JP2006217687A - 電線支持具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 構築物から間隔を開けて引上引下電線を支持するのと同時に、その電線の本数をよりコンパクトかつ容易に増減させることを実現するのに加えて、その構築物から外すことなく電線本数を増減することを可能にして、作業性および対応性に優れるコンパクトな電線支持具を提供すること。
【解決手段】 電柱300に取り付けられて送配電線からの引上引下電線Dを支持する電線支持具10であって、複数本の引上引下電線を内側部材22と外側部材23、24の間に挟み込むように押さえ板25、26により押さえて位置決め保持する挟持ユニット21と、複数の挟持ユニットの各部材の貫通穴22b〜26bに貫通可能な長さを有する雄ネジ部11aが支持棒123の先端側に形成された棒状部材11と、この棒状部材の雄ネジ部に螺合して各挟持ユニットを位置決め固定する固定ナット12と、を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電線支持具に関し、詳しくは、電柱などの構築物に取り付けたまま、支持する引上引下電線の本数を増減することのできるものに関する。
従来より、電柱などの構築物に沿って施設される引上引下電線をその電柱などに支持させる際には、その引上引下電線を支持部材の間に挟み込むように挟持する電線支持具を用いることが行われている。例えば、貫通ボルトにより鉄塔(構築物)に固定することのできる一対の支持部材により構成されて、その支持部材の互いに対面する側面部分に引上引下電線の外面と略一致する半円形の溝部を複数形成した電線支持具が提案されており、この電線支持具では、鉄塔に架設した送配電線からの引上引下電線をその支持部材間の溝部内に挟持させて鉄塔に支持させることができる(例えば、特許文献1参照)。
実用新案登録第3005145号公報
しかしながら、このような従来の電線支持具にあっては、支持させる引上引下電線の本数を増やそうとすると、横方向に広がってしまって邪魔になってしまう。この課題は、引上引下電線を支持する支持部材を多層化することにより、解消することができるが、この場合には、一部の引上引下電線を交換などする際に、支持部材全体の固定を緩めなければならず、作業性が悪い。
また、この電線支持具では、支持部材を構築物に直付けして固定しているため、引上引下電線と構築物との間に隙間を形成することができない。このために、例えば、引上引下電線を支持させた電柱の周囲にロープを引っ掛けて登ろうとしても、その支持する引上引下電線が並列している部分にロープを引っ掛けることができなくなってしまって、作業の邪魔になってしまう。
このような問題を解消するために、図3に示す電線支持具100や、図4に示す電線支持具110を用いることが考えられる。この電線支持具100、110は、例えば、図5に示す緊締具200により図6に示す電柱300に取り付ける取付部121と、図7に示すように電柱300に架設された送配電線からの引上引下電線Dを挟持して保持・固定する挟持ユニット122と、この挟持ユニット122を取付部121から離隔する位置で支持する支持棒123とを備えており、電線支持具100は、その挟持ユニット122を一組設けられているのに対して、電線支持具110は、その挟持ユニット122を2組並列する状態で設けられている。
この挟持ユニット122は、内側部材131の両側に外側部材132を配置して押さえ板133の間に位置させた状態で、貫通ボルト134にナット135を螺合させて締め付けるようになっており、この内側部材131と外側部材132の互いに対面する貫通ボルト134の両側側面には、引上引下電線Dを嵌め込む半円形の溝部131a、132aが形成されている。
これにより、この挟持ユニット122は、内側部材131と両側の外側部材132の間の貫通ボルト134の両側のそれぞれの溝部131a、132a内に、4本の引上引下電線Dを挟持することができ、電線支持具100では1組の挟持ユニット122によりその4本の引上引下電線Dを、電線支持具110では2組の挟持ユニット122により8本の引上引下電線Dを電柱300に支持することができる。
すなわち、この電線支持具100、110によれば、挟持ユニット122で4本の引上引下電線Dを四角の頂点に支持することにより、それほど横方向に広がることなく、多数本の引上引下電線Dを支持することができ、また、挟持ユニット122毎に効率よく引上引下電線Dの交換を行うことができる。さらに、この挟持ユニット122(引上引下電線)と電柱300との間には、支持棒123により間隔を開けることができる。よって、電線支持具100、110を用いることにより、上記の課題を解消して引上引下電線Dを電柱300に支持させることができる。
