JP2006213941A - 焼入変形低減効果に優れた複合部品の製造方法 - Google Patents

焼入変形低減効果に優れた複合部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高周波焼入の際の焼入変形を効果的に低減できる特に長尺部品の製造方法を提供する。
【解決手段】鋼板製の複数の長尺部品を接合して複合成形品とし、得られた複合成形品に高周波加熱および加熱された部品の冷却を、好ましくは低剛性部品側から高剛性部品側に順次あるいは連続して高周波焼き入れ処理を施す。
【選択図】図1

Description

本発明は、高周波焼入時の焼入変形低減効果に優れた複合部品の製造方法に関する。
従来にあっても、加熱コイルによって部品の目標領域に連続的に加熱を行い、その目標領域が加熱された部品を次いで順次冷却して焼入れる高周波焼入れは、小型部品、長尺部品などの強化手段として広く用いられてきている。
しかしながら、高周波焼入れを薄板部品に適用した場合、歯車やシャフト等,比較的焼入れ変形抵抗の高いワークに比べて大きな焼入れ変形を生じる。特に大型長尺部品は小型部品に比べ目標とする焼入領域が広範に及ぶことから焼入変形もさらに大きくなる。焼入変形の増大は部品寸法精度を低下させるばかりか、焼入れ終了後、そのような部品を構造体本体に組み込めないなど致命的な欠陥に直結する。
ところで、メンバー類などの自動車用鋼板部品には、成形の段階では加工性に富み、加工後には優れた強度特性が要求される。そこで、軟鋼板あるいは引張強度が440MPa以下程度の比較的低強度の高張力鋼板を部品形状にプレス成形した後、レーザあるいは高周波焼入れなどによって高強度化する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、プレス成形品の強度が必要とされる部位にレーザを照射して強度上昇を図る技術が開示され、特許文献2には、高密度エネルギー源、例えばレーザを照射して板厚を貫通した凝固域を形成することにより変形を抑制しながら強度上昇を図ることが開示されている。しかしながら、レーザ照射によって十分な強度を得るためには必然的に多くの照射本数を必要とし、レーザ設備そのものが高価であることに加えて生産性低下によるコスト高は免れない。
特許文献3には極低炭素鋼板からなる成形部品にレーザで焼入れを行い、変態ひずみをを低減させる技術が示されている。
また、特許文献4にはめっき鋼板を対象に、めっき層の蒸発防止と素地の焼入れ変形によるめっき層剥離防止を主目的として、オーステナイト単相となる温度以下に加熱温度を制御して変態ひずみを抑制する方法が示されているが、この場合の鋼材の基本組織はフェライトとマルテンサイトの共存組織となり、やはり強化能は不十分となる。
このように、高強度化技術は、従来にあっては、高強度化の度合いや生産性を犠牲にすれば比較的小型の成形部品に対してはある程度の効果が期待できるものの、焼入強化領域(部位)が広範となる例えばクロスメンバーやサイドメンバーなどの自動車の骨格を構成する大型部品等を焼入強化する場合には、発生する焼入変形も増大し、変形低減対策が十分ではない。
また、従来にあっては、上述のような焼入変形低減に関する具体的な記載はない。
公知の技術として、焼入中にワークを積極的に拘束し変形を低減する方法があるが、拘束を解放した際、熱処理中の熱ひずみや変態膨脹による変態ひずみの結果生じた残留応力が解放され、いわゆるスプリングバック変形し、熱処理中の変形は低減できても最終的な焼入れ変形を根本的に回避できるものではない。
特開平4−72010号公報 特開平6−73438号公報 特開平7−26319号公報 特開2000−144238号公報
本発明の課題は、高周波焼入の際の焼入変形を効果的に低減できる、部品、特に長尺部品の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上述の課題を解決する手段として、例えば薄鋼板からプレス成形されて得られる部品を高周波焼入強化するにあたり、個々の部品を単品で焼入れた後に組み合せて接合するのではなく、予め組み合せて接合した状態で焼入れることによって焼入時の変形抵抗を増大させ、焼入変形の低減が可能であることを知り、本発明に到達した。
