JP2006217832A - 細胞等保存装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】微生物及び動物由来物の保存装置の提供。
【解決手段】静電場発生装置と冷却装置を備えた動物の臓器、その細切り、又は細胞(以下これらを細胞等という)の保存装置であって、細胞等の保存区画と冷却区画が区別されており、少なくとも細胞等の保存区画は静電場雰囲気であり、細胞等の保存区画の冷却が細胞等の保存区画と冷却区画との温度差による空気の対流によっておこなわれる機能を備えた細胞等保存装置。静電場雰囲気でなければ微生物やヒトを含む動物由来物が凍結しうる−12〜−1℃でも凍結させることなく保存することができる。器官、臓器、組織、細胞、血液製剤、精製蛋白質、組換蛋白質、培養細胞、培養組織等の保存に有用であり、特に移植領域、再生医療領域、基礎研究領域、遺伝子治療領域、臨床検査領域、製薬・試薬領域等に利用することができる。
【選択図】図1
【解決手段】静電場発生装置と冷却装置を備えた動物の臓器、その細切り、又は細胞(以下これらを細胞等という)の保存装置であって、細胞等の保存区画と冷却区画が区別されており、少なくとも細胞等の保存区画は静電場雰囲気であり、細胞等の保存区画の冷却が細胞等の保存区画と冷却区画との温度差による空気の対流によっておこなわれる機能を備えた細胞等保存装置。静電場雰囲気でなければ微生物やヒトを含む動物由来物が凍結しうる−12〜−1℃でも凍結させることなく保存することができる。器官、臓器、組織、細胞、血液製剤、精製蛋白質、組換蛋白質、培養細胞、培養組織等の保存に有用であり、特に移植領域、再生医療領域、基礎研究領域、遺伝子治療領域、臨床検査領域、製薬・試薬領域等に利用することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、新規な微生物又は動物由来物の保存装置に関する。さらに詳しくは、微生物又は動物由来物を静電場雰囲気内におく細胞等保存装置に関する。
脳死ドナーからの肝移植は末期肝疾患に対する治療法として確立され、欧米ではすでに年間8,000例以上行なわれている。わが国でもようやく1997年に臓器移植法が施行されたが、6年を経過した2003年10月現在、脳死者からの肝提供による肝移植はわずか23例に過ぎない。一方、我が国では身内又は配偶者から肝提供をうける生体部分肝移植が1989年に初めて施行されて以来、現在までに2300例以上が実施され、生体肝移植はいまや日常の診療となりつつある。
ドナー手術と同時進行可能で、最短の冷保存が可能な生体肝移植と異なり、脳死肝移植の場合、長時間の冷保存(0〜4℃)が不可避である。1980年代後半にUniversity of Wisconsin (UW) 液が開発され、冷保存時間の限界が従来の7〜8時間より24時間に大幅に延長し、肝移植は緊急手術より準緊急・待機手術へと変貌を遂げた。しかし現在でも5〜10%の症例に移植後グラフト機能不全がみられ、実際には16時間を超える保存ではグラフト機能不全が起こる確率が非常に高くなる。また心臓・肺移植では保存の限界はいまだに6〜7時間であり緊急手術の域を出ていないのが現状である。そこで保存時間のさらなる延長が可能であれば、その各種臓器移植に及ぼす世界的な影響ははかりしれないほど大きいと考えられる。
臓器保存の温度に注目すれば従来の冷保存温度である4℃では代謝は1/10になり、−4℃では1/17になることが知られ、氷点下非凍結保存の有用性が示唆されていた。従来、非凍結剤を用いた実験が行われてきたが、氷点下非凍結保存は可能であるものの、非凍結剤によるグラフト障害が避けられなかった。
移植技術の発達により、移植対象動物の組織等の保存方法の改良は種々検討されている。組織を凍結させない条件での保存は、組織がより自然に近い状態にあるため好ましい保存方法である。たとえば、グルコースを含む第一液で血管内の血液を排除かつ置換し、ジメチルスルフォキシド又はグリセリンとマンニットを含む第二液で第一液を置換した後、凍結させずに0℃ないし20℃で保存する方法が開示されている(特許文献1)。あるいは非還元二糖と充填剤との保存剤の組み合わせによる生存微生物、細胞、又は組織の保存方法の提案もある(特許文献2)。しかし、いずれの保存方法も、安定剤の添加や複雑な処理が必要であり、早期の改良が望まれている。
食品等を、静電場雰囲気を利用して過冷却状態において保存するための装置は、開示されている(特許文献3〜7)。しかし、それらはいずれも食品の分野でのみ利用されていたにすぎない。
微生物及び動物由来物の保存のための新規な装置の提供が、本発明の課題である。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者らは、微生物又は動物由来物を静電場雰囲気内におき過冷却状態において保存するに際し微生物及び動物由来物をより自然な形で保存しうる機能を備えた装置を見出し、本発明を完成した。
つまり本発明は以下からなる。
