にも接着剤を塗布することになるため、接着に寄与しない余剰の接着剤が発生し、間隙部が目詰まりしてしまう。
この発明の目的は、接着剤による間隙部の目詰まりを防止してインク滴の吐出不良の発生を防止することができ、また間隙部が目詰まりすることなく、且つ、アクチュエータ部材とカバー部材とが剥離しないように接着剤の塗布量と膜厚とを適切にコントロールして塗布することができるインクジェットヘッド及びこのインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を備えている。
(1)複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、
接着面において前記隔壁の上面に接着剤を用いて接着された第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、
前記複数の溝の長手方向の一部において上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を備え、
前記第2基板は、前記接着面における前記間隙部の前記ノズルプレート側の端部に位置する部分に、濡れ性を向上させる表面処理を施したことを特徴とする。
この構成においては、複数の溝を有する第1基板の隔壁の上面に第2基板の接着面が接着剤によって接着され、間隙部が第1基板及び第2基板の内部に形成されている。また、第2基板の接着面における間隙部のノズルプレート側の端部に位置する部分が、間隙部を含めた他の部分よりも濡れ性が高くなるように表面処理が施され、接着剤が定着し易くなっている。
したがって、第1基板の隔壁の上面と第2基板の接着面とが接着される際、接着剤が溢れて間隙部に流れ込みそうな時に第2基板の接着面における間隙部のノズルプレート側の端部に位置する部分に定着し、間隙部に流れ込むことが抑制される。
(2)複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、
接着面において前記隔壁の上面に接着剤を用いて接着された第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、
前記複数の溝の長手方向の一部において上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を備え、
前記第1基板は、前記隔壁の上面における前記間隙部の前記ノズルプレート側の端部に位置する部分に、濡れ性を向上させる表面処理を施したことを特徴とする。
この構成においては、複数の溝を有する第1基板の隔壁の上面に第2基板の接着面が接着剤によって接着され、間隙部が第1基板及び第2基板の内部に形成されている。また、隔壁の上面における間隙部のノズルプレート側の端部に位置する部分が、間隙部を含めた他の部分よりも濡れ性が高くなるように表面処理が施され、接着剤が定着し易くなっている。
したがって、第1基板の隔壁の上面と第2基板の接着面とが接着される際、接着剤が溢れて間隙部に流れ込みそうな時に隔壁の上面における間隙部のノズルプレート側の端部に位置する部分に定着し、間隙部に流れ込むことが抑制される。
(3)複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、
接着面において前記隔壁の上面に接着剤を用いて接着された第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、
前記複数の溝の長手方向の一部において上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を備え、
前記間隙部における前記第2基板側の面又は前記隔壁側の面の少なくとも一方に、濡れ性を低減させる表面処理を施したことを特徴とする。
この構成においては、複数の溝を有する第1基板の隔壁の上面に第2基板の接着面が接着剤によって接着され、間隙部が第1基板及び第2基板の内部に形成されている。また、間隙部における第2基板側の面又は隔壁側の面の少なくとも一方が、他の部分よりも濡れ性が低くなるように表面処理が施され、接着剤が定着し難くなっている。
したがって、第2基板側の面と隔壁側の面とが接着される際、接着剤が溢れて間隙部に流れ込みそうな時に隔壁の上面及び第2基板の接着面における間隙部よりも定着し易い部分に接着剤が定着し、間隙部に流れ込むことが抑制される。
(4)複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、
下面において前記第1基板の上面に接着剤を用いて接着された第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、
前記複数の溝の長手方向の一部において上下方向について前記第2基板の下面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を備え、
前記第1基板と前記第2基板との接合部における前記第1基板の上面又は前記第2基板下面の少なくとも一方に、濡れ性を向上させる表面処理を施したことを特徴とする。
この構成においては、複数の溝を有する第1基板の上面に第2基板の下面が接着剤によって接着され、間隙部が第1基板及び第2基板の内部に形成されている。また、表面処理によって、第1基板と第2基板とが接着される部分(接合部)における第1基板の上面又は第2基板の下面の少なくとも一方について接着剤に対する濡れ性が向上している。そのため、第1基板の上面又は第2基板の下面における接着剤が塗布された面(接着剤塗布面)のうち接合部以外の部分(非接合部)に塗布された接着剤が接合部に移動し、定着する。
したがって、第1基板の上面と第2基板の下面とが接着される際、接合部にのみ接着剤が存在することから、接着に寄与しない余剰の接着剤が毛細管力により間隙部に流れ込むことが抑制される。
(5)複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、
下面において前記第1基板の上面に接着剤を用いて接着された第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、
前記複数の溝の長手方向の一部において上下方向について前記第2基板の下面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を備え、
前記第1基板と前記第2基板との接合部を除く部分における前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面の少なくとも一方に、濡れ性を低減させる表面処理を施したことを特徴とする。
この構成においては、複数の溝を有する第1基板の上面に第2基板の下面が接着剤によって接着され、間隙部が第1基板及び第2基板の内部に形成されている。また、表面処理によって、第1基板と第2基板とが接着される部分(接合部)を除く非接合部における第1基板の上面又は第2基板の下面の少なくとも一方について接着剤に対する濡れ性が低減している。そのため、第1基板の上面又は第2基板の下面における接着剤が塗布された面(接着剤塗布面)のうち非接合部に塗布された接着剤が接合部に移動し、定着する。
したがって、第1基板の上面と第2基板の下面とが接着される際、接合部にのみ接着剤が存在することから、接着に寄与しない余剰の接着剤が毛細管力により間隙部に流れ込むことが抑制される。
(6)前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面のいずれか一方における接着剤を塗布する接着剤塗布面の面積をS1 、前記接合部の面積をS2 、第1基板及び第2基板を接着する直前の前記接着剤塗布面の接着剤の層厚をT、前記間隙部の幅をW、前記間隙部の深さをH、前記間隙部の長さをL、前記間隙部の個数をnとしたときの関係式が、
2 ≦S1 −0.05nHWL/T
となることを特徴とする。
