JP2006214389A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 吸蔵還元型のNOx触媒への還元剤の偏った供給を抑制し、NOx触媒の機能再生を適切に実施することが可能な内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】 エンジン1の排気通路4の一部を形成するとともに内部に吸蔵還元型のNOx触媒12、13を収容するケーシング15と、前記ケーシングの上流側に設けられ、前記NOx触媒の上流側端面に斜めに排気が導入されるように前記上流側端面に対して傾斜した排気導入部17と、前記NOx触媒よりも上流側にてケーシング内に還元剤を供給する添加インジェクタ11と、を備えた排気浄化装置において、添加インジェクタは、前記排気導入部の壁面のうち前記上流側端面と対向する壁面に配置され、排気の流れを横断する方向に扁平に還元剤を噴射する噴射孔11aと、前記噴射孔の前方に配置され、前記噴射孔から噴射された還元剤の一部を分散させる分散板18と、を備えている。
【選択図】 図2
【解決手段】 エンジン1の排気通路4の一部を形成するとともに内部に吸蔵還元型のNOx触媒12、13を収容するケーシング15と、前記ケーシングの上流側に設けられ、前記NOx触媒の上流側端面に斜めに排気が導入されるように前記上流側端面に対して傾斜した排気導入部17と、前記NOx触媒よりも上流側にてケーシング内に還元剤を供給する添加インジェクタ11と、を備えた排気浄化装置において、添加インジェクタは、前記排気導入部の壁面のうち前記上流側端面と対向する壁面に配置され、排気の流れを横断する方向に扁平に還元剤を噴射する噴射孔11aと、前記噴射孔の前方に配置され、前記噴射孔から噴射された還元剤の一部を分散させる分散板18と、を備えている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
NOx吸収剤を担持したパティキュレートフィルタを排気管に2つ並列に配置し、NOx吸収剤に流入する排気の量を一方ずつ減少させてNOx吸収剤の機能再生処理を行う排気浄化装置が知られている(特許文献1参照)。また、還元剤を排気の流れに対して垂直、又は斜め上流に向けて噴霧する排気浄化装置が知られている(特許文献2参照)。
特許第2727906号公報
特開2003−239727号公報
NOx吸収剤としての吸蔵還元型のNOx触媒(以降、NOx触媒と略称する。)などが排気通路に複数並列に配置されている装置では、還元剤を供給する噴射ノズルとNOx触媒との距離が十分に確保できず、NOx触媒の一部に還元剤が偏って供給されるおそれがある。
そこで、本発明は、吸蔵還元型のNOx触媒への還元剤の偏った供給を抑制し、NOx触媒の機能再生を適切に実施することが可能な内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
本発明の第一の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気通路の一部を形成するとともに内部に吸蔵還元型のNOx触媒を収容するケーシングと、前記ケーシングの上流側に設けられ、前記NOx触媒の上流側端面に斜めに排気が導入されるように前記上流側端面に対して傾斜した排気導入部と、前記NOx触媒よりも上流側にてケーシング内に還元剤を供給する還元剤供給手段と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、前記還元剤供給手段は、前記排気導入部の壁面のうち前記上流側端面と対向する壁面に配置され、排気の流れを横断する方向に扁平に還元剤を噴射する噴射孔と、前記噴射孔の前方に配置され、前記噴射孔から噴射された還元剤の一部を分散させる分散部材と、を備えていることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
本発明の第一の内燃機関の排気浄化装置によれば、排気の流れを横断する方向に扁平に還元剤が噴射され、さらにこの噴射された還元剤の一部が分散部材によって分散されるので、NOx触媒に還元剤を分散させて供給することができる。なお、本発明における分散部材は、噴射された還元剤のうちの一部の移動を妨げたり、いったん付着した還元剤をその場で蒸発させたりといった還元剤の状態を変化させる場所を作り出す部材を指す。
本発明の第一の排気浄化装置は、前記分散部材として、前記噴射孔から噴射される還元剤の噴射方向と略同じ方向に貫通する複数の貫通孔を有する分散板が設けられていてもよい(請求項2)。このような分散板を設けることで、複数の貫通孔を通過した還元剤を直接NOx触媒に供給するとともに、分散板に衝突した還元剤を分散板上で蒸発させることができるので、還元剤を分散させてNOx触媒に供給することができる。
