JP6344485B2 - 鍛造クランク軸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間鍛造によりクランク軸を製造する方法に関する。
自動車、自動二輪車、農業機械または船舶等のレシプロエンジンにおいて、ピストンの往復運動を回転運動に変換して動力を取り出すために、クランク軸が不可欠である。クランク軸は、型鍛造または鋳造によって製造できる。特に、高強度と高剛性がクランク軸に要求される場合、型鍛造によって製造されたクランク軸(以下、「鍛造クランク軸」ともいう)が多用される。
一般に、鍛造クランク軸の原材料は、ビレットである。そのビレットでは、横断面が丸形または角形であり、断面積が全長にわたって一定である。鍛造クランク軸の製造工程は、予備成形工程、型鍛造工程およびバリ抜き工程を含む。必要に応じ、バリ抜き工程の後に整形工程を行う場合もある。通常、予備成形工程は、ロール成形と曲げ打ちの各工程を含み、型鍛造工程は、荒打ちと仕上げ打ちの各工程を含む。
図1A〜図1Fは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。図1Fに例示するクランク軸1は、4気筒エンジンに搭載され、4気筒−8枚カウンターウエイトのクランク軸である。そのクランク軸1は、5つのジャーナル部J1〜J5、4つのピン部P1〜P4、フロント部Fr、フランジ部Fl、および、8枚のクランクアーム部(以下、単に「アーム部」ともいう)A1〜A8から構成される。アーム部A1〜A8は、ジャーナル部J1〜J5とピン部P1〜P4をそれぞれつなぐ。また、8枚の全部のアーム部A1〜A8は、カウンターウエイト部(以下、単に「ウエイト部」ともいう)W1〜W8を一体で有する。
以下では、ジャーナル部J1〜J5、ピン部P1〜P4、アーム部A1〜A8およびウエイト部W1〜W8のそれぞれを総称するとき、その符号は、ジャーナル部で「J」、ピン部で「P」、アーム部で「A」、ウエイト部で「W」とも記す。
図1A〜図1Fに示す製造方法では、以下のようにして鍛造クランク軸1が製造される。先ず、図1Aに示すような所定の長さのビレット2を誘導加熱炉やガス雰囲気加熱炉によって加熱した後、ロール成形を行う。ロール成形工程では、例えば孔型ロールを用いてビレット2を圧延して絞ることにより、その体積を長手方向に配分し、中間素材であるロール荒地3を成形する(図1B参照)。次に、曲げ打ち工程では、ロール荒地3を長手方向と垂直な方向から部分的に圧下する。これにより、ロール荒地3の体積を配分し、更なる中間素材である曲げ荒地4を成形する(図1C参照)。
続いて、荒打ち工程では、曲げ荒地4を上下に一対の金型を用いてプレス鍛造することにより、荒鍛造材5を得る(図1D参照)。その荒鍛造材5は、クランク軸(最終製品)のおおよその形状に成形されている。さらに、仕上げ打ち工程では、荒鍛造材5を上下に一対の金型を用いてプレス鍛造することにより、仕上げ鍛造材6を得る(図1E参照)。その仕上げ鍛造材6は、最終製品のクランク軸と合致する形状に成形されている。これら荒打ちおよび仕上げ打ちのとき、余材が、互いに対向する金型の型割面の間から流出してバリとなる。このため、荒鍛造材5および仕上げ鍛造材6のいずれにおいても、バリBがクランク軸の形状の周囲に大きく付いている。
バリ抜き工程では、例えばバリ付きの仕上げ鍛造材6を一対の金型によって挟んで保持した状態で、刃物型によってバリBを打ち抜く。これにより、仕上げ鍛造材6からバリBを除去する。このようにしてバリ無し鍛造材が得られ、そのバリ無し鍛造材は、図1Fに示す鍛造クランク軸1とほぼ同じ形状である。
整形工程では、バリ無し鍛造材の要所を上下から金型で僅かに圧下し、バリ無し鍛造材を最終製品の寸法形状に矯正する。ここで、バリ無し鍛造材の要所は、例えば、ジャーナル部J、ピン部P、フロント部Frおよびフランジ部Flなどといった軸部、さらにはアーム部Aおよびウエイト部Wである。こうして、鍛造クランク軸1が製造される。
図1A〜図1Fに示す製造工程は、図1Fに示す4気筒−8枚カウンターウエイトのクランク軸に限らず、様々なクランク軸に適用できる。例えば、4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸にも適用できる。
4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸の場合、8枚のアーム部Aのうち、一部のアーム部にウエイト部Wが一体で設けられる。例えば先頭の第1アーム部A1、最後尾の第8アーム部A8および中央の2枚のアーム部(第4アーム部A4、第5アーム部A5)にウエイト部Wが一体で設けられる。また、残りのアーム部、具体的には、第2、第3、第6および第7のアーム部A2、A3、A6およびA7は、ウエイト部を有さず、その形状が小判状(長円状)となる。以下では、ウエイト部を有さないアーム部を、「ウエイト無しアーム部」ともいう。
その他に、3気筒エンジン、直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジンおよび8気筒エンジン等に搭載されるクランク軸であっても、製造工程は同様である。なお、ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後に、捩り工程が追加される。
近年、特に自動車用のレシプロエンジンには、燃費の向上のために軽量化が求められる。このため、レシプロエンジンに搭載されるクランク軸にも、軽量化の要求が著しくなっている。
鍛造クランク軸の軽量化を図る従来技術として、ウエイト部を一体で有するアーム部において、そのピン部側の表面に肉抜き部を設ける技術がある。その凹状の肉抜き部は、型鍛造によって成形されることから、金型の分割面と垂直な方向、すなわち、ピン部の偏心方向と垂直な方向に伸び、アーム部の両側面まで広がる。この技術は、特開2009−197929号公報(特許文献1)および特開2010−255834号公報(特許文献2)に開示される。
特許文献1に提案されるクランク軸では、凹状の肉抜き部が、ピン部の偏心方向と垂直な方向に伸び、アーム部の両側面まで広がる。その肉抜き部のうちで少なくともジャーナル部の軸心よりピン部側の領域において、肉抜き部の底面の深さが、ピン部側からジャーナル部側へ漸次増加する。また、その肉抜き部の底面は、仮想円柱の外周面に沿うように形成される。ここで、仮想円柱は、ピン部とアーム部(ウェブ)の接合面からジャーナル部とアーム部(ウェブ)の接合面まで伸びる。これにより、クランク軸の剛性を低下させることなく、質量を低減できるとしている。
特許文献2に提案されるクランク軸では、薄肉部がアーム部のピン部側の表面に形成され、その薄肉部は、ジャーナル部側に仮想線内まで窪む。ここで、仮想線は、ピン部のスラスト受け部の外周縁と、ジャーナル部のスラスト受け部の外周縁との間でジャーナル部の軸線を通過する直線である。薄肉部は金型の分割面と垂直な方向、すなわち、ピン部の偏心方向と垂直な方向に伸び、アーム部の両側面まで広がる。このような薄肉部を設けることにより、ピストンの往復動作によってピン部に荷重が加わった際に、アーム部自体が撓むことにより応力を分散させることが可能となり、ピン部の長寿命化が図れるとしている。特許文献2では、肉抜き部をさらに設ければ、質量も軽減できるとしている。
また、鍛造クランク軸の軽量化を図る従来技術として、パンチによって穴部を成形する技術がある。この技術は、特開2012−7726号公報(特許文献3)および特開2010−230027号公報(特許文献4)に開示される。
特許文献3および4には、ジャーナル部側の表面に穴部が成形されたアーム部が記載され、このアーム部を有するクランク軸の製造方法も記載されている。アーム部の穴部は、ジャーナル部の軸心とピン部の軸心とを結ぶ直線(以下、「アーム部中心線」ともいう)上に成形され、ピン部に向けて大きく深く窪む。このようなアーム部によれば、穴部の体積分の質量を軽量化できる。アーム部の軽量化は、アーム部と対をなすウエイト部の質量軽減につながり、ひいては鍛造クランク軸全体の軽量化につながる。また、アーム部のピン部近傍の両側部において、厚みが厚く維持されているので、剛性(ねじり剛性および曲げ剛性)も確保される。ここで、アーム部の側部とは、アーム部の幅方向(ピン部の偏心方向と垂直な方向)の側面およびその周辺部分を意味する。
このように、アーム部の両側部の厚みを厚く維持しつつ、アーム部のジャーナル部側の表面に凹みを持たせれば、軽量化と剛性確保を同時に図ることができる。
ただし、そのような独特な形状のアーム部を有する鍛造クランク軸は、従来の製造方法では製造することが困難である。型鍛造工程において、アーム部表面に凹みを成形しようとすれば、金型の型抜き勾配が凹み部位で逆勾配になり、成形された鍛造材が金型から抜けなくなる事態が生じるからである。
そのような事態に対処するため、特許文献3および4に記載された製造方法では、型鍛造工程において、アーム部表面に凹みを成形することなくアーム部を小さく成形する。そして、バリ抜き工程の後に、アーム部の表面にパンチを押し込み、そのパンチの痕跡によって凹みを成形する。
なお、図1Fに示すクランク軸では、アーム部Aおよびそれと一体のウエイト部Wの形状が、全て同じである。実際には、必要に応じ、アーム部Aごとに、アーム部Aおよびそれと一体のウエイト部Wの形状を異ならせる場合がある。この技術は、特開2007−71227号公報(特許文献5)および特開2014−40856号公報(特許文献6)に開示される。
特許文献5には、一端にフライホイールが装着される4気筒−8枚カウンターウエイトのクランク軸が記載される。そのクランク軸では、アーム部の厚さおよび重心、並びに、ウエイト部の質量が、全部のアーム部で同じでなく、アーム部ごとに異なる。これにより、アーム部ごとに必要最小限の剛性を確保でき、必要な剛性が低いアーム部で肉厚を薄くでき、その結果、軽量化を達成できるとしている。
特許文献6には、一端にフライホイールが装着される多気筒エンジン用のクランク軸が記載される。そのクランク軸では、アーム部の曲げ剛性およびねじり剛性がフライホイールに近いほど高い。また、アーム部の曲げ剛性およびねじり剛性がアーム部ごとに異なるのが好ましいとしている。これにより、曲げ振動およびねじり振動のいずれも軽減しつつ、軽量化を図ることができるとしている。
