JP2006213605A - 面不斉ターピリジン化合物、その製造方法、及び、面不斉ターピリジン化合物を配位子として用いた金属錯体 - Google Patents

面不斉ターピリジン化合物、その製造方法、及び、面不斉ターピリジン化合物を配位子として用いた金属錯体 Download PDF

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Abstract

【課題】 新規な面不斉ターピリジン化合物、その化合物の製造方法、及び、面不斉ターピリジン化合物を配位子として用いた新規な金属錯体を提供することである。
【解決手段】 2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有し、下記式(I)又は(II)に示す化合物で表されることを特徴とする面不斉ターピリジン化合物、その化合物の製造方法、及び、面不斉ビピリジン化合物を配位子として用いた新規な金属錯体である。
【化1】

Description

本発明は、新規な化合物である面不斉ターピリジン化合物の合成、その製造方法、及び、それを配位子として用いた新規な金属錯体に関する。
一般にターピリジン化合物は、配位子として、種々の金属と錯体を形成することが知られている(特許文献1、2等参照)。
ターピリジン骨格を有するキラルな配位子は、これまでに種々報告されており、例えば、非特許文献1等が挙げられる。しかしながら、従来の不斉ターピリジン配位子は、ピリジン環の近傍に不斉中心を持つ置換基が存在するため、剛直かつ立体障害の大きな配位子であり、錯体形成や反応性の低下などの問題点を抱える配位子が多い。
また、非特許文献2に記載されているように類似のビピリジン化合物では、軸不斉を有する不斉配位子が報告されているが、ピリジン環を3つ連結したターピリジン配位子では、軸不斉配位子の設計は構造上不可能である。
特開2003−147345号公報 特開2003−212851号公報 W. S. Lee et al., Tetrahedron: Asymmetry, Vol.11, p.2399 (2000) U. Worsdorfer et al., Synthesis, p.597-602 (1999)
本発明の一つの目的は、新規な面不斉ターピリジン化合物、及び、その製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、面不斉ターピリジン化合物を配位子として用いた新規な金属錯体を提供することである。
上記課題は、以下の(1)〜(4)により達成できた。
(1)2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有し、下記式(I)又は(II)に示す化合物で表されることを特徴とする面不斉ターピリジン化合物、
Figure 2006213605
(ここで、面不斉架橋アルキレン基は、Aを含み、前記ピリジン環の3位と6位を架橋し、置換基を有してもよいアルキレン基であり、前記アルキレン基におけるピリジン環の3位と6位とを連結する最短の原子数nは8〜16の整数であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Yはピリジン環上の一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数を表し、Zはピリジン環上の一価の置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数を表し、また、kが2以上の場合、2つのZが互いに結合して環状構造を形成してもよく、このような環が3”位及び6”位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。)
(2)上記(1)に記載の面不斉ターピリジン化合物を、配位子として少なくとも1つ有する金属錯体、
(3)下記式(III)又は(IV)に示す面不斉架橋アルキレン基を有する面不斉パラピリジノファン誘導体のピリジン環の6位をハロゲン化し、6−ハロゲン化不斉化合物を誘導するハロゲン化工程、及び、前記6−ハロゲン化不斉化合物と、下記式(V)又は(VI)に示すスズ化合物とをカップリング反応させるカップリング工程を含む面不斉ターピリジン化合物の製造方法であって、前記面不斉ターピリジン化合物が、2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有し、かつ、下記式(VII)〜(X)で表されることを特徴とする面不斉ターピリジン化合物の製造方法、
Figure 2006213605
(ここで、面不斉架橋アルキレン基は、Aの部位を含み、ピリジン環の2位と5位を架橋する、置換基を有してもよいアルキレン基であり、前記アルキレン基において、ピリジン環の2位と5位とを連結する最短の原子数nは8〜10の整数を表し、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。)
Figure 2006213605
(ここで、Yはピリジン環上の一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数を表し、Zはピリジン環上の一価の置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数を表し、R1はアルキル基又はアリール基を表し、また、kが2以上の場合、2つのZが互いに結合して環状構造を形成してもよく、このような環が3’位及び6’位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。ただし式(V)では、2つのピリジン環の連結位置をそれぞれ6位及び2’位とする。)
Figure 2006213605
(ここで、面不斉架橋アルキレン基は、Aを含み、前記ピリジン環の3位と6位を架橋し、置換基を有してもよいアルキレン基であり、前記アルキレン基におけるピリジン環の3位と6位とを連結する最短の原子数nは8〜10の整数であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Yはピリジン環上の一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数を表し、Zはピリジン環上の一価の置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数を表し、また、kが2以上の場合、2つのZが互いに結合して環状構造を形成してもよく、このような環が3”位及び6”位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。)
(4)2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有し、かつ下記式(XI)又は(XII)で表される面不斉ターピリジン化合物のラセミ体、又は、前記ラセミ体より誘導したジアステレオマー混合物を光学分割する工程を含むことを特徴とする面不斉ターピリジン化合物の製造方法。
Figure 2006213605
(ここで、架橋アルキレン基A’はピリジン環の3位と6位を架橋し、置換基を有してもよいアルキレン基を表し、前記アルキレン基におけるピリジン環の3位と6位とを連結する最短の原子数nは8〜16の整数であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Yはピリジン環上の一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数を表し、Zはピリジン環上の一価の置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数を表し、また、kが2以上の場合、2つのZが互いに結合して環状構造を形成してもよく、このような環が3”位及び6”位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。)
本発明によれば、新規な面不斉ターピリジン化合物を合成することができる。
また、本発明によれば、前記面不斉ターピリジン化合物を配位子として用いることで、新規な金属錯体を合成することができる。
本発明の面不斉ターピリジン化合物は、2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有し、前記式(I)又は(II)に示す化合物で表されることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
<面不斉ターピリジン化合物>
