JP2006038194A - コンロッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンロッドの製造方法において、コラム部をプレス加工によって加工硬化させる場合に、加工部分の端部における段差の発生を回避または軽減する。
【解決手段】素材鋼がコンロッド形状に粗成形されてなるコンロッド粗成形体21のコラム部26を、プレス加工によって強化するプレス工程を有する。コンロッド粗成形体21のコラム部26に、コラム部26と大小端部22、23との両境界部27、28に対して盛り上がった盛り上がり部26aを形成しておき、プレス工程では、盛り上がり部26aをプレス加工によって押し潰すことにより、コラム部全体を平坦化し、両境界部27、28をコラム部26により滑らかに接続する。
【選択図】図7
【解決手段】素材鋼がコンロッド形状に粗成形されてなるコンロッド粗成形体21のコラム部26を、プレス加工によって強化するプレス工程を有する。コンロッド粗成形体21のコラム部26に、コラム部26と大小端部22、23との両境界部27、28に対して盛り上がった盛り上がり部26aを形成しておき、プレス工程では、盛り上がり部26aをプレス加工によって押し潰すことにより、コラム部全体を平坦化し、両境界部27、28をコラム部26により滑らかに接続する。
【選択図】図7
Description
本発明は、例えば自動車用ガソリンエンジンなどのレシプロエンジンにおいて、ピストンとクランクシャフトとの間を連結するコンロッド(コネクティングロッド)の製造方法に関する。
上記のようなコンロッドは、ピストンに連結される小端部とクランクシャフトに連結される大端部とが、コラム部(ロッド部、桿部などとも言う)により連結されてなる。このコンロッドは、複雑な運動をするうえに強い爆発力を受けるため、特にコラム部には、高い強度が必要とされる。従来、コンロッドを強化する手法としては、鋼材成分により硬さを増加させる方法や、熱処理によって硬さを増加させる方法などが提案されている。
なお、特許文献1〜3には、コンロッドの強度を向上させる技術が開示されている。また、特許文献4には、高強度で且つ被削性に優れたコンロッド素材が開示されている。
上記の鋼材成分や熱処理による方法では、コンロッド全体の硬さが増大し、コンロッドの強度が向上する。しかし、もっとも強度が必要とされるコラム部と同様に、それほど強度が必要とされない大小端部についても硬さが増大することとなる。ここで、鋼材等の機械加工性(被削性)は、被削材の硬さと負の相関があり、硬さの増大により著しく低下する。これは、被削材の硬さ増大により、加工時に切削抵抗が増大し、工具への負荷が大きくなることによる。したがって、上記の鋼材成分や熱処理による方法では、大小端部の硬さ増大により、機械加工性(被削性)等の生産性が著しく低下してしまい、多大な生産コストが必要となるなどの問題が生じてしまう。
以上より、量産性や生産コストの観点からすれば、コンロッド全体を強化するのではなく、強度が必要とされるコラム部のみを選択的に強化することが好ましいと言える。コラム部を選択強化する方法としては、プレス加工によってコラム部を加工硬化させる方法が考えられる。例えば、図13に示されるとおり、上下のプレス型110A、110Bによってコラム部126を押圧することにより、コラム部126を選択的に加工硬化させることができる。しかし、図13のような通常のプレス加工では、図14に示されるように、加工部分の端部に段差やR形状が形成されてしまい、この部分に応力が集中して強度が低下してしまう。
そこで、本発明は、コラム部をプレス加工によって加工硬化させる場合において、加工部分の端部における段差の発生を回避または軽減することができるコンロッドの製造方法を提供する。
本発明に係るコンロッドの製造方法は、大端部と小端部とがコラム部により連結されてなるコンロッドの製造方法であって、素材鋼がコンロッド形状に粗成形されてなるコンロッド粗成形体のコラム部を、プレス加工によって強化するプレス工程を有し、前記コンロッド粗成形体のコラム部に、コラム部と大小端部との両境界部に対して盛り上がった盛り上がり部を形成しておき、前記プレス工程では、前記盛り上がり部をプレス加工によって押し潰すことにより、前記コラム部全体を平坦化し、前記両境界部を前記コラム部により滑らかに接続する、ことを特徴とする。