このようにアーム部ごとに、アーム部およびそれと一体のウエイト部の形状が異なる場合、その形状に応じ、アーム部内で剛性が必要な部位が変化する。具体的には、アーム部のピン部近傍で剛性を確保することが重要となる場合がある。あるいは、アーム部のジャーナル部近傍で剛性を確保することが重要となる場合もある。
特開2009−197929号公報 特開2010−255834号公報 特開2012−7726号公報 特開2010−230027号公報 特開2007−71227号公報 特開2014−40856号公報
前述の特許文献1および2に記載されるような肉抜き部をアーム部のピン部側の表面に設ければ、質量を低減できるが、剛性が低下する。このため、単純な肉抜き部による軽量化は、剛性を確保する観点から限界があり、さらなる軽量化の要求に応じることが困難である。
また、前述の特許文献3および4に記載されるように、アーム部の表面にパンチによって穴部を成形すれば、軽量化と剛性確保を同時に図った鍛造クランク軸を製造することができる。しかし、この製造方法では、アーム部表面に穴部を成形する際にアーム部表面にパンチを強く押し込んでアーム部全体を変形させることから、パンチの押し込みに多大な力を要する。このため、パンチに多大な力を付与するための格別な設備と金型が必要であり、パンチの耐久性に関しても配慮が必要となる。
本発明の目的は、軽量化と剛性確保を同時に図った鍛造クランク軸を簡便に得ることができる鍛造クランク軸の製造方法を提供することにある。
本発明の一実施形態による鍛造クランク軸の製造方法は、回転中心となるジャーナル部と、そのジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐクランクアーム部と、前記クランクアーム部のうちの全部または一部が一体で有するカウンターウエイト部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法である。当該製造方法は、型鍛造により、クランク軸の形状に成形された鍛造材を得る型鍛造工程と、一対の第1金型により、前記鍛造材を圧下する圧下工程と、を含む。前記鍛造材は、前記カウンターウエイト部を一体で有する前記クランクアーム部のうちの全部または一部に、前記ジャーナル部近傍の側部の外周から突出する第1余肉部を有する。前記圧下工程では、前記第1金型により前記第1余肉部を圧下して変形させ、前記第1余肉部を前記ピン部側に張り出させる。
前記第1金型は、前記第1余肉部と対向する傾斜面を備え、前記圧下工程では、前記第1余肉部を前記傾斜面に沿って変形させるのが好ましい。
当該製造方法は、前記鍛造材からバリを除去するバリ抜き工程を含み、前記型鍛造工程では、バリ付きの前記鍛造材を得て、前記バリ抜き工程では、前記バリ付きの前記鍛造材からバリ無しの鍛造材を得て、前記圧下工程では、前記バリ無しの前記鍛造材を圧下するのが好ましい。
前記圧下工程で、前記バリ無しの前記鍛造材を圧下する場合、前記圧下工程では、前記第1余肉部を有する前記クランクアーム部の前記ピン部側の表面のうちで前記ジャーナル部近傍の前記側部の領域を少なくとも除く表面を、第2金型の押し当てにより保持するのが好ましい。
前記第2金型を用いる場合、前記圧下工程では、前記第1金型の圧下に追従して前記第2金型を前記第1金型の圧下方向に移動させ、前記クランクアーム部への前記第2金型の押し当て位置を一定の位置に維持するのが好ましい。
前記第1余肉部は、前記ジャーナル部近傍の前記側部の両方からそれぞれ突出するのが好ましい。
前記圧下工程は、金型を用いた圧下によりクランク軸の形状を矯正する整形工程で実施するのが好ましい。
前記鍛造材は、前記クランクアーム部のうちの全部または一部に、前記ピン部近傍の側部の外周から突出する第2余肉部を有するのが好ましい。この場合、前記圧下工程では、前記第1金型により前記第2余肉部を圧下して変形させ、前記第2余肉部を前記ジャーナル部側に張り出させる。
前記第2余肉部は、前記ピン部近傍の前記側部の両方からそれぞれ突出するのが好ましい。
本発明の鍛造クランク軸の製造方法は、型鍛造工程で、ジャーナル部近傍の側部の外周から突出する第1余肉部を鍛造材のアーム部に成形する。また、圧下工程で、第1余肉部をピン部側に張り出させることにより、アーム部のジャーナル部近傍の側部の厚みを増加させる。このため、単に肉抜き部を設ける場合と比べ、剛性を効率的に確保できるとともに、その側部の内側の凹みによって軽量化を図ることができる。また、パンチを用いることがないので、多大な力を要することなく簡便に行える。
図1Aは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程におけるビレットを示す模式図である。 図1Bは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程におけるロール荒地を示す模式図である。 図1Cは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程における曲げ荒地を示す模式図である。 図1Dは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程における荒鍛造材を示す模式図である。 図1Eは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程における仕上げ鍛造材を示す模式図である。 図1Fは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程におけるクランク軸を示す模式図である。 図2Aは、本発明の製造方法によるクランク軸について、アーム部のピン部側表面の形状例を模式的に示す斜視図である。 図2Bは、図2Aに示すアーム部のピン部側表面を示す図である。 図2Cは、図2Aに示すアーム部の側面を示す図である。 図2Dは、図2BのIID−IID断面図である。 図3Aは、本発明の製造方法によるクランク軸について、好適なアーム部のジャーナル部側表面の形状例を模式的に示す斜視図である。 図3Bは、図3Aに示すアーム部のジャーナル部側表面を示す図である。 図3Cは、図3BのIIIC−IIIC断面図である。 図4Aは、本発明の製造方法によるクランク軸について、好適なウエイト無しアーム部の形状例のピン部側表面を模式的に示す図である。 図4Bは、図4AのIVB−IVB断面図である。 図5Aは、アーム部がウエイト部を一体で有する場合について、圧下工程前の形状例のピン部側表面を示す模式図である。 図5Bは、図5Aに示すアーム部の側面を示す図である。 図5Cは、図5AのVC−VC断面図である。 図6Aは、アーム部がウエイト部を一体で有する場合について、圧下工程前の形状例のジャーナル部側表面を示す模式図である。 図6Bは、図6AのVIB−VIB断面図である。 図7Aは、ウエイト無しアーム部について、圧下工程前の形状例のピン部側表面を示す模式図である。 図7Bは、図7AのVIIB−VIIB断面図である。 図8Aは、ウエイト部を一体で有するアーム部について、第1余肉部を折り曲げる場合の圧下工程の処理フロー例(第1処理フロー例)における第2金型の押し当て時のアーム部のピン部側表面を示す模式図である。 図8Bは、第1処理フロー例における圧下終了時のアーム部のピン部側表面を示す模式図である。 図9Aは、第1処理フロー例における第2金型の押し当て時のアーム部のジャーナル部側表面を示す模式図である。 図9Bは、第1処理フロー例における圧下終了時のアーム部のジャーナル部側表面を示す模式図である。 図10Aは、第1処理フロー例における第2金型の押し当て時のアーム部の側面を示す模式図である。 図10Bは、第1処理フロー例における圧下終了時のアーム部の側面を示す模式図である。 図11Aは、第1処理フロー例における第2金型の押し当て時のジャーナル部近傍の断面図(図8AのXIA−XIA断面図)である。 図11Bは、第1処理フロー例における圧下終了時のジャーナル部近傍の断面図(図8BのXIB−XIB断面図)である。 図12Aは、第1処理フロー例における第2金型の押し当て時のピン部近傍の断面図(図9AのXIIA−XIIA断面図)である。 図12Bは、第1処理フロー例における圧下終了時のピン部近傍の断面図(図9BのXIIB−XIIB断面図)である。 図13Aは、段差を設けない場合の余肉部の変形の起点を模式的に示す断面図である。 図13Bは、段差を設ける場合の余肉部の変形の起点を模式的に示す断面図である。 図14Aは、第1余肉部を押し潰す場合におけるアーム部のピン部側表面の形状例を模式的に示す斜視図である。 図14Bは、図14Aに示すアーム部のピン部側表面を示す図である。 図14Cは、図14Aに示すアーム部の側面を示す図である。 図14Dは、図14BのXIVD−XIVD断面図である。 図15Aは、第1余肉部を押し潰す場合における好適なアーム部のジャーナル部側表面の形状例を模式的に示す斜視図である。 図15Bは、図15Aに示すアーム部のジャーナル部側表面を示す図である。 図15Cは、図15BのXVC−XVC断面図である。 図16Aは、第1余肉部を押し潰す場合における好適なウエイト無しアーム部の形状例のピン部側表面を示す模式図である。 図16Bは、図16AのXVIB−XVIB断面図である。 図17Aは、第1余肉部を押し潰す場合の圧下工程の処理フロー例(第2処理フロー例)における第2金型の押し当て時のジャーナル部近傍の断面図である。 図17Bは、第2処理フロー例における圧下終了時のジャーナル部近傍の断面図である。 図18Aは、第2処理フロー例における第2金型の押し当て時のピン部近傍の断面図である。 図18Bは、第2処理フロー例における圧下終了時のピン部近傍の断面図である。 図19Aは、第1金型の圧下方向がピン部の偏心方向と垂直でない場合について、圧下前のアーム部のピン部側表面を示す模式図である。 図19Bは、第1金型の圧下方向がピン部の偏心方向と垂直でない場合について、圧下終了時のアーム部のピン部側表面を示す模式図である。
以下に、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
1.クランク軸の形状
本実施形態が対象とする鍛造クランク軸は、回転中心となるジャーナル部と、そのジャーナル部に対して偏心したピン部と、ジャーナル部とピン部をつなぐアーム部と、アーム部のうちの全部または一部が一体で有するウエイト部と、を備える。このような鍛造クランク軸として、例えば、図2A〜図4Bに示す鍛造クランク軸を採用できる。