本発明の面不斉ターピリジン化合物は、2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有する。
2,2’:6’,2”−ターピリジン環とは、前記式(I)又は(II)に示すように3つのピリジン環が、1つのピリジン環の2位及び6位に、他の2つのピリジン環がそれぞれ2位で結合したターピリジン環である。
また、面不斉架橋アルキレン基は、前記式(I)又は(II)に示すように前記ターピリジン環の少なくとも一方のピリジン環の3位と6位を架橋し、かつピリジン環部位と共に一方の面性キラリティー(面不斉)を生じさせるアルキレン基である。
前記架橋アルキレン基は、Aを含み、前記ピリジン環の3位と6位を架橋し、置換基を有してもよいアルキレン基である。アルキレン基の置換基としては、本発明の趣旨を逸脱しない限り、後述する置換基群より選ばれた任意の1価の置換基を表す。Aは(CH2n-6で表されるが、AのCH2部分における1つ以上のHが、上記置換基で置換されていてもよい。
nは、架橋アルキレン基の架橋鎖の長さ(前記アルキレン基におけるピリジン環の3位と6位とを連結する最短の原子数:以下、架橋鎖長とも言う。)である。nは8〜16の整数であり、面不斉ターピリジン化合物の不斉合成の容易さ、及び、触媒や金属錯体に用いた場合の立体障害等の観点から、8〜14の整数が好ましく、8〜10の整数がより好ましく、10が特に好ましい。
また、面不斉架橋アルキレン基の3位と6位とをつなぐ最短のアルキレン鎖に替えて、アルキレン基以外に、−O−、−NH−、−NR’−、−CO−、−COO−、−CONH−、−CONR’−等の二価の置換基で架橋された部分を含んでいてもよい。R’は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は、炭素数7〜30のアラルキル基で表される。
前記式(I)又は(II)において、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
1のピリジン環上の置換位置は5位であり、また、X2のピリジン環上の置換位置は4位である。
1及びX2における置換基とは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、又は、以下に示す置換基群より選ばれた任意の1価の置換基を表す。
(置換基群)
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、さらに好ましくは2〜5のアルコキシカルボニル基である)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基である)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基である)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基である)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基である)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基である)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基である)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基である)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基である)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基である)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基である)、アルキルスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホニルアミノ基である)、アリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアリールスルホニルアミノ基である)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルファモイル基である)、アリールスルファモイル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアルキルスルファモイル基である)、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルキルカルバモイル基である)、アリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールカルバモイル基である)、
アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールスルホニル基である)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基である)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールスルフィニル基である)、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドラジノ基、イミノ基、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基である)が含まれる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
中でも、合成上の観点から、X1が炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシメチル基、炭素数2〜9のアルコキシメチル基、炭素数2〜17のシリルオキシメチル基、カルボキシル基であることが好ましく、X1が炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、X1がメトキシカルボニル基であることがさらに好ましい。
前記式(I)又は(II)において、Yは、ターピリジン環の真ん中に位置するピリジン環上の任意の位置における一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数である。
Yのピリジン環上の置換位置としては、3’〜5’位の任意の位置である。
Yは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、又は、先にX1及びX2における置換基として挙げた置換基群より選ばれた任意の1価の置換基を表す。
mが0の場合は、ピリジン環上にYがないことを表し、mが1〜3の場合は、ピリジン環上にYがそれぞれ1〜3つあることを表す。
mが2以上の場合は、ピリジン環上のそれぞれのYにおいて、互いに独立にハロゲン原子又は置換基を選ぶことができ、また、互いに結合して環を形成していてもよい。
前記式(I)又は(II)において、Zは、X1及びX2の置換されていない端部ピリジン環上の任意の位置における置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数である。
Zのピリジン環上の置換位置としては、3”〜6”位の任意の位置である。
Zは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、又は、先にX1及びX2における置換基として挙げた置換基群より選ばれた任意の1価の置換基を表す。
kが0の場合は、ピリジン環上にZがないことを表し、kが1〜4の場合は、ピリジン環上にZがそれぞれ1〜4つあることを表す。
kが2以上の場合は、ピリジン環上のそれぞれのZにおいて、互いに独立にハロゲン原子又は置換基を選ぶことができ、また、互いに結合して環を形成していてもよく、このような環が3”位及び6”位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。
本発明の面不斉ターピリジン化合物が有する置換基A、X1、X2、Y、及び、Zとしては、面不斉ターピリジン化合物を配位子として用いる場合、面不斉を有し、かつ、2,2’:6’,2”−ターピリジン環を有するという特徴を発揮するため、ピリジン環の窒素原子の配位能より、配位能の高い部位を含まない置換基が好ましい。
前記式(I)又は(II)で表される化合物は、好ましくは下記式(I−1)又は(II−1)で表される化合物が例示できる。
Figure 2006213605
ピリジン環の3位と6位を架橋したA1を含む面不斉架橋アルキレン基は、(CH28、(CH29、又は、(CH210を表す。
