JP2006218502A - 金型形状決定方法,金型形状決定装置並びに金型形状決定プログラム - Google Patents

金型形状決定方法,金型形状決定装置並びに金型形状決定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 一体型クランク軸の鍛造工程で使用される金型を適切に決定することにより鍛造工程で成形されるクランク軸鍛造体の鍛造形状,金型拘束形状の定量的な設計を実現すること。
【解決手段】 予め定められたクランク軸の仕上げ形状に所定の切削代を加味して得られるクランク軸鍛造体の仮形状の軸方向投影形状に略外接する自由楕円形状を決定する。また,軸方向投影形状の面積FS及び自由楕円形状の面積FDSの比率FDS/FSと金型拘束パターンに応じた金型拘束係数との相関関係に基づいて,上記金型拘束パターン毎の金型拘束係数を導出し,この導出された金型拘束パターン毎の金型拘束係数に基づいて鍛造工程で得られるクランク軸鍛造体の金型拘束形状を決定する。これにより,経験やノウハウ等に頼ることなく定量的なクランク軸鍛造体の設計が実現可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は,鍛造クランク軸の製造プロセスにおける鍛造工程でクランク軸鍛造体を鍛造成形する際に用いられる金型の形状を決定する金型形状決定方法,金型形状決定装置並びに金型形状決定プログラムに関するものである。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関に使用されるクランク軸は,その製造方法によって,鍛造クランク軸,鋳造クランク軸,組立形クランク軸に大別される。一般に,舶用の主機或いは補機又は陸用発電機等に用いられる内燃機関のクランク軸は,衝撃的に作用する強力な曲げやねじりに対し十分な強度が要求されるため,強度・剛性の高い鍛造クランク軸が用いられる。この鍛造クランク軸は,炭素鋼やニッケルクロームモリブデン鋼等の粗鋼をRR鍛造法或いはTR鍛造法等によって一体的に成形される。
ここで,図7を用いて上記RR鍛造法の鍛造原理について簡単に説明する。
上記RR鍛造法は,RR鍛造装置70において,段付き丸棒に機械加工を施した丸鋼等の粗鋼(荒地素材)を一定の挙動で鍛造する方法であって,その鍛造原理は,ポンチ72による偏芯(クランクピン部の成形)と横圧縮(クランクアーム部の成形)の2方向鍛造による成形である。ここに,RR鍛造の変形過程を図7の(a)〜(c)に示す。RR鍛造装置70の挙動は,成形開始からプレス圧下力をクランクピンの偏芯に使うのではなく,プレスの圧下力をくさび機構により横圧縮力を発生させ,図7の(b)に示すように,その横圧縮力を利用して加熱された粗鋼71を予備圧縮(UPSET)し,バルジ変形させる。その後,図7の(c)に示すように,引き続き横圧縮させながらクランクピンを偏芯させる(OFFSET)。このようにして1気筒分の偏芯軸(スロー部)が成形される。その後,加熱と成形を繰り返し,決められた気筒数分のスロー部を繰り返し成形して,クランク軸鍛造体が製造される。そして,鍛造されたクランク軸鍛造体を機械切削などすることによって最終的に所望の鍛造クランク軸が製造される。なお,上記RR鍛造法を用いたクランク軸の成形方法については特許文献1及び2に詳しい。
特開平3−77742号公報 特開2003−326332号公報
ところで,内燃機関の大きさや型式等によって,クランク軸の形状は多種多様であり,1気筒等分の偏芯軸(スロー部)における金型による拘束形状(規制形状)もクランク軸の型式ごとに異なっている。そのため,上述のRR鍛造法やTR鍛造法等によるクランク軸の鍛造では,クランク軸形状に応じた適切な粗鋼,荒地形状及びプレス力量などを加味した鍛造工程を設計する必要があるが,上記鍛造法で用いられる金型や,該鍛造法で鍛造された鍛造体の形状などは複雑な形状・機構を有しており,更にその形状は多様であるため,各金型に作用する荷重等を定量化することは困難である。そのため,現状では,変形の基礎理論を基礎として設計者の経験やノウハウを付加しながら粗鋼の形状や金型による拘束形状等を決定することにより上記鍛造工程の設計を行っている。