しかるに、この電線支持具100、110にあっては、支持する引上引下電線Dを4本から8本に増やしたり、あるいは8本から4本に減らす場合には、緊締具200を緩めて電柱300から取付部121を外して全体を交換しなければならず、交換する必要のない引上引下電線Dを支持する挟持ユニット122まで緩めるという余分な作業がある、という課題があった。
そこで、本発明は、構築物から間隔を開けて引上引下電線を支持するのと同時に、その引上引下電線の本数をよりコンパクトかつ容易に増減させることを実現するのに加えて、その構築物から外すことなく引上引下電線の本数を増減することを可能にして、作業性および対応性に優れるコンパクトな電線支持具を提供することを目的とする。
上記課題を解決する電線支持具の第1の発明は、送配電線を架設された構築物に取り付けられて、該送配電線から分岐させた引上引下電線を支持する電線支持具であって、複数本の引上引下電線を部材間に挟み込むようにして位置決め保持する挟持部と、該挟持部を構築物に支持する支持部と、を備えて、支持部は、複数個の挟持部を構築物から離隔する方向に直列に並べた状態で固定する構造に設計されていることを特徴とするものである。ここで、引上引下電線とは、電柱などの構築物に支持させる場合には、上下方向に延在する姿勢となるが、これに限るものではなく、例えば、横方向や斜め方向に延在する姿勢で支持させてもよいことはいうまでもない。
この発明では、複数本の引上引下電線を保持する挟持部が構築物からの離隔方向の直列に並べられて支持部に固定される。したがって、複数本の引上引下電線をブロック単位にして、横方向に並べることなく、構築物に対して積み重ねるように位置決めして支持することができ、図4に示す電線支持具よりもコンパクトに支持することができる。また、このブロック単位の引上引下電線は、図3や図4に示す電線支持具のように、交換するために構築物から全体を外すことなく、外側から着脱することができ、容易に本数を増減することができる。ここで、引上引下電線を挟み込む部材は、電線を挟持することから絶縁材料により作製するのが好適であるが、電線自体も絶縁材料により被覆されているのが一般的であることから、導電性を有していても問題ないことはいうまでもない。
上記課題を解決する電線支持具の第2の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記支持部は、複数の挟持部を貫通する長さを有する長尺ボルト部と、該長尺ボルト部の貫通する挟持部を該長尺ボルト部に固定する固定ナット部と、を有することを特徴とするものである。
この発明では、複数本の引上引下電線を保持する挟持部に1本の長尺ボルト部が貫通して、その長尺ボルト部に固定ナット部が螺合することにより挟持部のそれぞれを固定する。したがって、構築物に取り付ける1本の長尺ボルト部を挟持部内に差し込んだ後に固定ナット部を螺合させるだけで、複数本の引上引下電線を保持する挟持部を所謂、串刺し状態の直列にして容易かつコンパクトに構築物に支持させることができる。
上記課題を解決する電線支持具の第3の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記支持部は、一つの挟持部を貫通する長さを有する短尺ボルト部と、該短尺ボルト部同士を直列に連結する連結ナット部と、短尺ボルト部の貫通する挟持部を該短尺ボルト部に固定する固定ナット部と、を有することを特徴とするものである。
この発明では、複数本の引上引下電線を保持する挟持部に1本の短尺ボルト部が貫通して、その短尺ボルト部に固定ナット部が螺合することにより挟持部を固定し、さらに、その2本の短尺ボルト部の端部のそれぞれに連結ナット部を螺合させることによりその短尺ボルト部同士を連結して挟持部をそれぞれで固定することができる。したがって、構築物に取り付ける1本の短尺ボルト部を挟持部内に差し込んだ後に固定ナット部を螺合させて、その短尺ボルト部同士を連結ナット部により連結するだけで、複数本の引上引下電線を保持する挟持部毎の短尺ボルト部を適宜延長して、所謂、串刺し状態の直列にして容易かつコンパクトに支持することができる。
上記課題を解決する電線支持具の第4の発明は、上記第2または第3の発明の特定事項に加え、前記挟持部は、該挟持部の直列方向に並んで前記固定ナット部により互いに圧接する方向に挟圧される内側部材および外側部材から構成されて、これら内側部材と外側部材の互いに対面する側面に引上引下電線を嵌め込む溝部が形成されていることを特徴とするものである。
この発明では、引上引下電線が内側部材の両側で外側部材との間の溝部内に嵌め込まれて挟持部内に保持される。したがって、引上引下電線は、複数本が並列するサンドイッチ状態で位置決めされて、不必要に横方向に広がることなくコンパクトに保持される。