11、及び、Z13は、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐ハロアルキル基、炭素数2〜21のアルコキシメチル基、炭素数2〜17のシリルオキシメチル基、ヒドロキシメチル基、炭素数4〜10の下式(Am−1)を含む一置換又は二置換のアミド基、又は、無置換アミド基を表す。
12、Y11、Y12、Y13、Z11、Z12、及び、Z14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数1〜20の直鎖又は分岐ハロアルキル基を表す。また、Z11、及び、Z14は、連結した面不斉架橋アルキレン基であってもよく、その場合、(CH28、(CH29、又は、(CH210を表す。
Figure 2006213605
Amは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は、炭素数7〜14のアラルキル基で表される。
前記式(I−1)又は(II−1)で表される化合物は、より好ましくは以下のT−1〜T−20に示す面不斉化合物、及び、前記式(I−1)に対する式(II−1)で示すような、T−1〜T−20に示す面不斉化合物の反対の面不斉を有する化合物が例示できる。
Figure 2006213605
Figure 2006213605
Figure 2006213605
なお、T−7における置換基SiR’3は、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基を示す。
前記T−1〜T−20に示す面不斉化合物、及び、T−1〜T−20に示す面不斉化合物の反対の面不斉を有する化合物のうち、好ましくは以下のT−3、T−6、T−11〜T−14に示す面不斉化合物、及び、T−3、T−6、T−11〜T−14に示す面不斉化合物の反対の面不斉を有する化合物が例示できる。
Figure 2006213605
前記T−3、T−6、T−11〜T−14で示す化合物及びT−3、T−6、T−11〜T−14に示す面不斉化合物の反対の面不斉を有する化合物のうち、好ましくは以下のT−3に示す化合物及びT−3に示す面不斉化合物の反対の面不斉を有する化合物であり、特に好ましくはT−3に示す化合物が例示できる。
Figure 2006213605
<面不斉ターピリジン化合物を配位子とする金属錯体>
本発明の面不斉ターピリジン化合物は、配位子として、種々の金属と錯体を形成することができる。
本発明の金属錯体は、本発明の面不斉ターピリジン化合物を、配位子として少なくとも1つ有する金属錯体である。金属錯体としては、単核、複核、及び、多核の金属錯体があげられるが、単核錯体が好ましい。
配位形式は、単核錯体の場合、中心金属が面不斉ターピリジン化合物に3座配位していることが錯体の安定性等から好ましいが、2座配位、又は、単座配位していてもよい。
また、本発明の金属錯体は、配位子として、前記面不斉ターピリジン化合物以外の中性配位子や、陽イオン性配位子、陰イオン性配位子を有していてもよい。
用いることのできる金属としては、典型金属及び遷移金属を特に制限なく用いることができるが、ターピリジン錯体の合成例が知られており、かつ金属錯体を不斉反応に用いる際に反応性が高いと思われる、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金又は亜鉛が好ましく、ターピリジン化合物や類似のビピリジン化合物を配位子とした金属錯体を用いた不斉反応が知られている銅又は亜鉛がより好ましい。
本発明の金属錯体の合成方法としては、公知の金属錯体の合成方法を応用することができ、特に公知のターピリジン配位子を有する金属錯体の合成方法を好適に用いることができる。例えば、日本化学会編「第5版 実験化学講座 21 有機遷移金属化合物、超分子錯体」丸善(株)、2004年刊、日本化学会編「第5版 実験化学講座 22 金属錯体・遷移金属クラスター」丸善(株)、2004年刊、Sir G. Wilkinson等著「Comprehensive organometallic chemistry」 Pergamon Press、1982年刊、E. W. Abell等著「Comprehensive organometallic chemistry II」 Pergamon、1995年刊、及び、これらに引用された文献を参考にできる。
また、本発明の金属錯体が前記面不斉ターピリジン化合物以外の配位子を有する場合、金属錯体の配位子交換方法として公知の方法を用い、金属上の配位子を変換することができ、様々な金属錯体を合成できる。
<面不斉ターピリジン化合物の製造方法>
本発明の前記式(I)又は(II)に示す面不斉ターピリジン化合物の製造方法は、以下の2つの方法により合成することができる。
1つは、面不斉ターピリジン化合物の架橋アルキレン基の架橋鎖長nが8〜10である場合、下記式(III)又は(IV)に示す面不斉架橋アルキレン基を有する面不斉パラピリジノファン誘導体のピリジン環の6位をハロゲン化し、6−ハロゲン化不斉化合物を誘導するハロゲン化工程、及び、前記6−ハロゲン化不斉化合物と、下記式(V)又は(VI)に示すスズ化合物とをカップリング反応させるカップリング工程を含む面不斉ターピリジン化合物の製造方法であって、前記面不斉ターピリジン化合物が、2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有し、かつ、下記式(VII)〜(X)で表されることを特徴とする面不斉ターピリジン化合物の製造方法を用いて、本発明の面不斉ターピリジン化合物を合成できる。
Figure 2006213605
(ここで、面不斉架橋アルキレン基は、Aの部位を含み、ピリジン環の2位と5位を架橋する、置換基を有してもよいアルキレン基であり、前記アルキレン基において、ピリジン環の2位と5位とを連結する最短の原子数nは8〜10の整数を表し、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。)
Figure 2006213605
(ここで、Yはピリジン環上の一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数を表し、Zはピリジン環上の一価の置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数を表し、R1はアルキル基又はアリール基を表し、また、kが2以上の場合、2つのZが互いに結合して環状構造を形成してもよく、このような環が3’位及び6’位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。ただし式(V)では、2つのピリジン環の連結位置をそれぞれ6位及び2’位とする。)
Figure 2006213605
(ここで、面不斉架橋アルキレン基は、Aを含み、前記ピリジン環の3位と6位を架橋し、置換基を有してもよいアルキレン基であり、前記アルキレン基におけるピリジン環の3位と6位とを連結する最短の原子数nは8〜10の整数であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Yはピリジン環上の一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数を表し、Zはピリジン環上の一価の置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数を表し、また、kが2以上の場合、2つのZが互いに結合して環状構造を形成してもよく、このような環が3”位及び6”位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。)
もう一つは、2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有し、かつ下記式(XI)又は(XII)で表される面不斉ターピリジン化合物のラセミ体、又は、前記ラセミ体より誘導したジアステレオマー混合物を光学分割する工程を含むことを特徴とする面不斉ターピリジン化合物の製造方法により、前記面不斉ターピリジン化合物を合成できる。
Figure 2006213605
