JP2006205865A - 車外用エアバッグ - Google Patents

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Abstract

【課題】 車外用(歩行者保護用)エアバッグの耐久性を向上させる。
【解決手段】 車外に設置され車輌に衝突するものを車輌の車体との衝突により受ける衝撃から保護する車外用エアバッグであって、少なくとも外表面が耐熱性材料で被覆され、対向させて接合した織布の裁断端末部の裁断端末面に液状物侵入阻止用の暴露防止部材6を設けたことを特徴とする車外用エアバッグ。
【選択図】 図2

Description

本発明は、歩行者などと車輌の衝突時、歩行者などを保護するためのエアバッグに関するものである。
車輌の乗員保護用安全装置としてエアバッグシステムが普及し、運転席用から助手席用、側突保護用、後部座席用と装着部位も増えてきており、乗員に対する保護機能が高まっている。
しかし近年、車輌が歩行者と衝突する事故も多く、乗員の保護とともに歩行者の保護に関する規制の動きがあり、自らの周囲に保護体を保持していない歩行者に対し、車輌側からの安全対策の改善が求められている。
例えば、特許文献1(特開平6−239198号公報)には、車輌のバンパーを覆うようにエアバッグを展開させる方法、また、特許文献2(特開平7−108903号公報)には、前面ウィンド周縁部のフロントピラー内に装着されたエアバッグを展開させる方法、などが提案されている。
これらの方法は、従来、車輌の衝突時に乗員保護用に使用されているエアバッグを、歩行者の保護に使用するというものである。これら車外で展開するエアバッグは、これまでの車内に搭載されている運転席用や助手席用などのエアバッグに要求される特性に加え、社外に搭載される為の固有の耐久性が求められる。即ち、屋外での環境条件や車の性能維持の為に行われる作業条件、例えば、光、紫外線、熱、雨、雪、低温、湯水、油や溶剤類、洗剤、埃、などにも耐えることが必要になる。特に、エアバッグが密閉された堅牢な容器内に収納されない場合、あるいは密閉容器が破損した場合には、これらの環境要因の影響は大きくなる。エアバッグの外表面は、耐熱性に優れた不通気性材料で被覆することで、これらの外的要因から保護することができるが、裁断面には基布断面がのぞいており、外的要因の内、雨、湯水、油や溶剤、洗剤などの液体物質は、該裁断面から基布を構成する糸を伝わって基布内部にまで浸透し、これらの液状物により、場合によっては被覆材が膨潤したり、被覆材と基布との密着性が低下したり、あるいは基布の寸法変化や物理特性の変化などを生じる可能性もある。
その為、エアバッグ基布の被覆材やエアバッグの構造を検討することにより、エアバッグの気密性を改良することもなされている。例えば、特許文献3(特開平10−129380号公報)には、気密にシールした布を重ね合わせ、その外周部を縫合して袋部を形成し、縫合部をエアバッグの内側からシール材で被覆した側部用エアバッグが開示されている。また、特許文献4(特開2001−1854号公報)には、2枚のパネルの縁同士を、縫合と接着剤とを併用した接合によりエアバッグを作成する方法が提案されている。しかし、これらの先行技術は、いずれもエアバッグ内部からのガス漏れを低減、阻止する為の技術であり、袋体外部の外的要因からの保護に対しては、何ら配慮されていない。
さらに、特許文献5(特開2004−17776号公報)には、膨張した状態において外面に凹陥部が形成されるようにエアバッグ本体と該エアバッグ本体に沿って配置されたバッグ外皮とからなり、バッグ外皮が該凹陥部を跨いで緊張するように位置して、エアバッグ全面に亘って衝撃吸収能を向上させる方法も記載されている。しかし、本方法は、外的な衝撃力に対する保護性を向上させるものの、本発明が目的とする外的な環境要因に対する保護手段にはなり得ない。
特開平6−239198号公報 特開平7−108903号公報 特開平10−129380号公報 特開2001−1854号公報 特開2004−17776号公報