図2A〜図2Dは、本発明の製造方法によるクランク軸について、アーム部のピン部側表面の形状例を示す模式図であり、図2Aは斜視図、図2Bはピン部側表面を示す図、図2Cは側面を示す図、図2DはIID−IID断面図である。図2A〜図2Dでは、クランク軸のアーム部のうちで、ウエイト部を一体で有するアーム部を1つだけ抽出して示す。なお、図2Cは、図2Bの破線矢印で示す方向からの投影図である。また、本発明において、ピン部の偏心方向のうちのピン部P側をトップ側(図2Bの符号T参照)、ウエイト部W側をボトム側(図2Bの符号B参照)という。
ウエイト部Wを有するアーム部Aは、図2A〜図2Dに示すように、ピン部P側の表面のうち、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの内側の領域Atに、凹みを有する。また、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdがピン部P側に張り出し、それらの両側部AcおよびAdの厚みは、凹みの厚みと比べ、厚肉である。ここで、側部とは、アーム部Aの幅方向(ピン部の偏心方向と垂直な方向)の側面およびその周辺部分を意味し、換言すると、アーム部Aの幅方向の端部を意味する。
このようなアーム部Aは、肉抜き部を有さないアーム部のように、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが厚く維持される。また、結果的にピン部P側の表面に凹みが形成されている。そのアーム部Aを備えるクランク軸では、アーム部Aのピン部P側表面の凹みによって軽量化を図ることができる。加えて、アーム部Aのジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが、肉抜き部を有さないアーム部のように維持されることにより、剛性の確保を図ることができる。換言すると、アーム部Aのジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが、凹みの厚みと比べ、厚肉であることにより、剛性の確保を図ることができる。
ここで、本発明者らが、剛性について検討したところ、内側領域Atの厚みは剛性への影響が小さいが、幅方向の両側部AcおよびAdの厚みは剛性への影響が大きいことが明らかになった。
具体的には、前述の特許文献1および2に記載されるような肉抜き部をアーム部のピン部側の表面に設ける場合、凹状の肉抜き部が幅方向の両側面まで広がる。このため、幅方向の両側部AcおよびAdの厚みも薄くなるので、剛性が低下する。これに対し、本実施形態に係るクランク軸は、ピン部P側表面の凹みが両側部の中間にのみ設けられる。さらに、幅方向の両側部AcおよびAdの厚みが肉抜き部を有さないアーム部のように厚く維持されるので、剛性の低下を抑制できる。その結果、本実施形態に係るクランク軸によれば、単に肉抜き部を設ける場合と比べ、剛性を効率的に確保でき、両側部AcおよびAdの内側の凹みの拡大によってさらなる軽量化を図ることができる。
ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが厚い部位は、剛性を効率的に確保する観点から、ピンスラスト部(図示なし)のボトム側の外縁からジャーナル部の中心に至る範囲を含むのが好ましい。ここで、ピンスラスト部とは、アーム部のピン部側表面に設けられ、コネクティングロッドのスラスト方向の移動を制限する部位である。
ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの内側領域Atの形状(凹みの底面形状)は、図2Dに示すように、幅方向の中央が膨らむような凸状であるのが好ましい。換言すると、内側領域Atの厚みは、幅方向の中央から遠ざかるに従って漸次減少するのが好ましい。凹みの底面形状は幅方向の中央が膨らむような凸状であるため、剛性、特に曲げ剛性をより向上できる。
続いて、ウエイト部を一体で有するアーム部Aにおけるジャーナル部J側表面の形状について、その好ましい態様を説明する。
図3A〜図3Cは、本発明の製造方法によるクランク軸について、好適なアーム部のジャーナル部側表面の形状例を示す模式図であり、図3Aは斜視図、図3Bはジャーナル部側表面を示す図、図3CはIIIC−IIIC断面図である。
ウエイト部Wを有するアーム部Aは、図3A〜図3Cに示すように、ジャーナル部J側の表面のうち、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの内側の領域Asに凹みを有するのが好ましい。また、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbがジャーナル部J側に張り出し、それらの両側部AaおよびAbの厚みは、凹みの厚みと比べ、厚肉であるのが好ましい。
これにより、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの厚みが、肉抜き部を有さないアーム部のように、厚く維持される。また、結果的にジャーナル部J側の表面に凹みが形成されている。このため、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの厚み維持によって剛性を確保できる。換言すると、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbが内側領域Asより厚肉であることにより、剛性を確保できる。また、ジャーナル部J側表面の凹みによってさらに軽量化を図ることができる。
ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの内側領域Asの形状(凹みの底面形状)は、図3Cに示すように、幅方向の中央が膨らむような凸状であるのが好ましい。換言すると、内側領域Asの厚みは、幅方向の中央から遠ざかるに従って漸次減少するのが好ましい。凹みの底面形状は幅方向の中央が膨らむような凸状であるため、剛性、特に曲げ剛性をより向上できる。
続いて、ウエイト部を有さないアーム部、すなわち、ウエイト無しアーム部について、その好ましい態様を説明する。
図4Aおよび図4Bは、本発明の製造方法によるクランク軸について、好適なウエイト無しアーム部の形状例を示す模式図であり、図4Aはピン部側表面を示す図、図4BはIVB−IVB断面図である。図4Aおよび図4Bでは、クランク軸のアーム部のうちで、ウエイト無しアーム部を1つだけ抽出して示す。
図4Aおよび図4Bに示すように、ウエイト無しアーム部Aは、前記図2A〜図2Dに示すウエイト部を一体で有するアーム部と同様に、ピン部P側の表面のうち、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの内側の領域Atに、凹みを有するのが好ましい。また、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdがピン部P側に張り出し、それらの両側部AcおよびAdの厚みは、凹みの厚みと比べ、厚肉であるのが好ましい。この場合、アーム部Aのジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みを、従来の肉抜き部を有さないアーム部のように維持することにより、剛性を確保できる。換言すると、アーム部Aのジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdが凹みより厚肉であることにより、剛性を確保できる。また、アーム部Aのピン部P側表面の凹みによってさらに軽量化を図ることができる。
ウエイト部を一体で有するアーム部と同様に、ウエイト無しアーム部Aにおいても、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの内側領域Atの形状(凹みの底面形状)は、図4Bに示すように、幅方向の中央が膨らむような凸状であるのが好ましい。凹みの底面形状は幅方向の中央が膨らむような凸状であるため、剛性、特に曲げ剛性をより向上できる。
また、図示を省略するが、ウエイト無しアーム部Aは、前記図3A〜図3Cに示すウエイト部を一体で有するアーム部と同様に、ジャーナル部J側の表面のうち、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの内側の領域Asに凹みを有するのが好ましい。また、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbがジャーナル部J側に張り出し、それらの両側部AaおよびAbの厚みは、凹みの厚みと比べ、厚肉であるのが好ましい。この場合、アーム部Aのピン部P近傍の両側部AaおよびAbの厚みを、肉抜き部を有さないアーム部のように維持することにより、剛性を確保できる。換言すると、アーム部Aのピン部P近傍の両側部AaおよびAbがその内側領域Asより厚肉であることにより、剛性を確保できる。また、アーム部Aのジャーナル部J側表面の凹みによってさらに軽量化を図ることができる。
図3Cに示すウエイト部を一体で有するアーム部のように、ウエイト無しアーム部Aにおいても、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの内側領域Asの形状(凹みの底面形状)は、幅方向の中央が膨らむような凸状であるのが好ましい。凹みの底面形状は幅方向の中央が膨らむような凸状であるため、剛性、特に曲げ剛性をより向上できる。
本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、鍛造材を圧下する圧下工程で、ウエイト部を一体で有するアーム部のジャーナル部近傍の側部の厚みを増加させる。また、圧下工程で、ウエイト部を一体で有するアーム部のピン部近傍の側部の厚みをさらに増加させてもよい。また、圧下工程で、ウエイト部を有さないアーム部において、ピン部近傍の側部およびジャーナル部近傍の側部のいずれか一方または両方で厚みを増加させてもよい。その圧下工程前のクランク軸のアーム部形状について、ウエイト部を一体で有する場合と、ウエイト部を有さない場合とを順に説明する。
