JP2008043999A - 一体型クランク軸の鍛造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鍛造前に初期素材の適正な形状を決定することができる一体型クランク軸の鍛造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】製品形状の周囲に機械加工代を均一に付与するステップと、機械加工代を付与した形状を全て含むようにピン軸とジャーナル軸の中央部分を中心に仮想楕円を描くステップと、仮想楕円をもとに鍛造荷重を算出するステップと、初期素材の直径と長さを製品形状に機械代を考慮することにより仮定するステップと、前期直径と長さをもとに予測楕円を計算で求めるステップと、予測楕円を仮想楕円と比較するステップと、両者に設定した誤差以上の差がある時長さを変更して2つ前のステップに戻るステップと、初期素材の適正な直径と長さを決定するステップを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、船用や陸上発電機に使用されている中小型ディーゼル機関用の一体型クランク軸を鍛造する際に、事前に素材の形状を簡単且つ適正に決定することができる一体型クランク軸の鍛造方法に関するものである。
船用や陸上発電機に使用されている中小型ディーゼル機関用のクランク軸は、一般には一体型クランク軸である。その一体型クランク軸は、RR鍛造法、TR鍛造法、二軸プレスなどにより丸棒からジャーナル軸、アーム、ピン軸を逐次鍛造し、一本のクランク軸としている。その各鍛造法のうちクランク軸をCGF(Continuous Grain Flow)鍛造する方法として広く知られているRR鍛造法は、一回の鍛造で一気筒分のジャーナル軸、アーム、ピン軸を作る鍛造方法であって、このRR鍛造法に用いられる鍛造装置の概要及び被成形材の状態を図4(a)〜(c)に示す。下記するように、図面の(a)は初期セット状態、(b)は横圧縮によるアプセット工程、(c)は横圧縮と偏芯によるオフセット工程での鍛造装置、被成形材の状態をそれぞれ示す。
RR鍛造法の鍛造原理は、横圧縮(アーム3の成形)とポンチ9による偏芯(ピン軸4の成形)の二方向鍛造である。まず、図4(a)に示すように、部分加熱された被成形材12をRR鍛造装置13に搬入し、金型内にセットする。この時、ピン軸4はポンチ9、アンビル10と呼ばれる金型で上下方向から固定され、ジャーナル軸5は固定金型11と呼ばれる金型で固定される。(初期セット状態)
次に、図4(b)に示すように、上方のプレス(図示せず)が加圧し始めると圧下力がくさび機構によって横圧縮力に変換される。すなわち、一対の固定金型11,11が、お互いが近付くように動く。この際、ポンチ9とアンビル10はシリンダーのリリーフ機構により、初期の位置でピン軸4を保持したまま停止する。その結果、ピン軸4の両側のブロック状の初期素材3Aのみが予備圧縮される工程となる。(アプセット工程)
更に、図4(c)に示すように、上記アプセット工程で予備圧縮された初期素材3Aは所定厚まで圧縮され、同時に、ポンチ9とアンビル10はプレスの下降に伴い所定のストローク分だけ下方に下がり、その動きに伴いピン軸4が偏芯(下方に押し下げられる)し、スロー2は所定の形状に鍛造されてアーム3となる。(オフセット工程)
その後、部分加熱と鍛造を繰り返し決められた気筒数の一体型クランク軸1が成形される。
なお、初期素材3Aとは、圧縮によりアーム3となる部位をのみを差し、ピン軸4とジャーナル軸5となる部位は、鍛造により形状が変わらないので含まない。
このRR鍛造では、一体型クランク軸の形状に応じた適切な荒地形状及びプレス最大力量などを考慮して工程設計を行う必要がある。しかし、複雑な機構のため、鍛造に必要とする荷重など不明な点が多く、現状では基礎的な理論を基準に、工程設計者が個人の経験や知識を付加しながら工程設計を行っているに過ぎない。また、変形解析や実験などによって素材の形状を決定する手法も開発されているが、いずれも多大なコストがかかり問題となっていた。