本発明の好適な態様では、前記コンロッド粗成形体の幅方向に直交する断面において、前記盛り上がり部は略台形形状であり、当該台形形状において、側辺の長さをLとし、側辺の下辺に対する投影の長さをIとしたとき、L/I≦1.1を満たす。
また、本発明の好適な態様では、前記コンロッド粗成形体の幅方向に直交する断面において、前記盛り上がり部は略台形形状であり、当該台形形状において、側辺は内側に凹の略円弧状の曲線であり、側辺の曲率半径をRとし、台形の高さをtとしたとき、R≧4・tを満たす。
本発明によれば、コンロッドの製造方法において、コラム部をプレス加工によって加工硬化させる場合に、加工部分の端部における段差の発生を回避または軽減することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。なお、図面においては、凹凸等は、適宜、強調的に表現されており、実際の寸法比とは異なっている。
(コンロッドの構成)
まず、本実施の形態に係るコンロッド1の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るコンロッド1の構成を示す図である。図1において、(a)および(b)は、それぞれコンロッド1の側面図および正面図である。このコンロッド1は、自動車用ガソリンエンジンなどのレシプロエンジンにおいて、ピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換するため、ピストンとクランクシャフトとを連結する部品である。
まず、本実施の形態に係るコンロッド1の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るコンロッド1の構成を示す図である。図1において、(a)および(b)は、それぞれコンロッド1の側面図および正面図である。このコンロッド1は、自動車用ガソリンエンジンなどのレシプロエンジンにおいて、ピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換するため、ピストンとクランクシャフトとを連結する部品である。
図1に示されるとおり、コンロッド1の一端部(図中の右端部)には、ピストンが連結される小端部2が設けられている。そして、この小端部2には、ピストンピンが挿通される小端孔2aが形成されている。コンロッド1の他端部(図中の左端部)には、クランクシャフトと連結される大端部3が設けられている。この大端部3は、コンロッド本体4とキャップ5とに分割されており、これらがボルト(不図示)によって締結されてなる。大端部3には、クランクピンが挿通される大端孔3aが形成されている。小端部2と大端部3とは、コラム部6によって連結されている。
以下の説明においては、図1の矢印X方向を長手方向と称し、矢印Y方向を幅方向と称し、矢印Z方向を厚さ方向と称する。
(コンロッドの製造方法)
次に、上記構成を有するコンロッド1の製造方法の手順について説明する。図2は、本実施の形態に係るコンロッドの製造方法の手順を示す工程図である。図2に示される製造工程においては、例えばJIS G 4051に規定されるS55Cを素材鋼とし、この素材鋼を約1200℃に加熱して、コンロッド形状に熱間鍛造し、バリ取り(トリミング)を施すことによって、コンロッド形状の鍛造粗材を得る。そして、放冷後、ショットブラストによって鍛造粗材の表面のスケールを除去した後、得られた鍛造粗材に冷間コイニングを施し、さらに機械加工を施すことによって所定寸法のコンロッド1に仕上げる。上記の製造工程において、冷間コイニングにより発生した引張残留応力を除去するため、適宜、冷間コイニング工程の後にショットピーニング工程を追加してもよい。
