JP2006208735A - レジストパターン形成方法、リソグラフィプロセス用超臨界処理液および反射防止膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板1上に1層以上の被膜2を設け、該被膜2に、露光、現像を含むリソグラフィ技術によりレジストパターンを形成するパターン方法であって、
露光もしくは現像前に、前記被膜2を有機物4を溶解した超臨界処理液5’に接触させる超臨界処理を行うことを特徴とするレジストパターン形成方法。
【選択図】 図1
Description
レジストとは光、X線、電子線などに感光する高分子材料であり、露光は回路設計に基づいて形成されたバターンを有するマスクを介してレジスト上に光や電子線を照射して行われる。
感光性レジストの膜に露光を行うと、露光された領域の分子量や分子構造が変化し、未露光の領域との間に現像液に対する溶解性の差が発生するので、溶解性の差を利用した現像処理により感光性レジストのバターンが形成できる。
そして、このレジストパターンをマスクとして、基板の上に形成された絶縁膜、導電膜等を部分的にエッチング処理し、さらに不要となったレジストパターンを除去して、基板へのパターン転写が完成する。
なお、従来のレジストは、特許文献1等に記載されている。
したがって、感光剤をレジスト露光直前の状態、できれば被膜形成直後に入れることができればこの問題は解決する。
これはラインエッジラフネスもしくはラインウィドスラフネスとも呼ばれるもので、レジストパターン側面が平坦ではなく、凹凸ができてしまい、寸法制御ができない問題である[例えば、非特許文献1(アプライド・フィジックス・レターズ、63巻、764 頁, 1993年)に記載]。
この問題は解像性にも繋がるものであるため、重要な解決すべき課題となっている。
エッチング耐性は耐エッチング向上剤をレジスト組成物中に配合することにより向上させることができる。しかしながら、耐エッチング向上剤は、例えば炭素を含む構造からなり、その炭素数が多いほどエッチング耐性が向上する傾向がある。しかしながら、炭素数が多くなるとレジストの溶剤に溶解できなくなるという問題がある。
しかしながら、現状のレジスト材料ではこれをらの問題を解決することは不可能である。
第1の態様は、基板上に1層以上の被膜を設け、該被膜に、露光、現像を含むリソグラフィ技術によりレジストパターンを形成するパターン方法であって、
露光もしくは現像前に、前記被膜を有機物を溶解した超臨界処理液に接触させる超臨界処理を行うことを特徴とするレジストパターン形成方法である。
第2の態様は、超臨界流体となる物質に有機物を溶解し、それを高圧容器に密閉保存したリソグラフィプロセス用超臨界処理液である。
第1の実施形態
本発明のレジストパターン形成方法は、基板上に1層以上の被膜を設け、該被膜に、露光、現像を含むリソグラフィ技術によりレジストパターンを形成するパターン方法であって、
露光もしくは現像前に、前記被膜を有機物を溶解した超臨界処理液に接触させる超臨界処理を行うことを特徴とするレジストパターン形成方法である。
図1(a)〜図1(e)は、本発明の実施の形態におけるパターン形成方法の一例を説明するための工程図である。
まず、図1(a)に示すように、所望の基板1、例えばシリコン基板上に、被膜2(レジスト膜又は樹脂膜)形成する。
例えば、基板1上に、アクリル系樹脂を含む溶液を、500nm程度の厚さに塗布する。
その後、被膜2を形成した基板1を、超臨界状態とする圧力に耐え得る高圧容器の内部に載置する。
例えば、高圧容器に接続されたタンクやボンベ(以下、「超臨界流体供給系」ということがある。)に有機物4を入れ、ここに超臨界流体3’(例えば超臨界二酸化炭素)を導入して有機物4を溶解させつつ、この有機物4を溶解した超臨界流体3’からなる超臨界処理液5’を、高圧容器へ導入する。
導入時の圧力は臨界圧力以上とする。二酸化炭素であれば、7.38MPa以上となる。高圧容器の温度を臨界温度以上(二酸化炭素であれば31.1℃以上)にすることにより、高圧容器内部に導入された二酸化炭素は超臨界状態となる。
前記「超臨界流体供給系」は、超臨界状態でも、それ以下の状態(液化状態:超臨界前駆体状態)でも、どちらでもかまわない。
また、上述した超臨界状態は、亜臨界の状態を含むものである。
さらには、後述のように、予め一定の有機物4を溶解させた物質(超臨界処理液5’)を「超臨界流体供給系」に入れて用いても良い。
本明細書において「超臨界前駆体液」とは超臨界流体となる前の液相状態のものを示すものとする。
X線光電子分光法を用いて、アルゴンイオンでスバッタリングしながら被膜2の深さ分析を行った。
炭素は主にレジスト膜からのものであり,窒素は、導入した下記化学式(1)で示す有機物からのものである。
1μmという厚い膜中でも均一に導入できていることがわかる。
これは、化学式(1)で示した窒素を含有する有機物の分子が超臨界二酸化炭素に囲まれた状態でレジスト膜中の微小間隙に拡散していくことを実証している。
拡散係数が大きい超臨界流体がこの微小間隙2cへの拡散を可能にしている。
一方、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などの現像液に含まれる成分(現像分子)は100Å3前後の大きさであるため、現像液が入りやすい空間と入りにくい空間が生じてしまう。
この結果、分子領域オーダーの現像速度の違いが生まれることになり、微小な不均一な現像が生じてしまう。これがパターンラフネスの原因である。
本方法によれば、現像分子よりも大きな空間に低分子量体の有機物を充填することが可能となる(100〜150Å3空隙を、本方法を使って充填)。
この結果、現像液は間隙に入らずに均一にレジスト高分子を現像することが可能となり、図3(a)に示す様に、ラフネスを低減した理想的なパターン(この例ではラインアンドスペースパターン)が形成され、図3(b)に示すようなラフネスが生じる問題を解決できる。
一方、この有機物4が微小問隙2cを埋めるための大きさを有する以外に別の機能を有していれば、より好ましいことになる。
例えば、この有機物4が酸発生剤成分となっていれば、多くの酸発生剤成分を、微小間隙2cに充填させながら導入できることになる。その結果、これまで不可能だったレベルの感度向上を実現することが出来る。
この導入は露光直前に行えば良く、かつレジスト溶液中に予め含んでいることは不要であるため、経時安定性と高感度を両立できることになる。
ここで、「有機反射防止膜」とは、
(i)それ自体で既に露光光を吸収する能力を有し、少なくとも「被膜形成性成分」と有機反射防止膜組成物に必須とされるいわゆる染料成分が、有機溶剤に溶解されてなる組成物から形成された被膜と、
(ii)少なくとも「被膜形成性成分」が有機溶剤に溶解されてなる組成物から形成された被膜であって、有機反射防止膜組成物に必須とされる露光光を吸収する、いわゆる染料と呼ばれている成分やその他の任意の添加剤を含んでいない被膜