また、定量的な指標に基づいた工程設計方法として特許文献1に記載された方法がある。この特許文献1に記載された方法は、アームを軸方向に圧縮する第1工程と、ピン軸を下方に偏芯させると共にアームを軸方向に更に圧縮する第2工程と、アームを軸方向に更に圧縮して成形型内で型形状に成形する第3工程からなるクランク軸の成形方法であって、前記工程内でのアームの直径や体積などの被成形材、及び成形型内のピン軸並びにアームに関連した体積等の設計データと実験式を基に、前記第1〜第3工程におけるそれぞれの軸方向の圧縮量を求めるクランク軸の成形方法である。
しかし、この特許文献1に記載されたクランク軸の成形方法は、被成形材や成形型内の各部位の体積計算を行って設計する必要があって設計作業が非常に煩雑である。また、算出により得られる形状は初期形状に過ぎず、この設計データに基づいた軸方向の圧縮力を確保しても、適正な鍛造仕上がり形状が得られるとは限らない。更には、クランク軸の試作を行って前記各工程での軸方向の圧縮量が適正か否かの確認をする必要があって、適正形状のクランク軸を製造するために試作を繰り返すなどの手間と時間を要し、また、開発費用も莫大なものとなる。
特開平3−77742号公報
本発明は上記従来の種々の問題を解決せんとして発明したものであって、工程管理者の過去の経験や知識に頼ることがなく、また、試作等の実験や変形解析も必要とせず多大なコストを必要とすることなく、鍛造前に初期素材の適正な形状を決定することができる一体型クランク軸の鍛造方法を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、横圧縮によるアームの成形と、下方への押し下げによる偏芯でピン軸の成形を行う二方向鍛造法で、一体型クランク軸を鍛造する一体型クランク軸の鍛造方法であって、一対のアームとアーム間を繋ぐピン軸で成る複数のスローを、ジャーナル軸で連結して構成される一体型クランク軸の製品形状の周囲に、機械加工代を均一に付与する第1ステップと、前記機械加工代を付与した形状を全て含むように、ピン軸の軸芯とジャーナル軸の軸芯の中点を中心としてアーム側面の仮想楕円を描く第2ステップと、前記仮想楕円をもとに鍛造荷重を算出する第3ステップと、鍛造前の初期素材の素材直径、素材長さを、製品形状に機械加工代を考慮することにより仮定する第4ステップと、前記の仮定した素材直径、素材長さをもとにアーム側面の予測楕円を計算により求める第5ステップと、前記予測楕円を前記仮想楕円と比較する第6ステップと、前記予測楕円と前記仮想楕円との間のずれ量が設定した誤差を超えた場合、第5ステップで仮定した素材長さを変更し第6ステップに戻る第7ステップと、前記ずれ量が設定した誤差以内の場合、前記の仮定した素材直径、素材長さを鍛造前の初期素材の適正な素材直径、素材長さとする第8ステップを有する適正素材形状決定手法を用いて一体型クランク軸を鍛造する一体型クランク軸の鍛造方法である。
請求項2記載の発明は、第3ステップにおける鍛造荷重は、以下の式から算出されることを特徴とする請求項1記載の一体型クランク軸の鍛造方法である。
ここで、鍛造荷重P=Q×DS×σ
上式で、Qは拘束係数、DSは仮想楕円の面積であり、σは変形抵抗である。
請求項3記載の発明は、第5ステップの予測楕円は、楕円長径と楕円短径及び楕円中心のずれ量を導き出す以下の3式で計算されることを特徴とする請求項1または2記載の一体型クランク軸の鍛造方法である。
楕円長径=2×(M1×ストローク+M2×アーム平均半径+M3)
楕円短径=2×(M4×アーム平均半径+M5)
ずれ量=M6×ストローク+M7×素材直径/素材長さ+M8
上式で、M1〜M8は材料定数であり、M1はストロークが楕円長径に及ぼす影響係数、M2は圧縮により発生するアーム平均半径が楕円長径に及ぼす係数、M3は補正係数、M4は圧縮により発生するアーム平均半径が楕円短径に及ぼす係数、M5は補正係数、M6はストロークがずれ量に及ぼす影響係数、M7は素材形状がずれ量に及ぼす影響係数、M8は補正係数である。また、アーム平均半径とはアームが横圧縮のみで変形したと仮定した場合のアーム側面の半径であり偏芯による変形は考慮していない。