しかしながら,このような従来の工程設計では,成形可否の判断や,クランク軸に応じた適切な鍛造形状の決定を定量的に行うことができないため,必要以上の切削代を有する鍛造形状を決定(設計)したり,或いは,金型による拘束形状を極端に制限するなど,製造工程上の不都合が生じる。かかる不都合は,鍛造時のプレス力の増大を招くだけでなく,後工程の切削加工に多大な時間を要することとなり,問題である。また,ある鍛造装置で実質的に鍛造可能であるにもかかわらず,設計段階において許容値(余裕度)を大きく超える粗鋼の形状や金型による拘束形状等が設計されたばかりに,鍛造体の拘束形状が制限され,或いは上記鍛造装置の最大荷重を超過することにより所望の鍛造体を成形することができないと判定されるといった問題が生じ得る。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,鍛造工程で使用される金型の形状を適切に決定することにより鍛造工程で成形されるクランク軸鍛造体の鍛造形状,金型拘束形状の定量的な設計を実現することにある。
上記目的を達成するために本発明は,少なくとも鍛造工程及び機械切削工程を順次経てクランク軸を製造するクランク軸製造プロセスの上記鍛造工程において加熱粗鋼を鍛造してクランク軸鍛造体を成形する際に用いられる金型の形状を決定する金型形状決定方法及び金型形状決定装置に適用され,予め定められたクランク軸の仕上げ形状に所定の切削代を加味して得られるクランク軸鍛造体の仮形状の軸方向投影形状に略外接する自由楕円形状を決定するよう構成されている。ここに,上記自由楕円形状とは,上記軸方向投影形状に略外接する形状をいい,円を含む楕円形状をいう。これにより,上記自由楕円形状を満足する金型の形状を決定することで,経験やノウハウ等に頼ることなく,適切なクランク軸鍛造体の形状を定量的に設計することが可能となる。その結果,例えば,作業者個人の能力如何によって必要以上に設けていた切削代を省減させることができる。また,それにより,鍛造時のプレス力の低減,後工程の切削加工に要する加工時間の短縮を図ることが可能となる。
また,上記軸方向投影形状の面積FS及び上記自由楕円形状の面積FDSの比率FDS/FSを算出し,上記比率FDS/FSと予め定められた金型拘束パターンに応じた金型拘束係数との相関関係に基づいて,上記金型拘束パターン毎の金型拘束係数を導出し,この導出された金型拘束パターン毎の金型拘束係数に基づいて鍛造工程で得られるクランク軸鍛造体の金型拘束形状を決定することも考えられる。これにより,経験やノウハウ等により決定されていたクランク軸鍛造体の金型拘束形状を定量的に決定することができるため,該金型拘束形状に応じた金型の形状を容易に決定することが可能となる。また,金型拘束形状が定量的に決定されるため,設計ミスに起因する製造不良の減少による歩留まりの向上が期待できる。なお,上記相関関係は予め所定の記憶媒体(相関関係記憶手段)に記憶される。
この場合,上記金型拘束形状の決定手法としては,上記鍛造工程において単純圧縮されることにより上記自由楕円形状を満たすクランク軸鍛造体が製造される場合の単純拘束係数を算出し,この算出された単純拘束係数及び上記金型拘束係数に基づいて上記金型拘束形状を決定する手法が挙げられる。より具体的には,上記単純拘束係数と上記金型拘束係数との乗算値に基づいて上記金型拘束形状を決定することが考えられる。
ここで,本発明は,上記金型形状決定装置に適用される金型形状決定プログラムとして捉えたものであったもよい。
即ち,予め定められたクランク軸の仕上げ形状に所定の切削代を加味して得られるクランク軸鍛造体の仮形状の軸方向投影形状に略外接する自由楕円形状を決定する自由楕円形状決定機能を上記金型形状決定装置に備えられた演算装置に実現させるための金型形状決定プログラムとして捉えることも可能である。このようなプログラムを用いて求められた上記自由楕円形状を満足する金型の形状を決定することで,経験やノウハウ等に頼ることなく,適切なクランク軸鍛造体の鍛造形状,金型拘束形状を定量的に設計することが可能となる。
