JP2006213997A - 鉄族系合金基材の窒化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄族系合金基材の不動態膜を効率よく且つ容易な制御で除去する。
【解決手段】処理炉内にエンジンバルブ10を収容した後に真空引きを行いながら昇温し、400℃よりも高温、好ましくは450℃以上となった時点で水素ガスの供給を開始して水素ガススパッタリング(第1工程)を開始する。これにより、エンジンバルブ10の表面に存在する不動態膜が還元除去される。水素ガススパッタリングを行いながら真空引き及び昇温を続行し、好ましくは500℃に到達した時点で、水素ガスとともに窒素ガスを導入して第2工程を開始する。この窒素ガスにより、不動態膜が除去されたエンジンバルブ10の表面が窒化されて窒化層が形成される。
【選択図】図2
【解決手段】処理炉内にエンジンバルブ10を収容した後に真空引きを行いながら昇温し、400℃よりも高温、好ましくは450℃以上となった時点で水素ガスの供給を開始して水素ガススパッタリング(第1工程)を開始する。これにより、エンジンバルブ10の表面に存在する不動態膜が還元除去される。水素ガススパッタリングを行いながら真空引き及び昇温を続行し、好ましくは500℃に到達した時点で、水素ガスとともに窒素ガスを導入して第2工程を開始する。この窒素ガスにより、不動態膜が除去されたエンジンバルブ10の表面が窒化されて窒化層が形成される。
【選択図】図2
Description
本発明は、水素ガススパッタリング工程とプラズマ窒化処理工程とを有する鉄族系合金基材の窒化処理方法に関する。
例えばステンレス鋼等の鉄族系合金基材、すなわち、周期表の第8族に属する金属元素を主成分とする合金基材に対して施される窒化処理は、該鉄族系合金基材の表面に窒化物を形成することによって該表面の硬度を上昇させ、耐摩耗性等を向上させるべく行われる処理である。
ここで、鉄族系合金基材の表面には、通常、自発的に形成された酸化物からなる不動態膜が存在し、この不動態膜は窒化反応を阻害する。このため、窒化処理に先立ち、不動態膜を除去する除去処理が行われる。
除去処理方法としては、シアン等の薬液に浸漬する湿式法が例示される。しかしながら、この場合、環境汚染を回避するために薬液を処理する工程が必要であり、煩雑であるとともに、薬液の処理コストによって窒化処理コストが高騰するという問題がある。
これに対し、非特許文献1及び特許文献1には、鉄族系合金基材を収容した処理炉の中に窒素ガスと水素ガス、又はアンモニアガスと水素ガスとを導入し、前記処理炉内でグロー放電を生じさせ、これにより生成したH+やNH4 +で基材表面の不動態膜(酸化物)を還元することが記載されている。この場合、薬液を処理する必要がなく、しかも、除去処理と窒化処理とを同一の処理炉内で実施することができるので、作業が簡便となるとともに、装置構成が簡素となるという利点がある。なお、非特許文献1には、不動態膜の還元反応機構と窒化物拡散機構が併せて説明されている。
さらに、特許文献2では、水素ガスのみを350℃未満、好ましくは150℃未満から処理炉内に導入し、比較的低温で水素ガススパッタリングを開始することが提案されている。特許文献2によれば、鉄族系合金基材の内部にH+を拡散浸透させた後に温度を不動態膜の還元温度以上に上昇させ、これによりH+を基材の表面側に移動させれば、不動態膜を内部から還元することができるとのことである。
特許文献1に記載された方法では、CrやNiの含有量が比較的高い鋼から不動態膜を還元除去しようとする場合、H+やNH4 +の拡散深さが十分ではなく、このために不動態膜の除去が不十分となることがある。このような事態が生じると、窒化処理によって形成される窒化層の厚みが不均一となったり、窒化層が部分的に形成されなくなるという不具合を招く。
一方、特許文献2に記載された方法では、不動態膜の還元反応が起こらず、水素イオンの鉄族系合金基材への拡散浸透のみが起こる。この水素イオンの深さ、浸透量、分布等の拡散浸透状態は、スパッタリング条件に依存して大きく変化する。そして、水素イオンが過度に深く拡散浸透していたり、水素イオンの浸透量が過剰である場合、水素脆化の原因となる。特に、内燃機関の構成部品等の形状が複雑なものでは、この傾向が顕著となる。