本発明の第一の排気浄化装置において、前記噴射孔からは、排気流れの上流側に向けて還元剤が噴射されてもよい(請求項3)。この場合、分散部材より上流側にも還元剤を供給することができるので、還元剤をより分散させてNOx触媒に供給することができる。
本発明の第一の排気浄化装置において、前記分散部材は、前記噴射孔から噴射された還元剤を前記分散部材の上流側よりも前記分散部材の下流側に多く供給してもよい(請求項4)。この場合、排気の流れを利用して還元剤を分散させつつNOx触媒に導くことができる。そのため、NOx触媒に還元剤をさらに分散させて供給することができる。
本発明の第一の排気浄化装置において、前記NOx触媒への排気の流入を許可する位置とその流入を阻止する位置とに切替可能な排気制御バルブと、前記NOx触媒の機能を再生させるべく排気の空燃比を一時的にリッチ側に設定するリッチスパイク時に前記NOx触媒への排気の流入が阻止されるように前記排気制御バルブの動作を制御する動作制御手段と、を備え、前記動作制御手段は、リッチスパイク時で、かつ前記NOx触媒に排気が流入しているときに前記ケーシング内に還元剤が供給されるように前記還元剤供給手段の動作を制御してもよい(請求項5)。このようにNOx触媒に排気が流入しているときに還元剤を供給することで、排気の流れを利用して還元剤をNOx触媒に導くことができる。
本発明の第二の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気通路を形成し、同一の上流管から分岐する複数の分岐管を有する排気管と、各分岐管の一部を形成するとともに内部に吸蔵還元型のNOx触媒がそれぞれ収容されるケーシングと、各ケーシングの上流側にそれぞれ設けられ、前記NOx触媒の上流側端面に斜めに排気が導入されるように前記上流側端面に対して傾斜した排気導入部と、各ケーシングにそれぞれ設けられ、前記NOx触媒よりも上流側にてケーシング内に還元剤を供給する還元剤供給手段と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、前記還元剤供給手段は、前記排気導入部の壁面のうち前記上流側端面と対向する壁面に配置され、排気の流れを横断する方向に扁平に還元剤を噴射する噴射孔と、前記噴射孔の前方に配置され、前記噴射孔から噴射された還元剤の一部を分散させる分散部材と、をそれぞれ備えていることにより、上述した課題を解決する(請求項6)。
本発明の第二の内燃機関の排気浄化装置によれば、上述した第一の排気浄化装置と同様に、各分岐管に設けられたNOx触媒に還元剤を分散させて供給することができる。
本発明の第二の排気浄化装置は、前記分散部材として、前記噴射孔から噴射された還元剤の噴射方向と略同じ方向に貫通する複数の貫通孔を有する分散板がそれぞれ設けられていてもよい(請求項7)。このように分散板を設けることで、一部の還元剤を蒸発、分散させることができる。また、前記噴射孔からは、排気流れの上流側に向けて還元剤が噴射されてもよい(請求項8)。この場合、分散部材より上流側にも還元剤を供給することができる。さらに、前記分散部材は、前記噴射孔から噴射された還元剤を前記分散部材の上流側よりも前記分散部材の下流側に多く供給してもよい(請求項9)。この場合は、NOx触媒に還元剤を排気流れによって分散させつつ供給することができる。
本発明の第二の排気浄化装置は、各分岐管にそれぞれ設けられ、各分岐管に設けられたNOx触媒への排気の流入を許可する位置とその流入を阻止する位置とに切り替え可能な排気制御バルブと、各NOx触媒の機能を再生させるべく排気の空燃比を一時的にリッチ側に設定するリッチスパイク時に、機能を再生させるNOx触媒への排気の流入が阻止されるように各排気制御バルブの動作を制御する動作制御手段と、を備え、前記動作制御手段は、リッチスパイク時、かつ機能を再生させるNOx触媒に排気が流入しているときに、このNOx触媒に還元剤が供給されるように各還元剤供給手段の動作を制御してもよい(請求項10)。この場合、排気流れを利用して還元剤をNOx触媒に供給することができる。
本発明において吸蔵還元型のNOx触媒は、NOxを触媒にて保持できるものであればよく、吸収又は吸着いずれの態様でNOxが保持されるかは吸蔵の用語によって制限されない。また、後述するSOxの被毒についてもその態様を問わないものである。さらに、NOxやSOxの放出についてもその態様を問わない。
以上に説明したように、本発明によれば、NOx触媒に還元剤を分散させて供給することができるので、NOx触媒の機能再生処理を適切に実施して排気エミッションの悪化を抑制することができる。