1.静電場発生装置と冷却装置を備えた微生物、動物の臓器、その細切り、又は細胞(以下これらを細胞等という)の保存装置であって、細胞等の保存区画と冷却区画が区別されており、少なくとも細胞等の保存区画は静電場雰囲気であり、細胞等の保存区画の冷却が細胞等の保存区画と冷却区画との温度差による空気の対流によって冷却された空気が連通部を経て達することによって行われる機能を備えた細胞等保存装置。
2.対流する空気が、細胞等に直接及ばない設計である前項1の細胞等保存装置。
3.細胞等の保存棚に、多数の空隙が設けられている前項2の細胞等保存装置。
4.前項1〜3のいずれか一に記載の細胞等保存装置を使い、100V〜20000Vの交流又は直流電圧を電極に印加し静電場雰囲気とし、−10℃〜−1℃で保存する細胞等の保存方法。
つまり本発明は以下からなる。
1.静電場発生装置と冷却装置を備えた微生物、動物の臓器、その細切り、又は細胞(以下これらを細胞等という)の保存装置であって、細胞等の保存区画と冷却区画が区別されており、少なくとも細胞等の保存区画は静電場雰囲気であり、細胞等の保存区画の冷却が細胞等の保存区画と冷却区画との温度差による空気の対流によって冷却された空気が連通部を経て達することによって行われる機能を備えた細胞等保存装置。
2.対流する空気が、細胞等に直接及ばない設計である前項1の細胞等保存装置。
3.細胞等の保存棚に、多数の空隙が設けられている前項2の細胞等保存装置。
4.前項1〜3のいずれか一に記載の細胞等保存装置を使い、100V〜20000Vの交流又は直流電圧を電極に印加し静電場雰囲気とし、−10℃〜−1℃で保存する細胞等の保存方法。
空気の自然対流を利用して冷却し、静電場雰囲気内で器官や臓器等を保存する機能を備えた本発明の装置により、細胞等を損傷することなく長期保存することが可能となる。すなわち、本発明の方法では微生物又は動物由来物を長期間、自然に近い状態で、微生物又は動物由来物が有する活性を不活化若しくは不活性化させることなく、又は死滅化させることなく保存することができる。本発明の装置は、細胞等の静電場雰囲気内での冷却を緩徐に行うことができ、そのメカニズムは温度差による空気対流を主たるものとする。この結果、冷却を直接行う装置に比較して細胞等の保存安定性が有意に上昇した。
本発明の装置は、静電場発生装置と冷却装置を備えている。そして、装置は、少なくとも2区画に分かれており、微生物、動物の臓器、その細切り、又は細胞(以下これらを細胞等という)の保存区画と冷却区画が区別及び/又は分離されている。両区画は少なくとも一部の連通部を有し、この連通部を通じて空気の流通が達成される。連通部の位置は特に限定されないが、好適には下方部にある。空気対流の制御手段を講じれば下方部には限定する必要はない。細胞等の保存区画は少なくとも静電場雰囲気にすることができ、この区画には冷却機能はないように分離される。細胞等の保存区画の冷却は、細胞等の保存区画と冷却区画が区別及び/又は分離されていることにより生じる両者間の温度差による空気の対流によって冷却された空気が、連通部を経て細胞等の保存区画に緩徐に流入することによっておこなわれる。つまり、細胞等が保存区画に保存された際には、保存装置のドア(図中12及び13)を開けることから外部の空気が流入し、保存区画(図中17)の温度が上昇する。一方、冷却区画(図中16)は冷却機によって冷却されており、保存区画と冷却区画に温度差が生じる。ファン(図中4)等の作用で空気に循環を起こすと、冷えた空気が連通部を経て対流し、少し上昇した空気と混ざり合い、緩徐に保存区画の冷却を達成できる。この結果、細胞等の保存安定性が有意に上昇した。
本発明の装置は、装置内の温度と冷却機の稼動を連動させるためのセンサーを設置する。センサーは、サーモスタットに連動し、冷却機の稼動及び停止を行う。温度は、例えば−5〜−3を所望温度とし、−5以下であればスイッチオフ、−3以上であればスイッチオンとなる。このセンサーの設置位置は好適には、連通部周辺である。あるいは、保存区画全体の温度を感知するためには、保存区画の中央部又は空気流通の最深到達部に設置することもできる。
本発明の装置は、装置内の温度と冷却機の稼動を連動させるためのセンサーを設置する。センサーは、サーモスタットに連動し、冷却機の稼動及び停止を行う。温度は、例えば−5〜−3を所望温度とし、−5以下であればスイッチオフ、−3以上であればスイッチオンとなる。このセンサーの設置位置は好適には、連通部周辺である。あるいは、保存区画全体の温度を感知するためには、保存区画の中央部又は空気流通の最深到達部に設置することもできる。
本発明の装置の好ましい態様は、前記対流する空気が、細胞等に直接及ばない構造である。たとえば、実施例に示したものは空気の対流が、細胞等の保存棚の下側のみからおこる構造的設計である。この構造では冷却機によって冷却された空気は、下方部に設置された連通部(19)を経て、保存区画(図中17)の下部から例えば細胞等の保存棚の下側のみからおこる。この構造的設計によって、細胞等の保存安定性が有意に上昇した。しかし、空気の対流はこれに限定されるものではなく、上側から或は横側から冷却区画から保存区画に流入してきても、一定の遮蔽板等を使い、空気流入が細胞等に直接あたり細胞等の冷却を急激に行うのでなければ利用できる。このような態様も本発明の対象である。