すなわち、焼入変形は、加熱・冷却中の温度変化による熱ひずみ(変形)や、組織変化による変態ひずみ(寸法変化)に起因する。寸法変化はマルテンサイト相の生成により生じるものであるから不可避であるが、変形は焼入方法の工夫、例えば加熱・冷却条件の適正化、焼入領域の調整、被加熱体の変形抵抗向上対策等によって低減することが可能である。
図1は、本発明にしたがって部品と部品とを組み合わせて複合化する1態様を説明する模式図であり、図中、上下ハット型部材はフランジ部を接合することで複合化し、得られた複合成形品の目標領域に高周波焼入れ処理を行う。
本発明によれば、高周波焼入れ処理に際して、図1に示すように複数の部品を組み合わせて接合することで一つの完成部品、つまり複合成形品とする場合、予め個々の部品を焼入れた後に組み合わせるより、既に組み上げられた状態の複合成形品として焼入れを行えば焼入れに対する変形抵抗が向上し、その結果、焼入れ時の変形を低減させ得る。
なお、本明細書において、部品を個々に焼入れることを単品焼き入れ、各部品が組み合わされた複合成形品の状態で焼入れることを組み合せ焼き入れと呼ぶことにする。
ここに、本発明は次の通りである。
(1) 加熱コイルにより部品の加熱を行い、次いで、順次、加熱された部品の冷却を行う高周波焼入れ方法において、鋼板製の複数の部品を接合して複合成形品とし、得られた複合成形品に前記加熱および冷却を行う高周波焼き入れ処理を施すことを特徴とする複合部品の製造方法。
(2) 前記高周波焼き入れ処理を、前記複合成形品のうち、剛性の小さい部品の側から施す上記(1) 記載の製造方法。
(3) 前記複合成形品が、プレス成形された部品から構成される上記(1) または(2) 記載の製造方法。
(4) 前記複合成形品が、自動車用部品である上記(3) 記載の製造方法。
(5) 前記自動車部品が、クロスメンバまたはサイドメンバである上記(4) 記載の製造方法。
本発明により、複合成形品として高周波焼入れ処理をすることにより、例えば複数部品から構成される薄板プレス成形部品を高周波焼入れにより高強度化する際の焼入れ変形を大幅に低減できる。なかでも大きな焼入れ変形を生じるクロスメンバーやサイドメンバーなど、大型自動車用部品の高周波焼入強化に特に効果が大きい。
本発明にかかる製造方法において複合成形品として焼入れを行うことにより焼き入れ変形が少ない理由は次の通りである。
自動車用部品等に多用される鋼板の多くは薄板プレス成形品である。薄板であるが故、例えば高周波焼入れ等の手段を以て高強度化を試みる場合、大きな焼入れ変形が生じ実用化阻害要因となる。これを低減するためには部品そのものを焼入れ変形に耐えうる程度の板厚とすることが容易に考えつくが近年の車体軽量化指向にそぐわない。
ところで、2つ以上の部品を組み合わせて複合成形品とする場合、構成要素となる部品単品より各部品を組み合わせた組合せ部品、つまり複合成形品の方がより高剛性であることは明らかである。最終的に組み合わされた状態で使用される部品ならば、個々の部品を焼入れてから組み合わせる必要はなく、組み合わせた状態で焼入れすれば変形抵抗は増大し熱処理時の焼入変形を低減できるからである。
ここに、本発明における各部品の組み合わせの形態、つまり複合化の形態は、要するに複数の主要部品を最終部品にまで組み立てることを云い、対象となる部品によってその具体的形態は区々である。代表的には、部品の組み合わせ順序に関して云えば、例えば自動車部品としてのクロスメンバー等では本体(コア、CORE)と、補強材(ステフナ、STIFFENER)の主要構成部品を組み立て接合することを云う。クロスメンバーの場合、最終的には、そのような主要構成部品以外にブラケット、ホースバンド等の小部品を組み合わせて接合するが、ブラケット等の小部品を組み合わせることによる剛性向上寄与率は小さい。従って、組み立て工程の効率を勘案し、これらの小部品は除いて主要構成部品を組み上げた段階で焼入れる。本発明により製造される複合部品にはそのような複合成形品も包含される。もちろん、本発明においても、そのような小さな部品をも組み合わせて複合化してから焼入れを行ってもよく、特に制限はない。少なくとも、主要構成部品を組み合わせて接合して複合成形品とすればよい。