の両方を包含する概念とする。
「レジスト膜」は、
(i)少なくとも「被膜形成性成分」が有機溶剤に溶解されてなる組成物から形成された被膜であって、化学増幅型レジスト組成物において必須とされる露光により酸を発生する酸発生剤成分、化学増幅型ではないレジスト組成物において通常必須とされるキノンジアジドエステル化物などのいわゆる感光性成分、及びその他の任意の添加剤を含んでいない被膜と、
(ii)それ自体で既に露光すると未露光部と露光部とでアルカリ現像液に対する溶解性が異なる特性を示す機能を有するもので、「被膜形成性成分」と、酸発生剤や感光性成分が有機溶剤に溶解されてなる組成物から形成された被膜
の両方を含む概念とする。
なお、「被膜形成性成分」とは、被膜を形成するベースとなる成分を示し、好ましくは樹脂である。
ただし、「反射防止膜」は被膜、好ましくは被膜形成性成分と、酸発生剤や感光性成分が有機溶剤に溶解されてなる組成物から形成されるレジスト膜の最下層に設けられるものであることが望ましい。
以下、被膜として、「レジスト膜」を形成する際の材料について具体的に説明する。
ただし、被膜を形成する際に用いる組成物は、少なくとも下記樹脂成分(A)を有機溶剤(C)に溶解してなる組成物を用いればよい。下記酸発生剤成分(B)等、その他の成分は、超臨界処理にて後の工程[露光工程の前、あるいは現像工程前(露光工程と現像工程の間)]で導入することもできる。
そのため、レジストパターンの形成において、基板上に塗布されたポジ型レジスト組成物に対して、マスクパターンを介して選択的に露光すると、露光部のアルカリ可溶性が増大し、アルカリ現像することができる。
ここで、(メタ)アクリル酸から誘導される構成単位や(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位の様に、(メタ)アクリル酸に由来する骨格を主鎖に有する構成単位を、「アクリル構成単位」というものとする。そして、「アクリル構成単位」を有する樹脂を「アクリル系樹脂」というものとする。
「アクリル系樹脂」を用いたレジスト組成物はエッチング耐性が低下する傾向があるため本発明を適用して、耐エッチング向上剤を導入すると好ましい。
特に「アクリル系樹脂」のうち、「アクリル構成単位」の割合が、樹脂成分中50モル%以上、好ましは80モル%以上であるもの、特に100モル%であるものに適用すると好ましい。この様なタイプの樹脂成分は特にArFエキシマレーザー用として多用されているので、本発明は、ArFエキシマレーザープロセスに適用し、耐エッチング向上剤を導入することが望ましい。
(A)成分は、複数の異なる機能を有するモノマー単位、例えば以下の構成単位の組み合わせとすることができる。
酸解離性溶解抑制基を含む構成単位(以下、第1の構成単位又は(a1)という場合がある。)、
ラクトン単位を含む構成単位(以下、第2の構成単位又は(a2)という場合がある。)、
アルコール性水酸基含有多環式基を含む構成単位(以下、第3の構成単位又は(a3)という場合がある。)、
前記第1の構成単位の前記酸解離性溶解抑制基、前記第2の構成単位のラクトン単位、および前記第3の構成単位のアルコール性水酸基含有多環式基のいずれとも異なる多環式基を含む構成単位(以下、第4の構成単位又は(a4)という場合がある。)
本明細書において「ラクトン単位」とは、単環式又は多環式のラクトンから1個の水素原子を除いた基を示す。
(a1)と、(a2)または(a3)のいずれか一方とを組み合わせてもよく、(a1)と(a2)と(a3)を全て含むものが、架橋剤との反応が進行しやすく、また耐エッチング性、解像性、レジスト膜と基板との密着性などから、好ましい。
さらにはこれら3種の構成単位が(A)成分の80モル%以上、より好ましくは90モル%以上を占めていることが好ましい。
さらに、(A)成分に(a4)を含有させることにより、特に孤立パターンからセミデンスパターン(ライン幅1に対してスペース幅が1.2〜2のラインアンドスペースパターン)の解像性に優れ、好ましい。
なお、(a1)〜(a4)それぞれについて、複数種を併用してもよい。
(A)成分の第1の構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位であってもよく、水酸基が酸解離性溶解抑制基で置換されたヒドロキシスチレンから誘導される構成単位であってもよい。
(a1)における酸解離性溶解抑制基は、露光前は(A)成分全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、露光後は前記(B)成分から発生した酸の作用により解離し、この(A)成分全体をアルカリ可溶性へ変化させるものであれば特に限定せずに用いることができる。一般的には、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基またはヒドロキシスチレンの水酸基と、環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基、第3級アルコキシカルボニル基、又は鎖状アルコキシアルキル基などが広く知られている。
前記多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。この様な多環式基は、ArFレジストにおいて、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらの中でもアダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
または、(a1)として、例えば、水酸基が酸解離性溶解抑制基で置換されたヒドロキシスチレンから誘導される構成単位を好適に用いることができる。
第1の構成単位(a1)として好適なモノマー単位を下記[化2]〜[化15]に示す。
また、R4は、tert−ブチル基やtert-アミル基のような第3級アルキル基であり、tert−ブチル基である場合が工業的に好ましい。
第1の構成単位(a1)として、上記に挙げた中でも、特に一般式(I)、(II)、(III)で表される構成単位は、解像性に優れるので好ましい。
構成単位(a1)は1種または2種以上混合して用いることができる。
(A)成分の第2の構成単位(a2)は、ラクトン単位を有するので、レジスト膜と基板の密着性を高めたり、現像液との親水性を高めるために有効である。
(a2)は、ラクトン単位を有し、(A)成分の他の構成単位と共重合可能なものであればよい。
例えば、単環式のラクトン単位としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基などが挙げられる。また、多環式のラクトン単位としては、ラクトン含有ビシクロアルカンから水素原子を1つを除いた基などが挙げられる。