本発明は、歩行者保護用のエアバッグにおいて、エアバッグが車外に配置される為にうける、外的な環境要因に対して保護手段が講じられているものであり、長期間にわたって確実に歩行者の衝撃力を吸収することができる信頼性の高い車外用エアバッグ装置を提供するものである。
本発明は、エアバッグ本体の少なくも外表面が耐熱性樹脂で被覆され、しかもエアバッグの外周部の基布裁断面が外的な要因、特に液体などの侵入を阻止できる保護手段が講じられているエアバッグであって、長期に亘って、安全、確実に歩行者の衝突エネルギーを吸収することを可能にするものである。
すなわち、本発明は、
(1) 車外に設置され車輌に衝突するものを車輌の車体との衝突により受ける衝撃から保護する車外用エアバッグであって、少なくとも外面が耐熱性材料で被覆され、対向させて接合した織布の裁断端末部の裁断端末面に液状物侵入阻止用の暴露防止部材を設けたことを特徴とする車外用エアバッグ。
(2) 車外に設置され車輌に衝突するものを車輌の車体との衝突により受ける衝撃から保護する車外用エアバッグであって、少なくとも外面が耐熱性材料で被覆され、対向させて接合した織布の裁断端末部に液状物侵入阻止用の暴露防止部材としての反転部を設けたことを特徴とする車外用エアバッグ。
(3) 液状物侵入阻止用の暴露防止部材が、接着性を持つフレキシブルシートによる被覆である請求項1または請求項2に記載の車外用エアバッグ。
に関するものである。
本発明によれば、車外搭載時にエアバッグが各種液状物に触れることがあっても、それによる物理的、化学的な影響を全く受けず、長期にわたり歩行者が当接した際の衝撃力に耐える耐久性を保持し、歩行者への衝撃を緩和する機能を確保することができる高信頼性の車外用エアバッグを提供することができる。
本発明のエアバッグは、少なくとも外表面が耐熱性材料で不通気加工が施されていることが肝要である。車外搭載されるエアバッグは、外的な環境要因の影響を受け易く、特に、外表面が被覆されていない場合には、各種液状物と接触した際、基布内部に浸透し、その後に受ける、光、紫外線、雨水、湯水、洗剤などの影響も複合的に関係して、基布物性を低下させたり、寸法変化を生じる可能性もあり、耐圧容器としての気密性を確保することが難しくなり易い。
また、本発明では、エアバッグ本体の外周接合部の外側を構成する基布の裁断端末面が、外的要因、特に、液状物の侵入に対して保護手段が講じられていることも必要である。基布の裁断端末部の裁断面は、耐熱性材料に被覆された基布表面部と該被覆材とは接触していない基布内部から成るが、基布表面部は被覆材により保護されるものの、基布内部に位置する繊維糸条には、裁断面に露出している糸条間の毛管現象により各種液状物が浸透することが可能であり、浸透した物質、量によっては、被覆材と基布との密着性が損なわれたり、基布自体の物性低下や局部的な寸法変化をおこす可能性もある。特に、外周裁断面の近くには、縫合、製織、場合によっては接着、溶着などによる外周接合部が位置しており、裁断面から浸透した液状物によって、接合部が影響を受けることも考えられる。
本発明による、エアバッグ外周を構成する基布裁断面を含む裁断端末部に、保護手段として液状物の侵入を阻止する暴露防止部材を設けることにより、外的な環境要因による影響は抑えることができ、長期に亘ってエアバッグの耐久性を確保することができ、歩行者などが当接した際の衝撃を問題なく、吸収することができる。
図1に示すものは、本発明の車外用エアバッグの展開前の形状の一例を示す説明図である。このエアバッグは、折りたたまれて車両フロントガラスの前部に配設される。図1中、1はエアバッグ、2は基布、4は縫合などによる外周接合部、9は吊紐などの膨張規制部材を示す。
本発明で講じる保護手段としては、図3,4に示すように対向させて接合した織布の裁断端末部における外周接合部の外側に延出している基布を内側に折り曲げた反転部にて接合する接合法、図2、5、7に示すように本体基布とは別体のシート状物6、7により被覆する方法、図6に示すように接着性材料8で直接、被覆する方法、などがあるが、これらの手段は単独でも良いし、また、併用しても良い。また、保護手段は、これらに限定したものではない。これらの保護手段である反転部、被覆部が裁断端末部の裁断面から液状物が侵入するのを阻止する暴露防止部材として機能する。なお、図中、4、4a、4b、4c、4dは、縫合による接合部、14a接着による接合部を示す。