次に、上記構成を有するコンロッド1の製造方法の手順について説明する。図2は、本実施の形態に係るコンロッドの製造方法の手順を示す工程図である。図2に示される製造工程においては、例えばJIS G 4051に規定されるS55Cを素材鋼とし、この素材鋼を約1200℃に加熱して、コンロッド形状に熱間鍛造し、バリ取り(トリミング)を施すことによって、コンロッド形状の鍛造粗材を得る。そして、放冷後、ショットブラストによって鍛造粗材の表面のスケールを除去した後、得られた鍛造粗材に冷間コイニングを施し、さらに機械加工を施すことによって所定寸法のコンロッド1に仕上げる。上記の製造工程において、冷間コイニングにより発生した引張残留応力を除去するため、適宜、冷間コイニング工程の後にショットピーニング工程を追加してもよい。
本実施の形態では、量産性や生産コストに影響を及ぼさないように、コンロッド1のうち最も強度が必要とされるコラム部6を選択的に強化する。そのために、本実施の形態では、素材鋼がコンロッド形状に粗成形されてなるコンロッド粗成形体のコラム部をプレス加工によって強化するプレス工程を設ける。ここでは、このプレス工程は、上記の冷間コイニング工程とともに、一回のプレス動作で同時に実行される。ただし、コラム部を強化するためのプレス工程は、必ずしも冷間コイニング工程と同時に実行される必要はない。
なお、上記の手順は、本実施の形態に係る製造方法の手順の一例であって、適宜に、素材鋼の変更、または工程の変更、追加、あるいは削除が行われてもよい。
(冷間コイニング工程)
上記のとおり、本実施の形態に係るコンロッドの製造方法は、冷間コイニング工程に特徴を有する。そこで、以下、冷間コイニング工程について詳しく説明する。
上記のとおり、本実施の形態に係るコンロッドの製造方法は、冷間コイニング工程に特徴を有する。そこで、以下、冷間コイニング工程について詳しく説明する。
冷間コイニング工程では、素材鋼がコンロッド形状に粗成形されてなるコンロッド粗成形体に、冷間コイニング型(プレス型)を押圧することによって冷間コイニングを施す。この冷間コイニングは、コンロッド形状に熱間鍛造された鍛造粗材(コンロッド粗成形体)の小端部および大端部に厚さ方向に塑性変形を与え、大小端部の厚さ精度と面の平行度を向上させるために行われるものである。
図3は、冷間コイニング工程の様子を示す概略側断面図である。図3に示されるとおり、冷間コイニング工程においては、コンロッド粗成形体21の小端部22、大端部23、およびコラム部26は、コンロッド粗成形体21の厚さ方向について、上下一対の冷間コイニング型10A、10B(以下、適宜、冷間コイニング型10と総称する)によって両側から押し込まれる。
図4は、冷間コイニング型10の形状の一例を示す側断面図である。図4において、コンロッド粗成形体21の長手方向側面から見て、冷間コイニング型10のうちコラム部26に押圧される端部11の形状は全体的に直線状となっており、端部11の両角部11a、11bにはR形状が形成されている。
本実施の形態では、冷間コイニングによってコラム部を加工硬化させるため、比較的大きな押し込み量(厚さ方向の塑性変形量)をコラム部26に与える。ここで、コラム部26に与えられる押し込み量は、0.8mm以上であることが好ましく、コンロッドのサイズや要求性能に応じて、0.8mm〜2.0mmの範囲で選択可能である。
(コンロッド粗成形体の形状)
図5は、比較例に係るコンロッド粗成形体21´と冷間コイニング型10とを示す側断面図である。すなわち、図5には、コンロッド粗成形体21´の幅方向に直交する断面が示されている。図5に示されるとおり、比較例に係るコンロッド粗成形体21´においては、コラム部26´と小端部22´との境界部27´と、コラム部26´と大端部23´との境界部28´とは、略平行なコラム部26´により滑らかに(ストレートに)接続されている。
図5は、比較例に係るコンロッド粗成形体21´と冷間コイニング型10とを示す側断面図である。すなわち、図5には、コンロッド粗成形体21´の幅方向に直交する断面が示されている。図5に示されるとおり、比較例に係るコンロッド粗成形体21´においては、コラム部26´と小端部22´との境界部27´と、コラム部26´と大端部23´との境界部28´とは、略平行なコラム部26´により滑らかに(ストレートに)接続されている。