(a2)として、好ましくは、ラクトン単位を含み、かつ(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位が用いられる。
第2の構成単位(a2)として好適なモノマー単位を下記[化16]〜[化18]に示す。
構成単位(a2)は1種または2種以上混合して用いることができる。
(A)成分の第3の構成単位(a3)のアルコール性水酸基含有多環式基における水酸基は極性基であるため、これを用いることにより(A)成分全体の現像液との親水性が高まり、露光部におけるアルカリ溶解性が向上する。したがって、(a3)は解像性の向上に寄与する。また、(a3)を用いると、架橋剤を添加した場合に、水酸基が架橋剤と反応しやすくなるため好ましい。
そして、(a3)における多環式基としては、前記第1の構成単位(a1)の説明において例示したものと同様の多環式基から適宜選択して用いることができる。
(a3)におけるアルコール性水酸基含有多環式基は特に限定されないが、例えば、水酸基含有アダマンチル基などが好ましく用いられる。
さらに、この水酸基含有アダマンチル基が、下記一般式(IV)で表されるものであると、耐ドライエッチング性を上昇させ、パターン断面形状の垂直性を高める効果を有するため、好ましい。
特に(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
具体的には、下記一般式(IVa)で表される構成単位が好ましい。
第4の構成単位(a4)において、「前記酸解離性溶解抑制基、前記ラクトン単位、および前記アルコール性水酸基含有多環式基のいずれとも異なる」多環式基とは、(A)成分において、構成単位(a4)の多環式基が、前記第1の構成単位の酸解離性溶解抑制基、前記第2の構成単位のラクトン単位、および前記第3の構成単位のアルコール性水酸基含有多環式基のいずれとも重複しない多環式基、という意味であり、(a4)が、(A)成分を構成している第1の構成単位の酸解離性溶解抑制基、第2の構成単位のラクトン単位、第3の構成単位のアルコール性水酸基含有多環式基をいずれも保持しないことを意味している。
(a4)における多環式基は、ひとつの(A)成分において、前記(a1)〜(a3)として用いられた構成単位と重複しない様に選択されていればよく、特に限定されるものではない。例えば、(a4)における多環式基として、前記の構成単位(a1)として例示したものと同様の多環式基を用いることができ、ArFポジレジスト材料として従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。
(a4)の好ましい例を下記[化21]〜[化23]に示す。
また、(A)成分を構成する構成単位の合計に対して、第2の構成単位(a2)が20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%であると、解像度に優れ、好ましい。
また、(A)成分を構成する構成単位の合計に対して、第3の構成単位(a3)が5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%であると、レジストパターン形状に優れ、好ましい。また、構成単位(a3)の水酸基と架橋剤とが反応し、架橋反応が進行しやすくなる点からも好ましい。
第4の構成単位(a4)を用いる場合、(A)成分を構成する構成単位の合計に対して、1〜30モル%、好ましくは5〜20モル%であると、孤立パターンからセミデンスパターンの解像性に優れ、好ましい。
また(A)成分におけるアルカリ可溶性単位の含有量を20モル%未満とするには、共重合させるモノマー全体における、該アルカリ可溶性単位を有するモノマーの含有割合を20モル%未満とすればよい。
(A)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
酸発生剤成分(B)としては、従来、化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(A=3の場合)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(A=4の場合)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(A=6の場合)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(A=10の場合)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(B=2の場合)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(B=3の場合)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(B=6の場合)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(B=10の場合)などを挙げることができる。
(B)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。0.5質量部未満ではパターン形成が十分に行われないし、30質量部を超えると均一な溶液が得られにくく、保存安定性が低下する原因となるおそれがある。
ポジ型レジスト組成物は、前記(A)成分と前記(B)成分と、後述する任意の(D)成分などを、有機溶剤(C)に溶解させて製造することができる。
有機溶剤(C)としては、前記(A)成分と前記(B)成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
PGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比が1:9〜9:1、好ましくは2:8〜8:2であると好ましい。
特にPGMEAとPGMEとの混合溶剤は、前記(a1)〜(a4)を全て含む(A)成分を用いる場合に、ポジ型レジスト組成物の保存安定性が向上し、好ましい。
(C)成分として、他にはPGMEA及び乳酸エチルの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
また、ポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の(D)成分として含窒素有機化合物を含有させることができる。含窒素有機化合物は、好ましくは第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンであり、クエンチャーとして用いられる。尚、含窒素有機化合物の概念には、後述する「耐エッチング向上剤」を含まない概念とする。
