JP2006213906A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、並びにそれを用いた光情報記録媒体用基板、透明光学部品、照明器具カバー及び車輌用透明部材 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、並びにそれを用いた光情報記録媒体用基板、透明光学部品、照明器具カバー及び車輌用透明部材 Download PDF

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恵美 東泉
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Abstract

【課題】 物品の製造工程において、該物品が帯電してしまう問題を解決することのできる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物等を提供する。
【解決手段】 粘度平均分子量が10,000〜30,000の溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、分子中に芳香環および酸基のいずれも有さず、かつ分子量100〜5,000のアミン系化合物を0.00001〜0.04重量部配合してなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を採用した。

Description

本発明は、物品の製造工程において、該物品が帯電してしまう問題を解決することのできる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、並びにその特性を生かした用途に関するものである。特に、製造の際に使用する金型、あるいはスタンパーとの剥離時に生成する剥離帯電量が低減された光情報記録媒体用基板、透明光学部品、照明器具カバー及び車輌用透明部材に関するものである。特に、アミン系化合物を配合した溶融法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を原料とし、射出成形法によって製造される光情報記録媒体用基板であって、特に色素をスピンコートする時に発生する色素塗布ムラの発生が防止された色素系情報記録媒体用基板に関するものである。
コンパクトディスク、レーザーディスク、光磁気ディスク、デジタルビデオディスク等の光ディスク、さらには情報面(記録層に対して、基板とは反対の面)からの信号の読み取りや、書き込みを特徴とする近接場記録情報媒体用などには、芳香族ポリカーボネート樹脂を原料とし、射出成形法によって製造された基板が広く用いられている。
このような基板は、通常、固定金型と可動金型との間に型締め状態で形成されるキャビティー内に、環状の平坦なスタンパーを取付け、キャビティー内に溶融させた熱可塑性樹脂を射出することによってスタンパーの信号(ピット)やレーザー光案内溝等のプリフォーマット情報を転写させる方法によって製造されている。
従来、基板製造用に芳香族ポリカーボネート樹脂が使用されてきたのは、透明性、強度、耐熱性、寸法安定性、耐衝撃性などに優れており、また射出成形法で基板を製造した場合に、スタンパーに刻設した微細な凹凸模様(情報信号)が正確に基板(成形品)表面に転写されて(転写性が良好で)、そりが少なく、平面性に優れた高品質の情報記録媒体用基板が得られるからである。
この芳香族ポリカーボネート樹脂の工業的製法としては、ビスフェノールAとホスゲンを塩化メチレン溶媒中で反応させる界面重合法が一般的であるが、この方法は工業的に取り扱いの難しいホスゲンや塩化メチレンを用いる必要があることから、近年これらの化合物を用いず、ビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを原料に、無溶媒下エステル交換反応(溶融法)によりポリカーボネートを製造する方法が一部工業化されている。そして上記エステル交換反応によって製造されるポリカーボネートは、コンパクトディスク(CD)製造に使用される材料となって来ている。しかしながら、米国特許第5,606,008号明細書に開示されているような溶融法で作成したポリカーボネートから製造した光ディスク基板では、その特徴として、溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂が、通常の溶融法では末端にOH基を多く有するため、該OH基が電子受容性基として働き、金型あるいはスタンパ−との離型時に、光ディスク基板表面が特に強く負極性に帯電する。このようなディスク表面の強い負電荷により、成形品表面へ埃が引き付けられて、ディスクの最終品質を落としてしまう可能性がある。また、ディスク同士が引き付け合い、輸送工程中、たとえば射出成形機からの移送中にディスクが互いにくっついてしまうため、CD製造を停止したり、製品の歩留まりが低下したりするという状況に至る可能性もある。さらに、スピンコートによる色素層塗布時には塗りムラ(色素塗布ムラ)の問題も発生していた。
また、透明光学部品や照明器具カバーの用途では、透明性、耐熱性、寸法安定性、耐衝撃性、軽量性などに優れており、また射出成形法および回転成形法で光学部品を製造した場合に、そりが少なく高品質の成形品が得られる等の理由から、芳香族ポリカーボネート樹脂が使用されるようになってきたが、無機ガラスに比べて芳香族ポリカーボネート樹脂成形品は表面硬度が低く傷が付き易い、という問題がある。
そこで、芳香族ポリカーボネート樹脂成形品表面に耐擦傷性を付与するために、成形後、成形品表面にハードコート処理をする工程が、上記の埃の付着が問題となる工程の一つとして挙げられる。もし、埃、塵、微粒子等が付着した表面にハードコート処理を行うと、ぶつぶつした外観になり外観不良トラブルの原因となる。従って、成形直後の帯電が少なく、埃を寄せ付けない成形品が求められる。
他方、組み立てた後の埃・微粒子の付着が原因で発生する問題としても、埃が付着した照明器具は白く曇って見えることによる外観不良、照度不足が発生し、商品価値の低下トラブルの原因となる。
特に、メガネ等のプラスチックレンズ、カメラ等の撮影・撮像機器用の光学プラスチックレンズ、情報記録用媒体の記録読み取りに用いられるピックアップレンズ等の場合、機器に組み込まれた場合に、機器の構造上、埃をふき取ったり、あるいは吹き飛ばしたりすることにより除去することが困難な位置に取り付けられることが多く、また大きさが小さいこともこれらの作業を困難にしている。
そして、照明器具の形状が複雑な場合、あるいは照明器具を高所に取り付けた場合のように埃をふき取ったり、あるいは吹き飛ばしたりすることにより除去することが困難な位置に取り付けられる場合も多く、掃除の作業を困難にしている。
また、自動車用ヘッドランプレンズ(ランプレンズ)の外面および内面、内装透明カバーの外面および内面、ならびに、車輌用樹脂ガラスの両表面における埃の付着が問題となっている。埃の付着が問題となる工程の一つは、芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の表面に耐擦傷性を付与するために行われる、成形後の成形品表面にハードコート処理をする工程である。しかしながら、成形品は金型との剥離時に、剥離帯電が発生し、これによる負電荷を保持している。このため、周囲環境中から埃・微粒子を引き付ける。従って、これらが付着した表面にハードコート処理を行うと、ぶつぶつとした外観になり、外観不良トラブルの原因となる。すなわち、成形直後の帯電が少なく、埃を寄せ付けない成形品が求められている。
さらに、車輌用透明部材の場合、実装時の埃・微粒子の付着が原因で発生する問題もある。例えばヘッドランプの内側に、一旦、埃が付着してしまうと簡単に取り除くことができない。特に、埃が付着したランプは白く曇って見え、外観不良や照度不足を引き起こし、商品価値の低下や各種トラブルの原因となりうる。さらに、照度不足は走行時の安全性を確保する上でも問題である。
従来、このような芳香族ポリカーボネート樹脂の帯電を制御する方法として、さまざまな帯電防止剤が提案されている。
例えば、スルホン酸のアルカリ金属塩を配合する方法、スルホン酸のホスホニウム塩と亜リン酸エステルを配合する方法(特許文献1)、スルホン酸のアミン塩とリン酸エステルを配合する方法(特許文献2)等が提案されている。しかしながら、この方法における帯電防止機構は、成形品表面に極性基を持たせることで、空気中の水分との親和性を高めて成形品表面に水の膜を形成し、この水の膜を通して生成した電荷を逃がし易くするというものである。これらの方法で得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の帯電防止性は、時として不安定であり、透明性、色調、耐加水分解性等が悪化し、更には成形加工時の耐熱性が低下する等の問題がある。
また、特許文献3や特許文献4には、溶融法ポリカーボネート樹脂を用いた光ディスク用基板において、色素の塗布ムラの改良等を目的として、帯電防止剤を添加する方法が記載されている。しかし、該帯電防止剤として記載されているジステアリルヒドロキシアミンは、その主帯電防止機構が電荷の生成を抑制するものではなく、発生した電荷を逃がしやすくするという従来の帯電防止機構を利用したものである。また、極性基として正電荷付与効果を有するアミノ基と共に、負電荷付与効果を有するOH基も有しているので、芳香族ポリカーボネート樹脂の負帯電性を制御する効果は低い。また、同じく記載されているトリフェニルアミンは、正電荷付与効果を有し、主帯電防止機構は電荷の生成を抑制するものであるが、触媒として働くため、成形時に芳香族ポリカーボネート樹脂が分解して分子量が低下したり、ディスク基板が黄色く着色したりするという問題がある。更にピリジン−N−オキシドについても、触媒効果のため分解によってディスク基板が黄色く着色するという問題がある。