(ここで、架橋アルキレン基A’はピリジン環の3位と6位を架橋し、置換基を有してもよいアルキレン基を表し、前記アルキレン基におけるピリジン環の3位と6位とを連結する最短の原子数nは8〜16の整数であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Yはピリジン環上の一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数を表し、Zはピリジン環上の一価の置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数を表し、また、kが2以上の場合、2つのZが互いに結合して環状構造を形成してもよく、このような環が3”位及び6”位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。)
以下、この2つの方法を詳細に述べる。
面不斉ターピリジン化合物の架橋アルキレン基の架橋鎖長nが8〜10である場合、以下の面不斉ターピリジン化合物の製造方法を用いることができる。すなわち、前記式(III)又は(IV)に示す面不斉架橋アルキレン基を有する面不斉パラピリジノファン誘導体のピリジン環の6位をハロゲン化し、6−ハロゲン化不斉化合物を誘導するハロゲン化工程、及び、前記6−ハロゲン化不斉化合物と、前記式(V)又は(VI)に示すスズ化合物とをカップリング反応させるカップリング工程を含む前記面不斉ターピリジン化合物の製造方法である。
前記式(III)及び(IV)に示す面不斉パラピリジノファン誘導体のAを含む架橋アルキレン基、X1、X2、及び、前記式(V)及び(VI)に示すスズ化合物のY、mは、それぞれ前記式(I)又は(II)に示す面不斉ターピリジン化合物で挙げたAを含む架橋アルキレン基、X1、X2、Y、及び、mと同義である。また、nは8〜10の整数を表し、10であることがより好ましい。
前記式(V)及び(VI)に示すR1は、アルキル基又はアリール基を表す。アルキル基、又は、アリール基としては、特に限定されないが、炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基、又は、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、メチル基、n−ブチル基が特に好ましい。
また、3つのR1は、それぞれ異なるアルキル基又はアリール基であってもよく、3つのR1のうち、その一つがヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数6〜8のフェノキシ基であってもよい。
前記式(III)又は(IV)に示す面不斉パラピリジノファン誘導体は、例えば、以下の本発明者等による(1)〜(6)等に記載された方法等を用いて得ることができる。
(1)特開平10−279580号公報、
(2)特開2000−256359号公報、
(3)特開2002−249463号公報、
(4)N. Kanomata et al., J. Am. Chem. Soc., Vol.122, p.4563-4568 (2000)、
(5)N. Kanomata et al., Tetrahedron Letters, Vol.42, p.1045-1048 (2001)、
(6)N. Kanomata et al., Tetrahedron Letters, Vol.44, p.3599-3603 (2003)。
上記の中で例えば、上記(2)に記載の方法とは、ラセミ体のパラピリジノファン誘導体のエステル部位を、光学活性なアミノアルコールを用いてアミド化し、ジアステレオマー間の物性の違いを利用した固液平衡による異性化晶出法を用いて、一方の面不斉を有する面不斉パラピリジノファン誘導体を得る方法である。
また、上記(1)〜(6)等に記載された方法と同様の方法、又は、ラセミ体又はジアステレオマー混合物のキラルカラムを用いた光学分割法等により、逆の面不斉パラピリジノファン誘導体を得ることもできる。
パラピリジノファン誘導体の6位をハロゲン化する方法としては、ピリジン環の窒素原子のα位をハロゲン化する公知の方法を用いることができる。例えば、M. Schlosser and F. Cottet, Eur. J. Org. Chem., Vol.2002, Issue 24, p.4181-4184等の文献に記載の方法を好ましく用いることができる。具体的には、下記Scheme1及び2に示すように、酸化剤を用いてパラピリジノファン誘導体のピリジン環上の窒素原子を一旦酸化し、N−オキシドとした後、オキシ塩化リンを用いて6位をクロロ化し、6−クロロ体を得る方法が挙げられる。
酸化剤としては、過酸や金属酸化物、アミンのN−オキシド等が挙げられ、具体的にはm−クロロ過安息香酸等が好ましい。
Figure 2006213605
(Scheme1及び2中のAを含む架橋アルキレン基、X1、及び、X2は、それぞれ前記式(I)又は(II)に示す面不斉ターピリジン化合物で挙げたAを含む架橋アルキレン基、X1、及び、X2と同義である。)
また、パラピリジノファン誘導体の6−ブロモ体や6−ヨード体は、上記6−クロロ体から、上記のF. Cottet等の文献に記載の方法等により、下記Scheme3又は4に示すように、トリメチルシリルブロミドやトリメチルシリルヨージド等の臭素化剤又はヨウ素化剤を用いて誘導することもできる。
Figure 2006213605
(Scheme3及び4中のAを含む架橋アルキレン基、X1、及び、X2は、それぞれ前記式(I)又は(II)に示す面不斉ターピリジン化合物で挙げたAを含む架橋アルキレン基、X1、及び、X2と同義である。)
パラピリジノファン誘導体の6−ハロゲン化物は、後述するカップリング反応での反応性の観点から、6−ブロモ体又は6−ヨード体が好ましい。6−ブロモ体又は6−ヨード体であると、カップリング反応において、遷移金属触媒に対する反応性が高いことから、反応温度をなるべく低温で行うことができる。反応温度が低いと、アルキレン架橋鎖の異性化(フリッピング)の進行が遅く、不斉収率を向上することができる。
前記6−ハロゲン化物と、前記式(V)又は(VI)に示すスズ化合物とをカップリング反応させ面不斉ターピリジン化合物を得る方法としては、下記Scheme5又は6に示すようなStille反応として知られた公知の方法を用いることができる。
Stille反応に用いる遷移金属触媒としては、公知のものを用いることができるが、反応性や入手の容易さ等からパラジウム触媒が好ましく、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh34)がより好ましい。
Stille反応を用いて本発明の面不斉ターピリジン化合物を合成する場合、反応温度が高いと反応性が高くなるが、不斉収率は低くなり、反応温度が低いとアルキレン架橋鎖の異性化(フリッピング)の進行が遅く不斉収率は高くなるが、反応性は低くなる。したがって、反応性と不斉収率のバランスを考え、反応温度を設定するのが好ましい。具体的には80℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、25〜50℃が特に好ましい。
Figure 2006213605
(Scheme5中のAを含む架橋アルキレン基、X1、X2、Y、m、Z、及び、kは、それぞれ前記式(I)又は(II)に示す面不斉ターピリジン化合物で挙げたAを含む架橋アルキレン基、X1、X2、Y、m、Z、及び、kと同義であり、また、R1は、前記式(V)に示すスズ化合物で挙げたR1と同義である。)
Figure 2006213605
(Scheme6中のAを含む架橋アルキレン基、X1、X2、Y、及び、mは、それぞれ前記式(I)又は(II)に示す面不斉ターピリジン化合物で挙げたAを含む架橋アルキレン基、X1、X2、Y、及び、mと同義であり、また、R1は、前記式(VI)に示すスズ化合物で挙げたR1と同義である。)
上記の方法の中でも、例えば、J. E. Baldwin et al., Angew. Chem. Int. Ed., Vol.43, p.1132-1136 (2004)に記載された方法等を用いるのが好ましい。具体的には、6−ヨード体とスズ化合物を基質として用い、溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF)、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh34)、添加剤としてフッ化セシウム(CsF)及びヨウ化銅(I)(CuI)を用い、なるべく温和な反応条件でカップリング反応を行うのが好ましい。上記反応条件でカップリング反応を行うと、反応時間が短く、かつ面不斉を保持したカップリング生成物を得ることができる。
また、得られた面不斉ターピリジン化合物より、公知の官能基変換法を用いて、種々の面不斉ターピリジン化合物も得ることができる。例えば、アルコキシカルボキシル基を水素化アルミニウムリチウム等の還元剤で還元するとヒドロキシメチル基が得られる。アルコキシカルボキシル基を水酸化リチウム等の塩基及び水で加水分解するとカルボキシル基が得られる。アミド基をナトリウムアルコキシド等の求核剤を作用させるとアルコキシカルボキシル基が得られる。