この構成においては、上記関係式を満たす構成の第1基板及び第2基板が接着剤によって接着される。上記関係式は、接着剤塗布面の面積S1 から、接着剤塗布面における接着剤が間隙部に入り込んでも影響をほぼ無視できる量が占める面積(0.05nHWL/T)を引いた面積が、接合部の面積以上であることを示している。つまり、上記関係式を満たす場合は、インクの吐出特性に影響を与える量の余分の接着剤が発生し易い。
そのため、濡れ性を向上または低減させる表面処理を施さなければ、非接合部の余剰の接着剤が間隙部に入り込んでしまうが、表面処理を施すことにより接合部にのみ接着剤が存在することから、接着に寄与しない余剰の接着剤が毛細管力により間隙部に流れ込むことが抑制される。
つまり、上記関係式を満たす第1基板及び第2基板を接着する際には、余剰の接着剤が特に多く発生するので、濡れ性を向上または低減する表面処理が施されることで、より効果的に間隙部に流れ込むことが抑制される。
(7)前記表面処理を施した前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面のいずれか一方における接触角の異なる2以上の領域の最も大きい接触角と最も小さい接触角との差が60°以上であることを特徴とする。
この構成においては、表面処理によって、濡れ性が向上もしくは低減した第1基板の上面又は第2基板の下面に接触角が異なる2以上の領域が形成される。また、この2以上の領域の最も大きい接触角と最も小さい接触角との差が60°以上で形成されている。接着剤に対する濡れ性の差が大きいほど、接着剤が濡れ性の低い領域から濡れ性の高い領域に移動しやすくなり、接触角の差が60°以上であると濡れ性の異なる領域の境界が明瞭になり、非接合部に接着剤が定着することが防止される。
(8)複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、接着面において前記隔壁の上面に接着された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、前記複数の溝の長手方向の一部における上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記接着面における前記間隙部の前記ノズルプレート側の端部に位置する部分に、濡れ性を向上させる表面処理を施す表面処理工程と、
前記接着面と前記隔壁の上面とを接着剤を用いて接着する接着工程と、を含むことを特徴とする。
この構成においては、表面処理工程によって、第2基板の接着面における間隙部のノズルプレート側の端部に位置する部分が、間隙部を含めた他の部分よりも濡れ性が高くなるように表面処理が施され、接着剤が定着し易くなっている。
したがって、第1基板の隔壁の上面と第2基板の接着面とが接着される際、接着剤が溢れて間隙部に流れ込みそうな時に第2基板の接着面における間隙部のノズルプレート側の端部に位置する部分に定着し、間隙部に流れ込むことが抑制される。
(9)複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、接着面において前記隔壁の上面に接着された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、前記複数の溝の長手方向の一部における上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記隔壁の上面における前記間隙部の前記ノズルプレート側の端部に位置する部分に、濡れ性を向上させる表面処理を施す表面処理工程と、
前記接着面と前記隔壁の上面とを接着剤を用いて接着する接着工程と、を含むことを特徴とする。
この構成においては、表面処理工程によって、第1基板の隔壁の上面における間隙部のノズルプレート側の端部に位置する部分が、間隙部を含めた他の部分よりも濡れ性が高くなるように表面処理が施され、接着剤が定着し易くなっている。
したがって、第1基板の隔壁の上面と第2基板の接着面とが接着される際、接着剤が溢れて間隙部に流れ込みそうな時に隔壁の上面における間隙部のノズルプレート側の端部に位置する部分に定着し、間隙部に流れ込むことが抑制される。
(10)複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、接着面において前記隔壁の上面に接着された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、前記複数の溝の長手方向の一部における上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記間隙部における前記第2基板側の面又は前記隔壁側の面の少なくとも一方に、濡れ性を低減させる表面処理を施す表面処理工程と、
前記接着面と前記隔壁の上面とを接着剤を用いて接着する接着工程と、を含むことを特徴とする。
この構成においては、表面処理工程によって、間隙部における第2基板側の面又は第1基板側の面の少なくとも一方が、他の部分よりも濡れ性が低くなるように表面処理が施され、接着剤が定着し難くなっている。
したがって、第2基板側の面と第1基板側の面とが接着される際、接着剤が溢れて間隙部に流れ込みそうな時に隔壁の上面及び第2基板の接着面における間隙部よりも定着し易い部分に接着剤が定着し、間隙部に流れ込むことが抑制される。
(11)複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、下面において前記第1基板の上面に接着された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、前記複数の溝の長手方向の一部における上下方向について前記第2基板の下面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第1基板と前記第2基板との接合部における前記第1基板の上面又は前記第2基板下面の少なくとも一方に、濡れ性を向上させる表面処理を施す表面処理工程と、
前記第2基板の下面と前記第1基板の上面とを接着剤を用いて接着する接着工程と、を含むことを特徴とする。
この構成においては、表面処理工程によって、第1基板と第2基板とが接着される部分(接合部)における第1基板の上面又は第2基板の下面の少なくとも一方について接着剤に対する濡れ性が向上している。そのため、第1基板の上面又は第2基板の下面における接着剤が塗布された面(接着剤塗布面)のうち接合部以外の部分(非接合部)に塗布された接着剤が接合部に移動し、定着する。
したがって、第1基板の上面と第2基板の下面とが接着される際、接合部にのみ接着剤が存在することから、接着に寄与しない余剰の接着剤が毛細管力により間隙部に流れ込むことが抑制される。
(12)複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、下面において前記第1基板の上面に接着された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、前記複数の溝の長手方向の一部における上下方向について前記第2基板の下面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記第1基板と前記第2基板との接合部を除く部分における前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面の少なくとも一方に、濡れ性を低減させる表面処理を施す表面処理工程と、
前記第2基板の下面と前記第1基板の上面とを接着剤を用いて接着する接着工程と、を含むことを特徴とする。
この構成においては、表面処理工程によって、第1基板と第2基板とが接着される部分(接合部)を除く非接合部における第1基板の上面又は第2基板の下面の少なくとも一方について接着剤に対する濡れ性が低減している。そのため、第1基板の上面又は第2基板の下面における接着剤が塗布された面(接着剤塗布面)のうち非接合部に塗布された接着剤が接合部に移動し、定着する。
したがって、第1基板の上面と第2基板の下面とが接着される際、接合部にのみ接着剤が存在することから、接着に寄与しない余剰の接着剤が毛細管力により間隙部に流れ込むことが抑制される。