さらに、特許文献5には、芳香族ポリカーボネート樹脂を用いた種々の用途において、耐候性や耐熱性を改善するために、ヒンダードアミン系安定剤を使用することが記載されている。しかし、耐候性や耐熱性の改善の目的で使用される安定剤は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.1重量部程度と量が多く、この場合、電荷調整効果は見られず、透明性色調、耐加水分解性等が悪化し、ブリードアウト物が多く、さらには成形加工時の耐熱性が低下する等の問題があり、光ディスク基板としての用途で用いることは不可能であった。
また、一般にアミン系化合物自体は有色であることが多く、透明性、色調がディスク基板に適さないものが多く、また、芳香族ポリカーボネートに対して触媒効果を有するため、成形加工時の分子量が低下する等の問題があった。
特開昭64−14267号公報 特開平3−64368号公報 特開2003−128903号公報 特開2003−231801号公報 特開2001−329157号公報
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、並びにそれを用いた光情報記録媒体用基板、透明光学部品、照明器具カバー及び車輌用透明部材に関するものである。特にスタンパー等を用いて射出成形法によって製造される、表面にピットやグルーブを有する光情報記録媒体用基板に関し、より詳しくは、該基板の表面に記録層を設けてなる書き換え型もしくは追記型の光情報記録媒体用基板に関し、更に詳しくは、該記録層形成のために色素を塗布して色素層を形成してなる色素系光情報記録媒体用基板に関するものである。該基板は、埃の付着や基板同士がくっついたり、製造時や使用時に静電気による製造や生産不良が起きることがなく、また色素を塗布する時には、基板表面の帯電が原因で発生する色素塗布ムラが改善されるという効果を有する光情報記録媒体用基板に関するものである。
本発明者らは、各種製品の成形、工程において、成形金型あるいはスタンパーと成形品の剥離時に生成する負の剥離帯電の電荷量を抑制することにより、帯電を解消あるいは低減することで、負帯電性に由来する埃の付着、ディスク同士の貼り付き、作業時の静電気発生、ハードコート時及びスピンコート時の塗布ムラ等を防止することを検討し、本発明に到達した。すなわち、従来同様の目的で行われてきた帯電防止剤の添加により、発生した電荷を逃げ易くする(除電あるいは放電により保持されている電荷を低減する)という機構によるものでなく、芳香族ポリカーボネート樹脂の持つ負帯電性とは逆の正帯電性を付与する電荷調整剤(電荷制御剤)を添加することにより、電荷の生成を抑制して帯電量または帯電符号を調整しようというものであって、従来技術と本願発明とは異なる技術である。しかも、その方法は、驚くべきことに、溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂に微量、かつ特定の構造を有するアミン系化合物、特に、ヒンダードアミン系化合物を添加することにより、透明性色調や耐加水分解性等が悪化させず、帯電防止能を防止できるというものである。このような微量の特定構造のアミン系化合物が、芳香族ポリカーボネート樹脂の帯電防止に効果があることは、これまで全く知られていなかったものである。
本願発明の要旨は、粘度平均分子量が10,000〜30,000の溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、分子中に芳香環および酸基のいずれも有さず、かつ分子量100〜5,000のアミン系化合物を0.00001〜0.04重量部配合してなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、並びにそれを用いた光情報記録媒体用基板、透明光学部品、照明器具カバー及び車輌用透明部材に関するものである。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書中、「>原子(分子)」は、一の原子(分子)が2つの結合子を有している事を表し、例えば、「>NH」の場合、「NH」の窒素原子が2つの結合子を有していることを表している。
(芳香族ポリカーボネート樹脂)
本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂を含む組成物(以下、原料樹脂組成物と称することがある)で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量が10,000〜30,000の溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂であって、種々のジヒドロキシジアリール化合物と炭酸ジエステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体または共重合体である。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、代表的なものとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が挙げられる。本願発明においては、該ビスフェノールAが好ましい。また、該ビスフェノールAの他、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4'−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフォキシドのようなジヒドロキシジアリールスルフォキシド類、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルフォン類等が挙げられ、これらをビスフェノールAと組み合わせて使用するのが好ましい。
炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられ、中でもジフェニルカーボネートが好ましい。
エステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下でジヒドロキシアリール化合物と炭酸ジエステルとを加熱しながら撹拌し、生成するアルコール又はフェノールを留出させることで行われる。反応温度は生成するアルコール又はフェノールの沸点等により異なるが、例えば、120〜350℃の範囲である。反応後期には系を減圧にして生成するアルコール又はフェノールの留出を容易にさせるとよい。該反応には重合速度を速めるために重合触媒を使用することが好ましく、重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ホウ素やアルミニウムの水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第4級アンモニウム塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩、亜鉛化合物、ホウ素化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、鉛化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等の通常エステル化反応やエステル交換反応に使用される触媒が挙げられる。触媒は単独で使用してもよいし、二種以上併用してもよい。触媒の使用量は原料のジヒドロキシアリール化合物に対し、好ましくは0.0001〜1重量%、より好ましくは0.0005〜0.5重量%である。
本発明の原料である芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は、10,000〜30,000のものである。粘度平均分子量が10,000未満では、剛性が低く、また30,000を超えると流動性に劣る。粘度平均分子量の下限は、好ましくは12,000以上、より好ましくは15,000以上であり、また上限は好ましくは、25,000以下、より好ましくは22,000以下、さらに好ましくは20,000以下である。特に、光情報記録媒体用基板に用いる場合は、薄く基板表面に微細な凹凸を正確に転写した基板を得るために、上限が25,000であるのが好ましい。なお、本発明でいう粘度平均分子量(M)とは、ウーベローデ粘度計を用い、塩化メチレンを溶媒とする溶液の極限粘度(η)を求め、次のSchnellの粘度式、すなわち、
(η)=1.23×10-40.83
から算出される値を意味する。
溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常末端OH基濃度が高く、帯電しやすいという問題があり、この末端OH基濃度を製造工程で低下させようとすると、ポリカーボネートの重合が進み難くなり、一方で、分岐構造等の副反応が進行しやすくなり、結果として、色相悪化や成形性悪化等の問題を生じていた。従って、本発明による効果をより高めるには、末端OH基濃度が、四塩化チタン/酢酸法(Makromol.Chem.88,215(1965)に記載の方法)による測定で、一般には50〜2000ppm、特には300〜1500ppm、中でも400〜1000ppmの溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂がより好ましい。加えて、溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂の分岐構造量は、好ましくは0.5モル%以下、さらに好ましくは0.05〜0.3モル%以下である。
(アミン系化合物)