また,上記軸方向投影形状の面積FS及び上記自由楕円形状の面積FDSの比率FDS/FSを算出する比率算出機能と,上記比率FDS/FSと予め定められた金型拘束パターンに応じた金型拘束係数との相関関係に基づいて,上記金型拘束パターン毎の金型拘束係数を導出する金型拘束係数導出機能と,上記金型拘束係数導出機能により導出された金型拘束パターン毎の金型拘束係数に基づいて上記鍛造工程で得られる上記クランク軸鍛造体の金型拘束形状を決定する金型拘束形状決定機能と,を上記演算装置に実現させるための金型形状決定プログラムとして捉えることにより,経験やノウハウ等により決定されていたクランク軸鍛造体の金型拘束形状を定量的に決定することが可能となり,設計ミス等の減少が期待できる。
上述したように,本発明は,予め定められたクランク軸の仕上げ形状に所定の切削代を加味して得られるクランク軸鍛造体の仮形状の軸方向投影形状に略外接する自由楕円形状を決定するよう構成されているため,上記自由楕円形状を満足する金型の形状を決定することで,経験やノウハウ等に頼ることなく,適切なクランク軸鍛造体の形状を定量的に設計することが可能となる。その結果,例えば,作業者個人の能力如何によって必要以上に設けていた切削代を省減させることができる。また,それにより,荒地素材重量の低減や,鍛造時のプレス力の低減,後工程の切削加工に要する加工時間の短縮を図ることが可能となる。
また,比率FDS/FSと金型拘束パターンに応じた金型拘束係数との相関関係に基づいて,算出された上記比率FDS/FSに応じた上記金型拘束パターン毎の金型拘束係数を導出し,この導出された金型拘束パターン毎の金型拘束係数に基づいて鍛造工程で得られるクランク軸鍛造体の金型拘束形状が決定されるため,該金型拘束形状に応じた金型の形状を容易に決定することが可能となる。また,金型拘束形状が定量的に決定されるため,設計ミスに起因する製造不良の減少による歩留まりの向上が期待できる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。なお,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1及び図2は本発明の実施の形態に係る金型形状決定方法を説明するフローチャート,図3は一気筒分のクランク軸の偏芯軸(以下「スロー部」と呼ぶ)を示す模式図,図4はスロー部の軸方向投影形状を内接する自由楕円の決定手法を説明するための模式図,図5は金型拘束形状の分類表を示す図表,図6は金型拘束係数と比率FDS/FSとの相関関係を示すグラフ図,図7はクランク軸の鍛造工程を説明する模式図である。
本発明は,少なくとも鍛造工程及び機械切削工程を順次経てクランク軸を製造する製造プロセスにおいて,上記鍛造工程で加熱粗鋼を鍛造してクランク軸鍛造体を成形する際に用いられる金型の形状を決定する金型形状決定方法であって,予め,仕様等により定められたクランク軸の仕上げ形状に所定の切削代を加味して得られるクランク軸鍛造体の仮形状を定め,この仮形状の軸方向投影形状に略外接するように後記する自由楕円(自由楕円形状)を決定する。このように決定された上記自由楕円を満足する金型の形状を決定することで,経験やノウハウ等に頼ることなく,適切なクランク軸鍛造体の形状,金型拘束形状を定量的に設計することが可能となる。
また,本発明は,上記軸方向投影形状の面積FS及び上記自由楕円の面積FDSの比率FDS/FSを算出し,上記比率FDS/FSと予め定められた金型拘束パターンに応じた金型拘束係数との相関関係に基づいて,算出された上記比率FDS/FSに応じた上記金型拘束パターン毎の金型拘束係数を導出し,この導出された金型拘束パターン毎の金型拘束係数に基づいて鍛造工程で得られるクランク軸鍛造体の金型拘束形状を決定する。これにより,経験やノウハウ等により決定されていたクランク軸鍛造体の金型拘束形状を定量的に決定されるため,該金型拘束形状に応じた金型形状を容易に選定(決定)することが可能となる。