ここで、低級脂肪族アミンとは炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンを言い、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリぺンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンのようなアルカノールアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの(D)成分は、(A)成分に対して、通常0.01〜1.0質量%の範囲で用いられる。
(E)成分としては、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体などが挙げられる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。また、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
以下、超臨界処理に用いる材料について説明する。
超臨界処理液は、超臨界流体に有機物を溶解したものである。
有機物は、超臨界処理によって被膜中に導入する成分である。
上記例では、超臨界流体として二酸化炭素を用いたが、これに限定されるものではなく、要はレジスト膜又は被膜が熱変形しない臨界温度を持つものであれば、常温常圧の状態が液体、気体にかかわらず、すべて用いることができる。一般には、100℃以下の臨界温度を有する物質が適しており、大気雰囲気下では気体であり上記臨界温度を有する、二酸化炭素、SF6、CHF3、CHF2OCH3などのフッ素化合物が例として挙げられる。中でも二酸化炭素が好ましい。
具体例としては、上述に例示したものの他、H2O、C3H6、CH2F5などのフッ素化合物等も挙げられる。
例示した流体の臨界温度(以下、Tcということもある。)および臨界圧力(以下、Pcということもある。)は以下のとおりである。
CO2:Tc=31.1℃、Pc=約7.38MPa(72.8atm)、
H2O:Tc=374℃、Pc=約22.0MPa(217.6atm)、
C3H6:Tc=92.3℃、Pc=約4.6MPa(45.6atm)、
N2O:Tc=36.5℃、Pc=約7.27MPa(71.7atm)、
CHF3:Tc=25.9℃、Pc=約48.4MPa(47.8atm)、
SF6:Tc=45.5℃、Pc=約3.75MPa、
C2HF5:Tc=66.3℃、Pc=約3.62MPa、
CF3CH2OCH3:Tc=176℃、Pc=約3.62MPa、
CF3CF2OCH3:Tc=133.8℃、Pc=約2.89MPa。
以下、超臨界流体に溶解する有機物について説明する。
有機物は超臨界流体に溶解可能なものであれば特に限定することはない。
例えば有機反射防止膜組成物においては、耐エッチング向上剤、露光光吸収する機能を有するいわゆる染料などを挙げることができる。ここで「染料」は、通常の意味ではなく、上述の様に、「露光光」を吸収し、反射防止膜としての機能を付与する特性を有するもの全てを包含する概念とする。
レジスト組成物においては、化学増幅型ではないレジスト組成物の材料としては、感光性成分、増感剤などを挙げることができる。化学増幅型レジスト組成物においては、上述の(B)酸発生剤成分、(D)含窒素有機化合物、(E)酸性化合物成分などを挙げることができる。
超臨界処理液中の有機物の濃度は、超臨界流体に溶解できる範囲であれば、特に限定されないが、前記処理液中、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜10重量%、典型的には0.01〜0.1質量%程度が適当である。レジスト膜に対する有機物の濃度は、例えばエッチング耐性を向上させるために、10〜20質量%程度、特に20質量%程度とするのがよい。
好ましくは体積換算で、50〜150Å3程度の空隙を充填できる大きさであり、好ましくは50〜120Å3、特に100Å3程度であることが望ましい。
また、前記耐エッチング向上剤が、架橋剤を含むことが好ましい。エッチング耐性がより向上するからである。
さらに、前記触媒が、露光により酸を発生する酸発生剤を含むことが好ましい。上述の様に感度を向上させることができるからである。
そして、これらが低分子量体であるとより好ましい。
以下、それぞれについて具体例を挙げて説明する。
耐エッチング向上剤としては、リソグラフィ技術において、ネガ型レジスト組成物などに配合されているいわゆる「架橋剤」を挙げることができる。
また、アミノ系架橋剤、ビニル系架橋剤が挙げられる。
さらには、アミノ系架橋剤およびビニル系架橋剤からなる群から選ばれる1種以上を含む架橋剤を用いることが好ましい。
ビニル系架橋剤とは、ビニル基を、好ましくは2以上有するものが好ましく、特にビニル基を2以上有し、かつエーテル基を有する架橋性ポリビニルエーテル化合物が好ましい。
このようなポリビニルエーテル化合物は、特開平6−148889号公報、特開平6−230574号公報に多数列挙されており、これらの中から任意に選択して使用することができる。
中でも、次の一般式(F−0−1):
[式中、R0は直鎖基、分岐基又は環基を含むアルカンからm個の水素原子を除いた基、または芳香族環からm個の水素原子を除いた基であり、mは2、3又は4の整数を示す]
R0の炭素数は例えば1〜20が好ましい。
なお、「芳香族環からm個の水素原子を除いた基」において、芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられ、ベンゼン環が好ましい。
また、後述する化合物(F−1)も好ましい。
アミノ系架橋剤としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、グリコールウリルなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドと低級アルコールを反応させ、該アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基又は低級アルコキシメチル基で置換した化合物が挙げられる。
これらのうち、メラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素を用いたものを尿素系架橋剤、エチレン尿素、プロピレン尿素等のアルキレン尿素を用いたものをアルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤という。
架橋剤としては、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、アルキレン尿素系架橋剤およびグリコールウリル系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特にグリコールウリル系架橋剤が好ましい。
また、後述する化合物(F−2)も好ましい。