細胞等保存装置の保存区画に設置される細胞等の保存棚は、複数段に上下に設置される。この保存棚は、空気の通過のために多数の空隙(図中14)が設けられている。空隙は、好ましくは、直角滑面であって、斜めの切れ目でないことがよい。空隙の直径は、5mm〜30mmである。なお、棚は網構造であってもよい。つまり空隙でなく、網目構造でも同様に目的は達成できる。空瞭部の比率は、20〜90%が一般的、好適には30〜70%である。棚は、内層部例えば金属壁(図中7)と0〜15mm程の空隙を設ける。例えば、前後が0mmで、左右が15mm程度が例示される。この空隙及び棚の空隙を経て、空気は保存区画内を対流し、緩徐に下から上方向に細胞等の保存棚を冷やし、保存物を静電場雰囲気下で冷却する。この保存棚は、導電性材料例えば金属でつくられている。
本発明の細胞等の保存棚の保存区画は、静電場雰囲気にある。保存区画は、細胞等の出し入れ用のドアー部(図中13)、下部の開放部(図中8)、導電性材料(例えばステンレス、アルミ箔、導電塗料、導電性ゴム、導電性テープ、導電性インク等の公知の導電性材料で被覆された材料でも良いし、自体でも良い。以下本発明で導電性材料は同様の意味。)によって形成された内層部(図中7)、絶縁性材料(例えばポリカーボネート、ABS樹脂、セラミック、テフロン(登録商標)、プラスチック、塩化ビニル樹脂、絶縁ガラス、PBS、シリコン、木材、紙等の公知の絶縁材料で被覆された材料でも良いし、自体でも良い。以下本発明で絶縁材は同様の意味。)によって形成された外層部(図中6)からなる隔壁等によって構成されている。そして、保存区画と冷却区画は、この内層部(図中7)と外層部(図中6)の隔壁によって、区別及び/又は分離され、連通部(19)を通じて連通している。さらに、この隔壁と冷却区画との接触部は絶縁体(例えばポリカーボネート、ABS樹脂、セラミック、テフロン(登録商標)、プラスチック、塩化ビニル樹脂、絶縁ガラス、PBS、シリコン、木材、紙等の公知の絶縁材料で被覆された材料でも良いし、自体でも良い。以下本発明で絶縁材は同様の意味。)(図中3)が設置され、漏電を防ぐ。
保存区画の好ましい態様は、容器内を静電場状態にする。静電場雰囲気とするために、種々の手段が公知であるが、例えば保存区画内の特定部に単に電極板を絶縁状態で載置することで達成される。あるいは、内層部例えば金属壁(図中7)に高電圧発生装置(図中1)を高圧ケーブル(図中2)でつなぐことでも達成できる。
保存区画の好ましい態様は、容器内を静電場状態にする。静電場雰囲気とするために、種々の手段が公知であるが、例えば保存区画内の特定部に単に電極板を絶縁状態で載置することで達成される。あるいは、内層部例えば金属壁(図中7)に高電圧発生装置(図中1)を高圧ケーブル(図中2)でつなぐことでも達成できる。
本発明の細胞等の保存棚の保存区画は、冷却区画(冷却装置)内に半開放(連通部を通じてのみ開口)的に設置することによってつくることができる。冷却区画は、断熱材によって形成された内層部(図中10)、保護材によって形成された外壁(図中9)よりなり、ドアー部(図中12)、空気循環用のファン(図中4)、蒸発機と圧縮機を含む冷却機(図中11)等を構成要素に含む。通常の家庭用又は業務用の冷凍冷蔵庫を簡便に利用することもできる。この冷凍冷蔵庫内に上記条件を満たす静電場雰囲気の保存区画を設置すればよい。両側に閉塞性の側板と、電場箱の上部を閉塞する上板と電場箱の連通部のみを開放し、多数の空隙をもつ保存棚から形成される。そして、その前面は用事開放されて冷蔵庫の扉を開いたときに対象物の出入が容易に行い得る。高電圧発生装置で、高電圧がいずれかの金属棒等の導電性材料部に印加され、静電場雰囲気が形成される。
なお、空気循環用ファンの強さは、例えば、1〜5m/s程度の強さで十分である。
なお、空気循環用ファンの強さは、例えば、1〜5m/s程度の強さで十分である。
本発明の装置における静電場雰囲気は、100V〜20000V、好ましくは100V〜10000Vより好ましくは好ましくは100V〜5000Vの交流又は直流電圧を電極に印加して形成される。印加する電圧は、保存対象物やその保存状態により適宜選択することができる。特に、保存液中で保存する場合や保存容器の材質により、印加する電圧を選択することができる。電流は交流、直流のいずれであってもよい。
本発明の装置の使用方法は、微生物、動物由来物、腸管、脾臓、膵臓、その細切もしくはその細胞、又は骨髄移植細胞(例えば骨髄細胞、臍帯血細胞、それらの幹細胞)を、100V〜5000Vの交流又は直流電圧を電極に印加し静電場雰囲気とし、−10℃〜−1℃で保存する。保存における静電場雰囲気下条件とは、100V〜5000Vの交流又は直流電圧を電極に印加して形成される。そして本発明の静電場雰囲気内におく保存に適用されうる温度は、−20〜40℃、好ましくは−20〜5℃、より好ましくは−12〜−1℃、さらに好ましくは−5〜−1℃である。保存する温度は、保存対象物やその保存状態により適宜選択することができる。特に例えば0℃以下であっても、過冷却現象により、保存対象物を凍結させることなく保存することができる。ここに過冷却現象とは、液体が凍り始める寸前の温度である氷結点を下回る温度であっても物質が凍らない現象をいう。氷結点を下回る温度の場合でも、本発明の静電場雰囲気下では、物質へ温度を伝えると同時に微振動エネルギーが起こり、水溶液は凍結せず、微生物及び動物由来物の凍結もおこらないと考えられる。