図1は、本発明の排気浄化装置を内燃機関としてのディーゼルエンジン(以降、エンジンと略称する。)1に組み込んだ一形態の構成図を示している。エンジン1は、車両に動力源として搭載されるもので、そのシリンダ2には吸気通路3及び排気通路4が接続されている。吸気通路3には、ターボチャージャ5のコンプレッサ5a、吸気を冷却するためのインタークーラ6、吸気量調節用の絞り弁7が設けられ、排気通路4にはターボチャージャ5のタービン5bが設けられている。排気通路4は、排気管8によって形成されている。排気管8は、タービン5bの下流側において同一の上流管9から分岐する複数(図1では2つ)の分岐管10を有している。各分岐管10には、上流側から順に、スリット状の噴射孔11aを有する還元剤供給手段としての添加インジェクタ11と、前段触媒12と、吸蔵還元型のNOx触媒が担持されたパティキュレートフィルタ(以降、フィルタと略称する。)13と、分岐管10への排気の流入を許可する位置とその流入を阻止する位置とに切り替え可能な排気制御バルブ14とがそれぞれ設けられている。前段触媒12及びフィルタ13は、分岐管10の一部を形成するケーシング15に収容されている。即ち、図1のエンジン1は、排気通路4に前段触媒12及びフィルタ13を複数並列に備えている。なお、各分岐管10は、排気制御バルブ14の下流側にて共通の下流管16にそれぞれ接続される。前段触媒12としては、例えば、排気中のNOxを酸素過剰のリーン雰囲気で吸蔵し、理論空燃比又は酸素不足のリッチ雰囲気で吸蔵したNOxを放出するとともにこのNOxを還元浄化するNOx吸蔵還元型の排気浄化触媒が設けられる。そのため、本発明の吸蔵還元型のNOx触媒には、前段触媒12及びフィルタ13の両方が対応する。還元剤には、例えばエンジン1の燃料(軽油)が使用される。
上述したように吸蔵還元型のNOx触媒は、排気空燃比がリーンのときはNOxを吸蔵し、排気空燃比が理論空燃比又はリッチのときは吸蔵していたNOxを放出し、窒素(N2)に還元する性質を有している。NOx触媒に吸蔵可能なNOx量には上限があるため、吸蔵されているNOx量がこの上限に達しないようにNOx触媒からNOxを放出させてN2に還元させるNOx還元を所定の間隔で行い、NOx触媒の排気浄化性能を高い状態に維持する。また、NOx触媒は、排気中に含まれる硫黄酸化物(SOx)により被毒される。そのため、NOx触媒をNOx触媒から硫黄(S)が放出される温度域に昇温させるとともに排気の空燃比を理論空燃比又はリッチして硫黄被毒を回復させ、NOx触媒の機能を再生させるS再生を行う。添加インジェクタ11は、ケーシング15内に還元剤を添加することで排気空燃比を理論空燃比又はリッチ側に一時的に変化させるリッチスパイクを行い、これらNOx還元やS再生を実行するときに必要な還元雰囲気を生成する。なお、以降NOx還元とS再生とをまとめて機能再生処理と記述することもある。
図2は車両に搭載されたエンジン1の排気管8の一部を拡大して示している。なお、図2(a)は各分岐管10を図2(b)の上側から見た図を示し、図2(b)は各分岐管10を拡大して示している。車両に搭載されたエンジン1の各分岐管10は、上流側が鉛直上方を向き、下流側が鉛直下方を向くようにそれぞれ配置される。図2(b)に示したように、各ケーシング15の上流側には、ケーシング15の内部に収容された前段触媒12の上流側端面12aに斜め上方から排気が流入するように、この上流側端面12aに対して傾斜した排気導入部17がそれぞれ設けられている。添加インジェクタ11は、この排気導入部17の壁面のうち前段触媒12の上流側端面12aと対向する壁面に配置される。また、図2(a)及び図2(b)に示したように噴射孔11aからは、排気流れを斜めに横断する方向で、かつ排気流れの上流側に向けて扁平に還元剤が噴射される。
図3に拡大して示したように、添加インジェクタ11は、噴射孔11aの前方に配置される分散部材としての分散板18と、添加インジェクタ11を冷却するための冷却アダプター19とを備えている。図3に示したように、分散板18は噴射孔11aを取り囲むように設けられ、複数の貫通孔18aを有している。なお、複数の貫通孔18aのうちの一部は、噴射孔11aから噴射される還元剤の噴射方向と略同じ方向に貫通している。噴射孔11aから噴射された還元剤は、その一部が分散板18に衝突して分散板18に付着する。残りの還元剤は、図2(b)に示したように複数の貫通孔18aを通過して分散板18よりも排気流れの上流側に直接供給される。分散板18に付着した還元剤は、分散板18上にて蒸発し、排気流れによって分散板18よりも下流側に拡散されつつ供給される。