本発明においては、上記のような溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、分子中に芳香環および酸基のいずれも有さず、かつ分子量100〜5,000であるアミン系化合物を0.00001〜0.04重量部配合することが必要である。極性官能基として電子供与性基であるアミノ基を有する化合物は、正の電荷調整効果を有することは公知であるが、該アミノ基を有する化合物は、一般に色素として知られているものが多いというように、着色の問題があったり、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して触媒効果を有していて、成形時の分子量低下や分解による着色等を引き起こしたりするものが多く、光情報記録媒体用基板、透明光学部品、照明器具カバー及び車輌用透明部材等の用途のポリカーボネート樹脂組成物にアミン系化合物を添加することは、当業者間では通常行なわれていなかった。
しかし、本発明者らは、アミン系化合物の正の電荷調整効果が利用でき、着色や触媒効果の問題を生じさせない化合物やその添加方法を鋭意検討した。その結果、特定の構造のアミン系化合物を特定量添加した場合に、これらの効果と問題点の解決の両方が満足されることを見出した。すなわち、本発明で使用するアミン系化合物としては、分子中に芳香環および酸基のいずれも有さず、かつ分子量100〜5,000のアミン系化合物である。該分子量は200〜4000が好ましい。さらに好ましくはヒンダードアミン系化合物であり、ピペリジン構造またはピペラジン構造を有する化合物が好ましく、ピペラジン構造を有する化合物としては、例えば、N,N−ビス[2−(テトラデシルオキシカルボニル)エチル]ピペラジン等が挙げられ、特にピペリジン構造、中でも、分子中に2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を有する化合物が好ましい。また一方で、N置換種として2級アミン型あるいは3級アミン型を有するものが望ましく、特に>NH又は>NR(Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、または炭素原子数1〜4のアルケニル基を表す)の構造を有する化合物が好ましい。より好ましくは、これらの好ましい範囲の組み合わせである。特に好ましくは、一般に芳香族ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂の酸化防止剤や光安定剤として知られているヒンダードアミン系化合物が挙げられる。具体的には、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:サノールLS−770(三共(株)製品)、アデカスタブLA−77(旭電化(株)製品)、チヌビン770(チバ・スペシャリティケミカルズ製品))、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:サノールLS−765(三共(株)製品))、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]](商品名:チマソーブ944LD、同944FD(チバ・スペシャリティケミカルズ製品))、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(商品名:チマソーブ119FL(チバ・スペシャリティケミカルズ製品))、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジル−1、6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(商品名:シマソーブ2020FDL(チバ・スペシャリティケミカルズ製品))等が挙げられるが、これらに限定されない。
中でも好ましくは、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート及びジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物が挙げられる。
本発明において、上記アミン系化合物の配合量としては、溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.00001重量部以上であり、より好ましくは0.0001重量部以上であり、また、好ましくは0.04重量部以下、より好ましくは0.02重量部未満、さらに好ましくは0.001重量部以下、最も好ましくは0.001重量部未満である。
(他の成分)
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、用途や、必要に応じて他の添加剤、例えばエステル系、シリコン系等の離型剤、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、トリアジン系等の有機紫外線吸収剤、アントラキノン系等の有機赤外線吸収剤、金属酸化物等の無機赤外線吸収剤、ハロゲン系、リン系、塩類等の難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ウィスカー類、カーボンブラック、炭酸カルシウム、ガラスビーズ等の充填剤、ITO等の透明導電材料、染料、顔料等の着色剤等を配合してもよい。また、必要に応じて、背景技術に記載したような、従来公知の帯電防止剤を併用しても良い。
これらの添加剤の使用量は、添加剤の種類と添加目的によるが、一般には芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して5重量部以下の使用量が挙げられる。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカプロラクトン、アクリルスチレン樹脂(AS樹脂)、アクリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタアクリレートブタジエンスチレン樹脂(MBS樹脂)等の芳香族ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、あるいは転写性向上の目的のために公知のテルペン系樹脂を配合してもよい。これらの樹脂の配合量は、芳香族ポリカーボネート100重量部に対して、好ましくは、0〜100重量部である。
中でも、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を車輌用透明部材に用いる場合には、紫外線吸収剤および酸化防止剤(分子中に芳香環及び酸基の何れも有さず、かつ、分子量100〜5,000のアミン系化合物を除く)をそれぞれ0.001〜5重量部含むことが好ましい。
本発明で使用する紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化セリウムおよび酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物およびトリアジン系化合物等の有機紫外線吸収剤があげられる。本発明では、これらのうち有機紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾトリアゾール系化合物が望ましい。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記式(VI)で表される化合物、およびメチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物が好ましい。
Figure 2006213906
(式(VI)中、R1〜R4は、それぞれ、水素原子、OH基、ハロゲン原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Y1およびY2は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜40の窒素原子および/または酸素原子を含有してもよい炭化水素基を示す。)
上記式(VI)のベンゾトリアゾール系化合物の具体例としては、2−(5−メチルー2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビンP、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−[2−ヒドロキシ−3、5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン234、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3、5−ジ−t−プチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン320、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン326、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン327、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン328、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:チヌビン329、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール[メチル−3−〔3−t−プチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物(商品名:チヌビン213、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、下記(VII)で表される化合物、