外周接合部の外側に延出している基布を内側に折り曲げてその反転部にて接合する方法では、複数の基布を内側に折り曲げ、同時に接合しても良く、それぞれの基布の延出部を単独で折り曲げて接合しても良い。折り曲げて接合する場合は、基布同士を重ね合わせて接合する前に、それぞれの基布の裁断部を折り曲げ、接合しても良いし、基布を重ね合わせて本体の外周部を接合した後に行って良い。延出部の折り曲げ部の長さは、エアバッグの部位、形状、要求性能などに応じて選定すればよいが、例えば、5〜20mm程度とすれば良い。接合は、縫合、接着、溶着、あるいはこれらの併用によれば良い。例えば、縫合の場合、本体外周の縫合と同じ仕様でもよく、異なった仕様でも良い。縫い糸は、例えば、ナイロン繊維やポリエステル繊維の50番手糸〜5番手糸を用い、運針数は2〜6針/cm、とし、本縫い、二重環縫い、安全縫い、縁かがり縫い、などを用いればよい。
本発明では、保護手段としての暴露防止部材として本体基布とは別体のシート状物により当該裁断端末部の裁断面を被覆してもよい。シート状物は、液状物に濡れても内部に浸透しないものであれば良く、例えば、不通気加工を施した織物、編物、不織布、組み布や、それ自体に気密性のあるフィルム、箔、などを用いればく、本体基布と同じ基布を用いても良い。これらのシート状物による裁断面への被覆は、縫合、接合などによればよいが、シート状物の片面に接着剤などを付与したものを用いてもよい。
また、本発明では、保護手段としての暴露防止部材として該裁断端末部の裁断面を接着性材料で被覆してもよい。接着性材料は、外部からの液状物の侵入を阻止するように遮蔽するものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、ポリウレタン系樹脂およびゴム、シリコーン系樹脂およびゴム、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、クロロプレン、ハイパロン、クロルヒドリンなどの含塩素系樹脂およびゴム、含フッ素系樹脂およびゴム、酢酸ビニル系樹脂、含イソシアネート系樹脂、瞬間接着剤などから選定された1種または2種以上を用いればよい。接着剤の使用量も、液状物の侵入を阻止するように遮蔽することができる程度であれば良く、例えば、塗布厚さを0.2〜1.0mm程度とすればよい。
また、接着性材料を裁断面に付与する方法は、接着性材料の性状、種類などにより、各種方法を適宜選択することができる。例えば、溶液状の接着性材料である場合には、圧縮エアーによるスプレーガンを使用したスプレー散布法、押し出しガンや刷毛による塗布法、浸漬法、ローラー等の回転体に接着性材料を付与し転写する方法などによれば良いし、また、シート状の接着性材料である場合には、スリットしたテープ状の短冊片を貼り付けるようにすればよい。
本発明では、エアバッグ本体の少なくとも外表面が耐熱性材料で被覆されているが、エアバッグ本体基布の少なくとも片面、好ましくは両面に被覆材を施した基布を作成し、この基布を用いて被覆材が外面になるようにエアバッグを作成しても良いし、エアバッグを作成後、外表面に被覆材を施してもよい。
本発明でエアバッグ本体基布に施される被覆材は、耐熱性、気密性、などを付与するために通常エアバッグに用いられているものの内、耐久性、耐候性、耐衝撃性に優れる材料、例えば、シリコーン樹脂またはゴム、ポリウレタン樹脂またはゴム(シリコーン変性、フッ素変性などを含む)、クロロプレンゴムやハイパロンゴムなどの含塩素系ゴム、フッ素系ゴム、ポリエステル系樹脂または樹脂、ポリアミド系樹脂またはゴム、などから選定された1種または2種以上を用いれば良い。
これらの被覆材を本体基布に付与する方法は、1)コーティング法(ナイフ、キス、リバース、コンマなど)、2)浸漬法、3)印捺法(スクリーン、ロール、ロータリーなど)、4)ラミネート法、5)噴霧法、などの加工法によればよい。被覆材の性状は、溶剤系、無溶剤系、エマルジョン系、水溶液系あるいはこれらの混合溶液、微粉末状、フィルム状またはシート状など、いずれでも良い。