請求項4記載の発明は、アーム外周のバルジ形状を2次式Y=A×(X−B)+Cから求める別のステップがあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の一体型クランク軸の鍛造方法である。
ここで、2次式のXは軸方向を示し、Yは楕円の円周方向を示す(角度によって方向は異なる)。また、A,B,Cはそれぞれ次式で求めることができる。
A(θ°)=M9×素材直径/素材長さ+M10×圧縮量/素材長さ+M11
B=M12×アーム厚み
C(0°)=(M13×素材直径/素材長さ+M14×ストローク/圧縮量+M15)×アーム平均半径
C(90°)=(M16×素材長さ/素材直径+M17×圧縮量/素材長さ+M18)×アーム平均半径
上式で、M9〜M18は材料定数であり、M9は素材形状が係数Aに及ぼす影響係数、M10は圧縮率が係数Aに及ぼす影響係数、M11は補正係数、M12はアームの厚みがX座標に及ぼす影響係数、M13は素材形状がY座標に及ぼす影響係数、M14はストローク/圧縮量がY座標に及ぼす影響係数、M15は補正係数、M16は素材形状がY座標に及ぼす影響係数、M17は圧縮量/素材長さがY座標に及ぼす影響係数、M18は補正係数である。
本発明の一体型クランク軸の鍛造方法によると、工程管理者の過去の経験や知識に頼ることがなく、また、試作等の実験や変形解析も必要とせず多大なコストを必要とすることなく、鍛造前に初期素材の適正な形状を決定することができる。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
図7に示すように、本発明の一体型クランク軸の鍛造方法で鍛造される一体型クランク軸1は、一対の向かい合った扁平なアーム3,3と、アーム3,3間をその一端側で繋ぐピン軸4で成る複数のスロー2を、ジャーナル軸5で連結して構成される。ジャーナル軸5は隣り合うスロー2,2をアーム3の部位で連結するが、アーム3のピン軸4との連結部分をアーム3内側面の一端側とすると、アーム3のジャーナル軸5との連結部分はアーム3外側面の他端側(図7の両端のスロー2を参照)である。また、スロー2は、一体型クランク軸1を捻ったように規則性を持って様々な方向を向いている。
まず、ピン軸4とジャーナル軸5を両側に連接した初期素材3A(横圧縮によりアーム3に変形する部位のみを示し、ピン軸4とジャーナル軸5は含まない。)が、鍛造による各工程でどのように変形するかを考える。図4(a)の初期セット状態では、図5(a)及び図6(a)のように、初期素材3Aは略円柱状である。次に図4(b)のアプセット工程で、図5(b)及び図6(b)のように、初期素材3Aが両側から横圧縮される。この時、ピン軸4とジャーナル軸5は金型で保持されているので変形しない。最後の図4(c)のオフセット工程では、図5(c)及び図6(c)のように、初期素材3Aは更に両側から横圧縮され扁平なアーム3になり、ピン軸4は下方に押し下げられ偏芯する。
図4〜図6は、初期素材3Aが鍛造によりアーム3の状態にまで変形する状況を示しているが、金型に接触する側面8は、初期セット状態やアプセット工程では円形であったのが、オフセット工程終了時には縦長の楕円形にまで変形する。また、図5(c)に示すように、アーム3の外周は断面円弧状の形状、すなわちバルジ形状となる。よって、鍛造後のアーム3の形状は、楕円形状とバルジ形状が分かれば把握することが可能である。なお、ピン軸4並びにジャーナル軸5の形状は鍛造において特に変形はしないので考慮する必要はない。
