JP2006213540A - アルミナセメント及びアルミナセメント硬化体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温における流動性が良好で、かつ高強度発現性を有しており、耐火物分野のみならず、アルミナセメントを使用する建材分野、高流動性、耐食性、耐摩耗性が要求される化学プラントのライニング材料や耐食材料として好適なアルミナセメントを提供する。
【解決手段】鉱物組成としてCAを含有するアルミナセメントにおいて、CaOを5〜40質量%、並びにカリウムをK2O換算で0.3〜2質量%含むことを特徴とするアルミナセメントであり、アルミナセメントと骨材を含有してなるアルミナセメント硬化体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミナセメント及びそれを用いたアルミナセメント硬化体に関する。
アルミナセメントは、耐火性に優れていることから、不定形耐火物用バインダーとして広く使用されている。不定形耐火物の施工方法の一つに、アルミナセメント、耐火骨材、及び水を混合した不定形耐火物用を型枠へ流し込む、所謂、流し込み施工があるが、高温での流動性を長時間保持することが難しく、流し込みの際の充填や鋳込みが不良となる場合があった。
施工後の硬化体の強度は、乾燥処理時に発生する内部水蒸気圧に耐え得る強度が必要であるが、強度不足により、乾燥処理時の爆裂により硬化体が崩壊する場合があった。
上記課題を改善するため、アルミナセメントに様々な添加剤を添加したアルミナセメント組成物が報告されている。例えば、アルミナセメントの添加剤に関する基本特性を記載した文献として、非特許文献1が挙げられる。
‘HIGH ALUMINA CEMENT AND CONCRETES.’, T.D.ROBSON,CONTRACTORS RECORD LIMITED,1962
しかしながら、従来の方法は良好な流動性と適度な硬化時間の双方を充分満足するものではなく、流動性を向上させようとすると硬化時間が遅延して強度発現性が低下し、一方硬化時間を短縮させようとすると流動性が低下するという課題があった。
さらに、コンクリート混和剤の技術を応用したポリカルボン酸系分散剤が不定形耐火物へ適用され始めており、アルミナセメント、耐火骨材とポリカルボン酸系分散剤を含む不定形耐火物は、適度な流動性と硬化時間が得られるとの報告がある。
特開2001―213671号公報
本発明の目的は、高温での流動性を長時間保持し、かつ高強度化することが可能なアルミナセメント、及びそれを用いたアルミナセメント硬化体を提供することである。
本発明者は種々検討を重ねた結果、鉱物組成としてCaO (以下CAという)を含有するアルミナセメントにおいて、CaO含有量とカリウム含有量を調整する事で、高温での良好な流動性と優れた強度発現性が得られるという知見を得て本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、鉱物組成としてCAを含有するアルミナセメントにおいて、CaOを5〜40質量%、並びにカリウムをK2O換算で0.3〜2質量%含むことを特徴とするアルミナセメントであり、アルミナセメントと骨材を含有してなるアルミナセメント硬化体である。
本発明のアルミナセメントは、高温における流動性が良好で、かつ高強度発現性を有しており、耐火物分野のみならず、アルミナセメントを使用する建材分野、高流動性、耐食性、耐摩耗性が要求される化学プラントのライニング材料や耐食材料として好適である。
本発明に係るアルミナセメントは、赤ボーキサイト等の天然原料をバイヤープロセス等の精製法により精製して得られた高純度アルミナや、ボーキサイトなどのアルミナ源と、石灰石や生石灰などのカルシア源、並びに、炭酸カリウムやカリウムミョウバン、塩化カリウムなどのカリウム源を所定の成分割合になるように配合し、電気炉、反射炉、縦型炉、平炉、シャフトキルン、及びロータリーキルン等の設備で溶融又は焼成して得られるものである。
本発明に係るアルミナセメントは、鉱物組成としてCAを主成分とするものであり、その他の成分としてCaO・2Al2O3(CA2)及び/又は12CaO・7 Al2O3(C12A7)を含有してもよい。さらに、不純物に由来する2CaO・Al2O3・SiO2(C2AS)、4CaO・Al2O3・Fe2O3(C4AF)、CaO・TiO2(CT)やα―Al2O3等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。アルミナセメントの粉砕は特に限定されるものではなく、例えばチューブミル、振動ミル、ジェットミル、及びローラーミル等の粉砕機が使用可能である。