Figure 2006213906
等を挙げることができるが特にこれらに限定されない。
これらの中で、特に好ましいものは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒトロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、上式(VII)で表される化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−イル−)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−(ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(オクチロキシ)フェノールである。
本発明における紫外線吸収剤の配合量は、該芳香族ポリカーボネート100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部であり、より好ましくは0.05〜2重量部である。0.001重量部以上とすることにより、より効果であり、5重量部以下とすることにより、射出成形時の金型汚染等の問題をより効果的に抑止できる。該紫外線吸収剤は1種でも使用可能であるが、複数併用することもできる。また、ヒンダードフェノール化合物を用いる場合は、該芳香族ポリカーボネート100重量部に対して、0.001〜5重量部であり、好ましくは0.01〜1重量部である。0.01重量部以上とすることにより、より耐候性の効果が顕著となり、1重量部以下とすることにより溶融時の耐熱性の不安が生じない。
このように、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物、成形時の剥離帯電を調整する目的でアミン系化合物としてヒンダードアミン系化合物の組み合わせが好ましく採用できる。例えば、これら二種類の含窒素化合物の併用については以下のように考える。
耐候性の面からは、従来のベンゾトリアゾール系化合物に、新たにヒンダードアミン系化合物の紫外線吸収剤効果も加わることが期待される。
成形時の剥離帯電を調整する面からは、従来のベンゾトリアゾール系化合物に顕著な正電荷付与効果は見られない。ヒンダードアミン系化合物の中でも特定の構造、即ち、芳香族基及び酸基(例えばOH基)を有しないものが特に正電荷付与効果を有するものである。
本発明で使用する酸化防止剤は、本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、好ましくは、リン系化合物、ヒンダードフェノール化合物、より好ましくは、リン系化合物である。
リン系化合物としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらの塩又はエステル等が好ましい例として挙げられる。
亜リン酸エステル(ホスファイト化合物)としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどが好ましい例として挙げられる。
リン酸エステル(ホスフェート化合物)としては、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェ−ト、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、およびジイソプロピルホスフェート、などが好ましい例として挙げられる。
亜ホスホン酸エステルの例としては、テトラキス(2,4−ジ−イソプロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニルホスホナイトが挙げられる。
ホスホン酸エステルの例としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどが挙げられる。
本発明で使用するヒンダードフェノール化合物としては、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロプオネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス−〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス〔1,1−ジフェニル〕プロピオネート〕、3,9−ビス〔1,1−ジ−メチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒトロキシベンジル)イソシアヌレイト、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒトロシンナマイド)等があげられるが特にこれらに限定されない。
これらの中で、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロプオネート〕、3,9−ビス〔1,1−ジ−メチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル〕―2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンが好ましい。
本発明における酸化防止剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部であり、より好ましくは0.01〜1重量部である。0.001重量部以上とすることにより、より効果であり、5重量部以下とすることにより、成形品の着色や成形時金型の汚染等の問題をより効果的に抑止できる。酸化防止剤は1種でも使用可能であるが、複数種類を併用することもできる。
また、成形時、金型からの離形性を付与する目的で添加される離型剤としては、好ましくは脂肪酸エステル化合物を使用することができる。かかる脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであるのが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジクリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネート、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
(芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の調製)
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を調製するには、芳香族ポリカーボネート樹脂、アミン系化合物、および必要に応じて添加される他の各種樹脂や添加剤を所定量秤量し、例えばV型ブレンダーなどの混合機によって混合し、得られた混合物を押出機などの混練機によって溶融・混練してペレット化する方法によればよい。
該樹脂組成物を調製するには、芳香族ポリカーボネート樹脂、さらに要すれば上記のような各種樹脂添加剤等を所定量秤量し、例えばV型ブレンダーなどの混合機によって混合し、得られた混合物を押出機などの混練機によって溶融・混練してペレット化する方法によればよい。
アミン系化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤や他の各種樹脂や添加剤の添加時期、添加方法については特に制限は無い。添加方法としては、直接ポリカーボネート樹脂に混合または混練することもできるが、適当な溶媒に溶解し、または少量のポリカーボネート樹脂または他の樹脂等で作成した高濃度のマスターバッチとして添加することもできる。また、これらは別々にポリカーボネート樹脂に添加することも可能であるし、同時に添加してもよい。さらに、耐候性改良剤とヒンダードフェノール系化合物を併用して使用する場合は、これらを別々にポリカーボネートに添加することも可能であるし、同時に添加してもよい。また、該添加剤の種類によっては、ポリカーボネート樹脂製造の際、重縮合工程の終わりに添加することができる。
(光情報記録媒体用基板)
本発明に係る光情報記録媒体用基板は、上記樹脂組成物を原料として、例えば、射出成形法によって製造することができる。
基板製造の際の射出成形機のシリンダー温度や金型温度は、情報信号の密度やそり、面振れの要求度に合わせて、適宜選ぶことができる。基板製造用の射出成形金型は、金型キャビティの一方または双方の面に、ピットやグルーブといったサブミクロンオーダーの深さや間隔の情報信号が刻印されたスタンパーを露出させて配置し、射出成形機のシリンダー温度を250〜400℃の範囲、金型温度を50〜140℃の範囲に設定し、金型キャビティに溶融樹脂を射出し、情報信号が転写された基板(成形品)を製造することができる。この際射出圧縮成形技術を採用すると、転写性のより一層の向上が期待できる。
本発明は、基板表面に、情報層として記録層を有する書き換え型又は追記型の光情報記録媒体用の基板として好ましく用いられ、特には該記録層として、上記基板表面に色素の塗布層が設けられてなる色素系光情報記録媒体用の基板に好ましく用いられる。本発明における「情報層」とは、情報を担持している層を意味し、記録可能な情報記録媒体の場合は記録層を、再生専用媒体の場合は(再生光の)反射層を意味する。基板は透明であっても不透明であってもよく、現行の光ディスク基板のように記録・再生用のレーザー光が基板内部を通る場合は透明である必要があり、近接場記録のようにレーザーが情報面から直接読み取り(再生)または記録を行う場合は不透明であってもよい。即ち、透明な基板においては情報層を有する情報面または該情報面とは反対の面側から、情報の読み取りまたは書き込み(記録)などを行い、不透明な基板においては情報面から情報の読み取りまたは書き込みなどを行う。本発明の基板は透明性が優れていることから、いずれにも使用できるため、具体的にはコンパクトディスク、レーザーディスク、光磁気ディスク、デジタルビデオディスクなどの光ディスク、情報面側から情報信号の読み取りや書き込みを行う近接場記録媒体などの情報記録媒体用基板として使用することができる。本発明に係る情報記録媒体用基板は、厚さが0.3〜1.5mmの単独基板であることが好ましい。