以下に,図3〜6を参照しながら,図1及び図2のフローチャートを用いて,自由楕円及び金型拘束形状を決定する方法を含む金型形状決定方法の手順(ステップ)の一例について説明する。図中のS1,S2…は処理手順(ステップ)番号を示す。
まず,ステップS1において,仕様書等に定められているクランク軸の仕上げ形状に,図3に示すように,所定の切削代dを加味して,クランク軸の鍛造体の仮形状を定める。ここに,図3(a)はスロー部30の模式断面図,(b)は(a)のA−A方向から見た投影図である。このときに加味される切削代dは,鍛造工程後の切削工程において最低限要求される切削代とする。もちろんこれに限られることはない。
クランク軸の形状はエンジンメーカの仕様によって多様であり,厳密には,クランク軸の仕様毎(即ちクランク軸形状毎)に上記切削代dを定めることが好ましいが,例えば,下記表1のように,クランク軸の規模に応じて予め概ね分類された切削代を用いてもかまわない。以下の説明では,上記切削代dとし,クランク軸の仕上がり形状の外周及び軸方向に切削代dを加味した形状をクランク軸鍛造体の暫定的な仮形状(初期の仮形状)R0とする。なお,下記表1では,超大型,大型,中型,小型の4つに分類しているが,これに限られることはない。
Figure 2006218502
上記初期の仮形状R0が決まると,続いて,ステップS2において,該仮形状R0のクランクアーム部34の断面の面積,即ち,上記仮形状R0の軸方向投影形状の面積FSを求め,その後,求められた面積FSに基づいて,上記軸方向投影形状を円に換算した場合の平均直径Dfを求める(ステップS3)。
そして,ステップS4で,上記スロー部30の自由楕円を予測するため,上記平均直径Dfに基づいて自由楕円の長径DA及び短径DBを算出する。
一般に,RR鍛造では,金型による拘束(規制)なしの状態で丸鋼をその軸に垂直な方向に圧縮鍛造すると,鍛造後の形状は略上下対称な自由楕円形状に変形されることが知られている。そこで,金型拘束なしでバルジ形状を考慮した自由楕円の投影面積を予測することが必要であり且つ重要となる。
上記自由楕円の短径DBは上記平均直径Dfと相関関係があり,また,長径DAは平均直径Df及びストロークS(ジャーナル軸31とクランクピン32との中心距離,図3参照)と相関関係があることが一般に知られており,それぞれ以下の式(1),(2)で表される。
DB=a×Df …(1)
DA=a×Df+b×S=DB+b×S …(2)
ここに,a及びbは鋼材(鋼種)により定まる係数(パラメータ)である。
上記自由楕円の短径DB及び長径DAが算出されると,これら短径DB及び長径DAにより表される図4に示す自由楕円41が上記仮形状R0の軸方向投影形状に外接或いは略外接しているかどうか,即ち,上記軸方向投影形状が上記自由楕円に略内接しているかどうかを判定する(ステップS5)。この場合,単に,自由楕円が軸方向投影形状に略外接しているかどうかを判定するのではなく,好ましくは,上記仮形状R0のジャーナル軸31及びクランクピン32を自由楕円のジャーナル軸に相当する位置とクランクピンに相当する位置に合わせた上で判定する。
ここで,上記自由楕円が上記仮形状R0の軸方向投影形状に略外接せず,上記軸方向投影形状が上記自由楕円からはみ出すような場合は,ステップS6に進み,ステップS3で求めた平均直径Dfの数値を所定値だけ増し,その後,ステップS4の処理を行い,再度,ステップS5の判定を行う。また,上記仮形状R0の軸方向投影形状が上記自由楕円にすっぽり収まるような場合は,ステップS6において,ステップS3で求めた平均直径Dfの数値を所定値だけ減じ,その後,ステップS4からの手順に従った処理を繰り返し実行する。
一方,自由楕円が上記仮形状R0の軸方向投影形状に略外接すると判断した場合は,求められた短径DB及び長径DAで定まる自由楕円の面積FDS(=DA・DB・π/4)を算出し(ステップS7),更に,軸方向投影形状の面積FS及び自由楕円の面積FDSの比率FDS/FSを算出する(ステップS8)。ここで,以下の説明では,ステップS8で算出された比率FDS/FSの算出値を比率Tとする。