(13)前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面のいずれか一方における接着剤を塗布する接着剤塗布面の面積をS1 、前記接合部の面積をS2 、前記第1基板と前記第2基板とを接着した後の接着剤の層厚をT1 、塗布時の前記接着剤塗布面の接着剤の層厚をT2 、前記間隙部の幅をW、前記間隙部の深さをH、前記間隙部の長さをL、前記間隙部の個数をnとしたときの関係式が、
(S21+0.05nHWL)/S1 ≧T2 ≧S21 /S1
となるように前記接着工程において接着剤を塗布することを特徴とする。
この構成においては、接合部もしくは非接合部に、接着剤に対する濡れ性を変化させる表面処理を行うことにより、接着剤塗布面に塗布した接着剤うち非接合部に塗布された接着剤は接合部に移動する。つまり、接合部の接着層の厚さは、塗布した時の接着剤の厚さよりも厚くなる。
塗布する接着剤の量が少ない場合には、十分な接着強度が得られずに接着不良となり、反対に塗布する接着剤の量が多すぎる場合には、貼り合わせの際に接着層が押しつぶされて、非接合部に接着剤が回り込み、余剰の接着剤が発生し、毛細管力により間隙部等への入り込みが発生する虞がある。そこで、上記関係式を満たす厚さT2 の接着剤を塗布することにより、十分な接着強度が得られ、且つ余剰の接着剤の発生を抑制することができる。
つまり上記関係式は、塗布時の接着剤の層厚T2 が、接着に必要最低限な接着剤の量以上、且つ、インクジェットヘッドの吐出特性への影響を無視できる量の余剰の接着剤を含んだ接着剤の最大量以下となるように規定している。
したがって、上記関係式を満たす層厚T2 で接着剤が塗布されるので、接着強度が得られ、また余剰の接着剤の発生が抑制される。
(14)前記表面処理工程は、前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面いずれか一方における最も大きい接触角と最も小さい接触角との差が少なくとも60°以上となるように接触角の異なる2以上の領域を形成する工程であることを特徴とする。
この構成においては、表面処理工程によって、濡れ性が向上もしくは低減した第1基板の上面又は第2基板の下面に接触角が異なる2以上の領域が形成される。また、この2以上の領域の最も大きい接触角と最も小さい接触角との差が60°以上で形成されている。接着剤に対する濡れ性の差が大きいほど、接着剤が濡れ性の低い領域から濡れ性の高い領域に移動しやすくなり、接触角の差を60°以上であると濡れ性の異なる領域の境界が明瞭になり、非接合部に接着剤が定着することが防止される。
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)第2基板の接着面における間隙部のノズルプレート側の端部に位置する部分を間隙部よりも接着剤を定着し易くすることによって、第1基板の隔壁の上面と第2基板の接着面とを接着する際に接着剤が間隙部に流れ込むことを抑制できるので、間隙部の目詰まりを防止し、インク滴の吐出不良を防止することができる。
(2)第1基板の隔壁の上面における間隙部のノズルプレート側の端部に位置する部分を間隙部よりも接着剤を定着し易くすることによって、第1基板の隔壁の上面と第2基板の接着面とが接着される際に接着剤が間隙部に流れ込むことを抑制できるので、間隙部の目詰まりを防止し、インク滴の吐出不良を防止することができる。
(3)間隙部における第2基板側の面又は隔壁側の面の少なくとも一方を接着剤を定着し難くすることによって、第1基板の隔壁の上面と第2基板の接着面とが接着される際に接着剤が間隙部に流れ込むことを抑制できるので、間隙部の目詰まりを防止し、インク滴の吐出不良を防止することができる。
(4)第1基板と第2基板との接合部における第1基板の上面又は第2基板下面の少なくとも一方に濡れ性を向上させる、又は、第1基板と第2基板との非接合部における第1基板の上面又は第2基板下面の少なくとも一方に濡れ性を低減させる表面処理を施すことによって、接合部にのみ接着剤を定着させることができるので、接着に寄与しない余剰の接着剤が間隙部に流れ込むことを抑制できる。これにより、間隙部の目詰まりを防止し、インク滴の吐出不良を防止することができる。
(5)関係式S2 ≦S1 −0.05nHWL/Tを満たす第1基板及び第2基板を用いることによって、接着に寄与しない余剰の接着剤が間隙部に流れ込むことをより効果的に抑制できる。
(6)第1基板の上面又は第2基板の下面のいずれか一方における接触角の異なる2以上の領域の最も大きい接触角と最も小さい接触角との差を60°以上とすることによって、異なる接触角の領域の境界を明瞭にすることができ、非接合部に接着剤が留まることを効果的に抑制することができる。
(7)関係式(S21+0.05nHWL)/S1 ≧T2 ≧S21 /S1を満たす層厚T2 で接着剤を塗布して第1基板の上面及び第2基板の下面を接着することによって、十分接着強度が得られ、且つ必要最低限の量の接着剤を塗布することにより余剰の接着剤の発生を抑制することができるので、接着に寄与しない余剰の接着剤が間隙部に流れ込むことを抑制できる。これにより、間隙部の目詰まりを防止し、インク滴の吐出不良を防止することができる。
以下、この発明の最良の実施形態に係るインクジェットヘッドを図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの一部を示す分解図であり、図2は側面断面図である。インクジェットヘッド100は、液晶用カラーフィルタ基板等の製造を行うのに用いられ、アクチュエータ部材1、カバー部材2及びノズルプレート9等から構成されている。
この発明の第1基板であるアクチュエータ部材1は、圧電材料で形成され、複数の溝6等を備えている。複数の溝6は、それぞれの間に隔壁6aを有し、インクを収容する。隔壁6aは、両壁面にアルミニウム等の金属材料で形成された金属電極6bが薄く形成されている。隔壁6aは、図2に示すように壁面方向における溝6の長手方向である矢印Y方向に直交する方向の略中央で分極方向が相反するように分極処理が施され、金属電極6bに電圧を印加すると剪断変形する。
カバー部材2は、間隙部4及び共通インク室5等から構成され、この間隙部4及び共通インク室5が隔壁6aの上面に対向する面である接着面7においてアクチュエータ部材1に接着されている。間隙部4は、共通インク室5よりもノズルプレート9が接着される前面側に位置し、矢印Y方向の一部において複数の溝6を連通させる。また、間隙部4は、隔壁6aを剪断変形させる際に発生する圧力波を減衰させる。共通インク室5は、矢印Y方向の一部において複数の溝6を連通させ、矢印Y方向に直交する方向である矢印Z方向の両端に接続された図示しないマニホールドから供給されるインクを溜め、各溝6に供給する。
なお、カバー部材2は、アクチュエータ部材1に接着された時に熱膨張により接着部分が剥離しないようアクチュエータ部材1と線膨張係数が同じ圧電材料を用いるのが望ましい。この複数の溝6及びカバー部材2等に囲まれた箇所がインク室となる。
複数の溝6のそれぞれには、図2に示すように背面側の端部に導電性部材6cが備えられている。導電性部材6cは、溝6の背面側の端部をインクが漏れないよう塞いでいる。また、導電性部材6cは、金属電極6b及び基板20を電気的に接続する。基板20は、金属電極6bに電圧を印加する。
ノズルプレート9は、エキシマレーザによって加工された複数のノズル孔9aを有し、アクチュエータ部材1及びカバー部材2の前面に接着されている。各ノズル孔9aは、複数の溝6のそれぞれに連通し、インク滴を外部に吐出する。
インクジェットヘッド100からインクを吐出するには、基板20から導電性部材6cを介して金属電極6bに電圧を印加する。この電圧によって隔壁6aが剪断変形する。この剪断変形によって、インク室内の容積が減少するとともに圧力波がインクに付与される。そのため、インクはノズル孔9aに向かって押し出され、外部にインク滴が吐出される。