また、被覆材には、加工性、接着性、耐久性、耐候性などを改良するために通常使用される各種の添加剤、例えば、架橋剤、反応促進剤、反応遅延剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、粘着防止剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤、などの一種または二種以上を選択、混合を使用してもよい。
本体基布への被覆材の付与は、同一または異なる二種以上の被覆材を重ねて積層してもよい。また、当接物への対応として耐切創性に優れる材料を含む被覆材を用いてもよい。例えば、アンダー層として本体基布との密着性、耐熱性、柔軟性に優れた第一の被覆材を基布面に施し、トップ層として耐切創性に優れる第二の被覆材を第一の被覆材の上に重ねた二層構造の被覆層を形成させてもよい。また、トップ層として使用する被覆材は、耐油性、耐候性、耐水性、耐擦過性、耐摩耗性にすぐれた材料を用いることは好ましい。
また、本発明のエアバッグ本体基布は、350デシテックス以上の糸から構成され、カバーファクターが720以上、より好ましくは800〜1120である織物であることが好ましい。ここで、カバーファクター(CF)は、経糸および緯糸の太さ(デシテックス)と経糸および緯糸の織物密度(本/cm)との積で求められる織物構造の粗密をあらわすパラメーターで、下式にて表される。
CF=Nw×√Dw+Nf×√Df
ここで、DwおよびDfは、経糸および緯糸の太さ(デシテックス)、NwおよびNfは、経糸および緯糸の織物密度(本/cm)を表す。
被覆材は、本体基布の少なくとも一方の表面、基布の間隙部あるいは繊維糸条の間隙など、いずれに介在させてもよい。
また、被覆材には基布との密着性を向上するための各種前処理剤、接着向上剤などを添加してもよいし、予め基布表面にプライマー処理などの前処理を施してもよい。更に、該被覆剤に耐熱性、老化防止性、耐酸化性などを付与するため、被覆剤を織物に付与した後、乾燥、架橋、加硫などを熱風処理、接触熱処理、高エネルギー処理(高周波、電子線、紫外線)などを行っても良い。
本発明に使用されるエアバッグ本体の基布は、通常の工業用織物を製造するのに用いられる各種織機により製織すればよく、例えば、シャトル織機、ウォータージェット織機(WJL)、エアージェット織機(AJL)、レピア織機、プロジェクタイル織機などから選べばよい。本発明では経糸および緯糸から構成される通常の織物以外に、織物の力学的な等方性を高めた三軸織物、四軸織物などを用いても良い。また、ジャカード織機により作成される二枚の基布を接結して袋構造をなす袋織物を用いてもよい。
エアバッグ本体を構成する織物の接合は、縫製、接着、溶着、製織、製編、あるいはこれらの併用などいずれでもよく、エアバッグとしての堅牢性、展開時の耐衝撃性、耐圧性などを満足するものであればよい。
例えば、縫合による場合、縫い仕様は、本縫い、二重環縫いなど通常のエアバッグに適用されている縫い目により行えば良い。また、縫い糸の太さは700デシテックス(20番手相当)〜2800デシテックス(0番手相当)、運針数は2〜10針/cmとすれば良い。複数列の縫い目線が必要な場合は、縫い目間の距離は2〜8mm程度として、多針型ミシンを用いれば良いが、1本針ミシンで複数回縫合しても良い。
また、場合によっては、縫い目からのガス抜け、基布の目ずれを防ぐため、接着剤、シール剤などを、縫い目の上および/または下、縫い目の間、縫い代部などに塗布、噴霧、積層しても良く、接着剤を塗布したテープ、帯状布、パッチなどを当該個所に貼り付けても良い。
縫合に使用する縫い糸は、一般に化合繊縫い糸と呼ばれるものや、工業用縫い糸として
使用されているものの中から適宜選定すればよく、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロン9T、ポリエステル、ビニロン、アラミド、カーボン、ガラスなどがあり、紡績糸、フィラメント合撚糸、フィラメント樹脂加工糸のいずれかでもよい。