上記比率Tが算出されると,ステップS9では,図5のテーブル図に示すように予め定められた各金型の拘束形状を示す金型モード(金型拘束パターン)毎の金型拘束係数Qkを図6のグラフ図に示す相関関係に基づいて導出する。より詳しくは,上記相関関係に基づいて,上記比率Tに応じた上記金型モード毎の金型拘束係数Qk(Qk1〜Qk4)を導出する。
一般に,クランク軸は,型式等によってスロー部の形状が異なるため,それぞれ異なる金型が用いられる。本実施形態では,図5のテーブル図に示すように,スロー部における金型拘束形状を金型モードM1〜M4の4つに分類している。この分類では,金型モードの数値が上がるにつれて拘束(規制)が強くなる。即ち,図示されるように,金型モードM1はスロー部の上下面又は左右面のいずれかのみを拘束するモード(semi closed),金型モードM2はスロー部の上下面及び左右面を拘束するモード(semi closed),金型モードM3はスロー部の全周を拘束するモード(closed),金型モードM4はスロー部の全周及びバックチャンファー(closed)を拘束するモードである。なお,上記金型モードM2による鍛造は半密閉鍛造,上記金型モードM3,M4による鍛造は密閉鍛造と呼ばれる。また,バックチャンファーとは,クランクピンの軸方向の拘束,即ち,クランクピンの角部の面取り規制のことをいう。
図6のグラフ図は,出願人が過去にクランク軸を製造した際の膨大な量のデータやノウハウなどの経験則に基づき割り出された上記各金型モード毎の比率FDS/FSと上記各モードに応じた金型拘束係数との相関関係を示す。
このような図6に示す相関関係が予め判明しているため,ステップS9において,ステップS8で求めた比率Tに応じた各金型モード毎の金型拘束係数Qkを求めることができる。ここで,金型モードM1〜M4それぞれに応じて導出された金型拘束係数をQk1〜Qk4とする。
続いて,ステップS10では,上記鍛造工程において金型による拘束なしに単純圧縮されることにより上記自由楕円を満たすクランク軸鍛造体が製造される場合の拘束係数Qd(以下「単純拘束係数Qd」と称す)を算出する。具体的には,以下の式(3)に基づいて算出される。
Qd=1+(μDf/3h) …(3)
ここに,μは摩擦係数,hはクランクアームの厚さを示す。
上式(3)に基づき単純拘束係数Qdが算出されると,ステップS11において,金型モードM1〜M4それぞれに応じた金型拘束係数Qk1〜Qk4と単純拘束係数Qdとが乗算される。この乗算値が各金型モードM1〜M4に応じた拘束係数Q(M1)〜Q(M4)である。
続いて,ステップS12では,上記拘束係数Q(M1)〜Q(M4)を用いて,各金型モードM1〜M4に応じた成形荷重P(M1)〜P(M4)を算出する。具体的には,以下の式(4)に示す一般式で算出される。
P=Q・σ・Fs …(4)
ここに,σは材料抵抗又は変形抵抗と呼ばれ,丸鋼等の粗鋼に固有の係数である。
なお,上式(4)を参照すれば,成形荷重が金型拘束係数Qkに比例することが理解できる。したがって,金型拘束係数Qkの値如何によっては,過度の成形荷重が求まることもあり得るが,本発明は,上述のように定量的に金型拘束係数Qkが求められるため,金型モードに応じて適した成形荷重が算出される。
成形荷重Pが算出されると,ステップS13では,その荷重Pが使用する鍛造装置で耐え得るものであるかどうか,即ち,上記成形荷重Pが使用する鍛造装置の最大荷重Pmaxを超えていないかどうかを判断する。そして,算出された成形荷重P(M1)〜P(M4)から,最大荷重Pmax未満であって最大の成形荷重(例えばP(M3))に対応する金型モードを当該鍛造装置で使用する金型モードに決定する。
例えば,上記最大荷重Pmaxから逆算した金型拘束係数Qkpが約3.3(図6(a)参照)であると仮定した場合は,この実施形態で決定されるモードは金型モードM3であることが図6(a)から理解できる。なお,金型モードが決定すればそのモードに応じた金型或いはその形状が必然的に決定する。即ち,金型モードM3が決定された場合は,全周を拘束(規制)するための一或いは複数の金型或いはその形状が決定する。
