JP2006217894A - 食肉加工用回転式脱気装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スライスハム用のロースハム原木、ボンレスハム原木又はプレスハム原木等の食肉加工品の脱気を短時間で効率よく均一に行うことができる回転式真空脱気装置や脱気食肉加工品の製造方法を提供すること。
【解決手段】 一端に食肉加工品の収容・取出し可能な開閉蓋を有する複数本の中空円筒状チャンバー1から構成されるロータリー式真空チャンバー2と、各中空円筒状チャンバー1を回転軸芯の周りに公転させる回転駆動装置と、真空ポンプ5と、バッファータンク6と、前記ロータリー式真空チャンバーの個々の中空円筒状チャンバーとバッファータンクの連通部と、個々の中空円筒状チャンバー内を減圧状態と大気圧状態に切り換えることができる大気開放弁9と真空弁10を備え、前記ロータリー式真空チャンバーの収容ステーションから取出しステーションまで公転する間に前記食肉加工品の脱気を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スライスハム用のハム原木等の食肉加工品の脱気を行う回転式真空脱気装置や、脱気されたスライスハム用のハム原木等の食肉加工品の製造方法に関する。
従来、スライスハム用のロースハム原木やボンレスハム原木やプレスハム原木の脱気処理は、10〜30本程度の長さ160cm前後の原木を台車上に載せ、容積10〜20mの真空脱気ハウスに収容した後、ハウス内が−750mmHgとなるように約40分間減圧し続け、−750mmHgで約20分間の真空脱気処理を行っていた。かかる従来の脱気処理では、広いハウス内を短時間で−750mmHgにすることができないばかりか、スライスハムにしたときに断面に小さな気泡が生じた不良品が略3%程度発生していた。
他方、食肉の脱気に関しては、食肉または畜肉等のゲル化原料よりなる練り製品の電磁波使用による加熱成形方法において、樹脂製のパイプコンベアベルトを使用して、脱気処理をした前記ゲル化原料のワークを包み込みパイプ状に走行させ、該パイプ状走行中のパイプコンベアベルトに対しマイクロ電磁波を照射し内蔵するワークの加熱と同時に、ワークをパイプ状に内蔵するパイプコンベアベルトの内部空間の断面形状に成形するようにした、電磁波加熱によるゲル化原料の加熱同時成形方法(例えば、特許文献1参照)や、 真空調理法を用いる生ハム類の製造方法であって、原料食肉を塩漬調味剤で塩漬処理した後、真空脱気包装機により真空パックして、その状態を維持することにより塩漬・熟成を施す、短期間に効率よく肉の塩漬を終了し得る生ハム類の製造方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
特開2002−262848号公報 特開2003−210140号公報
本発明の課題は、スライスハム用のロースハム原木、ボンレスハム原木又はプレスハム原木等の食肉加工品の脱気を短時間で効率よく均一に行うことができる回転式真空脱気装置や脱気食肉加工品の製造方法を提供することにある。
食肉加工業界には、スライスハム用のロースハム原木やボンレスハム原木やプレスハム原木等の食肉加工品の脱気処理を行う真空脱気ハウス内を短時間で−750mmHgとすることはできないという固定観念があったが、本発明者らは、かかる固定観念を打破し、上記課題を解決するため鋭意研究し、真空脱気ハウスに比べて格段に小さな容積の真空チャンバーを用いることにより、各真空チャンバー内を急速に−750mmHgとすることが可能となり、また真空ポンプと真空チャンバーの間にバッファータンクを設けることにより、安定的に−750mmHgとすることが可能となり、さらに各真空チャンバーを駆動軸の周りを公転させる方式を採用したことにより、各真空チャンバー内のハム原木等の食肉加工品が転がり、ハム原木等の食肉加工品のすべての周面