楕円形状は、長径DAと短径DBに分け、ピン軸4の軸芯pとジャーナル軸5の軸芯jの中点aからの位置ずれ量を考えることで形状予測が可能である。また、バルジ形状は2次式で表記することが可能であり、その頂点と2次の係数が分かれば3次元形状が予測可能である。以上の考えに基づいて、鍛造前の初期素材3Aの適正な形状を予測することが可能と考え、適正素材形状決定手法を用いた一体型クランク軸の鍛造方法を発明した。以下その発明の内容をフローチャートに基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1ステップS1から第8ステップS8までの流れを示すフローチャートである。また、図2は、一体型クランク軸の製品形状6と仮想楕円D1と機械加工代7の最低量を示す。まず、第1ステップS1では、一体型クランク軸1の製品形状6の周囲に機械加工代7を付与する。機械加工代7の厚みは、5mm〜50mmである。なお、本明細書中での説明では、アーム3、ピン軸4、ジャーナル軸5と記述するものは特に断りのない限り全て機械加工代7を含むものを示し、機械加工代7を除去した製品形状6のものは製品アーム3、製品ピン軸4、製品ジャーナル軸5と記述する。
第2ステップS2では、製品形状6の周囲に機械加工代7を付与した形状を全て含むように仮想楕円D1を描く。この仮想楕円D1は、図3に示すように、ピン軸4の軸芯pとジャーナル軸5の軸芯jの中点aを中心として描くことができる。仮想楕円D1はアーム3の側面8であり、金型で圧縮した際に金型と接触すると仮定される面である。
第3ステップS3では、仮想楕円D1をもとに鍛造荷重を算出する。鍛造荷重とは軸方向からアーム3にかかる荷重、すなわち、金型で圧縮した際にアーム3にかかる荷重である。この鍛造荷重Pは、P=Q×DS×σという数式から算出することができる。この式で、Qは拘束係数、DSは仮想楕円の面積であり、σは変形抵抗で、温度とひずみ速度の関数として表すことができる。
拘束係数Qは、Q=(1+μ×DD/3/H)という数式から算出することができる。この式で、μは摩擦係数、DDは仮想楕円の長径DAと短径DBから算出でき、DD=√(DA×DB)という数式で示すことができる。また、Hはアーム3の厚み(図5(c)に示す)である。仮想楕円の面積DSは、DS=(π×DA×DB)/4という数式から算出することができる。
次に、第3ステップS3で算出した鍛造荷重を、プレス荷重と比較する。このプレス荷重とは、実際のプレス装置が出すことのできる最大荷重である。算出した鍛造荷重が、プレス荷重より小さい場合は鍛造可能であり、次のステップに進むことができるが、プレス荷重より小さくない場合は鍛造不可能であり製造することができず、適正素材形状の検討を終了しなければならない。但し、プレス荷重はプレス装置が出すことのできる最大荷重であり、より大きなプレス荷重を出すことのできるプレス装置を準備すれば次のステップに進むことができる。すなわち、プレス装置が出すことのできる最大荷重が大きければ、この鍛造荷重とプレス荷重の比較は不要である。
第4ステップS4では、鍛造前の初期素材3Aの素材直径D、素材長さLを次の計算により仮定する。素材直径Dは製品形状6に機械加工代7等を考慮した次式:D=製品ピン軸4の直径または製品ジャーナル軸5の直径のうち大きい方の直径+K×2+l×2という数式から算出でき、素材長さLは、L=仮想楕円D1の体積/{(π×D2)/4}という数式から算出できる。前記式で、Kは、ピン軸4とジャーナル軸5のうち直径の大きい方の片側の機械加工代7であり、lは、初期素材3Aと、ピン軸4とジャーナル軸5のうち直径の大きい方の片側の段差(図5(a)に示す)である。また、仮想楕円D1の体積は、DS×Hから求めることができる。
第5ステップS5では、第4ステップS4で求められた素材直径D、素材長さLをもとに、予測楕円D2を計算により求める。予測楕円D2はアーム3の側面8であり、前記仮想楕円D1と同一であることが望ましいが、様々な条件で図3に示すように、上下にずれることがある。この予測楕円D2は、楕円長径、楕円短径、ずれ量を導く3つの計算式から求めることができる。各計算式は、楕円長径=2×(M1×ストローク+M2×アーム平均半径+M3)、楕円短径=2×(M4×アーム平均半径+M5)、ずれ量=M6×ストローク+M7×素材直径/素材長さ+M8である。