従来の経験則に基づく手法であっても適切な鍛造形状,金型拘束形状が設計される場合もあるが,当該手法は設計者の個人能力に頼らざるを得ないため,上記比率Tを超えるような比率FDS/FS(例えば比率Ts)を有する鍛造形状,金型拘束形状が設計される場合もあり得る。この場合は,図6(b)に示すように,上記比率Tsに対応する金型モードM3の金型拘束係数Qk3sが上記金型拘束係数Qkpを超えてしまうことになり,実際は,金型モードM3で成形可能であるにもかかわらず,拘束形状が金型モードM2に制限されることとなり,所望の鍛造体を成形することができなくなる。本発明はこのような事態を生じることなく,定量的に上記金型モードM3が決定される点において従来例と較べて効果的な手法であると言える。
このように,金型モードが決定すれば,決定された金型モードに応じた丸鋼の直径D及びその体積Vを決定する。具体的には,上記面積FDSの自由楕円に収まる(内接する)程度の直径Dの丸鋼を決定し,所定の切削代dを加味したクランクアーム部34(図3)の体積Vsに加熱による焼き減りを考慮して所定マージン(通常10%以内)を付加した体積V(例えば1.03Vs)を決定する。更に,上記丸鋼の直径D及びその体積Vに基づいて該丸鋼の長さL(=4V/πD2)が算出される(ステップS15)。なお,上記ステップS14及びS15は従来周知の手法であるため,詳細な説明は省略する。
上述した実施の形態では,図1及び図2のフローチャートを用いて金型形状決定方法について説明したが,かかる方法の各手順を実行する金型形状決定プログラム(金型を決定するシミュレーションプログラム等)として本発明を捉えることもできる。また,このようなプログラムがROM等に格納されたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置により具現化される金型形状決定装置として捉えることも可能である。
即ち,上記金型形状決定装置が具備するCPU等の演算装置に,予め定められたクランク軸の仕上げ形状に所定の切削代を加味して得られるクランク軸鍛造体の仮形状の軸方向投影形状に略外接する自由楕円形状を決定する自由楕円形状決定機能,上記軸方向投影形状の面積FS及び上記自由楕円形状の面積FDSの比率FDS/FSを算出する比率算出機能,上記比率FDS/FSと予め定められた金型拘束パターンに応じた金型拘束係数との相関関係に基づいて,上記金型拘束パターン毎の金型拘束係数を導出する金型拘束係数導出機能,上記金型拘束係数導出機能により導出された金型拘束パターン毎の金型拘束係数に基づいて上記鍛造工程で得られる上記クランク軸鍛造体の金型拘束形状を決定する金型拘束形状決定機能,を実現させるための金型形状決定プログラム,そして,CPU等の演算装置が該金型形状決定プログラムが格納されたROM等から該プログラムを読み出し,所定の記憶媒体(相関関係記憶手段)に記憶された前記相関関係(図6)を読み出し参照しながら上記金型を決定するためのシミュレーション等を実行する金型形状決定装置が考えられる。
本発明の実施の形態に係る金型形状決定方法を説明するフローチャート 本発明の実施の形態に係る金型形状決定方法を説明するフローチャート。 一気筒分のクランク軸のスロー部を示す模式図。 スロー部の軸方向投影形状を内接する自由楕円の決定手法を説明するための模式図。 金型拘束状態の分類を示す図表。 金型拘束係数と比率FDS/FSとの相関関係を示すグラフ図。 クランク軸の鍛造工程を説明する模式図。
符号の説明
30…一気筒分の偏芯軸(スロー部)
31…ジャーナル軸
32…クランクピン
33…切削代
34…クランクアーム
41…自由楕円

Claims (8)

  1. 少なくとも鍛造工程及び機械切削工程を順次経てクランク軸を製造するクランク軸製造プロセスの上記鍛造工程において加熱粗鋼を鍛造してクランク軸鍛造体を成形する際に用いられる金型の形状を決定する金型形状決定方法であって,