が高減圧雰囲気に曝される結果、ハム原木等の食肉加工品が均一に脱気され、そしてまた真空チャンバーを複数用意することによりほぼ連続的に食肉加工品の脱気処理を行うことができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)一端に食肉加工品の収容・取出し可能な開閉蓋を有する複数本の中空円筒状チャンバーから構成されるロータリー式真空チャンバーと、該ロータリー式真空チャンバーの各中空円筒状チャンバーを回転軸芯の周りに公転させる回転駆動装置と、真空ポンプと、該真空ポンプと前記ロータリー式真空チャンバーの間に連通状態で設けられたバッファータンクと、前記ロータリー式真空チャンバーの個々の中空円筒状チャンバーとバッファータンクの連通部と、個々の中空円筒状チャンバー内を減圧状態と大気圧状態に切り換えることができる減圧・大気圧切換え機構とを備え、前記ロータリー式真空チャンバーの収容ステーションから取出しステーションまで公転する間に前記食肉加工品の脱気を行いうることを特徴とする回転式真空脱気装置や、(2)ロータリー式真空チャンバーが、各中空円筒状チャンバーを水平状態を維持したまま間欠的に公転するように構成されていることを特徴とする前記(1)記載の回転式真空脱気装置や、(3)ロータリー式真空チャンバーが、6〜18本の中空円筒状チャンバーを有することを特徴とする前記(1)又は(2)記載の回転式真空脱気装置や、(4)中空円筒状チャンバーの開閉蓋が、自動的に開閉し得るように構成されていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか記載の回転式真空脱気装置に関する。
また本発明は、(5)一端に食肉加工品の収容・取出し可能な開閉蓋を有する複数本の中空円筒状チャンバーから構成されるロータリー式真空チャンバーの収容ステーションに位置する中空円筒状チャンバー内に、ケーシングに収納され、その一部が中空円筒状チャンバー内雰囲気と連通状態となる食肉加工品を順次挿入する収容工程と、前記中空円筒状チャンバーがロータリー式真空チャンバーの収容ステーションから取出しステーションまで公転する120〜300秒の間、前記中空円筒状チャンバー内を−745〜−755mmHgの高減圧状態にして順次脱気する脱気工程と、脱気工程終了後の食肉加工品をロータリー式真空チャンバーの取出しステーションで前記中空円筒状チャンバーから順次取り出す取出し工程とを備えたことを特徴とする脱気食肉加工品の製造方法や、(6)ロータリー式真空チャンバーの各中空円筒状チャンバーを水平状態を維持したまま間欠的に公転させて、中空円筒状チャンバー内の食肉加工品を転がして、食肉加工品のすべての周面を高減圧雰囲気に曝させることを特徴とする前記(5)記載の脱気食肉加工品の製造方法や、(7)ケーシングに収納され、その一部が中空円筒状チャンバー内雰囲気と連通状態にある食肉加工品が、ファイブラスケーシングに充填され、一端が結紮され、他端が開放されている食肉加工品であることを特徴とする前記(5)又は(6)記載の脱気食肉加工品の製造方法や、(8)食肉加工品が、スライスハム用のロースハム原木、ボンレスハム原木又はプレスハム原木であることを特徴とする前記(5)〜(7)のいずれか記載の脱気食肉加工品の製造方法に関する。
本発明によると、スライスハム用のロースハム原木、ボンレスハム原木又はプレスハム原木等の食肉加工品の脱気を短時間で効率よく均一に行うことができるばかりか、脱気処理の省力化をも図ることができ、従来の従来の真空脱気ハウスにおける脱気処理での不良品率略3%を、1.2〜1.5%まで改善することができる。