また、本発明では使用するインフレーターの特性によっては、インフレーターからの熱ガスからエアバッグ本体基布を保護する為の耐熱保護布や力学的な補強布を設けても良い。これらの保護布や補強布は、布自体が耐熱性の材料、例えば、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、含フッ素系繊維などの耐熱性繊維材料を用いても良いし、エアバッグ本体と同じか別途作成した本体基布より太い糸を用いた織物などの基布に耐熱性材料を被覆加工したものを用いても良いし、被覆材を施さずに用いても良い。
また、本発明の本体基布を構成する繊維糸条は、特に限定するものではなく、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612などの単独またはこれらの共重合、混合により得られる脂肪族ポリアミド繊維、ナイロン6T、ナイロン9Tに代表される脂肪族アミンと芳香族カルボン酸の共重合ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの単独またはこれらの共重合、混合により得られるポリエステル繊維、ビニリデンまたはポリ塩化ビニルなどの塩素系繊維、ポリテトラフルオロエチレンを含むフッ素系繊維、ポリアセタール繊維、ポリサルフォン繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン系(PEEK)繊維、ポリイミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、高強力レーヨンを含むセルロース系繊維、ビニロン繊維、アクリル系繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ガラス繊維、炭素繊維、場合によっては、スチールに代表される金属繊維などから適宜選定すれば良い。
これらの繊維糸条には紡糸性や加工性、材質の耐久性を改善するために通常使用されている各種の添加剤、例えば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの一種または二種以上を使用してもよい。また、場合によっては、加撚、嵩高加工、捲縮加工、捲回加工などの加工を施してもよい。さらに糸条の形態は、長繊維のフィラメント、短繊維の紡績糸、これらの複合糸など、特に限定するものでない。
本発明になるエアバッグの仕様、形状、容量は、配設される部位、用途、収納スペース、当接物との衝撃の吸収性能、インフレーターの出力などに応じて選定すればよい。
また、エアバッグに歩行者が当接した際のエネルギー吸収のため、一個または複数の排気穴、例えばφ10mm〜φ80mmの円形またはそれに相当する面積の穴を設けても良く、排気穴の周囲には、補強布を接合してもよい。さらに、歩行者側へのエアバッグの突出を抑制したり、膨張時の厚みを規制するために、エアバッグの内側に吊り紐やガス流調整布、エアバッグの外側にフラップと呼ぶ帯状布、抑え布などを設けても良い。
バッグを収納する際の折畳み法も、運転席用バッグのように中心から左右、上下対称の屏風折り、あるいは中心に向かって多方位から押し縮める折り、助手席用バッグのようなロール折り、あるいは蛇腹折り、屏風状のつづら折り、あるいはこれらの併用や、シート内蔵型サイドバッグのようなアリゲータ折り、などにより折畳めば良い。
本発明は、歩行者保護用エアバッグの耐久性を改良する方法に関するものであるが、乗員保護用バッグ、例えば、運転席および助手席の前席保護用、側突保護用のサイドバッグ、追突保護用のヘッドレストバッグ、ニーバッグ、フットバッグ、乳幼児保護用(チャイルドシート)のミニバッグ、エアーベルト用袋体、乗用車、トラック・バス、二輪車などの各用途の他、機能的に満足するものであれば、船舶、列車、飛行機、あるいは他の輸送手段、遊園地設備、など他用途に適用しても良い。
以下、実施例に基づき本願発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例の中でエアバッグ本体基布の性能評価は以下の方法によった。
(1)基布強力