R3’とR4’が低級アルコキシ基であるとき、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、直鎖状でもよく分岐状でもよい。R3’とR4’は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。同じであることがより好ましい。
vは0又は1〜2の整数であり、好ましくは0または1である。
アルキレン尿素系架橋剤としては、特に、vが0である化合物(エチレン尿素系架橋剤)および/またはvが1である化合物(プロピレン尿素系架橋剤)が好ましい。
グリコールウリル系架橋剤の具体例としては、例えばモノ,ジ,トリ及び/又はテトラヒドロキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラエトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどが挙げられる。
また、後述する化合物(F−3)も好ましい。
また、化合物(F−1)としては、下記化学式で示す化合物が好ましい。
化合物(F−3)において、R41〜R44はそれぞれ独立して直鎖状でも分岐鎖状であってもよい炭素数5以下のアルキル基を示す。R41〜R44は相互に異なっていても同じであってもよいが、全て同じであることが望ましい。また、少なくともメチル基を含むことが好ましく、全てがメチル基であることがより好ましい。
また、例示した架橋剤は、炭素、水素、窒素原子から構成されているが、これに限定するものではない。例えば、上述の例示した構造において、一部フッ素や塩素で置換されていてもよい。また、上述の例示した構造において、(CH3)3Si−などのシリコンなどの金属が含まれる基を有するものであってもよい。
触媒は、被膜中にて触媒として作用する物質であることが望ましい。すなわち、被膜中で行われる反応を促進する役割を果たすものが望ましい。
例えば、前記(A)成分の酸解離性溶解抑制基の解離反応を助ける前記(B)成分が触媒としてあげられる。また、架橋反応の進行を助けるものとして、架橋剤とともに、触媒を配合することも望ましい。この架橋反応を促す触媒としては、例えば 露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)などが挙げられ、酸発生剤成分(B)であることが望ましい。
含窒素有機化合物としては、上記(D)成分と同様のものが挙げられる。
酸性化合物としては、上記(E)成分と同様のものが挙げられる。
フラーレンで知られている球面状共役結合構造の炭素化合物(フラーレン化合物)も好ましい。
炭素数が60程度のフラーレン化合物は、直径0.7nm程度の分子であり、自由体積の大きさを考慮すると、好適な大きさである。
また、フラーレン化合物は、エッチング耐性も非常に高い。
なお、本発明において「フラーレン化合物」とは、炭素のみからなるいわゆるフラーレンと、その炭素鎖で形成されたドーム内に例えば、S i, Al, T iなどの金属を導入(配位)した誘導体や、炭素鎖に官能基などの置換基を導入した誘導体なども含むものとする。例えば特開平10−282649号公報に記載のものなども用いられる。
例えば(A)成分がアルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシ基等の官能基を有するとき、これらの官能基と反応する官能基を有するものが好ましい。
すなわち、(A)成分の官能基の反応としては、「−OH+Cl−→−O−+HC1↑」や、「−COOH+HOOC−→−COOC−+H2O↑」などがある。
フェノール性水酸基は、例えばヒドロキシスチレン構成単位などに存在する。
また、例えば酸解離性溶解抑制基で保護された(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位においては、露光、加熱などの処理によって前記溶解抑制基の分離により、その一部がカルボキシ基に変化する。また、未反応のカルボキシ基が残っている場合もある。
ヒドロキシスチレン構成単位の水酸基が酸解離性溶解抑制基で保護された構成単位においても、同様に溶解抑制基の分離により、その一部が水酸基に変化する。また未反応の水酸基が残っている場合もある。
また、前記構成単位(a3)を用いると、反応性の点で好ましい。
また、いわゆる架橋剤に用いられている官能基を用いることもできる。
フロロプロピル基などを導入したフラーレンも好ましい。
また、極性を有する−OH、−COOH、−COOCH3などの官能基を導入してもよい。
上記例示した以外の他の低分子量体としては、例えば従来レジスト組成物に用いられるものが適用できる。
具体的には、以下のものが挙げられる。
例えば下記一般式(II−A)
これらは感光性成分として用いることもできる。
有機物は1種または2種以上混合して用いることができる。
本発明において、前記有機物として、少なくとも触媒と耐エッチング向上剤を含有すると好ましい。これにより、例えば耐エッチング向上剤が、例えば(A)成分と反応する機能を触媒により促進することができるからである。
耐エッチング向上剤と触媒の質量比率は9:1〜1:9であることが好ましく、8:2〜2:8であることがさらに好ましく、等量程度であることが、例えば架橋反応促進の点から最も好ましい。
また、前記有機物として、少なくとも触媒、耐エッチング向上剤及び含窒素有機化合物を含有することも好ましい。これにより、例えば耐エッチング向上剤が例えば(A)成分と反応する機能を触媒により促進することができるとともに、含窒素有機化合物により、触媒が酸発生剤成分などである場合に、余計に発生した酸成分によって、レジスト組成物中の酸解離性溶解抑制基の過剰な分解等を防ぐことができる等の作用が得られるからである。
また、前記有機物として、少なくとも触媒、耐エッチング向上剤、含窒素有機化合物及び酸性化合物を含有することも好ましい。この場合も耐エッチング向上剤の反応を促進させたり、レジストパターン形状を劣化させる様なことを防ぐことができるからである。
また、有機物は、適当な有機溶剤に溶解し、「溶媒」と混合することもできる。
有機溶剤としては、有機物を溶解可能なものであれば特に限定することなく用いることができ、具体的には、ノルマルヘキサンなど等の炭化水素を代表とする非極性溶剤や、エチルアルコール等の極性溶剤を用いることができる。
なお、有機物を複数種類用いる場合、これらを「溶媒」にまとめて投入して混合してもよいし、「溶媒」に1種の有機物を溶解した処理液と、「溶媒」にその他の有機物を溶解した処理液を、その種類毎に別々に製造し、これをそれぞれ後述する高圧容器内に導入し、高圧容器内で混合する様にしてもよい。
これにより、例えば架橋剤を添加した場合に架橋反応を進行させることができる。
また、この加熱処理は超臨界状態とするときの加熱を利用することもできる。