微生物又は動物由来物が保存液中に浸漬状態であるとは、微生物及び動物由来物が金属やプラスチック等の容器内の保存液中に浸っている状態をいい、一般的に公知のあらゆる細胞等の保存液や今後開発される保存液を利用することができる。保存液の代表的なものとして、例えば今日の移植(Vol.11, No.5, September p.549-557(1998))に例示されるリンゲル液、ユーロコリンズ溶液、UW溶液、SLS溶液、H−L溶液、HTK溶液等や、市販品、例えばラクテック(大塚製薬製)が挙げられる。
微生物又は動物由来物が、静電場雰囲気内にそのまま存置されるとは、微生物又は動物由来物が、水溶液中におかれることなくそのまま静電場雰囲気内におかれることをいい、物質そのものが金属やプラスチック等の容器内に収納されて保存されていても良い。例えば、微生物を静電場雰囲気内にそのまま存置すると、過冷却現象により仮死状態とすることができ、精製蛋白質であれば、そのまま安定に不活化の心配なく長期保存することが可能である。また、採血した血液の由来物を、CPD液(クエン酸ナトリウム、クエン酸、グルコース、NaH2PO4・2H2Oを含む)やMAP液(マンニトール、アデニン、リン酸を含む)等を含むプラスチック(pp)製等の採血用バッグに入れて、静電場雰囲気内にそのまま存置すると、例えば0℃以上でも安定に保存することができる。
かくして、本発明の装置は、移植領域での臓器・組織保存、生物由来製剤領域での成分保存、血漿分画製剤の保存、再生医療領域での細胞・組織保存、基礎実験領域での各種培養細胞保存、遺伝子治療領域での遺伝子及び薬剤を導入したベクターの保存、臨床検査領域での検体保存、製薬・試薬領域での精製蛋白質保存等の領域で利用することができる。
本発明の保存装置が適用される微生物及び動物由来物は、細菌、真菌類、ウイルス等の微生物、ヒト及びヒト以外の動物由来の物質を含むことを意味する。例えば移植領域での臓器・組織では、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、腸管、小腸、心臓弁、皮膚、血管、角膜、眼球、硬膜、骨、気管、耳小骨等が挙げられる。生物由来製剤領域での成分では、血液や尿成分由来の精製蛋白質、例えば血液凝固因子、抗凝固因子、トロンビン、ウロキナーゼ、ウリナスタチン、プラセンタやこれらの遺伝子組換蛋白質、その他ゼラチン、へパリン、コンドロイチン、ヒアルロン酸等が挙げられる。再生医療領域での細胞・組織では、造血幹細胞、ES細胞(胚性幹細胞)、骨髄、各種因子等が挙げられる。臨床検査領域での検体では、生化学検体、内分泌検体、ウイルス検体、細菌検体、真菌検体、免疫血清検体、細胞性免疫検体、遺伝子、染色体検体、染色体検体、血液学検体、微生物検体、病理学検体等が挙げられる。遺伝子治療領域では遺伝子及び薬剤を導入したベクターを含む微生物が挙げられる。さらに、基礎実験領域では、各種臓器や摘出生体試料および検体、各種培養細胞では、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、血液幹細胞などの培養系細胞および再生医療用各種細胞等を挙げられ、また各種アッセイ等にも利用可能な細胞にも適用することができる。例えば、市販の株化細胞や、生体から取得した細胞等が挙げられ、特に浮遊細胞の保存には好適に適用することができる。また抗体など凍結保存が不適切な蛋白質全般に適用することが出来る。
以下に実施例で本発明を説明するが、これらは本発明の典型的代表例を示すものであって、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図1は、本発明の細胞等保存装置の横中央断面図である。図2は本発明の細胞等保存装置の正面中央断面図である。図1の左側がドアー部である。装置は、冷却区画(16)と保存区画(17)と連通部(19)から構成される。冷却区画(16)と保存区画(17)は、連通部(19)を有する半開放的な壁で区別されている。いわゆる冷却装置(16)の中に半開放的な壁で区別された静電場雰囲気が達成される細胞等の保存装置(17)が設置されたのが図1及び図2の例示である。冷却装置は、断熱材(10)と外壁(9)の壁で全面構成されており、全部には保存物の取り出し用ドアー(12)が設置されている。ドアー(12)は、同様に断熱材(10)と外壁(9)の壁で構成される。冷却機(11)は、通常の蒸発機と圧縮機を含む。冷却機には、ファン(4)が設置され、冷却機内の空気の循環を起こす。1〜5m/s程度の風力で循環を起こす。アース(18)は、過剰の通電を放流する。冷却装置内は、−20〜5℃に設定可能である。