図5A〜図5Cは、アーム部がウエイト部を一体で有する場合について、圧下工程前のピン部側表面の形状例を示す模式図であり、図5Aはピン部側表面を示す図、図5Bは側面を示す図、図5CはVC−VC断面図である。図5A〜図5Cでは、クランク軸のアーム部のうちで、ウエイト部を一体で有するアーム部を1つだけ抽出して示す。なお、図5Bは、図5Aの破線矢印で示す方向からの投影図である。
図5A〜図5Cに示すように、ウエイト部Wを有するアーム部Aは、圧下工程前に、ピン部P側の表面のうち、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの内側領域Atに、圧下工程後の凹みの底面形状と合致する表面形状を持つ。その表面形状はジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの領域まで滑らかに広がる。これにより、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みは、圧下工程後の厚みよりも薄い。
また、ウエイト部Wを有するアーム部Aは、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの外周にそれぞれ第1余肉部AcaおよびAdaを有する。その第1余肉部AcaおよびAdaは、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの外周から幅方向に沿って突出する。図5A〜図5Cに示す第1余肉部AcaおよびAdaは、板状であり、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの外周に沿って設けられる。第1余肉部AcaおよびAdaの厚みは、その根元の両側部AcおよびAdの厚みと比べ、同程度であるかまたは薄い。
図6Aおよび図6Bは、アーム部がウエイト部を一体で有する場合について、圧下工程前のジャーナル部側表面の形状例を示す模式図であり、図6Aはジャーナル部側表面を示す図、図6BはVIB−VIB断面図である。
前述の通り、ウエイト部Wを有するアーム部Aにおいて、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの厚みを厚くするとともに、ジャーナル部J側の表面に凹みを形成するのが好ましい。この場合、ウエイト部Wを有するアーム部Aは、ジャーナル部J側の表面のうち、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの内側領域に、圧下工程後(最終製品)の凹みの底面形状と合致する表面形状を持つ。その表面形状はピン部P近傍の両側部AaおよびAbの領域まで滑らかに広がる。これにより、両側部AaおよびAbの厚みは、圧下工程後の厚みよりも薄い。
また、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbには、それぞれの外周から突出する第2余肉部AaaおよびAbaが成形される。この第2余肉部AaaおよびAbaは、板状であり、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの外周に沿って設けられる。第2余肉部AaaおよびAbaの厚みは、その根元の両側部AaおよびAbの厚みと比べ、同程度であるかまたは薄い。
図7Aおよび図7Bは、ウエイト無しアーム部について、圧下工程前のピン部側表面の形状例を示す模式図であり、図7Aはピン部側表面を示す図、図7BはVIIB−VIIB断面図である。
前述の通り、ウエイト無しアーム部Aにおいて、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みを厚くするとともに、ピン部P側の表面に凹みを形成するのが好ましい。この場合、圧下工程前のウエイト無しアーム部Aは、前記図5A〜図5Cのウエイト部Wを有するアーム部Aと同様に、ピン部P側の表面のうち、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの内側領域Atに、圧下工程後の凹みの底面形状と合致する表面形状を持つ。また、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの外周にそれぞれ第1余肉部AcaおよびAdaを有し、その第1余肉部AcaおよびAdaは、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの外周から突出する。
前述の通り、ウエイト無しアーム部Aにおいて、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの厚みを厚くするとともに、ジャーナル部J側の表面に凹みを形成するのが好ましい。この場合、圧下工程前のウエイト無しアーム部Aは、ウエイト部Wを有するアーム部Aと同様に、ジャーナル部J側の表面のうち、ピン部P近傍の両側部の内側領域に、圧下工程後(最終製品)の凹部の底面形状と合致する表面形状を持つ(図示なし)。また、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの外周に第2余肉部AaaおよびAbaを有し、その第2余肉部AaaおよびAbaは、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの外周から突出する。
2.鍛造クランク軸の製造方法
本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、型鍛造工程と、圧下工程とをその順で含む。後述の第1工程例のように、型鍛造工程と圧下工程の間に、バリ抜き工程を追加してもよい。あるいは、後述の第2工程例のように、圧下工程の後工程として、バリ抜き工程を追加してもよい。あるいは、後述の第3工程例のように、バリ抜き工程において、圧下工程を実施することもできる。
型鍛造工程の前工程として、例えば、予備成形工程を追加できる。型鍛造工程と圧下工程の間に、バリ抜き工程を追加する場合、圧下工程の後工程として、例えば、整形工程を追加できる。あるいは、整形工程において、圧下工程を実施することもできる。なお、ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程と整形工程の間に、捩り工程が追加される。これらの工程は、いずれも、熱間で一連に行われる。
[第1工程例]
型鍛造工程と圧下工程の間にバリ抜き工程を追加する場合の工程例について、以下に説明する。
予備成形工程は、例えば、ロール成形工程と曲げ打ち工程とで構成できる。ロール成形工程および曲げ打ち工程では、ビレット(原材料)の体積を配分し、曲げ荒地を成形する。
型鍛造工程では、クランク軸の形状に成形されたバリ付きの鍛造材を得る。その鍛造材には、例えば、前記図5A〜図5Cに示すバリ無し鍛造材と同様に、ジャーナル部J、ピン部Pおよびアーム部Aの形状が成形されている。また、鍛造材は、ウエイト部Wを一体で有するアーム部Aにおいて、ジャーナル部J近傍の側部AcおよびAdの外周から突出する第1余肉部AcaおよびAdaを有する。鍛造材は、アーム部Aにおいて、ピン部P近傍の側部AaおよびAbの外周から突出する第2余肉部AaaおよびAbaを有してもよい。
このような鍛造材を得る型鍛造工程は、荒打ち工程および仕上げ打ち工程をその順で設けることによって構成できる。
型鍛造工程の型抜き勾配は、アーム部のピン部P側表面における両側部の内側領域Atに対応する部位および第1余肉部Aca、Adaに対応する部位のいずれでも、逆勾配にならない。このため、荒打ちと仕上げ打ちのいずれの型鍛造も、支障なく行え、鍛造材を得ることができる。
同様の理由により、前記図3A〜図3Cまたは図6Aおよび図6Bに示すように、ウエイト部Wを有するアーム部Aにおいて、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの厚みを厚くするとともに、ジャーナル部J側の表面に凹みを形成する場合も、逆勾配が生じない。また、ウエイト無しアーム部Aにおいて、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みを厚くするとともに、ピン部P側の表面に凹みを形成する場合も、逆勾配が生じない。さらに、ウエイト無しアーム部Aにおいて、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの厚みを厚くするとともに、ジャーナル部J側の表面に凹みを形成する場合も、逆勾配が生じない。これらの場合も、荒打ちと仕上げ打ちのいずれの型鍛造も、支障なく行える。
バリ抜き工程では、バリ付きの鍛造材を例えば一対の金型によって挟んで保持した状態で、バリを打ち抜くことにより、鍛造材からバリを除去する。これにより、バリ無し鍛造材を得ることができる。
圧下工程では、得られたバリ無し鍛造材を一対の第1金型で圧下する。その際、第1余肉部を第1金型で圧下して変形させることにより、第1余肉部をアーム部のピン部側に張り出させる。これにより、アーム部のジャーナル部近傍の側部において、厚みを増加させる。また、バリ無し鍛造材が第2余肉部を有する場合、圧下の際に、第2余肉部をアーム部のジャーナル部側に張り出させる。これにより、アーム部のピン部近傍の側部において、厚みを増加させる。圧下工程の処理フローについては、後述する。
また、整形工程では、バリ無し鍛造材を一対の金型で圧下し、最終製品の寸法形状に矯正する。前述の通り、圧下工程は、整形工程で実施できる。従来と同様の製造工程を採用できるので、圧下工程は、整形工程で実施するのが好ましい。
ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後(整形工程の前)に、捩り工程でピン部の配置角度を調整する。このような工程により、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法では、鍛造クランク軸を得る。
[第2工程例]
圧下工程の後工程として、バリ抜き工程を追加する場合の工程例について、以下に説明する。
型鍛造工程の前工程として、第1工程例と同様の予備成形工程を追加できる。型鍛造工程では、クランク軸の形状に成形されたバリ付きの鍛造材を得る。その鍛造材は、第1工程例と同様に、第1余肉部を有している。鍛造材は、さらに、第2余肉部を有してもよい。このような鍛造材を得る型鍛造工程は、従来の製造工程の荒打ち工程に相当する。