このような比較例に係るコンロッド粗成形体21´に対して冷間コイニング型10によって冷間コイニングを施した場合、図6に示されるとおり、コラム部26´のうち冷間コイニング型10の端部11により押圧される領域(以下、コイニング領域と称す)の両端に段差やR形状(以下、「段差」と総称する)が形成される。この段差は、応力集中元となり、コンロッドの疲労強度の低下を招く。特に、コラム部を加工硬化させるためにコラム部に与える押し込み量を大きくした場合、コイニング領域の両端には大きな段差が生じてしまう。
そこで、本実施の形態では、コイニング領域の両端に生じる段差を軽減するため、冷間コイニングが施されるコンロッド粗成形体の形状に工夫を加える。図7は、本実施の形態に係るコンロッド粗成形体21と冷間コイニング型10とを示す側断面図である。すなわち、図7には、コンロッド粗成形体21の幅方向に直交する断面が示されている。図7に示されるとおり、本実施の形態では、コンロッド粗成形体21のコラム部26に、コラム部26と大小端部22、23との両境界部27、28に対して厚さ方向に盛り上がった盛り上がり部26aを形成しておく。このようなコンロッド粗成形体21の形状は、ここでは熱間鍛造型により形成されるが、冷間鍛造や削り出し等、他の方法によって形成されても構わない。冷間コイニング工程では、両境界部27、28がコラム部26によって滑らかに接続されるように、盛り上がり部26aを冷間コイニング型10によって押し潰し、コラム部全体を平坦化する。なお、上記のような盛り上がり部26aは、厚さ方向について両側に対称に設けられる。
(コンロッド粗成形体のコラム部の形状)
図8は、冷間コイニング前のコラム部26と、冷間コイニング後のコラム部6とを示す側断面図である。図8において、冷間コイニング前のコラム部26は破線で表されており、冷間コイニング後のコラム部6は実線で表されている。図8を見れば分かるように、コンロッドの長手方向側面から見て、冷間コイニング後のコラム部6の輪郭の長さは、冷間コイニング前のコラム部26の輪郭の長さよりも減少している。このプレス加工時の長さ減少分を圧縮にて対処しきれない場合、コイニング領域の両端にシワが発生してしまう。このシワは、コンロッドの疲労強度の低下を招くこととなる。
図8は、冷間コイニング前のコラム部26と、冷間コイニング後のコラム部6とを示す側断面図である。図8において、冷間コイニング前のコラム部26は破線で表されており、冷間コイニング後のコラム部6は実線で表されている。図8を見れば分かるように、コンロッドの長手方向側面から見て、冷間コイニング後のコラム部6の輪郭の長さは、冷間コイニング前のコラム部26の輪郭の長さよりも減少している。このプレス加工時の長さ減少分を圧縮にて対処しきれない場合、コイニング領域の両端にシワが発生してしまう。このシワは、コンロッドの疲労強度の低下を招くこととなる。
そこで、本実施の形態では、プレス加工によるシワの発生を抑制するため、盛り上がり部26aの形状を次のとおりにする。図9は、盛り上がり部26aの側断面図である。図9に示されるとおり、コンロッド粗成形体21の幅方向に直交する断面において、盛り上がり部26aは略台形形状である。この台形形状は、盛り上がり部26aの頂上部に対応する上辺26hと、盛り上がり部26aの底面部に対応する下辺26iと、両側の側辺26j、26k(以下、側辺26jと総称する)とにより構成される。
ここで、プレス加工によるシワの発生を抑制する観点より、図9に示されるとおり、側辺26jは、内側に凹の略円弧状の曲線であることが好ましい。ただし、側辺26jは、円弧状に限られず、直線等であってもよい。
また、実験の結果によれば、鋼材を圧縮加工する場合、圧縮により約10%まで長さを吸収することができる。そこで、本実施の形態では、側辺26jの長さをLとし、側辺26jの下辺26iに対する投影の長さをIとしたとき、L/I≦1.1を満たすように、盛り上がり部26aを形成する。
側辺26jが内側に凹の円弧状の曲線である場合、側辺26jの曲率半径をRとし、台形の高さ(加工量厚さ)をtとすると、幾何学的に、長さLおよび長さIは、それぞれ下記の式(1)、(2)により与えられる。
ここでR=α・tを代入すると、式(1)、(2)は、それぞれ下記の式(3)、(4)となる。
式(3)、(4)より、L/Iは、下記の式(5)のとおりに表される。