このように、噴射孔11aから噴射された還元剤は、その一部が分散板18において蒸発して分散板18よりも下流側に供給され、残りが複数の貫通孔18aを通過して分散板18よりも上流側に直接供給される。なお、複数の貫通孔18aは、噴射孔11aから噴射された還元剤が分散板18の上流側よりも分散板18の下流側に多く供給されるように設けられる。また、複数の貫通孔18aの形状や大きさは、噴射孔11aから噴射される還元剤の噴霧形状や排気量などに応じて、分散板18の上流側と下流側とに適切な量の還元剤がそれぞれ供給されるように適宜に設定される。水冷アダプター19には、例えばエンジン1の冷却水の一部が供給されており、添加インジェクタ11が排気熱によって過熱されないように添加インジェクタ11を冷却する。
図1に戻って説明を続ける。エンジン1は、燃料供給装置20を備えている。燃料供給装置20は、シリンダ2内に燃料を噴射する燃料噴射弁21と、燃料噴射弁21から噴射する高圧の燃料を蓄えるコモンレール22と、不図示の燃料タンクからコモンレール22に燃料を供給する燃料ポンプ23とを備えている。図1に示したように添加インジェクタ11は、燃料ポンプ23と接続されており、各添加インジェクタ11からはエンジン1の燃料が還元剤として噴射される。
添加インジェクタ11及び排気制御バルブ14の動作は、エンジンコントロールユニット(ECU)30によって制御されている。ECU30は、例えば燃料噴射弁21の動作を制御して、シリンダ2内に噴射する燃料量を調整するなどしてエンジン1の運転状態をコントロールする周知のコンピュータユニットである。また、ECU30は、エンジン1の運転時にタービン5bから排出された排気が並列に設けられた2つの分岐管10のうちの一方に導かれるように各排気制御バルブ14の動作を制御する。なお、上述したようにNOx触媒の排気浄化性能を高い状態に維持するためには機能再生処理を所定の周期で実施する必要がある。この機能再生処理の実施時は、それまで排気が導かれていた一方の分岐管10から他方の分岐管10に排気が導かれるように、各排気制御バルブ14の動作が制御される。このように各排気制御バルブ14の動作を制御することで、ECU30は本発明の動作制御手段として機能する。
エンジン1の運転時における排気の流れを図2(b)を用いて説明する。なお、図2(b)の左側の分岐管10を分岐管10L、右側の分岐管10を分岐管10Rと記述する。また、分岐管10Lに設けられているものを添加インジェクタ11L、前段触媒12L、フィルタ13L、排気制御バルブ14Lと記述し、分岐管10Rに設けられているものを添加インジェクタ11R、前段触媒12R、フィルタ13R、排気制御バルブ14Rと記述する。例えば、ECU30は、エンジン1の運転時、排気制御バルブ14Rを開けて分岐管10Rへの排気の流入を許可し、排気制御バルブ14Lを閉じて分岐管10Lへの排気の流入を阻止する。このように各排気制御バルブ14の動作を制御することで排気を分岐管10Rに導き、前段触媒12R及びフィルタ13Rにて排気を浄化する。この状態において前段触媒12R及びフィルタ13Rにそれぞれ担持されているNOx触媒の機能再生処理を実施する場合、ECU30は排気制御バルブ14Rを閉じて分岐管10Rへの排気の流入を阻止するとともに排気制御バルブ14Lを開けて分岐管10Lへの排気の流入を許可する。このように各排気制御バルブ14の動作が制御されることで、排気は分岐管10Lに導かれる。その後、添加インジェクタ11Rから還元剤が供給され、前段触媒12R及びフィルタ13Rに担持されているNOx触媒の機能再生処理が実施される。なお、分岐管10Lから分岐管10Rへの排気流れの切り替えは、前段触媒12L及びフィルタ13Lにそれぞれ担持されているNOx触媒の機能再生処理を実施する際に行われる。このようにECU30は、各分岐管10に交互に排気が流入するように各排気制御バルブ14の動作を制御する。
図4は、ECU30が各添加インジェクタ11の動作を制御するために実行する添加インジェクタ動作制御ルーチンを示している。図4の制御ルーチンは、エンジン1の運転中に所定の周期で繰り返し実行される。