圧下工程では、得られたバリ付き鍛造材を一対の第1金型で圧下する。その際、第1余肉部を第1金型で圧下して変形させることにより、第1余肉部をアーム部のピン部側に張り出させる。また、鍛造材が第2余肉部を有する場合、圧下の際に、第2余肉部をアーム部のジャーナル部側に張り出させる。加えて、第1金型で圧下する際に、バリ付き鍛造材を最終製品と合致する形状に成形する。この場合の圧下工程は、従来の製造工程の仕上げ打ち工程に相当する。
続くバリ抜き工程では、圧下工程後の鍛造材から、第1工程例と同様にバリを除去することにより、バリ無し鍛造材を得る。必要に応じ、バリ抜き工程の後に、整形工程を実施してもよい。また、ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後(整形工程の前)に、捩り工程でピン部の配置角度を調整する。
[第3工程例]
バリ抜き工程において、圧下工程を実施する場合の工程例について、以下に説明する。
型鍛造工程の前工程として、第1工程例と同様の予備成形工程を追加できる。型鍛造工程では、第1工程例と同様に、クランク軸の形状に成形されたバリ付きの鍛造材を得る。型鍛造工程は、荒打ち工程および仕上げ打ち工程をその順で設けることによって構成できる。その鍛造材は、第1工程例と同様に、第1余肉部を有している。鍛造材は、さらに、第2余肉部を有してもよい。
バリ抜き工程で圧下工程を実施する場合、バリ付きの鍛造材を一対の第1金型によって挟んで保持する。その際、バリ付きの鍛造材を圧下し、第1余肉部を変形させることにより、第1余肉部をアーム部のピン部側に張り出させる。また、鍛造材が第2余肉部を有する場合、併せて、第2余肉部をアーム部のジャーナル部側に張り出させる。続いて、鍛造材を一対の第1金型で保持した状態で、刃物型でバリを打ち抜くことにより、鍛造材からバリを除去する。必要に応じ、バリ抜き工程の後に、整形工程を実施してもよい。また、ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後(整形工程の前)に、捩り工程でピン部の配置角度を調整する。
3.圧下工程の処理フロー例
圧下工程では、前述の通り、余肉部を第1金型で圧下することにより、アーム部の側部で厚みを増加させる。この余肉部の変形態様は、折り曲げまたは押し潰しとなる。
[第1処理フロー例]
先ず、圧下工程で余肉部を折り曲げる場合の処理フロー例(第1処理フロー例)を説明する。なお、第1処理フロー例は、前記第1工程例での圧下工程の処理フローである。
図8A〜12Bは、ウエイト部を一体で有するアーム部について、圧下工程で第1余肉部を折り曲げる場合の処理フロー例を示す模式図である。そのうちの図8Aおよび図8Bは、アーム部のピン部側表面を示し、図8Aは第2金型の押し当て時、図8Bは圧下終了時を示す。また、図9Aおよび図9Bは、アーム部のジャーナル部側表面を示し、図9Aは第2金型の押し当て時、図9Bは圧下終了時を示す。図8A〜図9Bには、バリ無し鍛造材30と、上下で一対の第1金型10とを示し、図面の理解を容易にするため、後述する第2金型、第3金型および治具の図示を省略する。
図10Aおよび図10Bは、アーム部の側面を示す図であり、図10Aは第2金型の押し当て時、図10Bは圧下終了時をそれぞれ示す。図10Aおよび図10Bには、バリ無し鍛造材30と、押し当て時の第2金型22と、第3金型23と、治具26とを示し、図面の理解を容易にするため、第1金型の図示を省略する。また、図10Aには、退避時の第2金型22を二点鎖線で示す。
図11Aおよび図11Bは、ジャーナル部近傍の断面図であり、図11Aは第2金型の押し当て時のXIA−XIA断面図(図8A参照)、図11Bは圧下終了時のXIB−XIB断面図(図8B参照)である。図11Aおよび図11Bには、バリ無し鍛造材30と、一対の第1金型11および12と、第2金型22とを示す。
図12Aおよび図12Bは、ピン部近傍の断面図であり、図12Aは第2金型の押し当て時のXIIA−XIIA断面図(図9A参照)、図12Bは圧下終了時のXIIB−XIIB断面図(図9B参照)である。図12Aおよび図12Bには、バリ無し鍛造材30と、一対の第1金型11および12と、第3金型23とを示す。
圧下工程では、一対の第1金型10を用いる。第1金型10は、上型11と下型12とで構成され、上型11および下型12には、それぞれ型彫刻部が彫り込まれている。その型彫刻部には、クランク軸の最終製品形状のうちの一部が反映される。具体的には、ウエイト部を一体で有するアーム部において、第1余肉部AcaおよびAdaを折り曲げるため、アーム部の両側部のうちでジャーナル部近傍の形状が型彫刻部に反映される。また、型彫刻部のうちで第1余肉部の折り曲げに寄与する部位は、第1余肉部と対向する傾斜面11aおよび12aを有する。その傾斜面11aおよび12aは、第1余肉部をピン部側表面に向けて案内するように傾斜する(図11A参照)。
また、ウエイト部を一体で有するアーム部に第2余肉部AaaおよびAbaをさらに設ける場合、その第2余肉部を折り曲げるため、アーム部の両側部のうちでピン部近傍の形状が型彫刻部にさらに反映される。また、型彫刻部のうちで第2余肉部の折り曲げに寄与する部位は、第2余肉部と対向する傾斜面11bおよび12bを有する。その傾斜面11bおよび12bは、第2余肉部をジャーナル部側表面に向けて案内するように傾斜する(図12A参照)。
図示を省略するが、ウエイト無しアーム部に第1余肉部AcaおよびAdaをさらに設ける場合、その第1余肉部を折り曲げるため、アーム部の両側部のうちでジャーナル部近傍の形状が型彫刻部にさらに反映される。また、型彫刻部のうちで第1余肉部の折り曲げに寄与する部位は、第1余肉部と対向する傾斜面を有する。その傾斜面は、第1余肉部をピン部側表面に向けて案内するように傾斜する。
ウエイト無しアーム部に第2余肉部AaaおよびAbaをさらに設ける場合、その第2余肉部を折り曲げるため、アーム部の両側部のうちでピン部近傍の形状が型彫刻部にさらに反映される。また、型彫刻部のうちで第2余肉部の折り曲げに寄与する部位は、第2余肉部と対向する傾斜面を有する。その傾斜面は、第2余肉部をジャーナル部側表面に向けて案内するように傾斜する。
圧下工程を整形工程で実施する場合、上述の両側部以外のアーム部形状がさらに型彫刻部に反映される。また、ジャーナル部およびピン部等の形状も型彫刻部に反映される。
ただし、図11Aおよび図11Bに示すように、第1金型11および12では、アーム部Aのピン部P側表面における両側部の内側領域Atに対応する部位が開放される。この開放された部分には、第2金型22を収容してもよい。第2金型22には、型彫刻部が彫り込まれており、その型彫刻部には、アーム部Aのピン部P側表面の凹み形状が反映される。また、第2金型22は、第1金型10から独立し、アーム部表面における両側部の内側領域Atに対して接触したり離間したりするように進退移動が可能である。
ここで、第2金型22は、隣り合うアーム部の間に配置され、その配置スペースは狭小となる。そこで、第2金型22は、図10Aおよび図10Bに示すように、ピン部の偏心方向に沿って移動可能な治具26と連結する構成を採用してもよい。この構成について、以下に詳述する。
第2金型22の進退移動を実現するため、第2金型22は、案内部材(図示なし)によって案内方向(図10Aの実線矢印参照)に沿って移動可能に保持される。また、第2金型22は、スライド方向(図10Aの破線矢印参照)に沿ってスライド可能な状態で治具26と連結される。治具26は、油圧シリンダ等と連結され、その動作に伴ってピン部の偏心方向(図10Aのハッチングを施した矢印参照)に沿って移動可能である。
このように治具26と第2金型22とを連結すれば、治具26がピン部の偏心方向に沿って移動するのに伴い、第2金型22が押し当て時の位置から退避時の位置に至る区間を案内方向(同図の実線矢印参照)に沿って移動する。その際、第2金型22は、治具26に対してスライド方向(同図の破線矢印参照)に相対移動する。
第2金型22は、上述の進退移動に加えて、第1金型10の圧下方向に移動可能としてもよい。第2金型22の圧下方向への移動は、スプリングまたは油圧シリンダ等の手段によって適宜実行される。その圧下方向へ移動させる手段は、進退移動の駆動源とは別個に設けられる。
ウエイト部を一体で有するアーム部に第2余肉部を設ける場合、第1金型10では、図12Aおよび図12Bに示すように、アーム部Aのジャーナル部J側表面における両側部の内側領域Asに対応する部位が開放される。この開放された部分には、第3金型23を収容してもよい。第3金型23には、型彫刻部が彫り込まれており、その型彫刻部には、アーム部Aのジャーナル部J側表面の凹み形状が反映される。この第3金型23は、進退移動が可能であり、その進退移動は連結される油圧シリンダ等の動作によって実現される。また、第3金型23は、第2金型と同様に、第1金型10の圧下方向に移動可能としてもよい。
図示を省略するが、ウエイト無しアーム部に第1余肉部を設ける場合、第1金型11および12では、アーム部Aのピン部P側表面における両側部の内側領域Atに対応する部位が開放される。この開放された部分には、前述の第2金型22と同様の第4金型を収容してもよい。また、ウエイト無しアーム部に第2余肉部を設ける場合、第1金型11および12では、アーム部Aのジャーナル部J側表面における両側部の内側領域Asに対応する部位が開放される。この開放された部分には、前述の第3金型23と同様の第5金型を収容してもよい。
このような第1金型10を用いる本実施形態の圧下工程の処理フロー例を説明する。先ず、第1金型10の上型11と下型12とを離間させ、その状態でバリ除去後のバリ無し鍛造材30を上型11と下型12の間に配置する。第2金型〜第5金型を用いる場合、バリ無し鍛造材30を配置する前に、第2金型〜第5金型を後退させて退避させる。
次いで、第2金型〜第5金型を用いる場合、第2金型〜第5金型をそれぞれ進出させ、図10A、図11Aおよび図12Aに示すように、アーム部Aの各表面に押し付ける。これにより、アーム部Aの各表面をそれぞれ保持する。ただし、アーム部の表面のうちで、第1余肉部AcaおよびAdaが設けられたジャーナル部近傍の両側部の領域と、第2余肉部AaaおよびAbaが設けられたピン部近傍の両側部の領域とについては、第2金型〜第5金型のいずれも押し当てない(図11Aおよび図12A参照)。それらの領域に金型を押し当てて保持すると、ジャーナル部近傍およびピン部近傍の両側部で厚みを増加させることが不可能となるからである。