冷却機(11)内に設置された保存区画(17)は、通電材料で作られた内側壁(7)と絶縁材料で作られた外側壁(6)からなる2重構造隔壁で上部、周囲はおおわれ、その下部は開放(8)されている。この2重構造隔壁は、冷却装置とは絶縁部(3)で電気の流れは断絶されている。絶縁部は、内部の保存装置(17)の支持部(3)の意義も有し、下部の4箇所に設置されている。固定を確実にするためには、上部にも支持部として絶縁部を有することは好ましい。なお、絶縁部(3)は、4隅に設置されれば十分であり、実際には横中央断面図及び正面中央横断面図には表示されないが、位置関係を明示するために破線で表示した。保存装置(17)の前部には、ドアー部(13)があり、このドアー部も通電材料で作られた内側壁(7)と絶縁材料で作られた外側壁(6)からなる2重構造壁である。保存装置(17)内には、複数段の保存棚が設置されている。保存棚は導電性材料で構成される。図中では3段の保存棚(5)が設置されている。棚の支持は、既存の棚板留(18)を使用することで十分である。例えばタキゲン製の棚板用支柱、棚板留が例示される。棚(5)は、前記2重構造隔壁の内側壁と接触していてもよいが、離れていてもよい。その隙間は0〜15mmである。保存棚は、多数の空隙が設けられており(図3)、この空隙を通じて空気の対流が達成される。保存棚には適宜培養等の容器(15)が設置される。
高電圧発生機(1)で約100V〜5000Vの交流又は直流電圧を高圧ケーブル(2)で電極に印加し、保存装置内(17)を静電場雰囲気にする。
具体的な事例は、冷却装置(16)は、例えば−5℃〜−3℃を示摘温度として、−3℃以上で稼動、−5℃以下で停止するように連通部(19)に設置された温度センサーに連動するサーモスタットで調節されており、保存装置部は約3000Vの交流電圧で静電場雰囲気にされている。培養細胞の保存のために、ドアー(12)及びドアー(13)が開けられ、保存装置(17)の保存棚(5)におかれる。ドアーを開けることで、保存装置(17)内の室温が数度上昇する。そしてドアーを閉めることで、装置内は、保存区画(17)と冷却区画(16)に数度の温度差が生じる。その結果、温度差による緩徐な空気の対流が生じる。保存装置(17)の隔壁は連通部(19)のみが開放(8)されており、空気は連通部(19)を経て緩徐に保存区画(17)を上昇して、保存区画の冷却を極めて穏やかに達成できる。
図1及び図2に開示の本発明の装置は、保存装置(17)を冷却装置(16)内に設置された形態であるが、本発明はこれに限らず冷却区画からの冷却空気が温度差に基づく対流によって保存区画の連通部から流入し、保存区画内を静電場雰囲気下で冷却していく限りは本発明の対象となる。例えば、保存装置(17)と冷却装置(16)を左右にならべ、保存装置(17)と冷却装置(16)の間はその連通部(19)のみが開放(8)されており、またドアーは保存装置にのみ設置され、保存装置(17)の導電材料層に高電圧が印加されている(図4)形態が例示される。各壁の2重構造は、図1及び2と同様であるが、図1におけるドアー(12)とドアー(13)が一体化されドアー(12)とドアー(13)の間の空隙をなくしたものである。
細胞等の出し入れによる保存区画の温度変化を最小にするためには、保存区画は、冷却区画内に設置される構造の図1及び図2に開示の構造がより好ましい。外部温度が、20数℃の場合、ドアーをあけることで内部の温度上昇は10数℃にまでなることから、保存区画の温度上昇を最小限にするためにもこのような構造がより好ましい。
図1は、本発明の細胞等保存装置の横中央断面図である。図2は本発明の細胞等保存装置の正面中央断面図である。図1の左側がドアー部である。装置は、冷却区画(16)と保存区画(17)と連通部(19)から構成される。冷却区画(16)と保存区画(17)は、連通部(19)を有する半開放的な壁で区別されている。いわゆる冷却装置(16)の中に半開放的な壁で区別された静電場雰囲気が達成される細胞等の保存装置(17)が設置されたのが図1及び図2の例示である。冷却装置は、断熱材(10)と外壁(9)の壁で全面構成されており、全部には保存物の取り出し用ドアー(12)が設置されている。ドアー(12)は、同様に断熱材(10)と外壁(9)の壁で構成される。冷却機(11)は、通常の蒸発機と圧縮機を含む。冷却機には、ファン(4)が設置され、冷却機内の空気の循環を起こす。1〜5m/s程度の風力で循環を起こす。アース(18)は、過剰の通電を放流する。冷却装置内は、−20〜5℃に設定可能である。
冷却機(11)内に設置された保存区画(17)は、通電材料で作られた内側壁(7)と絶縁材料で作られた外側壁(6)からなる2重構造隔壁で上部、周囲はおおわれ、その下部は開放(8)されている。この2重構造隔壁は、冷却装置とは絶縁部(3)で電気の流れは断絶されている。絶縁部は、内部の保存装置(17)の支持部(3)の意義も有し、下部の4箇所に設置されている。固定を確実にするためには、上部にも支持部として絶縁部を有することは好ましい。なお、絶縁部(3)は、4隅に設置されれば十分であり、実際には横中央断面図及び正面中央横断面図には表示されないが、位置関係を明示するために破線で表示した。保存装置(17)の前部には、ドアー部(13)があり、このドアー部も通電材料で作られた内側壁(7)と絶縁材料で作られた外側壁(6)からなる2重構造壁である。保存装置(17)内には、複数段の保存棚が設置されている。保存棚は導電性材料で構成される。図中では3段の保存棚(5)が設置されている。棚の支持は、既存の棚板留(18)を使用することで十分である。例えばタキゲン製の棚板用支柱、棚板留が例示される。棚(5)は、前記2重構造隔壁の内側壁と接触していてもよいが、離れていてもよい。その隙間は0〜15mmである。保存棚は、多数の空隙が設けられており(図3)、この空隙を通じて空気の対流が達成される。保存棚には適宜培養等の容器(15)が設置される。