図4の制御ルーチンにおいてECU30は、まずステップS11において排気が導かれている分岐管10のNOx触媒に対してリッチスパイクを行うことで機能再生処理を実施する機能再生条件が成立したか否か判断する。機能再生条件が成立したか否かは、例えばエンジン1から排出された排気の量の積算値に基づいて判断され、一方の分岐管10に導かれた排気量の積算値が予め設定された判定値を超えた場合に機能再生条件が成立したと判断する。機能再生条件が成立していないと判断した場合は、今回の制御ルーチンを終了する。一方、機能再生条件が成立していると判断した場合はステップS12に進み、ECU30は一方の分岐管10から他方の分岐管10に排気の流れが切り替えられたことを示す切替フラグがオンの状態であるか否か判断する。切替フラグがオンの状態であると判断した場合、ECU30はステップS13及びS14の処理をスキップしてステップS15に進む。一方、切替フラグがオフの状態であると判断した場合はステップS13に進み、ECU30は各排気制御バルブ14の動作を制御して一方の分岐管10から他方の分岐管10に排気の流れを切り替える。例えば図2(b)の前段触媒12R及びフィルタ13Rにそれぞれ担持されているNOx触媒の機能再生処理を実施する場合は、分岐管10Rから分岐管10Lに排気の流れが切り替わるように排気制御バルブ14Lが開けられ、排気制御バルブ14Rが閉じられる。続くステップS14においてECU30は切替フラグをオンに切り替え、その後ステップS15に進む。
ステップS15においてECU30は、還元剤の供給を開始する時期であるか否か判断する。NOx触媒の機能再生処理を効果的に実施するためには、前段触媒12及びフィルタ13の空間速度が最も低いときに還元剤が前段触媒12及びフィルタ13の略全体にそれぞれ行き渡っていることが望ましい。また、噴射孔11aから噴射された還元剤は排気の流れによって前段触媒12及びフィルタ13にそれぞれ供給されるので、前段触媒12及びフィルタ13に排気が流入している時期、即ち排気制御バルブ14が開いている時期に還元剤を供給することが望ましい。そこで、還元剤の供給を開始する時期としては、例えば、NOx触媒の機能再生処理時において排気制御バルブ14が開いている時期で、かつ前段触媒12及びフィルタ13の空間速度が最も低いときに還元剤が前段触媒12及びフィルタ13の略全体にそれぞれ行き渡るような時期に設定される。還元剤の供給を開始する時期ではないと判断した場合は、今回の制御ルーチンを終了する。一方、還元剤の供給を開始する時期であると判断した場合はステップS16に進み、ECU30は各添加インジェクタ11の動作を制御し、NOx触媒の機能再生処理を実行する側の分岐管10に還元剤を供給する。例えば、前段触媒12R及びフィルタ13Rにそれぞれ担持されているNOx触媒の機能再生処理を実施する場合は、添加インジェクタ11Rから還元剤を供給する。続くステップS17においてECU30は切替フラグをオフに切り替える。その後、今回の制御ルーチンを終了する。
以上の排気浄化装置によれば、分散板18によって噴射孔11aから噴射された還元剤の一部を蒸発、拡散させて分散板18よりも下流側に供給し、残りの還元剤を分散板18よりも上流側に直接供給することができる。また、分散板18の上流側に供給される還元剤の量よりも分散板18の下流側に供給される還元剤の量の方が多いので、排気の流れを利用して還元剤を拡散しつつ前段触媒12及びフィルタ13に還元剤を供給することができる。添加インジェクタ11からは、前段触媒12及びフィルタ13に排気が流入している時期に還元剤が供給されるので、排気によって前段触媒12及びフィルタ13に還元剤を行き渡らせることができる。また、前段触媒12及びフィルタ13の空間速度が最も低いときに還元剤が前段触媒12及びフィルタ13の略全体にそれぞれ行き渡るように還元剤の供給時期が設定されるので、NOx触媒の機能再生処理を効果的に実施することができる。添加インジェクタ11は、ケーシング15の排気導入部17に配置されるので、排気浄化装置をコンパクトにまとめることができる。また、排気導入部17を前段触媒12の上流側端面12aに対して傾斜させて設けたので、排気導入部17を短くするとともに排気を上流側端面12aに拡散させて供給することができる。
ECU30が実行する各排気制御バルブ14の動作制御方法は、各分岐管10に配置される前段触媒12及びフィルタ13の容量に応じて適宜変更してよい。例えば、エンジン1の排気を一方の分岐管10に配置された前段触媒12及びフィルタ13にて適切に浄化可能な場合は、上述した動作制御方法にて各排気制御バルブ14の動作が制御されてよい。一方、車両の大きさなどによって一方の分岐管10に配置可能な前段触媒12及びフィルタ13の容量が制限される場合は、例えば以下に示す制御方法によって各排気制御バルブ14の動作が制御されてもよい。