本発明の回転式真空脱気装置としては、一端に食肉加工品の収容・取出し可能な開閉蓋を有する複数本の中空円筒状チャンバーから構成されるロータリー式真空チャンバーと、該ロータリー式真空チャンバーの各中空円筒状チャンバーを回転軸芯の周りに公転させる回転駆動装置と、真空ポンプと、該真空ポンプと前記ロータリー式真空チャンバーの間に連通状態で設けられたバッファータンクと、前記ロータリー式真空チャンバーの個々の中空円筒状チャンバーとバッファータンクの連通部と、個々の中空円筒状チャンバー内を減圧状態と大気圧状態に切り換えることができる減圧・大気圧切換え機構とを備え、前記ロータリー式真空チャンバーの収容ステーションから取出しステーションまで公転する間に前記食肉加工品の脱気を行いうる装置であれば特に制限されず、また、本発明の脱気食肉加工品の製造方法としては、一端に食肉加工品の収容・取出し可能な開閉蓋を有する複数本の中空円筒状チャンバーから構成されるロータリー式真空チャンバーの収容ステーションに位置する中空円筒状チャンバー内に、ケーシングに収納され、その一部が中空円筒状チャンバー内雰囲気と連通状態となる食肉加工品を順次挿入する収容工程と、前記中空円筒状チャンバーがロータリー式真空チャンバーの収容ステーションから取出しステーションまで公転する120〜300秒の間、前記中空円筒状チャンバー内を−745〜−755mmHgの高減圧状態にして順次脱気する脱気工程と、脱気工程終了後の食肉加工品をロータリー式真空チャンバーの取出しステーションで前記中空円筒状チャンバーから順次取り出す取出し工程とを備えた方法であれば特に制限されないが、−745〜−755mmHgの高減圧状態、特に略−750mmHgで150〜300秒の間脱気することが好ましい。
上記食肉加工品における食肉の種類としては、豚肉、牛肉、馬肉、羊肉等の畜肉の他、家禽肉、魚肉などの食用に供される肉を挙げることができ、加工品の種類としては、スライスハム用のハム原木や生ハム用の生肉原木の他、肉塊状,ブロック状,細切れ状,ミンチ状等の食肉原料をケーシングに充填した包装原木や練り製品などを挙げることができるが、ボンレスハム,ロースハム,ベリーハム,プレスハム等のハム原木や、ソーセージ、ミートローフなどの加熱食肉加工品を好適に例示することができ、中でもピックル液を大量に注入する際及びケーシングに充填する際にエアの混入する機会の多いスライスハム用のロースハム原木やボンレスハム原木やプレスハム原木を好適に例示することができる。
上記食肉加工品は、ケーシングに収納された状態でロータリー式真空チャンバーの各中空円筒状チャンバーに収容されることが好ましく、かかるケーシングとしては、通気性を有し、加熱冷却による食肉原料の膨張収縮に対応しうる素材からなるケーシングが好ましく、ファイブラスケーシングを好適に例示することができる。かかるファイブラスケーシングとしては、市販品をも含め、従来から公知のファイブラスケーシングを用いることができる。ファイブラスケーシング等のケーシングに食肉加工品を充填し、筒状であれば片側の一端のみをアルミ等のクリップにより結紮し、袋状であれば開口部をそのまま開放端としてロータリー式真空チャンバーの各中空円筒状チャンバーに収容することが好ましい。このように、通気性を有する素材のケーシングに収納された食肉加工品や、一端が開放されたケーシングに収納された食肉加工品や、通気性を有する素材からなり一端が開放されたケーシングに収納された食肉加工品など、ケーシングに収納され、その一部が真空チャンバー内雰囲気と連通状態にある食肉加工品を用いることが重要である。なお、両端が開放されたケーシングを用いると、脱気効率はよくなるが、食肉加工品の種類によっては、ロータリー式真空チャンバーへの収容・取出し時に食肉がケーシングから漏れ出る可能性がある。また、ケーシングに収納された食肉加工品等の形状は円筒状、枕状など特に制限されないが、ロータリー式真空チャンバーの各中空円筒状チャンバーを駆動軸の周りに水平状態を維持したまま公転させる構成を採用した場合に、各中空円筒状チャンバー内の食肉加工品が転がり、食肉加工品のすべての周面が高減圧雰囲気に曝され、食肉加工品が均一に脱気されることから、円筒形状が好ましい。