本発明の光情報記録媒体用基板の使用例としては、色素系光情報記録媒体が挙げられる。ここで、色素系光情報記録媒体は、例えば、信号の記録、読み取りを行う上記のような色素記録層を、該基板上の情報面に形成してなる光情報記録媒体をいう。
該色素記録層の形成方法は、通常、スピンコート法を利用して、有機色素を有機溶媒に溶解させた色素溶液を、成形基板の信号面に形成されたグルーブを充満するように塗布することにより行われる。スピンコート法は、一般に、塗布液付与装置(ディスペンスノズル)、スピナーヘッド、飛散防止壁、そして排気装置から構成されてなるスピンコート装置を用い、下記の手順に従い実施される。まず、スピナーヘッド上に成形基板を載置し、次いで、スピナーヘッドを駆動モータにより回転させながら、該基板の内周部の表面に、好ましくは、グルーブの最内周縁より2〜3mm内方の位置に、塗布液付与装置のノズルから塗布液を供給する。基板上に供給された塗布液は遠心力により外周側に放射状に流延し、塗布膜を形成する。スピンコート操作の間、飛散防止壁の上方に設けた開口部(気体導入部)から空気等の乾燥気体を導入し、その気体を該塗布膜上に流通させ、スピンコート装置の下方から排気する。この気体の流通によって、塗布膜から溶媒が除去され、塗布膜は乾燥される。また必要に応じてベーキングと呼ばれる乾燥オーブンに基板を投入して残存溶媒をできるだけ完全に除去する。
追記型光ディスクの場合、色素としては、レーザー光波長域(300〜850nm)に吸収領域のある色素が選ばれる。具体的には、アゾ色素、シアニン色素、フタロシアニン色素、アズレニウム色素、スクアリリウム色素、ポリメチン色素、ピリリウム色素、チオピリリウム色素、インドアニリン色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、トリアリルメタン色素、アミニウム色素、ジイモニウム色素、アゾ系配位子化合物と金属とからなる金属キレート系色素、金属錯体等、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、アゾ系、シアニン系、フタロシアニン系のいずれかの有機色素である。これらの色素は信号の感度に優れ、溶媒に溶解しやすく、耐光性が良好であり、高品質の追記型光ディスクを得ることを可能にする。
色素溶液用の有機溶媒としては、具体的には、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン、ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素、ジメチルホルムアミド等のアミド、シクロヘキサン等の炭化水素、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール等のフッ素系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。これらの溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して、単独または二種以上を適宜併用することができる。好ましくは、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール、オクタフロロペンタノール、ジブチルエーテル等のフッ素系溶剤である。
本発明の光情報記録媒体用基板の帯電圧としては、−0.8〜0.8KVの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは−0.5〜0.5KVの範囲であり、特に好ましくは、−0.3〜0.3KVの範囲で、最も好ましくは帯電圧が0となるものである。
(透明光学部品)
本発明に係る透明光学部品は、上記樹脂組成物を原料として用いて製造することができる。
本発明の透明光学部品に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、好ましい添加剤の例として、上記したようなベンゾトリアゾール系化合物の紫外線吸収剤が挙げられる。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために、上述のリン系熱安定剤やヒンダードフェノール系安定剤の添加も好ましい。
本発明における透明光学部品としては、例えば、メガネレンズ、サングラスレンズ等の光学プラスチックレンズ、カメラ、フィルム一体型カメラ(レンズ付きフィルム)、ビデオカメラ等の撮影・撮像機器用の光学プラスチックレンズ、CD(コンパクトディスク)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、CD−VIDEO、MO、DVD等の情報記録用媒体の記録読み取りに用いられるピックアップレンズ等に代表される高性能、高精度の光学部品が挙げられる。なお、本発明において、「透明」とは、濁度が1%以下のものをいい、好ましくは濁度が0〜0.8%のものである。また、無色透明に限らず、着色剤により着色されたものであっても良い(例えば、色付きサングラスのレンズなど)。
本発明に係る透明光学部品は、上記原料樹脂組成物を、例えば、射出成形することにより得ることができる。射出成形機のシリンダー温度や金型温度は、例えばシリンダー温度が250〜400℃の範囲、金型温度を50〜140℃の範囲に設定し、金型キャビティに溶融樹脂を射出し成形品を製造することができる。また、得られた射出成形品を目的の形状や機能を付与するために、切削、研磨等を行ったものであっても良い。
透明光学部品は、表面が帯電していると埃を引き付け易く、透明度が落ちたり、表面処理に悪影響を与えたりするなどの問題がある。このため、本発明においては、特に成形直後の帯電圧としては、−1.0〜1.0KVの範囲にあることが好ましく、−0.8〜0.8KVの範囲にあることがより好ましく、さらに好ましくは−0.5〜0.5KVの範囲であり、特に好ましくは、−0.3〜0.3KVの範囲で、最も好ましくは帯電圧が0周辺となるものである。
更に本発明の透明光学部品においては、成形品表面の少なくとも一部に、例えばハードコート処理、UVカット処理、反射防止コート処理、撥水処理、耐衝撃性コート処理等のコーティング処理を行ったものでも良い。これらのコーティング処理により、耐候性の改善、耐衝撃性の改善、屈折率の調整、反射防止、耐擦過性、耐擦傷性などの性質を付与することが可能となる。
塗布方法もしくは加工方法としては、特に限定されず、ディップ法、スプレー法、ロールコート法、フローコート法、スピンコート法、真空蒸着法、プラズマ化学蒸着法(CVD)などの化学蒸着法などが挙げられる。
例えば、上記ハードコート材料としても、公知のものを採用すればよいが、有機珪素化合物を主成分とするもの、及び多官能アクリレートを主成分とするものが好ましい。ハードコート材料の種類により、硬化のための後処理が必要な場合がある。ハードコート材料の例としては、有機珪素化合物を主成分とするものは、1官能性のアルコキシシランを用いるものから4官能性のアルコキシシランを用いるものまであり、硬化のために、熱処理が必要な場合がある。また、必要に応じて、適当なプライマー(前処理)を施す方法(例えばポリウレタン系樹脂等)も挙げられる。また、多官能アクリレートを主成分とするものは、コロイドシリカとジアクリレートなどの多官能性アクリレート(例えば米国特許第5075348号明細書等)があり、硬化のために、紫外線や放射線による処理が必要である。
(照明器具カバー)
本発明に係る照明器具カバーは、上記樹脂組成物を原料として用いて、製造することができる。
本発明の照明器具カバーに用いる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、有機紫外線吸収剤の使用が好ましく、特に上記したような、ベンゾトリアゾール化合物が望ましい。
また、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するためにリン系熱安定剤やヒンダードフェノール系安定剤を添加するのが好ましい。
さらに、離型剤の使用も好ましく、より好ましくは脂肪酸エステル化合物であり、さらに好ましくは前述のような一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル類が挙げられる。
本発明に係る照明器具カバーは、上記原料樹脂組成物を原料として、例えば、
射出成形法や回転成形法により製造することができる。
射出成形により成形する場合、例えば、射出成形機のシリンダー温度は、250〜400℃の範囲、金型温度は、50〜140℃の範囲に設定して成形品を製造することができる。
一方、回転成形法により成形する場合は、溶融エステル交換法により得られた粒状樹脂または該樹脂に各種の添加剤を添加して得られた粒状樹脂組成物を粉砕して得られた粉末を使用する。粉砕方法としては、機械的粉砕、機械的冷凍粉砕、溶剤処理などの方法が適当であるが、特にターボミル又は低温ターボミルによる粉砕が好ましい。粉末は、回転成形に適した流動性を示す形状、大きさで粒径が好ましくは1500μm〜100μm、より好ましくは500μm〜150μmを有するものであり、JIS標準ふるいで10〜150メッシュパスの範囲の粒度を有することが好ましく、30〜100メッシュパスの範囲の粒度を有することがより好ましい。回転成形法により製造する方法は、従来公知の方法で実施することができる。具体的には、次のような方法が挙げられる。一軸または直行する二軸の周りに回転する金型、揺動回転する金型などの中に、芳香族ポリカーボネート樹脂粉末を入れ、該粉末を入れる前か後に金型を加熱して、密閉状態で回転する金型の内部表面に樹脂を付着、融着させ、次いで金型を冷却して金型内表面に形成された成形品を取り出すことにより、回転成形体を得ることができる。なお、成形体を金型から取り出した後、形状によっては、離型時に残留歪を発生することがあるので、必要に応じてアニーリング処理が行われる。本発明の照明器具カバーを成形する際の回転成形の成形温度は、好ましくは、300℃未満であり、より好ましくは270℃〜290℃である。