M1〜M8はそれぞれ材料定数であり、M1はストロークが楕円長径に及ぼす影響係数、M2は圧縮により発生するアーム平均半径が楕円長径に及ぼす係数、M3は補正係数、M4は圧縮により発生するアーム平均半径が楕円短径に及ぼす影響係数、M5は補正係数、M6はストロークがずれ量に及ぼす影響係数、M7は素材形状がずれ量に及ぼす影響係数、M8は補正係数である。なお、アーム平均半径とはアーム3が横圧縮のみで変形したと仮定した場合のアーム3の側面の半径であり偏芯による変形は考慮していない。この明細書中で示すアーム平均半径とは全てこの半径を示す。アーム平均半径Rは、初期素材3Aの素材直径D、素材長さLと、圧縮後のアーム3の長さ(厚み)L2より求めることができ、R=√(D2×L/L2)という数式から算出することができる。
第6ステップS6では、第5ステップS5で求められた予測楕円D2を、前記仮想楕円D1と比較し、予測楕円D2が仮想楕円D1から上または下にいくらずれたか確認する。
第6ステップS6で確認したずれ量が、当初設定したずれ量以内である場合は第8ステップS8に進むが、当初の設定を超える場合は第7ステップS7に進む。なお、一体型クランク軸1の鍛造においては、ずれ量の許容範囲は5mm以内とするのが一般的である。
第7ステップS7は、第4ステップS4で計算により仮定した鍛造前の初期素材3Aの素材長さLを変更し、第5ステップS5に戻るステップである。
予測楕円D2が仮想楕円D1から上または下に許容範囲の5mmを超えてずれた場合、必ず、予測楕円D2と仮想楕円D1の面積差SSを生じているため、まず、予測楕円D2と仮想楕円D1の面積差SSを求める。その面積差SSや、素材直径D、圧縮後のアーム3の長さ(厚み)L2より素材長さLの増減量を求めることができる。その素材長さLの増減量は、増減量=SS×L2/(π×D/4)という計算式より求めることができる。
予測楕円D2の面積が仮想楕円D1の面積より大きい場合、素材長さLを前記計算式で求めた増減量だけ短くする。逆に、予測楕円D2の面積が仮想楕円D1の面積より小さい場合、素材長さLを前記計算式で求めた増減量だけ長くする。その後、再び第5ステップS5での計算をやり直す。
第8ステップS8では、第6ステップS6で確認したずれ量が設定した誤差以内の場合、第5ステップS5で仮定した素材直径D、素材長さLを、鍛造前の初期素材3Aの適正な素材直径D、素材長さLとする。以上で初期素材3Aの適正形状を求め出し決定することができる。
なお、以上で鍛造後のアーム3側面の楕円形状は予測することができるが、鍛造後のアーム3の全体形状は、図5(c)に示すようなアーム3外周のバルジ形状(円弧状の部位)が予測できなければ分からない。そこで、このバルジ形状を求め出す別のステップが必要となる。このバルジ形状は、2次式Y=A×(X−B)+Cから求め出すことができる。ここで、2次式のXは軸方向を示し、Yは円周方向を示す(例えば、0°方向は図3に示す上方向、90°方向は右方向である。)。
前記2次式Y=A×(X−B)+Cのうち、A、B、Cは、それぞれ次の計算式から求めることができる。各計算式は、A(θ°)=(M9×素材直径/素材長さ+M10×圧縮量/素材長さ+M11)×アーム平均半径、B=M12×アーム厚み、C(0°)=(M13×素材直径/素材長さ+M14×ストローク/圧縮量+M15)×アーム平均半径、C(90°)=(M16×素材長さ/素材直径+M17×圧縮量/素材長さ+M18)×アーム平均半径である。M9〜M18はそれぞれ材料定数であり、M9は素材形状が係数Aに及ぼす影響係数、M10は圧縮率が係数Aに及ぼす影響係数、M11は補正係数、M12はアームの厚みがX座標に及ぼす影響係数、M13は素材形状がY座標に及ぼす影響係数、M14はストローク/圧縮量がY座標に及ぼす影響係数、M15は補正係数、M16は素材形状がY座標に及ぼす影響係数、M17は圧縮量/素材長さがY座標に及ぼす影響係数、M18は補正係数である。
ここで、ストロ−クとは、ピン軸4がオフセット工程で押し下げられるオフセット量であり、ピン軸4の軸芯pとジャーナル軸5の軸芯jを結ぶ仮想垂直線分の寸法と同じである。また、圧縮量とは、アーム3が初期素材長さからアーム厚さまで横圧縮されることにより減った量である。