上記ロータリー式真空チャンバーとしては、一端に食肉加工品の収容・取出し可能な開閉蓋を有し、他端はバッファータンクへの連通部(連通パイプ)と連通状態で気密に連結されている中空円筒形状チャンバーを複数有するものであれば特に制限されず、上記食肉加工品の収容・取出し可能な開閉蓋としては、ロータリー式真空チャンバーの収容ステーションや取出しステーションにおいて開閉蓋を自動的に開閉される開閉蓋が好ましく、かかる開閉蓋の自動開閉機構としては、公知の自動開閉機構を採用することができるが、例えば、中空円筒形状チャンバー開口部を覆う天板部と該天板部外周縁部に一体的に形成された外周部とを備えた開閉蓋の天板部外面側に設けられたヒンジを介して一端が連結され、他端に半球状のスライーダー部が設けられた開閉アームと、該開閉アームの中程を軸着するための固定軸と、前記スライーダー部を押し下げるようにガイドする、取出しステーションから収容ステーションにかけて設けられたガイド曲板とから構成される開閉蓋の自動開閉機構を挙げることができ、かかる自動開閉機構により、開口部を密封状態で閉蓋した中空円筒形状チャンバーが取出しステーションに公転してくると、開閉アームの一端の半球状のスライーダー部がガイド曲板にガイドされながら漸次押し下げられ、固定軸を支点として開閉アームの他端のヒンジ連結部が持ち上げられて、開閉蓋が自動的に開くことになり、この取出しステーションで脱気後の食肉加工品が取り出され、この開蓋状態で次の収容ステーションまで公転した中空円筒形状チャンバーには食肉加工品が挿入された後、次の脱気ステーションへの移行過程で、開閉アームの一端の半球状のスライーダー部がガイド曲板にガイドされながら、蓋の自重又はバネの弾性力により漸次押し上げられ、固定軸を支点として開閉アームの他端のヒンジ連結部が押し下げられて、中空円筒形状チャンバー開口部に自動的に閉蓋されることになる。また、上記ロータリー式真空チャンバーの収容ステーションと取出しステーションとを共用する収容・取出しステーションとすることもできる。
ロータリー式真空チャンバーを構成する中空円筒状チャンバーの数は2本以上、好ましくは12〜18本、特に好ましくは12本とすることができ、中空円筒状チャンバー数が多いと、より連続的に脱気食肉加工品を製造することができるが、ロータリー式真空チャンバーが大型化していくことになる。ロータリー式真空チャンバーは、複数本の中空円筒状チャンバーを水平状態、傾斜状態、又は垂直状態を維持するように構成することができるが、中空円筒状チャンバーを水平状態を維持したまま公転させると、ハム原木等の円筒状の食肉加工品が公転に従い中空円筒状チャンバー内で転がり、ケーシングに収納された食肉加工品のすべての周面を高減圧雰囲気に曝させることができ、脱気を均一にすることができる。
ロータリー式真空チャンバーを構成する中空円筒状チャンバーの直径や長さは食肉加工品の大きさによって種々変更しうるが、食肉加工品の収容・取出しの簡便性や、公転する中空円筒状チャンバー内でハム原木等の食肉加工品が転動するように、直径は食肉加工品の直径の1.1〜1.6倍、特に1.3〜1.5倍が好ましく、長さについては1.1〜1.5倍、特に1.2〜1.3倍が好ましい。例えば、直径90mm、長さ1600mmのハム原木の場合、直径130mm、長さ2000mmの内容積の中空円筒状チャンバーを好適に例示することができる。また、公転する中空円筒状チャンバー内で食肉加工品が転動しない場合にあっても、可及的均一に脱気しうるように、中空円筒状チャンバー内面に、例えば幅・深さとも1mmの溝を設けておくこともできる。さらに、ロータリー式真空チャンバーを構成する中空円筒状チャンバーの内容積や内容積の総量は、真空ポンプの能力にも依存するが、殆ど瞬時に−745〜−755mmHg、好ましくは−750mmHgに減圧される容量が好ましく、通常の真空ポンプの場合、中空円筒状チャンバーの内容積は20〜30L、好ましくは25L程度であり、内容積の総量は240〜360L、好ましくは300L程度である。