また、面不斉ターピリジン化合物の架橋アルキレン基の架橋鎖長nが8〜16である場合、2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有し、かつ下記式(XI)又は(XII)で表される面不斉ターピリジン化合物のラセミ体、又は、前記ラセミ体より誘導したジアステレオマー混合物を光学分割する工程を含むことを特徴とする面不斉ターピリジン化合物の製造方法により、前記面不斉ターピリジン化合物を合成できる。
Figure 2006213605
上記式(XI)又は(XII)中の架橋アルキレン基A’は、一方の端部ピリジン環の3位と6位を架橋する、置換基を有してもよいアルキレン基を表し、前記アルキレン基におけるピリジン環の3位と6位とを連結する最短の原子数n(架橋鎖長)は8〜16の整数を表す。
また、上記式(XI)又は(XII)中のX1、X2、Y、m、Z、及び、kは、前記式(I)又は(II)におけるX1、X2、Y、m、Z、及び、kと同義である。
前記面不斉ターピリジン化合物のラセミ体を合成する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
一例としては、前記の光学活性パラピリジノファン誘導体から面不斉ターピリジン化合物を合成する方法と同様の方法を用い、ラセミ体のパラピリジノファン誘導体より、前記面不斉ターピリジン化合物のラセミ体を合成できる。
面不斉ターピリジン化合物のラセミ体を光学分割する方法としては、下記Scheme7及び8に示すようにターピリジン化合物のラセミ体を、キラルカラムを用いたカラムクロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や中圧カラムクロマトグラフィーも含む。)により光学分割し、面不斉ターピリジン化合物を得ることができる。
また、得られた面不斉ターピリジン化合物より、公知の官能基変換法を用いて、他の様々な面不斉ターピリジン化合物も得ることができる。
Figure 2006213605
(Scheme7中のA、X1、X2、Y、m、Z、及び、kは、前記式(I)又は(II)におけるA、X1、X2、Y、m、Z、及び、kと同義であり、また、A’は前記式(XI)又は(XII)におけるA’と同義である。)
Figure 2006213605
(Scheme8中のA、X1、X2、Y、及び、mは、前記式(I)又は(II)におけるA、X1、X2、Y、及び、mと同義であり、また、A’は前記式(XI)又は(XII)におけるA’と同義である。)
また、ターピリジン化合物のラセミ体において、キラルカラムを用いたカラムクロマトグラフィーによる光学分割が困難な場合は、架橋アルキレン基を有するターピリジン化合物のラセミ体をジアステレオマー混合物へ誘導し、光学分割をしてもよい。
中でもターピリジン化合物のラセミ体のエステル部位等を、光学活性なアミノアルコールを用いてアミド化し、ジアステレオマー混合物とし、光学分割するのが好ましい。反応試薬及び反応条件は、特に制限はなく、公知のアミド化法を用いることができる。
用いる光学活性なアミノアルコールとしては、前記(1)〜(6)等の公報又は文献に記載されたキラルなアミド基部位を合成するために用いる光学活性なアミノアルコールが好ましく挙げられる。
なお、本発明の各製造方法で行う反応において、特に断りのない限り、用いる反応条件、反応容器、及び、反応装置等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、公知の文献等を参考にし、適宜設定又は選択し、反応を行うことができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、以下の実施例で用いる器具及び装置等は、特に断りのない限り、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、市販又は公知の器具及び装置を適宜用いることができる。
また、以下の実施例の反応は、必要に応じアルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下又は空気雰囲気下のいずれかで行うのが好ましい。
<不斉収率の決定方法>
キラルカラムとして、ダイセル化学工業(株)製CHIRALPACK IA、又は、CHIRALCEL ODを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、化合物を光学分割し、不斉収率を決定した。
(実施例1)
<面不斉パラピリジノファン誘導体からの面不斉ターピリジン化合物の合成>
〔ピリジン環上の窒素原子の酸化〕
Figure 2006213605
面不斉パラピリジノファン誘導体(S)−1(99%ee)(光学活性架橋ニコチン酸エステル)(511mg,1.86mmol)を脱水ジクロロメタンに溶解させ、0℃でm−クロロ過安息香酸(m−CPBA)(668mg,3.87mmol)を加え、室温で16時間撹拌して酸化反応を行った。反応終了後、0℃で水酸化カルシウムを加えてろ過し、溶媒を除去した。油状の架橋ニコチン酸メチルエステルN−オキシド(S)−2(552mg,100%)を定量的に得た。
(S)−2:1HNMR(500.16 MHz, CDCl3)δ = 0.54-0.61(m, 1H),0.62-0.83(m, 2H),0.83-0.93(m, 4H),0.98-1.07(m, 1H),1.09-1.18(m, 1H),1.21-1.37(m, 3H),1.54-1.67(m, 3H),1.67-1.77(m, 1H),2.54(ddd, J = 12.5, 7.00, 4.50 Hz, 1H),2.70(ddd, J = 12.5, 7.00, 4.50 Hz, 1H),3.31(ddd, J = 12.9, 7.75, 5.00 Hz, 1H),3.65(ddd, J = 12.9, 7.75, 5.00 Hz, 1H),3.95(s, 3H),7.54(d, J = 1.15 Hz, 1H),8.24(d, J = 1.15 Hz, 1H); 13CNMR(100.53 MHz, CDCl3)δ = 24.4, 24.5, 25.6, 26.1, 26.4, 26.7, 27.7, 27.74, 28.4, 31.9, 52.9, 128.4, 130.1, 137.4, 142.2, 152.1, 165.7.
〔ピリジン環の6位のクロロ化〕
Figure 2006213605
架橋ニコチン酸メチルエステルN−オキシド(S)−2(33.1mg,0.114mmol)を封管中で脱水ジクロロメタンに溶解させ、0℃でオキシ塩化リン(POCl3)(100μl)を滴下後、1時間撹拌した。50℃で2日間撹拌した後、氷を加え室温で1時間撹拌した。ジクロロメタンで3回抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ジエチルエーテル:ヘキサン=1:8)で精製し、油状の6−クロロパラピリジノファン誘導体(S)−3(99%ee)(17.6mg,50%)を得た。なお、6−クロロ体(S)−3のエナンチオ過剰率の測定は、CHIRALPAK IA(4.6φ×250mm)(ダイセル化学工業(株)製)を用い、ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒(150/1)(0.8ml/min)を流出溶媒とするHPLC(20℃)にて行った。
(S)−3:1HNMR(399.78 MHz, CDCl3)δ = 0.48(m, 1H),0.66(m, 1H),0.73-0.78(m, 3H),0.80-0.85(m, 2H),1.01-1.19(m, 3H),1.22(m, 1H),1.39-1.54(m, 2H),1.70(m, 1H),1.82(m, 1H),1.86(m, 1H),2.60(ddd, J = 13.7, 9.8, 4.4 Hz, 1H),2.80(ddd, J = 13.7, 9.8, 4.4Hz, 1H),3.07(ddd, J = 14.6, 10.2, 4.4Hz, 1H),3.74(ddd, J = 10.2, 6.4, 3.9 Hz, 1H),3.93(s, 3H),8.03(s, 1H); 13CNMR(100.53 MHz, CDCl3)δ = 24.6, 25.3, 26.2, 26.32, 26.34, 27.6, 27.91, 27.95, 31.9, 35.5, 52.43, 124.6, 133.1, 141.8, 152.9, 162.6, 166.4.