また、発生した圧力波は、反射等によって間隙部4を通過するが、間隙部4を介して連通する他の溝6に収容されているインクに伝播・分散して減衰していく。したがって、圧力波は、次のインク滴の吐出時まで残留しない。
インクジェットヘッド100の製造手順は、まずカバー部材2にダイシングブレードを複数回一定方向に走査して深さ約30μmの間隙部4と、深さ約1mmの共通インク室5とをそれぞれ形成する。次に、平坦性を向上させるためにカバー部材2の接着面7を平面研削する。
その後、ダイシングブレードを用いてアクチュエータ部材1に所定の間隔で複数の溝6を形成する。次に、アクチュエータ部材1に銅等の金属をスパッタリングにより成膜することで隔壁6aの壁面に金属電極6bを形成し、壁面方向における矢印Y方向に直交する方向の略中央で分極方向が相反するように分極処理を行う。
その後、平坦性を向上させるために、アクチュエータ部材1の隔壁6aの上面を平面研削する工程を実施する。次に、ディスペンサ等を用いて導電性部材6cを複数の溝6に充填する。
その後、図1及び図3示すように、カバー部材2の接着面7における斜線部に示された境界周辺部10に接着剤8の濡れ性が高くなるように表面処理する表面処理工程を実施する。具体的には、カバー部材2の全面に感光性レジスト材料をスピンコート法により塗布した後、カバー部材2の表面を露光によりパターニングして境界周辺部10の不要な感光性レジスト材料を除去して界面活性剤等を塗布する。これによって、境界周辺部10の接着剤の濡れ性を他の領域よりも高めることができる。したがって、アクチュエータ部材1とカバー部材2とを貼り合せた時に生じた余剰の接着剤8が、表面処理を行った境界周辺部10に選択的に濡れ広がって定着していくため間隙部4への接着剤の侵入を抑制することができる。
その後、カバー部材2をアクチュエータ部材1に接着する接着工程を実施する。具体的には、図2及び図3に示すように、間隙部4及び共通インク室5が形成されたカバー部材2の接着面7における間隙部4及び共通インク室5以外の領域に、剛性の高い金属ローラ等に転写された接着剤8を約4μmの膜厚になるよう塗布した後、アクチュエータ部材1に貼り合わせ、35℃の温度下で48時間放置して接着する。カバー部材2への接着剤8の塗布方法としては、金属ローラで接着剤を塗り広がらせる塗布方法も可能であるが、正確な膜厚で塗布することができるバーコータ方式が望ましい。
その後、ノズルプレート9のアクチュエータ部材1及びカバー部材2への接着や基板20の接着、マニホールドのカバー部材2への接着等を公知の手法を用いて実施する。
最後に、インク室内部にインクの濡れ性の良い薄膜を形成する薄膜形成工程を実施する。具体的には、真空チャンバー内にインクジェットヘッド100と有機分子であるパリレン(パラテック社製)とを蒸着ボートに置き、その後蒸着ボートを加熱することで有機分子を蒸発させインクジェットヘッド100のインク室内壁に成膜する。
これによって、薄膜を形成することによりインク室内全面を均一な濡れ性にできるので、境界周辺部10との濡れ性の違いによりインクを充填したときに混入した気泡がノズル孔9aから排出されず局所的にインク室内に溜まってしまうことを防止できる。
以上のように、この発明のインクジェットヘッド100を構成するカバー部材2の境界周辺部10を、間隙部4に比べて接着剤8を定着させ易くすることによって、隔壁6aの上面とカバー部材2の接着面7とを接着する際に接着剤8が間隙部4に流れ込むことを抑制できるので、間隙部4の目詰まりを防止し、インク滴の吐出不良を防止することができる。
なお、本実施形態では、境界周辺部10に表面処理を施しているが、図4に示すように少なくともカバー部材2の接着面7における間隙部4のノズルプレート9側の端部に位置する部分だけであっても上述と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、カバー部材2の境界周辺部10の表面処理工程において界面活性剤等の塗布を挙げているが、界面活性剤等を塗布する前に境界周辺部10表面を酸素プラズマ処理することが望ましい。これによって、境界周辺部10表面の汚染物が取り除かれる等のクリーンニングが行われるため、界面活性剤等が均一に濡れ広がり、より界面活性剤等による表面処理の効果を期待できる。
さらに、本実施形態では、カバー部材2の境界周辺部10に接着剤8の濡れ性を向上させる表面処理を行ったが、特にこれに限定されるものではなく、境界周辺部10に対向するアクチュエータ部材1の隔壁6bの上面に表面処理を行ってもよく、少なくともどちらか一方が実施されていれば上述と同様の効果をえることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と略同様の構成であるが、表面処理工程において境界周辺部10ではなく、図5の斜線部に示すようにカバー部材2の接着面7における間隙部4及び共通インク室5以外の接着剤8を塗布する箇所全体に表面処理を施している。
したがって、接着剤8を塗布する箇所は間隙部4よりも接着剤8の濡れ性が高くなり、上述と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、カバー部材2の接着面7に接着剤8の濡れ性を向上させる表面処理を行ったが、特にこれに限定されるものではなく、カバー部材2の接着面に対向するアクチュエータ部材1の隔壁6bの上面に表面処理を行ってもよく、少なくともどちらか一方が実施されていれば上述と同様の効果をえることができる。
(第3実施形態)
本実施形態は、第1実施形態と略同様の構成であるが、境界周辺部10に接着剤8の濡れ性を向上させる表面処理工程を実施せず、図6の斜線部に示すように間隙部4を構成するカバー部材2の接着面7の一部に、間隙部4を構成しないカバー部材2の接着面7よりも接着剤8の濡れ性が低くなるように表面処理を行う表面処理工程を実施する。
具体的には、カバー部材2の全面に感光性レジスト材料をスピンコート法により塗布した後、カバー部材2の表面を露光によりパターニングして間隙部4を構成する接着面7の一部の不要な感光性レジスト材料を除去し、表面にフッ素原子やフッ素系樹脂を含んだコーティング剤等で撥水性をもった膜を形成する。これによって、間隙部4に余剰の接着剤8が侵入しても接着剤8に対する撥水性によって接着剤8をはじくことができ、間隙部4の目詰まりを防止することができる。
なお、本実施形態では、間隙部4を構成するカバー部材2の接着面7の一部に接着剤8の濡れ性を低減する表面処理工程を実施しているが、間隙部4を構成する隔壁6aの上面の一部に実施してもよく、少なくともどちらか一方に実施されていれば上述と同様の効果を得ることができる。
(第4実施形態)
本実施形態は、第1実施形態と略同様の構成であるが、図7及び図8に示すように間隙部44がアクチュエータ部材1に形成されている。また、図8に示すようにアクチュエータ部材1の境界周辺部11に対して表面処理工程を実施する。
本実施形態に係るインクジェットヘッド100の製造は、まずカバー部材2をダイシングブレードで研削することにより共通インク室5を形成し、第1実施形態と同様に平坦性を向上させためにカバー部材2の接着面7を平面研削する。
その後、第1実施形態と同様に、アクチュエータ部材1にダイシングブレードを用いて複数の溝6を形成し、アクチュエータ部材1に銅等の金属をスパッタリングにより成膜することで隔壁6aの壁面に金属電極6bを形成する。次に、第1実施形態と同様に面方向における溝6の長手方向である矢印Y方向に直交する方向の略中央で分極方向が相反するように分極処理を行う。
その後、第1実施形態と同様に、アクチュエータ部材1の隔壁6aの上面を平面研削し、ディスペンサ等を用いて導電性部材6cを複数の溝6に充填する。次に、図9に示すようにダイシングブレード50を用いて間隙部44を形成する。
その後、アクチュエータ部材1の隔壁6bの上面における間隙部44に隣接する境界周辺部11に接着剤8の濡れ性を向上させるように表面処理する表面処理工程を実施する。具体的には、アクチュエータ部材1の全面に感光性レジスト材料をスピンコート法により塗布した後、アクチュエータ部材1の表面を露光によりパターニングして境界周辺部11の不要な感光性レジスト材料を除去し、次に界面活性剤等を塗布する。