この式(5)より、L/Iとαとの関係は、図10に示されるとおりとなる。図10より、α≧4のとき、L/I≦1.1を満たすことが分かる。すなわち、R≧4・tのとき、L/I≦1.1が満たされる。そこで、本実施の形態では、側辺26jを内側に凹の略円弧状の曲線とする場合には、R≧4・tを満たすように、盛り上がり部26aを形成する。
以上のとおり、本実施の形態では、コンロッド粗成形体21のコラム部26に、コラム部26と大小端部22、23との両境界部27、28に対して盛り上がった盛り上がり部26aを形成しておく。そして、冷間コイニング工程(プレス工程)では、盛り上がり部26aをプレス加工によって押し潰すことにより、コラム部全体を平坦化し、両境界部をコラム部により滑らかに接続する。このため、本実施の形態によれば、コラム部をプレス加工によって加工硬化させる場合において、加工部分の端部における段差の発生を回避または軽減することができる。これにより、コラム部のみが選択強化されており、強化部と未強化部との境界に段差やR形状がなく、強化部と未強化部とがストレートに接続されたコンロッドを製造することができる。別の言い方をすれば、鋼製コンロッドの最も強度が必要とされるコラム部のみを加工硬化させることにより選択強化することができ、かつ加工部と未加工部の繋ぎ部分への応力集中を排除することができ、総合的にコンロッドの強度向上を達成することができる。
また、本実施の形態では、コンロッド粗成形体21の幅方向に直交する断面において、盛り上がり部26aは略台形形状であり、この台形形状において、側辺26jの長さをLとし、側辺26jの下辺26iに対する投影の長さをIとしたとき、L/I≦1.1を満たす。このため、本実施の形態によれば、プレス加工領域の端部におけるシワの発生を回避または軽減することができる。このとき、側辺26jを内側に凹の略円弧状の曲線とすることにより、よりシワの発生を抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明が上記の実施の形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、上記の実施の形態では、大小端部およびコラム部に冷間コイニングを施すこととしたが、本発明は、コラム部のみにプレス加工を施す場合にも適用可能である。また、上記本実施の形態の効果は、コイニング領域の端部に若干の段差が生じている場合であっても得られる。すなわち、本実施の形態でいう、両境界部をコラム部により滑らかに接続することには、若干の段差が生じている場合も含まれる。また、上記の実施の形態では、コラム部の一部の領域に盛り上がり部を形成することとしたが、コラム部の強度向上の観点からすると、図11に示されるとおり、コラム部の全域にわたって盛り上がり部を形成することが好ましい。すなわち、コラム部26の長手方向長さと、盛り上がり部26aの下辺26iの長さとが一致することが好ましい。
以下、本発明に係るコンロッドの製造方法の実施例を説明する。
(実施例1)
次の製造工程により3種類のコンロッドを作成した。すなわち、JIS G 4051に規定されるS55Cを素材鋼とし、この素材鋼を約1200℃に加熱して、コンロッド形状に熱間鍛造し、バリ取りを施した。そして、放冷後、ショットブラストによって表面のスケールを除去し、2個の比較例のコンロッド粗成形体と、1個の本発明例のコンロッド粗成形体とを得た。
次の製造工程により3種類のコンロッドを作成した。すなわち、JIS G 4051に規定されるS55Cを素材鋼とし、この素材鋼を約1200℃に加熱して、コンロッド形状に熱間鍛造し、バリ取りを施した。そして、放冷後、ショットブラストによって表面のスケールを除去し、2個の比較例のコンロッド粗成形体と、1個の本発明例のコンロッド粗成形体とを得た。
いずれのコンロッド粗成形体についても、コラム部の長手方向長さ(図5、7の長さA)は100mmであった。比較例のコンロッド粗成形体について、コラム部の厚さは、一つが10.4mmであり、もう一つが12.0mmであった。本発明例のコンロッド粗成形体については、コラム部の厚さ(上辺間の距離)は12.0mmであった。そして、盛り上がり部の高さは1.0mmであり、盛り上がり部の下辺の長さは85mmであった。また、盛り上がり部の側辺は、内側に凹の略円弧状の曲線であり、その曲率半径Rは4.5mmであった。すなわち、R=4.5≧4・tであった。なお、いずれのコンロッド粗成形体についても、コラム部の長手方向長さ(図5、7の長さA)は100mmであった。