本発明に係るアルミナセメントの化学成分は、CaOが5〜40質量%、カリウムがK2O換算で0.3〜2質量%であることが好ましく、CaOが10〜37質量%、カリウムがK2O換算で0.5〜1質量%であることがより好ましい。CaOが5質量%未満では、硬化時間が著しく遅れ強度発現性が不十分となり、一方、CaOが40質量%を超えると、充分な流動性を長時間確保できない。アルミナセメントは、一旦水和反応が始まると、水和反応が一挙に進む性質があるが、カリウムが存在すると水和反応がマイルドに進行し、強度発現に有利な低温型の水和物を生成して、本発明の効果が得られるものと考える。カリウムがK2O換算で0.3質量%未満では本発明の効果が得られず、一方、2質量%を超えると、異常凝結を引き起こす場合がある。
粉砕したアルミナセメントのブレーン比表面積は、3000〜8000cm2/gが好ましく、4000〜7000cm2/gがより好ましい。3000cm2/g未満では強度発現性が低下する場合があり、一方、8000cm2/gを超えると、流動性が低下し、作業性の確保が難しくなる場合がある。
本発明に係るアルミナセメントは、本発明の効果を損なわない範囲内で、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びサリチル酸等のヒドロキシカルボン酸又はその塩、ポリアクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸又はその塩、並びにメタクリル酸―アクリル酸共重合体又はその塩からなる群より選ばれる一種又は二種以上の添加剤を併用することが可能である。また、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、並びに有機系分散剤を併用することも可能である。
さらに、リン酸類及びホウ酸類の併用が可能である。リン酸類としては、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸、ピロリン酸、及びウルトラポリリン酸、或いは、これらのナトリウム塩、カリウム塩、若しくはカルシウム塩等が挙げられる。ホウ酸類はホウ酸又はそのアルカリ塩であり、アルカリ塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等が挙げられる。これらのうち、工業生産の観点から、入手のし易いホウ酸の使用が好ましい。
本発明に係るアルミナセメントは、流動性向上を目的として、分散剤の併用が可能である。分散剤の種類は特に限定されるものではなく、一般に市販されているものが使用可能である。
本発明に係るアルミナセメントは、材料分離を避けるために、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド変性物またはその共重合体、ポリビニルアルコール等の増粘剤を併用する事も可能である。
本発明に係るアルミナセメントに対する各種添加剤の使用量は、アルミナセメント100質量部に対して、0.1〜2質量部が好ましい。この範囲外では、硬化時間の温度依存性が高い場合や、減水効果、流動性、及び強度発現性が低下したり、適度な可使時間が得られない場合がある。
本発明に係るアルミナセメント硬化体は、本発明に係るアルミナセメント、各種骨材及び水の混練物を養生することにより得られる。骨材は、特に限定されるものではなく、一般的な、珪砂や石灰砂、耐火骨材が使用可能である。耐火骨材は、溶融マグネシア、焼結マグネシア、天然マグネシア、及び軽焼マグネシア等のマグネシア、溶融マグネシアスピネルや焼結マグネシアスピネルなどのマグネシアスピネル、溶融アルミナ、焼結アルミナ、軽焼アルミナ、及び易焼結アルミナ等のアルミナ、シリカヒューム、コロイダルシリカ、軽焼アルミナ、及び易焼結アルミナ等の超微粉、その他、溶融シリカ、焼成ムライト、酸化クロム、ボーキサイト、アンダルサイト、シリマナイト、シャモット、ケイ石、ロー石、粘土、ジルコン、ジルコニア、ドロマイト、パーライト、バーミキュライト、煉瓦屑、陶器葛、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化珪素、及び窒化珪素鉄等が使用可能である。
さらに、アルミナとジルコニアを溶融して得られる、耐熱スポーリング性を向上させたアルミナ・ジルコニアクリンカー等の使用も可能である。