このように、本発明は、ボディー構造の骨格をなすクロスメンバー、サイドメンバーを始め、サポートメンバー、ピラーなど衝突等による局所的大荷重が作用するメンバー(強度部材)類の製造にも適用でき、そのときボディーシェルの強度、剛性、そして耐久性の確保のため複数の部品で構成して高強度化を図ることができる。このようなメンバー以外にもロワアーム(足回り部品)やラジエターサポート、サイドシルなどボディーを構成する部品についても本発明を適用することができる。
本発明において、部品の組み合わせに用いる接合方法は、自動車用部品の多くは経済性、簡便性からスポット溶接による接合が一般的であるが、アーク溶接やリベット接合、ネジ接合など、部品同士が確実に接合できる方法であれば接合方法に制約はない。
本発明によれば複合成形品とすることで剛性を高めてから焼入れを行うのである。2つの部品を単品で焼入れた後にスポット溶接等の手段によって組み合わせて複合成形品を製造する場合、個々の部品を積極的に拘束して焼入れ処理をしてもそれぞれの焼入れ変形程度が異なるため接合面にズレが生じる。このズレが過大な場合には接合が困難となり、複合成形品としての完成に至らない。何らかの手段でズレを補正し2つの部品を強制的に接合したとしても完成した複合成形品の良好な寸法精度は期待できない。予め組み合わせた後に焼入れればこのような問題は発生せず焼入れ変形の低減、ひいては寸法精度の低下を防止することができる。さらに、組み合わせ部品に対して2つのコイルを準備し、両部品を同時に、あるいは低剛性側を先行させ時間差を与えて焼入れれば熱処理のタクトタイムは短縮され生産性は向上する。
組み合わせ焼入れの対象となる鋼板の種類に関して、本発明は組み合わせるという手段によって剛性を向上させ、それによって焼き入れ変形抵抗を向上させるのであるから、熱延鋼板、冷延鋼板、めっき鋼板(溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっき)等、各種の鋼板に適用できる。
本発明の好適態様では、上述のような複合成形品において、低剛性の部品の側から先に加熱・冷却を行い焼入れ処理を行うのは次の理由からである。
厚板部品Aと薄板部品Bから構成される組み合せ部品を焼入れる場合、(i)A、B同時に焼入れ、(ii)A焼入れ→B焼入れ、(iii)B焼入れ→A焼入れの3通りが選択できる。同時に焼入れ処理した場合、鉄鋼材料の強度は温度の上昇とともに低下するため、温度上昇に伴ってA部品、B部品同時に強度が低下し、組み合せ焼きとすることの本来の目的である剛性向上が十分に達成できない。また、部品A、すなわち高剛性側である部品を先に焼入れた場合は、部品B、すなわち低剛性である部品から享受する焼入変形抵抗の向上効果は小さい。従って、厚板と薄板から構成される部品を焼入れる場合、あるいは同一板厚であってもその形状から剛性差のある場合は、低剛性の部品から先に焼入れ、低剛性側を十分高強度化した後に高剛性側を焼入れれば焼入変形低減に対し、より効果的であるからである。
ここに、各部品の組み合わせ、つまり複合化の形態によっては、各部品が一体化して重なり合うような場合、例えば板厚の異なる2枚の板を張り合わせて構成される複合成形品が考えられるが、そのような場合には、複合成形品全体として低い剛性の部位、すなわち2枚板の張り合わせなら薄板側にまず焼入れを行うのが好ましい。
このように、本発明の好適態様においては、剛性の低い部品側からの焼入れを行うが、そのときの剛性の高低の判断基準は次の通りである。
組み合わせようとする2つの部品が同一素材であり板厚が異なる場合には薄板側が焼入れ時の変形抵抗は小さく、板厚の薄い側が低剛性側となる。素材、板厚ともに同一であれば部品の断面係数の小さい側が低剛性側となる。強度の異なる素材を組み合わせた場合には素材の降伏強度×板厚を判定指標として指標の小さい側が低剛性側となるが、そのような組み合わせは希である。すなわち、剛性の高低とは、本発明にあっては、結局のところ個々の部品を単品で焼入れた際に発生する焼入れ変形の大小を言うのであるから、通常は同一素材で異板厚の組み合わせが多いため、板厚を指標として、薄板側から焼入れを行えばよい。