そして、得られた3種類のコンロッド粗成形体に、冷間コイニングを施した。冷間コイニング工程では、図4に示される冷間コイニング型10を用いた。冷間コイニング型10の端部11は、その直線部分の長さは90mmであり、その両角部11a、11bの曲率半径は3mmであった。比較例のコンロッド粗成形体のうち、コラム部の厚さが10.4mmであるものに対してはコラム部押し込み量0.2mmを与え、コラム部の厚さが12.0mmであるものに対してはコラム部押し込み量1.0mmを与えた。本発明例のコンロッド粗成形体に対してはコラム部押し込み量1.0mmを与えた。これにより、いずれのコンロッド粗成形体についても、冷間コイニング後のコラム部の厚さは、10.0mmとなった。
冷間コイニング工程の後、ショットピーニングを施し、さらに機械加工を施すことによって所定寸法のコンロッドに仕上げた。
上記のとおりに得られた3種類のコンロッドを疲労試験機にかけ、それぞれのコンロッドの疲労強度(疲れ限度)を測定した。この結果を下の表1に示す。表1に示されるとおり、本発明例のコンロッドは、比較例1、2のコンロッドに比べて、疲労強度が高くなっている。すなわち、本実施例により、コンロッド粗成形体に盛り上がり部を設けることにより、コンロッドの疲労強度が向上することが確認された。
(実施例2)
素材鋼(S55C)に対し、上記実施例1と同様に、熱間鍛造、バリ取り、放冷、ショットブラストを順に施し、盛り上がり部の無い1個のコンロッド粗成形体と、盛り上がり部の有る4個のコンロッド粗成形体とを得た。盛り上がり部無しのコンロッド粗成形体については、コラム部の厚さは10.0mmであった。盛り上がり部有りのコンロッド粗成形体については、盛り上がり部の側辺を内側に凹の略円弧状の曲線とし、その曲率半径Rを振った。曲率半径Rは、それぞれ3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mmであった。なお、いずれも、コラム部の厚さ(上辺間の距離)は12.0mm、盛り上がり部の高さは1.0mm、盛り上がり部の下辺の長さは85mm、コラム部の長手方向長さ(図5、7の長さA)は100mmであった。
素材鋼(S55C)に対し、上記実施例1と同様に、熱間鍛造、バリ取り、放冷、ショットブラストを順に施し、盛り上がり部の無い1個のコンロッド粗成形体と、盛り上がり部の有る4個のコンロッド粗成形体とを得た。盛り上がり部無しのコンロッド粗成形体については、コラム部の厚さは10.0mmであった。盛り上がり部有りのコンロッド粗成形体については、盛り上がり部の側辺を内側に凹の略円弧状の曲線とし、その曲率半径Rを振った。曲率半径Rは、それぞれ3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mmであった。なお、いずれも、コラム部の厚さ(上辺間の距離)は12.0mm、盛り上がり部の高さは1.0mm、盛り上がり部の下辺の長さは85mm、コラム部の長手方向長さ(図5、7の長さA)は100mmであった。
そして、得られた5種類のコンロッド粗成形体に、冷間コイニングを施した。冷間コイニング工程では、実施例1と同じ冷間コイニング型10を用いた。盛り上がり部無しのコンロッド粗成形体については、コラム部押し込み量は0.0mmであった。盛り上がり部有りのコンロッド粗成形体に対しては、コラム部押し込み量1.0mmを与えた。これにより、いずれのコンロッド粗成形体についても、冷間コイニング後のコラム部の厚さは、10.0mmとなった。
冷間コイニング工程の後、ショットピーニングを施し、さらに機械加工を施すことによって所定寸法のコンロッドに仕上げた。