JIS L−1096(8.12.1−A法)により、下記の耐油性試験前後の基布強力を測定し、耐油性試験後の強力保持率(%)(N=3)を求めた。
(2)耐油性
(A)法 ガソリン(JIS2号)を約1cc基布表面(エアバッグの外表面に相当する面)に滴下し、室温×2日間放置した後、滴下部の表面状態を観察した。
(B)法 試験布をU字形に折り曲げ、U字の底辺部を軽油(JIS1号)に室温×24時間浸漬した後、浸漬部の軽油を軽く拭き取り、120℃×2日間放置した。試験後、浸漬部の表面状態を観察した。
(3)耐揉性
JIS L−1096(8.17.2−B法)により、耐油性試験後の耐揉性を試験(N=3)し、揉み試験後の試験片中央部の状態を観察した。
実施例1
エアバッグ用基布として、ナイロン66繊維470dtex/144f(糸強度8.6cN/dtex)の糸を用い、織密度が経、緯いずれも20本/cmの平織物を作成した。この織物を、精練、熱セットし、次いで、付加型の熱硬化性シリコーン樹脂(顔料としてカーボンブラックを1重量%含む)を織物の片面に45g/m(固型分換算)塗布した。織密度は、経、緯いずれも21本/cmであった。この基布から、揉み試験用および引張強力測定用の試験片を採取し、裁断面に沿って常温硬化型シリコーン接着剤(SE960、東レダウ社製RTV型1液接着剤)を押出し式塗布装置(押出しガン)により塗布し裁断面の保護を行った。次いで、前記耐熱性シリコーン樹脂を被覆した面に(A)法により耐油性試験を行い、各種特性を評価した。表1に示すように、耐油性、耐揉性、基布強力の保持率いずれも問題はなかった。
実施例2
実施例1において、基布の一方の面に45g/m、他方の面に30g/m塗布して基布を得た。特性試験用の試験片には、実施例に準じてSE960を裁断面に沿って塗布し、保護層を施した。次いで、(B)法により耐油性試験を行い、各種特性を評価した。表1に示すように、いずれの特性も、良好であった。
比較例1
実施例1において、被覆層の無い面に対して(A)法により耐油性試験を行い、各種の特
性を評価した。外表面に被覆層が無い場合には、基布を通じて油剤が裏面に透過して、裏側の被覆材に影響を及ぼし、基布強力も低下する。
比較例2
実施例2において、裁断面の保護手段を講じない基布を用いて、各種の特性を評価し
た。耐油性試験では、裁断部付近の被覆材がやや膨潤しており、揉み試験では、裁断部
付近の被覆材が剥がれ、基布強力も若干低下した。
Figure 2006205865
本発明になるエアバッグの展開前形状の一例 図1のA−A線による断面図 本発明になる縫合による外周裁断面の暴露防止部材の一例 本発明になる縫合による外周裁断面の暴露防止部材の一例 本発明になるシート状物の被覆による外周裁断面の暴露防止部材の一例 本発明になる接着性材料による外周裁断面の暴露防止部材の一例 外周接合が接着剤による場合の実施例
符号の説明
10‥‥‥エアバッグ
9‥‥‥膨張規制部材
2a,2aa,2b.2bb,12a,12b‥‥‥耐熱性材料
3a,3b,13a,13b‥‥‥本体基布
4,4a、4b、14a‥‥‥外周接合部
4c、4d‥‥‥裁断端末部接合部
5a,5b、15a,15b‥‥‥外周基布の裁断面
6、7、17、8‥‥‥裁断面付近の暴露防止部材

Claims (3)

  1. 車外に設置され車輌に衝突するものを車輌の車体との衝突により受ける衝撃から保護する車外用エアバッグであって、少なくとも外面が耐熱性材料で被覆され、対向させて接合した織布の裁断端末部の裁断端末面に液状物侵入阻止用の暴露防止部材を設けたことを特徴とする車外用エアバッグ。
  2. 車外に設置され車輌に衝突するものを車輌の車体との衝突により受ける衝撃から保護する車外用エアバッグであって、少なくとも外面が耐熱性材料で被覆され、対向させて接合した織布の裁断端末部に液状物侵入阻止用の暴露防止部材としての反転部を設けたことを特徴とする車外用エアバッグ。
  3. 液状物侵入阻止用の暴露防止部材が、接着性を持つフレキシブルシートによる被覆である請求項1に記載の車外用エアバッグ。
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