上記課題を解決する電線支持具の第5の発明は、上記第4の発明の特定事項に加え、前記挟持部は、一つの内側部材の両側に外側部材が位置して、これらの内側部材および外側部材のボルト部の貫通する両側側面に一対の溝部が形成されていることを特徴とするものである。
この発明では、引上引下電線がボルト部の両側に形成された一対の溝部内に嵌め込まれて、外側部材との間の内側部材の両側に位置するように挟持部内に保持される。したがって、引上引下電線の4本が四隅に位置するように位置決めされてよりコンパクトに保持される。
上記課題を解決する電線支持具の第6の発明は、上記第1から第5のいずれかの発明の特定事項に加え、前記支持部は、構築物との取付部分および挟持部の固定部分との間に、該構築物と引上引下電線との間を離隔させるスペーサ部を有することを特徴するものである。
この発明では、複数本の引上引下電線を保持する挟持部との間にスペースを開けた状態でその挟持部を構築物に支持させる。したがって、構築物に引上引下電線を接近させることなく間隔を開けて支持させることができ、その引上引下電線が構築物に接近して作業の妨げになることを回避することができる。
このように本発明によれば、複数本の引上引下電線を挟持部によりブロック単位にして構築物に直列的かつコンパクトに位置決め支持させることができ、その構築物から全体を外すことなく挟持部を着脱して、支持する引上引下電線を増減することができる。この挟持部は、1本のまたは複数本を連結延長したボルト部を貫通させてナット部を螺合することにより容易に固定することができ、挟持部毎にナット部を締付・解除する構成を採用することでより容易に引上引下電線を増減することができる。また、この挟持部を構築物からスペースを開けて支持させることにより、その支持する引上引下電線が構築物に接近して、例えば、ロープを掛けるなどする際の作業の妨げになることがなく、さらに、そのスペースを有効利用することができる。したがって、構築物から間隔を開けて引上引下電線をコンパクトに支持することができ、その構築物から全体を外すことなく、容易に支持する本数を増減させることができる。この結果、引上引下電線を支持する作業性やその支持本数の対応性に優れるコンパクトな電線支持具を提供することができる。
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る電線支持具の第1実施形態を示す図である。
図1において、電線支持具10は、図3や図4に示す電線支持具100、110と同様に、取付部121および支持棒123が基端部側に形成されているとともに、その反対側の支持棒123よりも先端部側の外周面に雄ネジ部11aが形成されている棒状部材11と、図7に示す電柱300に架設された送配電線から分岐させた引上引下電線Dを保持・固定する挟持ユニット21と、棒状部材11の雄ネジ部11aに螺合して挟持ユニット21を緊締する状態で固定する固定ナット12と、を備えており、棒状部材11の雄ネジ部11aは、複数の挟持ユニット21を固定可能に、電線支持具100、110よりも長めに延長されてネジ溝が刻設されている。この電線支持具10は、電線支持具100、110と同様に、例えば、図5に示す緊締具200により電柱300に取り付けて引上引下電線Dをその電柱300に支持固定することができる。
具体的には、棒状部材11の取付部121は、支持板部13と、補助支持部14と、により構成されている。支持板部13は、電柱300の高さ方向に一定の長さを有するとともにその周方向にも一定の幅を有して外周面側に向かって屈曲することにより、その幅方向の両側が外周面に当接する。補助支持部14は、この支持板部13の下側に一端側が固設されるとともに上方に屈曲してその上側に固設される棒状部材11の基端部に他端側が固設されることにより、その棒状部材11が下方にお辞儀してしまうことがないように支持する。
この取付部121は、図5に示す緊締具200のベルト部201を支持板部13と補助支持部14の間に差し込んで電柱300に巻き付けることによりその電柱300に取り付けられるようになっており、この緊締具200は、ベルト部201の基端側の支持部202がナット203の螺合するボルト部204とこのボルト部204に連設されているフック部205の間を支持している。
これにより、棒状部材11の取付部121は、支持板部13と補助支持部14の間に、緊締具200のベルト部201を通して電柱300に巻き付けた状態で、そのベルト部201の長さ方向に並列されている不図示の引っ掛け穴にフック部205を引っ掛けた後に、ナット202を螺合方向に回転させることにより、ボルト部204を介してフック部205(ベルト部201)を牽引することができ、この結果、電柱300に巻き付けている緊締具200のベルト部201の長さを短くしてその電柱300に緊締固定することができる。