なお、この選択的な露光とは、図1(d)に示した様に、露光光によるマスクパターン7を介しての露光の他、電子線によるマスクパターンを介しての照射、あるいは電子線によるマスクパターンを介さない描画をも含むものである。
ついで、PEB(露光後加熱)を行う。これにより、露光部2aがアルカリ現像液に対して可溶となる。
ついで、現像処理を行う。
すなわち、アルカリ性水溶液からなるアルカリ現像液を用いて現像処理した後、純水を用いて水リンスを行う。水リンスは、例えば、基板を回転させながら基板表面に水を滴下または噴霧して、基板上の現像液および該現像液によって溶解したレジスト組成物を洗い流す。これにより、図1(e)に示した様に、ポジ型レジスト組成物の被膜2がマスクパターンに応じた形状にパターニングされ、レジストパターンが得られる。
露光に用いる光源は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、電子線、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に上述の例のポジ型レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザーおよび電子線に対して有効である。また、特にエッチング耐性の低いArFエキシマレーザープロセス用のレジスト組成物を用いる場合に適用すると好ましい。
なお、基板とレジスト組成物の塗膜との間に、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
なお、現像処理後の水リンスは省略することもできるが、水リンス工程を行って、アルカリ現像液中のアルカリ成分等を洗い流す方が好ましい。
図4(a)は被膜2を形成した後、マスクパターン7を介して選択的露光を施して、未露光部2bと露光部2aとを形成している操作を示した図である。
この様に先に露光部2aと未露光部2bとを形成した状態で、図4(b)に示す様に超臨界処理を行い、ついで図4(c)に示した様に、超臨界流体3’を放出し、超臨界処理ずみの被膜2を得る。
ついで、図4(d)に示す様に、現像処理、必要に応じてリンス処理を行うと、レジストパターンを得ることができる。
例えば、常法によって、基板の上に有機反射防止膜(被膜)を形成し、この被膜に超臨界処理によって染料を導入すると、反射防止性能が向上した有機反射防止膜が得られる。
以下、手順にそって図1(a)〜図1(c)と図5を参照しながら説明する。
図5は流体の気液平衡曲線を模式的に例示した図である。図中、点Aは臨界点を示し、二酸化炭素の場合、Tc=31.1℃、Pc=7.38MPaの点である。
ついで、高圧容器を密閉する。このとき高圧容器内の温度および圧力は、例えば室温(例えば23℃)および大気圧(図5中、点(1))の状態とする。
すると、高圧容器は超臨界前駆体液で満たされた状態となる。
すると、被膜2の周囲に有機物4が溶解した超臨界前駆体処理液5が充填されるとともに、高圧容器内が超臨界状態となっていることから、この超臨界前駆体処理液5は、有機物4が超臨界流体3’に溶解した超臨界処理液5’に変化する。
この様にして、被膜2に、超臨界処理液5’を接触させ、被膜2を超臨界処理液5’に浸漬することができる。
そして、所定時間放置すると、図1(b)に示す様に被膜2の内部に超臨界処理液5’中の有機物4が浸透していく。
この後、必要に応じて高圧容器内を室温に冷却する。
これにより、図1(c)に示す様に、有機物4が内部に導入、分散した被膜2が、乾燥した状態で得られる。
特に有機物4の導入量が多量であるときなどに有効である。
(方法1)図1(b)に示す様に被膜2に有機物4を浸透させた後、高圧容器内に、有機物を溶解しにくい超臨界前駆体液(以下、便宜上、「不活性超臨界前駆体液」という)を導入するとともに、超臨界処理液5’を排出する。すると、高圧容器内に導入された「不活性超臨界前駆体液」は、超臨界状態の流体(便宜上、「不活性超臨界流体」という)となる。これにより、高圧容器中の有機物4の濃度を低下させることができる。
その後、超臨界流体を放出し、圧力を低下させる。
これにより、有機物4が導入された被膜2の周囲は、有機物4の溶解度が比較的低い「不活性超臨界流体」で満たされるので、被膜2内に導入した有機物4が、被膜2の外部へ再度は出てしまうことを抑制できる。
このような用途に適した「不活性超臨界流体」としては、有機物の溶解性が比較的低く、かつ超臨界点が、二酸化炭素やフッ素化合物などに比べて比較的低く、超臨界状態とすることが容易であるため、ヘリウム、キセノン、窒素などの希ガスを用いることができ、特にヘリウムが好ましい。
具体的には、例えば「不活性超臨界前駆体液」として、10MPa〜20MPa程度にに加圧したヘリウムを高圧容器の内部に導入し、超臨界ヘリウム(「不活性超臨界流体」)を高圧容器に充填し、高圧容器内の超臨界流体3’や余分な有機物4を排出する。
そして、有機物4の導入に用いたものと同様の超臨界前駆体液3を、有機物を溶解していない状態で、導入する。この前駆体液は、高圧容器内で、超臨界流体3’となる。
最低限度の圧力にすることにより、高圧容器内の超臨界流体3’の密度が低下する。これにより、有機物4の溶解性を低くすることができる。
すなわち、高圧容器の外で超臨界状態とした超臨界流体を、超臨界状態の温度、圧力条件に調整した高圧容器に供給する。
加熱処理については、超臨界状態とするため行う加熱を利用することもできる。すなわち、上記超臨界処理の過程で、図1(b)〜図1(c)に示す様に、被膜2中に有機物4を導入する作業の温度条件が、架橋反応を進行させることが可能な温度条件であれば、上記超臨界処理の工程と、当該架橋反応を進行させる工程とを同時に行うことができる。
高圧容器内の超臨界処理液5’を放出する前に、このような架橋反応を進行させておくことにより、被膜2に導入した有機物4が、導入した後に、被膜2の外部に逆戻りしてしまう現象を抑制することができる。
加熱条件は、80〜140℃、好ましくは90〜130℃、特に110℃程度とされる。
また、光を照射し、ついで加熱処理を行うこともできる。
光の照射は例えば波長500nm程度以下の紫外線又は遠紫外線などの放射線を照射する。
第2の実施形態について以下に説明する。
第2の実施形態において、第1の実施形態と異なるのは、図6、図7に示す様な装置を用いて、超臨界流体と有機物を混合した超臨界処理液を、直接レジストパターンに供給する点である。
そして、これら超臨界流体供給系12から超臨界処理部11につなぐ流路は、上流側の途中で分岐し、一方が有機物供給部13を備えた有機物供給経路14、他方が直接供給経路16となっている。そして、これら有機物供給経路14と直接供給経路16とが下流側で再び合流した供給路15が超臨界処理部11に接続されている。
ついで、超臨界流体供給系12から、直接供給経路16側に超臨界流体を送ると、超臨界処理部11に超臨界流体のみを導入することができる。
このとき超臨界処理部11は超臨界状態となる温度条件、圧力条件としておく。