従って、例えば、水素イオンが残留して鉄族系合金基材がいわゆる水素脆性を示すことを回避するべく水素イオンを所望の拡散浸透状態とするためには、スパッタリング条件を高精度に制御する必要がある。しかしながら、このような高精度の制御を行うためには、数多くの試験を繰り返してデータを採取しなければならず、煩雑である。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、窒化層の厚みを略均一とすることが可能であり、しかも、窒化処理された鉄族系合金基材が脆性を示すことを回避することができる鉄族系合金基材の窒化処理方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、鉄族系合金基材の表面に存在する不動態膜を水素ガススパッタリングにより除去する第1工程と、
不動態膜が除去された前記鉄族系合金基材に対してプラズマ窒化処理を施し、該鉄族系合金基材を窒化する第2工程と、
を有し、
前記第1工程を、前記第2工程を開始するまでの昇温中に処理炉の温度が400℃を超えた際、前記処理炉内に水素ガスを流通させて行なうことを特徴とする。
不動態膜が除去された前記鉄族系合金基材に対してプラズマ窒化処理を施し、該鉄族系合金基材を窒化する第2工程と、
を有し、
前記第1工程を、前記第2工程を開始するまでの昇温中に処理炉の温度が400℃を超えた際、前記処理炉内に水素ガスを流通させて行なうことを特徴とする。
350℃以下で水素ガススパッタリングを行った場合、不動態膜の還元反応が起こらず、スパッタリングによる水素イオンの鉄族系合金基材への拡散浸透のみが起こる。また、350℃〜400℃では、不動態膜が還元されはするものの、その反応速度は、水素イオンの放出速度に比して遅い。このため、400℃以下の温度域では、水素イオンの深さ、浸透量、分布等の拡散浸透状態は、スパッタリング条件に依存して大きく変化する。例えば、電圧が過度に高い場合、水素イオンの拡散浸透量が過度に多くなったり、又は、水素イオンの拡散浸透深さが過度に大きくなったりする等の不具合が生じる。従って、400℃以下の温度域において、水素イオンを所望の拡散浸透状態とするためには、スパッタリング条件を高精度に制御する必要がある。
これに対し、本発明においては、鉄族系合金基材の内部に吸蔵される等して予め保持された水素イオンが、該鉄族系合金基材から極めて活発に放出される400℃よりも高温となった後に水素ガスの供給が開始される。このような高温域では、鉄族系合金基材からの水素イオンの放出と、不動態膜の還元反応とが競合して起こる。従って、例えば、電圧が多少高く、このために水素イオンが鉄族系合金基材に深く浸透したとしても、この水素イオンは、上記のようにして放出されたり、不動態膜を還元したりすることによって迅速に消費される。このため、水素イオンの拡散浸透量が過度に多くなったり、拡散浸透深さが過度に大きくなったりすることを回避することができる。換言すれば、上記のような高温域、すなわち、鉄族系合金基材内部から水素イオンが活発に排出される温度域で水素ガススパッタリングを開始することにより、不動態膜の還元除去を制御することが容易となる。
しかも、この場合、打ち込まれた水素イオンが迅速に還元反応を起こすので、水素イオンが鉄族系合金基材に残留することを回避することができ、これにより鉄族系合金基材がいわゆる水素脆性を示すことを回避することもできる。
ここで、第1工程を、400℃を超えて580℃以下の温度で行うことが好ましい。580℃以下の温度域では、鉄族系合金基材内部の水素イオンの排出速度が大きい。その一方で、不動態膜の還元反応が著しく活発となる。従って、スパッタリング条件を高精度に設定することなく、不動態膜の還元除去を容易に行うことができる。なお、580℃を超える温度域では、水素イオンの放出速度が小さくなるので、水素イオンが残留することを回避することが容易ではなくなる。また、鉄族系合金基材の組織が変化を起こすようになり、これに伴って物性が変化する傾向が顕著となる。