また、棒状部材11の支持棒123は、この棒状部材11の先端側の雄ネジ部11aと基端側の取付部121との間にスペースを確保するように間隔を開けることにより形成されており、この支持棒123の外周面には滑り止めとして機能する溝123aが刻設されている。
これにより、棒状部材11の支持棒123は、スペーサ部を構成して、挟持ユニット21で保持固定する引上引下電線Dと電柱300との間にスペースを確保することができ、その電柱300にロープを巻き掛けるなどの作業の妨げとなってしまうことがなく、また、例えば、電柱300に登る際の足場として利用することができる。
挟持ユニット21は、例えば、硬質のゴム材料などの絶縁材料を成型して直方体形状(所謂、枕木形状)に作製された内側部材22および一対の外側部材23、24と、鋼板等の剛性を有する材料を切断・折り曲げ加工するなどして外側部材23、24の外面側を移動不能に押さえることのできる略コの字形状に作製された押さえ板25、26と、により構成されており、内側部材22、外側部材23、24および押さえ板25、26は、長さ方向の中央に棒状部材11が貫通可能な貫通穴22a〜26aが形成されている。
この内側部材22および外側部材23、24は、貫通穴22a〜24aの両側の対向面(対面する側面)に、それぞれ引上引下電線Dの外周面と略同一の湾曲面となる溝部22b〜24bが一つづつ形成されている。また、押さえ板25は、貫通穴25aに貫通する棒状部材11の基端側に位置決め固定される一方、押さえ板26は、貫通穴26aに貫通する棒状部材11の先端側から長さ方向に移動することができる。
これにより、挟持ユニット21は、貫通穴22a〜26aに貫通する棒状部材11の雄ネジ部11aに固定ナット12を螺合させて内側部材22、外側部材23、24および押さえ板25、26を互いに接近する方向に締め付けることにより、その電柱300に取付部121が取り付けられた棒状部材11の雄ネジ部11aに支持固定される。このとき、挟持ユニット21は、内側部材22を外側部材23、24の間にサンドイッチ状に挟むとともに、その内側部材22と外側部材23、24の貫通穴22a〜24aの両側の溝部22b〜24b間に引上引下電線Dを並列状態に嵌め込んで(挟み込んで)、それぞれが挟持する引上引下電線Dにより自由に相対回転しないように(互いに圧接する姿勢を維持するように)制限される状態に、押さえ板25で押さえて圧接させることができる。すなわち、この挟持ユニット21は、挟持部を構成しており、図3や図4に示す電線支持具100、110の挟持ユニット122と同様に、大きく横方向に広がることがないように、4本の引上引下電線Dを四角の頂点にコンパクトに位置決め保持することができる。
また、挟持ユニット21は、棒状部材11の雄ネジ部11aが引上引下電線Dを挟持して位置決め保持された状態の押さえ板25、26の間隔の数倍の長さを有することにより、複数組をその棒状部材11の雄ネジ部11aに支持固定することができる。詳細には、棒状部材11の基端部側の支持棒123に隣接する位置が押さえ板25の貫通穴25aよりも大径に形成されることにより、支持棒123に隣接する押さえ板25は、その棒状部材11の雄ネジ部11aから大径に変化するエッジ部11bに突き当たってそれ以上基端部側に移動することが制限されて位置決め固定される一方、固定ナット12よりも先端部側に位置する押さえ板25は、その固定ナット12に突き当たることによりそれ以上基端部側に移動することが制限されて位置決め固定される。すなわち、棒状部材11が長尺ボルト部を構成しており、これにより、挟持ユニット21は、複数個を電柱300から離隔させる方向に直列に並べた状態(所謂、串刺し状態)で、その電柱300に取り付けた棒状部材11の雄ネジ部11aに支持固定させることができる。なお、棒状部材11の支持棒123に隣接する押さえ板25は、その棒状部材11に貫通穴25aの縁部分を溶接などすることにより固設してもよい。また、図中の12aは、固定ナット12が緩まないように介装するワッシャである。
したがって、この電線支持具10は、4本までの引上引下電線Dを電柱300に支持させる場合には、一つの挟持ユニット21を構成する内側部材22、外側部材23、24および押さえ板25、26の貫通穴22a〜26aに棒状部材11を貫通させた後に、その内側部材22と外側部材23、24の溝部22b〜24bの間に引上引下電線Dを位置させて、その棒状部材11の雄ネジ部11aに固定ナット12を螺合させて締め付けることにより、電柱300に引上引下電線Dを支持固定させることができる。なお、このときには、電柱300に電線支持具10の取付部121を緊締具200により取り付けた後に引上引下電線Dを挟持ユニット21に挟持させてもよく、または、挟持ユニット21に引上引下電線Dを挟持させた後に、電柱300に電線支持具10を取り付けても良い。