高電圧発生機(1)で約100V〜5000Vの交流又は直流電圧を高圧ケーブル(2)で電極に印加し、保存装置内(17)を静電場雰囲気にする。
具体的な事例は、冷却装置(16)は、例えば−5℃〜−3℃を示摘温度として、−3℃以上で稼動、−5℃以下で停止するように連通部(19)に設置された温度センサーに連動するサーモスタットで調節されており、保存装置部は約3000Vの交流電圧で静電場雰囲気にされている。培養細胞の保存のために、ドアー(12)及びドアー(13)が開けられ、保存装置(17)の保存棚(5)におかれる。ドアーを開けることで、保存装置(17)内の室温が数度上昇する。そしてドアーを閉めることで、装置内は、保存区画(17)と冷却区画(16)に数度の温度差が生じる。その結果、温度差による緩徐な空気の対流が生じる。保存装置(17)の隔壁は連通部(19)のみが開放(8)されており、空気は連通部(19)を経て緩徐に保存区画(17)を上昇して、保存区画の冷却を極めて穏やかに達成できる。
図1及び図2に開示の本発明の装置は、保存装置(17)を冷却装置(16)内に設置された形態であるが、本発明はこれに限らず冷却区画からの冷却空気が温度差に基づく対流によって保存区画の連通部から流入し、保存区画内を静電場雰囲気下で冷却していく限りは本発明の対象となる。例えば、保存装置(17)と冷却装置(16)を左右にならべ、保存装置(17)と冷却装置(16)の間はその連通部(19)のみが開放(8)されており、またドアーは保存装置にのみ設置され、保存装置(17)の導電材料層に高電圧が印加されている(図4)形態が例示される。各壁の2重構造は、図1及び2と同様であるが、図1におけるドアー(12)とドアー(13)が一体化されドアー(12)とドアー(13)の間の空隙をなくしたものである。
細胞等の出し入れによる保存区画の温度変化を最小にするためには、保存区画は、冷却区画内に設置される構造の図1及び図2に開示の構造がより好ましい。外部温度が、20数℃の場合、ドアーをあけることで内部の温度上昇は10数℃にまでなることから、保存区画の温度上昇を最小限にするためにもこのような構造がより好ましい。
(実施例2)(移植細胞の保存)
再生不良性変血や白血病などの治療目的のために施行される骨髄移植には、骨髄細胞、臍帯血細胞、およびそれら幹細胞が用いられる。ドナーから採取された細胞はDMSOを添加した溶液中で凍結保存され、必要に応じ解凍し用いられる。移植された細胞の内、造血幹細胞がホストの骨髄内に生着し、増殖することで新たな成熟血液細胞は生まれてくる。最近脚光を浴びている臍帯血は、その造血幹細胞量が血液のそれに比べ10倍程度多く、また採取が簡便なため数多くのHLAに対応できる可能性を包含しているものの、成人に対する移植には不十分な量の造血幹細胞しか含まれていない。
本実施例では、移植細胞特に骨髄移植のための骨髄細胞、臍帯血細胞、およびそれら幹細胞のうち、骨髄細胞を代表例として以下の実験をおこなった。検討は、本発明の装置からなる静電場雰囲気の不凍冷却インキュベーター内で保存したマウス骨髄細胞を別のマウスへ移植しその移植効率を確認することでおこなった。
本検討に使用した材料と方法は、以下である。不凍過冷却インキュベーター(3000V, -5℃)の網棚3段の最下層内にIscove modified Dulbesso medium (IMDM)培地で懸濁した骨髄細胞を入れ、0、1、2、4、7日間保存した。なお、骨髄細胞は、GFP過剰発現マウス(グリーンマウス)を深麻酔後、心臓から脱血死させて後、大腿骨と脛骨、計4本を採取し、IMDM培地内で骨髄細胞を採取した。成マウスの場合 5〜7x107個の細胞が採取され、細胞密度5x107/ml IMDM培地に調整した。骨髄移植は、レシピエントのマウスは9週令のオスC57BL/6を用い、移植前日に86.5 mM の5-FU(5-fluorouracil)を750 μl腹腔内投与し、骨髄抑制のための前処理を行った。移植当日、ネンブタールを腹腔内投与し、全身麻酔を施したマウスの鎖骨下静脈から1x107/200μl 骨髄細胞をヘパリン処理した注射器で緩徐に静注した。
骨髄移植後の蛍光血小板数および蛍光細胞数は、眼窩採血でヘパリン処理したキャピラリーで75μl採取し、フローサイトメトリィー(FACS)で100,000万個細胞当たりの数で表した。移植後7日目(移植早期)、15日目(移植成立期)の2つの時間ポイントで検討した。
その結果、骨髄移植と移植成立までの一般的動態は以下のようであった。