第1工程を行う好適な温度は、鉄族系合金基材の主成分及びその含有量にも依存するが、概ね450℃〜520℃である。
また、昇温の最中に窒素ガスを導入して第2工程を開始することが好ましい。これにより、窒素ガスと水素ガスとの混合比が安定した状態でプラズマ窒化を行う保持温度に到達させることができる。従って、鉄族系合金基材を短時間で良好に窒化することができ、その結果、品質が良好な窒化層を効率よく形成することができる。しかも、保持時間を短縮することができるので、窒化処理に要する時間を短縮することができる。
なお、水素ガスと窒素ガスとの双方が流通された場合、水素ガスによる鉄族系合金基材のスパッタリングと、窒素ガスによる窒化処理とが同時に営まれる。
本発明によれば、鉄族系合金基材の表面に存在する不動態膜を、400℃を超える温度で還元除去するようにしている。このような高温域では、鉄族系合金基材の内部からの水素イオンの放出と、不動態膜の還元反応とが競合して起こるので、水素イオンが鉄族系合金基材の内部に残留することなく迅速に消費される。このため、不動態膜の還元除去を制御することが容易となる。
しかも、この場合、打ち込まれた水素イオンが迅速に還元反応を起こすので、水素イオンが鉄族系合金基材に残留することを回避することができる。従って、鉄族系合金基材がいわゆる水素脆性を示すことを回避することができる。
以下、本発明に係る鉄族系合金基材の窒化処理方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態において、窒化処理が施される鉄族系合金基材は、図1に示すエンジンバルブ10である。
このエンジンバルブ10は、幅広な頭部12と、長尺な棒部14と、端部16とを有し、棒部14は、その中央部から若干頭部12寄りの部位で分割されている。すなわち、棒部14は、第1棒18と、該第1棒18に比してやや長尺な第2棒20とからなる。
このうち、頭部12及び第1棒18はNCF600からなり、第2棒20及び端部16はSUH11Mからなる。このエンジンバルブ10の表面には、NCF600及びSUH11Mが自発的に酸化することによって形成された不動態膜が存在する。
このように構成されたエンジンバルブ10に対し、先ず、有機溶剤等によって脱脂処理を施した後、処理炉内に収容する。そして、エンジンバルブ10及び処理炉の炉壁と電源とを電気的に接続し、通電を開始する。電流及び電圧は、それぞれ、およそ25A、220〜250Vとすればよい。
次に、該処理炉を封止して内部を真空引きしながら、図2に温度パターンとして示すように、該処理炉の昇温を開始する。昇温速度は、例えば、3〜5℃/分とすればよい。
ここで、水素ガススパッタリングを行う温度と、鉄族系合金基材であるSUH11Mに予め貯蔵された水素イオンの該SUH11Mからの放出速度との関係を図3に示す。この図3から、水素イオンが、400℃を超えると大きな速度で放出されるようになり、換言すれば、水素イオンの放出量が多くなり、580℃付近で最大となることが諒解される。なお、図3は、3回の測定データを併せて示したものである。また、水素イオンは、吸蔵等によってSUH11Mに貯蔵される。
そして、400℃超〜580℃の温度域では、不動態膜の還元反応も起こる。本実施の形態においては、このように、水素イオンが鉄族系合金基材の内部から活発に放出され、且つ不動態膜の還元反応が起こる温度域で水素ガススパッタリングを行う。
すなわち、昇温を続行しながら、400℃を超えた時点(図2におけるA点)で水素ガスの導入を開始して、水素ガススパッタリングによる不動態膜の還元除去(第1工程)を行う。真空引きを行いながら水素ガスを導入するため、処理炉内の圧力は大気圧よりも低くなる。処理炉内の具体的な圧力は、例えば、およそ0.7〜1.5Torrに設定すればよい。
水素ガスはプラズマ状態を生起し、該プラズマ中のH+が電界の作用下にエンジンバルブ10の表面に衝突する。このH+は、エンジンバルブ10の表面の不動態膜に拡散性水素イオンとして進入する。
拡散性水素イオンは、不動態膜の還元反応が起こる温度であるので、迅速に不動態膜と反応を起こす。すなわち、不動態膜が拡散性水素イオンによって攻撃され、その結果、該不動態膜が還元除去される。