本発明において焼入れ処理は、強化すべき領域を対象として行えばよい。それらの領域には低剛性部品の側から高剛性部品の側へ順次、あるいは連続して高周波焼入れ処理が行われる。
次に、実施例によって本発明の具体的な構成および効果をさらに詳述する。
[基礎検討1]
組み合せ焼入れの焼入れ変形低減効果を評価するにあたり、これを実験的に検証するのではなく数値解析で代替できれば種々の焼入れ条件についての変形を机上で検討することができる。そこで、発明者らが開発した有限要素法による焼入変形解析モデルでの数値解析を適用して焼入れ変形を評価することとした。ただし、焼入れ変形を数値解析で代替するには、モデルの解析精度を検証しておくことが重要である。そのため、まずハット型薄板プレス成型部材の単品焼入れ試験を実施し、実測変形結果と数値解析結果を比較して解析精度を検証した。
解析精度検証に供したハット型部材は、図1にモデル化して略式斜視図で示す上下ハット型部材の上ハット単品であり、長さ700mm、高さ60mm、幅120mm(内、フランジ幅20mm)、板厚2.0mmである。材質はJIS G 3135に記載された自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板であるSPFC440であった。
焼入れ試験はコの字型の高周波加熱コイルを用い、ハット型部材の頂部全体から縦壁部の一部が加熱されるよう設置した。ワーク(供試体)とのクリアランスは約10mmであった。加熱条件は、電源出力40kW、周波数10kHzであり、最大加熱温度は1000℃であった。加熱コイルを10mm/sで移動させながら急速加熱し、加熱コイル後方に設置された冷却ジャケットから水量8L/minの冷却水を噴出して水スプレー冷却した。
図2は、試験後のハット型部材の変形の状況を示す模式説明図であり、長さ方向、幅方向共に、部材中央部を頂点としてアーチ状に焼入れ変形したことが分かる。
上記焼入れ試験と同一条件で焼入れ変形解析を実施した。変形解析での解析領域は部材長さ方向ならびに部材幅方向に対して対称条件を仮定し、全体の1/4モデルとした。焼入変形解析モデルは金属の組織変化、いわゆる相変態を考慮して加熱後の急冷によるマルテンサイト硬化領域や残留応力分布、焼入れ変形などを推定するものである。高周波加熱による入熱条件は、コイル形状や電流条件、材料特性値を与えて別途磁場解析を実施し渦電流によるジュール発熱分布を求め、これを焼入変形解析モデルへの入熱条件とする。冷却条件は試験での冷却水量から水量密度を2500L/m・minとし、スプレー冷却実験から求めた冷却熱伝達係数の回帰式を適用した。
図3(a)、(b)、(c)にハット型部材のそれぞれフランジ面高さ、フランジ幅、ハット上面高さの3部位の焼入れ変形の解析結果を試験結果と共に示す。変形評価部位は図2に示している通りである。フランジ面高さならびにハット上面高さの変化量は部材両端を基準位置(=0)として表示した。フランジ面高さの試験結果は左右フランジ面の平均値である。解析モデルが全体の1/4モデルであるため、解析結果はハット型部材の片側半分のものである。
表1に最大変形量(フランジ幅については最大変形―最小変形)について示した。フランジ面高さの解析結果は試験結果の1.02倍、フランジ幅は1.18倍、ハット上面高さは1.06倍で誤差はそれぞれ、2%、18%、6%あった。
以上の結果より、焼入れ変形の解析結果は試験結果よりやや大きく見積もるが、両者の対応は概ね良好であり、高周波焼入れ時の焼入れ変形を数値解析によって推定可能であることが確認できた。
Figure 2006213941
[基礎検討2]
次に、組み合せ焼入れでの焼入れ変形低減効果を検証するため、解析精度検証に供したハット型部材のフランジ底面を対称面として組み合せたハット型部材の組み合せモデル(図1)を構築し、焼入れ変形解析を実施した。
上部ハットと下部ハットのフランジ接触面を径5mm、ピッチ30mmのスポット溶接で接合し、上部ハットを焼入れした後、下部ハットを焼入れた。加熱領域や冷却条件等は前述の解析精度検証の場合と同じ条件である。