さらに、この電線支持具10は、電柱300に支持固定済みの挟持ユニット21はそのままで、別個の挟持ユニット21を同様に追加することにより、電柱300に支持させる引上引下電線Dを増やすことができる。反対に、この電線支持具10は、最も外側の挟持ユニット21を外すだけで電柱300に支持させる引上引下電線Dを減らすことができる。
よって、この電線支持具10は、複数本の引上引下電線Dを挟持ユニット21のブロック単位にして、電柱300の周方向(横方向)に並べることなく、その電柱300に対して直列的に積み重ねるように位置決めして、図4に示す電線支持具110よりもコンパクトに支持固定することができ、電柱300から外すことなく、挟持ユニット21を外側から着脱して容易に支持固定する引上引下電線Dの本数を増減することができる。
ここで、この電線支持具10では、挟持ユニット21が電柱300の外面から離隔する方向に直列的に位置決め固定されるので、図7に示す電線支持具110とは異なって、その電柱300の腕金301に対して挟持ユニット21を並列させることができ、その腕金301から遠い側の挟持ユニット122からの引上引下電線Dのように電柱300の外面を避けるように無理に屈曲させることなく、その腕金301に沿う挟持ユニット21から支持する引上引下電線Dを素直に振り分けて端子ボックス302に接続することができるようになる。
このように本実施形態おいては、挟持ユニット21(内側部材22、外側部材23、24および押さえ板25、26)に貫通する1本の棒状部材11の雄ネジ部11aに、固定ナット12を螺合させるだけで、送配電線からの引上引下電線Dをその挟持ユニット21に挟持させて電柱300に容易に支持固定させることができ、この挟持ユニット21を1ブロックとして直列的かつコンパクトにその棒状部材11に固定することにより、その電柱300に一旦固定した電線支持具10を外すことなく、また、支持固定したままにする挟持ユニット21は緩めることなく、その挟持ユニット21を着脱するだけで、支持固定する引上引下電線Dの本数の増減に対応することができる。また、この挟持ユニット21は、棒状部材11の支持棒123を間にして電柱300から離隔しているので、そのスペースを有効利用して作業することができ、例えば、その電柱300に登る際にロープを制限なく巻き掛けることができる。この結果、簡易かつコンパクトな構成で、作業性および対応性に優れる安価な電線支持具10を提供することができる。
次に、図2は本発明に係る電線支持具の第2実施形態を示す図である。なお、本実施形態は、上述実施形態と略同様に構成されているので、同様な構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
図2において、電線支持具30は、図3や図4に示す電線支持具100と同様に、取付部121および支持棒123が基端部側に形成されているとともに、その反対側の支持棒123よりも先端部側の外周面に雄ネジ部31aが形成されている棒状部材31と、挟持ユニット21と、固定ナット22と、を備えており、この電線支持具30は、棒状部材31の雄ネジ部31a程度の長さに形成されてその外周面に雄ネジ部32aが形成されている雄ネジ部材32と、棒状部材31や雄ネジ部材32の雄ネジ部31a、32aに螺合して端部同士を直列的に連結する連結ナット(連結ナット部)33と、により構成されている。
この電線支持具30は、棒状部材31の雄ネジ部31aや雄ネジ部材32(雄ネジ部32a)が図3や図4に示す電線支持具100と同様に、1組の挟持ユニット21を固定ナット22で固定可能な程度の短尺な長さに形成されて短尺ボルト部を構成しており、これらを1個以上の連結ナット33で連結することにより複数の挟持ユニット21をそれぞれの固定ナット22で固定するように構成されている。
これにより、棒状部材31や雄ネジ部材32の雄ネジ部31a、32aに固定ナット12や連結ナット33を螺合させることにより、棒状部材31のエッジ部31bやナット12、33の間に、引上引下電線Dを並列状態にして位置決め保持する挟持ユニット21を支持固定することができ、電柱300に支持させる引上引下電線Dの本数に応じて、雄ネジ部材32や連結ナット33を用いて挟持ユニット21を増減することができる。
したがって、この電線支持具30は、4本までの引上引下電線Dを電柱300に支持させる場合には、一つの挟持ユニット21を棒状部材31の雄ネジ部31aに支持固定すればよく、その電柱300に支持させる引上引下電線Dを増やす場合には、棒状部材31の雄ネジ部31aに雄ネジ部材32(雄ネジ部32a)の1本または複数本を連結ナット33で適宜連結することにより、電柱300に支持固定済みの挟持ユニット21はそのままで、別個の挟持ユニット21を同様に固定ナット12により支持固定することができる。反対に、この電線支持具30は、連結ナット33を外すだけで、最も外側の挟持ユニット21や雄ネジ部材32と共に電柱300に支持させる引上引下電線Dを減らすことができ、長めに残る雄ネジ部が邪魔になることもない。