その後、第1実施形態と同様にノズルプレート9のアクチュエータ部材1及びカバー部材2への接着や基板20の接着、マニホールドのカバー部材2への接着等を公知の手法を用いて実施する。最後に第1実施形態と同様に、カバー部材2をアクチュエータ部材1に接着する接着工程を実施し、インク室内部にインクの濡れ性の良い薄膜を形成する。
これによって、上述と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、アクチュエータ部材1の境界周辺部11に接着剤8の濡れ性を向上させる表面処理を行ったが、特にこれに限定されるものではなく、境界周辺部11に対向するカバー部材2の接着面7の一部に表面処理を行ってもよく、少なくともどちらか一方が実施されていれば上述と同様の効果をえることができる。
また、これらの実施形態では、液晶用カラーフィルタ基板等の製造に用いるインクジェットヘッドについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、インクジェットプリンタに用いられるインクジェットヘッドに適用しても同様の効果を得ることができる。
(第5実施形態)
本実施形態は、第1実施形態と略同様の構成であるが、アクチュエータ部材1とカバー部材2との接合部を除く部分(非接合部)におけるカバー部材2の接着面7に接着剤の濡れ性が低減する第3実施形態と同様な表面を処理を行う。また、本実施形態では、図10(A)に示すような1枚に複数のアクチュエータ部材1を形成したウェハ100、図10(B)に示すような1枚に複数のカバー部材2を形成したウェハ110を用いる。
接着面7は、図11(A)の斜線部に示すようにカバー部材2のウェハ110の下面であり、アクチュエータ部材1のウェハ100の上面に張り合わせる面である。また、貼り合わせを行うために接着剤8を塗布する面(接着剤塗布面)でもある。
接合部12は、図11(B)の斜線部に示すように、アクチュエータ部材1のウェハ100とカバー部材2のウェハ110とを接着する際に、実際にウェハ100とウェハ110とが接着剤8を介して接着される部分である。また、接着面7において接合部12に該当せず接着剤8を介して接着されない部分が非接合部13(図11(B)に示す空白部)である。
本実施形態では、同一の構造のカバー部材2のウェハ110を6個用意して実験を行った。本実施形態では、ウェハ110A,110B,110C,110D,110E,110Fと表記する。
本実施形態のウェハ110A〜110Fは、接着面7の面積が1500mm2 、各間隙部4の幅が12mm、各間隙部4の深さが30μm、各間隙部4の長さが1mmである。なお、本実施形態のウェハ110A〜110Fには、40のカバー部材2が形成され、40の間隙部4が形成されているものを用いた。また、本実施形態では、実験に用いるアクチュエータ部材1として、溝6の幅が異なる3種類のアクチュエータ部材1のウェハ100をそれぞれ2個ずつ、計6個用意した。本実施形態では、ウェハ100A,100B,100Cと表記する。
このウェハ100A〜100C,100A〜100Cとウェハ110A〜110Fとを接着することにより、図12に示すようにウェハ100A〜100C,100A〜100C及びウェハ110A〜110Fのそれぞれの接合部12の面積を500mm2 、700mm2 、1200mm2 とすることができる。これは、接合部12は、アクチュエータ部材1のウェハ100の上面とカバー部材2のウェハ110の接着面7との形状が異なる場合には、接着面7の面積と異なってくるからである。
まず、カバー部材2のウェハ110A〜110Cについて、非接合部13に接着剤8の濡れ性が低減する第3実施形態と同様な表面処理を施した後、接着面7に接着剤8を層厚1.5μmとなるように塗布した。この時、濡れ性を低減させる材料として旭硝子社製のサイトップを用いた。表面処理を施した非接合部13の接着剤に対する接触角は85°であり、表面処理を施していない接合部12の接着剤8に対する接触角は14°であった。
次に、このウェハ110A〜110Cの接着面7に接着剤8を塗布すると、非接合部13に塗布された接着剤8は濡れ性の違いから接合部12へ移動し、接合部12にのみ定着した。ウェハ110A〜110Cのそれぞれの非接合部13に塗布された接着剤8が、全て接合部12に移動するまでに要する時間はおよそ3分であった。この時の接合部12における接着剤8の層厚は、図12に示すように4.5μm、3.2μm、2.0μmであった。なお、本実施形態におけるアクチュエータ部材1及びカバー部材2の十分な接着強度が得られる接着剤8の層厚は2.0μm以上である。
一方、残る3個のカバー部材2のウェハ110D〜110Fについては、上述の表面処理を一切施さず、接着面7に接着剤8を層厚が2μmとなるように塗布した。全てのウェハ110A〜110Fへの接着剤塗布方法はスピンコート法を用いた。
塗布した接着剤8が移動した後、アクチュエータ部材1のウェハ100A〜100C,100A〜100C及びカバー部材2のウェハ110A〜110Fのそれぞれを接着させた。接着方法、条件は第1実施形態と同様である。完全に接着剤8が硬化した後に、ウェハ100A〜100C,100A〜100Cとウェハ110A〜110Fとを引き剥がし、接着剤8の間隙部4への入り込みを確認したところ図12に示す結果となった。
なお、本実施形態では、実験のためウェハ100A〜100C,100A〜100Cとウェハ110A〜110Fとを引き剥がしたが、本来は接着させた後に切断によって単一の接着状態のアクチュエータ部材1及びカバー部材2を形成する切断処理を行う。
引き剥がした状態を確認したところ、表面処理を施していないウェハ110D〜110Fには間隙部4の全てに接着剤8が流入していた。これに対し、表面処理を施したカバー部材A〜Cには間隙部4の全てに接着剤8は流入していなかった。つまり、非接合部13の接着剤8に対する濡れ性を低減させる表面処理を施すことにより、接着に寄与しない余剰の接着剤の発生を抑制し、間隙部4に接着剤8が流入を防ぐことができることを確認した。
また、接合部12の面積と接着面7の面積との差が大きいほど、非接合部13に存在する余剰の接着剤8が多いため、接合部12もしくは非接合部13に上述の表面処理を施して接合部12に接着剤8を保持させる構成が、間隙部4への接着剤の流入を抑制するためにより効果的である。しかも、間隙部4に接着剤8が流入して、インク室の長さを変動させることによりヘッド特性のばらつきを顕著に引き起こすのは、接着剤8の間隙部4への入り込みが、少なくとも間隙部4の長さの5%以上である場合が経験上明らかである。
したがって、接合部12もしくは非接合部13に接着剤8に対する濡れ性を変化させる表面処理を施すことにより、接合部12に接着剤を定着させ、ばらつきの小さい吐出特性を有するインクジェットヘッドを製造するためには、下記の関係式(1)を満たす構成にすると効果的であることが分かった。

2 ≦S1 −0.05nHWL/T ・・・・・(1)
(S1 :接着剤塗布面の面積、S2 :接合部の面積、T:アクチュエータ部材1及びカバー部材2を接着する直前の接着剤塗布面の接着剤8の層厚、W:間隙部4の幅、H:間隙部4の深さ、L:間隙部4の長さ、n:間隙部4の個数)
なお、間隙部4の個数nは、ウェハ110において形成される複数のカバー部材2のそれぞれに形成される間隙部4の総数を示す。本実施形態ではn=40となる。nの個数は1以上であればよい。また、本実施形態ではTを2μmとした。本実施形態において十分な接着に必要な最低限の接着剤の厚さを示すためこれを用いた。
関係式(1)を満たす場合は、インクの吐出に影響を与える量の余分の接着剤8が非接合部13に発生していることになる。そのため、濡れ性を低減させる表面処理を施さなければ、間隙部4に接着剤8が入り込むことによりインクジェットヘッドの吐出特性を低下させる虞があるが、表面処理を施すことにより接合部12にのみ接着剤8が存在する。つまり、接着に寄与しない余剰の接着剤8が毛細管力により間隙部4に流れ込むことが抑制される。