図4(a)、(b)、(c)にそれぞれフランジ面高さ、フランジ幅、そしてハット上面高さの焼入れ変形解析結果を示すが、これからも分かるように、フランジ面高さ、フランジ幅、ハット上面高さ共にハット単品で焼入れた場合に比べ変形量は減少した。
表2に最大変形量(フランジ幅については最大変形―最小変形)について示した。組み合せ焼入れでのフランジ面高さ、フランジ幅は単品焼入れの場合の11%に、ハット上面高さは単品焼入れの21%にそれぞれ低減することが分かった。かかる焼入れ変形解析の結果、組み合わせ焼入れは変形低減に有効であるとの知見を得た。
Figure 2006213941
以上の結果から、本発明において用いた解析方法による結果は、実測結果とかなり一致することが分かったので、以下に示す実施例においても同じ解析方法を採用して本発明の効果を確認した。
実際の部品の大きさでの焼入れ変形低減効果を確認するため、仮想のクロスメンバー(以下、C−MBRと略記)の有限要素解析モデルを構築し、焼入れ変形を数値解析により検証した。
なお、実際の高周波焼入れ処理では、熱処理中のワーク変形を抑えるため、ワーク数カ所を治具で拘束し、熱処理終了後、拘束を解放する。解析においても加熱・冷却中はワークを拘束しておき、冷却完了後に拘束を除去した。焼入れ変形は拘束解放後の最終形状で評価した。
図5(a)、(b)は、解析評価に供した仮想クロスメンバーの形状・寸法(mm)をモデル化して示す、それぞれ、略式斜視図および側面図である。なお、図5においては単一部品を組み合わせて複合成形品とすることから、それぞれの部品を同じ図中で示している。全長1320mm、全高230mmとしたが、部材長さ方向の形状ならびに後述の境界条件(加熱・冷却条件、拘束条件)が左右対称であるとして、長さ方向1/2モデルとした。C−MBRは板厚1.6t(mm)の本体(以下、COREと略記)と板厚0.9t(mm)の補強部材(以下、STIFFENERと略記)の2部品から構成し、それぞれ独立したモデルを作成して、両部材を個々に焼入れた場合と組み合せて焼入れた場合の焼入変形について比較した。材質はJIS G 3135に記載された自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板であるSPFC440であった。
図6は図5のA−A断面図であるが、両部品を複合化したときの状態とそのときの焼入れ領域を併せて示す。CORE、STIFFENERともコーナR部を挟んで80mmの範囲(片側40mm)とし、部品の長さ方向全長に渡って焼入れるが、部品端部30mmは実際の製造プロセスにおいて焼入れが困難であることを考慮し、未焼入れとした。
図7(a)、(b)、(c)は、焼入れに際してのそれぞれ各部品および組合せた(複合化)ときにおける拘束位置を示す略式斜視図である。1/2対称断面は解析の全過程において対称境界条件で拘束した。熱処理中のワークの拘束は幅30mm、深さ15mmとし、132mmの間隔をおいて設定した。組み合せ焼入れではCOREとSTIFFENERを35mmピッチのスポット溶接で接合した。スポット径は5mmとした。また、COREとSTIFFENERの接合面では互いの面が交錯することのないよう接触境界として取り扱った。
焼入変形解析はSTIFFENERの単品焼入れ(ケース1)、COREの単品焼入れ(ケース2)、組み合せ同時焼入れ(ケース3)、組み合せ順次焼入れ−1(ケース4)、組み合せ順次焼入れ−2(ケース5)の5条件について実施した(表3)。組み合せ同時焼入れはSTIFFENERとCOREを同時に加熱、焼入れするケースであり、組み合せ順次焼入れ−1はSTIFFENERを焼入れ後COREを焼入れるケースである。組み合せ順次焼入れ−2は焼入順序を変え、COREを焼入後STIFFENERを焼入れるケースである。
Figure 2006213941
解析結果を以下に示す。解析結果として3つの変位成分、Ux、Uy、Uzが得られるが変形量は3方向合成変形Umag(=[U +U +U 1/2)で整理した。
図8は、各ケース毎に、STIFFENERの焼入れ後の合成変形分布を示した略式斜視図である。