上記のとおりに得られた5種類のコンロッドを疲労試験機にかけ、それぞれのコンロッドの疲労強度(疲れ限度)を測定した。この結果を下の表2に示す。また、上記と同様の5種類のコンロッドをさらに1セット作成した。そして、それぞれのコンロッドを切断し、コンロッドの幅方向に直交する断面において、コイニング領域の端部の拡大写真を撮影した。そして、得られた写真において、プレス加工によるシワの深さを測定した。ここで言うシワの深さは、図12に示される長さBである。すなわち、ここでは、上記断面において、加工領域と未加工領域とを滑らかに接続する線を基準とした場合における、溝の深さの最大値を、シワの深さとした。この結果を下の表2に示す。表2に示されるとおり、R<4tでは、深さ0.1mm以上といった大きいシワが発生してしまい、高い疲労強度を得ることができなかった。一方、R≧4tでは、深さ0.1mm以上といった大きいシワの発生はなく、高い疲労強度を得ることができた。すなわち、本実施例により、R≧4t(L/I≦1.1)とすることにより、コンロッドの疲労強度が向上することが確認された。
1 コンロッド、2 小端部、2a 小端孔、3 大端部、3a 大端孔、4 コンロッド本体、5 キャップ、6 コラム部、10 冷間コイニング型、11 端部、21 コンロッド粗成形体、22 小端部、23 大端部、26 コラム部、26a 盛り上がり部、26h 上辺、26i 下辺、26j,26k 側辺、27,28 境界部。
Claims (3)
- 大端部と小端部とがコラム部により連結されてなるコンロッドの製造方法であって、
素材鋼がコンロッド形状に粗成形されてなるコンロッド粗成形体のコラム部を、プレス加工によって強化するプレス工程を有し、
前記コンロッド粗成形体のコラム部に、コラム部と大小端部との両境界部に対して盛り上がった盛り上がり部を形成しておき、前記プレス工程では、前記盛り上がり部をプレス加工によって押し潰すことにより、前記コラム部全体を平坦化し、前記両境界部を前記コラム部により滑らかに接続する、
ことを特徴とするコンロッドの製造方法。 - 請求項1に記載のコンロッドの製造方法であって、
前記コンロッド粗成形体の幅方向に直交する断面において、前記盛り上がり部は略台形形状であり、当該台形形状において、側辺の長さをLとし、側辺の下辺に対する投影の長さをIとしたとき、L/I≦1.1を満たすことを特徴とするコンロッドの製造方法。 - 請求項1に記載のコンロッドの製造方法であって、
前記コンロッド粗成形体の幅方向に直交する断面において、前記盛り上がり部は略台形形状であり、当該台形形状において、側辺は内側に凹の略円弧状の曲線であり、側辺の曲率半径をRとし、台形の高さをtとしたとき、R≧4・tを満たすことを特徴とするコンロッドの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2004223087A JP2006038194A (ja) | 2004-07-30 | 2004-07-30 | コンロッドの製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004223087A JP2006038194A (ja) | 2004-07-30 | 2004-07-30 | コンロッドの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2006038194A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101090334B1 (ko) * | 2009-02-24 | 2011-12-07 | 현진소재주식회사 | 선박용 커넥팅 로드의 제조방법 |
FR2965596A1 (fr) * | 2010-09-30 | 2012-04-06 | Peugeot Citroen Automobiles Sa | Procede de fabrication de bielle par forgeage |
-
2004
- 2004-07-30 JP JP2004223087A patent/JP2006038194A/ja active Pending
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KR101090334B1 (ko) * | 2009-02-24 | 2011-12-07 | 현진소재주식회사 | 선박용 커넥팅 로드의 제조방법 |
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