蛍光含有血液細胞は100,000個当たりの細胞をフローサイトメトリィーで検出しその数で表し移植成立の程度を表している。グリーンマウス骨髄細胞を静脈内に投与すると数十個単位の数で末梢血を循環するが、数時間で末梢血から消失する。次に骨髄内で移植された蛍光細胞が末梢血中に出現してくるのは4日目で、7日目(移植早期)まで増加する。その後、拒絶反応が出現する場合、15日目(移植成立期)にはほぼ全蛍光含有細胞は末梢血中から消失するが、拒絶をくぐり抜けて骨髄移植が成立した場合、ほぼその値で移行してゆく。
保存細胞の骨髄移植の結果は以下であった。
骨髄採取当日(0day)および不凍過冷却インキュベーターで1、2、4、7日間保存した骨髄細胞を前日に5-FUで骨髄抑制したマウスの静脈内に投与した(各1匹)。保存期間が4日間を越えると細胞の凝集が認められ、7日間のものでは一部柔らかなゼリー状になっていた。7日間保存の骨髄を移植すると、直後より呼吸が困難となり死亡したが、他の保存期間のものは全て生存し、実験期間を通し特別な変化はなかった。
末梢血内蛍光含有血小板の出現頻度は以下であった。
蛍光含有血小板は骨髄で生着したグリーンマウス由来の幹細胞から分化した成熟巨核球の細胞質が細分断化し、末梢血液中に放出される。図5は様々な期間保存した骨髄細胞を移植し、7日目と15日目に末梢血中に出現した蛍光血小板量を表している。いずれの保存期間でも7日目に比べ15日目で増加が見られる。移植成立時期である15日目では、2日間保存が最も多く、当日移植(0 day)に比べ約1.5倍増加している。
末梢血内蛍光含有細胞の出現頻度は以下であった。
蛍光含有細胞は骨髄で生着したグリーンマウス由来の幹細胞から分化した血液細胞であり、赤血球は蛍光を持たないため白血球系細胞であり、血小板より強い蛍光を持つ。図6は様々な期間保存した骨髄細胞を移植し、7日目と15日目に末梢血中に出現した蛍光血液細胞量を表している。いずれの保存期間でも7日目に比べ15日目で増加(0day: 1.2倍、1day: 1.9倍、2day: 3.5倍、4day: 1.1倍)が見られるが、移植成立時期である15日目では、2日間保存が最も多く、当日移植(0 day)に比べ約2.4倍増加している。
再生不良性変血や白血病などの治療目的のために施行される骨髄移植には、骨髄細胞、臍帯血細胞、およびそれら幹細胞が用いられる。ドナーから採取された細胞はDMSOを添加した溶液中で凍結保存され、必要に応じ解凍し用いられる。移植された細胞の内、造血幹細胞がホストの骨髄内に生着し、増殖することで新たな成熟血液細胞は生まれてくる。最近脚光を浴びている臍帯血は、その造血幹細胞量が血液のそれに比べ10倍程度多く、また採取が簡便なため数多くのHLAに対応できる可能性を包含しているものの、成人に対する移植には不十分な量の造血幹細胞しか含まれていない。
本実施例では、移植細胞特に骨髄移植のための骨髄細胞、臍帯血細胞、およびそれら幹細胞のうち、骨髄細胞を代表例として以下の実験をおこなった。検討は、本発明の装置からなる静電場雰囲気の不凍冷却インキュベーター内で保存したマウス骨髄細胞を別のマウスへ移植しその移植効率を確認することでおこなった。
本検討に使用した材料と方法は、以下である。不凍過冷却インキュベーター(3000V, -5℃)の網棚3段の最下層内にIscove modified Dulbesso medium (IMDM)培地で懸濁した骨髄細胞を入れ、0、1、2、4、7日間保存した。なお、骨髄細胞は、GFP過剰発現マウス(グリーンマウス)を深麻酔後、心臓から脱血死させて後、大腿骨と脛骨、計4本を採取し、IMDM培地内で骨髄細胞を採取した。成マウスの場合 5〜7x107個の細胞が採取され、細胞密度5x107/ml IMDM培地に調整した。骨髄移植は、レシピエントのマウスは9週令のオスC57BL/6を用い、移植前日に86.5 mM の5-FU(5-fluorouracil)を750 μl腹腔内投与し、骨髄抑制のための前処理を行った。移植当日、ネンブタールを腹腔内投与し、全身麻酔を施したマウスの鎖骨下静脈から1x107/200μl 骨髄細胞をヘパリン処理した注射器で緩徐に静注した。
骨髄移植後の蛍光血小板数および蛍光細胞数は、眼窩採血でヘパリン処理したキャピラリーで75μl採取し、フローサイトメトリィー(FACS)で100,000万個細胞当たりの数で表した。移植後7日目(移植早期)、15日目(移植成立期)の2つの時間ポイントで検討した。
その結果、骨髄移植と移植成立までの一般的動態は以下のようであった。
蛍光含有血液細胞は100,000個当たりの細胞をフローサイトメトリィーで検出しその数で表し移植成立の程度を表している。グリーンマウス骨髄細胞を静脈内に投与すると数十個単位の数で末梢血を循環するが、数時間で末梢血から消失する。次に骨髄内で移植された蛍光細胞が末梢血中に出現してくるのは4日目で、7日目(移植早期)まで増加する。その後、拒絶反応が出現する場合、15日目(移植成立期)にはほぼ全蛍光含有細胞は末梢血中から消失するが、拒絶をくぐり抜けて骨髄移植が成立した場合、ほぼその値で移行してゆく。
保存細胞の骨髄移植の結果は以下であった。
骨髄採取当日(0day)および不凍過冷却インキュベーターで1、2、4、7日間保存した骨髄細胞を前日に5-FUで骨髄抑制したマウスの静脈内に投与した(各1匹)。保存期間が4日間を越えると細胞の凝集が認められ、7日間のものでは一部柔らかなゼリー状になっていた。7日間保存の骨髄を移植すると、直後より呼吸が困難となり死亡したが、他の保存期間のものは全て生存し、実験期間を通し特別な変化はなかった。