〔ピリジン環の6位の臭素化〕
Figure 2006213605
6−クロロパラピリジノファン誘導体(S)−3(40.4mg,0.130mmol)を封管中でアセトニトリルに溶解させた。ブロモトリメチルシラン(TMSBr)(85μl)を加え、80℃で15時間撹拌した。反応終了後、2.0M水酸化ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで3回抽出した。純水と飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を除去した。油状の6−ブロモパラピリジノファン誘導体(S)−4(99%ee)(44.8mg,100%)を定量的に得た。なお、6−ブロモ体(S)−4のエナンチオ過剰率の測定は、CHIRALPAK IA(4.6φ×250mm)(ダイセル化学工業(株)製)を用い、ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒(50/1)(1.0ml/min)を流出溶媒とするHPLC(20℃)にて行った。
(S)−4:1HNMR(399.78 MHz, CDCl3)δ = 0.47(m, 1H),0.59-0.68(m, 2H),0.73-0.80(m, 3H),1.01-1.11(m, 3H),1.16(m, 1H),1.20-1.29(m, 2H),1.48-1.69(m, 2H),1.78(m, 1H),1.84(m, 1H),2.59(ddd, J = 13.6, 8.4, 4.8 Hz, 1H),2.79(ddd, J = 13.6, 8.4, 4.8Hz, 1H),3.07(ddd, J = 12.0, 7.6, 4.4 Hz, 1H),3.74(ddd, J = 12.8, 7.6, 4.0 Hz, 1H),3.93(s, 3H),7.95(s, 1H); 13CNMR(100.53 MHz, CDCl3)δ = 24.4, 25.4, 26.30, 26.35, 27.6, 27.90, 27.94, 33.7, 35.4, 52.4, 124.9, 135.6, 141.0, 145.9, 162.8, 166.5; MS(ESI+): m/z(%): 354(100)[M+].
化合物(S)−4の物性データに関する参考文献:M. Schlosser and F. Cottet, Eur. J. Org. Chem., Vol.2002, Issue 24, p.4181-4184
〔ピリジン環の6位のヨウ素化〕
Figure 2006213605
6−ブロモパラピリジノファン誘導体(S)−4(619mg,1.75mmol)を封管中でアセトニトリルに溶解させた。ヨードトリメチルシラン(TMSI)(1.75g,8.75mmol)を加え、80℃で2日間撹拌した。反応終了後、2.0M水酸化ナトリウム水溶液と5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた。さらに濃塩酸を用いて溶液を酸性(pH=3)にし、テトラヒドロフラン(THF):酢酸エチル(1:1)混合溶液で3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して溶媒を除去した。得られた混合物をメタノール−トルエン(1/4)混合溶媒に溶解し、トリメチルシリルジアゾメタン(TMS−diazomethane)(900μl)を加え室温で1時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、6−ヨードパラピリジノファン誘導体(S)−5(99%ee)(663mg,97%)を得た。なお、6−ヨード体(S)−5のエナンチオ過剰率の測定は、CHIRALPAK IA(4.6φ×250mm)(ダイセル化学工業(株)製)を用い、ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒(50/1)(1.0ml/min)を流出溶媒とするHPLC(20℃)にて行った。
(S)−5:1HNMR(500.16 MHz, CDCl3)δ = 0.49(m, 1H),0.60-0.69(m, 2H),0.71-0.80(m, 3H),0.82-0.88(m, 2H),1.03-1.12(m, 2H),1.19(m, 1H),1.22-1.34(m, 2H),1.49-1.58(m, 2H),1.77(m, 1H),1.83(m, 1H),2.67(ddd, J = 13.0, 8.5, 4.5 Hz, 1H),2.80(ddd, J = 13.0, 8.5, 4.5Hz, 1H),2.94(ddd, J = 14.0, 9.5, 4.5 Hz, 1H),3.70(ddd, J = 12.5, 8.0, 4.0 Hz, 1H),3.92(s, 3H),7.80(s, 1H); 13CNMR(125.77 MHz, CDCl3)δ = 24.2, 25.4, 26.28, 26.34, 26.6, 27.6, 27.9, 35.4, 37.0, 52.4, 124.8, 127.3, 138.7, 139.4, 162.8, 166.7; MS(ESI+): m/z(%): 424(100)[M+Na+].
化合物(S)−5の物性データに関する参考文献:M. Schlosser and F. Cottet, Eur. J. Org. Chem., Vol.2002, Issue 24, p.4181-4184
〔カップリング反応〕
Figure 2006213605
6−ヨード体(S)−5(99%ee) 1当量(50.3mg(0.125mmol))とスズ化合物6 1.1当量(44.0mg(0.138mmol))を、ジメチルホルムアミド(DMF)0.31mlに溶解した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh34)0.2当量(29.0mg(0.0251mmol))、フッ化セシウム(CsF)2当量(38.1mg(0.251mmol))、ヨウ化銅(I)(CuI)0.4当量(9.5mg(0.0501mmol))を添加し、反応液を50℃で5時間撹拌した。反応終了後、ジエチルエーテルで3回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ溶媒を除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製し、単離した。面不斉ターピリジン化合物(S)−7(99%ee) 32.3mg(0.0752mmol)が、収率60%で得られた。
化合物7(ラセミ体):pale yellow solid, 融点(ヘキサンから再結晶):99.3〜100.5℃
(S)−7:pale yellow solid, 融点(ヘキサンから再結晶):102.7〜103.9℃
(S)−7:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm) = 0.47-0.51 (m, 1H), 0.66 (m, 1H), 0.73-0.78 (m, 3H), 0.80-0.85 (m, 2H), 1.01-1.19 (m, 3H), 1.22 (m, 1H), 1.39-1.54 (m, 3H), 1.70(m, 1H), 1.82 (m, 1H), 2.60 (ddd, J = 13.1, 9.2, 4.4 Hz, 1H), 2.80 (ddd, J = 13.1, 9.2, 4.4Hz, 1H), 3.83-3.91 (m, 2H), 3.97 (s, 3H), 7.32 (m, 1H), 7.82 (dd, J = 7.5, 2.6 Hz, 1H), 8.01 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 8.17 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.18 (s, 1H), 8.44 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 8.48 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 8.70 (m, 1H).