照明器具カバーの表面が帯電していると、埃を引き付け易く、また人が触れた場合の放電による不快感、該照明器具カバー同士がくっつくことによる製造時や輸送時の問題が生じる。また表面等にハードコート等の塗布層を設けた場合の外観不良の原因となる。
このため、本発明の照明器具カバーの帯電圧としては、−0.8〜0.8KVの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは−0.5〜0.5KVの範囲であり、特に好ましくは、−0.3〜0.3KVの範囲で、最も好ましくは帯電圧が0となるものである。
本発明は照明器具カバーの機能性付与処理として、該照明器具カバーの少なくとも一部に、コーティング処理が行われることが多い。該コーティング処理の例としては、ハードコート処理、UVカット処理、反射防止コート処理、撥水処理、耐衝撃性コート処理等がある。これらのコーティング処理により、耐候性の改善、耐衝撃性の改善、屈折率の調整、反射防止などの性質を付与することが可能となる。
例えば、ハードコート処理は、耐擦傷性向上のためになされる処理である。塗布方法もしくは加工方法は、ディップ法、スプレー法、ロールコート法、フローコート法、スピンコート法などがある。通常は、主としてスプレー法にて、耐擦傷性と紫外線カット特性を有する保護膜を形成することが多い。
ハードコート材料としては有機珪素化合物を主成分とするものと多官能アクリレートを主成分とするもの等が一般的である。
本発明の照明器具カバーとしては、屋内もしくは屋外で使用される、電球、蛍光灯、LED等の光源の少なくとも一部を覆うものを指し、照明用電気器具の傘、天井や壁、床などに埋め込まれた照明器具の表面を保護したり、意匠性を付与したり、光を乱反射させて光源からの光を広げたり、和らげたりするための板状、あるいは所定の形状のカバー等も含まれる。また、光源を保持するためのソケット等の部材が一体化されたものであっても良い。該照明器具カバーとしては、必ずしも透明である必要はなく、着色、あるいは不透明のものでも良く、光源からの光を透過する必要が無ければ、そのようなものでも良い。
(車輌用透明部材)
本発明に係る車輌用透明部材は、上記樹脂組成物を原料として用いて、製造することができる。
本発明の車輌用透明部材においては、紫外線吸収剤として前述のようなベンゾトリアゾール系化合物、成形時の剥離帯電を調整する目的でアミン系化合物としてヒンダードアミン系化合物の組み合わせを好ましく採用できる。例えば、これら二種類の含窒素化合物の併用については以下のように考える。
耐候性の面からは、従来のベンゾトリアゾール系化合物に、新たにヒンダードアミン系化合物の紫外線吸収剤効果も加わることが期待される。
成形時の剥離帯電を調整する面からは、従来のベンゾトリアゾール系化合物に顕著な正電荷付与効果は見られない。ヒンダードアミン系化合物の中でも特定の構造、即ち、芳香族基及び酸基(例えばOH基)を有しないものが特に正電荷付与効果を有するものである。
また、特に製造の際の、埃の付着を原因とする製造不良の低減若しくは無くすことを主目的としたものである。一方、車輌実装時の埃・微粒子の付着が原因で発生する問題もあり、例えばヘッドランプの場合、ランプの内側に、付着した埃は、簡単に除くことができない。埃が付着したランプは白く曇って見えることによる外観不良、照度不足が発生し、商品価値の低下やトラブルの原因となる。また、照度不足は走行時の安全性を確保する上でも問題である。そこで、このような埃の付着に対し、従来使用されているベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩等の帯電防止剤を含めてもよく、好ましくは芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、0.1〜20重量部使用するのが好ましい。
本発明にかかる車輌用透明部材は、上記本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を原料として各々の目的にあった成形法によって製造することができる。例えばヘッドランプレンズの場合、射出成形法によって製造することができる。
射出成形機のシリンダー温度や金型温度は適宜選ぶことができるが、例えば、射出成形機のシリンダー温度を250〜400℃の範囲、金型温度を50〜140℃の範囲に設定し、金型に溶融樹脂を射出し、情報信号が転写された基板(成形品)を製造することができる。この際射出圧縮成形技術を採用すると、転写性のより一層の向上が期待できる。
本発明は殊に車輌用ヘッドランプレンズ、リアランプレンズおよびフォグランプレンズ等の車輌用灯具のほか、車輌用室内灯、車輌用樹脂窓ガラス、車輌用メーターカバー、車輌用の風防等に好ましく用いられる。ここで、本発明でいう車輌とは、自動車、バイク、電車、自転車、三輪車等をいう。
特に車輌用灯具は好ましい用途である。このような種々の用途では機能性付与処理としてハードコート、UVカット処理、反射防止コート、撥水処理、耐衝撃性コート等のコーティング処理が行われることが多い。
これらのコーティングにより、耐候性の改善、耐衝撃性の改善、屈折率の調整、反射防止などの性質を付与することが可能となる。
例えば、ハードコート処理は、耐擦傷性向上のためになされる処理である。塗布方法または加工方法はディップ法、スプレー法、ロールコート法、フローコート法、スピンコート法、プラズマ化学装着法などがある。
ハードコート材料としては主として有機珪素化合物を主成分とするものと多官能アクリレートを主成分とするものが好ましい。
本発明の車輌用透明部材の、成形直後の帯電圧としては、−1.0〜1.0KVの範囲にあることが好ましく、−0.8〜0.8KVの範囲にあることがより好ましく、−0.5〜0.5KVの範囲にあることがさらに好ましく、−0.3〜0.3KVの範囲にあることがよりさらに好ましく、帯電圧が0となるものが最も好ましい。
本発明の車輌用透明部材には、保護膜を形成してもよい。保護膜は、プラズマ化学蒸着処理によりシリコン系の保護膜を形成することが好ましく、例えば、特開2002−260412号公報や特開2000−345347号公報に記載の方法に従って設けることができる。
車輌用ヘッドランプレンズの例としては、特開2001−126512号公報、特開平7−268089号公報、特開平6−199258号公報、特開平10−86743号公報、特開2004−182107号公報等に記載の構造・形状のものを採用できるが特に限定されない。例えば、特開平7−268089号公報の段落番号0044および図1等に記載の、長さ29cm、巾15cm、深さ3cm、厚さ約0.2cmで内側表面に光散乱用凸凹模様有りというもの等が挙げられる。
本発明の車輌用透明部材は、それぞれ、濁度0〜0.8%のものが好ましく、色相(YI値)2.3以下(より好ましくは2以下)のものが好ましく、表面抵抗109〜1016Ωのものが好ましく、帯電量−1.0〜1.0Kvのものが好ましく、これらの要件すべて満たすものがより好ましい。
実施例
以下、本発明について、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部は重量部である。
以下に記載の例において使用したものは以下のとおりである。
芳香族ポリカーボネート樹脂:粘度平均分子量1.6万の溶融法で製造されたポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製品、商品名:ノバレックス(登録商標)M7020AD2、末端OH基量約500ppm)
アミン系化合物: ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバゲート(チバスペシアルティケミカルズ製品、商品名:チヌビン770)
コハク酸ジメチル4−ヒドロキシー2,2,6,6―テトラメチルー1―ピペリジンエタノールの重合物: チバスペシアルティケミカルズ製品、商品名:チヌビン622LD
トリフェニルアミン: (比較例) 東京化成製試薬(特級)
その他の添加剤:
ホスファイト系抗酸化剤: 旭電化工業(株)製 商品名「アデカスタブ2112」
紫外線吸収剤: チバガイギー社製、商品名「チヌビン329」2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
離型剤: 理研ビタミン社製 商品名「リケマール S−100A」(グリセリンモノステアレート)
[実施例1](光情報記録媒体用基板)
芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、アミン系化合物として、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバゲート(チヌビン770)を0.0004重量部秤量して配合し、タンブラーによって原料樹脂と混合し、得られた混合物を、40mmφベント式押出機を使用して、シリンダー温度250℃の条件で溶融・混練してペレット化した。
<光ディスク基板の作成、評価>