末梢血内蛍光含有血小板の出現頻度は以下であった。
蛍光含有血小板は骨髄で生着したグリーンマウス由来の幹細胞から分化した成熟巨核球の細胞質が細分断化し、末梢血液中に放出される。図5は様々な期間保存した骨髄細胞を移植し、7日目と15日目に末梢血中に出現した蛍光血小板量を表している。いずれの保存期間でも7日目に比べ15日目で増加が見られる。移植成立時期である15日目では、2日間保存が最も多く、当日移植(0 day)に比べ約1.5倍増加している。
末梢血内蛍光含有細胞の出現頻度は以下であった。
蛍光含有細胞は骨髄で生着したグリーンマウス由来の幹細胞から分化した血液細胞であり、赤血球は蛍光を持たないため白血球系細胞であり、血小板より強い蛍光を持つ。図6は様々な期間保存した骨髄細胞を移植し、7日目と15日目に末梢血中に出現した蛍光血液細胞量を表している。いずれの保存期間でも7日目に比べ15日目で増加(0day: 1.2倍、1day: 1.9倍、2day: 3.5倍、4day: 1.1倍)が見られるが、移植成立時期である15日目では、2日間保存が最も多く、当日移植(0 day)に比べ約2.4倍増加している。
本発明の保存装置は、特に移植領域、輸血領域、再生医療領域、基礎実験領域、遺伝子治療領域、臨床検査領域、製薬・試薬領域等に利用することができる。
1:高電圧発生機
2:高圧ケーブル
3:絶縁部
3:支持部
4:ファン
5:保存棚
6:外側壁
7:内側壁
8:開放
9:外壁
10:断熱材
11:冷却機
12:ドアー
13:ドアー部
14:空隙
15:容器
16:冷却装置
16:冷却区画
17:保存区画
17:保存装置
18:アース
18:棚板留
19:連通部
2:高圧ケーブル
3:絶縁部
3:支持部
4:ファン
5:保存棚
6:外側壁
7:内側壁
8:開放
9:外壁
10:断熱材
11:冷却機
12:ドアー
13:ドアー部
14:空隙
15:容器
16:冷却装置
16:冷却区画
17:保存区画
17:保存装置
18:アース
18:棚板留
19:連通部
Claims (4)
- 静電場発生装置と冷却装置を備えた微生物、動物の臓器、その細切り、又は細胞(以下これらを細胞等という)の保存装置であって、細胞等の保存区画と冷却区画が区別されており、少なくとも細胞等の保存区画は静電場雰囲気であり、細胞等の保存区画の冷却が細胞等の保存区画と冷却区画との温度差による空気の対流によって冷却された空気が連通部を経て達することによって行われる機能を備えた細胞等保存装置。
- 対流する空気が、細胞等に直接及ばない設計である請求項1の細胞等保存装置。
- 細胞等の保存棚に、多数の空隙が設けられている請求項2の細胞等保存装置。
- 請求項1〜3のいずれか一に記載の細胞等保存装置を使い、100V〜20000Vの交流又は直流電圧を電極に印加し静電場雰囲気とし、−10℃〜−1℃で保存する細胞等の保存方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005032373A JP2006217832A (ja) | 2005-02-08 | 2005-02-08 | 細胞等保存装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006230257A (ja) * | 2005-02-23 | 2006-09-07 | Feel Technology Co Ltd | 氷点下静電場装置の利用方法 |
JP2008092842A (ja) * | 2006-10-11 | 2008-04-24 | Feel Technology Co Ltd | 被保存物の保存方法 |
JP2011103775A (ja) * | 2009-11-12 | 2011-06-02 | Abi:Kk | 試料長期保存装置 |
US8394320B2 (en) | 2007-06-28 | 2013-03-12 | Kochi University | Method of preserving biomaterial |
US8899069B2 (en) | 2003-08-11 | 2014-12-02 | Yugengaisha Sun World Kawamura | Food preserving method and its device |
JP2016039792A (ja) * | 2014-08-13 | 2016-03-24 | 学校法人関西医科大学 | 生体組織又は細胞の保存方法 |
CN110271771A (zh) * | 2019-07-19 | 2019-09-24 | 清华大学 | 一种优化细胞保存的细胞存储器、细胞存储装置和细胞存储方法 |
-
2005
- 2005-02-08 JP JP2005032373A patent/JP2006217832A/ja not_active Withdrawn
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