本実施形態の構成を関係式(1)に当てはめると、S2 ≦1140mm2 となる。したがって、ウェハ110C,110Fの接合部12の面積が1200mm2 の場合には関係式(1)式を満たしていない。この結果は表面処理を施さない場合でも、間隙部4への接着剤8の入り込み量は、間隙部4の長さの5%以内であり、インクジェットヘッドの吐出特性に及ぼす影響は無視できる。つまり表面処理の効果が小さかった結果と一致する。
一方、接合部12の面積が500mm2 、700mm2 となる場合は、関係式(1)を満たす。したがって、図12に示すように表面処理を施さない場合には間隙部4への接着剤8の入り込み量が間隙部4の長さの11〜14%であるのに対し、表面処理を施した場合には一切入り込みがなく、大きな効果が得られた結果と一致する。
つまり、関係式(1)を満たすような、接着面7と接合部12の面積の差が大きく、非接合部に余剰の接着剤が大量に存在する構成においては、接着面7に表面処理を施すことにより接合部12にのみ接着剤8を保持することが、間隙部4への接着剤8の流入を抑制するために非常に効果的であることが分かった。
なお、本実施形態では、複数のアクチュエータ部材1及びカバー部材2を有するウェハ100、110を用いたが、単一のアクチュエータ部材1及びカバー部材2を用いてもよい。
また、本実施形態では、カバー部材2の接着面7の非接合部13に接着剤8の濡れ性を低減させる表面処理を行ったが、特にこれに限定されるものではなく、アクチュエータ部材1の上面において、非接合部13に上述のように接着剤8に対する濡れ性が低減する表面処理を行い、その後に接着剤8を塗布しても、上述と同様の効果を得ることができる。
さらに、カバー部材2の接合部12に対して接着剤8の濡れ性を向上させる表面処理を行い、カバー部材2に接着剤8を塗布した場合も同様の効果が得られる。また、アクチュエータ部材1の接合部12に対して接着剤8の濡れ性を向上させる表面処理を行い、アクチュエータ部材1に接着剤を塗布した場合も同様の効果が得られる。
(第6実施形態)
本実施形態は、第5実施形態と同様の構成である。本実施形態では、非接合部13に濡れ性を低減させる表面処理を施した同一構造のカバー部材2のウェハ110を3個用意して実験を行った。本実施形態ではウェハ110G、110H、110Iと表記する。また、ウェハ110G〜110Iと同一の構造であって表面処理を施さなかったウェハ110を3個用意し、ウェハ110J,110K,110Lと表記する。
本実施形態のウェハ110G〜110Lは、接着面7の面積が1500mm2、各間隙部4の幅が12mm、各間隙部4の深さが30μm、各間隙部4の長さが1mmである。なお、本実施形態のウェハ110G〜110Lには、40のカバー部材2が形成され、40の間隙部4が形成されているものを用いた。また、同一の構造のアクチュエータ部材1のウェハ100のを6個用意した。このアクチュエータ部材1とウェハ110G〜110Lとのそれぞれの接合部12の面積は700mm2 である。
まず、ウェハ110G〜110Lに接着剤8をスピンコート法により塗布した。表面処理が施されているウェハ110G〜110Iの非接合部13に塗布された接着剤8は、濡れ性が高い接合部12に移動する。この移動に要する時間はおよそ3分であった。
ウェハ110G〜110Lの接着面7に塗布した接着剤8の層厚と、表面処理が施されたウェハ110G〜110Iの非接合部13に塗布された接着剤8が接合部12に完全に移動した3分後の接合部12と非接合部13の接着剤8の層厚と、間隙部4への接着剤8の入り込み量の結果を図13(A)に示す。なお、本構成における十分な接着強度が得られる接着剤8の層厚は2μm以上である。
この後、6つのアクチュエータ部材1のウェハ100とカバー部材2のウェハ110G〜110Lのそれぞれを接着させた。接着方法、条件は第1実施形態と同じである。完全に接着剤が硬化後に、ウェハ100及びウェハ110G〜119Lのそれぞれを引き剥がし、接着剤8の間隙部4への入り込みを確認した。結果を図13(B)に示す。
表面処理を施さなかったウェハ110J〜110Lでは、間隙部4に接着剤8が入り込んでいることが確認された。また、図13(B)に示す接着強度の結果から、ウェハ110J〜110Lは接着剤8の層厚が不足して接着不良を発生しているにもかかわらず、毛細管力により間隙部4に接着剤8が入り込んでおり、接着剤8の層厚を小さくすることにより間隙部4への接着剤8の入り込みを抑制することは困難であることが分かった。また、接着剤8の量が多かったウェハ110Lでは、接着剤8がインク室に流入してインク室つまりが発生していた。
これに対し、表面処理を施したウェハ110G〜110Iでは、接着剤8の間隙部4への入り込みは確認されなかった。つまり非接合部13に接着剤8に対する濡れ性を低減させる表面処理を施すことにより、接着剤8は接合部12にのみ保持されるため、接着の際に毛細管力によって間隙部4に入り込む余剰な接着剤が存在しない。つまり、接着剤8が間隙部4に入り込むことを抑制することができることが確認された。
なお、接合部12の接着剤8の層厚が最も大きかったウェハ110Iでは、間隙部4への接着剤8の入り込みは確認されなかったが、接着に必要最低限の量の接着剤8の層厚を2μmに対して過剰な量の接着剤8が接合部12に保持されていたため、アクチュエータ部材1のウェハ100に貼り合わせた後にカバー部材Iの自重等の影響により、接合部12の接着剤8の層が押しつぶされてインク室に流入し、インク室詰まりを発生させていた。
つまり、適量の接着剤8を接合部12に保持させることが、インク室詰まりや間隙部4への接着剤8の入り込みを抑制することができることが分かった。これは、下記の関係式(2)を満たす層厚T2 の接着剤8を接着剤塗布面(本実施形態では接着面7)に塗布することによって実現できる。

(S21 +0.05nHWL)/S1 ≧T2 ≧S21 /S1 ・・・・(2)
(S1 :接着剤塗布面の面積、S2 :接合部12の面積、T1 :張り合わせ後の接着剤8の層厚、T2 :塗布時の接着剤8の層厚、W:間隙部4の幅、H:間隙部4の深さ、L:間隙部4長さ、n:間隙部4の個数)
なお、張り合わせ後の接着剤8の層厚T1 は、アクチュエータ部材1(ウェハ100)及びカバー部材2(ウェハ110)を接着した後の接合部12の厚さを示す。また、層厚T1 は、非接合部13の接着剤8が接合部12に完全に移動するまでの時間経過後の接合部12の接着剤8の厚さに等しい。なお、本実施形態ではT1 を2μmとした。本実施形態において十分な接着に必要な最低限の接着剤の厚さを示すためこれを用いた。塗布時の接着剤8の層厚T2 は、接着剤塗布面へ塗布すべき接着剤8の層厚を示す。また、間隙部4の個数nは、本実施形態ではn=40とした。nの個数は1以上であればよい。
この関係式(2)は、張り合わせ後の接合部の接着剤8の量(S21)とインクジェットヘッドの吐出特性への影響を無視できる余剰の接着剤量(0.05nHWL)との和を、接着剤塗布面S1 で割った値以下、且つ、張り合わせ後(接着した後)の接合部の接着剤8の量(S21)を接着剤塗布面S1 で割った値以上に、塗布時の接着剤8の層厚T2 を規定している。つまり、関係式(2)は、塗布時の接着剤8の層厚T2が、接合部12に必要最低限の接着剤8の量以上、且つ、インクジェットヘッドの吐出特性への影響を無視できる量の余剰の接着剤を含んだ接着剤8の最大量以下となるように規定している。
本実施形態の条件を関係式(2)に代入して計算すると0.93≦T2 ≦1.4となる。この結果は、図13(B)に示すウェハG〜Iの間隙部4やインク室への接着剤の流入の結果とよく一致していることがわかった。つまり、接合部12もしくは非接合部13に、接着剤8に対する濡れ性を変化させる表面処理を施す場合、関係式(2)を満たす層厚T2 で接着剤8を塗布すればよいことを確認できた。
なお、本実施形態では、複数のアクチュエータ部材1及びカバー部材2を有するウェハ100、110を用いたが、単一のアクチュエータ部材1及びカバー部材2を用いてもよい。