まず、一体型クランク軸1をRR鍛造法により鍛造した場合の形状予測を解析により求めた。解析は13種の解析モデルについて行った。表1には、初期素材Aの形状と、鍛造時にピン軸4がオフセット工程で押し下げられるストロ−クをそれぞれ示した。なお、単位は全てmmである。
Figure 2008043999
表2には、各解析モデルの解析により求めたアーム3の形状を示す。なお、表に示すA,B,Cはそれぞれバルジ形状を求める2次式Y=A×(X−B)+Cの係数である。平均半径、厚みとはそれぞれアーム3の平均半径、アーム3の厚みであり、係数C(Y座標)については平均半径で、係数B(X座標)については厚みで割ることで無次元化している。また、係数C(Y座標)については、図3に示す0°方向の結果を示している。なお、単位は全てmmである。
Figure 2008043999
まず、楕円形状は、素材直径及び素材長さが変化すると楕円の長径、短径ともに変化する。このため、アーム3の平均半径と関係すると考えられる。特に、長径はストロークの影響を受けると考えられる。一方、ずれ量は素材形状とストロークの影響が大きいと考えられる。以上より、以下の式が得られた。なお、各係数(材料定数)は、実際の種々の鍛造条件で鍛造したときの変形後の形状のデータを重回帰することによって求めた。
楕円長径=2×(0.327×ストローク+0.753×アーム平均半径+10.974)
楕円短径=2×(0.688×アーム平均半径+60.586)
ずれ量=0.181×ストローク+52.240×素材直径/素材長さ−96.251
また、RR鍛造の圧縮、偏芯によって起こるバルジ形状は、基本的にアプセット時に起こると考えられる。そのため、バルジ形状の頂点X座標(係数B)は、圧縮面の中央、すなわちアーム3の厚みの1/2になり、表2の結果から以下のようになる。
B=M12×アーム厚み
Y座標は、ピン軸4の軸心とジャーナル軸5の軸心の中点aを原点とした場合、方向や場所により見かけのストロークが異なる。部位ごとに、実際の種々の鍛造条件で鍛造したときの変形後の形状のデータを重回帰することによって求めた結果から以下の式が得られた。
A(0°)=-0.013×素材直径/素材長さ−0.068×圧縮量/素材長さ+0.0508
A(90°)=-0.013×素材直径/素材長さ−0.043×圧縮量/素材長さ+0.0400
C(0°)=(-0.200×素材直径/素材長さ+0.177×ストローク/圧縮量+0.128)×アーム平均半径
C(90°)=(0.150×素材長さ/素材直径−0.711×圧縮量/素材長さ+0.400)×アーム平均半径
前記のように得られた式を用いて鍛造後のアーム3の形状予測を行い、変形解析により得られる結果と比較し、形状予測式の妥当性を検証した。表3に検証に用いる解析モデルの寸法等を示す。単位はmmである。また、表4に形状予測式から得られた結果と、解析によって得られた結果の比較を示す。
Figure 2008043999
Figure 2008043999
形状予測式より得られた結果と、解析によって得られた結果の差は7%以下で、絶対値でも10mm程度と殆んど差がない。すなわち、形状予測式により精度良く形状予測ができることがわかった。
本発明の一実施形態を示すフローチャートである。 一体型クランク軸の製品形状と、機械加工代の最低量と、仮想楕円とを示すアームの概略側面図である。 仮想楕円と予測楕円の関係を示すアームの概略側面図である。 一体型クランク軸の鍛造方法を示す縦断面図であって、(a)は初期セット状態、(b)はアプセット工程、(c)はオフセット工程をそれぞれ示す。 初期素材がアームの状態にまで変形する過程を示す正面図であって、(a)は初期セット状態での初期素材とピン軸とジャーナル軸、(b)はアプセット工程での初期素材とピン軸とジャーナル軸、(c)はオフセット工程でのアームとピン軸とジャーナル軸をそれぞれ示す。 初期素材がアームの状態にまで変形する過程を示す初期素材並びにアームの側面図であって、(a)は初期セット状態での初期素材、(b)はアプセット工程での初期素材、(c)はオフセット工程でのアームをそれぞれ示す。 一体型クランク軸を示す正面図である。