この状態で、第1金型10の上型11と下型12とが近接するように移動させ、より具体的には、上型11を下死点まで下降させる。これにより、バリ無し鍛造材30が第1金型10によって圧下される。その圧下の際に、図11Bに示すように、第1余肉部AcaおよびAdaを第1金型10の型彫刻部の傾斜面に沿ってアーム部Aのピン部P側表面に向けて折り曲げ、第1余肉部AcaおよびAdaをピン部P側に張り出させる。その結果、アーム部のジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが増加する。このため、得られるクランク軸は、アーム部のジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdで厚みが厚くなる。
同様に、ウエイト部を一体で有するアーム部に第2余肉部を設ける場合、圧下の際に、第1金型10で第2余肉部AaaおよびAbaをアーム部Aのジャーナル部J側表面に向けて折り曲げる。これにより、第2余肉部AaaおよびAbaをジャーナル部J側に張り出させ、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbで厚みを増加させる。
図示を省略するが、ウエイト無しアーム部に第1余肉部を設ける場合、圧下の際に、第1金型10で第1余肉部をアーム部Aのピン部P側表面に向けて折り曲げる。これにより、第1余肉部をピン部P側に張り出させ、アーム部のジャーナル部J近傍の両側部で厚みを増加させる。また、ウエイト無しアーム部に第2余肉部を設ける場合、圧下の際に、第1金型10で第2余肉部をアーム部Aのジャーナル部J側表面に向けて折り曲げる。これにより、第2余肉部をジャーナル部J側に張り出させ、ピン部P近傍の両側部で厚みを増加させる。
圧下工程を整形工程で実施する場合、圧下の際にクランク軸の形状をさらに矯正し、最終製品形状とする。
続いて、第1金型の上型11と下型12とを離間させ、より具体的には、上型11を上死点まで上昇させる。第2金型〜第5金型を用いる場合、上型11と下型12とを離間させさせる前に、第2金型〜第5金型をそれぞれ後退させて退避させる。上型11と下型12とを離間させた状態で、加工済みのバリ無し鍛造材30を搬出する。
このような本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法によれば、ウエイト部を一体で有するアーム部Aにおいて、ジャーナル部J近傍の側部AcおよびAdの厚みを厚くしながら、ピン部P側の表面に凹みを設けることが可能となる。このため、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、軽量化と剛性確保を同時に図った鍛造クランク軸を製造することができる。
また、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、第1金型10によって第1余肉部AcaおよびAdaを折り曲げる。または、後述するように、第1金型10によって第1余肉部AcaおよびAdaを押し潰す。これにより、アーム部のジャーナル部近傍の側部AcおよびAdの厚みを増加させる。このため、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、多大な力を要することなく簡便に行える。
図2A〜図2Dに示すアーム部Aでは、ピン部P側表面に凹みを設ける範囲は、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが厚い部位の範囲と同じである。ここで、範囲は、ピン部の偏心方向の範囲を意味する。ピン部P側表面に凹みを設ける範囲は、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが厚い部位の範囲と、異なってもよい。折り曲げを確実に行う観点から、ピン部P側表面の凹みは、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが厚い部位に応じ、その厚みが厚い部位の範囲と一致するように配置するのが好ましい。
第1金型10が余肉部Aaa、Aba、AcaおよびAdaと当接する傾斜面を有する場合、傾斜面の角度α(図11A参照)は、3〜20°とするのが好ましい。ここで、傾斜面の角度αは、型割面と傾斜面がなす角度である。傾斜面の角度αを3°以上とすることにより、折り曲げを促進でき、折り曲げの際に凹み形状が変形するのを抑制できる。また、傾斜面の角度αを20°以下とすることにより、折り曲げによってアーム部の両側部の厚みを容易に確保でき、剛性の確保と軽量化を促進できる。
折り曲げを促進する観点から、圧下工程前のアーム部は、余肉部の変形、すなわち折り曲げの起点を有するのが好ましい。
図13Aおよび図13Bは、折り曲げの起点を模式的に示す断面図であり、図13Aは起点に段差を設けない場合、図13Bは起点に段差を設ける場合を示す。図13Aおよび図13Bは、いずれも、図5AのVC−VC位置に相当する位置での断面図である。図13Aおよび図13Bには、ジャーナル部J近傍における圧下工程前のアーム部Aの断面形状を示す。図13Aおよび図13Bに示すアーム部Aは、いずれも、圧下工程前に、ピン部P側の表面のうち、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの内側領域Atに、圧下工程後の凹みの底面形状と合致する表面形状を持つ。その内側領域Atにおける勾配(°)は、アーム部中心面(図13Aの符号S参照)から遠ざかるのに従って連続的に大きくなる。その表面形状はジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの領域まで広がる。その両側部AcおよびAdの領域における勾配(°)は一定である。
ここで、勾配(単位:°、θaおよびθb参照)は、アーム部の表面が、ジャーナル部の軸心と垂直な平面となす角度である。また、アーム部中心面は、ジャーナル部の軸心とピン部の軸心とを含む平面である。
図13Aに示すアーム部Aは、ピン部P側の表面に起点Oを有する。その起点Oでは、アーム部中心面からの距離と勾配の関係が不連続となる。このような起点Oを有すれば、起点Oで第1余肉部AcaおよびAdaが折り曲がりやすくなり、折り曲げを促進でき、折り曲げの際に凹み形状が変形するのを抑制できる。
アーム部中心面から起点Oまでの距離d1(単位:mm、図13A参照)は、アーム部中心面から第1余肉部AcaおよびAdaの根元(点B)までの距離d2(単位:mm、図13B参照)より小さいのが好ましい。これにより、起点Oよりアーム部の側面側の部位のみが折れ曲がりやすくなり、折り曲げの際に凹み形状が変形するのを抑制できる。ここで、第1余肉部AcaおよびAdaの根元(点B)は、アーム部Aのジャーナル部J側の表面における第1余肉部AcaおよびAdaの根元であり、例えば、ジャーナルスラスト部の外縁に設定できる。この場合、距離d2は、例えば、ジャーナルスラスト部の半径(mm)となる。
アーム部中心面側における起点Oの勾配θa(°)は、アーム部の側面側における起点の勾配θb(°)以下であるのが好ましい。これにより、第1余肉部の厚みが薄くなるので、起点Oよりアーム部中心面側の部位が変形し難くなる。このため、起点Oよりアーム部の側面側の部位のみが折れ曲がりやすくなり、折り曲げを促進でき、折り曲げの際に凹み形状が変形するのを抑制できる。
折り曲げの起点Oにおいて、図13Bに示すように、厚さを階段状に薄くすることによって段差を形成してもよい。これによっても、起点Oよりアーム部の側面側の部位のみが折れ曲がりやすくなり、折り曲げを促進でき、折り曲げの際に凹み形状が変形するのを抑制できる。
[第2処理フロー例]
圧下工程で第1余肉部の変形を押し潰しで行う場合について、クランク軸の形状および処理フロー例(第2処理フロー例)を以下に説明する。押し潰す場合のクランク軸の形状および処理フロー例は、前述の折り曲げる場合と基本構成が同じであるので、共通する部分の説明を適宜省略し、異なる部分について主に説明する。
第1余肉部を押し潰す場合、アーム部の側面の形状が、折り曲げる場合と比べ、異なる。このことを図面を参照しながら以下に説明する。
図14A〜図14Dは、第1余肉部を押し潰す場合におけるアーム部のピン部側表面の形状例を示す模式図であり、図14Aは斜視図、図14Bはピン部側表面を示す図、図14Cは側面を示す図、図14DはXIVD−XIVD断面図である。図14A〜図14Dに示すアーム部Aのピン部P側表面の形状は、前記図2A〜図2Dに示すアーム部Aと同じである。押し潰す場合、図14Dに示すように、アーム部Aのうちでジャーナル部J近傍の側面が、傾斜することなく、アーム部中心面とほぼ平行である。
図15A〜図15Cは、第1余肉部を押し潰す場合における好適なアーム部のジャーナル部側表面の形状例を示す模式図であり、図15Aは斜視図、図15Bはジャーナル部側表面を示す図、図15CはXVC−XVC断面図である。図15A〜図15Cに示すアーム部Aのジャーナル部J側表面の形状は、前記図3A〜図3Cに示すアーム部Aと同じである。押し潰す場合、図15Cに示すように、アーム部Aのうちのピン部P近傍の側面が、傾斜することなく、アーム部中心面とほぼ平行である。
図16Aおよび図16Bは、第1余肉部を押し潰す場合における好適なウエイト無しアーム部の形状例を示す模式図であり、図16Aはピン部側表面を示す図、図16BはXVIB−XVIB断面図である。図16Aおよび図16Bに示すアーム部Aのピン部P側表面の形状は、図4Aおよび図4Bに示すアーム部Aと同じである。押し潰す場合、図16Bに示すように、アーム部Aのうちのジャーナル部J近傍の側面が、傾斜することなく、アーム部中心面とほぼ平行である。
前述の通り、ウエイト無しアーム部Aは、前記図15A〜図15Cに示すウエイト部を一体で有するアーム部と同様に、ジャーナル部J側の表面のうち、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbの内側領域Asに凹みを有するのが好ましい。押し潰しの場合、ウエイト無しアーム部Aにおいて、ジャーナル部J近傍の側面は、傾斜することなく、アーム部中心面とほぼ平行となる。
