JP2006217775A - 分散型電源の系統連系インバータ - Google Patents

分散型電源の系統連系インバータ Download PDF

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Abstract

【課題】 単独運転を検出し易く且つ連系運転中の出力電流の波形歪みが小さい分散型電源の系統連系インバータを提供する。
【解決手段】 制御回路2は、目標電流設定部19と位相変動部20とを備え、目標電流設定部19で、連系点電圧の電圧位相に同期させた電流の基準位相を基に有効電流の出力電流目標値を作成し、位相変動部20で一定周期で進み位相及び遅れ位相に交互に台形形状に変動させた無効電力成分を作成し、この無効電力成分を出力電流目標値に加算して出力電流を作成した。この周期的な無効電力変動を有する出力電流により、連系点において周波数変動を発生させた。
【選択図】 図3

Description

本発明は、交流の商用電力系統に太陽光発電等の分散型電源を連系する為の系統連系インバータに関する。
太陽光発電や燃料電池発電等の分散配置された電源を商用電力系統に連系して、余剰電力を商用電力系統へ逆潮流させる電力システムが実用化されている。このような電力システムでは、例えば特許文献1に示すような系統連系インバータが使用され、太陽光等で発電された直流電力を必要な電圧まで昇圧し、インバータ回路及びフィルタ回路で交流電力に変換し、商用電力系統に接続して電力を出力する連系運転を行っている。
このような系統連系インバータの使用による連系運転の場合、連系運転中に事故や工事等により商用電力系統が停止し、分散型電源の単独運転状態が発生すると、系統の保安面や供給信頼度確保の面から問題が生じるため、分散型電源の単独運転状態が発生したら、分散型電源を系統から解列させる必要がある。
これを自動的に実施させようとすると、周波数変化や電圧変化を検知して行うことが可能であるが、系統停止後に分散型電源の発電出力と負荷で消費する有効及び無効電力が平衡状態にあると周波数変化や電圧変化が現れないため、系統停止を検知することが困難な場合があった。
そのため、その解決方法として、分散型電源の発電出力に周期的な無効電力変動を与えておき、その作用で単独運転移行時に現れる周期的な周波数変動等を検出して単独運転を検出する方法が提案されている(分散型電源系統連系技術指針(JEAG9701−2001))。
この場合、周期的な無効電力変動方法として、以下のような方法が考えられる。
(1) 無効電力変動を正弦波状に変動させる。
(2) 無効電力変動を三角波状に変動させる。
(3) 無効電力変動を矩形波状に変動させる。
尚、特許文献1は(3) の矩形波に変動させている。
特開平9−23660号公報
しかしながら、上記変動方法は夫々次のような問題を有している。(1) の場合、無効電力がゆっくりと変動するため、連系運転中の分散型電源の出力電流波形の歪みは小さいが、単独運転時に現れる周波数変動が微小であるため、誤検出を引き起こし易い。また(2) の場合も、(1) と同様に単独運転時に現れる周波数変動が微小であるため、後検出を引き起こし易いし、分散型電源の出力電圧の周波数が常に変動するため、出力電流波形の歪みが大きくなりやすい。
また、(3) の場合は、単独運転時に現れる周波数変動が分かりやすいので検出し易いが、出力している無効電力を短時間に大きく変動させるため、連系運転中の出力電流の波形歪みが大きい。
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、単独運転を検出し易く且つ連系運転中の出力電流の波形歪みが小さい分散型電源の系統連系インバータを提供することを目的とする。
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、直流電源の出力を入力してインバータ回路により交流電力に変換し、商用電力系統に前記直流電源の電流を逆潮流させるための分散型電源の系統連系インバータであって、前記インバータ回路を制御する制御回路は、目標電流設定部と位相変動部とを備え、前記目標電流設定部で、連系点電圧の電圧位相に同期させた電流の基準位相を基に有効電流の出力電流目標値を作成すると共に、前記位相変動部で、前記電流の基準位相を基に、一定周期で進み位相及び遅れ位相に交互に台形形状に変動させた無効電力成分を作成し、前記出力電流目標値に前記無効電力成分を加算した交流電流を連系点に出力して、連系点において周期的な無効電力変動を発生させることを特徴とする。
この構成により、進み位相/遅れ位相の双方の状態において連系点に出力される電流は位相固定期間を備えているので、負荷が遅れ位相の場合に単独運転になったら、分散型電源の連系点出力が進み位相の時に周波数の上昇が大きく現れる。また、負荷が進み位相の場合に単独運転になったら、連系点出力が遅れ位相の時に周波数の低下が大きく現れる。従って、どちらの状態においても、単独運転になった際に周波数変化が大きく現れやすく、単独運転の検出がし易くなる。