また、本実施形態では、カバー部材2の非接合部13に接着剤8の濡れ性を低減させる表面処理を行ったが、特にこれに限定されるものではなく、アクチュエータ部材1の非接合部13に接着剤8に対する濡れ性が低減する表面処理を行い、アクチュエータ部材1の上面に接着剤8を塗布しても、上述と同様の効果をえることができる。
さらに、カバー部材2の接合部12に対して接着剤8の濡れ性を向上させる表面処理を行い、カバー部材2の接着面7に接着剤8を塗布した場合も同様の効果が得られる。また、アクチュエータ部材1の接合部12に対して接着剤8の濡れ性を向上させる表面処理を行い、アクチュエータ部材1に接着剤8を塗布した場合も同様の効果が得られる。
(第7実施形態)
本実施形態は、第5実施形態と同様の構成である。本実施形態では、濡れ性を低減させる表面処理を施す材料として旭硝子社製のサイトップを同社製の希釈剤を用いて希釈した濃度の異なる3種類の表面処理材料を用いて実験を行った。まず、サイトップとサイトップ希釈液との混合割合を3:2、1:1、1:2とした表面処理材料M,N,Oを作成した。3つの同一の構造のカバー部材2のウェハ110(ウェハ110M〜110Oと表記する。)のそれぞれに、これらの表面処理材料M〜Oを用いて第5実施形態と同様に非接合部13に濡れ性を低減させる表面処理を行った。
ウェハ110M〜110Oの非接合部13の接着剤8に対する接触角はそれぞれ、85°、76°、53°であった。表面処理を施していない接合部12の接着剤8に対する接触角は14°であった。したがって、ウェハ110M〜110Oのそれぞれの濡れ性が最も高い領域と濡れ性が最も低い領域の接着剤8に対する接触角の差はそれぞれ、71°、62°、39°となる。
この後、接着剤8の層厚が2μmとなるようにウェハ110M〜110Oの接着面7に接着剤8を塗布した。接着剤8の塗布方法にはスピンコート法を用いた。接触角の差が71°、62°であったウェハ110M,110Nの非接合部13に塗布された接着剤8は、濡れ性が高い接合部12に移動した。接着剤8の移動が完了するまでに要する時間は3分ほどであった。
一方で、接着剤8に対する接触角が39°であったウェハ110Oの非接合部13に塗布された接着剤8は、接合部12への移動が完了するまでに10分ほどかかった。また、接合部12と非接合部13とは、接触角が14°と39°と差が小さく境界が不明瞭であったため、境界部分の一部に接着剤8が定着したままであった。つまり、非接合部13の接着剤8が完全に接合部12に移動しなかった。
接着剤8の移動に要する時間が長いほど、タクトタイムは増加し、また待機中にダスト等が塗布された接着剤8に混入する可能性が高くなるため、接着後の歩留まりを低下させる。また、接合部12と非接合部13との境界部分が不明瞭になることにより、非接合部13に接着剤8の一部が残存する。したがって、接合部12にのみ接着剤8を定着させるには、接着剤8に対する濡れ性の異なる領域の接触角の差は少なくとも60°以上あることが好ましいことが分かった。なお、62°以上ではなく60°以上としたのは、62°の誤差を考慮したものである。
本実施形態では、カバー部材2の非接合部13に、接着剤8に対する濡れ性を低減させる表面処理を施した構成を用いたが、カバー部材2の接合部12に濡れ性を向上させる表面処理を施した構成であっても同様に上述の接触角の差が60°であることが好ましい。また、アクチュエータ部材1の非接合部13に濡れ性を低減させる表面処理を施した構成、アクチュエータ部材1の接合部12に濡れ性を向上させる表面処理を施した構成も同様である。
なお、本実施形態では、複数のアクチュエータ部材1及びカバー部材2を有するウェハ100、110を用いたが、単一のアクチュエータ部材1及びカバー部材2を用いてもよい。
これらの実施形態では、液晶用カラーフィルタ基板等の製造に用いるインクジェットヘッドについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、インクジェットプリンタに用いられるインクジェットヘッドに適用しても同様の効果を得ることができる。
この発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの一部を示す分解図である。 同インクジェットヘッドの側面断面図である。 同インクジェットヘッドを構成するカバー部材の上面図である。 同インクジェットヘッドの側面断面図である。 同インクジェットヘッドを構成するカバー部材の上面図である。 同インクジェットヘッドを構成するカバー部材の上面図である。 同インクジェットヘッドの一部を示す分解図である。 同インクジェットヘッドの側面断面図である。 同インクジェットヘッドに備えられる間隙部を形成する手順を示す説明図である。 アクチュエータ部材の上面及びカバー部材の下面(接着面)の構成を説明する説明図である。 カバー部材の接着面の構成を説明する説明図である。 接合部の面積に対する間隙部への接着剤の入り込み量の実験結果を示す説明図である。 接着剤塗布量に対する3分後の接合部の接着剤の層厚変化の実験結果および接着剤塗布量に対する間隙部への接着剤の入り込み量の実験結果を示す説明図である。
符号の説明
1−アクチュエータ部材
2−カバー部材
4,44−間隙部
6−溝
6a−隔壁
7−接着面
8−接着剤
9−ノズルプレート
9a−ノズル孔
10,11−境界周辺部
100−インクジェットヘッド

Claims (14)

  1. 複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、
    接着面において前記隔壁の上面に接着剤を用いて接着された第2基板と、
    前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、
    前記複数の溝の長手方向の一部において上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を備え、
    前記第2基板は、前記接着面における前記間隙部の前記ノズルプレート側の端部に位置する部分に、濡れ性を向上させる表面処理を施したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、
    接着面において前記隔壁の上面に接着剤を用いて接着された第2基板と、
    前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、
    前記複数の溝の長手方向の一部において上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を備え、
    前記第1基板は、前記隔壁の上面における前記間隙部の前記ノズルプレート側の端部に位置する部分に、濡れ性を向上させる表面処理を施したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  3. 複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、
    接着面において前記隔壁の上面に接着剤を用いて接着された第2基板と、
    前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、
    前記複数の溝の長手方向の一部において上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を備え、
    前記間隙部における前記第2基板側の面又は前記隔壁側の面の少なくとも一方に、濡れ性を低減させる表面処理を施したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  4. 複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、
    下面において前記第1基板の上面に接着剤を用いて接着された第2基板と、
    前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、