ECU30は、エンジン1の通常運転時、両方の排気制御バルブ14をそれぞれ開状態に維持し、両方の分岐管10に排気を流入させ、両方の分岐管10に配置された前段触媒12及びフィルタ13にてそれぞれ排気を浄化する。例えば図2の排気管8においては、排気制御バルブ14L、14Rをそれぞれ開状態に維持して分岐管10L、10Rにそれぞれ排気を流入させ、前段触媒12L、12R及びフィルタ13L、13Rによって排気を浄化する。一方、NOx触媒の機能再生処理を行う場合、ECU30は、機能再生処理を行う前段触媒12及びフィルタ13が配置されている方の排気制御バルブ14のみを閉状態に切り替え、その後前段触媒12及びフィルタ13の空間速度が低下し始めてから、これら前段触媒12及びフィルタ13に還元剤を供給する。例えば図2の排気管8において前段触媒12L及びフィルタ13Lの機能再生処理を行う場合、ECU30は、排気制御バルブ14Lのみを閉状態に切り替え、その後添加インジェクタ10Lの動作を制御して前段触媒12L及びフィルタ13Lに還元剤を供給する。
このように各分岐管10に配置可能な前段触媒12及びフィルタ13の容量が制限される場合は、通常運転時に両方の分岐管10にそれぞれ排気を流入させることによって、両方の分岐管10に配置された前段触媒12及びフィルタ13によって排気を適切に浄化することができる。一方、前段触媒12及びフィルタ13の機能再生処理時は、機能再生処理を行う前段触媒12及びフィルタ13が配置されている方の排気制御バルブ14のみを閉状態に切り替え、その後この前段触媒12及びフィルタ13の空間速度が低下し始めてから還元剤を供給するので、機能再生処理を適切に実施することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、本発明はディーゼルエンジンに限らず、ガソリンその他の燃料を利用する各種の内燃機関に適用してよい。分散板18は、上述した形状に限定されず、噴射孔11aから噴射された還元剤の一部を蒸発、拡散させるとともに、残りの還元剤を通過させることが可能な種々の形状が適用できる。また、分散板18は、噴射孔11aを取り囲むように設けられていなくてもよく、噴射孔11aの前方に配置され、分散板18の上流側と下流側にそれぞれ還元剤を供給できればよい。
1 ディーゼルエンジン(内燃機関)
4 排気通路
8 排気管
9 上流管
10 分岐管
11 添加インジェクタ(還元剤供給手段)
11a 噴射孔
12 前段触媒(NOx触媒)
12a 上流側端面
13 パティキュレートフィルタ(NOx触媒)
14 排気制御バルブ
15 ケーシング
17 排気導入部
18 分散板(分散部材)
18a 貫通孔
30 エンジンコントロールユニット(動作制御手段)
4 排気通路
8 排気管
9 上流管
10 分岐管
11 添加インジェクタ(還元剤供給手段)
11a 噴射孔
12 前段触媒(NOx触媒)
12a 上流側端面
13 パティキュレートフィルタ(NOx触媒)
14 排気制御バルブ
15 ケーシング
17 排気導入部
18 分散板(分散部材)
18a 貫通孔
30 エンジンコントロールユニット(動作制御手段)
Claims (10)
- 内燃機関の排気通路の一部を形成するとともに内部に吸蔵還元型のNOx触媒を収容するケーシングと、前記ケーシングの上流側に設けられ、前記NOx触媒の上流側端面に斜めに排気が導入されるように前記上流側端面に対して傾斜した排気導入部と、前記NOx触媒よりも上流側にてケーシング内に還元剤を供給する還元剤供給手段と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、
前記還元剤供給手段は、前記排気導入部の壁面のうち前記上流側端面と対向する壁面に配置され、排気の流れを横断する方向に扁平に還元剤を噴射する噴射孔と、前記噴射孔の前方に配置され、前記噴射孔から噴射された還元剤の一部を分散させる分散部材と、を備えていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記分散部材として、前記噴射孔から噴射される還元剤の噴射方向と略同じ方向に貫通する複数の貫通孔を有する分散板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記噴射孔からは、排気流れの上流側に向けて還元剤が噴射されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記分散部材は、前記噴射孔から噴射された還元剤を前記分散部材の上流側よりも前記分散部材の下流側に多く供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記NOx触媒への排気の流入を許可する位置とその流入を阻止する位置とに切替可能な排気制御バルブと、前記NOx触媒の機能を再生させるべく排気の空燃比を一時的にリッチ側に設定するリッチスパイク時に前記NOx触媒への排気の流入が阻止されるように前記排気制御バルブの動作を制御する動作制御手段と、を備え、