この様にして超臨界処理部11内に超臨界流体を充填する。
ついで、超臨界流体供給系12から、有機物供給経路14側に超臨界流体を送ると、その途中の有機物供給部13にて有機物が混合される。この様にして超臨界流体と有機物とが混合した超臨界処理液が供給路15から超臨界処理部11に供給される。
これにより、超臨界処理部11中の被膜10の周囲に超臨界処理液を充填する。そして、被膜に有機物を浸透させる。
なお、有機物供給部13は、有機物を溶解するために必要に応じて加熱することもできる。
この場合は、例えば超臨界前駆体液供給系12’から、直接供給経路16を経て、超臨界処理部11に超臨界前駆体液を導入し、充填する。
このとき超臨界処理部11は超臨界流体が液相となる温度条件、圧力条件としておく。
ついで、有機物供給経路14において、有機物供給部13にて有機物を混合して得られた超臨界前駆体処理液を、超臨界処理部11に導入し、充填する。
ついで、超臨界処理部11を超臨界状態の温度条件、圧力条件とし、被膜10に有機物を浸透させる。
そして、超臨界処理部11に供給された超臨界処理液は、循環経路17にて抜き出され、有機物供給経路14に戻され、循環する様になっている。
この装置においては、このように循環経路17により、超臨界処理液が循環するので、超臨界処理液中の有機物の濃度を安定させることができる。
このとき超臨界処理部11は超臨界状態となる温度条件、圧力条件としておく。
これにより、超臨界処理部11中の被膜10の周囲に超臨界処理液を充填する。そして、被膜10に有機物を浸透させる。
また、図6に示した装置と同様に、超臨界流体供給系12にかえて、超臨界前駆体液供給系12’を用いることもできる。
本発明のリソグラフィプロセス用超臨界処理液(以下、「超臨界処理液」という)は、超臨界流体となる物質に有機物を溶解し、それを高圧容器に密閉保存した
ものであり、好ましくは、超臨界流体となる物質に所定量の有機物を溶解し、それを移動可能な保存用高圧容器に保存したリソグラフィプロセス用超臨界処理液である。
「移動可能な保存用高圧容器」としては超臨界状態あるいは、超臨界状態とする前の駅相状態とするための高圧に耐え得るタンク、ボンベなどが挙げられる。
すなわち、有機物が低分子量体であることが望ましい。
また、有機物が耐エッチング向上剤、触媒、含窒素有機化合物、酸性化合物およびフラーレン化合物からなる群から選ばれる1種以上を含むことが望ましい。
さらに、前記耐エッチング向上剤が、架橋剤を含むが望ましい。
この様な超臨界処理液は、本発明のレジストパターン形成方法に適している。
また、前記リソグラフィプロセス用超臨界処理液は、「超臨界流体となる物質」が二酸化炭素であることが望ましい。
この超臨界処理液は、例えば有機物を超臨界流体に溶解して製造し、ボンベなどの「移動可能な保存用高圧容器」に充填して提供することができる。
一方、予め多量の有機物をボンベ(タンク)等の「移動可能な保存用高圧容器」に入れておけば、初期段階ではその濃度が高く、タンクからエッチング耐性物資がなくなる段階では低濃度の状態となる。この欠点を解決するには、予め一定量のエッチング耐性物質や酸発生剤を超臨界流体前駆体に溶解した超臨界処理液を用意すればよい。
例えば、液化二酸化炭素のボンベ内に上記化学式(1)で示したような有機物を一定濃度溶解させておく。
使用時には、前記ボンベ等の「移動可能な保存用高圧容器」を移動設置して、高圧容器に取り付け、直に基板を配置した高圧容器に、超臨界流体を導入すれば良いことになる。
この方法では前記ボンベ等の「移動可能な保存用高圧容器」内の超臨界処理液がなくなるまで常に一定の濃度の超臨界処理液を供給することとができ、濃度変動のない処理が可能となる。
リソグラフィプロセス用超臨界処理液は、予め超臨界流体と有機物の調合により作製されるが、高圧容器から放出される廃ガスを収集、純化、再調合させることにより作製しても何ら問題はない。
・アクリル系樹脂を用いたレジスト組成物
下記成分からなるアクリル系樹脂を用いたArFエキシマレーザー用レジスト組成物(以下、「ArFレジスト」ということがある)を用いて、以下の試験を行い本発明の効果を確認した。
樹脂成分(A) 100質量部
下記化学式からなる樹脂を用いた。モル比p:q:rは4:4:2である。
物質名:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート
(D)成分 (A)成分100質量部に対して0.2質量部
物質名:トリエタノールアミン
上記成分を(C)成分として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解して、固形分濃度約8質量%のレジスト組成物を調整した。
また、実施例3については、(A)成分を(C)成分に溶解した組成物を用いた。
先ず、シリコン基板上に有機反射防止膜ARC29(製品名、ブリューワサイエンス社製)からなる反射防止膜を77nm形成した。
次に、ArFレジストをスピン塗布し、130℃で90秒間加熱することで、膜厚300nmのレジスト膜を形成した。
基板を高配容器内部に配置して、容器を密閉した。容器の温度は50℃とした。有機物として、上記化学式(1)で示す化合物を、超臨界二酸化炭素に溶解させた処理液を高圧容器に導入した。
ポンプを用いて処理液を容器内に圧送することにより、容器内部の圧力を15MPaとし、この状態を5分間保持した。
減圧後、基板を高圧容器から取り出し、レジスト膜に、ArFエキシマレーザを光源とした所定のパターン像の露光を行い、ポストエクスボージャペーキング(露光後加熱)を130℃で90秒間行った後、23℃で2.38質量%のTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液で現像することでレジストパターンを形成した。
その結果、ラフネスの少ない90nm幅のラインアンドスペースパターンを形成することができた。
シリコン基板上に酸発生剤を含まないArFレジストをスピン塗布し、膜厚さ200nmのレジスト膜を形成した基板を、高容器内部に配置して、容器を密閉した。
容器の温度は35℃とした。
有機物として、スルホニウム塩からなる酸発生剤成分(トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート)を超臨界二酸化炭素に溶解させた処理液を上記高圧容器に導入した。
ポンプを用いて処理液を容器内に圧送することにより、容器内部の圧力を20MPaとし、この状態を5分間保持した。
この時点で酸発出剤成分は通常のレジスト材料の2倍充填できることになる。
減圧後、基板を高圧容器から取り出し、レジスト膜に、ArFエキシマレーザを光源とした所定のパターン像の露光を行い、130℃で90秒間ボストエクスボージャベーキング(露光枝加熱)を経て、23℃で2.38質量%のTMAH水溶接で現像することでレジストパターンを形成した。
その結果、通常のArFレジストに比べて感度が2倍の90nm幅のパターンを形成することができた。
シリコン基板上にアクリル系樹脂をスピン塗布し、膜厚200nmの高分子樹脂膜を形成した。
基板を高圧容器内部に配置して、容器を密閉する。容器の温度は85℃とした。
有機物として、スルホニウム塩からなる酸発生剤成分(トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート)、架橋性ボリビニルエーテル化合物(化27)、および含窒素化合物(トリエタノールアミン)[(D)成分]の三種を超臨界二酸化炭素に溶解させた処理液を上記高圧容器に導入した。
ポンプを用いて処理液を容器内に圧送することにより、容器内部の圧力20MPaとし、この状態を10分間保持した。
この時点で、これらのレジスト構成要素は通常のレジスト材料の2倍充填できることになる。
減圧後、基板を高圧容器から取り出し、高分子樹脂膜に、ArFエキシマレーザを光源とした所定のパターン像の露光を行い、130℃で90秒間ポストエクスポージャベーキング(露光後加熱)を経て、23℃で2.38質量%のTMAH水溶液で現像することでレジストパターンを形成した。
その結果、感度、解像性、エッチング耐性の高いレジストパターンを形成することができた。
有機反射防止膜に超臨界処理を行う実施例について説明する。
先ず、シリコン基板上に有機膜からなる反射防止膜(ARC29(ブリューワサイエンス社製))を200nmの厚さに形成した。
ついで、シリコン基板を耐高圧性の密閉容器(高圧容器)内部に配置して、容器を密閉した。
容器の温度は35℃とした。ついで、エッチング物質として上記フラーレン誘導体(F−4)を超臨界二酸化炭鸞に溶解させた処理液を上記密閉容器に導入した。
ポンプを用いて処理液を容器内に圧送することにより、容器内部の圧力を20MPaとし、この状態を5分間保持した。
ついで、密閉容器内の圧力を徐々に低下させて大気圧とした。
この結果、フラーレン誘導体が入ることにより、反射防止効果が増強され、かつエッチング耐性か高いというこれまでに存在しない高機能な反射防膜を得ることができた。
その後、ArFレジストをスピン塗布し、膜厚500nmのレジスト膜を形成した。そして、形成したレジスト膜に、ArFエキシマレーザを光源とした所定のパターン像の露光を行い、130℃で90秒間ポストエクスボージャベーキング(露光後加熱)を経て、23℃で2.38質量%のTMAH水溶液で現像することで良好なレジストパターンを形成した。
リソグラフィプロセス用細臨界処理液を用いたプロセスの実施例について説明する。
先ず、シリコン基板に有機反射防止膜ARC29(ブリューワサイエンス社製)からなる反射防止膜を77nmの厚さで形成した。
次に、ArFレジストをスピン塗布し、130℃で90秒間加熱することで、膜厚300nmのレジスト膜を形成した。
ついで、この基板を高圧容器内部に配置して、容器を密閉した。容器の温度は50℃とした。
一方、含窒素有機化合物(トリエタノールアミン)を10質量%濃度で溶解した液化二酸化炭素をボンベに導入し、密閉したものを用意した。
そして、このボンベからポンプを用いて含窒素有機化合物を溶解した液化二酸化炭素からなる処理液を高圧容器内に圧送することにより、容器内部の圧力を15MPaとすることにより、二酸化炭素を超臨界状態とした。この状態を5分間保持した。
減圧後、基板を高圧容器から取り出し、レジスト膜に、ArFエキシマレーザを光源とした所定のパターン像の露光を行い、130℃で90秒間ポスト工クスポージャベーキング(露光後加熱)を行って、23℃で2.38質量%のTMAH水溶液で現像することでレジストパターンを形成した。
この結果、ラフネスの少ない90nm幅のラインアンドスペースパターンを形成することができた。
2 被膜
3 超臨界前駆体液
3’ 超臨界流体
4 架橋剤
5’ 超臨界処理液
5 超臨界前駆体処理液
Claims (15)
- 基板上に1層以上の被膜を設け、該被膜に、露光、現像を含むリソグラフィ技術によりレジストパターンを形成するパターン方法であって、
露光もしくは現像前に、前記被膜を有機物を溶解した超臨界処理液に接触させる超臨界処理を行うことを特徴とするレジストパターン形成方法。 - 請求項1に記載のレジストパターン形成方法において、前記有機物が低分子量体を含むレジストパターン形成方法。
- 請求項2に記載のレジストパターン形成方法において、前記低分子量体が現像液中に含まれる現像分子と同程度の大きさを有しているレジストパターン形成方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法において、前記有機物が耐エッチング向上剤、触媒、含窒素有機化合物、酸性化合物およびフラーレン化合物からなる群から選ばれる1種以上を含むレジストパターン形成方法。
- 前記耐エッチング向上剤が、架橋剤を含む請求項4に記載のレジストパターン形成方法。
- 前記触媒が、露光により酸を発生する酸発生剤を含む請求項4または5に記載のレジストパターン形成方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法において、前記被膜がアクリル系樹脂を用いて形成されているレジストパターン形成方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法において、前記被膜は、その最下層が露光の反射防止膜となる樹脂を用いて形成されているレジストパターン形成方法。
- 超臨界流体となる物質に有機物を溶解し、それを高圧容器に密閉保存したリソグラフィプロセス用超臨界処理液。
- 請求項9に記載のリソグラフィプロセス用超臨界処理液において、前記有機物が低分子量体を含むリソグラフィプロセス用超臨界処理液。
- 請求項10に記載のリソグラフィプロセス用超臨界処理液において、前記有機物が耐エッチング向上剤、触媒、含窒素有機化合物、酸性化合物およびフラーレン化合物からなる群から選ばれる1種以上を含むリソグラフィプロセス用超臨界処理液。
- 請求項9〜11に記載のリソグラフィプロセス用超臨界処理液において、超臨界流体となる物質が二酸化炭素であるリソグラフィプロセス用超臨界処理液。
- 前記耐エッチング向上剤が架橋剤を含むことを特徴とする請求項11又は12記載のリソグラフィプロセス用超臨界処理液。
- 前記触媒が露光により酸を発生する酸発生剤を含むことを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のリソグラフィプロセス用超臨界処理液。
- 基板上に反射防止膜を形成する被膜を設け、前記被膜を有機物を溶解した超臨界処理液に接触させる超臨界処理を行うことを特徴とする反射防止膜形成方法。
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