13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ (ppm) = 24.8, 26.2, 26.57, 26.61, 27.3, 27.4, 27.7, 27.9, 31.6, 35.9, 52.3, 120.4, 121.0, 123.7, 124.4, 124.5, 133.6, 136.8, 137.8, 142.1, 149.0, 154.8, 156.0, 157.37, 157.45, 160.2, 167.0.
上記の反応条件で、Pd(PPh34を0.1当量、CuIを0.2当量とした場合、(S)−7(99%ee)の収率が58%であり、また、Pd(PPh34を0.1当量、CsF及びCuIを全く添加しなかった場合、(S)−7(99%ee)の収率が40%であった。
また、出発物質を面不斉パラピリジノファン誘導体(R)−1(99%ee)とした以外は、実施例1と同様に、上記各ステップの反応を行い、面不斉ターピリジン化合物(R)−7が得られる。
(実施例2)
<面不斉パラピリジノファン誘導体及び不斉スズ化合物からの面不斉ターピリジン化合物の合成>
上記と同様の方法により、6−ブロモパラピリジノファン誘導体(S)−4を合成し、以下の方法によりカップリング反応を行った。
Figure 2006213605
6−ブロモ体(S)−4(99%ee) 2当量(50.4mg(0.142mmol))とスズ化合物8 1当量(46.6mg(0.0710mmol))を、ジメチルホルムアミド(DMF)0.31mlに溶解した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh34)0.1当量(8.20mg(0.0071mmol))、フッ化セシウム(CsF)3当量(32.4mg(0.213mmol))、ヨウ化銅(I)(CuI)0.2当量(2.7mg(0.0142mmol))を添加し、反応液を50℃で5時間撹拌した。反応終了後、ジエチルエーテルで3回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ溶媒を除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製し、単離した。面不斉ターピリジン化合物(S,S)−9(99%ee) 8.9mg(0.0142mmol)が、収率20%で得られた。
Figure 2006213605
(S,S)−9:colorless oil
(S,S)−9:1H NMR (270MHz, CDCl3) δ (ppm) = 0.49 (m, 2H), 0.61 (m, 2H), 0.63-0.78 (m, 8H), 0.80-0.85 (m, 4H), 1.23-1.32 (m, 5H), 1.23-1.46 (m, 5H), 1.58-1.72 (m, 4H), 1.92 (m, 2H), 2.48 (ddd, J = 13.7, 9.8, 4.4 Hz, 2H), 2.92 (ddd, J = 13.7, 9.8, 4.4H, 2H), 3.66 (ddd, J = 14.6, 10.2, 4.4Hz, 2H), 3.86 (ddd, J = 10.2, 6.4, 3.9 Hz, 2H), 3.95 (s, 6H), 8.05 (t, J = 8.0 Hz, 1H),8.12 (s, 2H), 8.19 (d, J = 8.0 Hz, 2H).
13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ (ppm) = 24.7, 26.2, 26.5, 26.6, 27.2, 27.4, 27.7, 27.9, 31.3, 35.9, 52.3, 124.1, 124.3, 134.0, 137.8, 142.0, 157.0, 157.4, 160.0, 167.0.
なお、エナンチオ過剰率の測定は、光学活性カラムとしてCHIRALPAK IA(4.6φ×250mm)(ダイセル化学工業(株)製)を用い、ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒(15/1)を流出溶媒(1.0ml/min)として、25℃にて行った。
8.32min、11.30min、及び、18.60minにそれぞれ1:1:2の比でベースライン分割された。11.30minのピークが(S,S)−9のピークであり、また、最後のピークはメソ体のピークであった。
(実施例3)
<ラセミ体の光学分割による面不斉ターピリジン化合物の合成>
〔ピリジン環上の窒素原子の酸化〕
ラセミ体の面不斉パラピリジノファン誘導体1(架橋ニコチン酸エステル)(500mg,1.82mmol)を脱水ジクロロメタンに溶解させ、0℃でm−CPBA(629mg,3.65mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応終了後、0℃で水酸化カルシウムを加えてろ過し、溶媒を除去した。油状の架橋ニコチン酸メチルエステルN−オキシド2(540mg,100%)を定量的に得た。
〔ピリジン環の6位のクロロ化〕
架橋ニコチン酸メチルエステルN−オキシド2(22.5mg,0.0772mmol)を封管中で脱水ジクロロメタンに溶解させ、0℃でオキシ塩化リン(POCl3)(67μl)を滴下後、1時間撹拌した。50℃で2日間撹拌した後、氷を加え室温で1時間撹拌した。ジクロロメタンで3回抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ジエチルエーテル:ヘキサン=1:8)で精製し、油状の6−クロロパラピリジノファン誘導体3(12.0mg,50%)を得た。
〔ピリジン環の6位の臭素化〕
6−クロロパラピリジノファン誘導体3(101mg,0.325mmol)を封管中でアセトニトリルに溶解させた。ブロモトリメチルシラン(210μl)を加え、80℃で15時間撹拌した。反応終了後、2.0M水酸化ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで3回抽出した。純水と飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を除去した。油状の6−ブロモパラピリジノファン誘導体4(112mg,100%)を定量的に得た。
〔ピリジン環の6位のヨウ素化〕
6−ブロモパラピリジノファン誘導体4(112mg,0.325mmol)を封管中でアセトニトリルに溶解させた。ヨードトリメチルシラン(325mg,1.63mmol)を加え、80℃で2日間撹拌した。反応終了後、2.0M水酸化ナトリウム水溶液と5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた。さらに濃塩酸を用いて溶液を酸性(pH=3)にし、テトラヒドロフラン(THF):酢酸エチル(1:1)混合溶液で3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して溶媒を除去した。得られた混合物をメタノール−トルエン(1/4)混合溶媒に溶解し、トリメチルシリルジアゾメタン(167μl)を加え室温で1時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、6−ヨードパラピリジノファン誘導体5(128mg,98%)を得た。
〔カップリング反応〕
6−ヨード体5 1.1当量(100mg(0.249mmol))とスズ化合物6 1.0当量(72.3mg(0.227mmol))を、ジメチルホルムアミド(DMF)0.5mlに溶解した。この溶液へ、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh34)0.10当量(26.1mg(0.0227mmol))、フッ化セシウム(CsF)2.0当量(68.8mg(0.454mmol))、ヨウ化銅(I)(CuI)0.20当量(8.6mg(0.0454mmol))を添加し、50℃で6時間撹拌した。反応終了後、ジエチルエーテルで3回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ溶媒を除去した.フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製し、単離した。ラセミ体のターピリジン化合物7 59.4mg(0.138mmol)が、収率61%で得られた。