    予め定められたクランク軸の仕上げ形状に所定の切削代を加味して得られるクランク軸鍛造体の仮形状の軸方向投影形状に略外接する自由楕円形状を決定する自由楕円形状決定ステップを有してなることを特徴とする金型形状決定方法。
  2. 上記軸方向投影形状の面積FS及び上記自由楕円形状の面積FDSの比率FDS/FSを算出する比率算出ステップと,
    上記比率FDS/FSと予め定められた金型拘束パターンに応じた金型拘束係数との相関関係に基づいて,上記金型拘束パターン毎の金型拘束係数を導出する金型拘束係数導出ステップと,
    上記金型拘束係数導出ステップにより導出された金型拘束パターン毎の金型拘束係数に基づいて上記鍛造工程で成形される上記クランク軸鍛造体の金型拘束形状を決定する金型拘束形状決定ステップと,
    を更に有してなる請求項1に記載の金型形状決定方法。
  3. 上記自由楕円形状を満たすクランク軸鍛造体が上記鍛造工程において単純圧縮される場合の単純拘束係数を算出する単純拘束係数算出ステップを更に有し,
    上記金型拘束形状決定ステップが,上記単純拘束係数及び上記金型拘束係数に基づいて上記金型拘束形状を決定する請求項2に記載の金型形状決定方法。
  4. 上記金型拘束形状決定ステップが,上記単純拘束係数と上記金型拘束係数との乗算値に基づいて上記金型拘束形状を決定する請求項3に記載の金型形状決定方法。
  5. 少なくとも鍛造工程及び機械切削工程を順次経てクランク軸を製造するクランク軸製造プロセスの上記鍛造工程において加熱粗鋼を鍛造してクランク軸鍛造体を成形する際に用いられる金型の形状を決定する金型形状決定装置であって,
    予め定められたクランク軸の仕上げ形状に所定の切削代を加味して得られるクランク軸鍛造体の仮形状の軸方向投影形状に略外接する自由楕円形状を決定する自由楕円形状決定手段を具備してなることを特徴とする金型形状決定装置。
  6. 上記軸方向投影形状の面積FS及び上記自由楕円形状の面積FDSの比率FDS/FSを算出する比率算出手段と,
    上記比率FDS/FSと予め定められた金型拘束パターンに応じた金型拘束係数との相関関係を記憶する相関関係記憶手段と,
    上記相関関係記憶手段に記憶された上記相関関係に基づいて,上記金型拘束パターン毎の金型拘束係数を導出する金型拘束係数導出手段と,
    上記金型拘束係数導出手段により導出された金型拘束パターン毎の金型拘束係数に基づいて上記鍛造工程で得られる上記クランク軸鍛造体の金型拘束形状を決定する金型拘束形状決定手段と,
    を更に備えてなる請求項5に記載の金型形状決定装置。
  7. 少なくとも鍛造工程及び機械切削工程を順次経てクランク軸を製造するクランク軸製造プロセスの上記鍛造工程において加熱粗鋼を鍛造してクランク軸鍛造体を成形する際に用いられる金型の形状を決定する金型形状決定装置に適用される金型形状決定プログラムであって,
    予め定められたクランク軸の仕上げ形状に所定の切削代を加味して得られるクランク軸鍛造体の仮形状の軸方向投影形状に略外接する自由楕円形状を決定する自由楕円形状決定機能を,上記金型形状決定装置に備えられた演算装置に実現させるための金型形状決定プログラム。
  8. 上記軸方向投影形状の面積FS及び上記自由楕円形状の面積FDSの比率FDS/FSを算出する比率算出機能と,
    上記比率FDS/FSと予め定められた金型拘束パターンに応じた金型拘束係数との相関関係に基づいて,上記金型拘束パターン毎の金型拘束係数を導出する金型拘束係数導出機能と,
    上記金型拘束係数導出機能により導出された金型拘束パターン毎の金型拘束係数に基づいて上記鍛造工程で得られる上記クランク軸鍛造体の金型拘束形状を決定する金型拘束形状決定機能と,
    を上記演算装置に実現させるための請求項7に記載の金型形状決定プログラム。
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