    前記複数の溝の長手方向の一部において上下方向について前記第2基板の下面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を備え、
    前記第1基板と前記第2基板との接合部における前記第1基板の上面又は前記第2基板下面の少なくとも一方に、濡れ性を向上させる表面処理を施したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  5. 複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、
    下面において前記第1基板の上面に接着剤を用いて接着された第2基板と、
    前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、
    前記複数の溝の長手方向の一部において上下方向について前記第2基板の下面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を備え、
    前記第1基板と前記第2基板との接合部を除く部分における前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面の少なくとも一方に、濡れ性を低減させる表面処理を施したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  6. 前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面のいずれか一方における接着剤を塗布する接着剤塗布面の面積をS1 、前記接合部の面積をS2 、第1基板及び第2基板を接着する直前の前記接着剤塗布面の接着剤の層厚をT、前記間隙部の幅をW、前記間隙部の深さをH、前記間隙部の長さをL、前記間隙部の個数をnとしたときの関係式が、
    2 ≦S1 −0.05nHWL/T
    となることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のインクジェットヘッド。
  7. 前記表面処理を施した前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面のいずれか一方における接触角の異なる2以上の領域の最も大きい接触角と最も小さい接触角との差が60°以上であることを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載のインクジェットヘッド。
  8. 複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、接着面において前記隔壁の上面に接着された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、前記複数の溝の長手方向の一部における上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記接着面における前記間隙部の前記ノズルプレート側の端部に位置する部分に、濡れ性を向上させる表面処理を施す表面処理工程と、
    前記接着面と前記隔壁の上面とを接着剤を用いて接着する接着工程と、を含むことを特徴とするインクジェットヘッド製造方法。
  9. 複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、接着面において前記隔壁の上面に接着された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、前記複数の溝の長手方向の一部における上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記隔壁の上面における前記間隙部の前記ノズルプレート側の端部に位置する部分に、濡れ性を向上させる表面処理を施す表面処理工程と、
    前記接着面と前記隔壁の上面とを接着剤を用いて接着する接着工程と、を含むことを特徴とするインクジェットヘッド製造方法。
  10. 複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、接着面において前記隔壁の上面に接着された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、前記複数の溝の長手方向の一部における上下方向について前記接着面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記間隙部における前記第2基板側の面又は前記隔壁側の面の少なくとも一方に、濡れ性を低減させる表面処理を施す表面処理工程と、
    前記接着面と前記隔壁の上面とを接着剤を用いて接着する接着工程と、を含むことを特徴とするインクジェットヘッド製造方法。
  11. 複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、下面において前記第1基板の上面に接着された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、前記複数の溝の長手方向の一部における上下方向について前記第2基板の下面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記第1基板と前記第2基板との接合部における前記第1基板の上面又は前記第2基板下面の少なくとも一方に、濡れ性を向上させる表面処理を施す表面処理工程と、
    前記第2基板の下面と前記第1基板の上面とを接着剤を用いて接着する接着工程と、を含むことを特徴とするインクジェットヘッド製造方法。
  12. 複数の溝のそれぞれの間に隔壁を有する第1基板と、下面において前記第1基板の上面に接着された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板における前記複数の溝の一端部側の面に接着されたノズルプレートと、前記複数の溝の長手方向の一部における上下方向について前記第2基板の下面を含む位置で前記複数の溝を連通させる間隙部と、を有するインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記第1基板と前記第2基板との接合部を除く部分における前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面の少なくとも一方に、濡れ性を低減させる表面処理を施す表面処理工程と、
    前記第2基板の下面と前記第1基板の上面とを接着剤を用いて接着する接着工程と、を含むことを特徴とするインクジェットヘッド製造方法。
  13. 前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面のいずれか一方における接着剤を塗布する接着剤塗布面の面積をS1 、前記接合部の面積をS2 、前記第1基板と前記第2基板とを接着した後の接着剤の層厚をT1 、塗布時の前記接着剤塗布面の接着剤の層厚をT2 、前記間隙部の幅をW、前記間隙部の深さをH、前記間隙部の長さをL、前記間隙部の個数をnとしたときの関係式が、
    (S21+0.05nHWL)/S1 ≧T2 ≧S21 /S1
    となるように前記接着工程において接着剤を塗布することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のインクジェットヘッド製造方法。
  14. 前記表面処理工程は、前記第1基板の上面又は前記第2基板の下面いずれか一方における最も大きい接触角と最も小さい接触角との差が60°以上となるように接触角の異なる2以上の領域を形成する工程であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のインクジェットヘッド製造方法。
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