また、無効電力変動を時間軸上で台形形状に変動させることにより、無効電力成分が進み位相から遅れ位相に、或いは遅れ位相から進み位相に移る時の変化が比較的緩やかなため、出力波形に生じる歪みを小さくできる。
本発明によれば、進み位相/遅れ位相の双方の状態において位相固定期間を備えているので、負荷位相が進み/遅れのどちらの状態においても単独運転になった際に周波数変化が大きく現れやすい。そのため、単独運転の検出がし易くなる。
また、無効電力変動を台形形状に変動させることにより、無効電力成分が進み位相から遅れ位相に、或いは遅れ位相から進み位相に移る時の変化が緩やかなため、出力波形に生じる歪みを小さくできる。
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る分散型電源の系統連系インバータの一例を示す構成図であり、1は直流を交流に変換する交流変換部、2は交流変換部1を制御する制御回路、3は太陽光発電等の分散型電源としての直流電源、4は商用電力系統、5は負荷を示し、制御回路2は出力電流を検出してフィードバック制御して連系点Mに所定の電流を出力するよう制御している。
交流変換部1は、インバータ回路10、LCフィルタ11を有し、12は電流検出手段を示している。この交流変換部1で、分散型電源3から供給される直流電力を図示しないチョッパ回路等で昇圧し、インバータ回路10でパルス状の交流に変換し、LCフィルタ11で正弦波に平滑して商用電力系統4に出力している。
制御回路2は、出力電圧波形のゼロクロスポイントを検出するための位相検出部15、PLL16、PI演算を実施するPI演算部17、PWM変調部18、目標電流設定部19、位相変動部(位相変動手段)20、周波数検出部21を備えている。位相変動部20は、無効電力整定部22、変動周期生成部23を有し、無効電力整定部22で無効電力整定値が出力され、出力電流に加算される無効電力の大きさが決定され、変動周期生成部23で制定された無効電力波形が台形形状に周期変化する。
以下、上記構成の系統連系インバータの制御回路2の動作を具体的に説明する。但し、この制御回路2の各部の制御はマイクロコンピュータの演算処理にて行っている。
まず、連系点Mへの出力電流は次のように制御される。最初に位相検出部15で連系点の電圧のゼロクロス点を検出し、そこから位相0度の発生タイミングを入手する。そして、PLL16により、位相0度と内部クロックで作成する内部位相(ωt)の0度を同期させる。そして、目標電流設定部19で、作成した内部位相(ωt)を基に正弦演算をしsin(ωt)を作成し、この値に出力電流目標値を掛けることで、出力する有効電流の目標値(目標電流値)を設定する。この目標電流値と電流検出手段12で検出した出力電流の値を比較し、その偏差をPI演算部17でPI演算する。その結果をPWM変調部18でPWM変調し、インバータ回路10の制御信号を作成する。
こうして作成された制御信号をもとに、インバータ回路10の4個のスイッチ(図示せず)を動作させることで、位相が連系点の電圧位相に同期し、大きさが出力電流目標値に等しい電流が出力される。
次に、直流電源3の出力電流に無効電流を重畳させる位相変動部20の動作を説明する。最初にPLL16により連系点電圧の位相に同期した上記内部位相(ωt)から、余弦演算をしcos(ωt)を作成する。そして、この値に無効電力整定部22で予め設定された無効電力整定値を掛け、更に変動周期生成部23で生成した値を掛けた後、上記演算された目標電流値に加算する。ここで、変動周期生成部23で作成される波形は、図2(a)で示しているような台形形状で変化する波形を基に作成される。
図2(a)は変動周期生成部の波形を示し、変動値の更新点を丸印で示している。変動値は−1.0〜1.0の間を台形形状に周期変動している。変動値は、位相検出部15で得られる電圧位相0度をカウントする毎に更新され、図2(a)では24カウントで1周期変化する、即ち電圧波形24周期で1周期変化をするように更新している。
そして、このように無効電流を変動させることで、図2(b)に示すように連系点の電圧周波数は変動する。目標電流値に進み位相の無効電力が重畳されると出力位相が進み、PLL16により直前の出力の位相に同期した後、それを基準に再度進み位相成分を出力する。そのため、変動周期が1の期間が続くときは、図2(b)に示すように連系点Mでの電圧周波数が上昇する。逆に、変動周期が−1の期間が続くと、PLL16により直前の出力の位相に同期した後、それを基準に再度遅れ位相成分が出力されるため、電圧周波数は低下する。
尚、この変動周期生成部23から出力される変動値が「1」の場合、cos(ωt)値はsin(ωt)値より位相が90度進んでいることを示し、大きさが無効電力整定値分で進んだ位相成分が目標電流値に重畳されることになる。その結果、系統に出力される電流も、目標電流値に無効電力整定値分位相が90度進んだ成分を重畳したものとなる。