〔ラセミ体のターピリジン化合物のHPLCによる光学分割〕
Figure 2006213605
ラセミ体のターピリジン化合物7の光学分割は、光学活性カラムとしてCHIRALPAK IA(4.6φ×250mm)(ダイセル化学工業(株)製)を用い、ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒(20/1)を流出溶媒(1.0ml/min)として、室温にて行った。17.83minと22.58minにベースライン分割され、光学分割が可能であることが示された。
(実施例4)
<銅錯体の合成>
面不斉ターピリジン化合物(S)−7(99%ee)を、溶媒に溶解し、銅(II)トリフラート(Cu(OTf)2、Tf:−SO2CF3)を加えることで、銅錯体を合成できる。

Claims (15)

  1. 2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有し、
    下記式(I)又は(II)に示す化合物で表されることを特徴とする
    面不斉ターピリジン化合物。
    Figure 2006213605
    (ここで、面不斉架橋アルキレン基は、Aを含み、前記ピリジン環の3位と6位を架橋し、置換基を有してもよいアルキレン基であり、前記アルキレン基におけるピリジン環の3位と6位とを連結する最短の原子数nは8〜16の整数であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Yはピリジン環上の一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数を表し、Zはピリジン環上の一価の置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数を表し、また、kが2以上の場合、2つのZが互いに結合して環状構造を形成してもよく、このような環が3”位及び6”位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。)
  2. 前記nが8〜14である請求項1に記載の面不斉ターピリジン化合物。
  3. 前記nが8〜10である請求項1又は2に記載の面不斉ターピリジン化合物。
  4. 前記X1が炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基である請求項1〜3のいずれか1つに記載の面不斉ターピリジン化合物。
  5. 前記X1がメトキシカルボニル基である請求項1〜4のいずれか1つに記載の面不斉ターピリジン化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の面不斉ターピリジン化合物を、配位子として少なくとも1つ有する金属錯体。
  7. 前記金属がマンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金又は亜鉛である請求項6に記載の金属錯体。
  8. 前記金属が亜鉛又は銅である請求項6又は7に記載の金属錯体。
  9. 下記式(III)又は(IV)に示す面不斉架橋アルキレン基を有する面不斉パラピリジノファン誘導体のピリジン環の6位をハロゲン化し、6−ハロゲン化不斉化合物を誘導するハロゲン化工程、及び、
    前記6−ハロゲン化不斉化合物と、下記式(V)又は(VI)に示すスズ化合物とをカップリング反応させるカップリング工程を含む
    面不斉ターピリジン化合物の製造方法であって、
    前記面不斉ターピリジン化合物が、2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有し、かつ、
    下記式(VII)〜(X)で表されることを特徴とする
    面不斉ターピリジン化合物の製造方法。
    Figure 2006213605
    (ここで、面不斉架橋アルキレン基は、Aの部位を含み、ピリジン環の2位と5位を架橋する、置換基を有してもよいアルキレン基であり、前記アルキレン基において、ピリジン環の2位と5位とを連結する最短の原子数nは8〜10の整数を表し、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。)
    Figure 2006213605
    (ここで、Yはピリジン環上の一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数を表し、Zはピリジン環上の一価の置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数を表し、R1はアルキル基又はアリール基を表し、また、kが2以上の場合、2つのZが互いに結合して環状構造を形成してもよく、このような環が3’位及び6’位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。ただし式(V)では、2つのピリジン環の連結位置をそれぞれ6位及び2’位とする。)
    Figure 2006213605
    (ここで、面不斉架橋アルキレン基は、Aを含み、前記ピリジン環の3位と6位を架橋し、置換基を有してもよいアルキレン基であり、前記アルキレン基におけるピリジン環の3位と6位とを連結する最短の原子数nは8〜10の整数であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Yはピリジン環上の一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数を表し、Zはピリジン環上の一価の置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数を表し、また、kが2以上の場合、2つのZが互いに結合して環状構造を形成してもよく、このような環が3”位及び6”位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。)
  10. 前記nが10である請求項9に記載の面不斉ターピリジン化合物の製造方法。
  11. 前記6−ハロゲン化不斉化合物が、6−ブロモ体である請求項9又は10に記載の面不斉ターピリジン化合物の製造方法。
  12. 前記カップリング反応を50℃以下で行う請求項9〜11のいずれか1つに記載の面不斉ターピリジン化合物の製造方法。
  13. 前記カップリング反応にパラジウム触媒を用いる請求項9〜12のいずれか1つに記載の面不斉ターピリジン化合物の製造方法。
  14. 前記カップリング反応にパラジウム触媒、添加剤としてCuI及びCsF、及び、反応溶媒としてDMFを用いる請求項9〜13のいずれか1つに記載の面不斉ターピリジン化合物の製造方法。
  15. 2,2’:6’,2”−ターピリジン環、及び、前記ターピリジン環の少なくとも1つの端部ピリジン環上に面不斉架橋アルキレン基を有し、かつ下記式(XI)又は(XII)で表される面不斉ターピリジン化合物のラセミ体、又は、前記ラセミ体より誘導したジアステレオマー混合物を光学分割する工程
    を含むことを特徴とする
    面不斉ターピリジン化合物の製造方法。
    Figure 2006213605
    (ここで、架橋アルキレン基A’はピリジン環の3位と6位を架橋し、置換基を有してもよいアルキレン基を表し、前記アルキレン基におけるピリジン環の3位と6位とを連結する最短の原子数nは8〜16の整数であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Yはピリジン環上の一価の置換基を表し、Yの置換基数mは0〜3の整数を表し、Zはピリジン環上の一価の置換基を表し、Zの置換基数kは0〜4の整数を表し、また、kが2以上の場合、2つのZが互いに結合して環状構造を形成してもよく、このような環が3”位及び6”位を架橋する場合、面不斉架橋アルキレン基であってもよい。)
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