このように、本実施の形態においては、400℃よりも高温で水素ガススパッタリングを開始するようにしているので、エンジンバルブ10に衝突して不動態膜に入り込んだ拡散性水素イオンは、該不動態膜と迅速に還元反応を起こし、これにより消費される。このため、不動態膜を効率よく還元除去することができ、且つエンジンバルブ10の内部に拡散性水素が残留することを回避することができる。なお、不動態膜が還元されることに伴ってH2Oが発生するが、このH2Oは、系外へと速やかに排出される。
ここで、水素ガススパッタリングを350℃以下で開始すると、不動態膜の還元反応が起こらないので、水素イオンのエンジンバルブ10への拡散浸透のみが起こる。また、350℃超〜400℃以下では、水素イオンの拡散浸透速度が不動態膜の還元反応に比して大きくなる。
このような場合、水素イオンの深さ、浸透量、分布等の拡散浸透状態は、スパッタリング条件に依存して大きく変化する。例えば、電圧が過度に高い場合、水素イオンの拡散浸透量が過度に多くなったり、又は、水素イオンの拡散浸透深さが過度に大きくなったりする。従って、400℃以下の温度域で水素イオンを所望の拡散浸透状態とするためには、スパッタリング条件を高精度に制御する必要がある。
これに対し、400℃を超える温度で水素ガススパッタリングを行う本実施の形態においては、水素イオンが不動態膜を還元することによって迅速に消費される一方、エンジンバルブ10の内部から水素ガスの放出が起こるので、例えば、電圧が多少高い場合であっても、水素イオンの拡散浸透量が過度に多くなったり、拡散浸透深さが過度に大きくなったりすることを回避することができる。従って、不動態膜の還元除去を制御することが容易となる。
なお、水素ガススパッタリングは、450℃以上で行うことが好ましい。この温度域では、エンジンバルブ10から水素イオンが高速度で放出される一方、不動態膜の還元反応が著しく活発となる。このため、スパッタリング条件を高精度に制御することなく不動態膜を還元除去することができる。
水素ガススパッタリングを行いながらさらに所定の時間にわたって昇温を続行すると、不動態膜の大部分が除去される。さらに昇温が続行されて温度が550℃を超え、特に580℃付近になると、内部からの水素イオンの放出速度が低下する(図3参照)。すなわち、水素イオンをエンジンバルブ10の内部から排出することが容易でなくなり、水素イオンがエンジンバルブ10の内部に残留することを回避することが容易ではなくなる。
そこで、本実施の形態においては、550℃以下、好ましくは500℃に到達した時点(図2におけるB点)で、水素ガスの導入量を減じる一方、窒素ガスの導入を開始する。この窒素ガスが導入されることに伴って第1工程が終了されるとともに、プラズマ窒化処理が施される第2工程が開始される。窒素ガスは、電離して窒素イオンとなった状態で、不動態膜が還元除去されたエンジンバルブ10の表面に衝突する。これによりエンジンバルブ10の表面が窒化され、該表面に窒化層が形成される。
真空引きも併せて続行し、処理炉内の圧力をおよそ0.7〜1.5Torrに保持する。窒素ガスと水素ガスとの体積比は、例えば、N2:H2=2:1とすればよい。
このことから諒解されるように、プラズマ窒化処理が施される間、水素ガスも供給される。このため、プラズマ窒化処理に併せて水素ガススパッタリングも進行し、これによりエンジンバルブ10の表面に不動態膜が再形成されることを抑制することができる。
プラズマ窒化処理を行いながらさらに昇温を続行し、およそ20分後に520℃に到達させる。この時点では、窒素ガスと水素ガスとの混合比が安定した状態で両ガスが供給される。従って、この温度を40分程度保持することにより、エンジンバルブ10を均質に窒化することができ、その結果、品質が良好な窒化層を効率よく形成することができる。