逆に、変動周期生成部23から与えられる値が「−1」の場合は、cos(ωt)を基に作成した無効電力成分が反転され、−90度遅れていることになるため、目標電流値に大きさが無効電力整定値分で遅れた位相成分が重畳され、系統に出力される電流も出力電流目標に無効電力整定値分位相が90度遅れた成分を重畳したものとなる。
次に、上記構成の系統連系インバータを用いた分散型電源が単独運転となった場合の連系点の変化を図3を基に説明する。図3は連系運転から単独運転になった際の位相変動と電圧周波数の関係図で、(a)は位相変動波形、(b)は(a)の位相変動に対応した連系点の電圧周波数特性図を示している。
PLL16を用いて作成した位相変動は、上述するように位相変動部20が出力する無効電力に応じて周波数が変動する。ところが、連系運転中は系統連系インバータの出力に対して商用電力系統4からのエネルギーが大きいため、図3(b)のA部に示すように、その周波数の変動分は吸収されてしまい殆ど現れない。
しかし、商用電力系統4が停止して分散型電源3の単独運転になると、図3(b)のBに示すように、変動周期に合わせて連系点の電圧周波数が大きく変動する。但し、負荷位相が遅れ位相である場合、変動周期がマイナス側の時は、負荷と分散型電源の出力が平衡状態となり、電圧周波数変化は現れ難くなるが、プラス側に移行すると電圧周波数の上昇は顕著に現れる。一方、負荷位相が進み位相である場合は、同様の理由で変動周期がマイナス側の時に電圧周波数の低下が顕著に現れる。
そのため、この周波数の変化を利用して、例えば次のように単独運転を検出することができる。上記図1の構成の場合、周波数検出部21により周波数を検出している。この検出は、電圧位相0度と次の電圧位相0度の発生期間に例えば50μSのカウンタが何回発生したかで検出している。これを利用して、電圧周波数の変化が所定の一定値を超えた場合を単独運転と判定することができる。
また、変動周期に伴い、進み位相成分を出力している時は周波数は上昇し、遅れ位相成分を出力しているときは周波数は低下するため、単独運転の判定にこの要素を入れることで、更に正確な単独運転検出も可能となる。
このように、無効電力の変動を台形形状に変動させることにより、進み位相/遅れ位相の固定周期が生じるので、負荷位相が遅れ/進みのどちらの状態においても、単独運転になった時は周波数変化が大きく現れ、単独運転の検出がし易くなる。
また、周期的に大きく変動する無効電力成分を出力に加算するので、出力位相成分が大きく変動して出力に歪が生じ易くなるが、本発明では変動を台形形状にしたため、この値の変動は少ない値で少しづつ変動し、出力の歪みを小さくできる。
尚、上記実施形態では、制御回路2の制御をマイクロコンピュータによる演算処理にて行っているが、シフトレジスタなどのロジック回路や各種ディスクリート部品で構成した回路での実現も可能である。
また、基本的な処理は電圧位相の0度において行ったが、常に同じタイミングがとれるものであれば何れのタイミングで行っても良い。
更に、周波数の検出は、50μSのカウンタが何回発生したかで検出したが、この値は絶対的なものではなく、もっと細かな周波数変動を検出したければ、カウンタの時間を更に短くするなどの変更をしても良い。
本発明の実施形態の一例を示す分散型電源の系統連系インバータのブロック図である。 連系運転中の電圧周波数変化の説明図で、(a)は位相変動手段の位相変動を示し、(b)は(a)の位相変動に対応した連系点の電圧周波数特性図を示している。 連系運転から単独運転になった際の位相変動と電圧周波数の関係図で、(a)は位相変動波形、(b)は(a)の位相変動に対応した連系点の電圧周波数特性図を示している。
符号の説明
1・・交流変換部、2・・制御回路、3・・直流電源(分散型電源)、4・・商用電力系統、10・・インバータ回路、19・・目標電流設定部、20・・位相変動部、22・・無効電力整定部、23・・変動周期生成部。

Claims (1)

  1. 直流電源の出力を入力してインバータ回路により交流電力に変換し、商用電力系統に前記直流電源の電流を逆潮流させるための分散型電源の系統連系インバータであって、
    前記インバータ回路を制御する制御回路は、目標電流設定部と位相変動部とを備え、前記目標電流設定部で、連系点電圧の電圧位相に同期させた電流の基準位相を基に有効電流の出力電流目標値を作成すると共に、前記位相変動部で、前記電流の基準位相を基に、一定周期で進み位相及び遅れ位相に交互に台形形状に変動させた無効電力成分を作成し、
    前記出力電流目標値に前記無効電力成分を加算した交流電流を連系点に出力して、連系点において周期的な無効電力変動を発生させることを特徴とする分散型電源の系統連系インバータ。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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