ロータリー式真空チャンバーの各中空円筒状チャンバーを回転軸芯の周りに公転させる回転駆動装置としては、例えば、モーター等の駆動源と、駆動源によって間欠的又は連続的に回転する回転軸と、この回転軸に等間隔で固着され他端が前記中空円筒状チャンバーに固着されている連結アームとを備えた回転駆動装置や、サーボモーター等の駆動源と、駆動源によって間欠的又は連続的に回転する回転ドラムと、回転ドラムの内周面に等間隔で中空円筒状チャンバーを固着するノブ(固定用ハンドル)とを備えた回転駆動装置を挙げることができる。回転ドラムを間欠的に駆動する場合、この固定用ハンドルのヘッドを近接スイッチが検出し、回転ドラムを一定の位置に停止させることができる。水平に配置された回転ドラムの内面に等間隔で中空円筒状チャンバーを保持する回転駆動装置の場合、回転ドラムの斜め下方に2つの回転ドラム支持ローターを設けることもできる。また、例えば、12本の中空円筒形状チャンバーを回転軸芯の周りに間欠的に公転させる場合、12本の中空円筒形状チャンバーのうち9本が脱気ステーションに位置するとすると、その1ピッチを15〜30秒とし、脱気時間を150〜300秒とすることができる。
本発明の回転式真空脱気装置には、ロータリー式真空チャンバーの各中空円筒状チャンバーを減圧するための真空ポンプを備えている。かかる真空ポンプとしては市販のものを利用することができるが、真空ポンプの排気能力としては、150〜180m/hr、好ましくは160m/hrの排気速度を有するものを好適に例示することができる。ロータリー式真空チャンバーの中空円筒状チャンバーの真空度は大きいほど好ましく、例えば−740mmHgでは食肉加工品の種類によっては脱気が不十分になるおそれがあり、−745mmHg以上、特に−750mmHg以上が好ましいが、真空度を上げるに従い、真空ポンプの大型化、高コスト化を招くことになる。
真空ポンプとロータリー式真空チャンバーとの間には、バッファータンクが設けられている。バッファータンクの容量は、ロータリー式真空チャンバーを構成する中空円筒状チャンバーの内容積の総量の1〜1.5倍が好ましく、例えば中空円筒状チャンバーの内容積の総量が300Lの場合、バッファータンクの容量は300〜450L、好ましくは350〜400Lである。バッファータンクを設けることにより、瞬時にロータリー式真空チャンバーの中空円筒状チャンバー内を確実に−750mmHgに減圧することができる。例えば、バッファータンクが存しないと、ロータリー式真空チャンバーの収容ステーションから脱気ステーションに移行時の中空円筒状チャンバーの内圧が急激に降下しないばかりか、移行時の中空円筒状チャンバー内は排気が十分でないため、他の脱気ステーションにある中空円筒状チャンバーの内圧が一瞬ではあるが上昇することがあるが、バッファータンクを設けることにより、これらの不都合が大幅に改善されることになる。さらに、バッファータンクは逆流防止の役割をも担うことができる。
バッファータンクは、ロータリー式真空チャンバーの個々の中空円筒状チャンバーと、例えば気密回転継手を備える分配手段を介して連通されており、かかる連通部には、大気解放弁及び真空弁が設けられるが、大気解放弁は中空円筒状チャンバーに設けることができる。この大気解放弁及び真空弁は、個々の中空円筒状チャンバー内を減圧状態と大気圧状態に切り換えることができる減圧・大気圧切換え機構として機能する。ロータリー式真空チャンバーの取出しステーション〜収容ステーションの間では、大気解放弁が「開」で真空弁が「閉」となり、それ以外の脱気ステーションでは、大気解放弁が「閉」で真空弁が「開」となっている。これら大気解放弁や真空弁の開閉は、自動的に行うことが好ましく、これらを電磁弁とすることで、ロータリー式真空チャンバーの中空円筒状チャンバーの公転と同期させて開閉を行うことができる。
以下、図により本発明の回転式真空脱気装置をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。図1は、本発明の回転式真空脱気装置の概略側面図、図2及び図3は本発明の回転式真空脱気装置の縦断面図、図4は中空円筒状チャンバーの開閉蓋の自動開閉機構を示す一部拡大図である。
図1〜3には、一端が結紮されたファイブラスケーシングFに充填された直径90mm、長さ1.6mのハム原木Gを収容することができる、12本の直径130mm、長さ2.0mの中空円筒状チャンバー1からなるロータリー式真空チャンバー2と、該ロータリー式真空チャンバー2の各中空円筒状チャンバー1を回転軸芯の周りに公転させる回転駆動装置としてのモーター(図示せず)、該モーターにより回転し、その内面に等間隔で中空円筒状チャンバー1が固設され、中空円筒状チャンバー開口部側端部にフランジを有する内径950mm、長さ2mの回転ドラム3、該回転ドラム3の斜め下方に設けられた2つの回転ドラム支持ローター4と、排気能力160m/hrの真空ポンプ5と、該真空ポンプ5と前記真空チャンバー1の間に連通状態で設けられた容量400Lのバッファータンク6と、前記真空チャンバー2の個々の中空円筒状チャンバー1と気密回転継手7を備える分配手段を介して連通している連通パイプ8と、連通パイプ8のロータリー式真空チャンバー2側から順次設けられた個々の中空円筒状チャンバー内を減圧状態と大気圧状態に切り換えることができる大気解放弁9及び真空弁10を備えた本発明の回転式真空脱気装置が図示されている。
また、図3と4には、中空円筒状チャンバー1の開閉蓋の自動開閉機構が示されている。自動開閉機構は、中空円筒形状チャンバー開口部を覆う天板部と該天板部外周縁部に一体的に形成された外周部とを備えた開閉蓋11の天板部外面側に設けられたヒンジ12を介して一端が連結され、他端に半球状のスライーダー部13が設けられた開閉アーム14と、該開閉アーム14の中程を軸着するための固定軸と、前記スライーダー部13を押し下げるようにガイドする、取出しステーションから収容ステーションにかけて設けられたガイド曲板15とから構成されている。かかる自動開閉機構により、開口部を密封状態で閉蓋した中空円筒形状チャンバー1が取出しステーションに公転してくると、開閉アーム14の一端の半球状のスライーダー部13がガイド曲板15にガイドされながら漸次押し下げられ、固定軸16を支点として開閉アーム14の他端のヒンジ12連結部が持ち上げられて、開閉蓋11が自動的に開くことになり、この取出しステーションで脱気後の食肉加工品が取り出され、この開蓋状態で次の収容ステーションまで公転した中空円筒形状チャンバー1には食肉加工品が挿入された後、次の脱気ステーションへの移行過程で、開閉アーム14の一端の半球状のスライーダー13部がガイド曲板15にガイドされながら、開閉蓋11の自重により漸次押し上げられ、固定軸16を支点として開閉アーム14の他端のヒンジ12連結部が押し下げられて、中空円筒形状チャンバー開口部が自動的に閉蓋されることになる。
上記の回転式真空脱気装置におけるロータリー式真空チャンバー2の12本の中空円筒形状チャンバー1のうち、1本を収容ステーションに、続く9本を脱気ステーションに、次の1本を取出しステーションに、最後の1本を取出−収容間の予備ステーションに位置するように、12個の中空円筒形状チャンバー1を回転軸芯の周りに1ピッチを15秒で間欠的に公転させ、脱気ステーションの9本の中空円筒形状チャンバー内を−750mmHgで150秒間脱気したところ、不良品の発生率がきわめて小さい脱気ハム原木が得られた。
本発明の回転式真空脱気装置の概略側面を示す図である。 本発明の回転式真空脱気装置の断面を示す図である。 本発明の回転式真空脱気装置の断面を示す図である。 本発明の中空円筒状チャンバーの開閉蓋の自動開閉機構を示す一部拡大図である。