押し潰しの際に第1余肉部の変形を促進する観点から、圧下工程前のアーム部は、余肉部の変形、すなわち押し潰しの起点を有するのが好ましい。押し潰しの起点は、前記図13Aおよび図13Bに示すような折り曲げの起点と、同様の形態を採用できる。
押し潰しの場合には、アーム部中心面側における起点Oの勾配θa(°)は、アーム部の側面側における起点の勾配θb(°)以上であるのが好ましい(前記図13A参照)。これにより、第1余肉部の厚みが厚くなるので、起点Oよりアーム部側面側の部位がジャーナル部側に変形し難くなる。このため、起点Oよりアーム部の側面側の部位を安定してピン部側に張り出させることができる。
図17A〜図18Bは、圧下工程で第1余肉部を押し潰す場合の処理フロー例を示す模式図である。そのうちの図17Aおよび図17Bは、ジャーナル部近傍の断面図であり、図17Aは第2金型の押し当て時、図17Bは圧下終了時を示す。図17Aおよび図17Bには、バリ無し鍛造材30と、一対の第1金型11および12と、第2金型22とを示す。
図18Aおよび図18Bは、ピン部近傍の断面図であり、図18Aは第2金型の押し当て時、図18Bは圧下終了時を示す。図18Aおよび図18Bには、バリ無し鍛造材30と、一対の第1金型11および12と、第3金型23とを示す。
図17A〜図18Bに示す押し潰す場合の第2処理フロー例は、前述の折り曲げる場合(第1処理フロー例)と、基本構成が同じである。このため、潰す場合の処理フロー例において、ピン部側表面を示す図は、図8Aおよび図8Bと同じとなることから、省略する。また、ジャーナル部側表面を示す図は、図9Aおよび図9Bと同じとなることから、省略する。アーム部の側面を示す図も、図10Aおよび図10Bと同じとなることから、省略する。なお、図17Aは、図8AのXIA−XIA位置の断面図に相当し、図17Bは、図8BのXIB−XIB位置の断面図に相当する。また、図18Aは、図9AのXIIA−XIIA位置の断面図に相当し、図18Bは、図9BのXIIB−XIIB位置の断面図に相当する。
押し潰す場合でも、第1金型10を構成する上型11と下型12には、それぞれ型彫刻部が彫り込まれる。また、ウエイト部を一体で有するアーム部において、第1余肉部を押し潰すため、アーム部の両側部のうちでジャーナル部近傍の形状が型彫刻部に反映される。型彫刻部のうちで第1余肉部の押し潰しに寄与する部位は、傾斜することなく、型割面とほぼ平行である。ウエイト部を一体で有するアーム部にさらに第2余肉部を設ける場合、ウエイト無しアーム部に第1余肉部を設ける場合、および、ウエイト無しアーム部に第2余肉部を設ける場合のいずれでも、押し潰しに寄与する部位は、傾斜することなく、型割面とほぼ平行である。
バリ無し鍛造材30を第1金型10によって圧下する際、図17Bに示すように、第1余肉部AcaおよびAdaを押し潰す。これに伴い、第1余肉部AcaおよびAdaを第1金型10の型彫刻部に沿う形状に変形させ、第1余肉部AcaおよびAdaをピン部P側に張り出させる。その結果、アーム部のジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが増加する。このため、得られるクランク軸は、アーム部のジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdで厚みが厚くなる。
ウエイト部を一体で有するアーム部に第2余肉部を設ける場合、圧下の際に、第1金型10で第2余肉部AaaおよびAbaを押し潰す。これにより、第2余肉部AaaおよびAbaを第1金型10の型彫刻部に沿ってジャーナル部J側に張り出させ、ピン部P近傍の両側部AaおよびAbで厚みを増加させる。
図示を省略するが、ウエイト無しアーム部に第1余肉部をさらに設ける場合、圧下の際に、第1金型10で第1余肉部を押し潰す。これにより、第1余肉部をピン部P側に張り出させ、アーム部のジャーナル部J近傍の両側部で厚みを増加させる。また、ウエイト無しアーム部に第2余肉部をさらに設ける場合、圧下の際に、第1金型10で第2余肉部を押し潰す。これにより、第2余肉部AaaおよびAbaをジャーナル部J側に張り出させ、ピン部P近傍の両側部で厚みを増加させる。
図14A〜図14Dに示すアーム部Aでは、ピン部P側表面に凹みを設ける範囲は、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが厚い部位の範囲と同じである。ピン部P側表面に凹みを設ける範囲は、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが厚い部位の範囲と、異なってもよい。押し潰し時の変形の安定性を確保する観点から、ピン部P側表面の凹みは、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの厚みが厚い部位に応じ、その厚みが厚い部位の範囲と一致するように配置するのが好ましい。押し潰しの際に両側部の直近に凹みが存在することで凹みより側部側のみが、具体的には、両側部および第1余肉部のみが容易に変形可能となるためである。
4.好ましい態様等
クランク軸(最終製品)がウエイト部を一体で有するアーム部(以下、「ウエイト付きアーム部」ともいう)を複数備える場合、鍛造材において、ウエイト付きアーム部の全部が第1余肉部を有してもよく、ウエイト付きアーム部の一部が第1余肉部を有してもよい。第1余肉部を設けるウエイト付きアーム部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
複数のウエイト付きアーム部を備えるクランク軸(最終製品)において、鍛造材のウエイト付きアーム部に第2余肉部を設ける場合、鍛造材のウエイト付きアーム部の全部が第2余肉部を有してもよく、ウエイト付きアーム部の一部が第2余肉部を有してもよい。また、図5Aに示すように、同一のウエイト付きアーム部が第1余肉部および第2余肉部をともに有してもよく、第1余肉部を有するウエイト付きアーム部と別のウエイト付きアーム部が第2余肉部を有してもよい。第2余肉部を設けるウエイト付きアーム部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
複数のウエイト部を有さないアーム部(ウエイト無しアーム部)を備えるクランク軸(最終製品)において、鍛造材のウエイト無しアーム部に第1余肉部を設ける場合、鍛造材のウエイト無しアーム部の全部が第1余肉部を有してもよく、ウエイト無しアーム部の一部が第1余肉部を有してもよい。第1余肉部を設けるウエイト無しアーム部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
複数のウエイト無しアーム部を備えるクランク軸(最終製品)において、鍛造材のウエイト無しアーム部に第2余肉部を設ける場合、鍛造材のウエイト無しアーム部の全部が第2余肉部を有してもよく、ウエイト無しアーム部の一部が第2余肉部を有してもよい。また、図7Aに示すように、同一のウエイト無しアーム部が第1余肉部および第2余肉部をともに有してもよく、第1余肉部を有するウエイト無しアーム部と別のウエイト無しアーム部が第2余肉部を有してもよい。第2余肉部を設けるウエイト無しアーム部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
前述の形状例および処理フロー例のように、ウエイト付きアーム部は、第1余肉部(Aca、Ada)をジャーナル部近傍の両方の側部(両側部AcおよびAd)に有してもよく、あるいは、第1余肉部(Aca、Ada)をジャーナル部近傍の一方の側部(AcまたはAd)に有してもよい。ウエイト付きアーム部が第1余肉部をジャーナル部近傍の一方の側部(AcまたはAd)に有する場合であっても、その第1余肉部をピン部側に張り出させることにより、圧下工程後のアーム部の一方の側部で厚みを増加できる。このため、軽量化しつつ、剛性を確保できる。第1余肉部を設けるジャーナル部近傍の側部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
ウエイト付きアーム部がピン部近傍の側部(Aa、Ab)に第2余肉部(Aaa、Aba)を有する場合、前述の形状例および処理フロー例のように、両方の側部(両側部AaおよびAb)に有してもよく、あるいは、一方の側部(AaまたはAb)に有してもよい。ウエイト付きアーム部が第2余肉部をピン部近傍の一方の側部(AaまたはAb)に有する場合であっても、その第2余肉部をジャーナル部側に張り出させることにより、圧下工程後のアーム部の一方の側部で厚みを増加できる。このため、軽量化しつつ、剛性を確保できる。第2余肉部を設けるピン部近傍の側部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
ウエイト無しアーム部のジャーナル部近傍の側部(Ac、Ad)に第1余肉部(Aca、Ada)を有する場合、前述の形状例および処理フロー例のように、両方の側部(両側部AcおよびAd)に有してもよく、あるいは、一方の側部(AcまたはAd)に有してもよい。ウエイト無しアーム部が第1余肉部をジャーナル部近傍の一方の側部(AcまたはAd)に有する場合であっても、その第1余肉部をピン部側に張り出させることにより、圧下工程後のアーム部の一方の側部で厚みを増加できる。このため、軽量化しつつ、剛性を確保できる。第1余肉部を設けるジャーナル部近傍の側部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
ウエイト無しアーム部のピン部近傍の側部(Aa、Ab)に第2余肉部(Aaa、Aba)を有する場合、前述の形状例および処理フロー例のように、両方の側部(両側部AaおよびAb)に有してもよく、一方の側部(AaまたはAb)に有してもよい。ウエイト無しアーム部が第2余肉部をピン部近傍の一方の側部(AaまたはAb)に有する場合であっても、その第2余肉部をジャーナル部側に張り出させることにより、圧下工程後のアーム部の一方の側部で厚みを増加できる。このため、軽量化しつつ、剛性を確保できる。第2余肉部を設けるピン部近傍の側部は、例えば、アーム部に要求される曲げ剛性やねじり剛性、剛性が必要な部位に基づいて、適宜決定できる。