STIFFENER単品焼入れ(ケース1)、組み合せ同時焼入れ(ケース3)、組み合せ順次焼入れ−1(ケース4、STIFFENER→COREの順次焼入れ)、組み合せ順次焼入れ−2(ケース5、CORE→ STIFFENERの順次焼入れ)について示したが、組み合わせ焼入れの焼入れ変形は単品焼きに比べて小さくなる。中でも、STIFFENERを先に焼入れたケース4では他のケースに比べて低変形領域の広いことが視覚的に確認できる。
焼入れ順序が変形に及ぼす影響をさらに詳しく調べるため、変形を2.5mm間隔で区分し、その発生領域(面積)を求めた。表4にSTIFFENER全体の面積に対する各範囲内の変形発生面積の割合を表示した。図9は表4の結果をグラフ化したものである。これらの結果から以下のことが明らかである。
1)単品焼入れではSTIFFNER全面積の50%を超える範囲で5mm以上の変形が発生し、最大では15mmに及ぶ。
2)3種類の組み合わせ焼入れでは95%〜97%の範囲で5mm以下の変形となる。
3)組み合わせ同時焼入れでは2.5mm〜5mmの中程度の変形領域が全体の約80%となり、2.5mm以下の低変形領域は約16%である。
4)組み合わせ焼入れでCOREから焼入れた場合の低変形量領域は34%となる。STIFFENERから焼入れた場合の低変形量領域は46%であり、3種の組み合わせ焼入れ方法の内、低変形量域は最も広い。
Figure 2006213941
COREについてもCORE全体の面積に対する各範囲内の変形発生面積割合を表5および図10に示した。STIFFENERで得た知見とほぼ同様なことが言える。すなわち、
1)単品焼入れを組み合わせ焼入れとすることで焼入れ変形は低減する。
2)組み合わせ焼入れの中でも、STIFFNERから先に焼入れた場合に0〜2.5mmの低変形領域が最も広くなる。
Figure 2006213941
部品Aと部品Bの焼入れに時間差を設けて焼入れても良い。すなわち、両部品を個別に焼入れるための2つの加熱コイルを設け、低剛性側に設置したコイルを先行させ、低剛性側の冷却が終了した後に高剛性側に設置したコイルの移動を開始する。その結果、低剛性側を焼入れ強化した後に高剛性側が連続的に焼入れ強化されるから、一つのコイルで順次に焼入れる場合よりタクトタイム短縮手段として有効である。
本発明にしたがって、複合化した成形品として焼入れる場合の状況をハット型部材の例で示す模式的説明図である。 ハット型部材を単品で焼入れた場合の焼入れ変形状況を模式的に示す説明図である。 図3(a) 、(b) 、(c) は、ハット型部材を単品で焼入れた時の試験結果と解析結果を比較したグラフである。 図4(a) 、(b) (c) は、ハット型部材を組み合わせ焼入れした時の変形低減効果を解析結果で示すグラフである。 図5(a) 、(b) は、実施例で解析に供した仮想クロスメンバーの形状を示すそれぞれ斜視図および正面図である。 焼入れ変形解析でのクロスメンバーの焼入れ範囲を示す略式説明図である。 図7(a) 、(b) (c) は、焼入れ変形解析でのクロスメンバーの力学的境界条件を示す略式説明図である。 図8(a) 、(b) 、(c) は、STIFFNERの焼入れ変形解析結果を変形分布図で表示した説明図である。 STIFFNERの焼入れ変形を変形量とその発生面積で整理したグラフである。 COREの焼入れ変形を変形量とその発生面積で整理したグラフである。

Claims (5)

  1. 加熱コイルにより部品の加熱を行い、次いで、順次、加熱された部品の冷却を行う高周波焼入れ方法において、鋼板製の複数の部品を組合わせて複合成形品とし、得られた複合成形品に前記加熱および冷却を行う高周波焼き入れ処理を施すことを特徴とする複合部品の製造方法。
  2. 前記高周波焼き入れ処理を、前記複合成形品のうち、剛性の小さい部品の側から施す請求項1記載の製造方法。
  3. 前記複合成形品が、プレス成形された部品から構成される請求項1または2記載の製造方法。
  4. 前記複合成形品が、自動車用部品である請求項3記載の製造方法。
  5. 前記自動車部品が、クロスメンバまたはサイドメンバである請求項4記載の製造方法。
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