符号の説明
G ハム原木
F ファイブラスケーシング
1 中空円筒状チャンバー
2 ロータリー式真空チャンバー
3 回転ドラム
4 回転ドラム支持ローター
5 真空ポンプ
6 バッファータンク
7 気密回転継手
8 連通パイプ
9 大気開放弁
10 真空弁
11 開閉蓋
12 ヒンジ
13 スライーダー部
14 開閉アーム
15 ガイド曲板
16 固定軸

Claims (8)

  1. 一端に食肉加工品の収容・取出し可能な開閉蓋を有する複数本の中空円筒状チャンバーから構成されるロータリー式真空チャンバーと、該ロータリー式真空チャンバーの各中空円筒状チャンバーを回転軸芯の周りに公転させる回転駆動装置と、真空ポンプと、該真空ポンプと前記ロータリー式真空チャンバーの間に連通状態で設けられたバッファータンクと、前記ロータリー式真空チャンバーの個々の中空円筒状チャンバーとバッファータンクの連通部と、個々の中空円筒状チャンバー内を減圧状態と大気圧状態に切り換えることができる減圧・大気圧切換え機構とを備え、前記ロータリー式真空チャンバーの収容ステーションから取出しステーションまで公転する間に前記食肉加工品の脱気を行いうることを特徴とする回転式真空脱気装置。
  2. ロータリー式真空チャンバーが、各中空円筒状チャンバーを水平状態を維持したまま間欠的に公転するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の回転式真空脱気装置。
  3. ロータリー式真空チャンバーが、6〜18本の中空円筒状チャンバーを有することを特徴とする請求項1又は2記載の回転式真空脱気装置。
  4. 中空円筒状チャンバーの開閉蓋が、自動的に開閉し得るように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の回転式真空脱気装置。
  5. 一端に食肉加工品の収容・取出し可能な開閉蓋を有する複数本の中空円筒状チャンバーから構成されるロータリー式真空チャンバーの収容ステーションに位置する中空円筒状チャンバー内に、ケーシングに収納され、その一部が中空円筒状チャンバー内雰囲気と連通状態となる食肉加工品を順次挿入する収容工程と、前記中空円筒状チャンバーがロータリー式真空チャンバーの収容ステーションから取出しステーションまで公転する120〜300秒の間、前記中空円筒状チャンバー内を−745〜−755mmHgの高減圧状態にして順次脱気する脱気工程と、脱気工程終了後の食肉加工品をロータリー式真空チャンバーの取出しステーションで前記中空円筒状チャンバーから順次取り出す取出し工程とを備えたことを特徴とする脱気食肉加工品の製造方法。
  6. ロータリー式真空チャンバーの各中空円筒状チャンバーを水平状態を維持したまま間欠的に公転させて、中空円筒状チャンバー内の食肉加工品を転がして、食肉加工品のすべての周面を高減圧雰囲気に曝させることを特徴とする請求項5記載の脱気食肉加工品の製造方法。
  7. ケーシングに収納され、その一部が中空円筒状チャンバー内雰囲気と連通状態にある食肉加工品が、ファイブラスケーシングに充填され、一端が結紮され、他端が開放されている食肉加工品であることを特徴とする請求項5又は6記載の脱気食肉加工品の製造方法。
  8. 食肉加工品が、スライスハム用のロースハム原木、ボンレスハム原木又はプレスハム原木であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか記載の脱気食肉加工品の製造方法。
JP2005036463A 2005-02-14 2005-02-14 食肉加工用回転式脱気装置 Expired - Fee Related JP4322830B2 (ja)

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