前述の通り、ウエイト部Wを有するアーム部Aは、第1余肉部AcaおよびAdaをジャーナル部近傍の両側部AcおよびAdに有してもよい。この場合、圧下工程では、図10A〜図11Bに示すように、ウエイト部Wを有するアーム部Aについて、そのピン部P側の表面のうちでジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdの領域を少なくとも除く表面を、第2金型22の押し当てにより保持するのが好ましい。これにより、アーム部Aのピン部P側表面の凹み形状を精密に仕上げることができる。ただし、第2および第3工程例のように、圧下工程に供される鍛造材にバリが付いている場合、第2金型22は適用できない。
また、ウエイト部Wを有するアーム部Aは、第1余肉部(Aca、Ada)をジャーナル部近傍の側部AcおよびAdの一方に有してもよい。この場合、ジャーナル部J近傍の両側部AcおよびAdのうちで外周から第1余肉部が突出する側部の領域を少なくとも除くアーム部Aのピン部P側の表面を、第2金型22の押し当てにより保持するのが好ましい。これにより、アーム部Aのピン部P側表面の凹み形状を精密に仕上げることができる。
圧下工程で第2金型22を用いる場合、第1金型10の圧下に追従して第2金型22を第1金型10の圧下方向に移動させ、アーム部Aへの第2金型22の押し当て位置を一定の位置に維持するのが好ましい。これにより、ピン部P側表面の凹み形状をさらに精密に仕上げることができる。
ウエイト部を一体で有するアーム部において、型鍛造工程では、前述の第2余肉部をさらに成形し、圧下工程では、第1金型で第2余肉部を変形させ、ピン部P近傍の側部(AaおよびAb)の一方または両方で厚みを増加させるのが好ましい。これにより、剛性を確保しながら、さらに軽量化を図ることができる。この場合、ジャーナル部J側表面の凹み形状を精密に仕上げる観点から、前述の第3金型を用いるのが好ましい。ただし、第2および第3工程例のように、圧下工程に供される鍛造材にバリが付いている場合、第3金型は適用できない。
ウエイト無しアーム部において、型鍛造工程では、前述の第1余肉部をさらに成形し、圧下工程では、第1金型で第1余肉部を変形させ、ジャーナル部J近傍の側部(AcおよびAd)の一方または両方で厚みを増加させるのが好ましい。これにより、剛性を確保しながら、さらに軽量化を図ることができる。この場合、ピン部P側表面の凹み形状を精密に仕上げる観点から、前述の第4金型を用いるのが好ましい。ただし、第2および第3工程例のように、圧下工程に供される鍛造材にバリが付いている場合、第4金型は適用できない。
また、ウエイト無しアーム部において、型鍛造工程では、前述の第2余肉部をさらに成形し、圧下工程では、第1金型で第2余肉部を変形させ、ピン部P近傍の側部(AaおよびAb)の一方または両方で厚みを増加させるのが好ましい。これにより、剛性を確保しながら、さらに軽量化を図ることができる。この場合、ジャーナル部J側表面の凹み形状を精密に仕上げる観点から、前述の第5金型を用いるのが好ましい。ただし、第2および第3工程例のように、圧下工程に供される鍛造材にバリが付いている場合、第5金型は適用できない。
第2金型〜第5金型を用いる場合、アーム部Aの各表面に第2金型〜第5金型を押し当てる。第2金型〜第5金型は、アーム部Aの各表面を保持するのみで、押し込むことがないので、第2金型〜第5金型の押し当てに要する力は小さくて済む。
前述の第1および第2処理フロー例は、いずれも、4気筒エンジンに搭載されるクランク軸を対象とし、そのクランク軸は、ピン部の偏心方向がアーム部ごとに180°の等間隔にシフトする。このように180°の等間隔にシフトする場合、いずれのアーム部も、第1金型によってピン部の偏心方向と垂直な方向から圧下される。この場合、第1金型の圧下方向は、クランク軸の軸方向とも垂直である。
ただし、第1金型による圧下方向は、ピン部の偏心方向と垂直な方向に限定されない。例えば、3気筒エンジンに搭載されるクランク軸の場合、ピン部の偏心方向がアーム部ごとに120°または60°の等間隔にシフトする。このように180°の等間隔にシフトしないクランク軸の製造では、捩り工程を追加することによってピン部の配置角度を調整する場合がある。また、ピン部の配置角度を仕上げ打ちで調整する場合もある。例えば、第1工程例でピン部の配置角度の調整を捩り工程で行う場合、圧下工程での第1金型による圧下方向は、一部のアーム部でピン部の偏心方向と垂直な方向にならない。この場合の状況を以下に説明する。
図19Aおよび図19Bは、第1金型の圧下方向がピン部の偏心方向と垂直でない場合のアーム部のピン部側表面を示す模式図であり、図19Aは圧下前を示し、図19Bは圧下終了時を示す。図19Aおよび図19Bに示すアーム部Aを備えるクランク軸は、3気筒エンジンに搭載されるクランク軸であり、ピン部Pの配置角度が120°の等間隔にシフトする。このため、圧下工程では、一部のピン部Pの偏心方向は、水平方向から30°傾斜する。したがって、第1金型10の圧下方向(図19Aおよび図19Bでは上下方向)は、ピン部Pの偏心方向から60°ずれた方向となる。
このように第1金型10による圧下方向がピン部Pの偏心方向と垂直な方向にならない場合であっても、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法を適用できる。すなわち、第1金型10で第1余肉部(Aca、Ada)または第2余肉部(Aaa、Aba)を変形させることにより、アーム部の両側部の厚みを増加させることができる。したがって、第1金型による圧下方向は、第1金型10で第1余肉部(Aca、Ada)または第2余肉部(Aaa、Aba)を変形させることによってアーム部の両側部の厚みを増加させることができる限り、限定されない。
本発明は、レシプロエンジンに搭載される鍛造クランク軸の製造に有効に利用できる。
1:鍛造クランク軸、 J、J1〜J5:ジャーナル部、
P、P1〜P4:ピン部、 Fr:フロント部、
Fl:フランジ部、 A、A1〜A8:クランクアーム部、
W、W1〜W8:カウンターウエイト部、
Aa、Ab:アーム部のピン部近傍の側部、
Aaa、Aba:第2余肉部、
Ac、Ad:アーム部のジャーナル部近傍の側部、
Aca、Ada:第1余肉部、
As:アーム部のジャーナル部側表面における両側部の内側領域、
At:アーム部のピン部側表面における両側部の内側領域、
10:第1金型、 11:上型、 11a、11b:傾斜面、
12:下型、 12a、12b:傾斜面、 22:第2金型、
23:第3金型、 26:治具、 30:バリ無し鍛造材

Claims (9)

  1. 回転中心となるジャーナル部と、そのジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐクランクアーム部と、前記クランクアーム部のうちの全部または一部が一体で有するカウンターウエイト部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法であって、
    当該製造方法は、
    型鍛造により、クランク軸の形状に成形された鍛造材を得る型鍛造工程と、
    一対の第1金型により、前記鍛造材を圧下する圧下工程と、を含み、
    前記鍛造材は、前記カウンターウエイト部を一体で有する前記クランクアーム部のうちの全部または一部に、前記ジャーナル部近傍の側部の外周から突出する第1余肉部を有し、
    前記圧下工程では、前記第1金型により前記第1余肉部を圧下して変形させ、前記第1余肉部を前記ピン部側に張り出させる、鍛造クランク軸の製造方法。
  2. 請求項1に記載の鍛造クランク軸の製造方法において、
    前記第1金型は、前記第1余肉部と対向する傾斜面を備え、
    前記圧下工程では、前記第1余肉部を前記傾斜面に沿って変形させる、鍛造クランク軸の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の鍛造クランク軸の製造方法において、
    当該製造方法は、前記鍛造材からバリを除去するバリ抜き工程を含み、
    前記型鍛造工程では、バリ付きの前記鍛造材を得て、
    前記バリ抜き工程では、前記バリ付きの前記鍛造材からバリ無しの鍛造材を得て、
    前記圧下工程では、前記バリ無しの前記鍛造材を圧下する、鍛造クランク軸の製造方法。
  4. 請求項3に記載の鍛造クランク軸の製造方法において、
    前記圧下工程では、前記第1余肉部を有する前記クランクアーム部の前記ピン部側の表面のうちで前記ジャーナル部近傍の前記側部の領域を少なくとも除く表面を、第2金型の押し当てにより保持する、鍛造クランク軸の製造方法。
  5. 請求項4に記載の鍛造クランク軸の製造方法において、
    前記圧下工程では、前記第1金型の圧下に追従して前記第2金型を前記第1金型の圧下方向に移動させ、前記クランクアーム部への前記第2金型の押し当て位置を一定の位置に維持する、鍛造クランク軸の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の鍛造クランク軸の製造方法において、
    前記第1余肉部は、前記ジャーナル部近傍の前記側部の両方からそれぞれ突出する、鍛造クランク軸の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の鍛造クランク軸の製造方法において、
    前記圧下工程は、金型を用いた圧下によりクランク軸の形状を矯正する整形工程で実施する、鍛造クランク軸の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の鍛造クランク軸の製造方法において、
    前記鍛造材は、前記クランクアーム部のうちの全部または一部に、前記ピン部近傍の側部の外周から突出する第2余肉部を有し、
    前記圧下工程では、前記第1金型により前記第2余肉部を圧下して変形させ、前記第2余肉部を前記ジャーナル部側に張り出させる、鍛造クランク軸の製造方法。
  9. 請求項8に記載の鍛造クランク軸の製造方法において、
    前記第2余肉部は、前記ピン部近傍の前記側部の両方からそれぞれ突出する、鍛造クランク軸の製造方法。
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