骨材の粒度は、通常、5〜3mm、3〜1mm、1mm下、200メッシュ下、及び325メッシュ下のサイズのものや超微粉を、要求物性に応じて配合する。
超微粉とは、粒径10μm以下の粒子が80質量%以上占める耐火性微粉末である。平均粒子径が1μm以下で、BET法による比表面積が10m2/g以上のものが、不定形耐火物に配合した際、流動性が確保でき、高強度を発現するため好ましい。具体的には、シリカヒューム、コロイダルシリカ、易焼結アルミナ、非晶質シリカ、ジルコン、炭化珪素、窒化珪素、酸化クロム、及び酸化チタン等の無機微粉末が使用可能であり、このうち、シリカヒューム、コロイダルシリカ、及び易焼結アルミナの使用が好ましい。
本発明のアルミナセメント硬化体の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の製造方法に準じ、各材料を所定の割合になるように配合し、V型ブレンダー、コーンブレンダー、ナウタミキサー、パン型ミキサー、及びオムニミキサー等の混合機を用いて均一混合するか、あるいは、所定の割合で混練り施工する際、混練り機に直接秤り込むことも可能である。
本発明のアルミナセメント硬化体には、硬化体乾燥時の爆裂防止を目的として、金属アルミニウムや金属マグネシウムなどの発泡剤や、ビニロンファイバー、ポリプロピレンファィバー及び塩化ビニールファイバー等の有機繊維、乳酸アルミニウム等の塩基性コロイド、N2ガス発生分解繊維、並びに、フミン酸類等の爆裂防止材を必要に応じて配合することが可能である。
アルミナ源、カルシア源及びカリウム源を配合し、電気炉にて1800℃で溶融した。得られたクリンカーは、鉱物組成としてCAを主成分とし、化学成分がCaO4〜45質量%、カリウムがK2O換算で0.1〜2.5質量%であった。クリンカーをボールミルで粉砕してブレーン値が4500cm2/gになるよう調整し、アルミナセメントを作製した。次に、アルミナセメント100質量部に対して、骨材として珪砂を200質量部、水60質量部を30℃で混合してモルタルし、そのフロー値、流動性、硬化時間、並びに、養生及び乾燥強度を測定した。結果を表1に示す。
<使用材料>
アルミナ源:焼結アルミナ粉、市販品
カルシア源:生石灰、市販品
カリウム源:炭酸カリウム、石津製薬社製試薬特級
珪砂:JIS6号とJIS7号を50質量部ずつ混合したもの。
水:本試験には混練水として,JISK0557のA4種に相当する水を使用した
<測定方法>
(1)流動性(フロー値):30℃、80%RHの恒温恒湿室内で、モルタルミキサーにて4分30秒間混練後(140rpm)、フローテーブルを用いて15回タッピング後の広がり径をJISR2521に準じて、混練後、一定時間毎に測定した。
(2)硬化時間:30℃、80%RHの恒温室内で、上記モルタル500gをポリビーカーに移し取り、白金測温抵抗体と打点記録計によって、注水から水和発熱のピークまでにかかった時間を測定した。
(3)養生強度:作製したモルタルを4×4×16cmの型枠に突き棒でスタンピングしながら打設し、表面をセメントナイフで平に整えた後、24時間養生後の圧縮強度を測定した。
(4)乾燥強度:養生強度測定用供試体を、110℃にて24時間乾燥後、室温まで放冷し、圧縮強度を測定した
Figure 2006213540
骨材としてアルミナ骨材を使用し、アルミナセメント10質量部、アルミナ骨材90質量部とし、アルミナセメントとアルミナ骨材の合計に対し、10質量%の水を使用し混練物としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<アルミナ骨材>
次に示す燒結アルミナ80質量部と微粉アルミナ10質量部を混合したもの。
燒結アルミナ: モラルコ社製、商品名「T−60」。6〜14メッシュ 30質量部、14〜28メッシュ 20質量部、28〜48メッシュ 15質量部、48メッシュ下 15質量部の混合物。
微粉アルミナ:住友化学社製、商品名「AM21」。平均粒径4μm。
Figure 2006213540

Claims (2)

  1. 鉱物組成としてCaO・Al2O3を含有するアルミナセメントにおいて、CaOを5〜40質量%、並びにカリウムをK2O換算で0.3〜2質量%含むことを特徴とするアルミナセメント。
  2. 請求項1記載のアルミナセメントと骨材を含有してなるアルミナセメント硬化体。
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