しかも、一般的なプラズマ窒化処理では保持すべき所定の温度に到達した時点で窒素ガスの供給を開始し、その後、一定温度で60分程度保持するのに対し、この場合、保持時間を40分程度とすることができる。このことから諒解されるように、本実施の形態に係る処理方法におけるプラズマ窒化処理保持時間は、一般的なプラズマ窒化処理法における保持時間に比して著しく短い。このように、昇温途中からプラズマ窒化処理を開始することにより、保持時間を短縮することができる。換言すれば、スパッタリング処理及び窒化処理時間を含めた処理時間を短縮することができ、その結果、エンジンバルブ10に対して窒化層を効率よく形成することができる。
保持が終了した後は、約200℃まで降温して処理炉を開放し、エンジンバルブ10を取り出すようにすればよい。
プラズマ窒化処理が施されたエンジンバルブ10の表面には、窒化層が形成されている。例えば、SUH11Mからなる第2棒20及び端部16の表面に形成された窒化層の厚みは、およそ81.1μmである。
この窒化層が存在することにより、エンジンバルブ10の表面の表面が硬質なものとなる。具体的には、プラズマ窒化処理後、第2棒20及び端部16(SUH11M)の表面におけるビッカース硬度(Hv)は、771と著しく大きな値を示す。
なお、第2工程の開始温度は特に限定されるものではないが、水素ガススパッタリングによる不動態膜の還元除去がさほど進行していない時点で窒素ガスの導入を開始すると、窒化層の厚みが不均一となり易くなる。すなわち、品質に優れた窒化層を得ることが困難となる。このため、第2工程の開始温度、すなわち、窒素ガスの導入を開始する温度は、保持温度付近とすることが好ましい。第2工程は、保持温度に到達してから開始するようにしてもよい。
保持温度も520℃に限定されるものではないが、過度に高温であると、不動態膜の再形成速度が還元除去速度に比して大きくなるとともに、生成した窒化物が鉄族系合金基材(エンジンバルブ10)内を拡散し始めるようになるので、窒化層が形成され難くなる。不動態膜が再形成することや窒化物が拡散することを回避するためには、590℃以下とすることが好ましく、550℃以下とすることがより好ましく、520〜540℃の範囲内とすることが最も好ましい。
また、頭部12及び第1棒18の材質はNCF600に限定されるものではなく、例えば、NCF3015やNCF440であってもよい。同様に、第2棒20及び端部16の材質はSUH11Mに限定されるものではなく、例えば、SKH51であってもよい。NCF3015、NCF440、SKH51に対して上記の水素ガススパッタリング処理、プラズマ窒化処理を行った場合の窒化層の厚みとHvとを図4に併せて示す。なお、この場合、処理炉温度が520℃に到達した時点で窒素ガスを導入してプラズマ窒化処理を開始するとともに、当該温度を60分間保持した。
さらに、プラズマ窒化処理を施すワークはエンジンバルブ10に限定されるものではなく、Cr、Ni等、周期表の第8族に属する金属元素を主成分とする合金金属からなる部材であればよい。プラズマ窒化処理の保持温度や時間等は、ワークの材質に応じて適宜設定すればよい。
10…エンジンバルブ 12…頭部
14…棒部 16…端部
14…棒部 16…端部
Claims (4)
- 鉄族系合金基材の表面に存在する不動態膜を水素ガススパッタリングにより除去する第1工程と、
不動態膜が除去された前記鉄族系合金基材に対してプラズマ窒化処理を施し、該鉄族系合金基材を窒化する第2工程と、
を有し、
前記第1工程を、前記第2工程を開始するまでの昇温中に処理炉の温度が400℃を超えた際、前記処理炉内に水素ガスを流通させて行なうことを特徴とする鉄族系合金基材の窒化処理方法。 - 請求項1記載の窒化処理方法において、前記第1工程を、580℃以下で行うことを特徴とする鉄族系合金基材の窒化処理方法。
- 請求項2記載の窒化処理方法において、前記第1工程を、450℃〜520℃で行うことを特徴とする鉄族系合金基材の窒化処理方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化処理方法において、昇温の最中に窒素ガスを導入して前記第2工程を開始することを特徴とする鉄族系合金基材の窒化処理方法。
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20100608 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |