JP2006210523A - 変圧器の抜油システム - Google Patents

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Abstract

【課題】隔離室を形成する以外の仕方で、PCBによる二次汚染を引き起こすことなく、PCB絶縁油を変圧器から簡便に回収することのできる抜油システムを提供することである。
【解決手段】PCB絶縁油入りの変圧器1と油回収ケース11と抜油装置3とからなり、変圧器の油排出口6と油回収ケースの投入口12を抜油装置の抜油管路14で接続すると共に、変圧器の流体供給口7と油回収ケースの排気口13を抜油装置のガス戻し管路15で接続することによって、閉回路を形成し、抜油管路中のポンプPの駆動によって油回収ケース内にPCB絶縁油を回収すると共に、閉回路中のガスを変圧器に回収することを特徴とする変圧器の抜油システム。
【選択図】 図1

Description

本発明はPCB絶縁油(PCBを含有する絶縁油)が入っている変圧器からPCB絶縁油を抜くための装置に関する。
変圧器からPCB絶縁油を抜いて無害化処理するための従来技術としては、変圧器を持ち上げてトレイの上に載せ、変圧器の外側を囲む隔離室を、トレイを利用して形成し、変圧器に接続したポンプを駆動してタンクにPCB絶縁油を溜め、変圧器の周囲に飛散したPCBを、隔離室に接続したPCB除去装置に回収して、害のない空気を外部に排出するものが存在する(特許文献1)。
特開2004−71706号公報(段落番号0021〜0024、図1)
ところがこの手法は変圧器を持ち上げたり、隔離室を形成する必要があるため、その手間が煩わしい。従って、隔離室を形成することなく、簡便にPCB絶縁油を回収できるような手法が望まれる。
ちなみに隔離室を形成せずに、変圧器にポンプを接続して、ポンプからタンクにPCB絶縁油を回収する単純な手法であると、タンク内にPCB絶縁油が回収されるに際して、タンク内の空気が外部に排出され、その空気にはPCBが混入することから二次汚染を引き起こすことになる。
本発明は上記実情を考慮して開発されたもので、その目的は、隔離室を形成する以外の仕方で、PCBによる二次汚染を引き起こすことなく、PCB絶縁油を変圧器から簡便に回収することのできる抜油システムを提供することである。
請求項1の発明は、PCB絶縁油入りの変圧器と油回収ケースと抜油装置とからなり、変圧器の油排出口と油回収ケースの投入口を抜油装置の抜油管路で接続すると共に、変圧器の流体供給口と油回収ケースの排気口を抜油装置のガス戻し管路で接続することによって、閉回路を形成し、抜油管路中のポンプの駆動によって油回収ケース内にPCB絶縁油を回収すると共に、閉回路内のガスを変圧器に回収することを特徴とする変圧器の抜油システムである。
閉回路を形成してPCB絶縁油を回収するので、閉回路内のガスにはPCBが混入するが、ガスが変圧器に回収され、外部にはそのまま排出されないので、二次汚染を防止できる。
変圧器は、窒素等のガス密封形のものや、ガスを密封しないものがある。そして、ガス密封形の場合は、変圧器の上部にはガス封入口と油供給口があり、ガスを密封しないものの場合は、変圧器の上部には油供給口のみがある。従って、流体供給口とは、油供給口だけでなく、ガス封入口をも含む概念である。ガス密封形の変圧器は、もともと大気圧以上の内圧がかかっているので、PCB絶縁油を回収した油回収ケースや、閉回路中のガスを回収した変圧器には大気圧を超える内圧がかかる。内圧がかかっていると、不測の事態によって漏洩し、二次汚染を引き起こす可能性がある。また、ガスを密封していない変圧器であっても、内圧がかかっていないことを確認して、二次汚染を予防することが望ましい。従って、かかる二次汚染の発生を防止するには、請求項2の発明のように、ガス戻し管路から排気管路を分岐し、排気管路には第五バルブとPCB除去手段を出口に向かって順番に有し、ポンプ駆動時には第五バルブを閉鎖して排気管路を不通にし、ポンプ停止時の変圧器及び油回収ケースの圧抜き時には第5バルブを開放して排気管路を開通することが望ましい。なお、PCB除去手段は、ガス中に混入したPCBを取り除いて清浄なガスを排出するものであれば良く、一例としては活性炭を有するフィルターが挙げられる。
変圧器が大型の場合、1台の変圧器内のPCB絶縁油を全部回収するために油回収ケースを複数用いることがあり、この場合、油回収ケースにPCB絶縁油が溜まると、空のものに交換する必要がある。また、複数の変圧器から抜油するには、特定の変圧器からPCB絶縁油を抜いた後、抜油装置の接続対象を別の変圧器に交換する必要がある。交換する前に、変圧器や油回収ケースから効率よく内圧を抜いたり、交換時に抜油装置からPCBが大気に放出されるのを防止するには、請求項3の発明のように、抜油管路にはポンプよりも油回収ケース側に電磁弁を、ポンプよりも変圧器側に第6バルブをそれぞれ有し、電磁弁をポンプの動作に連動して開閉可能に設け、ガス戻し管路には排気管路への分岐箇所よりも変圧器側に第4バルブを、分岐箇所よりも油回収ケース側に第3バルブをそれぞれ有することが望ましい。
抜油作業中は、第3、第4、第6バルブを開いて閉回路を開通しておく。油回収ケースの内圧を下げる場合は、ポンプの停止によって電磁弁を閉じ且つ排気管路の第5バルブを開けておくと共に、油回収ケースに通じる第3バルブを開け、変圧器に通じる第4バルブを閉じる。変圧器の内圧を下げる場合は、ポンプの停止によって電磁弁を閉じ且つ排気管路の第5バルブを開けておくと共に、油回収ケースに通じる第3バルブを閉じ、変圧器に通じる第4バルブを開けておく。このようにすれば、内圧を下げる対象物(油回収ケース、変圧器)から、効率よくPCBを回収できる。また、油回収ケースを交換する場合は、電磁弁以外に第3バルブを閉じ、変圧器を交換する場合は、第4、第6バルブを閉じれば、交換対象物から最も近いバルブが閉じているので、抜油装置からPCBが漏れることによる二次汚染を防止出来る。
また、上述した交換作業中の接続箇所からPCBが大気に放出されるのを一層防止するには、請求項4の発明のように、変圧器と油回収ケースを抜油装置に接続する箇所には、プラグとソケットからなる管継手を用い、プラグとソケットには流体漏れ防止機能がそれぞれ付いていることが望ましい。なお、プラグとソケットに流体漏れ防止機能が付いているので、油回収ケースや変圧器の交換時に、請求項3の発明では不可欠であったバルブ操作は、必ずしも必要ではない。例えば、管継手が第6バルブよりも変圧器側に設けてあれば、変圧器を交換する場合に第4バルブのみを閉じ、第6バルブを閉じなくても、管継手のプラグ又はソケットによって、抜油装置からPCBが漏れることを防止できる。
PCB絶縁油を油回収ケースに自動的に回収する場合に漏れを防ぐには、ポンプの運転を制御する制御装置に流量設定部を設け、流量設定部で入力した設定値に見合った量だけ回収すると、自動的にポンプを停止させることが望ましい。ただし、作業者が設定値を入力ミスする可能性もあるので、これを防ぐには流量以外のパラメータを設定する機能があることが望ましい。また、1台の変圧器に溜まったPCB絶縁油を、同一形状の油回収ケースを複数台利用して回収する場合には、最後の油回収ケースには必ずしも設定値に見合った流量を回収できないこともある。このような場合に、設定値よりも不足している分だけ、別の変圧器から回収できれば、効率がよい。しかし、再度、流量設定部で不足分を設定する際に、作業者が入力ミスする可能性もあるので、このような場合にも流量以外のパラメータを設定する機能があることが望ましい。
かかる問題を解消するには、請求項5の発明のように、ポンプの運転を制御する制御装置を設け、制御装置は、油回収ケースに回収したPCB絶縁油の重量を油回収ケースごと検出する重量検出部と、ポンプから油回収ケースに送り込んだPCB絶縁油の流量を検出する流量検出部と、油回収ケースへの回収予定重量を設定する重量設定部と、油回収ケースへの回収予定流量を設定する流量設定部と、流量検出部と重量検出部の双方の検出結果及び重量設定部と流量設定部の双方の設定値に基づいてポンプを停止する判断部とからなり、判断部では、流量検出部からの検出結果が回収予定流量に達した場合と、重量検出部からの検出結果が回収予定重量に達した場合にはポンプを停止することが望ましい。
回収予定重量は回収予定流量にPCB絶縁油の一般的な比重(予想比重)を掛け算した値である。ところが、使用済み変圧器から抜油する場合には、使用の程度や経年劣化によって変圧器毎にPCB絶縁油の汚れ具合、即ち予想比重が大幅に異なることがある。このような場合、予想比重を実際の比重に補正して回収予定重量を再計算する必要がある。そして、実際比重を算出するには油回収ケースに溜めたPCB絶縁油の重量を、油回収ケースに送り込んだ流量で割り算してやる必要があり、この場合は流量検出部での検出結果が正常であることが前提となる。そうすると、ポンプを停止する判断基準を複数設ける場合には、流量設定部以外の基準を設けることが必要である。この場合は、請求項6の発明のようにすることが望ましい。即ち、ポンプの運転を制御する制御装置を設け、制御装置は、油回収ケースに回収したPCB絶縁油の重量を油回収ケースごと検出する重量検出部と、ポンプから油回収ケースに送り込んだPCB絶縁油の流量を検出する流量検出部と、油回収ケース内のPCB絶縁油の液面高さを検出する液面高さ検出部と、PCB絶縁油の予想比重と回収予定流量を設定する比重・流量設定部と、予想比重と回収予定流量から回収予定重量を算出する重量算出部と、油回収ケース内の液面の回収予定高さを設定する液面高さ設定部と、流量検出部と重量検出部の双方の検出結果からPCB絶縁油の実際の比重を算出すると共に実際比重と回収予定流量に基づいて回収予定重量を算出し直して補正する重量補正部と、ポンプを停止する判断部とからなり、判断部は、重量検出部からの検出結果が重量補正部による補正重量に達した場合と、液面高さ検出部からの検出結果が液面高さ設定部による回収予定高さに達した場合に、ポンプを停止するものである。
請求項1の発明であれば、変圧器と油回収ケースと抜油装置を接続するだけでPCB絶縁油を回収できるので、回収作業が簡便になる。また、閉回路を形成して変圧器からPCB絶縁油を回収するので、PCBによる二次汚染が防止できる。さらに、抜油管路を利用してPCB絶縁油を油回収ケースに回収するだけでなく、PCBが混入した閉回路中のガスを、PCBの発生源である変圧器にガス戻し管路を利用して回収するので、PCBによる汚染物が増えずに済み、しかも、抜油作業終了後に油回収ケースと変圧器を密閉すれば、別の場所に油回収ケースと変圧器を移動させることが容易に行える。
請求項2の発明であれば、第5バルブを閉じておけば排気管路は不通となり、閉回路によって油回収ケースにはPCB絶縁油が、変圧器にはPCBの混入したガスがそれぞれ回収されるだけでなく、ポンプ停止時に第5バルブを開放しておけば排気管路は開通となり、排気管路からガスを排出して、油回収ケースと変圧器の内圧を下げられるので、油回収ケースと変圧器の破損を予防できる。また、閉回路中のガスに混入したPCBがPCB除去手段によって除去されるので、清浄なガスが排気管路から排出され、二次汚染を防止できる。
請求項3の発明によれば、油回収ケースの内圧を下げる場合は、ポンプの停止によって電磁弁を閉じ且つ排気管路の第5バルブを開けておくと共に、油回収ケースに通じる第3バルブを開け、変圧器に通じる第4バルブを閉じる。変圧器の内圧を下げる場合は、ポンプの停止によって電磁弁を閉じ且つ排気管路の第5バルブを開けておくと共に、油回収ケースに通じる第3バルブを閉じ、変圧器に通じる第4バルブを開けておく。このようにすれば、内圧を下げる対象物(油回収ケース、変圧器)から、効率よくPCBを回収できる。また、油回収ケースを交換する場合は、電磁弁以外に第3バルブを閉じ、変圧器を交換する場合は、第4、第6バルブを閉じれば、交換対象物から最も近いバルブが閉じているので、抜油装置からPCBが漏れることによる二次汚染を防止出来る。
請求項4の発明であれば、流体漏れ防止機能がそれぞれ付いたプラグとソケットからなる管継手を接続箇所に用いているので、接続を解除しても、PCBが大気に放出されるのを防止できる。
請求項5の発明であれば、重量検出部と流量検出部の双方の結果を利用しているので、重量設定部と流量設定部の一方の設定値を作業者が間違えて入力しても、判断部が他方の設定値を利用してポンプを停止することができる。従って、PCB絶縁油が油回収ケースから溢れることを防止でき、安全性が高まる。また、油回収ケースに同一形状のものを使用するという条件下であれば、油回収ケースを交換した場合であっても、重量設定部と流量設定部の設定値を変えずにポンプを駆動しても、PCB絶縁油が油回収ケースから溢れることを防止でき、作業性が向上する。さらに、1台の変圧器に溜まったPCB絶縁油を、同一形状の油回収ケースを複数台利用して回収するという条件下で、PCB絶縁油が設定値よりも少量しか入らなかった油回収ケースに、別の変圧器から不足分を回収する場合には、その不足分だけ流量設定部で入力すれば、流量と重量の双方のパラメータを利用していることになり、流量設定部での入力ミスがあっても重量設定部での設定値が正確であれば、安全性が保持されると共に、入力箇所が1箇所で済むので作業性が向上する。
請求項6の発明は、PCB絶縁油の予想比重を実際の比重に補正し、その結果を反映して回収予定重量を補正しているので、PCB絶縁油の実際の汚れ具合に応じた正確な回収予定重量をポンプ停止の判断基準に用いることができ、補正されない場合の回収予定ケースからの溢れのおそれを解消できる。また、回収予定重量と回収予定高さという二つの判断基準をポンプ停止に用いているので、安全性が高まる。
本発明の変圧器の抜油システムは図1、図2に示すように、PCB絶縁油入りの変圧器1と、油回収装置2と、抜油装置3とから構成され、抜油装置3に変圧器1と油回収装置2を別々に管継手4を介して接続し、PCB絶縁油を変圧器1から抜油装置3を経て油回収装置2に回収し、油回収装置2にPCB絶縁油が回収されるに伴って油回収装置2の外側に排出されるガスを、油回収装置2から抜油装置3を経て変圧器1に戻すものである。
管継手4は、雄型のプラグと雌型のソケットとからなり、プラグとソケットの各々に流体の漏れ防止機能が付いたものである。従って、プラグをソケットに差し込んで一体化した場合だけでなく、プラグとソケットに分離した場合であっても、PCB絶縁油や、PCBが含有したガスを外部に排出せずにすむ。そして、プラグとソケットの一方を抜油装置3に、他方を変圧器1及び油回収装置2に取り付けておくことによって、抜油装置3に変圧器1及び油回収装置2を接続する。
変圧器1は、ケース5の内部に図示しない変圧器本体をPCB絶縁油に浸漬している。ケース5の上部には第8バルブV8を有し、ケース5の底部には第7バルブV7を有する。この第7バルブV7と第8バルブV8は予めケース5に付いており、第7バルブV7の油排出口6、並びに第8バルブV8の流体供給口7には、プラグとソケットの一方を取り付ける。
油回収装置2は、台車8上に重量検出部9としてのロードセルを介してトレイ10を載せ、トレイ10の上に油回収ケース11としてのドラム缶を載せてある。そして、ドラム缶11の上には、投入口12としてのパイプが突出し、そのパイプを缶内の底部にまで垂下している。また、ドラム缶の上には排気口13としてのパイプが突出している。これら2本のパイプには管継手4のプラグとソケットの一方を取り付ける。一台の変圧器1からPCB絶縁油を回収するためには、同容量の油回収ケースを複数本用いることが望ましい。
抜油装置3は、変圧器1から油回収装置2にPCB絶縁油を導く抜油管路14と、油回収装置2から排出されるガスを変圧器1に導くガス戻し管路15と、ガス戻し管路15から分岐する排気管路16を有する。変圧器1の油排出口6と油回収ケース11の投入口12を抜油装置3の抜油管路14で接続すると共に、変圧器1の流体供給口7と油回収ケース11の排気口13を抜油装置3のガス戻し管路15で接続することによって閉回路を形成する。そして、ポンプPによって変圧器1から抜油管路14を経て油回収ケース11にPCB絶縁油を送って回収し、その一方、油回収ケース11から排出されるガスを、ガス戻し管路15を経て変圧器1に送り込んでいる。また、排気管路16から変圧器1及び油回収ケース11の圧力を抜く。なお、抜油装置3は上記構成要素を台車17上に載せてある。
抜油管路14は、その途中にPCB絶縁油を送り出すポンプPを有し、ポンプPから変圧器側に向かって第1バルブV1、ストレーナ18、フローサイト19、フロースイッチ20、フレキシブルチューブ21、第6バルブV6、プラグとソケットの一方を順次取り付ける。また、抜油管路14のポンプPから油回収装置側に向かって流量検出部22としての超音波油量計、第2バルブV2、電磁弁V0、フレキシブルチューブ23、プラグとソケットの一方を順次取り付ける。ポンプPは、磁力によってインペラを回転させるマグネットポンプを用いる。このポンプは、マグネットによる駆動方式で、モーターシャフトがケーシング内に収納されている構造のため、ケーシング外に漏油は生じない。ちなみにケーシング外にモーターを配置し、モーターシャフトをケーシングの内部に突入させ、その突入部分にインペラを取り付ける構造の場合は、モーターシャフトがケーシングを貫通するので、貫通部分の隙間からケーシング外に漏油が生じる。従って、マグネットポンプであれば二次汚染を防止出来る。超音波流量計22は、多少のゴミ(絶縁紙、綿、スラッジ)が入っても計量が正確であるため、ストレーナ18のこし網は20メッシュのものを用いた。また、ギヤ式の流量計では、ギヤの噛み合い部にゴミの侵入を防止するため、こし網は60〜80メッシュのものが必要になって目詰まりが早まり交換回数が頻繁になる。このため、交換時の油汚染につながる。従って、超音波流量計を用いれば、ストレーナのこし網の交換サイクルが長くなり、二次汚染を防止出来る。
ガス戻し管路15は、排気管路16への分岐箇所から変圧器側に向かって第4バルブV4、管継手4、フレキシブルチューブ24、プラグとソケットの一方を順次取り付ける。また、排気管路16への分岐箇所から油回収装置側に向かって、第3バルブV3、管継手4、フレキシブルチューブ25、プラグとソケットの一方を順次取り付ける。
排気管路16は、分岐箇所から外部に向かって連成計26、第5バルブV5、PCB除去手段27としての活性炭フィルターを順番に接続してある。連成計26を目視することによって、排気管路16の内圧を大気圧と比較できるようにしてある。活性炭フィルター27は、ガスに混ざったPCBを吸着して、清浄な空気を外部に排出する。
ポンプPの運転及び電磁弁V0の開閉を制御する制御装置は、ポンプP、流量検出部(超音波油量計)22、重量検出部(ロードセル)9、電磁弁V0、フロースイッチ20を配線で制御盤28に接続し、コンピュータ制御を行なう。重量検出部9では、油回収ケース11に回収したPCB絶縁油の重量を、トレイ10に載せた油回収ケース11ごと検出する。流量検出部22では、ポンプPの駆動から停止までの間に、油回収ケース11に送り込んだPCB絶縁油の流量を検出する。
制御盤28は、重量設定部29、流量設定部30、判断部31を有している。重量設定部29は、油回収ケース11に回収する予定のPCB絶縁油の重量を、油回収ケース11とトレイ10の重量を含めて設定するものでも良いし、PCB絶縁油の重量のみを設定し、油回収ケース11とトレイ10については別の設定部で設定しても良い。流量設定部30は、油回収ケース11に回収する予定のPCB絶縁油の流量を設定するものである。そして、判断部31は、流量検出部22と重量検出部9の双方の検出結果及び重量設定部29と流量設定部30の双方の設定値に基づいてポンプPの運転及び電磁弁V0の開閉をするもので、流量検出部22と重量検出部9の一方の検出結果が設定値に達した場合にはポンプPを停止すると共に電磁弁V0を閉じる。また、流量検出部22と重量検出部9の双方の検出結果が同時に設定値に達した場合にも、ポンプPを停止すると共に電磁弁V0を閉じる。
判断部31は、フロースイッチ20からの検知信号によって流量の低下を把握し、流量低下が所定レベルに達した場合にはポンプPを停止すると共に電磁弁V0を閉じるもので、これによってポンプPの空運転を防止し、ポンプPの破損を防いである。なお、フローサイト19は、管内の油の状態(汚れ、量)を視認できるようにしたもので、ポンプが破損する程度にまで油が汚れたり、油量が低下したことを作業者が視認した場合には、制御盤28の強制停止スイッチを操作できるようにしてある。
抜油作業をする場合には、まず、作業者が変圧器1、抜油装置3、油回収装置2をそれぞれ管継手4を介して接続し、重量設定部29、流量設定部30にそれぞれ回収予定の設定値(重量値、流量値)を入力する。入力しない場合はメモリに保存されたデフォルト条件を用いる。流量設定部30の設定値は、油回収ケースの容量よりも少なくして漏れを防ぎ、また、重量設定部29の設定値は、PCB絶縁油の一般的な比重と回収予定流量をかけ算した値とする。そして、表1のバルブ操作表に示すように、第5バルブを閉じ、それ以外のバルブを開けた状態にする。
Figure 2006210523
それから、フローサイト19を視認して、駆動に充分な油量がポンプPに達することを確認した後に、制御盤28の起動スイッチを押してポンプPを駆動すると、電磁弁V0が開いて、油回収ケース11にはPCB絶縁油が流入し、その一方、閉回路中のガスが変圧器1内に流入する。流量検出部22と重量検出部9の双方からは常時その検出結果が判断部31に送られ、判断部31では少なくとも一方の検出結果が設定値に達すると、ポンプPが自動的に停止すると共に電磁弁V0が閉じる。
続いて、油回収ケース11の圧抜き作業のため、作業者が第4バルブV4を閉め、第5バルブV5を開け、油回収ケース11の内圧を大気圧まで下がったことを連成計26で確認し、油回収ケース11の破損を防止する。
次ぎに、油回収ケース11の交換作業が行われる。まず、第4バルブV4をあけ、第5バルブV5を閉め、その後、PCB絶縁油が溜まった油回収ケース11を外し、空の油回収ケース11を抜油装置3に接続する。なお、油回収ケース11の交換時に第3バルブV3を閉じていないが、これは管継手4によってガス戻し管路15の先端からはPCBが漏れないからであり、その上、交換作業自体がプラグとソケットの抜き差しだけなので短時間で終了し、二次汚染が起きにくいからである。
その後、再度、抜油作業を行うため起動スイッチを押すと、電磁弁V0が自動的に開く。油回収ケース11には同一形状のものを用いているので、流量設定部30と重量設定部29の設定値は変更しなくて良い。油回収ケース11が設定値に見合った分だけ溜まったら空のものに交換し、起動スイッチを押す作業を繰り返す。作業を行っているうちに、変圧器内の残油量が減っていき、フロースイッチ20の油量が所定レベルに達した場合(変圧器1のPCB絶縁油が殆ど空になった場合)には判断部31がポンプPを停止すると共に電磁弁V0を閉じる。また、この時点で油回収ケース11に溜まっている油量を確認するために、流量検出部22の検出結果を判断部31で記憶し、制御盤内に表示しておく。そして、油量が設定値に達していないことを確認すると、その油回収ケースにはまだ回収できるので、作業者は油回収ケース11を抜油装置3に接続したまま、変圧器1の圧抜き作業に移る。
変圧器1の圧抜き作業は、第3、第7バルブV3、V7を閉じ、第5バルブV5を開け、変圧器1の内圧が大気圧になったことを確認することによって行われる。変圧器1の圧抜き作業及び前述した油回収ケース11の圧抜き作業は、変圧器1がガス密封形の場合は勿論、密封形でない場合であっても二次汚染の予防上行なうことが望ましい。
続いて、変圧器の交換作業が行われる。まず、第5、第8バルブV5、V8を閉め、その後、空になった変圧器1を外し、別の変圧器1の場所まで抜油装置3及び油回収装置2を接続したまま移動し、抜油装置3を別の変圧器1に接続する。
次ぎに、交換した変圧器1から抜油作業するために、作業者が第5バルブV5以外を開く。そして、油回収ケース11に溜まった油量を元の設定値から差し引きし、その差し引き値を流量設定部30に入力し、ポンプPの起動スイッチを押す。そうすると、流量検出部22からの検出結果が、流量設定部30で設定し直した値に達するか、重量検出部9からの検出結果が重量設定部29の設定値に達した場合には、判断部31がポンプPを停止し、電磁弁V0を閉じる。従って、仮に流量設定部30で設定するべき本来の値よりも多量の値を間違って設定したとしても、重量設定部29の設定値に基づいて判断部31がポンプPを停止するので、油回収ケース11からPCB絶縁油が溢れ出るおそれはない。
ストレーナ18を交換する場合は、ポンプPを停止したまま、第1、第6バルブV1、V6を閉じて行なう。
本発明の別の例は図3、4に示すように、第3バルブV3と管継手4の間にフローサイト32を設け、ガス戻し管路に油が漏れた場合にフローサイトによって視認できるようにしてある。また、出口側が二股に分岐する連結管33を排気口13に接続し、連結管33の分岐管の一方には先例同様にガス戻し管路15を接続し、分岐管の他方(直立する管の上)には液面高さ検出部(変位センサ)34を取り付け、液面高さ検出部34を制御盤28と配線で接続してある。
制御盤28には、比重・流量設定部35を設けてPCB絶縁油の予想比重と回収予定流量を設定すると共に、重量算出部36を設けて予想比重と回収予定流量を掛け算して回収予定重量を算出する。また、制御盤28には重量補正部37を設けてあり、流量検出部22と重量検出部9の双方の検出結果を用い溜まった重量を流量で割り算してPCB絶縁油の実際の比重を算出し、予想比重を実際比重に置換して回収予定重量を算出し直して補正する。
さらに制御盤28には液面高さ設定部38を設けて、回収予定高さと、警告高さ(回収予定高さに近づいたことを教える高さ)を設定する。そして、判定部31では、液面高さ検出部34での検出結果が液面高さ設定部34での警告高さに達した場合にはまず、音などで警告を発し、次に、回収予定高さに達した場合にはポンプPを停止する。また、液面高さ設定部38での回収予定高さを間違えて入力した場合に備えて、判定部31では、重量検出部9からの検出結果が重量補正部37による補正重量に達した場合にも、ポンプPを停止する。従って、回収予定高さに達する時期と補正重量に達する時期に、先後がある場合には早い時期に、同時期の場合にはその時期に、ポンプPを停止する。
上記例で作業者が抜油作業をする場合の一形態としては、各種設定部で作業者が全ての設定を入力してから起動スイッチを押しても良いが、同一形状の油回収ケース11を利用する場合には、作業者が入力操作をしなくとも良いように、各種設定部としてのメモリにデフォルト条件を保存しておき、その保存された設定値を使うようにしても良い。そして、起動スイッチを押すとポンプPが駆動し、重量算出部36が回収予定重量を算出し、押してから所定量が流量検出部22を通過したことを把握すると、それまでに増加したPCB絶縁油の重量を重量検出部9の検出結果から把握して、回収予定重量を補正する。なお、押してから短時間(少なくとも警告高さに達することが不可能な時間)経過後までに、溜まった流量を流量検出部22の検出結果から把握すると共に、それまでに増加したPCB絶縁油の重量を重量検出部9の検出結果から把握して、回収予定重量を補正しても良い。そして、液面高さが警告高さに達した場合にまず警告音を発し、回収予定重量か回収予定高さに達した場合には、ポンプPを停止する。
本発明の変圧器の抜油システムを示す回路図である。 図1の抜油システムの分解図である。 別例の変圧器の抜油システムを示す回路図である。 図3の抜油システムの分解図である。
符号の説明
1 変圧器
3 抜油装置
4 管継手
6 油排出口
7 流体供給口
9 重量検出部
11 油回収ケース(ドラム缶)
12 投入口
13 排気口
14 抜油管路
15 ガス戻し管路
16 排気管路
P ポンプ
22 流量検出部
27 PCB除去手段
29 重量設定部
30 流量設定部
31 判断部
34 液面高さ検出部
35 比重・流量設定部
36 重量算出部
37 重量補正部
38 液面高さ設定部
V0 電磁弁

Claims (6)

  1. PCB絶縁油入りの変圧器(1)と油回収ケース(11)と抜油装置(3)とからなり、変圧器(1)の油排出口(6)と油回収ケース(11)の投入口(12)を抜油装置(3)の抜油管路(14)で接続すると共に、変圧器の流体供給口(7)と油回収ケースの排気口(13)を抜油装置(3)のガス戻し管路(15)で接続することによって、閉回路を形成し、抜油管路(14)中のポンプ(P)の駆動によって油回収ケース(11)内にPCB絶縁油を回収すると共に、閉回路中のガスを変圧器(1)に回収することを特徴とする変圧器の抜油システム。
  2. ガス戻し管路(15)から排気管路(16)を分岐し、排気管路(16)には第5バルブ(V5)とPCB除去手段(27)を出口に向かって順番に有し、ポンプ駆動時には第5バルブ(V5)を閉鎖して排気管路(16)を不通にし、ポンプ停止時の変圧器(1)及び油回収ケース(11)の圧抜き時には第5バルブ(V5)を開放して排気管路(16)を開通することを特徴とする請求項1記載の変圧器の抜油システム。
  3. 抜油管路(14)にはポンプ(P)よりも油回収ケース側に電磁弁(V0)を、ポンプ(P)よりも変圧器側に第6バルブ(V6)をそれぞれ有し、電磁弁(V0)をポンプ(P)の動作に連動して開閉可能に設け、ガス戻し管路(15)には排気管路(16)への分岐箇所よりも変圧器側に第4バルブ(V4)を、分岐箇所よりも油回収ケース側に第3バルブ(V3)をそれぞれ有することを特徴とする請求項2記載の変圧器の抜油システム。
  4. 変圧器(1)と油回収ケース(11)を抜油装置(3)に接続する箇所には、プラグとソケットからなる管継手(4)を用い、プラグとソケットには流体漏れ防止機能がそれぞれ付いていることを特徴とする請求項3記載の変圧器の抜油システム。
  5. ポンプ(P)の運転を制御する制御装置を設け、
    制御装置は、油回収ケースに回収したPCB絶縁油の重量を油回収ケースごと検出する重量検出部(9)と、ポンプから油回収ケースに送り込んだPCB絶縁油の流量を検出する流量検出部(22)と、油回収ケースへの回収予定重量を設定する重量設定部(29)と、油回収ケースへの回収予定流量を設定する流量設定部(30)と、流量検出部と重量検出部の双方の検出結果及び重量設定部と流量設定部の双方の設定値に基づいてポンプを停止する判断部(31)とからなり、
    判断部では、流量検出部(22)からの検出結果が回収予定流量に達した場合と、重量検出部(9)からの検出結果が回収予定重量に達した場合にはポンプ(P)を停止することを特徴とする請求項3、又は4記載の変圧器の抜油システム。
  6. ポンプ(P)の運転を制御する制御装置を設け、
    制御装置は、油回収ケースに回収したPCB絶縁油の重量を油回収ケースごと検出する重量検出部(9)と、ポンプから油回収ケースに送り込んだPCB絶縁油の流量を検出する流量検出部(22)と、油回収ケース内のPCB絶縁油の液面高さを検出する液面高さ検出部(34)と、PCB絶縁油の予想比重と回収予定流量を設定する比重・流量設定部(35)と、予想比重と回収予定流量から回収予定重量を算出する重量算出部(36)と、油回収ケース内の液面の回収予定高さを設定する液面高さ設定部(38)と、流量検出部と重量検出部の双方の検出結果からPCB絶縁油の実際の比重を算出すると共に実際比重と回収予定流量に基づいて回収予定重量を算出し直して補正する重量補正部(37)と、ポンプ(P)を停止する判断部(31)とからなり、
    判断部は、重量検出部(9)からの検出結果が重量補正部(37)による補正重量に達した場合と、液面高さ検出部(34)からの検出結果が液面高さ設定部(38)による回収予定高さに達した場合に、ポンプ(P)を停止することを特徴とする請求項3、又は4記載の変圧器の抜油システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103245529A (zh) * 2013-03-13 2013-08-14 上海智光电力技术有限公司 变压器油中气体在线监测装置的油路气体排空系统及方法
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