符号の説明
1…一体型クランク軸
2…スロー
3…アーム
4…ピン軸
5…ジャーナル軸
6…製品形状
7…機械加工代
8…側面
3A…初期素材
a…中点
p…ピン軸の軸芯
j…ジャーナル軸の軸芯
D1…仮想楕円
D2…予測楕円

Claims (4)

  1. 一対のアームとアーム間を繋ぐピン軸で成る複数のスローを、ジャーナル軸で連結して構成される一体型クランク軸の製品形状の周囲に、機械加工代を均一に付与する第1ステップと、
    前記機械加工代を付与した形状を全て含むように、ピン軸の軸芯とジャーナル軸の軸芯の中点を中心としてアーム側面の仮想楕円を描く第2ステップと、
    前記仮想楕円をもとに鍛造荷重を算出する第3ステップと、
    鍛造前の初期素材の素材直径、素材長さを、製品形状に機械加工代を考慮することにより仮定する第4ステップと、
    前記の仮定した素材直径、素材長さをもとにアーム側面の予測楕円を計算により求める第5ステップと、
    前記予測楕円を前記仮想楕円と比較する第6ステップと、
    前記予測楕円と前記仮想楕円との間のずれ量が設定した誤差を超えた場合、第5ステップで仮定した素材長さを変更し第6ステップに戻る第7ステップと、
    前記ずれ量が設定した誤差以内の場合、前記の仮定した素材直径、素材長さを鍛造前の初期素材の適正な素材直径、素材長さとする第8ステップを
    有する適正素材形状決定手法を用いて一体型クランク軸を鍛造する
    一体型クランク軸の鍛造方法。
  2. 第3ステップにおける鍛造荷重は、以下の式から算出されることを特徴とする請求項1記載の一体型クランク軸の鍛造方法。
    ここで、鍛造荷重P=Q×DS×σ
    上式で、Qは拘束係数、DSは仮想楕円の面積、σは変形抵抗である。
  3. 第5ステップの予測楕円は、楕円長径と楕円短径及び楕円中心のずれ量を導き出す以下の3式で計算されることを特徴とする請求項1または2記載の一体型クランク軸の鍛造方法。
    楕円長径=2×(M1×ストローク+M2×アーム平均半径+M3)
    楕円短径=2×(M4×アーム平均半径+M5)
    ずれ量=M6×ストローク+M7×素材直径/素材長さ+M8
    上式で、M1はストロークが楕円長径に及ぼす影響係数、
    M2は圧縮により発生するアーム平均半径が楕円長径に及ぼす係数、
    M3は補正係数、
    M4は圧縮により発生するアーム平均半径が楕円短径に及ぼす係数、
    M5は補正係数、
    M6はストロークがずれ量に及ぼす影響係数、
    M7は素材形状がずれ量に及ぼす影響係数、
    M8は補正係数である。
  4. アーム外周のバルジ形状を2次式Y=A×(X−B)+Cから求める別のステップがあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の一体型クランク軸の鍛造方法。
    ここで、上式のA,B,Cはそれぞれ次式で求めることができる。
    A(θ°)=M9×素材直径/素材長さ+M10×圧縮量/素材長さ+M11
    B=M12×アーム厚み
    C(0°)=(M13×素材直径/素材長さ+M14×ストローク/圧縮量+M15)×アーム平均半径
    C(90°)=(M16×素材長さ/素材直径+M17×圧縮量/素材長さ+M18)×アーム平均半径
    上式で、M9は素材形状が係数Aに及ぼす影響係数、
    M10は圧縮率が係数Aに及ぼす影響係数、
    M11は補正係数、
    M12はアームの厚みがX座標に及ぼす影響係数、
    M13は素材形状がY座標に及ぼす影響係数、
    M14はストローク/圧縮量がY座標に及ぼす影響係数、
    M15は補正係数、
    M16は素材形状がY座標に及ぼす影響係数、
    M17は圧縮量/素材長さがY座標に及ぼす影響係数、
    M18は補正係数である。
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