このように本実施形態おいては、上述実施形態による作用効果に加えて、電柱300に支持させる引上引下電線Dの数に応じて、挟持ユニット21や固定ナット12と共に、雄ネジ部材32と連結ナット33を着脱することにより、支持固定する引上引下電線Dの本数を適宜増減することができる。
本実施形態の他の態様としては、図示することは省略するが、追加する挟持ユニット21の固定ナット12を雄ネジ部材32に相対回転不能に溶接などして、その固定ナット12を用いて雄ネジ部材32を連結ナット33内に捩じ込むようにすることにより強固に連結可能にしてもよい。なお、このような方式に限らずに、例えば、雄ネジ部材32に貫通穴を形成して棒状部材を差し込んで回転可能にしたり、また、雄ネジ部32aの一部のネジ溝を切り欠いて平面部を形成することによりスパナにより回転係合可能な構造にしてもよく、これらは、複数本の雄ネジ部材32を連結する場合にも適用することができる。
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
10、30……電線支持具 11、31……棒状部材 11a、31a、32a……雄ネジ部 12……固定ナット 21……挟持ユニット 22……内側部材 22a〜26a……貫通穴 22b〜24b……溝部 23……外側部材 25、26……押さえ板 32……雄ネジ部材 33……連結ナット 121……取付部 123……支持棒 200……緊締具 300……電柱 D……引上引下電線
Claims (6)
- 送配電線を架設された構築物に取り付けられて、該送配電線から分岐させた引上引下電線を支持する電線支持具であって、
複数本の引上引下電線を部材間に挟み込むようにして位置決め保持する挟持部と、該挟持部を構築物に支持する支持部と、を備えて、
支持部は、複数個の挟持部を構築物から離隔する方向に直列に並べた状態で固定する構造に設計されていることを特徴とする電線支持具。 - 前記支持部は、複数の挟持部を貫通する長さを有する長尺ボルト部と、該長尺ボルト部の貫通する挟持部を該長尺ボルト部に固定する固定ナット部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の電線支持具。
- 前記支持部は、一つの挟持部を貫通する長さを有する短尺ボルト部と、該短尺ボルト部同士を直列に連結する連結ナット部と、短尺ボルト部の貫通する挟持部を該短尺ボルト部に固定する固定ナット部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の電線支持具。
- 前記挟持部は、該挟持部の直列方向に並んで前記固定ナット部により互いに圧接する方向に挟圧される内側部材および外側部材から構成されて、これら内側部材と外側部材の互いに対面する側面に引上引下電線を嵌め込む溝部が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の電線支持具。
- 前記挟持部は、一つの内側部材の両側に外側部材が位置して、これらの内側部材および外側部材のボルト部の貫通する両側側面に一対の溝部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電線支持具。
- 前記支持部は、構築物との取付部分および挟持部の固定部分との間に、該構築物と引上引下電線との間を離隔させるスペーサ部を有することを特徴する請求項1から5のいずれかに記載の電線支持具。
Priority Applications (1)
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JP2005025426A JP2006217687A (ja) | 2005-02-01 | 2005-02-01 | 電線支持具 |
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Cited By (2)
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JP2016129128A (ja) * | 2015-01-09 | 2016-07-14 | 中国電力株式会社 | ケーブル結束具 |
JP2016149827A (ja) * | 2015-02-10 | 2016-08-18 | 中国電力株式会社 | 引下線用コネクタ保持具 |
-
2005
- 2005-02-01 JP JP2005025426A patent/JP2006217687A/ja active Pending
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