前記動作制御手段は、リッチスパイク時で、かつ前記NOx触媒に排気が流入しているときに前記ケーシング内に還元剤が供給されるように前記還元剤供給手段の動作を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 内燃機関の排気通路を形成し、同一の上流管から分岐する複数の分岐管を有する排気管と、各分岐管の一部を形成するとともに内部に吸蔵還元型のNOx触媒がそれぞれ収容されるケーシングと、各ケーシングの上流側にそれぞれ設けられ、前記NOx触媒の上流側端面に斜めに排気が導入されるように前記上流側端面に対して傾斜した排気導入部と、各ケーシングにそれぞれ設けられ、前記NOx触媒よりも上流側にてケーシング内に還元剤を供給する還元剤供給手段と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、
前記還元剤供給手段は、前記排気導入部の壁面のうち前記上流側端面と対向する壁面に配置され、排気の流れを横断する方向に扁平に還元剤を噴射する噴射孔と、前記噴射孔の前方に配置され、前記噴射孔から噴射された還元剤の一部を分散させる分散部材と、をそれぞれ備えていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記分散部材として、前記噴射孔から噴射された還元剤の噴射方向と略同じ方向に貫通する複数の貫通孔を有する分散板がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記噴射孔からは、排気流れの上流側に向けて還元剤が噴射されることを特徴とする請求項6又は7に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記分散部材は、前記噴射孔から噴射された還元剤を前記分散部材の上流側よりも前記分散部材の下流側に多く供給することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 各分岐管にそれぞれ設けられ、各分岐管に設けられたNOx触媒への排気の流入を許可する位置とその流入を阻止する位置とに切り替え可能な排気制御バルブと、各NOx触媒の機能を再生させるべく排気の空燃比を一時的にリッチ側に設定するリッチスパイク時に、機能を再生させるNOx触媒への排気の流入が阻止されるように各排気制御バルブの動作を制御する動作制御手段と、を備え、
前記動作制御手段は、リッチスパイク時、かつ機能を再生させるNOx触媒に排気が流入しているときに、このNOx触媒に還元剤が供給されるように各還元剤供給手段の動作を制御することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005029651A JP2006214389A (ja) | 2005-02-04 | 2005-02-04 | 内燃機関の排気浄化装置 |
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JP2005029651A JP2006214389A (ja) | 2005-02-04 | 2005-02-04 | 内燃機関の排気浄化装置 |
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JP2006214389A true JP2006214389A (ja) | 2006-08-17 |
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ID=36977808
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2006214389A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010021016A1 (ja) * | 2008-08-16 | 2010-02-25 | 加藤 博子 | 排気ガス浄化装置 |
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2005
- 2005-02-04 JP JP2005029651A patent/JP2006214389A/ja active Pending
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WO2010021016A1 (ja) * | 2008-08-16 | 2010-02-25 | 加藤 博子 | 排気ガス浄化装置 |
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