得られたペレットを原料とし、光ディスク用製造用金型を装備した射出成形機(住友重機社製、型式:DISK3)によって、シリンダー温度380℃、金型温度118℃の条件下で透明光ディスク基板を成形した。得られた光ディスク基板につき、下記の項目について評価試験を行った。
[評価試験方法]
アゾ系有機色素を有機溶媒オクタフロロペンタノールに溶解して5wt%色素溶液を調製し、スピンコーターにより5000rpmの速度で回転させた大きさφ120mm、厚さ1.2mmの色素型光ディスク基板上に、該色素溶液を300μl滴下後、自然乾燥により残存溶媒を除去し、色素型光ディスクを作成した。最内周の真円から内方へのはみ出しを光学顕微鏡で観察し、0.5mm以上のはみ出しがあれば色素塗布ムラ「あり」、0.5mm以上のはみ出しがなければ「なし」とした。
また、成形基板の帯電量を次のような条件で調べた。成形後の基板表面から6.0cmのところに、春日電気(株)製/デジタル静電電位測定器KSD−0162を設置して静電電位量の測定を行い、10ショット成形以降の基板について無作為に16枚のサンプリングを行い、それらの平均値を記載した。
また、成形基板を3枚重ねて目視にて色調を評価した。
以上の結果を纏めて表1に示す。
[実施例2] (光情報記録媒体用基板)
アミン系化合物として、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(シマソーブ2020FDL)を0.0004重量部添加した他は、実施例1と同様に色素系光ディスクを作成し、色素塗布ムラの評価、成形基板の帯電量及び色調評価を行って結果を表1に示した。
[比較例1]
アミン系化合物として、トリフェニルアミンを0.0004重量部添加した他は、実施例1と同様にした色素系光ディスクを作成し、色素塗布ムラの評価、成形基板の帯電量の測定及び色調評価を行って結果を表1に示した。
[比較例2]
アミン系化合物として、コハク酸ジメチル4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(チヌビン622LD)を添加した他は、実施例1と同様にした色素系光ディスクを作成し、色素塗布ムラの評価、成形基板の帯電量の測定及び色調評価を行って結果を表1に示した。
[比較例3]
実施例1において、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバゲートを添加しなかった他は、実施例1と同様にして色素型光ディスクを作成し、色素塗布ムラの評価、成形基板の帯電量の測定及び色調評価を行って結果を表1に示した。
Figure 2006213906
表1より、次のことが明らかである。本発明の特定のアミン系化合物を添加した光情報記録媒体基板(実施例1)は、帯電が見られず(帯電圧0kv)、アミン系化合物を使用しない例(比較例3、負帯電が大きい)に比べても帯電の問題が無く、色素塗布ムラが発生しなかった。
これに対して、芳香環を有するアミン系化合物(特開2003−231801号公報に帯電防止剤の例として記載されたもの)を添加した情報記録媒体基板(比較例1)は、溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂単独なるもの(比較例3)より帯電量が少ないが、負に帯電しており、色素塗布ムラが発生した。
また、水酸基を有するアミン系化合物を添加した情報記録媒体基板(比較例2)は芳香族ポリカーボネート単独の例(比較例3)と負の帯電量が同程度であり、色素塗布ムラが発生した。
[実施例3]
芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、表2に示したとおりの組成で、アミン系化合物としてチヌビン770を用い、安定剤(ホスファイト系抗酸化剤)、紫外線吸収剤、離型剤を秤量し、タンブラーによって混合し、得られた混合物を、直径40mmベント式押出機を使用して、シリンダー温度250℃の条件で溶融・混練してペレット化した。
得られたペレットを原料とし、射出成形機(住友重機社製、型式:SH−100)によって、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件下で、直径100mm、厚さ3mmの円板、および縦50mm、横30mm、厚さ3mmの長方形の板状測定用サンプルを成形した。これらにつき、下記の項目の評価試験を行い、結果を表2に示した。
[評価試験方法]
<帯電量(電位量)>
円板の帯電量を以下のような条件で調べた。成形直後の型開状態で、金型内の成形品である円板中央から1.0cmのところで、春日電気(株)製/デジタル静電電位測定器KSD−0303を用い静電電位量の測定を行った。電位値は5ショット成形以降の基板について3枚のサンプリングを行い、それらの平均値を記載した。値が0に近いほど帯電が少ない。
<埃付着試験(トナー評価)>
成形機から取り出した円板をと黒色トナー(+に帯電)の入っているトナー試験箱に入れたところに、箱の下にあるトナーを叩いて箱内に漂わせる。トナーを叩くことを止めてから1分後、トナーが箱内を舞わなくなってから、円板を箱から取り出し、トナーの付着の様子を調べて、目視により、トナー付着殆どなし(下地の樹脂がはっきりと見える)、トナー付着(下地の樹脂が少し見える)、トナー付着多い(下地の樹脂が見えない)で評価した。
<ハードコート試験>
トナー試験後の試料表面に三菱レイヨン(株)製、紫外線硬化型アクリル系ハードコート剤(商品名:アクリキング F−328)をスプレーコートした。コート後の表面のぶつぶつ感を目視により観察した。
<透明性(濁度)>
日本電色(株)製濁度計 NDH2000を用いて、長方形の板状サンプルについて濁度を測定した。濁度は濁りの度合いであり、値が低いほど濁りが少ないことを示す。
<色相>
日本電色(株)製式差計を用いて長方形の板状サンプルについて透過光を測定した。X、Y、およびZ値からASTM−E−1925に基づき下記式を用いて算出した。YI値が大きいほど成形板の黄色味が強いことを示す。
YI=[100(1.28X−1.06Z)]/Y
<表面抵抗>
円板の表面抵抗値を以下のとおり測定した。
ADVANTEST社製デジタル超高抵抗計 R8340とレジスティビティ・チェンバ R12704により測定した。JIS規格K6911に準拠した測定用電極(主電極直径=50mm、ガード電極内径=70mm)を用いた。表面抵抗率(単位=Ω)=18.84×表面抵抗(測定値、単位=Ω)の式より算出した。この値が小さいほど帯電防止性が優れていることを示す。
<高温高湿試験>
後述する実施例5および比較例5において、アミン系化合物を添加した円板5枚と、添加していない円板5枚を作成し、これらを80℃、湿度85%条件下に48時間放置して加水分解白点の発生を調べた。アミン系化合物を添加したものの加水分解白点の発生数を測定した。
以上の結果を纏めて表2に示す。
[実施例4]
芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、表2に示したとおりの組成で、アミン系化合物として、チヌビン770を用い、安定剤(ホスファイト系抗酸化剤)、紫外線吸収剤、離型剤を秤量し、タンブラーによって混合し、得られた混合物を、直径40mmベント式押出機を使用して、シリンダー温度250℃の条件で溶融・混練してペレット化した。
得られたペレットを原料とし、実施例1と同様に、円板、長方形板状の測定用サンプルを成形し、評価して、結果を表2に示した。
[実施例5]
芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、表2に示したとおりの組成で、アミン系化合物として、チヌビン770を用い、安定剤(ホスファイト系抗酸化剤)、紫外線吸収剤、離型剤を秤量し、タンブラーによって混合し、得られた混合物を、直径40mmベント式押出機を使用して、シリンダー温度250℃の条件で溶融・混練してペレット化した。
得られたペレットを原料とし、実施例3と同様に、円板、長方形板状の測定サンプルを成形し、評価して、結果を表2に示した。
なお、この実施例5で作成した円板について、アミン添加品とアミン非添加品各5枚を80℃、湿度85%条件下に48時間放置して、加水分解白点の発生を調べた。アミン添加による加水分解白点の発生数は1〜10個/円板1枚で、アミン非添加品と比べて増加は認められなかった。
また、これら実施例で得られたペレットを原料とし、直径75mm、中心部の厚み4.2mm、外周部の厚み1.0mmの凸レンズ形状の成形体を、成形温度290℃で作成したところ、着色が無く、透明でムラの無いレンズが得られた。
[比較例4]
アミン系化合物として、チヌビン770を0.100重量部添加した他は、実施例3と同様にして、円板および長方形の測定用サンプルを作成し、各種評価を行って結果を表2に示した。
[比較例5]
実施例3において、チヌビン770を添加しなかった他は、実施例3と同様にして、円板および長方形の測定用サンプルを作成し、各種評価を行って結果を表2に示した。
[比較例6]
アミン系化合物として、トリメチルアミンを0.010重量部添加した他は、実施例3と同様にして、円板および長方形の測定用サンプルを作成し、各種評価を行って結果を表2に示した。
[比較例7]
アミン系化合物として、チヌビン622LDを0.010重量部添加した他は、実施例3と同様にした円板および測定用サンプルを作成し、トナー評価、成形基板の帯電量の測定及び色調評価を行って結果を表2に示した。
[実施例6](回転成形体)
芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、アミン系化合物としてチヌビン770を0.100重量部、及び離型剤として、リケマールS−100Aを1.000重量部添加し、タンブラーによって混合し、得られた混合物を、40mmφベント式押出機を使用して、シリンダー温度250℃の条件で溶融・混練して、ペレット化した(ペレットA)。また、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、安定剤としてアデカスタブ2112を0.02重量部、及び紫外線吸収剤としてチヌビン320を0.1重量部添加し、タンブラーによって混合し、得られた混合物を、40mmφベント式押出機を使用して、シリンダー温度250℃の条件で溶融・混練して、ペレット化した(ペレットB)。このようにしてそれぞれ得られたペレットA及びBを、A:B=1:99(重量比)で混合したのち、ターボミルで粉砕し、粒径が150μmから500μmの粉末を得た。
これを110℃で24時間減圧乾燥したのち、この粉末600gを内容積5リットルで、外側に加熱オイル循環配管を配し、予め240℃に予熱した円柱形金型に入れ、密閉した後、窒素置換を行い、その後該オイル循環配管に約285℃に加熱したオイルを循環させた。この金型を公転10rpm、自転20rpmで2軸回転させながら、同温度で15分間保持した後、オイル循環を100℃の循環系に切り換えて9分間保持した。その後、型を開放し、室温環境で自然冷却して成形品を得た。この成形品について上記の方法で、帯電量、およびトナー付着量、色相を測定した。
Figure 2006213906
表2より、以下の効果が認められた。本発明の特定のアミン系化合物を添加した成形品(実施例3〜6)は、帯電が見られず(帯電圧−1〜1kv)、アミン系化合物を使用しない例(比較例5)に比べても帯電の問題が無く、トナーの付着が認められなかった。
ハードコート試験後の外観も良好であった。
[実施例7]
また、上記実施例1〜5の組成物より得たそれぞれのペレットを用いて、公知の方法に従いランプレンズ類似物を作製した。このランプレンズ類似物は、帯電量(電位量)色相、透明性等の外観が良好であった。図1は、前記ランプレンズ類似物の構造について示したものである。図中、(a)を側面方向から見たものが(b)であり、1はレンズ本体を、2はレンズのドーム状部分を、3はレンズの外周部分を、4はゲート(外周側の幅8mm、スプルー側の幅6mm、ゲート部の厚み2mm)を、5はスプルー(ランド長3mm、厚み1.8mm)を、6はレンズの外周部分の直径(直径110mm)を、7はレンズのドーム部分の直径(直径100mm)、8はレンズの外周部分からの高さ(10mm)を、9はレンズのドーム部分の高さ(7mm)を、10はレンズ成形品の厚み(2mm)をそれぞれ示している。
本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、帯電が見られないか、極めて僅かであるという特徴を有し、埃・微粒子の付着量が少なく、しかも透明性に優れるという特別有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
より具体的には、本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂の負帯電性が原因で発生する埃の付着、人が触れた場合の放電による不快感の発生が抑えられた。さらに、成形品の製造時や輸送時の帯電を原因とする問題が無くなった。加えて、本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、成形性や透明性にも優れた製品を提供でき、例えば、製造時に帯電による埃やごみの付着、これら付着物を原因とする傷の発生、部品同士の付着等に伴う生産不良等の問題が解消された。さらにまたハードコート処理や塗装処理をする時には、付着物のうえにコートがかかり、ぶつぶつした外観となる不良現象がなくなるという効果が得られた。
従って、本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、使用時に、帯電が原因で発生する埃やごみの付着、これら付着物が原因となる傷の発生等が低減された光情報記録媒体用基板、透明光学部品、照明器具カバー及び車輌用透明部材として好ましく採用できる。
特に色素系光情報記録媒体用基板においては、色素をスピンコート等で塗布する際に、塗布ムラの発生が無いという効果を有し、極めて有用性が高い。
図1は、本実施例7で作製したランプレンズ類似物の構造概略図である。

Claims (27)

  1. 粘度平均分子量が10,000〜30,000の溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、分子中に芳香環および酸基のいずれも有さず、かつ分子量100〜5,000のアミン系化合物を0.00001〜0.04重量部配合してなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 前記アミン系化合物が、ヒンダードアミン系化合物である、請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記アミン系化合物が、N置換種が2級アミン型または3級アミン型である、請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 前記アミン系化合物が、>NH又は>NR(Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、または炭素原子数1〜4のアルケニル基を表す)の構造を有する化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 前記アミン系化合物が、分子中にピペリジン構造を有する化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 前記アミン系化合物が、分子中に2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン構造を有する化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 前記アミン系化合物が、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート又はジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 前記アミン系化合物を芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.00001重量部以上0.02重量部未満配合してなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  9. 前記アミン系化合物を芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.00001重量部以上0.001重量部未満配合してなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  10. さらに、前記芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、紫外線吸収剤0.001〜5重量部および/または酸化防止剤(分子中に芳香環および酸基のいずれも有さず、かつ、分子量100〜5,000のアミン系化合物を除く)0.001〜5重量部を配合してなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  11. 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物である請求項10に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  12. 前記酸化防止剤が、リン系化合物である請求項10または11に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  13. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は10,000〜25,000である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いた成形品。
  15. 射出成形法によって成形されてなる、請求項14に記載の成形品。
  16. 回転成形法によって成形されてなる、請求項14に記載の成形品。
  17. 前記成形品の少なくとも一部に、ハードコート処理を施してなる、請求項14〜16のいずれか1項に記載の成形品。
  18. 光情報記録媒体用基板である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の成形品。
  19. 粘度平均分子量が10,000〜25,000の芳香族ポリカーボネート樹脂を用いた、請求項18に記載の成形品。
  20. 書き換え型又は追記型光情報記録媒体用基板である、請求項18または19に記載の成形品。
  21. 色素系光情報記録媒体用基板である、請求項18または19に記載の成形品。
  22. 透明光学部品である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の成形品。
  23. 前記透明光学部品は、光学プラスチックレンズである請求項22に記載の成形品。
  24. 前記透明光学部品は、光学ピックアップレンズである請求項22に記載の成形品。
  25. 照明器具カバーである、請求項14〜17のいずれか1項に記載の成形品。
  26. 車輌用透明部材である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の成形品。
  27. 前記車輌用透明部材は、車輌用灯具である、請求項26に記載の成形品。
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